JP4078745B2 - テープドライブ装置の調整方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヘリカルスキャン方式によりテープ状記録媒体に対応して再生が可能なテープドライブ装置の調整方法に関するもので、特に、再生信号に同期したクロックを抽出するPLL(Phase Locked Loop)回路の調整に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば磁気テープに対してデジタルオーディオデータを記録再生するデジタルオーディオテーププレーヤ(DATレコーダ/プレーヤ)や、同じく磁気テープを用いたDATシステムをコンピュータ用のデータのストレージシステムとして用いるようにし、コンピュータデータの記録再生を行うようにしたデジタルデータストレージ機器(DDS機器)が開発されている。
【0003】
これらの装置では回転ドラムに例えば90°のラップ角で磁気テープを巻装させた状態でテープを走行させるとともに、回転ドラムを回転させて、回転ドラム上の磁気ヘッドを用いてヘリカルスキャン方式で記録/再生走査を行なうことで高密度記録を可能にしている。なお、本明細書では、以降、このようなテープ状記録媒体に対応してデータの記録再生を行う機器について、「テープストリーマドライブ」ともいうことにする。
【0004】
このようなテープストリーマドライブにあっては、磁気テープから読み出した再生信号に同期したクロックを抽出するために、PLL回路が備えられる。
このようなPLL回路については、適正な再生動作が得られるように、例えば製造時において、中心周波数やLPF(Low Pass Filter)の通過帯域特性等の各種パラメータについての調整を行うようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、ヘリカルスキャン方式のテープストリーマドライブに使用されるPLL回路としては、次のような性能が要求される。
1つには、定常再生時におけるメディアディフェクト(磁気テープの損傷など)、及び通常再生よりも高速にテープを送るサーチ時における、いわゆるそろばん玉(菱形)状の再生信号波形による振幅変動等に対する耐性が要求される。
また、ヘリカルスキャン方式のテープストリーマドライブにあっては、プラスとマイナスでアジマス角が異なるトラックが交互にテープに記録されるのであるが、サーチ速度が高速になっていくのに従って、アジマスの相違に起因して相対速度差が拡大していくことが分かっている。このため、安定的なサーチ動作を得るためには、アジマスに起因する相対速度差に対する耐性が、可変されるサーチ速度ごとに対応して要求されるものである。
これらの性能は、例えばディスクメディアにおいては、再生信号の振幅が常に安定しており、かつ、速度偏差も生じないので、ディスクメディアの再生系に使用されるPLL回路には要求されないもので、テープストリーマドライブに特有となるものである。
【0006】
従来、PLL回路の調整に際しては、テープストリーマドライブにより通常の1倍速によりフォワード方向の再生を行って、この時に得られる定常再生信号をPLL回路に入力していた。
但し、実際には、このような定常再生信号を用いた調整では、上記のような性能を満たすようにして、PLL回路の性能を最適化することは非常に困難となる。
これは、定常再生信号というのは、振幅も非常に安定しており、かつテープとヘッドの速度偏差も非常に僅かなものとなる理想に近い信号であるため、PLLの動作が良好となる調整範囲は広くなってしまい、上記のような厳しい条件に適合する調整値をピンポイント的に特定できないことに起因するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は上記した課題を考慮して、テープストリーマドライブのPLL回路が満たすべき諸条件に適合した調整値が出来るだけ正確に得られるようにして、より良好なPLL回路の動作が得られるようにすることを目的とする。
【0008】
このため、ヘリカルスキャン方式によりトラックが記録されるテープ状記録媒体に対応して少なくとも再生を行うことのできるテープドライブ装置に備えられ、テープ状記録媒体から読み出された再生データに同期したクロックを抽出するPLL回路における所要のパラメータを調整するためのテープドライブ装置の調整方法として次のように構成することとした。
つまり、テープドライブ装置に対して、通常再生時のテープ走行速度よりも高速なテープ走行速度において、所定のテープ走行速度ごとに応じて再生動作を実行させる再生ステップと、所定のテープ走行速度ごとに応じた再生動作のもとで、アジマス角ごとに対応して、テープ状記録媒体から読み出される再生信号をPLL回路に入力する再生信号入力ステップと、PLL回路に対して再生信号が入力されている状態の下で、所要のパラメータの調整値を求める調整ステップとを行い、通常再生時のテープ走行速度よりも高速な倍速度における一定以上の所定の倍速度である高速倍速度に対応する所要のパラメータの調整値を求める際には、再生ステップは、高速倍速度よりも低速な倍速度のうちから、高速倍速度時において得られるアジマス角に起因する相対速度偏差と同等の相対速度偏差を有する倍速度を調整用倍速度として選択し、この調整用倍速度による再生動作を実行させるように構成することとした。
【0009】
上記構成によれば、PLL回路の調整に際しては、通常再生速度よりも高速な或る倍速度によりテープ状記録媒体を再生して得られる再生信号を入力することになる。倍速度時に得られる再生信号は、通常再生時に得られる信号よりも、PLL回路の動作からみれば条件的に厳しいものとなるため、PLL回路が良好に動作するパラメータの最適値のマージン(範囲)は狭いものとなる。
【0011】
また、上記構成では、PLL回路の所定パラメータの調整値が、異なるアジマス角ごとに対応して用意されることになる。また、各アジマス角ごとの調整値としては、可変されるサーチ速度(倍速度)に対応した値が用意されることになる。
