JP4079348B2 - 情報記録媒体及び情報記録方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上に記録層を有し、光を照射することにより記録、再生を行う情報記録媒体において、二層以上の記録層を備えることにより、より大容量を実現する情報記録媒体に関する。さらに本発明は、波長が500nm 以下の光を用いて記録を行うための情報記録方法、および情報の記録、または情報記録媒体に記録されている情報を再生する、または記録及び再生を行う情報記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
情報記録媒体としては、コンパクトディスクに代表されるようにディスク状情報記録媒体が知られているが、マルチメディア、情報ネットワークの時代になり、さらなる大容量の記録システムが必要とされている。
情報記録媒体には読み出し専用、追記型、書き換え型があるが、読み出し専用としてはCD-ROM、DVD-ROM 、追記型としてCD-Rなど、書き換え型としてCD−RWのような相変化記録方式、またはMOのような光磁気記録方式のものが実用化されている。
【0003】
情報技術の進歩に伴い、情報量の飛躍的増加し、情報記録媒体に対する高密度化および大容量化への要求は高まっている。高密度化の方法として、同じ情報量が記録される面積を小さくする方法、つまり記録ピットを小さくする方法がある。
また、同じ面積に、より多くの情報量を記録する方法として多値記録する方法がある。情報を多値化することにより、同じ面積に多くの情報を記録することが可能となる。
また、面積だけではなく、三次元的に記録することにより高密度化を行うという方法もある。
【0004】
記録ピットを小さくするには、光をより小さく絞り光のスポットを小さくする必要がある。光のスポット径は波長をλ、レンズの開口率をNAとするとλ/NAに比例するため、スポット径を小さくするには、波長を小さくするか開口率を大きくすることが行われている。最近では、波長0.65μmの光を利用したDVDが実用化を迎え、更に波長0.4 μm程度の光を用いて高密度化を目指す開発が盛んに行われている( 特開平6−295469、特開2000−108513など) 。
【0005】
しかしながら、光の短波長化は短期間には難しく、波長0.4 μm のレーザーダイオードは、まだ実用化レベルにはいたっていない。
多値記録により高密度化する方法は、既存のレーザー、光学系などを大きく変更することなく行うことが可能であるが、多値情報を信号処理により変復調することが必要である。
多値化を行うためには、従来二値情報として扱っていた信号電圧を分割することにより多値信号として扱うことになる。そのため各信号レベルのしきい値に許されるマージンが小さくなる。このような状態で正確に信号を読み出すためには情報が所望のしきい値に入っているかを検証するなどの余分な時間が必要となり、記録、再生に要する時間が多くかかることになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
また、記録層を複数備え、多層構造にするなど三次元的に記録を行い、高密度化する方法では、既存のシステムを大きく変更することなく高密度化を図ることができる(特開平09−198709など)。しかし、多層にすると光源から遠い位置にある記録層は、他の記録層を透過した光で記録を行い、また再生を行う必要がある。そのため、記録が可能となるような光の透過率、また再生が可能となる程度の光が反射することが必要であり、そのような設計が可能な記録層などの材料、媒体の層構成を実現できるまでには、さらに課題が残っていた。
【0007】
上記のような問題を鑑み、本発明の目的は、多層の記録層を持つ情報記録媒体に適した記録層材料、層構成を用いることにより高密度化に適した情報記録媒体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、基板上に二層以上の記録層を有し、記録層に光を照射することにより形状の変化、または原子配列の変化により記録を行い、また形状の違い、または原子配列の違いを読み取ることにより再生を行う情報記録媒体において、記録層材料としてR、M、Oの各元素(ただし、RはBiを示し、MはAl、Cr、Mn、Sc、In、Ru、Rh、Co、Fe、Cu、Ni、Zn、Li、Si、Ge、Zr、Ti、Hf、Sn、Pb、Mo、VおよびNbのうちより選ばれる一種以上の元素、Oは酸素を示す。)からなる膜を用いる情報記録媒体に関する。
【0009】
請求項2記載の発明は、基板上に二層以上の記録層を有し、記録層に光を照射することにより形状の変化、または原子配列の変化により記録を行い、また形状の違い、または原子配列の違いを読み取ることにより再生を行う情報記録媒体において、記録層材料としてX、Y、Oの各元素(ただし、XはMg、Fe、Zn、Mn、Ni、Liのうちから選ばれる一種以上の元素を示し、YはAl、Fe、Cr、Ti、Mn、Ni、Co、Cu、Vのうちから選ばれる一種以上の元素、Oは酸素を示す。)からなる膜を用いる情報記録媒体に関する。
【0010】
請求項3に記載の発明は、記録層の材料としてFeの酸化物を含む情報記録媒体に関する。
【0011】
請求項4記載の発明は、記録層材料としてBi、Fe、Oの元素を含む情報記録媒体に関する。
【0012】
請求項5記載の発明は、記録層材料としてMn、Fe、Oの元素を含む情報記録媒体に関する。
【0013】
請求項6記載の発明は、記録層材料の結晶構造がアモルファス構造である情報記録媒体に関する。
【0014】
請求項7記載の発明は、記録層の膜厚が50nm以下である情報記録媒体に関する。
【0015】
また、請求項1から7の発明における記録層材料は、波長が500nm以下になると光の吸収が大きくなり記録感度が向上するため、さらに高密度記録に適した記録媒体となりうる。
【0016】
請求項に記載の発明は、波長が500nm以下の光を用いて、請求項1からに記載のいずれかの情報記録媒体へ情報を記録する情報記録方法に関する。
