JP4078885B2 - 車両の総合制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の車室内で発生するこもり音を抑制するための車両用こもり音抑制制御装置或いは車両の総合制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両の一種に、吸気弁および排気弁として機能する電磁駆動弁の作動タイミングを変更することにより運転サイクルを変更することができるエンジンと、エンジンのクランク軸と変速機の入力軸との間を直結状態とするためのロックアップクラッチとを備えたものがある。このような車両では、たとえば減速動作が検出されたときには、電磁駆動弁の開弁時間が短縮されるとともにロックアップクラッチが係合(オン)作動させられ、車両の減速状態に応じたエンジンブレーキ効果を得られるようにすることができる。たとえば、特開平11−117778号公報に記載された車両用エンジンの制御装置がそれである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような従来の車両では、燃費を良くするなどのためにロックアップ領域(ロックアップクラッチの係合領域)やスリップ領域を可及的に拡大することが望まれるが、そのロックアップ領域或いはスリップ領域の拡大を行うと、燃費は改善されるものの、運転サイクルの切り換え可能なエンジンにおいてはその運転サイクルによって振動が異なることから、振動が大きい運転サイクルのときにロックアップクラッチがロックアップスリップ(半係合)するとロックアップショックが発生するおそれがあった。これに対し、ロックアップスリップ量を一律に大きくすると、そのロックアップショックが緩和されるものの、燃費が悪化するとともに、ロックアップ領域を拡大しようとすると比較的大きなこもり音(Booming Noise )が発生するためにロックアップクラッチを係合させられない領域が発生し、この点においても燃費が悪化する一因となっていた。さらに、動力性能と燃費性能とからエンジン運転サイクルを決定すると、ロックアップ領域の変化によって車両の振動系が相違していることから、一律にエンジン運転領域を決定すると振動の悪化が発生するという不都合があった。すなわち、燃費および振動の面において未だ改善の余地が残されていた。
【0004】
本発明は以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、燃費を向上させつつ、ロックアップクラッチの係合ショック或いはこもり音の発生を抑制することができる車両の総合制御装置を提供することにある。
【0005】
本発明者等は以上の事情に基づいて種々検討を重ねた結果、エンジンの運転サイクルが切り換えられると、エンジンの作動による加振状態が大幅に変化させられることから、車両状態やロックアップクラッチ状態に応じてそのエンジンの運転サイクルを変更することにより、或いはそのエンジンの運転サイクルに応じてロックアップ制御状態を変更することにより、燃費が向上すると同時にロックアップクラッチの係合ショック或いはこもり音の発生が大幅に改善されるという事実を見いだした。本発明はこのような知見に基づいて為されたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
また、前記目的を達成するための本発明の要旨とするところは、低サイクル領域および高サイクル領域を含む予め記憶された関係から実際の車速およびアクセル開度に基づいて判定された領域に応じて運転サイクル数の変更可能なエンジンと、動力伝達状態の制御可能なロックアップクラッチを備える動力伝達装置とを有する車両において、該エンジンの運転サイクル数および動力伝達装置の動力伝達状態を制御する車両の総合制御装置であって、(a) 前記動力伝達装置のロックアップクラッチの係合状態に応じて前記エンジンの運転サイクル数を変更する運転サイクル変更手段を、含み、 (b) 前記運転サイクル変更手段は、前記ロックアップクラッチのオン状態に応じて前記低サイクル領域を拡大するものであることにある。
【0009】
【発明の効果】
このようにすれば、運転サイクル変更手段により、動力伝達装置の動力伝達状態に応じてエンジンの運転サイクルが変更されるので、動力性能の維持が図られつつ、燃費も向上可能となり、振動や騒音の発生によってそれまで使用できなかった領域まで動力伝達装置の動力伝達作動域が拡大或いは変更されても、振動あるいは騒音の発生がエンジン運転サイクルの変更によってそれほどでもなくなり、燃費を向上させることができるのである。すなわち、運転サイクル変更手段は、前記ロックアップクラッチのオン状態に応じて前記低サイクル領域を拡大するものであることから、ロックアップクラッチの係合状態に応じてエンジンの低サイクル領域が拡大されるため、振動や騒音が低下するとともに、それまで使用出来なかった領域までロックアップクラッチのオン領域が拡大され、燃費とショックが好適に低減される。
【0010】
【発明の他の態様】
ここで、好適には、前記運転サイクル変更手段は、前記車両のこもり音を抑制するように、前記動力伝達装置の動力伝達状態に応じて前記エンジンの運転サイクルを変更するものである。このようにすれば、動力伝達装置の動力伝達状態に応じてエンジンの運転サイクル数が変更されるので、こもり音の発生を抑制することができ、燃費も向上可能となる。
【0011】
また、好適には、前記運転サイクル変更手段は、前記動力伝達装置の動力伝達状態に応じて前記エンジンの運転サイクル領域を変更するものである。このようにすれば、運転サイクル変更手段により、動力伝達装置の動力伝達状態に応じてエンジンの運転サイクル領域が変更されるので、動力性能の維持が図られつつ、燃費も向上可能となる。
【0012】
また、好適には、前記動力伝達装置は、ロックアップクラッチを備えたものであり、前記動力伝達状態は少なくともそのロックアップクラッチの係合状態である。すなわち、運転サイクル変更可能なエンジンおよびロックアップクラッチを有する車両において、そのエンジンの運転サイクルおよびロックアップクラッチの係合状態を制御する車両の総合制御装置であって、ロックアップクラッチの係合状態に応じて前記エンジンの運転サイクルを変更する運転サイクル変更手段を、含むものである。このようにすれば、運転サイクル変更手段により、ロックアップクラッチの係合状態に応じてエンジンの運転サイクルが変更される。すなわち、ロックアップスリップするとロックアップショックが発生し易い車両状態であるときには、エンジン振動が小さい運転サイクルに変更されることができるので、ロックアップクラッチの係合領域或いはスリップ領域を拡大しても、ロックアップショックの発生を抑制することができるので、燃費を可及的に向上させることができる。
【0013】
また、好適には、前記運転サイクル変更手段は、車両のこもり音の発生が抑制されるように、ロックアップクラッチの係合状態に応じて前記エンジンの運転サイクルを変更するものである。このようにすれば、運転サイクル変更手段により、エンジンのこもり音の発生を防止するように、ロックアップクラッチの係合状態に応じてエンジンの運転サイクルが変更されることから、ロックアップクラッチの係合領域或いはスリップ領域を拡大しても、運転環境を損なうようなこもり音の発生を抑制することができるので、燃費を可及的に向上させることができる。すなわち、従来ではこもり音の発生によって使用できなかった領域までロックアップクラッチの係合領域或いはスリップ領域を拡大してもこもり音の発生がそれほどなく、燃費を向上させることができるのである。
【0014】
また、好適には、上記の運転サイクル変更手段は、ロックアップクラッチのオンオフ切換に応じてエンジンの運転サイクルを変更するものである。このようにすれば、ロックアップクラッチのオンオフ切換に応じてエンジン運転サイクルが変更されることから、こもり音の発生し易いロックアップクラッチのオン状態ではエンジン運転サイクル数がこもり音が発生し難くなるようにたとえば2サイクルへ減少させられるが、こもり音の発生し難いロックアップクラッチのオフ状態ではエンジン運転サイクル数がたとえば4サイクルへ増加させられるので、オン領域を拡大しても運転環境を損なうようなこもり音が発生することが抑制され、燃費を可及的に向上させることができる。
【0015】