また、一定以上に高速な所定倍速度である高速倍速度に応じては、高速倍速度時において得られるアジマス角に起因する相対速度偏差と同等の相対速度偏差を有する倍速度を調整用倍速度として、この調整用倍速度のもとで、調整値を求めるようにされるが、これにより、実際に高速倍速度で再生動作を実行させなくとも、上記の高速倍速度に応じた調整値を得ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以降の説明は次の順序で行う。
1.テープストリーマドライブ
2.諸特性の説明
3.本実施の形態におけるPLL回路の調整方法
【0013】
1.テープストリーマドライブ
図1は、本発明の実施の形態としてのPLL回路の調整方法が適用されるテープストリーマドライブの一構成例を示すブロック図である。この図に示すテープストリーマドライブ1は、装填されたテープカセットの磁気テープ2に対して、ヘリカルスキャン方式により記録/再生を行うようにされている。
回転ドラム3においては、その側面に対して、アジマス角の異なる2つの再生ヘッド4A、4Bが互いに180°対向するようにして設けられると共に、2つの記録ヘッド5A,5Bも互いに180°対向するようにして設けられる。
この回転ドラム3には、当該テープストリーマドライブ1に対応するテープカセット(図示せず)から引き出された磁気テープ2が巻き付けられる。そして、この回転ドラム3はドラムモータ22により回転される。
また磁気テープ2を定速走行させるためのキャプスタン(ここでは図示せず)はキャプスタンモータ23により回転駆動される。
【0014】
またテープカセット内のリールハブ2A,2Bは、それぞれリールモータ24,25により、順方向及び逆方向に回転駆動される。
ローディングモータ26は、図示しないローディング機構を駆動し、磁気テープ2の回転ドラム3へのローディング/アンローディングを実行する。
【0015】
ドラムモータ22、キャプスタンモータ23、リールモータ24,25、ローディングモータ26は、それぞれメカドライバ21からの電力印加により回転駆動される。メカドライバ21はサーボコントローラ20からの制御に基づいて各モータを駆動する。サーボコントローラ20は各モータの回転速度制御を行って通常の記録再生時の走行や高速再生時のテープ走行、早送り、巻き戻し時のテープ走行、テープカセット装填動作、ローディング/アンローディング動作、テープテンション制御動作などを実行させる。
【0016】
サーボコントローラ20が各モータのサーボ制御を実行するために、例えば、ドラムモータ22には、FG(Frequency Generator)22a、及びPG(Pulse Generator)22bが設けられる。また、キャプスタンモータ23、リールモータ24,25、ローディングモータ26の各々に対しては、FG23a,FG24a,FG25a,FG26aが設けられる。これら、FG、PGから出力される信号によって、サーボコントローラ20においては、各モータの回転情報が検出できるようになっている。
【0017】
そしてサーボコントローラ20はこれらFG、PGから得られるパルスに基づいて各モータの回転速度や回転位相差を判別することで、各モータの回転動作について目的とする回転速度や位相の誤差を検出し、その誤差分に相当する印加電力制御をメカドライバ21に対して行うことで、回転速度制御を実現することができる。従って、記録/再生時の通常走行や、高速サーチ、早送り、巻き戻しなどの各種動作時に、サーボコントローラ20はそれぞれの動作に応じた目標回転速度により各モータが回転されるように制御を行うようにされている。
【0018】
また、上記サーボコントローラ20はテープフォーマットコントローラ11から内部バス27を介してシステム全体の制御処理を実行するシステムコントローラ19と双方向に通信可能に接続されている。
【0019】
このテープストリーマドライブ1においては、データの入出力にSCSIコントローラ16が設けられる。つまり外部とのデータの授受はSCSI(Small Computer System Interface)が用いられる。例えばデータ記録時にはホストコンピュータ40から、SCSIバス30−データの入出力にSCSIコントローラ16を介してデータが入力され、インターナルバッファコントローラ14に供給される。
【0020】
インターナルバッファコントローラ14では、入力されたデータについて、バッファメモリ15を使用して一旦蓄積して、例えば単位データの時間軸的整合を図った後に、圧縮/伸長回路13に対して供給する。
【0021】
圧縮/伸長回路13では、入力されたデータについて必要があれば、所定方式によって圧縮処理を施すようにされる。圧縮方式の一例として、例えばLZ符号による圧縮方式を採用するのであれば、この方式では過去に処理した文字列に対して専用のコードが割り与えられて辞書の形で格納される。そして、以降に入力される文字列と辞書の内容とが比較されて、入力データの文字列が辞書のコードと一致すればこの文字列データを辞書のコードに置き換えるようにしていく。辞書と一致しなかった入力文字列のデータは逐次新たなコードが与えられて辞書に登録されていく。このようにして入力文字列のデータを辞書に登録し、文字列データを辞書のコードに置き換えていくことによりデータ圧縮が行われるようにされる。
【0022】
テープフォーマットコントローラ11においては、圧縮/伸長回路13の出力について、バッファメモリ12を作業領域として使用してテープフォーマットに従った所要のデータ処理、信号処理を実行する。ここでは、例えば、エラー訂正符号の付加、サブコードの付加、同期信号の付加等を実行すると共に、最終的には、テープ対する磁気記録に適合した変調処理を施して、デジタルイコライザ/ビタビデコーダ10に供給する。
【0023】
デジタルイコライザ/ビタビデコーダ10は、記録時においては、必要があれば入力データに対して所要のイコライジング処理を行って、記録データとしてRF処理部8に出力する。