【0017】
また、波長が500nm以下の光を請求項1からに記載のいずれかの情報記録媒体へ照射することにより情報を記録し、また情報記録媒体に記録されている情報を再生する情報記録再生装置に関する。
【0018】
[作用]
請求項1記載の発明によって、基板上に多層構造を備え、記録層を複数層としそれぞれの記録層に光の焦点を合わせることにより記録を行う。表面から遠い位置にある記録層に記録、再生を行う場合は、他の記録層を透過した光で記録を行い、また再生を行う必要がある。そのため、記録が可能となるような光の透過率、また再生が可能となる程度の光が反射することが必要であり、上記の材料は単層で記録が可能で比較的透過率も高いので表面から遠い位置にある記録層への記録、再生においても問題なく行うことができる。
上記の材料は、光を吸収し熱が発生することにより膜の結晶相、結晶構造、または形状が変化することにより記録が可能である。製膜後の膜は数種類の酸化物の混合化合物となっており、温度上昇により融点を超える、酸素を放出することによる結晶構造の変化、反応により新たな化合物の生成などにより、形状変化、結晶構造変化がおこり、記録を行うことができる。また、基板と接触している面の温度が上昇することにより基板の変質、形状変化がおこることにより記録するというメカニズムもある。これらの変化は数百℃から起こりうる。上述した材料のような従来の記録媒体では用いられていないような酸化物記録材料を用い、記録方法をこれらの材料に適した方法とすることにより高密度記録において良好な記録が可能となる。上述したような材料は、酸化などに強く、また情報を記録した後高温になっても記録した情報が消えにくいため情報の保存性も向上する。膜の作製はCVD法、プラズマCVD法、イオンビーム蒸着法、スパッタ法等がいずれも使用可能である。本発明では、光磁気記録のように磁気的に記録を行うのではなく、形状の変化、または原子配列の変化により記録を行い、また形状の違い、または原子配列の違いを光学的に読み取ることにより再生を行う。
【0019】
請求項2記載の発明によって、これらの材料は、光を照射することにより光を吸収し熱が発生することにより膜の結晶相、結晶構造、または形状が変化する。高温では酸素を放出して結晶構造の変化が起こることもある。情報に対応した光のパルスを照射することにより情報の記録を行うことができる。上述した材料のような従来の記録媒体では用いられていない記録材料を用い、記録方法をこれらの材料に適した方法とすることにより高密度記録において良好な記録が可能となる。上述したような材料は、酸化などに強く、また情報を記録した後高温になっても記録した情報が消えにくいため情報の保存性も向上する。膜の作製はCVD法、プラズマCVD法、イオンビーム蒸着法、スパッタ法等がいずれも使用可能である。
【0020】
請求項3に記載の発明によって、Feは三価とニ価をとり数種類の酸化物の形態を取りうる。Fe2 3 ではα型とγ型などの相転移を起こす。また、Fe、及びFeの酸化物は比較的安価でありコスト的にも有利である。
【0021】
請求項4に記載の発明によって、Bi、Feのそれぞれの元素は光の吸収が比較的大きく、これの元素を含む合金、化合物も光の吸収が比較的大きい。そこでこれらの元素から成る化合物を記録層に用いることにより記録感度の向上が可能となる。また、酸化物を用いることにより酸化などに強く、また情報を記録した後高温になっても記録した情報が消えにくいため情報の保存性も向上する。膜の作製はCVD法、プラズマCVD法、イオンビーム蒸着法、スパッタ法等がいずれも使用可能である。
【0022】
請求項5に記載の発明によって、Mn、Feのそれぞれの元素は光の吸収が比較的大きく、これらの元素を用いた合金、化合物も光の吸収が比較的大きい。そこでこれらの元素から成る化合物を記録層に用いることにより記録感度の向上が可能となる。また、酸化物を用いることにより酸化などに強く、また情報を記録した後高温になっても記録した情報が消えにくいため情報の保存性も向上する。膜の作製はCVD法、プラズマCVD法、イオンビーム蒸着法、スパッタ法等がいずれも使用可能である。
【0023】
請求項6に記載の発明によって、結晶質材料に比べ均一性が高いため高密度に記録するため小さい領域に記録を行う場合、結晶粒界などの影響を受けにくく有効である。
【0024】
請求項7に記載の発明によって、膜厚が50nmよりも厚くなると記録感度が悪くなり良好な記録を行うことができなくなる。20nm以下のときにさらに感度が良くなり、好ましい。
【0025】
本発明の情報記録媒体は、特に波長が400nmから430nm程度のいわゆる青色レーザーダイオードの光に対して特に好ましい効果がある。
【0026】
請求項に記載の発明によって、記録したい情報に対応した光を照射することで記録膜の結晶相、結晶構造、または形状を変化させることにより情報の記録を行うという本発明の情報記録方法は、上記のような情報記録媒体を用い良好な記録を行う方法として効果が大きい。本発明では、光磁気記録のように磁気的に記録を行うのではなく、形状の変化、または原子配列の変化により記録を行い、また形状の違い、または原子配列の違いを光学的に読み取ることにより再生を行う。
【0027】
また、請求項1からに記載の情報記録媒体に光を照射することによって、膜の結晶相、結晶構造、または形状を変化させることにより情報の記録を行う情報記録手段を備えているか、または上記材料の膜を記録層とする記録媒体に光を照射することで記録部と未記録部の結晶相、結晶構造、または形状の違いを検出することにより情報の再生を行う再生手段を備えているか、またはこれらの記録手段、再生手段のどちらともを備えている情報記録再生装置に関する。請求項1からに記載された、従来の情報記録媒体では用いられていない材料を記録層に用いたような情報記録媒体に対し、記録方法、再生方法もこれらの媒体に適した方法を用い、光学系、信号処理系などをこれらの媒体に最適化することにより高密度記録において良好な記録が可能となる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の情報記録媒体、情報記録方法および情報記録再生装置について、図面を参照しつつ、実施の形態により説明する。
