JP4079849B2 - 建築用断熱複合板 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、建物の基礎用断熱部材や壁体用断熱部材等に使用され、特に建物の外側部分に断熱材が配置される外断熱工法に好適な建築用断熱複合板に関する。
従来から、住宅等における住居環境を向上させるため、外壁や屋根に各種の断熱材が配設されている。また、近年の高気密・高断熱設計の普及に伴い、外壁や屋根部分のみならず、床下、すなわちフレーム部をなすコンクリート基礎部分等にも断熱材を施工し、室内の冷暖房の効率を更に高めることが行なわれている。
この断熱工法は、一般的に内断熱工法と外断熱工法に大別される。内断熱工法とは、木造の場合は壁体内に、コンクリート造の場合は壁の内側に、断熱材を充填したり貼り合わせていく方法であり、外断熱工法は、建物全体を断熱材で包み込むように施工する工法である。
内断熱工法における従来技術としては、例えば、下記の特許文献1には、床フレーム、天井フレーム及び床フレームと天井フレームとの間の四隅にそれぞれ立設された柱を有するユニットフレームを備えた建物ユニットであって、前記ユニットフレームを構成する部材の内側空間部、すなわち、建物の外壁材の内側に断熱材が充填される建物ユニットが開示されている。また、その実施形態においては、基礎の内側の側面部にグラスウールよりなる板状の断熱材が張られていることが記載されている。
また、外断熱工法における従来技術としては、例えば、下記の特許文献2には、建物の連続基礎の立上り部の外面に垂直断熱層が設けられ、その垂直断熱層の下端部から前記建物外周の地盤中に略水平に水平断熱層が設けられている断熱基礎であって、前記垂直断熱層と前記水平断熱層とが連結されている断熱基礎が開示されている。また、その実施形態においては、断熱材としては、独立気泡を有する樹脂発泡体が断熱性能、耐水性、圧縮弾性率に優れ、具体的には、ポリスチレン系の樹脂、ポリエチレン,ポリプロピレン等のポリオレフィン系の樹脂、ポリウレタン系の樹脂等の発泡体が記載されている。
一般的に、コンクリートは熱を蓄積する性質を有しているので、断熱材をコンクリート基礎部分の内側に施工した場合、冬季には、コンクリートが蓄積した居住空間からの暖房の余熱を容易に外部に放出してしまう。一方、夏季には太陽の熱をコンクリートが簡単に吸熱してしまうので居住空間の冷房効率を損なうので、コンクリート基礎の断熱材は、外断熱工法で施工することが好ましいとされている。
また、外断熱工法は、断熱材が分断されないため、高い断熱性・気密性を生みやすく、省エネルギー効果が期待できる。また壁や柱などは断熱材の内側に位置しているので、室内の温度とほぼ同じになる。このため内部結露が起きにくいとう利点もある。
また、上記の特許文献2のような、断熱材として樹脂発泡体を用いた外断熱工法においては、コンクリートを打設する前に、ビーズ発泡ポリスチレン、押出発泡ポリスチレン、ウレタンフォームなどの樹脂発泡体を型枠兼用断熱材として、コンクリート基礎の外側になるように施工し、コンクリート基礎完成後、樹脂発泡体の上から、仕上げ材としてモルタル吹き付け等を行う工法や、コンクリート基礎を完成させた後、上記樹脂発泡体を外側に貼り付け、その後、樹脂発泡体の上からモルタル仕上げを行うことも行なわれている。
特開平11−264194号公報 特開2002−38493号公報
上記のように、特開平11−264194号公報の建物ユニットにおいては、グラスウールのような透湿性の高い断熱材を単独で用い、それをコンクリート基礎の内側に内断熱工法によって施工している。このため、コンクリート基礎が防湿層として機能し、冬季には、コンクリート基礎とグラスウールの間で結露が生じ、グラスウールの断熱性能を低下させるとともに、住宅に使用される木材の腐朽、金属の腐蝕によって、住宅の耐久性を低下させるという問題があった。
一方、特開2002−38493号公報の断熱基礎では、断熱材がコンクリート基礎の外側に設けられている外断熱工法であるので、上記の結露の問題は生じない。しかしながら、樹脂発泡体は、施工時又は施工後に、突発的に生じる衝撃等の外力に弱いため、樹脂発泡体が割れたり、又は樹脂発泡体の表面に仕上げ材として施工されたモルタル層に、クラックの発生又は割れが生じたりするという問題があった。
また、樹脂発泡体は、湿度又は温度による寸法の変化が、繊維系断熱材より大きいため、樹脂発泡体表面に施工されたモルタル層は、樹脂発泡体の寸法変化に追随できず、クラック等の破損を生じさせる場合があり、この破損部分より、雨水等が浸入して断熱性能を損なう恐れがある。
また、従来のグラスウール等の繊維系断熱材を単独で用い、外断熱工法でコンクリート基礎等の外側に設けた場合には、上記のように、雨水や、後述するモルタルによる仕上げ材を付与した場合のモルタルからの水分や、土中の水分等を容易に吸収して断熱性能が低下するという問題がある。
更に、繊維系断熱材を施工した後に、外側にモルタルによる仕上げ材を付与する場合に、繊維系断熱材とモルタルとの接着性が劣るので充分な量のモルタルを付与できないといった問題を有していた。
したがって、本発明の目的は、水分による断熱材の断熱性能の低下を防止でき、モルタル等の表面仕上げ等を行なった場合にも寸法変化が少なく、仕上げ材との接着も良好である、外断熱工法に好適に用いられる建築用断熱複合板を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の建築用断熱複合板は、無機繊維にバインダーを付与して成形される無機繊維断熱材からなるコア層と、該コア層の少なくとも片面に設けられた表皮層とからなる複合板であって、