また、好適には、上記運転サイクル変更手段は、ロックアップクラッチのスリップの有無に応じてエンジンの運転サイクルを変更するものである。このようにすれば、ロックアップクラッチのスリップの有無に応じてエンジン運転サイクルが変更されることから、こもり音の発生し易いロックアップクラッチのスリップのない状態ではエンジン運転サイクル数がこもり音が発生し難くなるようにたとえば2サイクルへ減少させられるが、こもり音の発生し難いロックアップクラッチのスリップ量の大きい状態ではエンジン運転サイクル数がたとえば4サイクルへ増加させられるので、スリップ領域を拡大しても運転環境を損なうようなこもり音が発生することが抑制され、燃費を可及的に向上させることができる。
【0017】
また、好適には、前記運転サイクル変更手段は、前記ロックアップクラッチのオン状態のときには、前記エンジンの運転サイクル領域のうちの低サイクル領域たとえば2サイクル領域を低車速側へ拡大するものである。すなわち、高サイクル領域を低車速側へ縮小するものである。このようにすれば、ロックアップクラッチのオン状態のときには、2サイクル領域が低車速側へ拡大されるので、燃費と振動とが好適に低減される。
【0018】
また、好適には、前記運転サイクル変更手段は、前記ロックアップクラッチのオフ状態のときには、前記エンジンの運転サイクル領域のうちの高サイクル領域たとえば4サイクル領域を高車速側へ拡大するものである。すなわち、低サイクル領域を高車速側へ縮小するものである。このようにすれば、ロックアップクラッチのオフ状態のときには、4サイクル領域が高車速側へ拡大されて2サイクル領域が高車速側へ縮小されるので、2サイクルの排気音の影響と燃費とが好適に低減される。
【0035】
【発明の好適な実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0036】
図1は、本発明の一実施例の制御装置が適用された車両用動力伝達装置の構成を説明する骨子図である。図において、動力源としてのエンジン10の出力は、クラッチ12、トルクコンバータ14を介して自動変速機16に入力され、出力軸46および図示しない差動歯車装置および車軸を介して駆動輪たとえば後輪へ伝達されるようになっている。上記クラッチ12とトルクコンバータ14との間には、電動モータおよび発電機として機能する第1モータジェネレータMG1が配設されている。上記トルクコンバータ14は、クラッチ12に連結されたポンプ翼車20と、自動変速機16の入力軸22に連結されたタービン翼車24と、それらポンプ翼車20およびタービン翼車24の間を直結するためのロックアップクラッチ26と、一方向クラッチ28によって一方向の回転が阻止されているステータ翼車30とを備えている。
【0037】
上記自動変速機16は、ハイおよびローの2段の切り換えを行う第1変速機32と、後進変速段および前進4段の切り換えが可能な第2変速機34とを備えている。第1変速機32は、サンギヤS0、リングギヤR0、およびキャリアK0に回転可能に支持されてそれらサンギヤS0およびリングギヤR0に噛み合わされている遊星ギヤP0から成るHL遊星歯車装置36と、サンギヤS0とキャリアK0との間に設けられたクラッチC0および一方向クラッチF0と、サンギヤS0およびハウジング38間に設けられたブレーキB0とを備えている。
【0038】
第2変速機34は、サンギヤS1、リングギヤR1、およびキャリアK1に回転可能に支持されてそれらサンギヤS1およびリングギヤR1に噛み合わされている遊星ギヤP1から成る第1遊星歯車装置40と、サンギヤS2、リングギヤR2、およびキャリアK2に回転可能に支持されてそれらサンギヤS2およびリングギヤR2に噛み合わされている遊星ギヤP2から成る第2遊星歯車装置42と、サンギヤS3、リングギヤR3、およびキャリアK3に回転可能に支持されてそれらサンギヤS3およびリングギヤR3に噛み合わされている遊星ギヤP3から成る第3遊星歯車装置44とを備えている。
【0039】
上記サンギヤS1とサンギヤS2は互いに一体的に連結され、リングギヤR1とキャリアK2とキャリアK3とが一体的に連結され、そのキャリアK3は出力軸46に連結されている。また、リングギヤR2がサンギヤS3および中間軸48に一体的に連結されている。そして、リングギヤR0と中間軸48との間にクラッチC1が設けられ、サンギヤS1およびサンギヤS2とリングギヤR0との間にクラッチC2が設けられている。また、サンギヤS1およびサンギヤS2の回転を止めるためのバンド形式のブレーキB1がハウジング38に設けられている。また、サンギヤS1およびサンギヤS2とハウジング38との間には、一方向クラッチF1およびブレーキB2が直列に設けられている。この一方向クラッチF1は、サンギヤS1およびサンギヤS2が入力軸22と反対の方向へ逆回転しようとする際に係合させられるように構成されている。
【0040】
キャリアK1とハウジング38との間にはブレーキB3が設けられており、リングギヤR3とハウジング38との間には、ブレーキB4と一方向クラッチF2とが並列に設けられている。この一方向クラッチF2は、リングギヤR3が逆回転しようとする際に係合させられるように構成されている。
【0041】
以上のように構成された自動変速機16では、例えば図2に示す作動表に従って後進1段および変速比が順次異なる前進5段の変速段のいずれかに切り換えられる。図2において「○」は係合状態を表し、空欄は解放状態を表し、「◎」はエンジンブレーキのときの係合状態を表し、「△」は動力伝達に関与しない係合を表している。この図2から明らかなように、第2変速段(2nd)から第3変速段(3rd)へのアップシフトでは、ブレーキB3を解放すると同時にブレーキB2を係合させるクラッチツークラッチ変速が行われ、ブレーキB3の解放過程で係合トルクを持たせる期間とブレーキB2の係合過程で係合トルクを持たせる期間とがオーバラップして設けられる。それ以外の変速は、1つのクラッチまたはブレーキの係合或いは解放作動だけで行われるようになっている。上記クラッチおよびブレーキは何れも油圧アクチュエータによって係合させられる油圧式摩擦係合装置である。
【0042】
前記エンジン10は、後述する過給機54を備えているとともに、燃料消費を減少させるために、燃料が筒内噴射されることにより軽負荷時においては空燃比A/Fが理論空燃比よりも高い燃焼である希薄燃焼が行われるリーンバーンエンジンである。このエンジン10は、3気筒ずつから構成される左右1対のバンクを備え、その1対のバンクは単独で或いは同時に作動させられるようになっている。すなわち、作動気筒数の変更が可能となっている。
【0043】
たとえば図3に示すように、上記エンジン10の吸気配管50および排気管52には、排気タービン式過給機(以下、過給機という)54が設けられている。この過給機54は、排気管52内において排気の流れにより回転駆動されるタービン翼車56と、エンジン10への吸入空気を圧縮するために吸気配管50内に設けられ且つタービン翼車56に連結されたポンプ翼車58とを備え、そのポンプ翼車58がタービン翼車56によって回転駆動されるようになっている。上記排気管52には、ウエイストゲート弁59を備えてタービン翼車56をバイパスするバイパス管61が並列に設けられており、タービン翼車56を通過する排気ガス量とバイパス管61を通過する排気ガス量との比率が変化させられることにより、吸気配管50内の過給圧Pa が調節されるようになっている。なお、このような排気タービン式過給機に換えて、エンジン或いは電動機によって回転駆動される機械ポンプ式の過給機が設けられていてもよい。
【0044】
上記エンジン10の吸気配管50には、スロットルアクチュエータ60によって操作されるスロットル弁62とが設けられている。このスロットル弁62は、基本的には図示しないアクセルペダルの操作量すなわちアクセル開度θACC に対応する開度θTHとなるように制御されるが、エンジン10の出力を調節するために変速過渡時などの種々の車両状態に応じた開度となるように制御されるようになっている。
【0045】