【0029】
(光情報記録媒体)
本実施の形態に係る光情報記録媒体は、光照射により記録または再生を行う光情報記録媒体において、記録層がR、MおよびOの各元素からなることを特徴とする。
ここで、RはY、Bi、Inおよびランタン系列元素より選ばれる一種以上の元素を示し、MはAl、Cr、Mn、Sc、In、Ru、Rh、Co、Fe、Cu、Ni、Zn、Li、Si、Ge、Zr、Ti、Hf、Sn、Pb、Mo、VおよびNbのうちより選ばれる一種以上の元素を示し、Oは酸素を示す。
【0030】
従来の光情報記録媒体において、記録層は媒体の構成要素の中で比較的柔らかい材質よりなっており、この層の強度を高めることができれば媒体の強度も高まることが期待される。酸化物は比較的硬度が高いため、酸化物を記録層に用いることは、強度の高い光情報記録媒体を実現するために有効である。
【0031】
上記したR、MおよびOの各元素からなる酸化物は、スパッタなど気相成長法により、特性の良い膜が容易に製膜される。
ここで、RはY、Bi、Inおよびランタン系列元素より選ばれる一種以上の元素を示し、MはAl、Cr、Mn、Sc、In、Ru、Rh、Co、Fe、Cu、Ni、Zn、Li、Si、Ge、Zr、Ti、Hf、Sn、Pb、Mo、VおよびNbのうちより選ばれる一種以上の元素を示し、Oは酸素を示す。
【0032】
このように製膜した記録層に光を照射し温度を上昇させることにより、結晶構造が変化し情報を記録することができる。光の吸収率が高い元素を含むことで記録時における必要な光の出力が小さくてすむようになる。つまり記録感度が高くなる。このように、例えばBiのように光吸収率が高い元素を多く含む組成、場合によってはBiFeO合金のような組成を持つことにより記録感度が大きく向上するため、好ましい。また、酸化物はもともと酸化されているため大気中で安定であり、酸化物を記録層に用いた場合、記録された情報が酸化により破壊されることがなく、このような記録層を用いることにより保存性に優れた光情報記録媒体の実現が可能である。
【0033】
製膜した記録層に光を照射し温度を上昇させることにより結晶構造が変化し情報を記録することができる。また、酸化物はもともと酸化されているため大気中で安定であり、酸化物を記録層に用いた場合、記録された情報が酸化により破壊されることがなく、このような記録層を用いることにより保存性に優れた光情報記録媒体の実現が可能である。
【0034】
記録層としてR3512(ただし、RはY、Bi、Inおよびランタン系列元素より選ばれる一種以上の元素を示し、MはAl、Cr、Mn、Sc、In、Ru、Rh、Co、Fe、Cu、Ni、Zn、Li、Si、Ge、Zr、Ti、Hf、Sn、Pb、Mo、VおよびNbのうちより選ばれる一種以上の元素を示し、Oは酸素を示す。)の組成を有する酸化物を用いることができる。
【0035】
3512の組成を持つ酸化物として、いわゆるガーネット構造を有する酸化物がある。ガーネット構造を持つ化合物は硬度が高いためこれを記録層に用いることができれば強度が高い光情報記録媒体が実現できる。
【0036】
スパッタ法などのような気相成長法で製膜することが可能であり、この方法が簡便で特性の良い膜を容易に作成できることから好ましい。また本発明では、このような気相法以外でも、たとえば、めっき法、ゾル−ゲル法を用いて製膜することも可能であり、さらに、CVD法、プラズマCVD法、イオンビーム蒸着法等を用いることもできる。このようにして、好ましくは気相成長法で製膜した膜に光を照射し、温度を上昇させることにより、たとえば結晶構造が変化するなどにより、情報を記録することができる。
【0037】
ガーネットは光磁気記録材料として研究が行われている材料であり高温で熱処理することによりガーネット構造をとるようになる。しかし、光で記録を行ったマークは熱処理によっても消去されることはなく、また酸化により情報が破壊されることもなく保存性にも優れている。
【0038】
また光情報記録層として、XY (ただし、XはMg、Fe、Zn、Mn、Ni、Liのうちから選ばれる一種以上の元素を示し、YはAl、Fe、Cr、Ti、Mn、Ni、Co、Cu、Vのうちから選ばれる一種以上の元素を示し、Oは酸素を示す。)の組成を有する酸化物を用いることができる。
【0039】
XY の組成を持つ化合物は、いわゆるスピネル構造を有する酸化物が挙げられる。スピネルは硬度が高いためこれを記録層に用いることができれば強度が高い光情報記録媒体が実現できる。
【0040】
本発明では、上述したような光情報記録媒体においては、記録層を構成する酸化物が未記録状態では非晶質構造であることが好ましい。
未記録状態で非晶質構造を有する記録層に光照射を行い、温度を上昇させることによって、書きこむことができる。非晶質状態から結晶質への転移は比較的低温で起こるため、感度良く記録を行うことができる。
本発明は、上述したような記録層を2層以上有する記録媒体を用いている。これらの記録層を2層以上に積層する方法は、限定されず、あらゆる公知の方法を用いることができる。
【0041】
上記の光情報記録媒体においては、反射層を有することができる。反射層を設けることにより、記録層を透過した光が反射層で反射され、再度記録層を透過する。これによって、さらに光を効率良く利用できるようになり、良好な記録、再生を行うことができるようになるとともに、反射率が向上するなどの効果がある。
反射率が高くなると再生信号強度が大きくなるため、信号処理が容易になり高速記録、再生が可能となる。
【0042】
また、反射層として熱伝導率の高い材料を用いることにより記録層に加わる熱を制御することができ記録マークの形状、大きさを制御することができる。
反射層に用いられる材料としては、温度の制御を行うためその設計に応じた熱伝導を有する材料を用いることができるが、例えばAg、Au、Al、またはこれらの2種以上からなる合金などが挙げられる。
【0043】