【0024】
RF処理部8では供給された記録データについて記録イコライジング等の処理を施して磁気記録のための記録信号を生成し、記録アンプ9に供給する。記録アンプ9では、入力された記録信号について増幅を行って、ロータリートランス7を介して記録ヘッド5A、5Bに供給する。これにより記録ヘッド5A、5Bから磁気テープ2に対して磁気印加が行われ、データの記録が行われることになる。
【0025】
また、データ再生動作について簡単に説明すると、磁気テープ2の記録データが再生ヘッド4A、4BによりRF再生信号として読み出される。その出力は、それぞれ再生アンプ6A,6Bにて増幅された後、ロータリートランス7を介するようにして、RF処理部8に対して出力される。
RF処理部8においては、再生イコライジング、再生クロック生成、2値化などの処理が行われる。なお、RF処理部8内部の構成については後述する。
【0026】
RF処理部8において2値化されたRF再生信号は、デジタルイコライザ/ビタビデコーダ10に出力され、ここで、例えばビタビ復号に適合した波形等価(イコライジング処理)及びビタビ復号処理が実行され、テープフォーマットコントローラ11に供給される。
【0027】
テープフォーマットコントローラ11では、バッファメモリ12を利用して、入力されたデータについての誤り訂正処理、サブコードの抽出等を行い、圧縮/伸長回路13に出力する。
圧縮/伸長回路13では、システムコントローラ19の判断に基づいて、記録時に圧縮が施されたデータであればここでデータ伸長処理を行い、非圧縮データであればデータ伸長処理を行わずにそのままパスして出力する。
圧縮/伸長回路13の出力データは、一旦、インターナルバッファコントローラ14に供給される。インターナルバッファコントローラ14では、バッファメモリ15を使用して、例えば、入力データを所定のデータ単位に整えるなどして、SCSIコントローラ16に対して出力する。SCSIコントローラ16では、入力された再生データを、SCSIバス30を介してホストコンピュータ40に対して出力する。
【0028】
システムコントローラ19はマイクロコンピュータ等を備えて成り、内部バス27を介して、テープフォーマットコントローラ11、圧縮/伸長回路13、インターナルバッファコントローラ14,SCSIコントローラ16、フラッシュROM17、ワークRAM18と相互通信可能に接続されていることで、各機能回路部に対しての各種制御処理を実行する。なお、本実施の形態においては、後述するRF処理部8内に備えられるPLL回路の各種パラメータを可変制御するためのパラメータ制御信号S1を出力可能とされている。
ここで、フラッシュROM17及びワークRAM18には、システムコントローラ19が各種処理に用いるデータが記憶される。フラッシュROM25には、システムコントローラ19が実行すべき各種制御処理のためのプログラムや、各種制御値等が記憶される。特に本実施の形態においては、制御値が格納される領域として、PLL調整値記憶領域17aが設けられる。
本実施の形態においては、後述するようにして、RF処理部8内のPLL回路の調整を製造時において行うのであるが、このときに得られた各種パラメータに関する所要の調整値が、PLL調整値記憶領域17aに格納されるものである。
ワークRAM18には、例えば、システムコントローラ19が行った処理結果や演算値等が一時的に格納される。
【0029】
なお、フラッシュROM17,ワークRAM18は、システムコントローラ19を構成するマイクロコンピュータの内部メモリとして構成してもよく、またバッファメモリ12(又はバッファメモリ15)の領域の一部をワークメモリとして用いる構成としてもよい。
【0030】
ここで、図1におけるRF処理部8の内部構成として、再生RF信号を2値化して出力する再生回路系の構成例を図2に示す。
RF処理部8としては、イコライザ61、AGC(Automatic Gain Controll)回路62、PLL回路63、及びA/Dコンバータ64が備えられる。
再生ヘッド4A→再生アンプ6A,及び再生ヘッド4B→再生アンプ6Bを介して出力された再生RF信号は、イコライザ61にてイコライジング処理が行われた後AGC回路62によりゲイン調整が行われ、A/Dコンバータ64及びPLL回路63に対して分岐して出力される。
A/Dコンバータ64では、入力された再生RF信号についてA/D変換することで2値化を行って、後段のデジタルイコライザ/ビタビデコーダ10に対して出力する。
【0031】
PLL回路63は、再生RF信号を入力することで、再生信号に同期した周波数のクロックを生成して出力する。PLL回路63は、例えば図のように、位相比較器71、ローパスフィルタ72、電庄制御発振器(VCO)74、および分周器73とを備えて成る。
位相比較器71は、イコライザ61→AGC回路62を介した再生RF信号とと、分周器73からの入力との位相を比較し、その位相誤差を出力する。ローパスフィルタ72は、位相比較器71の出力する位相誤差信号の位相を補償し、VCO74に出力する。VCO74は、ローパスフィルタ72の出力に対応する位相のクロックを発生し、分周器73に出力する。分周器73は、VCO74から入力されるクロックを所定の値で分周し、分周した結果を位相比較器71に出力している。
【0032】
この場合、VCO74が出力するクロックは、ここではA/Dコンバータ64のクロックとして供給されている。なお、ここでは、図示しないが、再生信号処理のための他の機能回路部に対しても、必要があれば分周などが行われて、クロックとして供給されるものである。
また、この図に示すPLL回路63においては、システムコントローラ19からのパラメータ制御信号S1に応じて、内部における所定の機能回路部における所定のパラメータを変更可能とされている。ここでは、特に変更可能なパラメータとしては、限定しないが、例えば、VCO74の中心周波数、LPF72の通過帯域特性などが挙げられる。
【0033】