また、図3に示すように、前記第1モータジェネレータMG1はエンジン10と自動変速機16との間に配置され、クラッチ12はエンジン10と第1モータジェネレータMG1との間に配置されている。上記自動変速機16の各油圧式摩擦係合装置およびロックアップクラッチ26は、電動油圧ポンプ64から発生する油圧を元圧とする油圧制御回路66により制御されるようになっている。また、エンジン10には第2モータジェネレータMG2が作動的に連結されている。そして、第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2の電源として機能する燃料電池70および二次電池71と、それらから第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2へ供給される電流を制御したり或いは充電のために二次電池71へ供給される電流を制御するための切換スイッチ72および73とが設けられている。この切換スイッチ72および73は、スイッチ機能を有する装置を示すものであって、たとえばインバータ機能などを有する半導体スイッチング素子などから構成され得るものである。
【0046】
また、エンジン10は、図4に示すように、各気筒の吸気弁74および排気弁75を開閉駆動する電磁アクチュエータ76および77を含む可変動弁機構78と、クランク軸79の回転角を検出する回転センサ80からの信号に従って上記吸気弁74および排気弁75の作動時期(タイミング)を制御する弁駆動制御装置81とを備えている。この弁駆動制御装置81は、エンジン負荷に応じて作動タイミングを最適時期に変更するだけでなく、運転サイクル切り換え指令に従って、4サイクル運転を可能とする時期および2サイクル運転を可能とする時期に制御する。しかし、そのようなエンジン10の運転サイクルの切換のために、上記電磁アクチュエータ76および77が電子制御装置90によって直接制御されてもよい。上記電磁アクチュエータ76および77は、たとえば図5に示すように、吸気弁74または排気弁75に連結されてその吸気弁74または排気弁75の軸心方向に移動可能に支持された磁性体製の円盤状の可動部材82と、その可動部材82を択一的に吸着するためにそれを挟む位置に設けられた一対の電磁石84、85と、可動部材82をその中立位置に向かって付勢する一対のスプリング86、87とを備えている。
【0047】
図6は、電子制御装置90に入力される信号およびその電子制御装置90から出力される信号を例示している。たとえば、電子制御装置90には、エンジン回転速度NE を表す信号、アクセルペダルの操作量であるアクセル開度θACC を表すアクセル開度信号、スロットル弁62の開度θTHを表すスロットル開度信号、自動変速機16の出力軸46の回転速度NOUT すなわち車速Vに対応する車速信号、吸気配管50内の過給圧Pa を表す信号、空燃比A/Fを表す信号、シフトレバーの操作位置SH を表す信号、変速機16の作動油温度すなわちAT油温TOIL などが図示しないセンサから供給されている。また、電子制御装置90からは、燃料噴射弁からエンジン10の気筒内へ噴射される燃料の量を制御するための噴射信号、自動変速機16のギヤ段を切り換えるために油圧制御回路66内のシフト弁を駆動するシフトソレノイドを制御する信号、ロックアップクラッチ26を開閉制御するために油圧制御回路66内のロックアップコントロールソレノイドを制御する信号などが出力される。
【0048】
上記電子制御装置90は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェースなどから成る所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、自動変速機16のギヤ段を自動的に切り換える変速制御、ロックアップクラッチ26の係合、解放、或いはスリップを実行する制御、過給圧制御、空燃比制御、気筒選択切換制御、運転サイクル切換制御などを実行する。たとえば、上記変速制御では、図示しない予め記憶された関係(変速線図)からアクセル開度θACC (%)またはスロットル開度θTH(%)と車速Vとに基づいて変速判断を行い、その変速判断に対応してギヤ段が得られるように油圧制御回路66内の電磁弁(シフトソレノイド)S1、S2、S3を制御し、エンジンブレーキを発生させる際には電磁弁S4を駆動する。また、ロックアップ状態変更では、たとえば図8に示す予め記憶された関係から実際の車両走行状態を表す車速V(出力側回転速度NOUT に対応)と運転者の要求出力量を表すアクセル開度θACC またはスロットル開度θTH(%)とに基づいて、係合領域、解放領域、スリップ領域のいずれに属するかを判定し、その判定された領域に対応する状態が得られるように油圧制御回路66内のロックアップコントロールソレノイドを制御してロックアップクラッチ26を係合、解放、或いはスリップのいずれかの状態とする制御を実行する。また、上記気筒選択切換制御では、燃費を良くするために軽負荷走行になると作動気筒数を減少させたり、動弁機構の作動が異常判定された気筒の作動を停止させたりする。上記運転サイクル切換制御では、たとえば図9乃至図11のいずれかに示す予め記憶された関係から実際のアクセル開度θACC (%)またはスロットル開度θTH(%)と車速Vとに基づいてエンジン10の運転サイクル数を変更し或いは切り換える。また、自動変速機16の異常時やエンジン10の異常時などにおいて車両の走行性能が損なわれないように、エンジン10の運転サイクル数を変更する。
【0049】
図7は、上記電子制御装置90の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図7に示すこもり音防止制御装置すなわち車両の総合制御装置は、可及的に燃費を良くし且つロックアップショック或いはこもり音(Booming Noise )の発生を防止するように、車両状態に応じて、或いはその車両状態により決定されるロックアップクラッチの係合状態に応じて、すなわちこもり音関連パラメータの発生状態に応じて前記エンジンの運転サイクルを変更する。この車室に発生するこもり音とは、比較的低い周波数(たとえば40乃至200Hz)の音で、「ブーン」或いは「ボー」と表現されるものであってどこからともなく聞こえ、大きいときには圧迫感を与えて運転品質或いは運転環境が損なわれるという不都合が生じる。このこもり音は、動力伝達系すなわち駆動系の回転時に発生する不釣合い慣性力やジョイント部の2次偶力が強制振動源となったりエンジン振動が強制振動源となり、その強制振動源により加振されてトランスミッションケースやプロペラシャフトなどの駆動系の共振および車室共鳴により増幅されることにより発生するなどといわれている。このようなこもり音は、たとえば軽負荷時において所定の車速に接近すると大きくなったり、動力伝達経路に設けられたロックアップクラッチ26の係合状態や、加振源であるエンジンの運転サイクル数により影響される性質がある。
【0050】
図7において、運転サイクル数変更可能判定手段100は、たとえば可変動弁機構78の異常の有無、エンジン回転速度NE を検出するエンジン回転速度センサの異常の有無、排気ガス浄化用触媒の過熱の有無などに基づいて、エンジン10の運転サイクル数を変更することが可能であるか否かを判定する。すなわち、可変動弁機構78の異常が無く、エンジン回転速度NE を検出するエンジン回転速度センサの異常が無く、排気ガス浄化用触媒が所定温度以下の過熱していない状態であるときに、エンジン10の運転サイクル数を変更すること、たとえばそれまでの4サイクルから2サイクルへ変更することが可能であると判定する。車両状態検出手段102は、たとえばアクセル開度θACC またはスロットル開度θTH(%)および車速Vなどにより表される車両状態を、各センサからの信号に基づいて検出する。
【0051】
ロックアップクラッチ係合許可判定手段104は、たとえば図8に示す関係から実際の車両状態(たとえばθACC またはθTHおよび車速V)に基づいてロックアップクラッチ26の係合許可領域或いはスリップ係合許可領域であるか否かを判定するロックアップ係合許可領域判定手段106を備え、車両状態がロックアップクラッチ26の係合許可領域或いはスリップ係合許可領域にあること、作動油温TOIL が所定値よりも低い低油温状態でないこと、エンジン冷却水温度TW が所定値よりも低い水温状態でないことなどに基づいて、ロックアップクラッチ26の係合許可状態或いはスリップ係合許可状態であるか否かを判定する。すなわち、もしロックアップクラッチ26の係合或いはスリップ係合となったときにはこもり音が発生するか否かを判定し、こもり音が発生しないと判定したときにロックアップクラッチ26の係合許可或いはスリップ係合許可を判定して、燃費をよくするために可及的にロックアップクラッチ26の係合或いはスリップ係合を実行させる。このようなロックアップクラッチ26の係合作動状態は、車両のこもり音を発生させることに関連するパラメータであるので、上記ロックアップクラッチ係合許可判定手段104は、こもり音関連パラメータの発生を判定するこもり音関連パラメータ判定手段としても機能している。
