本発明のカメラモジュールは、第1の弾性体と第2の弾性体とが同一形状であって、前記レンズの光軸方向に前記第1の弾性体を投影した形状とは異なるよう前記第2の弾性体は配置されている。そのため、レンズと撮像素子の相対距離を変化させる場合に摩擦がほとんど生じない。それにより、小型化、薄型化および低消費電力化された、焦点制御機能を有するカメラモジュールを提供することができる。また、レンズ部のチルトの発生を抑制できるため、撮像素子に常に良好な結像を得ることができ、良好な画像を得るカメラモジュールを提供することができる。
また、本発明のカメラモジュールにおいて、好ましくは、前記第2の弾性体は、前記第1の弾性体を前記レンズの光軸方向に略平行移動し、さらに前記レンズの光軸に垂直な軸に対して、対称に反転させたように配置されている。そのため、レンズと撮像素子の相対距離を変化させる場合に摩擦がほとんど生じない。それにより、小型化、薄型化および低消費電力化された、焦点制御機能を有するカメラモジュールを提供することができる。また、レンズ部のチルトの発生を抑制できるため、撮像素子に常に良好な結像を得ることができ、良好な画像を得るカメラモジュールを提供することができる。
また、本発明のカメラモジュールにおいて、好ましくは、前記第2の弾性体は、前記第1の弾性体を前記レンズの光軸方向に略平行移動し、さらに前記レンズの光軸を中心として、回転させたように配置されている。つまり第1の弾性体と第2の弾性体との位相がずれるように配置されている。そのため、レンズと撮像素子の相対距離を変化させる場合に摩擦がほとんど生じない。それにより、小型化、薄型化および低消費電力化された、焦点制御機能を有するカメラモジュールを提供することができる。また、レンズ部のチルトの発生を抑制できるため、撮像素子に常に良好な結像を得ることができ、良好な画像を得ることができるカメラモジュールを提供することができる。
また、本発明のカメラモジュールにおいて、好ましくは、前記第1の弾性体と前記第2の弾性体とは、それぞれ、前記固定部に接続される外側円環部および前記レンズ部に接続される内側円環部と、前記外側円環部および前記内側円環部をつなぐN本(Nは2以上の整数)のアームとを有し、前記第2の弾性体は、前記第1の弾性体を前記レンズの光軸方向に略平行移動し、さらに前記レンズの光軸を略中心として、(180/N)°回転させたように配置されている。それにより、第1の弾性体と第2の弾性体との位相ずれが最大となるため、バランスがよくなり、チルトを最小化できる。
また、本発明のカメラモジュールにおいて、好ましくは、前記レンズは複数であって、前記第1の弾性体と前記第2の弾性体とは、それぞれ、前記固定部に接続される外側円環部と、前記外側円環部の内側に配置された内側円環部と、前記外側円環部と前記内側円環部とをつなぐ少なくとも1つのアームとを有していて、前記内側円環部は、前記レンズ部の略中央位置で支持されている。そのため、カメラモジュールは、レンズモジュールの半径方向に広がらず、小型化することができる。また、レンズと撮像素子の相対距離を変化させる場合に摩擦がほとんど生じない。それにより、薄型、低消費電力で、焦点制御機能を有するカメラモジュールを提供できる。
また、本発明のカメラモジュールにおいて、好ましくは、前記レンズは複数であって、前記第1の弾性体と前記第2の弾性体とは、それぞれ、前記固定部に接続される外側円環部および前記レンズ部に接続される内側円環部と、前記外側円環部および前記内側円環部をつなぐアームとを有し、前記第1の弾性体および前記第2の弾性体はそれぞれ、前記レンズと同数である前記アームを有している。そのため、レンズに入射する光をアームが遮らないように、第1の弾性体および第2の弾性体を配置することができる。それにより、有効に空間を利用できるため、薄型化されたカメラモジュールを提供できる。
また、本発明のカメラモジュールにおいて、好ましくは、前記レンズ部の外周側にはコイルが設置され、前記固定部は、前記コイルに磁界を形成する永久磁石部と、前記永久磁石部の外周側に配置された強磁性体からなるヨークとを備え、前記コイルと、前記永久磁石部と、前記ヨークとは、前記レンズと前記撮像素子との相対位置を変化させるアクチュエータを構成している。そのため、永久磁石部の内周部および上下部にはヨークが配置されない構成である。それにより、レンズの半径方向の大きさが小型化され、薄型化されたカメラモジュールを提供できる。