上記の光情報記録媒体には、潤滑層を有することもできる。このような潤滑層を媒体の最表面に潤滑層を設けることにより、ディスクとヘッドとの潤滑が改善され、接触しても媒体が損傷を受け難くなるが、接触させて使用する中間層として使用した構成においても動作が滑らかになる。この潤滑層は上述した様々な層構成に適用可能である。
【0044】
潤滑層としては、炭化水素系潤滑剤とフッ素系潤滑剤とを用いて層状に形成することによって得られる。
炭化水素系潤滑剤としては、ステアリン酸、オレイン酸等のカルボン酸類、ステアリン酸ブチル等のエステル類、オクタデシルスルホン酸等のスルホン酸類、リン酸モノオクタデシル等のリン酸エステル類、ステアリンアルコール、オレインアルコール等のアルコール類、ステアリン酸アミド等のカルボン酸アミド類、またはステアリルアミン等のアミン類などが好ましい。
【0045】
フッ化系潤滑剤としては、上記炭化水素系潤滑剤のアルキル基の一部または全部をフルオロアルキル基もしくはパーフルオロポリエーテル基で置換した潤滑剤がより好ましい。
【0046】
これらの潤滑層は、ディッピング法、スプレー塗布法、スピンコート法などで形成される。最表面に炭素膜を形成し、その上面にフッ素系潤滑剤を用いると、炭素膜とフッ素系潤滑剤とは結合が強く強固な潤滑層の形成が可能となり、好ましい。また、固体潤滑層としてテフロン(登録商標)(4フッ化エチレン樹脂などを含むフッ素樹脂)などの弗化物、ポリイミド、グラファイト、炭素化合物、二硫化モリブデン、W、Moなどの酸化物および硫化物なども例示できる。
【0047】
上記の光情報記録媒体においては、前記光情報記録媒体が、W、Mo、Ta、Ti、Cr、Co、Ni、Zr、Nbの中から少なくとも一種類の元素またはこれらの元素を含む合金の中から選択される少なくとも一種類の材料からなる反射層を有することができる。
【0048】
反射層として、比較的硬度が高い材料であるW、Mo、Ta、Ti、Cr、Co、Ni、Zr、Nbの中から少なくとも一種類の元素またはこれらの合金の中から選択される少なくとも一種類の材料を用いることにより、強度的に優れた光情報記録媒体を実現することができる。W、Mo、Ta、Ti、Cr、Co、Ni、Zr、Nbの元素およびこれらの合金は、ビッカース硬さで硬度を評価するとAgの2倍以上の値を示すことから強度の高い光情報記録媒体を実現するのに効果がある。
【0049】
上記の光情報記録媒体においては、前記光情報記録媒体の基板が、Al、W、Mo、Ta、Ti、Cr、Co、Ni、Zr、Nbの中から少なくとも一種類の元素またはこれらの元素を含む合金の中から選択される少なくとも一種類の材料からなることができる。
【0050】
基板として、これらの比較的硬度の高い材料を用いることにより媒体の強度を高めるのに効果がある。また、基板と反射層とを兼ねることができるため媒体を構成する層を一層減らすことができる。層数を減らすことで媒体全体としての強度は高くなるため基板に上記のような材料を用いることは効果がある。
【0051】
特に、アルミニウムまたはアルミニウム合金は安価で加工も容易であり、表面粗さを小さくすることが可能であるため好ましい。中でもアルミニウム−マグネシウム合金、アルミニウム−チタン合金、アルミニウム−クロム合金などが特に好ましい。
【0052】
また、本発明のような金属基板の表面にNi合金の皮膜を形成した場合効果が大きい。Ni合金はレーザなどで高温にすると容易に形状を作ることが可能である。
【0053】
NiP、NiNbのような合金は腐食しにくく、硬いため、基板の表面にこれらの合金を形成することが好ましい。特にアルミニウム合金基板とNi合金の組み合わせは好ましい。Ni合金の形成は無電解めっきなどのめっき法を好ましく用いることができるが、蒸着法、スパッタ法などでも形成可能である。
【0054】
また、上記した光情報記録媒体以外にも本発明では、400nmから430nmの波長に対する記録層の光の吸収率が10%以上としたことが好ましい。このような記録層は、上記波長の光が入射されると記録に必要な熱が生じるため良好な記録が可能となる。つまり、記録層は、光を吸収して熱を発生することにより、膜の結晶相、結晶構造および/または形状が変化されて情報が記録される。より詳しくは、下記に示す通りである。
【0055】
記録層は、数種類の酸化物の混合化合物となっており、温度上昇により融点を超えると、層中の酸素を放出して結晶構造の変化を引きおこしたり、あるいは反応をおこすことで新たな化合物等が生成され、形状変化や結晶構造変化がおこる。これらの変化と情報とを対応させることで情報記録が可能となる。このような変化は、数百℃から起こり、酸素を外部に放出する反応などは600℃程度で生じる。
記録層の光の吸収率が10%より小さいと、光が照射された場合の記録層の温度上昇が小さくなるため、C/Nの高い記録を行うことが困難となる。
【0056】
記録層に、情報に対応した光のパルスを照射することで、情報を記録することができる。つまり、光照射による発熱により、記録層の結晶面などの結晶性を変化させたり、結晶相などの結晶構造の変化などが生じさせたり、記録層に穴が形成させたり、部分的に凹部または凸部が形成させるなど、記録層に上記パルスに応じた変化を生じさせて情報記録する。
【0057】
上述したような従来の記録媒体では用いられていないような酸化物記録材料を用いて記録層を形成し、当該記録層に適した方法で情報を記録すれば、高密度記録を行う場合でも極めて良好に記録できる。
上述したような材料は、酸化などに強く、また情報を記録した後高温になっても記録した情報が消えにくいため情報の保存性が向上するからである。
また、光磁気記録のように磁気的に記録を行うのではなく、形状の変化および/または原子配列の変化により記録を行い、これを光学的に読み取ることで再生すれば、上述したように高密度記録が可能となる。
【0058】
なお、光の吸収率は、膜に入射した光のうち反射と透過する分を除いた光の量の入射した光の総量に対する割合であらわされる。例えば、物質の吸収係数に膜厚を乗じることにより算出してもよい。
【0059】
