JP4079838B2 - ガス調理器具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスバーナへの燃料ガスの供給を制御して自動で火力を大小切替できるようにしたガス制御装置を有するガスコンロなどのガス調理器具に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ガスコンロなどのガス調理器具では、器具本体にマイコンを組込み、揚げもの、炊飯や煮ものなどの調理を行う場合に、調理温度を一定に保持する調理温度制御或いは火力を順次切替える火力切替制御を自動で行うことが提案されている。この場合、ガス調理器具の器具本体には、ガスバーナへの燃料ガスの供給を制御するガス制御装置が内蔵されている。構造を簡単にして低コストで製造可能にしたガス制御装置としては、閉子を回転自在に内装したガスコックを有し、ガスバーナに通じるガスコック下流側のガス通路を2個に分岐して、一方のガス通路にガス通路の閉鎖を可能とする開閉弁を設け、閉子に連結した操作部の操作によってガスバーナの火力を強と中との間で切替えると共に、開閉弁を閉弁するとガスバーナの火力が弱となるようにしたものが知られている(特許文献1)。
【0003】
この場合、ガスバーナを点火した後、操作部を介してガスコックを操作してガスバーナの火力を強または中にすることで大側の火力を設定し、例えば器具本体前面の操作パネルに設けた自動調理用スイッチをONして調理温度制御を実行すると、五徳に載置されたなべ等の調理器具に当接するように設けた温度センサで調理温度が常時検知され、その温度が一定になるように、マイコンからの制御で開閉弁を開閉して大側の火力と、ガスバーナの火力が弱となる小側の火力との間で火力が大小切替えられる。この場合、調理温度制御では、自動調理を行う設定温度と、この設定温度に応じた開閉弁を開閉するための上限値及び下限値とが予め設定される。
【0004】
【特許文献1】
特許3155506号公報(例えば、特許請求の範囲の記載)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のものでは、例えば油温などの調理温度制御を行っている場合に、当初設定したガスバーナの火力が大きいと、温度センサの出力が上限値に達して開閉弁を閉弁して小側の火力にした後に、その出力が下限値まで低下したため開閉弁を開弁したとき、温度が迅速に上昇して直ちに上限値に達して開閉弁が閉弁されることになる。このため、開閉弁の開閉が頻繁になり、電力を無駄に消費すると共に、開閉弁の耐久性が低下する等の問題が生じる。このことは、例えば被調理物の分量が少ないときはより顕著になる。他方で、当初設定した火力が小さい場合には、温度センサの出力が下限値まで低下した後に、開閉弁を開弁して大側の火力に切替えても、温度上昇が遅いため、設定温度以下状態が長く続き、調理を上手にすることができない。
【0006】
そこで、本発明は、上記点に鑑み、開閉弁を開閉してガスバーナの火力を大小切替えて自動調理を行う場合に、各被調理物に応じた自動調理に適したガスバーナの火力を適切に設定できて消費電力が少なく、開閉弁の耐久性がよく、その上、調理が上手にできるガス調理器具を提供することを課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のガス調理器具は、ガスバーナを有する器具本体を備え、この器具本体に、ガスバーナに通じるガス通路を有し、通路面積を変更してガスバーナへのガス流量を設定する流量調節手段と、流量調節手段の操作を可能とする操作部とを備えたガス制御装置を設け、この流量調節手段を経てガスバーナに通じるガス通路の閉鎖を可能とする開閉弁を配置すると共に、開閉弁を閉弁した場合にガスバーナに所定のバイパス流量に設定された燃料ガスが供給されるようにバイパス通路を形成し、ガスバーナによる調理状況を検知するように設けた温度センサの出力に応じて、