前記バインダーが、アルデヒド縮合性熱硬化樹脂前駆体と、ポリフルオロアルキル基を有するフッ素系化合物とを含有し、
前記表皮層がレジンコンクリートであることを特徴とする。
本発明によれば、コア層のバインダーであるフッ素系化合物は撥水効果が高いので、無機繊維断熱材に充分な撥水効果を付与することができ、外壁やコンクリート基礎の外断熱材として使用した際にも、無機繊維の集合体への水の吸収を防ぎ、仮に無機繊維断熱材中に水が浸入しても、速やかに排水するので、断熱性能が低下することがない。また、水分による周囲の木材や金属の劣化を防止して住宅の耐久性を向上することができる。
また、吸水性の低いレジンコンクリートを表皮層として用いることにより、コア層への水の浸入を防止でき、同時にコア層を補強できる。これによって、従来難しいと言われてきた、繊維系断熱材を外断熱工法用の部材として使用することが可能になる。
更に、表皮層をそのまま外装面とできるので、施工の工程数、工期を短縮でき、施工コストの低減が可能となる。また、その際に、レジンコンクリートに着色剤又は骨材等を含有させて意匠性の付与が容易であり、建物に美観を付与することが可能となる。また、レジンコンクリートはモルタル等との接着性が良好であることから、モルタル等による表面仕上げの施工も容易に行なうことができる。
本発明の建築用断熱複合板においては、前記無機繊維断熱材が、密度30〜80kg/m、厚さ30〜80mmのグラスウールであることが好ましい。これによれば、上記範囲の密度、厚さのグラスウールは、外力に対する反発力が高く、施工時の不意に生じる変形等を速やかに回復することが可能であり、変形等も生じなくなる。また、これによって、後述する断熱材の熱抵抗値が、国土交通省の定める、住宅における省エネルギーの次世代基準を満たすので、環境負荷の少ない断熱構造が可能となる。
また、前記レジンコンクリートが、アクリル樹脂又は不飽和ポリエステル樹脂と、骨材と、無機質フィラーとを含有することが好ましい。これによれば、透水性及び吸水性の低い表皮層となり、水分によるコア材の断熱性能の低下を防止できる。
更に、前記アクリル樹脂又は不飽和ポリエステル樹脂の含有量が、前記レジンコンクリート全体に対して20質量%以下であることが好ましい。これによれば、樹脂成分が少ないので、断熱複合板としての剛性を保ち、かつ、難燃性にも優れるため、住宅基礎部の外側に使用されても、優れた防火性を維持することができる。
また、前記コア層と前記表皮層との間に中間層を有し、該中間層が、ガラス繊維ペーパー、ガラス繊維不織布、ガラス繊維クロスより選択される一種であることが好ましい。これによれば、上記のガラス繊維材料がレジンコンクリートの補強材として作用するので、施工時の衝撃等により、表面層であるレジンコンクリートの破損を防止できる。また、無機繊維断熱材とレジンコンクリートとの接着性を向上させることができる。
更に、前記表皮層が厚さ5mm以下であることが好ましい。これによれば、例えば、外部からの衝撃等によってコア材と表面層との接着が弱くなるのを防止することができる。
本発明の断熱複合板は、充分な撥水性能を無機繊維断熱材に付与することができるので、例えば、住宅等の基礎断熱材として使用しても、吸水による断熱性能の低下が少ない。また、表皮層により、外からの雨水の侵入を防ぐとともに、断熱材を補強できる。更に外装表面のモルタル仕上げを可能とし、モルタルからのアルカリ成分の無機繊維断熱材の侵食を防ぐことができるので、外断熱工法に好ましく用いることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の建築用断熱複合板は、無機繊維にバインダーを付与して成形される無機繊維断熱材からなるコア層と、該コア層の少なくとも片面に設けられた表皮層とからなる複合板である。
まず、コア層について説明すると、本発明におけるコア層は、無機繊維にバインダーを付与して成形される無機繊維断熱材からなり、このバインダーが、アルデヒド縮合性熱硬化樹脂前駆体と、ポリフルオロアルキル基を有するフッ素系化合物とを含有していることを第1の特徴としている。
無機繊維としては、特に制限されず、通常の断熱吸音材に使用されているグラスウール、ロックウール、スラグウール等を用いることができるが、なかでもグラスウールを用いることが好ましい。グラスウールは、他の無機繊維と比較して、繊維長が長く、低密度でありながらたわみが少なく、反発力に優れるので、コア層の厚みを充分に確保しつつ複合板全体の軽量化も可能あるので好ましく用いられる。
本発明におけるバインダーとしては、アルデヒド縮合性熱硬化性樹脂前駆体と、ポリフルオロアルキル基を有するフッ素系化合物とを含有するバインダーを用いる。これによって、無機繊維に撥水性を付与してコア層の断熱性能の低下を防止できる。
アルデヒド縮合性熱硬化性樹脂前駆体としては、レゾール型フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フラン樹脂の各々の前駆体が挙げられる。この場合、前駆体は単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
ここで、本発明において前駆体とは、加熱による反応でレゾール型フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フラン樹脂を各々生成する、もととなる化合物を意味する。この場合、各々の樹脂の前駆体中に含まれる単量体、二量体などの比率、あるいは単量体当たりのメチロール基の付加数は特に限定されない。