また、前記したように、X、Y、Oの各元素(ただし、XはMg、Fe、Zn、Mn、Ni、Liのうちから選ばれる一種以上の元素を示し、YはAl、Fe、Cr、Ti、Mn、Ni、Co、Cu、Vのうちから選ばれる一種以上の元素、Oは酸素を示す。)を含有する記録層を採用し、当該記録層を、波長が400nmから430nmの光の吸収率を10%以上とすれば、極めて感度よく情報記録を行えることを見いだした。
【0060】
前記したように、記録層は、照射された光を吸収して熱を発生することにより結晶相、結晶構造および/または形状が変化する。
記録層は、数種類の酸化物の混合膜になっていると考えられるが、例えば、MnOとFe23 は600℃以上では反応してスピネル型化合物に変化するといわれている。また、高温では酸素を放出して結晶構造の変化が起こることもある。
【0061】
また、記録層に少なくともBi、Fe、Oを含有させることで、記録感度が極めてよく、酸化に強く、また、情報が消えにくい光情報記録媒体を提供できる。BiおよびFeは、光の吸収が比較的大きいため、これらの合金、化合物も光の吸収が比較的大きい。そのため、これらの元素またはこれらの元素を含有する化合物を記録層に用いることにより記録感度が極めて高くなる。また、酸化物を用いることにより酸化に極めて強くなる。また、情報が記録された後に高温されても、記録された情報が消えにくくなり、情報の保存性も向上する。
【0062】
また、記録層に少なくともMn、Fe、Oを含有させることで、記録感度が極めてよく、酸化に強く、また、情報が消えにくい光情報記録媒体を提供できる。MnおよびFeは、光の吸収が比較的大きいため、これらの合金、化合物も光の吸収が比較的大きい。そのため、これらの元素またはこれらの元素を含有する化合物を記録層に用いることにより記録感度が極めて高くなる。また、酸化物を用いることにより酸化に極めて強くなる。また、情報が記録された後に高温されても、記録された情報が消えにくくなり、情報の保存性も向上する。
【0063】
また、記録層の結晶構造をアモルファス構造とすることが好ましい。結晶質材料とした場合に比べ均一性が高いため、高密度に記録のように極めて小さい領域に記録を行う場合、結晶粒界などの影響を受けにくくなる。
【0064】
また、記録層の膜厚を50nm以下とすることが好ましい。膜厚が50nmよりも厚くなると記録感度が悪くなり良好な記録を行うことができなくなる。なお、膜厚を20nm以下とするとさらに感度よく記録できるため好ましい。
【0065】
(情報記録方法)
本実施の形態に係る情報記録方法は、上記光情報記録媒体の記録層に光を照射することで、この記録層の結晶相、結晶構造および/または形状を変化させて情報の記録を行う。
本発明に係る情報記録方法では、上記記録層内で情報を記録する箇所に、記録する情報に対応した光のパルスを照射する。記録層(の上記箇所)は、光を吸収して熱を発生し、上記パルスに対応した所定の結晶相、結晶構造および/または形状に変化する。
【0066】
別言すれば、本発明に係る情報記録方法は、上記2層以上からなる記録層の情報記録箇所の結晶相、結晶構造および/または形状を、情報に対応した状態に変化させて情報の記録を行う。より詳しくは、光照射による発熱により、結晶面などの結晶性の変化、結晶相などの結晶構造の変化、穴の形成、部分的に凹部/凸部の形成など、記録層の状態を情報と対応する状態へ変化させることで情報を記録する。
【0067】
このように、上述した材料を用いた光情報記録媒体を用い、当該媒体(材料)に適した情報記録方法を採用することで、良好な高密度記録が可能となる。つまり、酸化などの耐環境性が極めてよく、また、情報を記録した後高温条件下におかれても情報が消えにくい、優れた保存性を有する上記情報記録媒体に、本発明による情報記録方法を用いて情報記録を行えば、近接場光を用いた場合にも良好に記録を行うことができる。
【0068】
また、上記記録層へ照射する光の波長は、0. 5μm以下とすることが好ましい。
上記記録層は、0.5μm以下の波長の光の吸収が極めてよいため、このような波長の光が入射すると熱の吸収による発熱も多くなる。従って、効率のよい記録が可能となる。
【0069】
特に、上記記録層は、波長が0. 4〜0. 43μm程度の光、いわゆる青色レーザーダイオードの光に対し、吸収が大きく、記録感度が高く、比較的弱い光でも記録を可能とする。
このように、波長が0. 5μm以下の光を照射して記録層の結晶相、結晶構造および/または形状を変化させることで情報の記録を行う情報記録方法は、従来用いられていない上記光情報記録媒体の情報記録を可能とする。
【0070】
なお、上記光情報記録媒体に対して情報を記録する場合に、波長が400nmから430nmの光を用いることができる。
上記光情報記録媒体は、波長が400nmから430nmの光、いわゆる青色レーザーダイオードの光に対し吸収が大きく、記録感度が高く、比較的弱い光でも記録が可能である。そこで、記録したい情報に対応した波長400nmから430nmの光を上記媒体に照射することで、上記媒体の記録層の結晶相、結晶構造および/または形状を変化させて情報を記録できる。この情報記録方法は、前記したような情報記録媒体に対して行う記録方法としては極めて効果が大きい。
【0071】
(情報再生方法)
本実施の形態に係る情報再生方法は、上記光情報記録媒体の記録層に結晶相、結晶構造および/または形状が変化されて記録された情報を、この記録層に光を照射することで再生する。より詳しくは、上記記録層に光を照射した場合の光の特性を検出し、当該光の特性から上記情報を再生する。光の特性は結晶相、結晶構造および/または形状と一意に対応するため、上記光の特性に基づき記録層に記録された情報を再生できる。つまり、結晶相、結晶構造および/または形状を光の特性として検出し、当該結晶相、結晶構造および/または形状と対応する情報を再生する。
【0072】