また、本発明のカメラモジュールにおいて、好ましくは、前記第1の弾性体および前記第2の弾性体は導電性を有し、前記第1の弾性体および前記第2の弾性体のそれぞれと前記永久磁石部とは、電気的に絶縁性を有する絶縁シートを介して接続されている。そのため、永久磁石部と第1の弾性体および第2の弾性体とを絶縁できる。また絶縁シートは薄いため、カメラモジュールの厚さが増加することはない。
また、本発明のカメラモジュールにおいて、好ましくは、前記アクチュエータに給電する駆動素子と、前記撮像素子からの電気信号を演算処理する制御素子とをさらに備え、前記撮像素子と前記駆動素子との距離が、前記撮像素子と前記制御素子との距離より長い。そのため、撮像素子と駆動素子との距離が離れることとなる。それにより、駆動素子により、撮像素子にノイズが生じることがないため、良好な画像を作成するカメラモジュールを提供することができる。
また、本発明のカメラモジュールにおいて、好ましくは、前記レンズの外周に電線が巻回されることで、前記コイルが形成されている。それにより、コイルを形成するための部品を必要としないため、カメラモジュールの小型化が可能となり、部品点数が減ることから低コスト化できる。
また、本発明のカメラモジュールにおいて、好ましくは、前記レンズには、前記コイルに電気的に接続される電極が設置されていて、前記第1の弾性体および前記第2の弾性体は導電性を有し、それぞれ前記電極に接触している。そのため、前記第1の弾性体および前記第2の弾性体をレンズに設置することで、電極と前記第1の弾性体および前記第2の弾性体とを接続することができる。それにより、半田付けのために必要であった空間が不要であり、その分カメラモジュールを小型化できる。
また、本発明のカメラモジュールにおいて、好ましくは、前記ヨークの内側であり、かつ前記第1の弾性体および前記第2の弾性体の間に、前記永久磁石部および前記コイルが配置されている。そのため、カメラモジュールは、レンズの半径方向および光軸方向に広がることがなく、小型化および薄型化が可能となる。
以下、本発明の具体的な実施の形態について、図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係るカメラモジュールについて、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係るカメラモジュールの構成を示す断面図である。
図1において、カメラモジュール100は、レンズモジュール1と基板2と支持部3と撮像素子4と制御素子5と駆動素子6とを備えている。レンズモジュール1は、レンズ部10と可動ベース20と固定ベース30と連結部40とを備えている。
レンズ部10はレンズ11とレンズホルダ12とを有している。レンズ11は、ガラスあるいは樹脂などに、射出成型あるいは切削加工を施すことで構成され、光を曲げる役割を果たす。なお、レンズ11は、高屈折率、低分散の材料により構成されることが望ましい。また、レンズホルダ12は、樹脂などを用いて射出成型などにより作製されている。レンズホルダ12は略円筒状であり、直径が一定の開口部12bと、テーパ状で直径が徐々に大きくなっていく開口部12aとを有する。この開口部12bには、レンズ11が圧入などにより配置されている。開口部12aは撮像素子4から遠い側に設けられ、開口部12bは撮像素子4側に配置されている。入射光は、開口部12aによって絞られ、レンズ11に入射し、レンズ11を透過して開口部12bから撮像素子4へと射出される。
可動ベース20は可動ベースホルダ21と、上部コイル22aおよび下部コイル22bとを有している。可動ベースホルダ21は、射出成型などにより樹脂などを略円筒状に構成することで作製されている。可動ベースホルダ21の内側には、レンズ部10が圧入などにより配置されている。上部コイル22aおよび下部コイル22bは、可動ベースホルダ21の外周上にそれぞれ巻回されている。下部コイル22bは、可動ベースホルダ21の基板2側である下部に配置され、上部コイル22aは可動ベースホルダ21の上部に設置されている。
固定ベース30は、永久磁石部31とヨーク32を有している。永久磁石部31は、4つの永久磁石から構成され、磁束がレンズ11の半径方向に発生するように配置される。なお、これら4つの永久磁石のうち、永久磁石31aおよび31bが示されていて、残りの2つは図示されていない。ヨーク32は、表面をめっき処理した鉄などの強磁性体が円筒状に構成されたもので、内側に永久磁石31aおよび31bを含む4つの永久磁石(永久磁石部31)が固着されていて、支持部3の上部に配置されている。