開閉弁の開閉によってガスバーナへのガス流量を、流量調節手段によって設定されるガス流量とバイパス流量との間で切替え、ガスバーナの火力が大小切替わるようにして被調理物の自動調理を可能とするガス調理器において、前記操作部の操作方向の所定の位置に、複数種の被調理物の加熱調理にそれぞれ適した大側の火力を設定する複数の操作位置を設定し、いずれかの被調理物の自動調理が選択された場合に、この自動調理に対応した操作位置を指示する指示手段を設け、更に前記温度センサの出力に応じた開閉弁の開閉頻度を検知し、その検知結果に応じて指示手段で指示する操作位置を変更するようにしたことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、ガスバーナの点火操作を行った後、例えば器具本体前面の操作パネルに設けた自動調理スイッチをONすると自動調理モードが実行される。この場合、選択された自動調理に対応した操作部の操作位置を指示する指示手段を設けているため、調理者は、その指示手段の指示に従って操作部を操作すれば、選択した自動調理に適した大側の火力を適切に設定できる。これにより、当初設定した大側の火力が大き過ぎたり、小さ過ぎたりすることはなく、開閉弁が頻繁に開閉して電力を無駄に消費したり、開閉弁の耐久性が低下したりするのが防止され、その上、上手に調理を行い得る。そして、自動調理中、温度センサで調理温度が常時検知され、例えば調理温度が一定になるように、開閉弁を開閉してガスバーナの火力を大小切替えて自動調理が実行される。
さらに、調理開始当初におけるガスバーナの大側の火力設定が不十分となることを考慮して、前記温度センサの出力に応じた開閉弁の開閉頻度を検知し、その検知結果に応じて指示手段で指示する操作位置を変更する。
【0009】
この場合、前記指示手段は、例えば各操作位置に対応して設けた複数の光源から構成され、選択された自動調理に対応したいずれかの光源が点灯するようにすればよい。
【0010】
ところで、指示手段の指示に従って操作部を操作しても、調理者の操作によってその操作位置に適切に設定されるとは限らない。このため、前記指示手段の指示に従った操作位置に操作部が操作されたことを認識させる認識手段を設けるのがよい。
【0011】
前記認識手段は、例えば前記指示手段の指示に従った操作位置まで操作部を操作するとクリックを発生させるものとすればよい。
【0014】
また、例えば調理者が火力の設定を間違った場合や上記のように火力の設定に変更が生じた場合のように、前記操作位置の変更が生じたとき、操作位置の変更を報知する報知手段を設けておけば、迅速に調理者に知らせることができてよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1乃至図3を参照して、1は、ガス制御装置であり、このガス制御装置1は、本発明のガス調理器具として例えばキッチンに設けた厨房家具に設置されるビルトイン式のガスコンロ2に組込まれる。器具の作動を制御するマイコン(図示せず)を備えたガスコンロ2は箱状の器具本体21を有し、器具本体21には、その上面を覆う天板22に設けた3個の開口を臨むように3個のガスバーナ23a、23b、23cが設けられている。器具本体21の前面の両端には、操作パネルである前面パネル24が設けられ、両前面パネル24の間に位置して器具本体21にはセラミックプレート式バーナ(図示せず)を有するグリル25が設けられている。器具本体21にはまた、後述の自動調理を行う際に調理温度を測定するため、自動調理を行うガスバーナ23aの中央開口を臨むように温度センサSが上方に向かって付勢された状態で設けられ、天板22に載置した五徳Gに載置されるなべ等の調理器具(図示せず)の底面に当接して調理温度を検出する。
【0016】