【0052】
エンジン運転サイクル変更(設定)手段108は、ロックアップクラッチの係合状態に応じて設定される運転サイクル数を変更する。すなわち、エンジン運転サイクル変更(設定)手段108は、上記ロックアップクラッチ係合許可判定手段104によりロックアップクラッチ26が係合させられる係合許可領域或いはスリップ係合許可領域であると判定されたときは、4サイクル運転されている走行中にロックアップクラッチ26が係合或いは半係合させられると車両のこもり音が発生する図8の領域Aにおいて、エンジン10の運転サイクルをそれまでの4サイクルから2サイクルへ変更(設定)してこもり音を抑制し、可及的にロックアップを係合或いは半係合させるようにする。
【0053】
運転サイクル制御手段110は、基本的には、たとえば図9乃至図11に示す関係のいずれかの関係から車両状態(たとえばθACC またはθTHおよび車速V)に基づいて運転サイクルを決定し、決定された運転サイクルとなるように可変動弁機構78を作動させてエンジン10の運転サイクルを切り換える。また、この運転サイクル制御手段110は、上記エンジン運転サイクル変更(設定)手段108により設定された運転サイクル数となるように、エンジン10の運転サイクルを優先的に切り換える。
【0054】
図12は、電子制御装置90による制御作動の要部すなわち車両のこもり音防止のためのエンジン運転サイクル変更制御ルーチンを説明するフローチャートであり、数msec 乃至数十msec 程度の極めて短い周期で繰り返し実行される。
【0055】
図12において、前記運転サイクル数変更可能判定手段100に対応するステップ(以下、ステップを省略する)SA1では、エンジン10の運転サイクル数の変更が可能であるか否かが、たとえば可変動弁機構78の異常が無いこと、エンジン回転速度NE を検出するエンジン回転速度センサの異常が無いこと、そして排気ガス浄化用触媒の過熱が無いことなどに基づいて判断される。このSA1の判断が否定される場合は、前記運転サイクル変更手段108に対応するSA2において、エンジン10の運転サイクル数が4サイクルに設定される。
【0056】
しかし、上記SA1の判断が肯定される場合は、前記ロックアップクラッチ係合許可判定手段104に対応するSA3において、車両状態がたとえば図8に示すロックアップクラッチ26の係合領域であること、作動油温TOIL が所定値よりも低い低油温状態でないこと、エンジン冷却水温度TW が所定値よりも低い水温状態でないことなどに基づいて、ロックアップクラッチ26の係合許可状態或いはスリップ係合許可状態であるか否かが判断される。このSA3の判断が否定される場合は、前記運転サイクル変更手段108に対応するSA4において、エンジン10の運転サイクル数が非ロックアップ用の運転サイクル数、たとえば図9乃至図11の関係から選択されたいずれかの関係から車両の走行状態に基づいて基本的に定められた運転サイクルに設定されるが、このようなこもり音の発生し難いロックアップクラッチ26のオフ状態では、こもり音抑制のために運転サイクル数が2サイクルとされないで、たとえば4サイクルに維持される。
【0057】
しかし、上記SA3の判断が肯定される場合は、車両の走行状態が図8の領域A内であって、こもり音が発生することが推定される状態であるので、前記運転サイクル変更手段108に対応するSA5において、エンジン10の運転サイクル数がロックアップ用運転サイクル数、たとえば2サイクルに設定される。これにより図示しないステップにおいてロックアップクラッチ26の係合或いはスリップ係合させられるとともに、エンジン10が2サイクルで運転されてこもり音が抑制される。
【0058】
上述のように、本実施例によれば、運転サイクル変更手段108(SA5)により、エンジン10のこもり音の発生を防止するように、車両状態或いは動力伝達装置(ロックアップクラッチ26)の動力伝達状態(係合状態)に応じてエンジン10の運転サイクルが変更されることから、ロックアップクラッチ26の係合領域或いはスリップ領域を拡大しても、運転環境を損なうようなこもり音の発生を抑制することができるので、燃費を可及的に向上させることができる。すなわち、従来ではこもり音の発生によって使用できなかった領域までロックアップクラッチ26の係合領域或いはスリップ領域を拡大してもこもり音の発生がそれほどなく、燃費を向上させることができるのである。
【0059】
また、本実施例によれば、運転サイクル変更手段108(SA5)は、ロックアップクラッチ26のオンオフ切換状態に応じてエンジン運転サイクルを変更するものであることから、こもり音の発生し易いロックアップクラッチ26のオン状態ではそのこもり音が発生し難くなるようにエンジン運転サイクル数がたとえばそれまで4サイクルであれば2サイクルへ減少させられるが、こもり音の発生し難いロックアップクラッチ26のオフ状態ではエンジン運転サイクル数がたとえば4サイクルに維持されるので、オン領域を拡大しても運転環境を損なうようなこもり音が発生することが抑制され、燃費を可及的に向上させることができる。
【0060】
また、本実施例によれば、運転サイクル変更手段108(SA4、SA5)は、ロックアップクラッチ26のスリップの有無に応じてエンジン運転サイクルを変更するものであることから、こもり音の発生し易いロックアップクラッチのスリップのない係合状態ではそのこもり音が発生し難くなるようにエンジン運転サイクル数がたとえばそれまで4サイクルであれば2サイクルへ減少させられるが、こもり音の発生し難いロックアップクラッチ26のスリップ状態ではエンジン運転サイクル数がたとえば4サイクルに維持させられるので、スリップ領域を拡大しても運転環境を損なうようなこもり音が発生することが抑制され、燃費を可及的に向上させることができる。
【0061】
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において前述の実施例と同様な部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0062】
図13および図14は、本発明の他の実施例において、前記エンジン運転サイクル変更(設定)手段108が運転サイクルの設定のために用いる予め記憶された関係を示している。図13に示す関係は、前記ロックアップクラッチ係合許可判定手段104によりロックアップクラッチ26が係合(オン)させられる係合許可領域であると判定されたときに、車両状態すなわち車速Vおよびアクセル開度(スロットル開度)に基づいて運転サイクルを決定するために用いられる。図14に示す関係は、前記ロックアップクラッチ係合許可判定手段104によりロックアップクラッチ26が開放(オフ)させられる非係合(開放)領域であると判定されたときに、車両状態すなわち車速Vおよびアクセル開度(スロットル開度)に基づいて運転サイクルを決定するために用いられる。上記図13に示すロックアップクラッチ26の係合(オン)状態における関係は、図14に示すロックアップクラッチ26の開放(オフ)状態における関係に比較して、2(低)サイクル領域が拡大されると同時に4(高)サイクル領域の高車速側が縮小されている。換言すれば、上記図14に示すロックアップクラッチ26の開放(オフ)状態における関係は、図13に示すロックアップクラッチ26の係合(オン)状態における関係に比較して、4(高)サイクル領域が高車速側へ拡大されると同時に2(低)サイクル領域が縮小されている。
【0063】
本実施例によれば、前述の実施例と同様の効果が得られる。また、本実施例の運転サイクル変更手段108は、ロックアップクラッチ26の係合状態に応じてエンジン10の運転サイクル領域を変更するものであるので、燃費とショックが好適に低減される。すなわち、本実施例の運転サイクル変更手段108は、ロックアップクラッチ26のオン状態のときには、図13に示すようにエンジン10の運転サイクル領域のうちの低サイクル領域すなわち2サイクル領域を低車速側へ拡大するものであるので、こもり音の発生が抑制される。また、本実施例の運転サイクル変更手段108は、ロックアップクラッチ26のオフ状態のときには、図14に示すようにエンジン10の運転サイクル領域のうちの高サイクル領域すなわち4サイクル領域を高車速側へ拡大し、低サイクル領域を高車速側へ縮小するので、2サイクルの排気音の影響と燃費とが好適に低減される。