また、図3に記録時及び再生時の動作のイメージを示す。
テープカセットから引き出された磁気テープ2は、ガイドピン51,52,53により、回転ドラム3に対して高さ方向に傾斜した状態で約90°のラップ角で以て巻きつけられ、キャプスタン54とピンチローラ55によって定速で走行する。
【0034】
また、図1に示したアジマス角が互いに異なる再生ヘッド4A,4B及び記録ヘッド5A,5Bは、実際にはアジマスベタ記録方式が採用されることで、図3に示すように、それぞれ互いに180°離れた状態で回転ドラムの周面上に配置されている。
【0035】
回転ドラム3と磁気テープ2が上記のような位置関係にあることで、記録時において記録ヘッド5A,5Bにより記録が行われる結果、図4に示すように、アジマス角度の異なるトラックTK1 とトラックTK2 が交互に形成されていく。また、ヘリカルスキャンとされていることで、これらトラックは、図のように斜め方向に記録されていくことになる。
【0036】
また、通常再生時には、図3のように回転ドラム3に巻きつけられた磁気テープ2が走行されるとともに、回転ドラム3が回転されることで、再生ヘッド4A,4Bが交互に、同じアジマス角の記録トラックをトレースしていくようにされる。これによって、トラックに記録されたデータが読み出されることになる。
【0037】
2.諸特性の説明
ここで、本実施の形態としてのPLL回路の調整方法について説明する前に、その前提となるテープストリーマドライブとしての特性について述べておく。
【0038】
図5は、本実施の形態のテープストリーマドライブ1により、定常速度(1倍速)で磁気テープ2をフォワード(FWD)方向に送った場合のヘッドと磁気テープとの関係を概念的に示している。つまり、磁気テープ2に記録されるトラック角度を示すものである。
なお、以降の説明において、記録ヘッド5A,5Bについて特に区別する必要の無いときは、記録ヘッド5と記述し、同様に、再生ヘッド4A,4Bについても再生ヘッド4と記述する。
【0039】
図5(a)は、記録ヘッド5が磁気テープ2に対してトレースを開始して、トラックの記録を開始する状態を示している。ここで、記録ヘッド5の軌跡としては、磁気テープ2の走行方向が図の矢印aに示す方向であるとすると、例えば図5(a)の矢印bに示すものとなる。この矢印bに示す記録ヘッド5の軌跡は、例えば、回転ヘッドの取り付け角度(スチル角)により決まるものである。
【0040】
図5(b)は、記録ヘッド5が磁気テープ2に対するトレースを終了して、トラックの記録が終了した状態を示しているものとされる。
この図は、記録ヘッド5が磁気テープ2をトレースすることにより形成されるトラックは、磁気テープがVtの速度でもって走行していることにより、実際には矢印cに示す角度となって、矢印bである記録ヘッド5の軌跡よりも立ち上がる状態となることが示されている。
【0041】
ここで、トラック長をL、回転ドラム3の線速度(ドラム線速度;ヘッド速度)をVh、ドラム回転周期をTとすると、磁気テープ2は回転ドラム3に対して90°(=360/4)のラップ角を有しているのであるから、トラック長Lは
L=Vh・T/4・・(式1)
のようにして表される。
また、ドラム1/4回転(ヘッドが磁気テープをスキャンする期間)で磁気テープが走行する長さは、
Vt・T/4・・・(式2)
で表される。
【0042】
また、上記図5(b)について図5(c)のようにベクトル図として置き換え、回転ドラムのスチル角(矢印bに対応)をθ0とし、ヘッド軌跡によって形成されるとしたトラック長をLとすると、
トラック角(矢印cに対応)θrは、
【数1】
Figure 0004078745
で表すことができる。
【0043】
また、図5(b)について、図5(d)のようにベクトル図として置き換えて、矢印bをドラム回転速度Vhとして扱えば、
【数2】
Figure 0004078745
のようにして、磁気テープ2と記録ヘッド5との相対速度Vrを求めることができる。つまり、この図5(d)は、相対速度は、ドラム回転速度Vhと一致するものではなく、ドラム回転速度Vhとテープ走行速度Vtのベクトル成分を合成したものが、相対速度となることを意味している。但し、1倍速FWDの条件では、テープ走行速度Vtとドラム回転速度Vhとについて
Vt≪Vh
の関係が得られるため、データ再生に関しては、相対速度Vr=ドラム回転速度Vhと扱ってよい。
【0044】
ここで、上記各種演算に用いたパラメータの実際の値を示しておく。
Vh(=Vr)=6.68m/s
Vt=11.55mm/s
θ0=6°21′0.52″
θr=6°22′39.6″
また、上記図5に示す関係は、記録ヘッド5によりトラック記録を行う場合に対応した説明となっているが、再生ヘッド4により1倍速FWDで通常再生を行う場合にも同様となる。つまり、で示す相対速度Vrに対応する矢印bのヘッドスキャン軌跡によってトレース(スキャン)を行うことになる。
【0045】
図6は、3倍速FWDの場合を示している。3倍速FWDは、定常速度よりも高速なサーチ動作となるが、本実施の形態のテープストリーマドライブにあっては、サーチ動作のなかでも低速サーチとして扱われる。このような低速サーチでは、ドラム回転速度Vhは、定常再生時と同一の速度とされる。
【0046】
ここで、3倍速FWD時の相対速度をVr3とすると、この相対速度Vr3は、図6(a)のようにして示すことができる。つまり、相対速度Vr3は、定常再生時と同一のドラム回転速度Vhと、テープ走行速度3Vtのベクトル成分の合成によって得られることになる。
これは、1倍速FWD時の相対速度Vr1に対して、相対速度Vr3が低速となることを示している。また、このときの実際のヘッドスキャン角度は、図6(a)のθr3で表され、1倍速FWD時のヘッドスキャン角度θr1よりも大きくなる。従って、図6(b)に示すように、3倍速FWD時のヘッドスキャン軌跡は、トラックTKの傾斜角よりも立ち上がることになる。
【0047】