本発明に係る情報再生方法では、記録層に光を照射し、情報が記録されている部分と未記録の部分とで光のもつ特性に違いが生じる。また、情報毎、つまり情報が記録された箇所毎に結晶相、結晶構造および/または形状が異なる。また、光の特性は、結晶相、結晶構造および/または形状により異なる。つまり、記録層に光を照射して得られる光の特性(上記情報記録箇所の光の特性)は、光を照射した部分に記録された情報毎に一意に決まる。従って、記録層に光を照射すれば、光を照射した部分の情報を再生することが可能となる。
【0073】
なお、前記した光の持つ特性としては、例えば光の反射率や透過率の違い、位相差、偏光の違いなどがある。上記光情報記録媒体の記録層の材料は、様々な結晶構造をとりうる。そこで、温度制御するなどして記録層の結晶性、結晶構造および/または形状の変化を作り出すことが可能である。例えば、前記した情報記録方法を採用し、形状の変化を作り出せばよい。
また、情報を記録してある部分と未記録の部分とで光の反射率などが大きく異なるように結晶構造などを制御しておくことによりこれらの材料を用いた場合、情報を良好に再生することが可能となる。
このように、本発明に係る情報再生方法では、上述した材料からなる材料のような従来の記録媒体では用いられていない材料を用い、情報の再生方法をこれらの材料に適した方法とすることにより高密度記録において良好な再生が可能となる。
なお、この再生方法では、光磁気記録のように磁気的に記録を行うのではなく、形状の変化(違い)および/または原子配列の変化(違い)を光学的に読み取る。
【0074】
(情報記録装置)
本実施の形態に係る情報記録装置は、上記情報記録方法を用いて上記光情報記録媒体に情報を記録する手段を有する。これにより、従来記録媒体として用いられていない上記光情報記録媒体で高密度記録を実現できる。
【0075】
(情報再生装置)
本実施の形態に係る情報再生装置は、上記情報再生方法を用いて上記光情報記録媒体に記録された情報を再生する手段を有する。これにより、従来記録媒体として用いられていない上記光情報記録媒体を用いた情報伝達を可能とする。
【0076】
(情報記録/再生装置)
本実施の形態に係る情報記録/再生装置は、上記情報記録方法を用いて上記光情報記録媒体に情報を記録する手段と、上記情報再生方法を用いて上記光情報記録媒体に記録された情報を再生する手段とを有する。
【0077】
なお、上記第1または第2の光情報記録媒体は、上記情報記録方法で情報を記録でき、および/または上記情報再生方法で記録された情報を再生可能とすることが好ましい。このように記録層として上記材料を用いることで、従来になかった高密度化に適した情報記録媒体を提供できる。
【0078】
つまり、上記光情報記録媒体の記録層は、光照射による発熱により、結晶面などの結晶性の変化、結晶相などの結晶構造の変化、また穴の形成、部分的な凹部または凸部が形成などの変化が生じるように構成し、この変化を情報と対応させることで、情報を記録可能とする。
【0079】
また、記録層に光を照射し、得られた光の特性から情報が記録されている部分/未記録の部分の判別および記録されている情報の特定を可能とする。この光の特性としては、例えば、光の反射率、透過率、位相差または偏光などがある。
記録層の情報が記録された箇所は、この情報に1対1で対応する結晶相、結晶構造および/または形状となる。当然、情報が記録されていない部分の結晶相、結晶構造および形状は初期状態となる。また、結晶相、結晶構造および形状により、光の特性、つまり入射された光に対する特性(上記した反射率、透過率等)は異なる。
従って、この光記録媒体の記録層に光を照射し、照射した部分の光の特性を検出すれば、この部分の結晶相、結晶構造および形状が分かる。結晶相、結晶構造および/または形状は、情報と一意に対応しているため、上記光の特性から情報を再生することが可能となる。
【0080】
このように、上記材料で作成した膜は硬度が高い構造もとりうるため、この構造を記録層に用いることで耐磨耗性、強度の高い光情報記録媒体を実現できる。強度の高い光記録媒体を実現するためには記録層の強度を高めることが一つの方法として考えられるが、記録層材料として上述の材料を用いることにより強度が改善される。上述したような材料は、酸化などに強く、また情報を記録した後高温になっても記録した情報が消えにくいため情報の保存性も向上する。
【0081】
[実施例]
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に何ら拘束されない。
[実施例1]
情報記録媒体として図1のような構成のものを用いた。基板11としてポリカーボネート製のディスク状基板を用いた。基板11はトラッキングを制御するための溝、ピットを備えていても良い。ここでは溝を備えた基板を用いた。基板11上に第一記録層12としてBi、Fe、Oからなる化合物の膜を30nm、中間層13として樹脂層を30μm 設けた。その上に第二記録層14としてBi、Fe、Oからなる化合物の膜を10nm、その上にカバー層15を30μm とし情報記録媒体とした。第一、第二の記録層の製膜はBi3 Fe5 12の組成のターゲットを用いて高周波マグネトロンスパッタ法によりアルゴンガス中で行った。製膜後の膜の結晶構造はアモルファス構造であった。このように作製した情報記録媒体を線速3.5m/sで回転させ、記録を行った。基板とは反対側のカバー層15を通して光を照射した。波長405nm 、NA0.65のピックアップを用いて6mWの出力でマーク長400nm マーク間隔400nm の単一周期マークを記録した。第一記録層に焦点を合わせ、記録したときのC/ Nをスペクトラムアナライザで測定した。周波数幅の解像度を1 kHzで測定を行ったところ、C/ Nは61dBであった。第二記録層への記録は光の出力を10mWとして行った。そのときのC/ Nは59dBであった。
【0082】
[実施例2]
第一記録層12、第二記録層14の材料としてBi、Al、Oからなる材料を用いたこと以外は実施例1と同様に製膜を行い、情報記録媒体を作製した。ターゲットの組成としてはBi3 Al512を用いた。このように作製した情報記録媒体を線速3.5m/sで回転させ、波長405nm 、NA0.65のピックアップを用いて9mWの出力でマーク長400nm マーク間隔400nm の単一周期マークを記録した。第一記録層に焦点を合わせ、記録したときのC/ Nをスペクトラムアナライザで測定した。周波数幅の解像度を1 kHzで測定を行ったところ、C/ Nは52dBであった。第二記録層への記録は光の出力を11mWとして行った。そのときのC/ Nは49dBであった。