【0064】
図15は、上記電子制御装置90の制御機能の要部すなわちこもり音防止のための運転サイクル制御ルーチンを説明する機能ブロック線図である。図15に示す車両用こもり音防止制御装置は、こもり音の発生を防止するように、エンジンの運転サイクルに応じて、すなわちこもり音関連パラメータの発生状態に応じてロックアップクラッチの係合状態を変更する。図15において、運転サイクル制御手段118は、たとえば図9乃至図11から選択された関係から実際の車両状態(アクセル開度θACC またはスロットル開度θTH(%)および車速Vなど)に基づいて運転サイクルを決定し、決定された運転サイクルでエンジン10を作動させる。2サイクル判定手段120は、上記運転サイクル制御手段118によってエンジン10が2サイクル運転させられる状態であるか否かを判定する。過渡期間判定手段122は、図17に示すように上記運転サイクル制御手段118による運転サイクルの変更開始点或いはその付近から運転サイクルの変更終了点或いはその付近までの運転サイクル変更過渡期間であるか否かを判定する。
【0065】
こもり音関連パラメータ検出手段124は、車両状態(アクセル開度θACC またはスロットル開度θTH(%)および車速Vなど)を検出する車両状態検出手段102と、エンジン10の実際の運転サイクル数を検出する運転サイクル数検出手段126とを備え、上記車両状態や運転サイクル数などのこもり音の発生に関連するこもり音発生関連パラメータを検出する。ロックアップ許可領域判定手段128は、車両状態がたとえば図16に示す予め記憶された関係の係合領域であること、作動油温TOIL が所定値よりも低い低油温状態でないこと、エンジン冷却水温度TW が所定値よりも低い水温状態でないことなどに基づいて、ロックアップクラッチ26の係合許可状態であるか否かを判定する。また、スリップ許可領域判定手段130は、車両状態がたとえば図16に示す予め記憶された関係の係合領域であること、作動油温TOIL が所定値よりも低い低油温状態でないこと、エンジン冷却水温度TW が所定値よりも低い水温状態でないことなどに基づいて、ロックアップクラッチ26のスリップ係合許可領域であるか否かを判定する。
【0066】
こもり音発生推定手段132は、車両状態(アクセル開度θACC またはスロットル開度θTH(%)および車速Vなど)と、エンジン10の運転サイクル数(4サイクル)とに基づいて、上記ロックアップクラッチ26が係合許可或いはスリップ係合許可させられたらこもり音が発生することを推定する。こもり音発生領域内判定手段134は、上記こもり音発生推定手段132によりこもり音の発生が推定されるとき、車両状態が予め記憶された図16の関係の領域B内にあることに基づいて、こもり音の発生か否かを判断する。
【0067】
ロックアップ状態変更手段136は、たとえば図16に示す関係から実際の車両状態に基づいてロックアップクラッチ26のオンオフを決定し、決定されたオンオフ状態となるように制御するオンオフ制御手段138と、たとえば図16に示す関係から実際の車両状態に基づいてロックアップクラッチ26のスリップ制御領域内かを決定し、領域内であればそのロックアップクラッチ26のスリップ回転速度ΔNSLIP(=ポンプ翼車20の回転速度−タービン翼車24の回転速度)を目標スリップ回転速度ΔNSLIPT と一致するようにスリップ制御するスリップ制御手段140と、その目標スリップ回転速度ΔNSLIPT を設定する目標スリップ回転速度設定手段142とを備えている。上記スリップ制御手段140により目標スリップ回転速度ΔNSLIPT と一致するように実際のスリップ回転速度ΔNSLIPがフィードバック制御される結果、目標スリップ回転速度ΔNSLIPT の急変時を除いて目標スリップ回転速度ΔNSLIPT と実際のスリップ回転速度ΔNSL IPとは同じ値とされる。
【0068】
上記目標スリップ回転速度設定手段142は、たとえば図18および図19に示す予め記憶された関係から実際の車両状態すなわちアクセル開度θACC またはスロットル開度θTH(%)、車速V、およびエンジン10の運転サイクルに基づいて目標スリップ回転速度ΔNSLIPT を決定して設定する。目標スリップ回転速度設定手段142は、図18および図19に示すように、運転サイクルが小さくなるほどそれに応じてそれが高い値に設定し、アクセル開度θACC またはスロットル開度θTH(%)が大きくなるほどそれに応じてそれが高い値に設定し、車速Vが高くなるほどそれに応じて低く設定する。また、上記目標スリップ回転速度設定手段142は、エンジン10の運転サイクルが変更される過渡期間では、たとえば図17の実線、破線、1点鎖線のいずれかに示す様に変化させられる過渡期目標スリップ回転速度とされる。図17の実線に示される過渡期目標スリップ回転速度は、運転サイクルが変更開始される時点t1 における目標スリップ回転速度ΔNSLIPT1と運転サイクルが変更終了される時点t2 における目標スリップ回転速度ΔNSLIPT2との間を結び直線に沿って変化させられる直線補間された値である。図17の1点鎖線に示される過渡期目標スリップ回転速度は、運転サイクルが変更開始される時点t1 よりも少し手前から目標スリップ回転速度ΔNSLIPT1および目標スリップ回転速度ΔNSLIPT2よりも高い値まで一端上昇させられて保持され、その後に運転サイクルが変更終了される時点t2 よりも少し後で目標スリップ回転速度ΔNSLIPT2に復帰させられる。図17の破線に示される過渡期目標スリップ回転速度は、運転サイクルが変更開始される時点t1 の目標スリップ回転速度ΔNSLIPT1と運転サイクルが変更終了される時点t2 の目標スリップ回転速度ΔNSLIPT2とのうちの高い側の値、すなわち目標スリップ回転速度ΔNSLIPT2に保持される。
【0069】
図20および図21は、本実施例の電子制御装置90による制御作動の要部すなわちこもり音防止のためのロックアップクラッチ制御ルーチンを説明するフローチャートであり、数msec 乃至数十msec 程度の極めて短い周期で繰り返し実行される。図20はこもり音防止のためのロックアップクラッチオンオフ制御ルーチンを示し、図21はこもり音防止のためのロックアップクラッチスリップ制御ルーチンを示している。
【0070】
図20において、前記ロックアップ許可領域判定手段128に対応するSB1では、車両状態がたとえば図16に示す予め記憶された関係の係合領域であること、作動油温TOIL が所定値よりも低い低油温状態でないこと、エンジン冷却水温度TW が所定値よりも低い水温状態でないことなどに基づいて、ロックアップクラッチ26の係合許可状態であるか否かが判定される。このSB1の判断が否定される場合は、オンオフ制御手段138に対応するSB2において、ロックアップクラッチ26が開放される。しかし、上記SB1の判断が肯定される場合は、前記こもり音発生推定手段132に対応するSB3において、車両状態(アクセル開度θACC またはスロットル開度θTH(%)および車速Vなど)と、エンジン10の運転サイクル数(4サイクル)とに基づいて、上記ロックアップクラッチ26が係合許可或いはスリップ係合許可させられたらこもり音の発生が推定される。次いで、前記こもり音発生領域内判定手段134に対応するSB4において、上記SB3においてこもり音の発生が推定されるとき、車両状態が予め記憶された図16の関係の領域B内にあることに基づいて、こもり音の発生か否かが判断される。このSB4の判断が否定される場合は、前記オンオフ制御手段138に対応するSB5において、走行状態に応じてロックアップクラッチ26がオン或いはオフ制御される。しかし、上記SB4の判断が肯定される場合は、前記オンオフ制御手段138に対応するSB6においてロックアップクラッチ26のオン状態が禁止されて図21のルーチンが実行される。
【0071】