また、3倍速FWD時においては、再生ヘッドが磁気テープをスキャンすることによって得られる再生信号は、模式的には図6(c)に示すような再生RF信号の波形(エンベロープ)が得られる。これがいわゆるそろばん玉(菱形)状の波形といわれる。
このような波形となるのは、例えば再生ヘッドが倍速度に応じて或る複数のトラックを跨ぐことに起因する。つまり、ここで、スキャンを行ったのがプラスアジマスの再生ヘッドであるとすれば、マイナスアジマストラックを横切るときには振幅が小さくなり、次のプラスアジマストラックを横切るときには振幅が大きくなることで、図6(c)に示す波形が得られるものである。
参考までに、図8に、1倍速FWD時に得られる再生RF信号波形を示す。1倍速FWD時においては、再生ヘッドがオントラック状態でトレースを行うことになるため、図のように、そろばん玉状とはならずに、1トラックをスキャンする期間にわたって、振幅がほぼ安定した波形が得られるものである。
【0048】
また、図7に、3倍速による巻き戻し(3倍速RVS)の場合を示す。このような低速の巻き戻しサーチにあっても、ドラム回転速度Vhは、定常再生時と同一の速度とされる。
【0049】
3倍速RVS時の相対速度をVr-3とすると、この相対速度Vr-3は、図7(a)のようにして、定常再生時と同一のドラム回転速度Vhと、巻き戻し方向のテープ走行速度−3Vtのベクトル成分の合成によって得られることになる。また、このときのヘッドスキャン角度は、θr-3によって示される。
ここでは、相対速度Vr-3は、1倍速FWD時の相対速度Vr1よりも高速となり、かつ、ヘッドスキャン軌跡としては、ヘッドスキャン角度についてθr-3<θr1となることで、図7(b)にも示すように、1倍速FWD時よりも寝た状態となることが示されるものである。
また、このときに得られる再生RF信号波形は、例えば図7(c)に示すものとなる。つまり、図7(b)に示したスキャン軌跡となることで、3倍速FWD時よりも横断トラック数が増えることで、1ヘッドスキャンあたりに現れるそろばん玉状のエンベロープ波形の数も増えることになる。
【0050】
続いて、図9に高速サーチ時の場合を示す。ここでは、50倍速FWD時の場合を示すこととする。
ここで、図9(a)は、ドラム回転速度Vhについて定常再生時(1倍速FWD時)と同一とした条件のもとで、テープ走行速度をFWD方向に50倍した場合を示している。
【0051】
これまでの説明からも分かるように、50倍FWD時の相対速度をVr50とすれば、この相対速度Vr50は、ドラム回転速度Vhとテープ走行速度50Vtのベクトル成分の合成によって得られることになる。
この場合、テープ走行速度50Vtとしてのベクトル成分が、1倍速FWD時のテープ走行速度よりも著しく大きくなるので、相対速度Vr50は、低速サーチ時よりも遙かに小さくなる。この程度に相対速度が小さくなると、現実的には、RF処理部8内のPLL回路63が追随できなくなる。また、巻き戻し(RVS)方向の高速サーチにあっては、相対速度が著しく大きくなることで、やはりPLL回路63が追随することが困難となる。
このため、図1に示したテープストリーマドライブ1では、所定倍速以上の高速サーチ時には、ドラム回転速度Vhを変化させることで、高速サーチ時における相対速度が、通常再生時の相対速度と同等となるようにしている。
【0052】
具体的に、上記図9(a)に例として示した50倍速FWD時であれば、図9(b)に示すようにして、ドラム回転速度について、Vh50で示される所定の高速度として、この時に得られる相対速度Vr50(correct)における相対速度Vrと同一方向のベクトル成分A(記録されたトラック方向成分に相当する)が、相対速度Vrと同一となるようにしている。逆に、リバース方向の高速サーチ時には、ドラム回転速度を定常速度Vhよりも低速にすることで相対速度を補正する。
一般的にいえば、或る高速サーチ時に得られる相対速度VrN(correct)の相対速度Vrと同一方向のベクトル成分Aが相対速度Vrと同一となるような、ドラム回転速度VhN を決定すればよいものである。
【0053】
また、アジマスベタ記録によりトラックが形成される場合においては、アジマス角による相対速度偏差が生じることも知られている。
図10(a)には、互いに隣接する1対のプラスアジマストラックTK1とマイナスアジマストラックTK2とが示されているが、例えば、プラスアジマストラックTK1に対して或るドラム回転速度によりヘッドが走査したとすれば、この図10(a)に示す方向に対応するものとして、図10(b)のベクトルを得ることができる。そして、アジマス方向の速度エラー成分は、図10(b)に示すようにして得られることになる。この図に依れば、アジマス方向の速度エラー成分は、テープ走行速度(トラック横断方向速度成分)が大きくなるのに従って大きくなることが理解される。また、図10(b)はプラスアジマスについて示しているが、この図から自明なように、マイナスアジマスの速度エラー成分に関しては、プラスアジマスの場合と逆のベクトル方向に対して、テープ走行速度(トラック横断方向速度成分)が大きくなるのに従って大きくなることも理解される。
つまり、プラスアジマスとマイナスアジマス間速度エラー成分、つまり異なるアジマス間での相対速度偏差は、図11に示すように、FWD方向及びRVS方向への倍速度が増加するにつれて拡大するものである。この図に依れば、FWD方向のサーチでは、高速となるのに従って、プラスアジマスは−方向に速度エラーが大きくなり、マイナスアジマスは+方向に速度エラーが大きくなることが分かる。また、逆に、RVS方向のサーチでは、高速となるのに従って、プラスアジマスは+方向に速度エラーが大きくなり、マイナスアジマスは−方向に速度エラーが大きくなることが分かる。そして、例えば200倍速FWD時には、プラスアジマスは−2%、マイナスアジマスは+2%の相対速度エラーとなり、200倍速RVS時には、プラスアジマスは+2%、マイナスアジマスは−2%の相対速度エラーとなっている。
【0054】
3.本実施の形態におけるPLL回路の調整方法