アルデヒド縮合性熱硬化性樹脂前駆体は、高粘度の液体あるいは固体であるため、無機繊維に付与するためには、水や有機溶剤などの媒体が必要となる。一般的な無機繊維断熱吸音材の製造プロセスでは、繊維用無機原料を溶融し遠心法などで繊維化した直後の200℃以上の雰囲気下で、バインダーを付与することが多いので、有機溶剤などの可燃性の溶媒を含むことは、火災などを招く恐れがある。そのため、アルデヒド縮合性熱硬化性樹脂前駆体は、水に溶解又は分散したものであることが好ましい。
ポリフルオロアルキル基を有するフッ素系化合物としては、比較的低分子量の化合物から、ポリフルオロアルキル基を有するモノマーのオリゴマー、ホモポリマーあるいはコポリマーまでが含まれる。ここで、ポリフルオロアルキル基とは、アルキル基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換された、撥水性能を付与する官能基である。アルキル基は直鎖構造でもよく、分岐構造であってもよい。
上記ポリフルオロアルキル基の炭素数は、4〜20個が好ましく、これらの炭素原子のうち、1個以上のフッ素原子が結合している炭素の数は2個以上、好ましくは4〜18個、特に好ましくは6〜16個である。また、アルキル基中のフッ素原子数の割合は、(ポリフルオロアルキル基中のフッ素原子の数)/(ポリフルオロアルキル基と同一炭素数の炭化水素基とした場合の全水素原子数)が、60%以上が好ましく、特に80%以上が好ましい。
また、ポリフルオロアルキル基の末端部分がパーフルオロアルキル基であることが、撥水性能が更に向上するのでより好ましく、パーフルオロアルキル基が直鎖構造であることが特に好ましい。ここで、パーフルオロアルキル基とは、ポリフルオロアルキル基の水素原子のすべてがフッ素原子に置換された構造を有するものをいう。これにより、少量の添加量でも高い撥水性能をバインダーに付与することができる。
更に、上記のフッ素系化合物は、アルデヒド縮合性熱硬化樹脂前駆体と反応し得る官能基や無機繊維と反応し得る官能基を有していることが好ましい。これにより、フッ素系化合物が、バインダーの主成分となるアルデヒド縮合性熱硬化樹脂や無機繊維の表面と強固に結合し、経時での撥水性能の低下、特に湿気の多い個所に無機繊維断熱を使用する場合、繰り返し生じる結露水による撥水剤の流失が抑制される。更に、バインダー硬化後にもシリコーンオイル等で観察されるブリードアウトを起こすことがないので、表皮層となるレジンコンクリートとの接着性が良好になる。
アルデヒド縮合性熱硬化樹脂前駆体と反応し得る官能基としては、水酸基、アミノ基、エポキシ基、メチロール基、カルボキシル基、イソシアネート基等が挙げられ、水酸基、アミノ基、エポキシ基、メチロール基が好ましい。これらのうちエポキシ基、メチロール基が、アルデヒド縮合性熱硬化樹脂前駆体と短時間で効率良く反応するため最も好ましい。
また、無機繊維の表面と反応し得る官能基としては、例えば加水分解によりシラノール基となるクロロシラン、メトキシシラン、エトキシシラン等を有することが好ましい。
このようなポリフルオロアルキル基を有するフッ素系化合物の構造としては、主鎖中にポリフルオロアルキル基が存在するものや、側鎖にポリフルオロアルキル基が付加されているものが挙げられ特に限定されず、例えば、以下の2種類の構造が挙げられる。
(1)下記に示す構造であって、主鎖中にポリフルオロアルキル基と前記官能基が存在する構造。
Figure 0004079849
ここで、上記の構造のうち、2価以上の結合基としては特に限定されないが、後述するように、フッ素系化合物の分子量又は数平均分子量が500以上となるものが好ましく、例えば、ポリエチレン基、ポリエステル基、ポリウレタン基、ポリエーテル基、ポリカーボネート基等が挙げられる。
(2)下記に示す構造であって、ポリエチレンあるいはポリエステル等の主鎖に対して、側鎖にそれぞれポリフルオロアルキル基と前記官能基が付加されている構造。
Figure 0004079849
ここで、2価以上の結合基としては、上記(1)の構造における2価の結合基と同様の基が好ましく用いられる。
上記(2)の構造のうち、ポリフルオロアルキル基含有モノマーと、官能基を有する共重合モノマーとのコポリマーがより好ましく、ポリフルオロアルキル基含有モノマーが、下記の構造を有するポリフルオロアルキル基のアクリレートあるいはメタクリレートであることが特に好ましい。
Figure 0004079849
ここで、官能基を有する共重合性モノマーとしては、水酸基、アミノ基、エポキシ基、メチロール基等の官能基を有するモノマー、例えば、ヒドロキシアルキルアクリレート、ヒドロキシアルキルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、メチロールジアセトンアクリルアミド等がより好ましい。また、これ以外にも、例えば、アクリル酸やメタクリル酸等を使用することもできる。
この場合、ポリフルオロアルキル基のアクリレートあるいはメタクリレートと、官能基を有する共重合モノマーとの共重合の割合は、両者の質量の合計に対して、ポリフルオロアルキル基含有モノマーが40質量%以上、特に50〜80質量%の割合で重合した重合体が好ましい。
また、本発明で使用するフッ素系化合物は、分子量又は数平均分子量が500以上であることが好ましい。ここで、分子量又は数平均分子量が500以上とは、フッ素系化合物が単分子より構成される場合には分子量が500以上であり、2分子以上のオリゴマーや高分子より構成される場合には数平均分子量が500以上であることを意味する。
分子量又は数平均分子量が500未満の場合、無機繊維断熱吸音材の製造プロセスにおけるバインダー塗布、あるいはバインダー塗布後の硬化段階での急激な温度上昇によって低分子量化合物が蒸発揮散してしまい、得られる無機繊維断熱吸音材の撥水性能が低下するので好ましくない。また、所定の撥水性能を得るために過剰のフッ素系化合物が必要となり、不経済でもあるので好ましくない。