【0083】
[実施例3]
第一記録層12、第二記録層14の材料としてMn、Fe、Oからなる材料を用いたこと以外は実施例1と同様に製膜を行い、情報記録媒体を作製した。ターゲットは、MnFe2 4 の組成のものを用いた。このように作製した情報記録媒体を線速3.5m/sで回転させ、波長405nm 、NA0.65のピックアップを用いて9mWの出力でマーク長400nm マーク間隔400nm の単一周期マークを記録した。第一記録層に焦点を合わせ、記録したときのC/ Nをスペクトラムアナライザで測定した。周波数幅の解像度を1 kHzで測定を行ったところ、C/ Nは61dBであった。第二記録層への記録は光の出力を11mWとして行った。そのときのC/ Nは59dBであった。
【0084】
[実施例4]
第一記録層12、第二記録層14の材料としてMn、Cr、Oからなる材料を用いたこと以外は実施例1と同様に製膜を行い、情報記録媒体を作製した。MnCr2 4 の組成のターゲットを用いた。このように作製した情報記録媒体を線速3.5m/sで回転させ、波長405nm 、NA0.65のピックアップを用いて8mWの出力でマーク長400nm マーク間隔400nm の単一周期マークを記録した。第一記録層に焦点を合わせ、記録したときのC/ Nをスペクトラムアナライザで測定した。周波数幅の解像度を1 kHzで測定を行ったところ、C/ Nは56dBであった。第二記録層への記録は光の出力を11mWとして行った。そのときのC/ Nは55dBであった。
【0085】
[実施例5]
第一記録層12、第二記録層14の材料としてBi、Dy、Fe、Oからなる材料を用いたこと以外は実施例1と同様に製膜を行い、情報記録媒体を作製した。製膜はBi2.76Dy0.24Fe5 12の組成のターゲットを用いて行った。このように作製した情報記録媒体を線速3.5m/sで回転させ、波長405nm 、NA0.65のピックアップを用いて8mWの出力でマーク長400nm マーク間隔400nm の単一周期マークを記録した。第一記録層に焦点を合わせ、記録したときのC/ Nをスペクトラムアナライザで測定した。周波数幅の解像度を1 kHzで測定を行ったところ、C/ Nは51dBであった。第二記録層への記録は光の出力を11mWとして行った。そのときのC/ Nは51dBであった。
【0086】
[実施例6]
第一記録層12、第二記録層14の材料としてNi、Fe、Oからなる材料を用いたこと以外は実施例1と同様に製膜を行い、情報記録媒体を作製した。製膜はNiFe2 4 の組成のターゲットを用いて行った。このように作製した情報記録媒体を線速3.5m/sで回転させ、波長405nm 、NA0.65のピックアップを用いて8mWの出力でマーク長400nm マーク間隔400nm の単一周期マークを記録した。第一記録層に焦点を合わせ、記録したときのC/ Nをスペクトラムアナライザで測定した。周波数幅の解像度を1 kHzで測定を行ったところ、C/ Nは51dBであった。第二記録層への記録は光の出力を11mWとして行った。そのときのC/ Nは51dBであった。
【0087】
[実施例7]
情報記録媒体として図1のような構成のものを用いた。基板11としてポリカーボネート製のディスク状基板を用いた。基板11はトラッキングを制御するための溝、ピットを備えた基板を用いたが、このようなピットを備えていない基板を用いることもできる。
基板11上に第一記録層12としてBi、Fe、Oからなる化合物の膜を50nm、中間層13として樹脂層を30μm 設けた。その上に第二記録層14としてBi、Fe、Oからなる化合物の膜を10nm、その上にカバー層15を30μm とし情報記録媒体とした。
第一、第二の記録層の製膜はBi3 Fe5 12の組成のターゲットを用いて高周波マグネトロンスパッタ法によりアルゴンガス雰囲気中で行った。製膜後の膜の構造は、アモルファス構造であった。
このように作製した情報記録媒体を線速3.5m/sで回転させ、波長405nm 、NA0.65のピックアップを用いて6mWの出力でマーク長400nm マーク間隔400nm の単一周期マークを記録した。第一記録層に焦点を合わせ、記録したときのC/ Nをスペクトラムアナライザで測定した。周波数幅の解像度を1 kHzで測定を行ったところ、C/ Nは59dBであった。第二記録層への記録は光の出力を10mWとして行った。そのときのC/ Nは55dBであった。
【0088】
[実施例8]
情報記録媒体として図1のような構成のものを用いた。基板11としてポリカーボネート製のディスク状基板を用いた。基板11はトラッキングを制御するための溝、ピットを備えた基板を用いたが、このようなピットを備えていない基板を用いることもできる。
第一記録層12と第二記録層14の材料を異なるものとした。第一記録層12としてBi、Fe、Oからなる化合物の膜を30nm、中間層13として樹脂層を30μm 設けた。
第二記録層14としてMn、Fe、Oからなる化合物の膜を10nm、その上にカバー層15を30μm とし情報記録媒体とした。第一の記録層の製膜はBi3 Fe5 12の組成のターゲットを用いて、第二記録層はMnFe2 4 の組成のターゲットを用いて、高周波マグネトロンスパッタ法によりアルゴンガス中で行った。製膜後の膜の結晶構造はアモルファス構造であった。このように作製した情報記録媒体を線速3.5m/sで回転させ、波長405nm 、NA0.65のピックアップを用いて8mWの出力でマーク長400nm マーク間隔400nm の単一周期マークをカバー層15側から光照射することにより記録した。第一記録層12に焦点を合わせ、記録したときのC/ Nをスペクトラムアナライザで測定した。周波数幅の解像度を1 kHzで測定を行ったところ、C/ Nは63dBであった。第二記録層14への記録は光の出力を11mWとして行った。そのときのC/ Nは61dBであった。