これまでの説明を前提とした上で、本実施の形態としてのPLL回路63の調整方法について述べる。
先ず、PLL回路63を調整するのにあたっては、定常再生時だけではなく、定常再生時よりも高速にテープを送るサーチ時においても、良好なPLL回路の動作が得られるような的確な調整値を求める必要がある。また、定常再生時であっても、ディフェクトなどに起因する再生信号の振幅変動にも対応して良好な動作が得られるようにする必要がある。
ここで、先にも述べたように、調整時において、1倍速FWDによる通常再生を行って得られる再生信号をPLL回路63に入力しても、この再生信号は安定した特性を有しているため、この時にPLL回路63の動作が保証される調整値のマージンは広い。このため、サーチ時のような条件の厳しい信号波形が入力された場合にも対応した最適値を得ることが非常に困難とされる。
【0055】
そこで、本実施の形態としては、例えば製造段階においてPLL回路63の調整を行うのにあたり、定常再生速度(1倍速FWD)により、調整用の磁気テープを走行させて得られる再生RF信号をPLL回路63に入力するのではなく、定常再生速度よりも高速な或る倍速度により磁気テープを走行させる。これにより、PLL回路63に入力される再生RF信号は、図6及び図7にて説明したようなそろばん玉状の波形となって、定常再生時にはない振幅変動等の不利な特性を有することになる。
このような信号を入力した場合、PLL回路63における各種所要のパラメータの調整値として、PLL回路63が適正に動作する範囲は、極端に狭められることになる。従って、この条件で得た調整値によってパラメータを設定してPLL回路を動作させれば、PLL回路63としては、通常再生時を含めて、倍速再生時にも良好な動作が得られることになるわけである。また、このような厳しい条件の再生信号に基づいて調整を行ったことで、磁気テープのディフェクトに起因する再生信号の変動にも対応してPLL回路63の動作を保証することができる。
本実施の形態においては、上記のようにして或る所定倍速度の再生信号をPLL回路に入力して調整を行うことが前提となる。
【0056】
このうえで、本実施の形態としては、図10及び図11にて説明した高速サーチ時におけるアジマスによる相対速度偏差を補償するためのPLL回路63の調整も行う。
そして、このアジマスによる相対速度偏差に対応してのPLL回路63の調整としては、プラスアジマスとマイナスアジマスとでそれぞれ独立した調整値を得るようにする。更に、プラスアジマスとマイナスアジマスとで、所定の倍速度(FWD/RVS)ごとに対応した調整値を得るようにされる。
【0057】
これらの調整値は、先に図1に示したフラッシュROM17内のPLL調整値記憶領域17aに対して格納される。そして、実際にテープストリーマドライブ1により再生を行う場合には、システムコントローラ19の制御によって、PLL調整値記憶領域17aに記憶されている調整値のうち、現在のテープ走行速度に対応する各種パラメータの調整値を読み出して、PLL回路63における各種パラメータの設定を行う。更にこの際、プラスアジマスに対応する再生ヘッド4Aが磁気テープをトレースしているときには、プラスアジマスに対応する調整値に基づいてパラメータ設定を行い、マイナスアジマスに対応する再生ヘッド4Aが磁気テープをトレースしているときには、マイナスアジマスに対応する調整値に基づいてパラメータ設定を行うようにするものである。
【0058】
そして、実際にどのようにして、アジマスによる相対速度偏差に対応してPLL回路63の調整を行うのかについて述べる。
アジマスによる相対速度偏差は、前述したように高速サーチ時に顕著となる。このため、アジマスによる相対速度偏差に対応したPLL回路の調整を行うとすれば、実際に求めるべき調整値に対応した倍速度で磁気テープを走行させて、このときに得られる再生信号に基づいて調整を行うようにすればよいように思われる。
しかし、このときの倍速度は高速の範囲に入るものであることから、実際には磁気テープが比較的短時間で巻き終わってしまい、調整時間が足りないという状況になってしまう。
【0059】
そこで、本実施の形態においては、高速サーチとされる特定の倍速度時に得られる、アジマスに起因する相対速度偏差とほぼ一致する相対速度偏差が得られる低速サーチとされる倍速度時の再生信号をPLL回路63に入力して調整を行うようにする。これは、プラスアジマスとマイナスアジマスとでそれぞれ行うようにする。
このような調整方法とすれば、テープ走行速度は異なるものの、補償対象である相対速度偏差は同一であるため、アジマスに起因する相対速度偏差補償のための調整値は的確に得られることになる。そして、テープ走行速度は、低速の倍速度とされたことで、調整時間も確保できることになる。
【0060】
以下、アジマスに起因する相対速度偏差補償のための調整方法の具体例として、200倍速FWD時と、200倍速RVS時に対応した場合について説明する。
【0061】
図12は、当該テープストリーマドライブ1におけるテープ走行速度の倍速値ごとの所定のパラメータを試算した結果を示している。
この図におけるパラメータとしては、以下のようになっている。
倍速値:N(テープ送り(走行)速度倍速値)
ヘッド速度:Vh[m/s](ドラム回転数とドラム直径から求められるヘッド周速)
ドラム傾き角:θ0[deg](ドラム取り付け角=ヘッドがスキャンする角度)
テープ速度:Vt[mm/s](1倍速時のテープ送り速度)
1倍速時の相対速度:Vr[m/s](1倍速テープ走行速度時のテープとヘッドの相対速度)
相対速度:Vrn[m/s](N倍速テープ走行速度時のテープとヘッドの相対速度)
相対速度偏差:(Vrn−Vr)/Vr[%](1倍速テープ走行速度時の相対速度を0とした偏差)
テープ上のヘッド軌跡角:θrn[deg](テープ上をヘッドが走行する角度)
補正後ヘッド速度:Vhn[m/s](相対速度を1倍速時と同じに保つための補正後のヘッド周速)
ヘッド速度補正量:(Vhn−Vh)/Vh[%](ヘッド速度の補正量)