上記のフッ素系化合物の含有量は、アルデヒド縮合性熱硬化樹脂前駆体100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜5質量部、特に好ましくは1〜5質量部である。
フッ素系化合物の含有量が、0.1質量部未満であると、得られる無機繊維断熱材に充分な撥水性を付与することができない。また、フッ素系化合物の含有量が10質量部を超えても、含有量の増加に比例して撥水性が向上せず不経済であるので好ましくない。
また、上記のフッ素系化合物は、水に分散させた後に、アルデヒド縮合性熱硬化樹脂前駆体に添加することが好ましい。これにより、同じく水分散させたアルデヒド縮合性熱硬化樹脂前駆体と均一に混合でき、バインダーとの相溶性が良好になる。また、水分散系であるので、無機繊維断熱材の製造プロセスにおいて、繊維用無機原料を溶融し繊維化した直後の200℃以上の雰囲気下でも安全に無機繊維用バインダーを付与することができる。水に分散させる方法としては、フッ素系化合物に各種界面活性剤を添加混合し、乳化する方法が挙げられる。
また、バインダーには、無機繊維の接着性を高めるために、更にシランカップリング剤を添加することが好ましい。また、必要に応じて、防塵剤、硬化促進剤、難燃剤、着色剤などを添加してもよい。硬化促進剤としては、例えば、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられる。
上記のバインダーは、固形分量が5〜30質量%となるように、水を主成分とした溶媒で希釈することが好ましい。この際、ディゾルバーなどの攪拌機のついたタンクを用いて調合することにより、バインダーを得ることができる。
次に、上記のバインダーを無機繊維に付与して、コア層となる無機繊維断熱材を成形する方法について説明すると、まず、溶融した無機質原料を繊維化装置で繊維化し、その直後に上記のバインダーを無機繊維に付与する。無機繊維の繊維化方法は、火焔法、吹き飛ばし法、遠心法(ロータリー法とも言う)等の各種方法を用いることができる。特に、無機繊維がグラスウールの場合は、遠心法を用いることが好ましい。
バインダーの付与は、スプレー装置などを用いて塗布、噴霧することができる。バインダーの付与量の調節は、従来の撥水剤を含まないバインダーと同様の方法で調整することができる。バインダーの付与量は、無機繊維断熱材の密度や用途によって異なるが、バインダーを付与した無機繊維断熱材の質量を基準として、固形分量で0.5〜15質量%の範囲が好ましく、0.5〜9質量%の範囲がより好ましい。
次いで、バインダーが付与された無機繊維をコンベアベルト上に集綿して嵩高い無機繊維断熱材用中間体を形成し、所望とする厚さになるように間隔を設けた上下一対のベルトコンベアなどに送り込んで狭圧しつつ加熱し、バインダーを硬化させて無機繊維断熱材を形成する。
上記の無機繊維断熱材は、密度30〜80kg/m、厚さ30〜80mmのグラスウールであることが好ましい。これにより、外断熱工法に用いる断熱材としての剛性を満たすことが可能となり、更に、施工時の変形等の応力に対しても速やかに回復するので、断熱層の厚さを確保することができる。また、例えば、表面にモルタル仕上げ材を施工した場合にも凹凸の少ない外観が得られる。
無機繊維断熱材の密度が30kg/m未満の場合、反発力に欠けるので、断熱層の厚みを確保することができず、充分な断熱性能が得られなくなるので好ましくない。一方、80kg/mを越えると、無機繊維断熱材の熱伝導率が上昇し、所望する断熱性(熱抵抗率)を得るための厚さが増大し、経済性に欠けるので好ましくない。
また、無機繊維がグラスウールであり、かつ、上記範囲の密度および厚みであれば、「エネルギーの使用の合理化に関する法律」中の「住宅に係わるエネルギーの使用の合理化に関する建築主の判断の基準」に定められる住宅基礎の外断熱工法の断熱性能である、熱抵抗値1.7〜3.5W/mKを満たすのでより好ましい。
次に、本発明における表皮層について説明する。本発明においては、上記のコア層の少なくとも片面にレジンコンクリートからなる表皮層を有していることを第2の特徴としている。
レジンコンクリートとは、有機樹脂に、骨材及び/又は無機質フィラーを混合し、硬化又は固化させたものを意味する。硬化又は固化させる前のレジンコンクリート用組成物は流動性を有しているので、種々の形状物を成形して貼り合わせたり、種々の基材の表面に塗布したりすることができる。
これによって、コア層への水の侵入を防止できるとともに、コア層を補強する役割を果たす。また、表面の意匠性を向上させることが可能となり、更に、表皮層上にモルタル、又は樹脂モルタルを施工する場合にも、モルタルとの接着を容易に行なうことができ、更にまた、コア層の無機繊維断熱材としてグラスウールを使用する場合には、モルタル中のアルカリ成分によるグラスウールの侵食を防止する保護層としても作用する。
上記有機樹脂としては、特に限定されず、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。
このうちアクリル樹脂又は不飽和ポリエステル樹脂が、透水性及び吸水性の低いレジンコンクリートとなるので、水分によるコア層の断熱性能の低下を防止できる点から好ましい。また、耐候性、及び、レジンコンクリートの切断加工性が容易である点からアクリル樹脂がより好ましい。
アクリル樹脂とは、エチレン性不飽和結合を有する単量体、例えば、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、N‐メチロール(メタ)アクリルアミド等のラジカル重合により得られた樹脂であり、通常、水溶液、水分散体、あるいは有機溶剤に溶解して市販されている。