【0089】
[実施例9]
情報記録媒体として図2のような構成のものを用いた。基板11としてポリカーボネート製のディスク状基板を用いた。基板11はトラッキングを制御するための溝、ピットを備えていても良い。ここでは溝を備えた基板を用いた。基板11上に第一記録層12としてMn、Fe、Oからなる化合物の膜を30nm、中間層13として樹脂層を30μm 設けた。その上に第二記録層14としてMn、Cr、Oからなる化合物の膜を10nm、その上に中間層13の樹脂層を30μm 、第三記録層16としてBi、Fe、Oからなる化合物の膜を10nm、カバー層15を30μm とし情報記録媒体とした。
第一の記録層の製膜はMnFe2 4 の組成のターゲットを用いて、第二記録層はMnCr2 4 の組成のターゲットを用いて、第三記録層はBi2 Fe5 12の組成のターゲットを用いて、高周波マグネトロンスパッタ法によりアルゴンガス中で行った。製膜後の膜の結晶構造はアモルファス構造であった。
このように作製した情報記録媒体を線速3.5m/sで回転させ、波長405nm 、NA0.65のピックアップを用いて8mWの出力でマーク長400nm マーク間隔400nm の単一周期マークを記録した。第一記録層に焦点を合わせ、記録したときのC/ Nをスペクトラムアナライザで測定した。周波数幅の解像度を1 kHzで測定を行ったところ、C/ Nは55dBであった。第二記録層への記録は光の出力を10mWとして行った。そのときのC/ Nは54dBであった。第三記録層への記録は光の出力を12mWとして行った。そのときのC/ Nは50dBであった。
【0090】
[実施例10]
図3に情報記録再生装置の構成の概略を示した。請求項10に記載した発明の情報記録再生装置の例である。請求項9に記載した情報記録方法を用いている。情報記録媒体21、ディスクドライブ22、コントローラー23よりなる。コントローラー23は装置全体の制御を行っており、信号処理部31、サーボ制御部32、光ピックアップ33、ディスク駆動部34などの制御を行っている。情報記録媒体21として、例えばMn、Fe、O、からなる化合物の膜を記録層に用いた媒体を用いる。情報記録媒体21は可換である。信号処理部で情報記録媒体21に記録するのに適した信号を作りだしその信号に応じて光ピックアップ33から光が照射される。また、光を照射し再生信号を検出し信号処理部で情報に変換し再生を行う。ここでは情報記録媒体21からの反射光を検出し再生を行うような例を示したが、透過光を検出し再生を行うような装置でもよい。光ピックアップ33に備わっているレーザーダイオードの光の波長は405nm のものを用いた。
【0091】
【発明の効果】
請求項1から7の発明によって、二層以上の記録層を有する高密度記録が可能な情報記録媒体を提供できる。
【0092】
発明では、光の波長を限定することにより、更に良好な記録が可能となり高密度情報記録媒体が提供可能となる。
【0093】
請求項記載の発明では、請求項1からに記載のいずれかの情報記録媒体へ情報を良好に高密度記録することを可能とする情報記録方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】情報記録媒体の断面の概略図である。
【図2】情報記録媒体の断面の概略図である。
【図3】情報記録再生装置の概略図である。
【符号の説明】
11 基板
12 第一記録層
13 中間層
14 第二記録層
15 カバー層
16 第三記録層
21 情報記録媒体
22 ディスクドライブ
23 コントローラー
31 信号処理部
32 サーボ制御部
33 光ピックアップ
34 ディスク駆動部

Claims (8)

  1. 基板上に二層以上の記録層を有し、記録層に光を照射することにより形状の変化、または原子配列の変化により記録を行い、また形状の違い、または原子配列の違いを読み取ることにより再生を行う情報記録媒体において、記録層材料としてR、M、Oの各元素(ただし、RはBiを示し、MはAl、Cr、Mn、Sc、In、Ru、Rh、Co、Fe、Cu、Ni、Zn、Li、Si、Ge、Zr、Ti、Hf、Sn、Pb、Mo、VおよびNbのうちより選ばれる一種以上の元素、Oは酸素を示す。)からなる膜を用いることを特徴とする情報記録媒体。
  2. 基板上に二層以上の記録層を有し、記録層に光を照射することにより形状の変化、または原子配列の変化により記録を行い、また形状の違い、または原子配列の違いを読み取ることにより再生を行う情報記録媒体において、記録層材料としてX、Y、Oの各元素(ただし、XはMg、Fe、Zn、Mn、Ni、Liのうちから選ばれる一種以上の元素を示し、YはAl、Fe、Cr、Ti、Mn、Ni、Co、Cu、Vのうちから選ばれる一種以上の元素、Oは酸素を示す。)からなる膜を用いることを特徴とする情報記録媒体。
  3. 前記記録層の材料としてFeの酸化物を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の情報記録媒体。
  4. 前記記録層材料としてBi、Fe、Oの元素を含むことを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体。
  5. 前記記録層材料としてMn、Fe、Oの元素を含むことを特徴とする請求項2に記載の情報記録媒体。
  6. 前記記録層材料の結晶構造がアモルファス構造であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の情報記録媒体。
  7. 前記記録層の膜厚が50nm以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の情報記録媒体。
  8. 波長が500nm以下の光を用いて、請求項1からに記載のいずれかの情報記録媒体へ情報を記録することを特徴とする情報記録方法。
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