また、この図では、倍速値Nとして、±1,±2,±3,±4,±5,±6,±7,±8,±9,±10,±11,±12,±13,±50,±100,±150,±200が示されている。そしてここでは、±1〜±13までの倍速値Nを低速サーチとして扱い、±50〜±200までの倍速値Nを高速サーチとして扱う。
【0062】
図12は、先に図5〜図11により説明した事象を具体的に示しているものとみることができる。
例えば、図12により、ヘッド速度は6.6786m/sであるが、1倍速時の相対速度Vrはテープ速度Vtとの合成ベクトルになるので、若干低下して、Vr=6.6671m/sとなっている。
また、N倍速時の相対速度Vnrは、FWD(+)方向では小さくなり、RVS(−)方向では高くなることが示される。
また、N倍速時のヘッド軌跡角θrnは、FWD(+)方向では角度が大きくなって立ち上がり、RVS(−)方向では角度が小さくなって寝ていくことが示される。
また、N倍速時の相対速度Vrnを1倍速時相対速度Vrと等しくするためにはドラム回転数を変化させるのであるが、例えば200倍速FWD(N=+200)時にはヘッド回転速度を34%程度増加させて8.9629m/sにする必要のあることが示される。これに対して、200倍速RVS(N=−200)時にはヘッド回転速度を約−34.5%に低下させて、4.37138.9629m/sにm/sにする必要のあることが示される。
なお、実際のテープストリーマドライブ1としてのセットにおいては、先にも述べたように、相対速度偏差に対応したドラム回転速度の補正は、低速サーチ時には特に行わず、例えばN=±50よりも高速となる高速サーチ時において行うものとされる。±200倍速サーチ時に生じるアジマスに起因しての相対速度偏差(例えば±2.0%)は、このドラム回転速度の補正が行われた上で現れるものである。
【0063】
ここで、本実施の形態のテープストリーマドライブ1において、200倍速FWD時と200倍速RVS時とでの速度偏差(速度エラー)が、図11に示す結果であるとする。つまり、200倍速FWD時と200倍速RVS時とでは、それぞれ、プラスアジマスとマイナスアジマスとで、±2.0%の速度偏差が生じているものとする。
図12によると、低速サーチとされる倍速値のなかで、+2.0%に最も近い相対速度偏差を有するのは、−11倍速(×11RVS)時の、2.0663%である。
また、低速サーチとされる倍速値のなかで、−2.0%に最も近い相対速度偏差を有するのは、+13倍速(×13FWD)時の、−2.0658%である。
【0064】
従って、図13(a)に示すように、アジマスに起因する相対速度偏差+2.0%に対応して調整を行うための調整用サーチ速度は、×11RVSとし、相対速度偏差−2.0%に対応して調整を行うための調整用サーチ速度は、×13FWDとすればよいことになる。
【0065】
そして、×11RVSのテープ走行速度により調整された、PLL回路63における或るパラメータに対する調整値をPLL_p2.0とし、×13FWDのテープ走行速度により調整された、PLL回路63における同じパラメータに対する調整値をPLL_m2.0とすれば、図11に示した結果と照らし合わせた場合には、200倍速FWD時と200倍速RVS時とで、プラスアジマスとマイナスヘッドの各々に対応した調整値は、図13(b)に示すものとなる。
つまり、200倍速FWD時においては、プラスアジマスヘッドによる再生時にPLL_m2.0の調整値を設定し、マイナスアジマスヘッドによる再生時にPLL_p2.0の調整値を設定することになる。
また、200倍速RVS時においては、プラスアジマスヘッドによる再生時にPLL_p2.0の調整値を設定し、マイナスアジマスヘッドによる再生時にPLL_m2.0の調整値を設定するものである。
【0066】
上記のようにして設定された調整値を、200倍速FWD時、200倍速RVS時にPLL回路63に与えて内部のパラメータ変更を行うようにすれば、200倍速サーチ時におけるPLL回路の動作を安定したものとすることが可能になる。
【0067】
そして、これまで説明した200倍速FWD時、200倍速RVS時の場合における調整を、調整が必要とされるサーチ倍速ごとに行えば、先にも述べたように、可変される倍速ごとにプラスアジマスとマイナスアジマスとに対応した調整値が得られる。そして、これをPLL調整値記憶領域17aに対して記憶させるものである。これが本実施の形態の調整手順である。
【0068】
ここで参考までに、上記図12に示したパラメータのうち、相対速度Vrn,テープ上のヘッド軌跡角θrn,補正後のヘッド速度Vhnを得るための演算式を挙げておく。
相対速度Vrnについては、図14(a)に示される、ヘッド速度Vh,ドラム傾き角θ0,1倍速時の相対速度Vr,N倍速時のテープ速度NVt,N倍速時の相対速度Vrnの関係を、図14(b)に示す図形に置き換えたとして、
【数3】
Figure 0004078745
により求めることができる。
また、テープ上のヘッド軌跡角θrnは、
【数4】
Figure 0004078745
により求めることができる。
更に、補正後のヘッド速度Vhnは、
【数5】
Figure 0004078745
によって求められる。
【0069】
なお、上記実施の形態にあっては、調整値を求める際の評価関数、つまり、PLL回路の動作状態を判定するための特性については言及していないが、本発明としては、PLL回路の動作状態を判定し得る評価関数である限り特に限定されるものではない。一例としては、エラーレートや、デジタル信号段階でのSN比などが挙げられる。
【0070】