本発明においては、塗布作業環境及び乾燥工程の短縮の点から、アクリル樹脂の水分散体を使用することがより好ましい。
また、アクリル樹脂を構成する単量体の種類に特に制限はないが、耐候性を考慮すると、スチレン以外の単量体で構成されていることが好ましく、また、硬い表皮層を所望する場合は、メチル(メタ)アクリレート、スチレン、グリシジル(メタ)アクリレート、N‐メチロール(メタ)アクリレート等の側鎖の短い単量体や側鎖に架橋が可能な官能基を有する単量体を含有することが好ましく、逆に柔軟性のある表皮層を所望する場合は、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の側鎖の長い単量体を含有することが好ましく、用途に合わせ適宜調整することがより好ましい。
一方、不飽和ポリエステル樹脂とは、多価アルコール類、多塩基酸類及び不飽和結合を含有する単量体、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸又は不飽和脂肪酸等のエステル重合により得られたポリエステル樹脂を、不飽和結合を含有する液状の単量体、例えば、スチレン又はアクリル酸エステル類等で架橋したものをいう。不飽和ポリエステル樹脂の分子量、構成する単量体の種類、末端等の官能基の種類等に特に制限はなく、市販のレジンコンクリート用不飽和ポリエステル樹脂をそのまま使用してもよい。
上記のアクリル樹脂又は不飽和ポリエステル樹脂等の有機樹脂の含有量は、レジンコンクリートの全質量に対して、20質量%以下であることが好ましい。
本発明の断熱複合板は、用途により難燃性を要求される場合があり、表面層として使用されるレジンコンクリート中の有機成分の量が少ないことが好ましい。このため、レジンコンクリートの全質量に対する不飽和ポリエステル樹脂の含有量が20%を超えると、可燃成分が多くなり、難燃性が低下するので好ましくない。
更に、難燃性を重視する余り、レジンコンクリート中の上記有機樹脂の含有量を低減すると、コア材に対するレジンコンクリート層の補強効果が低減したり、施工時に容易にレジンコンクリート層にクラックが入ったり、割れたりする場合があるので、上記の不飽和ポリエステル樹脂の含有量は、レジンコンクリートの全質量に対して、10〜20質量%以下であることがより好ましい。
また、上記のアクリル樹脂を用いて、レジンコンクリート用組成物を調合して、固化あるいは硬化させる場合、そのまま加熱して、水あるいは有機溶剤を揮発させて固化してもよいが、耐水性を更に向上させるために、側鎖に水酸基、メチロール基、あるいはエポキシ基を有するアクリル樹脂にメラミン樹脂を併用することが好ましい。
一方、上記の不飽和ポリエステル樹脂を用いて、レジンコンクリート用組成物を調合して硬化させる場合、そのまま加熱して硬化してもよいが、硬化を完全に進行させ、硬化物への転換率を高め、レジンコンクリートの耐候性の向上や、硬化時間の短縮や、生産性の向上のために、重合開始剤を使用することが好ましい。
上記重合開始剤としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサエート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシビバレート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、シクロヘキサノンパーオキサイド、ジイソブチルジパーオキシフタレート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシカーボネート、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノニルパーオキサイド、プロピオニトリルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジt−ブチルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジt−ブチルパーオキシヘキサン、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、クメンパーオキサイド、過酸化水素、過酢酸、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過酸化物や、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサン1−カーボニトリル、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ系重合開始剤が挙げられる。
上記の重合開始剤の種類、使用量は、レジンコンクリート用組成物の可使時間、硬化温度、又は硬化時間等の製造条件に合わせて、適宜選択できるが、使用量としては、不飽和ポリエステル樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部、特に好ましくは0.5〜3質量部である。
レジンコンクリート中に含有される骨材とは、砂利及び砂を指し、粒径が2.5mm超の粗骨材、2.5mm以下の細骨材、0.6m篩通過分が80%以上の粒径が0.074〜0.42mmの細砂(さいしゃ)のいずれも使用することができるが、本発明では、レジンコンクリートをコア層の無機繊維断熱材の表面に、均一で薄膜塗工することが好ましいので、骨材は余り荒くないことが好ましく、上記の細骨材、又は細砂を使用することが好ましい。