前面パネル24には、温度センサSからの出力でガスバーナ23aの火力を大小切替えて自動調理を実現する自動調理用の3個スイッチ26が設けられている。自動調理としては、調理温度を一定に保持する調理温度制御或いは火力を順次切替える火力切替制御を行うものが考えられ、本実施の形態では、図2に示すように、自動調理用のスイッチとして、揚げものスイッチ26a、炊飯スイッチ26b及び煮ものスイッチ26cが設けられている。例えば揚げもののように、調理温度制御を行う場合、マイコンには、各自動調理に対応する調理温度と、この設定温度に応じた後述の開閉弁を開閉するための上限値及び下限値とが設定されている。他方で、例えば炊飯のように、火力切替制御を行うものでは、温度センサSからの出力で火力を大小切替えるタイミングがマイコンに設定されている。また、自動調理を設定したとき、その設定が確認できるように、LEDから構成される表示部27a、27b、27cが各スイッチ26a、26b、26cに対応して設けられている。
【0017】
図3に示すように、ガスバーナ23a用のガス制御装置1は、上下に重ねて連結した2個の部分11a、11bから構成されるバルブケーシングを有する。下側に位置するバルブケーシングの第1部分11aには、バルブケーシングの長手方向に沿って延びる第1内部通路12aが設けられ、第1内部通路12aに連通するガス流入部13が開設されている。ガス流入部13の下流側に位置して第1内部通路12aには、第1電磁弁3aが設けられている。第1電磁弁3aはマグネットケース31を有し、このマグネットケース31には、例えばコンロ器体21に設けた制御ユニット(図示せず)からの信号に基づいて励磁される電磁石とこれに吸着される吸着片とが収容されている。
【0018】
吸着片にはマグネットケース31から第1内部通路12aの下流側に向かって突出した第1弁体32が連結されている。第1電磁弁3aの閉弁状態では、第1弁体32は、該第1弁体32とマグネットケース31との間に縮設したばね33の付勢力によって第1内部通路12aに設けた弁座部材34の弁座に着座している。第1電磁弁3aの開弁操作は、第1内部通路12aに挿設され、第1内部通路12aの長手方向に沿って前後方向に移動自在な操作ロッド4により行われる。操作ロッド4には第2弁体41が設けられ、第2弁体41は第1内部通路12aに設けた弁座42と共に元弁を構成する。元弁の閉弁状態では、第2弁体41は、この第2弁体41と弁座部材34との間に縮設したばね43により弁座42に着座している。
【0019】
操作ロッド4の前後方向の移動は、前面パネル24に設けた点消火ボタン5の押込み操作によって行われる。点消火ボタン5は円筒形状に形成され、その第1内部通路12a側の端面には、点消火ボタン5の移動に伴って操作ロッド4を押圧する押圧ロッド51が連結されている。押圧ロッド51の下側には、案内部51aが連結され、この案内部51aの一端は、第1部分11aの下側に設けたハートカム機構52に連結されている。この場合、点消火ボタン5は、後述の火力調節ダイヤルと共に前面パネル24から突出し、第1内部通路12aを閉鎖する閉弁位置(図3参照)から点火操作を行うために、器具本体21内側に向かう方向である後方側(図3では右側)に点消火ボタン5を押込み操作すると、押圧ロッド51を介して操作ロッド4が後方側に押込まれて元弁を開弁させた後、弁体32を吸着片側に押しきると共に点火手段である放電ユニット(図示せず)が作動する点火位置まで移動する。点火位置から点消火ボタン5の押込みを解除すると、ハートカム機構52で案内されて、器具本体21外側に向かう方向である前方側(図3では左側)に移動して元弁を開弁保持して第1内部通路12aを開放した状態の開弁位置に到達する。消火操作を行うために開弁位置から点消火ボタン5をさらに押込み操作すると、ハートカム機構52がリセットされて消火位置に戻される。
【0020】