図21において、前記スリップ許可判定手段130に対応するSC1では、車両状態がたとえば図16に示す予め記憶された関係の係合領域であること、作動油温TOIL が所定値よりも低い低油温状態でないこと、エンジン冷却水温度TW が所定値よりも低い水温状態でないことなどに基づいて、ロックアップクラッチ26のスリップ係合許可領域であるか否かが判定される。このSC1の判断が否定される場合は、前記スリップ制御手段140に対応するSC2においてロックアップクラッチ26のスリップ制御が禁止される。しかし、上記SC1の判断が肯定される場合は、前記過渡期間判定手段122に対応するSC3において、運転サイクルが変更される過渡期間開始であるか否かが判断される。通常の場合にはこのSC3の判断が否定されるので、2サイクル判定手段120に対応するSC4において、エンジン10の運転サイクルが2サイクルであるか否かが判断される。通常の場合にはこのSC4の判断が否定されるので、前記目標スリップ回転速度設定手段142に対応するSC5において、たとえば図19に示す予め記憶された関係から実際の車両状態に基づいて4サイクル用の目標スリップ回転速度が設定される。
【0072】
エンジン10の運転サイクルの変更が開始されてその過渡期間が開始されると、前記過渡期間判定手段122に対応するSC3の判断が肯定されるので、前記目標スリップ回転速度設定手段142に対応するSC6において、たとえば図17の破線、実線、1点鎖線のいずれかに示すような過渡時の目標スリップ回転速度ΔNSLIPT が設定され、実際のスリップ回転速度ΔNSLIPがそれに追従させられる。そして、前記過渡期間判定手段122に対応するSC7において運転サイクルの変更が終了させられる過渡期間の終了か否かが判断される。このSC7の判断が否定されるうちは上記SC6およびSC7が繰り返し実行されるが、肯定されるようになると、エンジン10の運転サイクルが2サイクルか否かを判断するSC4が実行される。上記のように過渡期間の終了後にはこのSC4の判断が肯定されるので、前記目標スリップ回転速度設定手段142に対応するSC8において、たとえば図18に示す予め記憶された関係から実際の車両状態に基づいて2サイクル用の目標スリップ回転速度が設定される。
【0073】
上述のように、本実施例によれば、ロックアップ状態変更手段136(SB1乃至SB6)により、こもり音の発生を防止するように、エンジン10の運転サイクルに応じてロックアップクラッチ26の係合状態が変更されることから、こもり音の発生する領域ではロックアップクラッチの係合を禁止することによりこもり音の発生を抑制できるので、燃費を可及的に向上させることができる。
【0074】
また、本実施例によれば、ロックアップ状態変更手段136(SB1乃至SB6)は、エンジン10の運転サイクルに応じてロックアップクラッチ26の係合領域判定のために用いるロックアップ領域を変更するか或いはロックアップクラッチ26のオン作動オフ作動の有無を変更するものであることから、こもり音の発生し易い運転サイクル(たとえば4サイクル)ではロックアップクラッチ26がこもり音が発生し難くなるようにオフ状態とされるが、本来的にこもり音の発生し難い運転サイクル(たとえば2サイクル)ではロックアップクラッチがオン状態とされるので、オン(係合)領域を拡大しても運転環境を損なうようなこもり音が発生することが抑制され、燃費を可及的に向上させることができる。
【0075】
また、本実施例によれば、ロックアップ状態変更制御手段136(SC1乃至SC8)は、エンジン10の運転サイクルに応じてロックアップクラッチ26のスリップの有無またはスリップ量(スリップ回転速度)を変更するものであることから、こもり音の発生し易い運転サイクル(たとえば4サイクル)ではこもり音が発生し難くなるようにロックアップクラッチ26のスリップが有りとされ或いはスリップ量が少くされるが、こもり音の発生し難い運転サイクル(たとえば2サイクル)ではロックアップクラッチのスリップがなし或いはスリップ量が多くされるので、スリップ領域を拡大しても運転環境を損なうようなこもり音が発生することが抑制され、燃費を可及的に向上させることができる。
【0076】
また、本実施例によれば、ロックアップ状態変更手段136(SC1乃至SC8)は、エンジン10が2サイクル運転であるときのスリップ回転速度を、4サイクル運転であるときのスリップ回転速度に比較して大きい値とするものであるので、2サイクル運転時のエンジンの振動を好適に低減できる。
【0077】
また、本実施例によれば、ロックアップ状態変更手段136(SC1乃至SC8)は、エンジン10の運転サイクル変更前から変更後までの過渡期間内において、ロックアップクラッチ26の目標スリップ回転速度ΔNSLIPT を過渡期間用スリップ回転速度とするものである。このようにすれば、運転サイクルが変更される過渡期間において最適なロックアップクラッチ26のスリップ回転速度とされ,ショックが低減される。
【0078】
また、本実施例によれば、ロックアップ状態変更手段136(SC1乃至SC8)は、過渡期間内の目標スリップ回転速度ΔNSLIPT を、エンジン10の運転サイクル変更前の目標スリップ回転速度ΔNSLIPT1および運転サイクル変更後の目標スリップ回転速度ΔNSLIPT2よりも高いスリップ回転速度に一旦上昇させるものであるので、運転サイクルが変更される過渡期間内においてロックアップクラッチ26のスリップ回転速度ΔNSLIPが一旦上昇させられるので、過渡期間におけるスリップ量の変化に起因するショックが低減される。
【0079】
また、本実施例によれば、ロックアップ状態変更手段136(SC1乃至SC8)は、過渡期間内の目標スリップ回転速度ΔNSLIPT を、エンジン10の運転サイクル変更前の目標スリップ回転速度ΔNSLIPT1および運転サイクル変更後の目標スリップ回転速度ΔNSLIPT2へ直線的に変化させるものであることから、過渡期間におけるスリップ量の変化に起因するショックが低減される。
【0080】
また、本実施例によれば、ロックアップ状態変更手段136(SC1乃至SC8)は、過渡期間内の目標スリップ回転速度ΔNSLIPT を、エンジン10の運転サイクル変更前の目標スリップ回転速度ΔNSLIPT1とその運転サイクル変更後の目標スリップ回転速度ΔNSLIPT2とのうちのいずれか高い側の値とするものであるので、過渡期間におけるスリップ量の変化に起因するショックが低減される。
【0081】
図22は、本発明の他の実施例における車両の原動機および駆動系の要部を説明する図である。図22の車両では、エンジン10から伝達された動力を後輪用出力軸46を介して後輪へ出力させる他に、そのエンジン10から伝達された動力の一部を前輪に伝達するための前輪用出力軸146を備えたトランスファ装置148が自動変速機16に設けられている。このトランスファ装置148は、図示しない駆動力配分クラッチを備え、この駆動力配分クラッチの係合状態に応じて、前後輪へそれぞれ動力が伝達されて駆動される4輪駆動状態から、前輪および後輪の一方へ動力が伝達されて駆動される2輪駆動状態までの範囲で前後輪駆動力配分比を変化させる。上記駆動力配分クラッチは、前輪への動力伝達経路に直列に設けられたり、或いはセンタデフ(中央差動歯車装置)と並列に設けられたりするものである。
【0082】
図23は、上記図22の車両に備えられた電子制御装置90の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図23において、動力伝達状態検出手段150は、エンジン10から前輪または後輪すなわち駆動輪までの動力伝達経路に沿って設けられた動力伝達装置として機能するクラッチ1 2、モータジェネレータMG1、トルクコンバータ14、自動変速機16、トランスファ装置148などの動力伝達状態を検出するために、たとえばロックアップ状態検出手段152、自動変速機16のギヤ比(変速比)γを検出するギヤ比検出手段154、トランスファ装置148の駆動力配分比を検出するトランスファ状態検出手段156を備えている。上記ロックアップ状態検出手段152は、トルクコンバータ14に設けられたロックアップクラッチ26の係合状態、たとえば完全係合状態、半(スリップ)係合状態、解放状態を、たとえばエンジン回転速度NE 、出力軸46の回転速度NOUT 、およびギヤ比(変速比)γに基づいて、或いはロックアップクラッチ26を制御するATロックアップコントロールソレノイドへの制御信号に基づいて検出する。上記ギヤ比検出手段154は、自動変速機16の変速比γを、たとえばエンジン回転速度NE および出力軸46の回転速度NOUT に基づいて、或いは自動変速機16のギヤ段の切換を制御するATシフトソレノイドへの制御信号に基づいて検出する。上記トランスファ状態検出手段156は、トランスファ装置148の駆動力配分比を、たとえばそのトランスファ装置148内に備えられた図示しない駆動力配分クラッチを制御する駆動力配分コントロールソレノイドへの制御信号に基づいて検出する。