また、レジンコンクリート中に含有される無機質フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛等の金属炭酸塩、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化鉄、水酸化カルシウム等の金属水酸化物、ポルトランドセメント、アルミナセメント等のセメント類、ベントナイト、カオリン、タルク、アパタルジャイト、セピオライト、ゼオライト、ウォラストナイト、ウィレマナイト、ヘクトライト、パイロフィライト、バーミキュライト、マイカ、ドーソナイト等の粘土鉱物類、パーライト、シリカバルーン、アルミノシリケートバルーン、フライアッシュバルーン、シラスバルーン等の中空バルーン等、及びガラスバルーンガラス繊維、ロックウール繊維、シリカ-アルミナ繊維、アルミナ繊維等の無機質繊維等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、上記の無機質フィラーは単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせてもよい。
上記の骨材及び/又は無機質フィラーの添加量は、断熱複合板の用途、製造プロセス等に合わせて適宜選択され、特に限定されない。
また、レジンコンクリート中には、上記の熱硬化性樹脂前駆体、骨材、無機質フィラー以外にも、着色用の顔料、彩色砂、撥水性のワックス又はシリコーン化合物、酸化防止剤、老化防止剤、低収縮剤、難燃剤等の添加剤を含有していてもよい。
なお、表皮層の厚さは5mm以下であることが好ましく、0.5〜5mmがより好ましい。表皮層の厚さが5mmを越えると、例えば、突発的な衝撃等によってコア材と表面層との接着が弱くなるため好ましくない。また、表面層の厚みは、コア層を充分に補強する必要があることから0.5mm以上であることがより好ましい。なお、表面のレジンコンクリートにモルタル付与をしないでそのまま建物の表面とする場合には、表皮層は2〜5mmであることが好ましい。
次に、上記のコア層上に表皮層を形成する方法について説明する。本発明においては、コア層上に表皮層を形成する方法については特に限定されず、例えば、
イ)成形した無機繊維断熱材上に、レジンコンクリート用組成物をスプレー法、カーテンフローコート法、ロールコート法、スピンコート法等で塗布した後、レジンコンクリート用組成物を硬化させる方法。
ロ)あらかじめ成形硬化させたレジンコンクリートと、成形した無機繊維断熱材とを接着剤で接合させる方法。
等が挙げられるが、接着剤が不要であって、生産性、経済性に優れるイ)の方法が好ましい。
本発明の断熱複合板においては、上記のコア層と表皮層との間に中間層を有し、この中間層が、ガラス繊維ペーパー、ガラス繊維不織布、ガラス繊維クロスより選択される一種であることが好ましい。
これにより、上記のガラス繊維ペーパー、ガラス繊維不織布、ガラス繊維クロス等のシート状材料がレジンコンクリートの補強材として作用するので、施工時の衝撃等により、表面層であるレジンコンクリートの破損を防止できる。また、無機繊維断熱材とレジンコンクリートとの接着性を向上させることができる。また、上記のイ)の方法によってレジンコンクリート用組成物を塗布する場合、上記シート状材料がコア層の無機繊維断熱材への浸透を防止するので、過剰のレジンコンクリート用組成物が不要となって、経済性が向上する。
上記のシート状材料としては、従来公知のガラス繊維ペーパー、ガラス繊維不織布、ガラス繊維クロスが使用でき特に限定されない。
この場合、コア層上に中間層を形成する方法としては、
ハ)無機繊維断熱材の製造工程中で、無機繊維を集綿した後の、バインダー硬化前の無機繊維断熱材用中間体に上記シート状材料を載せ、無機繊維断熱材を成形するバインダーを硬化させる際に、無機繊維断熱材用中間体とシート状材料を同時に狭圧し、無機繊維断熱材のバインダーで接着させる方法。
ニ)成形した無機繊維断熱材にホットメルト接着剤、有機溶剤系接着剤、水系接着剤等を塗布し、上記シート状材料を接着させる方法。
ホ)成形した無機繊維断熱材に上記シート状材料を載せ、その上よりレジンコンクリート用組成物を上記のイ)の方法で塗布し硬化させる方法。
等が挙げられるが、工程数が少なく、接着剤等の余分な材料が不要であって、生産性、経済性に優れる、ハ)又はホ)の方法が好ましい。
上記の方法によって得られた本発明の建築用断熱複合板は、そのままの形態でもよく、また、レジンコンクリート層が接着していない面をフィルム状の表皮材で被覆して用いてもよい。フィルム状の表皮材としては、紙、合成樹脂フィルム、金属箔フィルム、不織布、織布又はこれらを組み合わせたものを用いることができる。なお、フィルム状の表皮材としては、吸水率が低く、撥水性を有する材料を用いることが好ましい。
上記の本発明の建築用断熱複合板は、コア層の無機繊維断熱材を形成するバインダーにフッ素系化合物が含有されているので、無機繊維断熱材が吸水したり、又は吸収された水が断熱材中に長期で滞留したりすることがないので、水分による断熱性能の低下がない。
また、吸水性の低いレジンコンクリート層を補強面とすることで、施工時又は施工後のコア層の変形を抑制することができ、かつ、外部からの水が、コア層に浸入することを防ぐことができる。更に、住宅のコンクリート基礎の外断熱用部材として使用する際に、仕上げとしてモルタル施工をする場合には、無機繊維を劣化させるモルタル中のアルカリ成分から無機繊維断熱材を保護する作用がある。
更に、レジンコンクリートの樹脂成分として、耐候性の高い不飽和ポリエステルを使用した場合、レジンコンクリート層を意匠面とすることができるので、
例えば、従来の住宅コンクリート基礎の外断熱施工の仕上げ材となるモルタルを施工する必要がなく、工程を短縮することができる。