元弁の上流側に位置して第1部分11aにはガス流出口14が設けられ、該ガス流出口14は、第2部分11bに設けた略L字形の第2内部通路12bの一端と一致し、第1及び第2の各内部通路12a、12bがガス通路を構成する。第2部分11bの外周面には、所定の間隔を置いて4個の第1、第2、第3及び第4の各連通路15a、15b、15c、15dが相互に隔絶して設けられている。各連通路15a、15b、15c、15dを介して、第2部分11bの上部に連結したガス流出部16と第2内部通路12bとが連通している。そして、ガス流出部16から流出した燃料ガスは、ガスバーナ23aへと供給される。この場合、ガスバーナ23aへの燃料ガスのガス供給量を調節するため、第2内部通路12bには流量調節手段6が設けられている。
【0021】
図3及び図4を参照して、流量調節手段6は、第2内部通路12bに回転自在に挿設した中空円筒形状の回転体61を有する。回転体61の外周面には、4本の円周方向の第1、第2、第3及び第4の各長溝62a、62b、62c、62dが、第1、第2、第3及び第4の各連通路15a、15b、15c、15dにそれぞれ対応させて形成されている。この場合、各長溝62a、62b、62c、62dの幅寸法は、各連通路15a、15b、15c、15dの孔径にそれぞれ一致させかつ円周方向にずらして形成している。また、各連通路15a、15b、15c、15dを通過してガス流出部16へと流れる燃料ガスのガス流量を所定量に調節する4個のオリフィス孔63a、63b、63c、63dを形成したオリフィス部材63を、各連通路15a、15b、15c、15dに一致させて第2部分11bの上面に装着している。この場合、各自動調理における被調理物の種類や分量に応じて、ガスバーナ23aの火力が適切に設定できるように各オリフィス孔63a、63b、63c、63dの孔径を設定している。そして、回転体61を回転させて各長溝62a、62b、62c、62dを各連通路15a、15b、15c、15dと適宜一致させてガス流出部16へと流れる燃料ガスのガス流量が調節される。
【0022】
第2通路12bの回転体61の上流側には、開閉弁である第2電磁弁3bが回転体61に対向して設けられ、第2電磁弁3bに設けた弁部35が第2通路12bに設けた弁座36に着座して、回転体61に通じる第2通路12bを閉鎖できるようになっている。この第2電磁弁3bを閉弁した場合に回転体61に燃料ガスが流れるように、パイパス通路Bが第2部分11bに形成されている。バイパス通路Bには、回転体61へと流れる燃料ガスのガス流量を所定のパイパス流量に設置するオリフィス部材B1が挿設されている。これにより、第2電磁弁3bを開閉することによって、ガスバーナ23aへのガス流量を、流量調節手段6によって設定されるガス流量とバイパス流量との間で切替え、ガスバーナの火力を大小切替えることが可能になる。
【0023】
図5を参照して、本実施の形態では、第2電磁弁3bの開弁状態では、線xで示すように、回転体61を正逆転させると、流量調節手段6によって設定されるガス流量を段階的に増減し、自動調理を行う場合の大側の火力を4段階に設定できる。他方で、第2電磁弁3bを閉弁すると、回転体61の回転角に関係なく、線yで示すようにガスバーナ23aの火力がほぼ最弱になり、自動調理を行う場合の小側の火力となる。そして、ガスバーナ23aの点火操作を行った後、前面パネル24に設けたいずれかの自動調理用のスイッチ26a、26b、26cをONして自動調理モードを実行すると、温度センサSで調理温度が常時検知され、例えば調理温度が一定になるように、第2電磁弁3bを開閉してガスバーナの火力を大小切替えて自動調理が実行される。大側の火力を設定する回転体61の回転角の調節は、点消火ボタン5の周囲に設けた操作部であるリング状の火力調節ダイヤル7により行われる。
【0024】