また、本発明としての調整方法の概念は、上記したテープストリーマドライブ1の構成に対してのみ適用されるものではなく、ヘリカルスキャンによりテープ状記録媒体に対して再生を行うことのできるテープドライブ装置に対して適用が可能である。例えば先に本出願人により、テープカセットに管理情報を記憶するメモリ素子を備えたテープストリーマドライブも提案されているが、このような装置に対しても適用が可能である。また、磁気記録に限定されるものではなく、例えば将来的に、光学的手段を用いて記録再生が行われるようなテープドライブ装置に対しても適用は可能とされる。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、ヘリカルスキャン方式によりテープ状記録媒体に対して再生を行うテープドライブ装置におけるPLL回路の調整として、通常再生よりも高速な倍速度時に得られる再生信号を入力して調整を行うようにされる。このようにして得られる調整値は、適正値となるマージンが狭い条件の下で得られるため、通常再生時に対してはもちろんのこと、再生信号の特性が不安定となる倍速サーチ時やテープのディフェクトに対しても、安定したPLL回路の動作が得られることになる。
【0072】
また、可変された所定倍速度ごとに、例えばプラスアジマスとマイナスアジマスのそれぞれに対応した調整値を求めるようにすれば、アジマス角及び倍速度に対応したPLL回路の動作を補償することができる。
ここで、特に高速サーチ時におけるプラスアジマスとマイナスアジマスの相違に起因する相対速度偏差に対応してPLL回路の動作を補償するために、或る高速サーチに対応するテープ走行速度よりも低速な倍速テープ再生速度のうちから、相対速度偏差が同等の倍速度を選んで、この選択した倍速度によって調整を行うようにすれば、上記アジマス角の相違に起因する相対速度偏差に対する調整は、実際の高速なサーチ再生時と同様の条件で行うことができると共に、テープ走行速度が実際のサーチ速度よりも低速となったことで、テープが巻終わるまでの時間も長くなるため、調整時間を確保することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態のテープストリーマドライブの構成例を示すブロック図である。
【図2】RF処理部内の再生系の構成例を示すブロック図である。
【図3】回転ヘッドに対するテープの巻き付け状態を概念的に示す平面図である。
【図4】磁気テープに形成されるトラックを概念的に示す説明図である。
【図5】1倍速FWD時のテープとヘッドとの関係を示す説明図である。
【図6】3倍速FWD時のテープとヘッドとの関係、及びこの条件で得られる再生RF信号のエンベロープを示す説明図である。
【図7】3倍速RVS時のテープとヘッドとの関係、及びこの条件で得られる再生RF信号のエンベロープを示す説明図である。
【図8】1倍速FWD時に得られる再生RF信号のエンベロープを概念的に示す説明図である。
【図9】50倍速以上の高速サーチ時のテープとヘッドとの関係、及び相対速度補正のためのドラム回転速度可変を概念的に示す説明図である。である。
【図10】アジマス角に起因する速度エラー(相対速度偏差)の発生を示す説明図である。
【図11】倍速度に応じての、アジマス角に起因する速度エラー(相対速度偏差)の傾向を示す説明図である。
【図12】
本実施の形態のテープストリーマドライブにおける各パラメータの試算結果を示す説明図である。
【図13】200倍速FWD,RVS時に対応しての、調整用サーチ速度の選択、及び調整値の適用を示す説明図である。
【図14】相対速度Vrnを求める演算式の根拠となる図形を示す説明図である。
【符号の説明】
1 テープストリーマドライブ、2 磁気テープ、2A,2B リールハブ、3 回転ドラム、4A,4B 再生ヘッド、5A,5B 記録ヘッド、6A,6B、再生アンプ、7 ロータリートランス、8 RF処理部、9 記録アンプ、10 デジタルイコライザ/ビタビデコーダ、11 テープフォーマットコントローラ、12 バッファメモリ、13 圧縮/伸長回路、14 インターナルバッファコントローラ、15 バッファメモリ、16 SCSIコントローラ、17 フラッシュROM、17a PLL調整値記憶領域、18 ワークRAM、19 システムコントローラ、20 サーボコントローラ、21 メカドライバ、22 ドラムモータ、23 キャプスタンモータ、24,25 リールモータ、26 ローディングモータ、22a〜26a FG、22b PG、27 内部バス、30 SCSIバス、40 ホストコンピュータ、51 ガイドピン、54 キャプスタン、55 ピンチローラ、61 イコライザ、62 AGC回路、63 PLL回路、64 A/Dコンバータ、71 位相比較器、72 ローパスフィルタ、73 分周器、74 VCO

Claims (1)

  1. ヘリカルスキャン方式によりトラックが記録されるテープ状記録媒体に対応して少なくとも再生を行うことのできるテープドライブ装置に備えられ、上記テープ状記録媒体から読み出された再生データに同期したクロックを抽出するPLL回路における所要のパラメータを調整するための、テープドライブ装置の調整方法として、
    上記テープドライブ装置に対して、通常再生時のテープ走行速度よりも高速なテープ走行速度において、所定のテープ走行速度ごとに応じて再生動作を実行させる再生ステップと、
    上記所定のテープ走行速度ごとに応じた再生動作のもとで、アジマス角ごとに対応して、上記テープ状記録媒体から読み出される再生信号を上記PLL回路に入力する再生信号入力ステップと、
    上記PLL回路に対して上記再生信号が入力されている状態の下で、所要のパラメータの調整値を求める調整ステップとを行い、
    通常再生時のテープ走行速度よりも高速な倍速度において、一定以上の所定の倍速度である高速倍速度に対応する所要のパラメータの調整値を求める際には、上記再生ステップは、上記高速倍速度よりも低速な上記倍速度のうちから、上記高速倍速度時において得られるアジマス角に起因する相対速度偏差と同等の相対速度偏差を有する倍速度を調整用倍速度として選択し、この調整用倍速度による再生動作を実行させる、
    ことを特徴とするテープドライブ装置の調整方法。
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