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明する。なお、以下の説明において、部、%は、特にことわりのない場合は質量基準を表す。
[フッ素系化合物のエマルジョンの調合]
調合A
撹拌機が装着された反応釜に、下記の化学式(I)で示される、パーフルオロアルキルエチルアクリレート100部、N−メチロールアクリルアミド10部、ステアリルアクリレート20部、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLB12.4)10部、ジパルミチルジメチルアンモニウムクロライド2部、イソプロピルセルソルブ120部、水350部及びアゾビスイソブチルアミジン塩酸塩1部を加え、撹拌しながら約15分間窒素置換を行った後、60℃に昇温し、重合を開始させた。60℃で12時間保温撹拌した後冷却し、固形分31%のエマルジョンを得た。
Figure 0004079849
(ここで、nが5、7、11、13である化合物の混合物であって、nの平均が8である混合物)
調合B
下記の化学式(II)で示される分子量656のフッ素系化合物100部に、MIBK50部を加えて、70℃で溶解させ溶液とした。次いで、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(HLB11.9)8部とヤシ油脂肪酸ソルビタン(HLB4.7)2部を加え、90℃に加温した。次に高圧ホモジナイザーにより乳化した。この乳化物を50℃で減圧し、含有するMIBKを除去し、固形分30%のエマルジョンを得た。
Figure 0004079849
[ジメチルポリシロキサンの水分散液の調合]
調合C
分子量約5000のジメチルポリシロキサン60部に、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン15部を添加した。撹拌しながら水200部を滴下して、固形分27.3%の水分散液を得た。
[無機繊維用バインダーの調合]
調合例
水に分散された、単量体10%以下、二量体80%以上、遊離フェノール1%以下のレゾール型フェノール樹脂前駆体を固形分換算で100部に対して、調合A〜Cで得られた各撥水剤のエマルジョンを含有量換算で3部、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン0.2部、水450部とを撹拌機のついたオープンタンクで調合し、充分撹拌しながら固形分が15%になるように水を加えてバインダーを得た。なお、調合Aを用いたものをバインダーA、調合Bを用いたものをバインダーB、調合Cを用いたものをバインダーCとした。
[無機繊維断熱材の製造方法]
遠心法により繊維化したガラス繊維に、前記バインダーA〜Cを用いて所定の付与量になるようにスプレーで塗布した後、吸引装置で吸引しながら有孔コンベア上に集綿して、無機繊維断熱材の中間体を形成させた。前記中間体を280℃の熱風中で3分間加熱して、バインダーを硬化させ、密度48kg/m、厚さ60mm、バインダー付与量6.0%である、無機繊維断熱材を得た。なお、バインダーAを用いたものを無機繊維断熱材Aとし、それぞれのバインダーを使用したものを無機繊維断熱材B、及びCとした。
実施例1
[レジンコンクリート用組成物の調合]
固形分50%のアクリル樹脂水分散液(商品名:ポリトロン、旭化成株式会社製)40%、平均粒子径30μmの炭酸カルシウム30%、ウォラストナイト3%、珪砂3号17%、珪砂6号10%を混合して、レジンコンクリート用組成物を得た。
[断熱複合材の形成]
無機繊維断熱材Aの表面に、上記レジンコンクリート用組成物をロールコート法で1000g/mとなるように塗布し、60℃で2時間水を揮発させて、実施例1の断熱複合板を得た。
実施例2
[レジンコンクリート用組成物の調合]
レジンコンクリート用不飽和ポリエステル樹脂(商品名:リゴラック3200B、昭和高分子株式会社製)32%、平均粒子径30μmの炭酸カルシウム37%、ウォラストナイト2%、珪砂3号29%を混合した後、メチルエチルケトンパーオキサイド0.2%添加して、レジンコンクリート用組成物を得た。
[断熱複合材の形成]
無機繊維断熱材Aの表面に、上記レジンコンクリート用組成物をスプレー法で、1500g/m(厚さ0.8mm)となるように塗布し、60℃で3時間硬化させて、実施例2の断熱複合板を得た。
実施例3
無機繊維断熱材として無機繊維断熱材Bを用いた以外は、実施例2と同様の条件で、実施例3の断熱複合板を得た。
実施例4
[レジンコンクリート用組成物の調合]
レジンコンクリート用不飽和ポリエステル樹脂「ユピカ2100X」(日本ユピカ株式会社)18%、平均粒子径50μmの水酸化アルミニウム35%、珪砂3号25%、珪砂6号22%を混合した後、メチルエチルケトンパーオキサイド0.2%添加して、レジンコンクリート用組成物を得た。
[断熱複合材の形成]
無機繊維断熱材Aの上に目付40g/mのガラス繊維ペーパーを載せ、その上より、実施例1のレジンコンクリート用組成物を1200g/m(厚さ0.7mm)になるようにキャスティングした後、60℃で2時間硬化させて、実施例4の断熱複合板を得た。
実施例5
無機繊維断熱材Aを製造する際に、無機繊維断熱材用中間体と上記目付40g/mのガラス繊維ペーパーを積層し、無機繊維断熱材を硬化させる際に同時に狭圧して、無機繊維断熱材のバインダーで上記ガラス繊維ペーパーを接着させ、無機繊維断熱材A´を得た。
この無機繊維断熱材A´に、実施例4のレジンコンクリート用組成物を1200g/m(厚さ0.7mm)になるようにキャスティングした後、60℃で2時間硬化させて、実施例5の断熱複合板を得た。