図3及び図6を参照して、火力調節ダイヤル7は、点消火ボタン5の閉弁位置において点消火ボタン5の外周面が火力調節ダイヤル7及び前面パネル24内に隠れるように、点消火ボタン5と共に器具本体21の前面パネル24から前方側に突出させて設けられている。この火力調節ダイヤル7は、点消火ボタン5の前後方向の移動と共に移動する回転自在なつまみ部材71と、回転体61を回転させるダイヤル部材72を備えている。ダイヤル部材72の第1内部通路11a側の端部は所定ピッチで歯切りされ、歯切した部分72aが第2部分11bから突出した回転体61の一端部に嵌合した歯車Gと噛合っている。これにより、ダイヤル部材72の回転操作に同期して回転体61が回転される。また、ダイヤル部材72の他端部には、半径方向外側に延出させた凹部72bが相互に対向して2箇所設けられている。
【0025】
点消火ボタン5の外周面を隠すつまみ部材71は透明な樹脂性であり、その第1内部通路11a側の端部には、第1内部通路11a側に延びる突出片71aが相互に対向して2箇所設けられている。そして、各突出片71aが各凹部72b内を摺動自在に係合させてつまみ部材71とダイヤル部材72とが組付けられる。つまみ部材71の内側には、このつまみ部材71の内形にほぼ一致した反射部材73が装着されている。反射部材73の外表面には、アルミニウムをコーティングすることで反射層が形成されている。反射部材73にはまた、点消火ボタン5の外周面に形成した段部5aと、つまみ部材71の内周面に形成した段部71bとに同時に当接するつば部73aが形成され、このつば部73aとダイヤル部72との間に縮設したばね74によって反射部材73が前方側に付勢されている。
【0026】
これにより、つまみ部材71がばね74の付勢力で点消火ボタン5に押当てられ、点消火ボタン5を押込み操作すると、それに伴ってつまみ部材71が後方側に移動し、開弁位置では、つまみ部材71を回転させると、突出片71aと係合した凹部72bを介してダイヤル部材72が回転される。また、前面パネル24の内側に透明なつまみ部材71の上方から反射部材73に向かって光を照射するLED等の光源(図示せず)を設け、点消火ボタン5の開弁位置で、光源から光を照射してつまみ部材71が光るようにしている。これにより、ガスコンロ2の作動状況を視覚で確認できる。反射部材73の表面には、長手方向に延びる凸部73bが形成され(図6参照)、この凸部73bが、つまみ部71に設けた長手方向の収納部71cに収納されている。そして、前面パネル24に火力調節ダイヤル7の上方で、同一円周上に所定の間隔を置いて4個の火力表示部28を設け、この火力表示部28のいずれかと凸部73bとの一致により、ガスバーナ23aの火力を指標する指標部を構成した(図1及び図2参照)。この場合、火力表示部28のいずれかと凸部73bとが一致すると、ガスバーナ23aへの燃料ガスのガス流量は段階的に増減する。尚、この指標部は光源Eからの光が照射されても光ることがないため、光っている周囲に対して浮き出る効果があり、調理者は火力位置と指標部との一致を認識し易い。
【0027】
ところで、ガスバーナ23aを点火した後に、自動調理用のスイッチ26a、26b、26cのいずれかを選択して自動調理を実行している場合に、ガスバーナ23aの当初の設定火力が不適切であると、電力を無駄に消費すると共に開閉弁の耐久性が低下したり、調理を上手にできなかったりする。図7を参照して、本実施の形態では、火力調節ダイヤル7の回転方向の所定の位置に、自動調理スイッチ26a、26b、26cに応じた被調理物の加熱調理にそれぞれ適した大側の火力を設定する複数の操作位置を設定し、各操作位置をマイコンに記憶させている。この場合、回転体61の第1、第2、第3及び第4の各長溝62a、62b、62c、62dが、第1、第2、第3及び第4の各連通路15a、15b、15c、15dと一致してガス流量が段階的に増減する火力調節ダイヤル7の位置を操作位置として設定している。そして、前面パネル24に設けた火力表示部28を光源であるLEDから構成し、いずれかの自動調理が選択されたとき、この火力表示部28のLEDのうちいずれか1個を点灯することでその自動調理に適した火力調節ダイヤル7の操作位置を指示する指示手段とした。
【0028】