【0083】
運転サイクル変更(算出)手段158は、車両状態すなわちロックアップクラッチ26、自動変速機16、トランスファ装置148などの動力伝達装置の動力伝達状態、たとえばロックアップクラッチ26の係合状態、自動変速機16の変速比γ或いはギヤ段、トランスファ装置148の駆動力配分比に応じて、こもり音が抑制されるようにエンジン10の運転サイクル数を算出し変更する。たとえば、運転サイクル変更手段158には、たとえば図24に示す駆動系の振動特性が運転サイクル数毎に且つ動力伝達装置の動力伝達状態毎に予め記憶されており、運転サイクル変更手段158は、たとえば上記ロックアップ状態検出手段152によって検出されたロックアップクラッチ26が係合させられる係合状態、ギヤ比検出手段154によって検出された自動変速機14の変速比γ、トランスファ状態検出手段156によって検出されたトランスファ装置148の駆動力配分比と、車速Vやスロットル開度などの運転状態とに基づいて振動レベルを各運転サイクル数毎に算出し、振動レベルが低くなる側の運転サイクル数を決定する。振動レベルが低くなる側の運転サイクル数とすることにより、車両走行中の駆動系の共振を避けてこもり音を抑制する。すなわち、車両の駆動系の振動が小さくなるように或いは駆動系の共振点が遠くずれてそれを避けるように運転サイクル数が変更される。車速Vは変えられないので、基本的には運転サイクル数を優先的に変更し、ロックアップクラッチ26はできるだけ係合状態となるように制御する。運転サイクル数の変更では対処できない場合に、ロックアップクラッチ26をスリップ係合或いは解放させる。
【0084】
なお、上記運転サイクル変更(算出)手段158は、車両状態すなわちロックアップクラッチ26、自動変速機16、トランスファ装置148などの動力伝達装置の動力伝達状態、たとえばロックアップクラッチ26の係合状態、自動変速機16の変速比γ或いはギヤ段、トランスファ装置148の駆動力配分比に応じて、たとえば前記図13および図14に示すように、共振点が遠くなるように或いは車両の振動が小さくなるように、運転サイクルの領域を変更することにより結果的にエンジン10の運転サイクル数を変更してこもり音が抑制されるようにするものであってもよい。上記ロックアップクラッチ26の係合状態、自動変速機16の変速比γ或いはギヤ段、トランスファ装置148の駆動力配分比は、こもり音の発生やこもり音の大きさに影響するこもり音関連パラメータであるので、そのこもり音関連パラメータに応じてこもり音が発生し難い側或いはこもり音が小さくなる側へ運転サイクルの領域を変更するのである。
【0085】
運転サイクル制御手段110は、基本的には、たとえば図9乃至図11に示す関係のいずれかの関係から車両状態(たとえばθACC またはθTHおよび車速V)に基づいて運転サイクルを決定し、決定された運転サイクルとなるように可変動弁機構78を作動させてエンジン10の運転サイクルを切り換えるけれども、上記エンジン運転サイクル変更(算出)手段158により決定された運転サイクル数となるように、エンジン10の運転サイクルを優先的に切り換える。運転サイクル変更禁止手段160は、運転サイクルの変更頻度を予測(算出)し、予め設定された頻度を超えた場合には、上記運転サイクル制御手段110に運転サイクルの変更を禁止を指令する。
【0086】
図25は、本実施例における電子制御装置90の制御作動の要部を説明するフローチャートである。図25において、SD1では、エンジン10の運転サイクル数を変更可能か否かが、たとえば可変動弁機構78の異常が無いこと、エンジン回転速度NE を検出するエンジン回転速度センサの異常が無いこと、そして排気ガス浄化用触媒の過熱が無いことなどに基づいて判断される。このSD1の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合は、前記ロックアップ状態検出手段152に対応するSD2において、トルクコンバータ14に設けられたロックアップクラッチ26の係合状態、たとえば完全係合状態、半(スリップ)係合状態、解放状態が、たとえばエンジン回転速度NE 、出力軸46の回転速度NOUT 、およびギヤ比(変速比)γに基づいて、或いはロックアップクラッチ26を制御するATロックアップコントロールソレノイドへの制御信号に基づいて検出される。次に、前記ロックアップ状態検出手段152に対応するSD3では、自動変速機16の変速比γが、たとえばエンジン回転速度NE および出力軸46の回転速度NOUT に基づいて、或いは自動変速機16のギヤ段の切換を制御するATシフトソレノイドへの制御信号に基づいて検出される。次いで、前記トランスファ状態検出手段156に対応するSD4では、トランスファ装置148の駆動力配分比が、たとえばそのトランスファ装置148内に備えられた図示しない駆動力配分クラッチを制御する駆動力配分コントロールソレノイドへの制御信号に基づいて検出される。
【0087】
以上のようにして、ロックアップクラッチ26の係合状態、自動変速機16の変速比γ、トランスファ装置148の駆動力配分比が検出されると、前記運転サイクル変更(算出)手段158に対応するSD5において、エンジン10の運転サイクル数が、駆動系の振動が低くなるように換言すればたとえば図24の駆動系の共振点が遠くなるように、上記ロックアップクラッチ26の係合状態、自動変速機16の変速比γ、トランスファ装置148の駆動力配分比に基づいて決定される。たとえばロックアップクラッチ26の係合状態、自動変速機14の変速比γ、トランスファ装置148の駆動力配分比などのこもり音関連パラメータと、車速Vやスロットル開度などの運転状態とに基づいて振動レベルを各運転サイクル数毎に算出し、振動レベルが低くなる側の運転サイクル数を決定する。振動レベルが低くなる側の運転サイクル数を、エンジン10の運転サイクル数として決定する。すなわち、車両の駆動系の振動が小さくなるように或いは駆動系の共振点が遠くずれてそれを避けるように運転サイクル数が変更されるようにして、車両走行中の駆動系の共振を避けてこもり音を抑制するのである。或いは、このSD5では、図13および図14の実施例と同様に、駆動系の共振点が遠くなるように或いは車両の振動が小さくなるように、運転サイクルの領域が変更され、その領域により決定された運転サイクル数に変更されるようにする。結果的に、こもり音が抑制されるように、エンジン10の運転サイクル数が変更されるようにする。
【0088】
次のSD6では、次の運転サイクルの変更を含む実際の運転サイクルの変更頻度が予測(算出)され、予測された運転サイクルの変更頻度が予め設定された頻度を超えたか否かが判断される。このSD6の判断が否定される場合は、前記運転サイクル制御手段110に対応するSD7において、上記SD5において決定されたようにエンジン10の運転サイクル数が変更される。しかし、SD6の判断が肯定される場合は、前記運転サイクル変更禁止手段160に対応するSD8において、運転サイクルの変更が禁止される。
【0089】
本実施例によれば、運転サイクル変更手段158により、車両状態すなわちロックアップクラッチ26、自動変速機16、トランスファ装置148などの動力伝達装置の動力伝達状態、たとえばロックアップクラッチ26の係合状態、自動変速機16の変速比γ或いはギヤ段、トランスファ装置148の駆動力配分比に応じて、たとえば前記図13および図14に示すように、共振点が遠くなるように或いは車両の振動が小さくなるように、運転サイクルを変更し或いはその運転サイクルを決定するための運転サイクル領域を変更するので、前述の実施例と同様の効果が得られる。すなわち、動力伝達装置の動力伝達状態に応じてエンジン10の運転サイクルが変更されることから、動力伝達装置を伝達効率の高い側に作動させても、運転環境を損なうようなこもり音の発生を抑制することができるので、燃費を可及的に向上させることができる。たとえば、従来ではこもり音の発生によって使用できなかった領域までロックアップクラッチ26の係合領域或いはスリップ領域を拡大してもこもり音の発生がそれほどなく、燃費を向上させることができるのである。