実施例6
目付200g/mのガラス繊維クロスに、実施例4のレジンコンクリート用組成物を厚さ6mm、目付5000g/mになるようにキャスティングし、60℃で2時間硬化させた。無機繊維断熱材Bに、オレフィン系ホットメルト接着剤を50g/mとなるように塗布し、上記硬化物を接着させ、実施例6の断熱複合板を得た。
比較例1
無機繊維断熱材Cを用いた以外は、実施例2と同様の条件で、比較例1の断熱複合板を得た。
比較例2
無機繊維断熱材Cを用いた以外は、実施例4と同様の条件で、比較例2の断熱複合板を得た。
比較例3
無機繊維用バインダーの調合において、フッ素系化合物を配合しないバインダーを用いて無機繊維断熱材を得た。この無機繊維断熱材を使用した以外は、実施例2と同様の条件で、比較例3の断熱複合板を得た。
比較例4
コア層として、無機繊維断熱材の代わりに、密度35kg/m、厚さ50mmの発泡ポリウレタンを用いた以外は、実施例4と同様の条件で、比較例4の断熱複合板を得た。
比較例5
比較例5の断熱板として、密度30kg/m、厚さ50mmの押出し発泡ポリスチレンを用いた。
比較例6
比較例6の断熱板として、無機繊維断熱材Aのみを単独で用いた。しかし、後述の耐衝撃性の評価におけるモルタル層との複合化でモルタルと無機繊維断熱材の接着が不良であった。
評価例
[撥水性の評価]
実施例1〜6及び比較例1〜4の断熱複合板より、50×100×100mm角の試験片を切り出し、試験片の寸法測定及び秤量した後、水面下50mmの水温25℃の水中に浸漬した。浸漬開始24時間後に試験片を取り出し、室温25℃で10分間金網の上に放置した後、試験片を秤量した。
浸漬後の増量分を体積に対して、百分率で表し、これを体積吸水率とした。更に、体積吸水率を計算した前記試験片を金網上に放置し、6時間後の水の含有量を体積に対して、百分率で表し、体積含水率とした。
[耐衝撃性の評価]
実施例1〜5及び比較例1〜4の断熱複合板に、ポルトランドセメント100部、珪砂6号100部、水40部からなるモルタル用組成物を8000g/mになるようにキャスティングし、48時間を掛けて養生させ、試験片を作成した。
上記試験片、及び、実施例6、比較例5の試験片について、質量500gの鉄球を600mmの高さから、モルタル層又はレジンコンクリート層に向けて落とし、衝撃によるモルタル層又はレジンコンクリート層の割れ、又はクラックの発生を目視で観察した。
すべての結果をまとめて表1に示す。




Figure 0004079849
表1の結果より、実施例1〜6の試験片は、比較例1〜3の試験片と比較して、体積吸水率が低く、浸漬から取り出した6時間後の体積含水率も低いことがわかる。これは、実施例で使用した各フッ素系化合物により、グラスウールの撥水性能が向上したことを示している。
一方、撥水剤を含まない比較例3においては、体積吸水率、6時間後の体積含水率ともに実施例に比べて大幅に劣ることがわかる。
また、バインダー中に、フッ素系化合物の代わりに、ジメチルポリシロキサンを水分散させた比較例1、2では、体積吸水率は向上するものの、フッ素系化合物を使用した実施例に比べると撥水性能が劣ることがわかる。
また、コア層に無機繊維断熱材を使用した実施例1〜5及び比較例1〜3では、落球衝撃によるモルタル層の割れは観察されず、繊維系断熱材が衝撃等の外力を吸収・緩和していることを示している。なお、レジンコンクリートの厚さが6mmで本発明の好ましい範囲を越える実施例6では、割れは生じないものの、断熱複合板の試験片のコーナー部においてレジンコンクリート層とコア材との接着面で剥がれが見られた。
一方、コア層として、樹脂発泡体を使用した比較例4、5は、体積吸水率、体積含水率は低いが、落球衝撃によりモルタル層の割れが観察された。これは、樹脂発泡体が外力の吸収・緩和が少ないことを示しており、施工時又は施工後の外力により簡単にモルタル層が割れ、クラックの発生が生じる可能性が高いことがわかる。
また、表皮層であるレジンコンクリートを有さない比較例6では、撥水性に優れるものの、モルタルとの接着性が劣るものであった。
本発明は、例えば、建物の基礎用断熱部材や壁体用断熱部材等に利用され、特に建物の外側部分に断熱材が配置される外断熱工法に好適な建築用断熱複合板として好適に利用できる。

Claims (6)

  1. 無機繊維にバインダーを付与して成形される無機繊維断熱材からなるコア層と、該コア層の少なくとも片面に設けられた表皮層とからなる複合板であって、
    前記バインダーが、アルデヒド縮合性熱硬化樹脂前駆体と、ポリフルオロアルキル基を有するフッ素系化合物とを含有し、
    前記表皮層がレジンコンクリートであることを特徴とする建築用断熱複合板。
  2. 前記無機繊維断熱材が、密度30〜80kg/m、厚さ30〜80mmのグラスウールである請求項1記載の建築用断熱複合板。
  3. 前記レジンコンクリートが、アクリル樹脂又は不飽和ポリエステル樹脂と、骨材と、無機質フィラーとを含有する請求項1又は2に記載の建築用断熱複合板。
  4. 前記アクリル樹脂又は不飽和ポリエステル樹脂の含有量が、前記レジンコンクリート全体に対して20質量%以下である請求項3記載の建築用断熱複合板。
  5. 前記コア層と前記表皮層との間に中間層を有し、該中間層が、ガラス繊維ペーパー、ガラス繊維不織布、ガラス繊維クロスより選択される一種である請求項1〜4のいずれか1つに記載の建築用断熱複合板。
  6. 前記表皮層が厚さ5mm以下である請求項1〜5のいずれか一つに記載の建築用断熱複合板。
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