これにより、選択した自動調理に適した大側の火力を適切に設定できるため、当初設定した大側の火力が大き過ぎたり、小さ過ぎたりすることはなく、第2電磁弁3bが頻繁に開閉して電力を無駄に消費したり、開閉弁の耐久性が低下したりするのが防止され、その上、上手に調理を行い得る。また、火力表示部28の指示に従って火力調節ダイヤル7の操作位置を合わせても、例えば被調理物の分量が設定した分量より少ない場合のように、自動調理の設定が不十分である場合に、第2電磁弁3bの開閉頻度が多くなる等の問題が生じる。このため、マイコンによって、温度センサSの出力に応じた第2電磁弁3bの開閉頻度を検知し、その結果に応じて火力表示部28で指示する火力位置を変更するようにした。この場合、ガスバーナ23aの火力を変更する必要が生じたことを調理者が迅速に知ることができるように、操作位置の変更を報知するブザーから構成される報知手段を設けている。この際、操作位置の変更を視覚で判別できるように、火力調節ダイヤル7を光らすLEDをON、OFFして火力調節ダイヤルを点滅させてもよい。また、調理者が火力表示部28の指示に従って操作位置を調節するのを忘れたり、間違って操作位置を調節した場合にも報知するようにしている。この場合、ポテンションメータやリミットスイッチなどの火力調節ダイヤル7の位置検出手段を設けるのも有効である。
【0029】
ところで、火力切替制御を行う場合、例えばガスバーナ23aの火力を大小切替えて炊飯する場合、おいしくお米を炊くには、水分が沸騰した後、この水分が一定時間を費やしてに蒸発するようにする必要がある。このため、本実施の形態では、同じ自動調理でも被調理物の種類(例えば、普通米と無洗米や汁ものと煮もの)や分量(例えば、炊飯の合数)に応じて適切な自動調理ができるように、自動調理用の各スイッチ26a、26b、26c毎に複数の設定ができるようにし、この設定に対応して指示手段に指示される操作位置を変更するようにした。この場合、設定の変更はスイッチ26a、26b、26cを連続して押すと変更でき、表示部27a、27b、27cで設定の変更を確認できる。これにより、例えば炊飯の場合には、炊飯しようする合数に関係なく、沸騰した水分が蒸発する時間をほぼ一定にできておいしくお米を炊ける。
【0030】
また、自動調理用のスイッチ26a、26b、26cをONして、火力表示部28の指示に従って火力調節ダイヤル7を回転させても、調理者の操作によってその操作位置に適切に設定されるとは限らない。図6及び図8を参照して、本実施の形態では、ダイヤル部材72の前方側の内周面に、同一円周方向上で所定の間隔を置いて第1、第2及び第3の各凹部72c、72d、72eを形成すると共に、点消火ボタン5の後方側の端部に半径方向の孔5bを形成して、この孔5bに円筒形状のクリック部材Cをダイヤル部材72の内周面に向かってばねC1で付勢させた状態で収納した。そして、開弁位置で、火力調節ダイヤル7を回転させて火力表示部28の指示に従う所定の位置に到達すると、凹部72c、72d、72eにクリック部材Cが嵌合してクリックを発生することで、火力調節ダイヤル7が所定の操作位置まで操作されたことを調理者が容易に認識できる認識手段とした。これにより、調理者は、指示手段に従って火力調節ダイヤル7を適切な操作位置まで操作したことを認識できる。また、火力調節ダイヤル7の回転範囲を制限するためにストッパ(図示せず)を設け、このストッパに当接するまで時計方向に回転させると、第1長溝62aが第1連通路15aとのみ一致し、ガス流出部16へのガス量が最小(小火)となるようにしている。これにより、指示手段によって小火位置が指示された場合でも、時計方向への火力調節ダイヤル7の回転が制限されることで、所定の操作位置まで操作されたことを調理者が容易に認識できる。
【0031】