【0090】
以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0091】
たとえば、前述の実施例では、図15の実施例において、図20に対応する部分と図21に対応する部分とが設けられていたが、図20に対応する部分だけ或いは図21に対応する部分だけであっても差し支えない。
【0092】
また、前述の実施例の車両では、吸気弁74および排気弁75が電磁アクチュエータ76および77により駆動制御される電磁式の可変動弁機構78が設けられていたが、それに代えて、吸気弁74および排気弁75を上下(リフト)させるカムを回転駆動するバルスモータ或いはサーボモータを設け、それらバルスモータ或いはサーボモータの出力軸を速度制御する形式の可変動弁機構などであっても差し支えない。
【0093】
また、前述の実施例の車両では、複数組の遊星歯車を利用した有段式の自動変速機16が用いられていたが、それに代えて、噛み合いクラッチを利用した平行軸式の有段変速機、ベルト式無段変速機或いはトラクション式の無段変速機などが設けられていても差し支えない。
【0094】
また、前述の実施例では、車両のこもり音防止のために、エンジン10の運転サイクル数の変更制御またはロックアップクラッチ26の係合状態変更制御が用いられていたが、それら運転サイクル数変更制御とロックアップクラッチ26の係合状態変更制御とが同時に用いられてもよい。
【0095】
また、前述の実施例のロックアップクラッチ26はトルクコンバータ14のタービン翼車24とポンプ翼車20とを直結するものであったが、フルードカップリングのタービン翼車とポンプ翼車とを直結するものであってもよい。前述の車両において、トルクコンバータ14やフルードカップリングは必ずしも備えられていなくてもよい。
【0096】
その他、一々例示はしないが、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の制御装置によって係合油圧が制御される油圧式摩擦係合装置を含む車両用自動変速機の構成を説明する図である。
【図2】図1の自動変速機における、複数の油圧式摩擦係合装置の作動の組合わせとそれにより成立するギヤ段との関係を示す図表である。
【図3】図1の自動変速機を含む車両の原動機および駆動系の要部を説明する図である。
【図4】図1のエンジンの各気筒に設けられた可変動弁機構を説明する図である。
【図5】図4の可変動弁機構に設けられて吸気弁或いは排気弁を開閉作動させる電磁アクチュエータの構成を説明する図である。
【図6】図1乃至図3の車両に設けられた電子制御装置の入出力信号を説明する図である。
【図7】図6の電子制御装置の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図8】図7のロックアップ係合許可判定手段において、こもり音の発生を推定するために用いられる予め記憶された関係を示す図である。
【図9】図7の運転サイクル制御手段により運転サイクルを決定するために用いられる予め記憶された関係を示す図である。
【図10】図7の運転サイクル制御手段により運転サイクルを決定するために用いられる予め記憶された関係の他の例を示す図である。
【図11】図7の運転サイクル制御手段により運転サイクルを決定するために用いられる予め記憶された関係の他の例を示す図である。
【図12】図6の電子制御装置による制御作動の要部、すなわちこもり音防止のための運転サイクル制御ルーチンを説明するフローチャートである。
【図13】本発明の他の実施例において、ロックアップクラッチがオン状態であるときに運転サイクル変更手段により運転サイクルを決定するために用いられる関係を示す図である。
【図14】本発明の他の実施例において、ロックアップクラッチがオフ状態であるときに運転サイクル変更手段により運転サイクルを決定するために用いられる関係を示す図である。
【図15】本発明の他の実施例における電子制御装置の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図16】図15のこもり音発生領域内判定手段において、こもり音の発生を推定するために用いられる予め記憶された関係を示す図である。
【図17】運転サイクルが変更される過渡期間におけるロックアップクラッチのスリップ回転速度の変化を説明するタイムチャートである。
【図18】図15の目標スリップ回転速度設定手段において目標スリップ回転速度を設定するために用いられる関係を示す図であって、2サイクルのときに使用される図である。
【図19】図15の目標スリップ回転速度設定手段において目標スリップ回転速度を設定するために用いられる関係を示す図であって、4サイクルのときに使用される図である。
【図20】図15の実施例における電子制御装置の制御作動の要部を説明するフローチャートであって、こもり音防止のためのロックアップクラッチ制御ルーチンを示す図である。
【図21】図15の実施例における電子制御装置の制御作動の要部を説明するフローチャートであって、こもり音防止のためのロックアップクラッチスリップ制御ルーチンを示す図である。
【図22】本発明の他の実施例における車両の原動機および駆動系の要部を説明する図である。
【図23】図22の実施例における電子制御装置の制御機能の要部を説明する機能ブロッック線図である。
【図24】図22の実施例の車両において、駆動系の振動レベルと車速との関係を説明する図である。
【図25】図22の実施例における電子制御装置の制御作動の要部を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
10:エンジン
16:自動変速機(動力伝達装置)
26:ロックアップクラッチ(動力伝達装置)
108:運転サイクル変更手段
136:ロックアップ状態変更手段
148:トランスファ装置(動力伝達装置)
158:運転サイクル変更手段
Claims (8)
- 低サイクル領域および高サイクル領域を含む予め記憶された関係から実際の車速およびアクセル開度に基づいて判定された領域に応じて運転サイクル数の変更可能なエンジンと、動力伝達状態の制御可能なロックアップクラッチを備える動力伝達装置とを有する車両において、該エンジンの運転サイクル数および動力伝達装置の動力伝達状態を制御する車両の総合制御装置であって、
前記動力伝達装置のロックアップクラッチの係合状態に応じて前記エンジンの運転サイクル数を変更する運転サイクル変更手段を、含み、
前記運転サイクル変更手段は、前記ロックアップクラッチのオン状態に応じて前記低サイクル領域を拡大するものであることを特徴とする車両の総合制御装置。 - 前記運転サイクル変更手段は、前記車両のこもり音を抑制するように、前記動力伝達装置のロックアップクラッチのオン状態に応じて前記エンジンの運転サイクル数を減少させるものである請求項1の車両の総合制御装置。
- 前記運転サイクル変更手段は、前記動力伝達装置のロックアップクラッチのオフ状態に応じて前記高サイクル領域を拡大するものである請求項1または2の車両の総合制御装置。
- 前記運転サイクル変更手段は、車両のこもり音を抑制するように、前記ロックアップクラッチのオフ状態に応じて前記エンジンの運転サイクル数を増加させるものである請求項1の車両の総合制御装置。
- 前記運転サイクル変更手段は、前記ロックアップクラッチのオフ状態或いはオン状態に応じて前記エンジンの運転サイクル数を増加或いは減少させるものである請求項4の車両の総合制御装置。
- 前記運転サイクル変更手段は、前記ロックアップクラッチの解放状態からスリップ状態への切換に応じて前記エンジンの運転サイクル数を減少させるものである請求項4の車両の総合制御装置。
- 前記運転サイクル変更手段は、前記ロックアップクラッチのオン状態のときには、前記高サイクル領域を縮小するものである請求項1の車両の総合制御装置。
- 前記運転サイクル変更手段は、前記ロックアップクラッチのオフ状態のときには、前記低サイクル領域を縮小するものである請求項1の車両の総合制御装置。
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