次に、本発明のガス調理器具の作動を説明する。図3に示す閉弁位置から点消火ボタン5の押込み操作すると、押圧ロッド51を介して操作ロッド4を後方側に押圧して元弁を開弁させ、弁体32を吸着片側に押しきる点火位置に到達する。尚、第2電磁弁3bは開弁位置に保持されている。この場合、ガスバーナ23aの点火確実にするため、点消火ボタン5が点火位置に到達するまでに火力調節ダイヤル7を中火位置まで強制的に回転させる強制回転手段を設けている(図示せず)。この中火位置では、第1、第2及び第3の各長溝62a、62b、62cが第1、第2及び第3の各連通路15a、15b、15cにそれぞれ一致し、ガスバーナ23aの火力を中とするガス流量の燃料ガスがガス流出部16へ流れる(図4参照)。また、クリック部材Cは第2の凹部72dに嵌合している(図8参照)。そして、点火位置に到達すると、放電ユニットによってガスバーナ23aの点火操作が行われる。
【0032】
次に、ガスバーナ23aの近傍に設けた火炎検出素子(図示せず)がガスバーナ23aの火炎を検出すると、制御ユニットからの信号で第1電磁弁3aが励磁されて開弁保持される。ガスバーナ23aが着火したことを確認して点消火ボタン5の押込みを解除すると、点消火ボタン5は、ハートカム機構52に案内されて開弁位置に到達する。ガスバーナ23aの火力を強めるため、中火位置から反時計方向に回転させ、クリック部材Cが第3の凹部72eに嵌合すると、第2、第3及び第4の各長溝62b、62c、62dが第2、第3及び第4の各連通路15b、15c、15dにそれぞれ一致し、ガスバーナ23aの火力を強とするガス流量の燃料ガスがガス流出部16へ流れる(図9参照)。
【0033】
他方で、中火からガスバーナ23aの火力を絞るため、火力調節ダイヤル7を時計方向に回転させ、クリック部材Cは第1の凹部72eに嵌合すると、第1及び第2の各長溝62a、62bが第1及び第2の各連通路15a、15bにそれぞれ一致し、ガスバーナ23aの火力を弱とするガス流量の燃料ガスがガス流出部16へ流れる(図10参照)。次いで、火力調節ダイヤル7の回転が制限されるまで時計方向に回転させると、第1長溝62aが第1連通路15aとのみ一致し、ガスバーナ23aの火力を小とする最小ガス流量の燃料ガスがガス流出部16へ流れる(図11参照)。
【0034】
次に、ガスコンロ2による自動調理を実行する場合、例えば揚げものの自動調理を実行する場合、ガスバーナ23aを点火した状態で、揚げものスイッチ26aをONすると、それに応じて自動調理が開始される。この場合、再度揚げものスイッチ26aを押すと、揚げものを行う場合の設定温度を変更することができ、その設定を示す表示部27aでその設定を確認できる。そして、揚げものスイッチ26aがONされたことをマイコンが認識すると、それに応じて火力調節ダイヤル7の操作位置を判別し、その操作位置を火力表示部28を介して指示する。この場合、調理者は、その指示された位置まで火力調節ダイヤル7を回転させて火力の調節を行う。そして、温度センサSで調理温度を測定し、その出力に応じて第2電磁弁3bが開閉されて、揚げもの調理する場合の温度が一定になるようにガスバーナの火力が自動調節される。
【0035】
次に、ガスバーナ23aを消火して自動調理を終了させる場合、開弁位置から後方側に点消火ボタン5を押込み操作すると、ハートカム機構52がリセットされ、点消火ボタン5は、ばね17の付勢力を受けて図3に示す閉弁位置まで後退する。この場合、押圧ロッド51の押圧が解除された操作ロッド4は、ばね34の付勢力を受けて前方側に移動し、元弁を閉弁する。元弁が閉弁されるとガスバーナ23aへの燃料ガスの供給が停止されて消火される。火炎検出素子によって火炎が消えたことを制御ユニットが認識すると電磁安全弁3が閉弁される。そして、自動調理が終了する。
【0036】
尚、本実施の形態における自動調理用のスイッチの設定は、これに限定されるものではなく、例えば、揚げもの用のスイッチ26aを連続して押すると、油温の設定温度と共に油量等を変更できるようにしてもよい。また、本実施の形態では、認識手段についてクリックを発生させるもので説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、所定の操作位置まで火力調節ダイヤル7が回転されると、光源から光を照射してつまみ部材71が光るようにして認識手段を構成してもよい。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のガス調理器具は、開閉弁を開閉してガスバーナの火力を大小切替えて自動調理を行う場合に、各被調理物に応じた自動調理に適したガスバーナの火力を適切に設定できて消費電力が少なく、開閉弁の耐久性がよく、その上、調理が上手にできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガス制御装置を組込んだガスコンロの斜視図
【図2】ガスコンロの前面パネルを拡大して示す図
【図3】閉弁位置にある本発明のガス制御装置の断面図
【図4】回転体を説明する斜視図
【図5】開閉弁を開閉したときのガス流量の変化を説明するグラフ
【図6】点消火ボタンと火力調節ダイヤルとの構成を説明する分解斜視図
【図7】自動調理モードを実行する場合の操作位置を説明する図
【図8】流量調節ダイヤルを回転させて中火位置に到達した場合のクリックの発生を説明する図
【図9】(a)及び(b)は、流量調節ダイヤルを回転させて強火位置に到達した場合を説明する図
【図10】(a)及び(b)は、流量調節ダイヤルを回転させて弱火位置に到達した場合を説明する図
【図11】(a)及び(b)は、流量調節ダイヤルを回転させて小火力位置に到達した場合を説明する図
【符号の説明】
1 ガス制御装置
2 ガスコンロ
24 前面パネル
28 指示手段
5 点消火ボタン
7 火力調節ダイヤル
Claims (5)
- ガスバーナを有する器具本体を備え、この器具本体に、ガスバーナに通じるガス通路を有し、通路面積を変更してガスバーナへのガス流量を設定する流量調節手段と、流量調節手段の操作を可能とする操作部とを備えたガス制御装置を設け、この流量調節手段を経てガスバーナに通じるガス通路の閉鎖を可能とする開閉弁を配置すると共に、開閉弁を閉弁した場合にガスバーナに所定のバイパス流量に設定された燃料ガスが供給されるようにバイパス通路を形成し、ガスバーナによる調理状況を検知するように設けた温度センサの出力に応じて、開閉弁の開閉によってガスバーナへのガス流量を、流量調節手段によって設定されるガス流量とバイパス流量との間で切替え、ガスバーナの火力が大小切替わるようにして被調理物の自動調理を可能とするガス調理器において、
前記操作部の操作方向の所定の位置に、複数種の被調理物の加熱調理にそれぞれ適した大側の火力を設定する複数の操作位置を設定し、いずれかの被調理物の自動調理が選択された場合に、この自動調理に対応した操作位置を指示する指示手段を設け、更に前記温度センサの出力に応じた開閉弁の開閉頻度を検知し、その検知結果に応じて指示手段で指示する操作位置を変更するようにしたことを特徴とするガス調理器具。 - 前記指示手段は、各操作位置に対応して設けた複数の光源から構成され、選択された自動調理に対応したいずれかの光源が点灯するようにしたものであることを特徴とする請求項1記載のガス調理器具。
- 前記指示手段の指示に従った操作位置に操作部が操作されたことを認識させる認識手段を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のガス調理器具。
- 前記認識手段は、前記指示手段の指示に従った操作位置まで操作部を操作するとクリックを発生させるものであることを特徴とする請求項3記載のガス調理器具。
- 前記操作位置の変更が生じたとき、操作位置の変更を報知する報知手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のガス調理器具。
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