連結部40は、上部ばね41aと下部ばね41bと、永久磁石部31の上下端に設置された上部絶縁シート45aおよび下部絶縁シート45bとを有している。上部ばね41aは、導電性が高く、金属疲労に強い金属などから構成され、板状の部材をプレスなどで打ち抜いて形成される。上部ばね41aの形状は後述する。上部ばね41aの内周側は可動ベースホルダ21の上部に接続され、上部ばね41aの外周側は永久磁石部31の上端に設置された上部絶縁シート45aに接続されている。下部ばね41bは、上部ばね41aと同一の構成である。下部ばね41bの内周側は可動ベースホルダ21の下部に接続され、下部ばね41bの外周側は磁石部31の下端に設置された下部絶縁シート45bに接続されている。つまり、上部ばね41aは、レンズ11の光軸方向においてレンズ11の中心より撮像素子4から遠い位置に配置されている。また、下部ばね41bは、レンズ11の光軸方向においてレンズ11の中心位置より撮像素子4寄りの位置に配置されている。また、固定ベース30とレンズ部10とは、可動ベース20および上部ばね41aと、可動ベース20および下部ばね41bとを介して連結されている。
また、電線や金属膜パターンにより構成された上部電線42aと下部電線42bとが設置されている。上部電線42aは一端が上部ばね41aの外周側に接続され、他端が駆動素子6に接続されている。下部電線42bは一端が下部ばね41bの外周側に接続され、他端が駆動素子6に接続されている。また、図示されていないが、上部ばね41aの内周側は上部コイル22aの巻線の一端に電気的に接続されていて、下部ばね41bの内周側は下部コイル部22bの巻線の他端に電気的に接続されている。
基板2は、エポキシ樹脂、セラミック基板またはシリコン基板などから構成されている。支持部3は、樹脂などを、例えば射出成型により略円筒状に構成したものである。支持部3は、基板2の上面に接着剤や半田などで固着、あるいは、かしめにより嵌合固定され、基板2に固定ベース30を固定している。
撮像素子4は、CCDやCMOSを用いて構成され、基板2の上面に例えば半田付けされて配置されている。なお、撮像素子4の受光面の中心はレンズ11の光軸に一致し、かつ撮像素子4の受光面はレンズ11の光軸に対して略垂直であるように配置されている。カメラモジュール100に被写体からの光が入射した場合に、入射光はレンズ11を経て撮像素子4に到達し、撮像素子4上に結像される。入射光は撮像素子4により光電変換されて、電気信号が撮像素子4から出力される。
制御素子5は、基板2の上面であって撮像素子4の横に半田付けなどにより設置されていて、基板2の金属配線を介し撮像素子4と電気的に接続されている。制御素子5は、例えば、DSP(Digital Signal Processor:ディジタル信号処理器)およびCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)のどちらかあるいは両方を備えている。また、制御素子5は、DRAM(Dynamic RAM:動的ランダムアクセスメモリ)のような揮発性メモリおよびROM(Read Only Memory:リードオンリーメモリ)やフラッシュメモリのような不揮発性メモリも備えている。また、制御素子5は、CDS(Correlated Double Sampling:相関二重サンプリング)回路、AGC(Automatic Gain Control:自動利得制御器)およびADC(Analog to Digital Converter:アナログ−ディジタル変換器)から構成された撮像信号入力部と、TG(Timing Generator:タイミングジェネレータ)およびTG駆動部から構成された撮像素子駆動部とを含んでいる。
制御素子5は、TGにより発生された信号をTG駆動部により電力増幅して撮像素子駆動信号として出力する。この撮像素子駆動信号により撮像素子4が駆動する。また、撮像素子4からの電気信号は、制御素子5に入力され、CDSによりノイズを除去され、AGCにより利得を調整され、ADCによりアナログ値からディジタル値に変換される。このディジタル値は、制御素子5により、様々な画像処理演算が行われ、その後上位CPUや液晶ディスプレイなどの外部出力装置に送信される。
駆動素子6は、基板2の上面であって制御素子5の横に例えば半田付けにより設置されていて、基板2の電気配線を介し、制御素子5と電気的に接続されている。駆動素子6は、上部電線42aおよび下部電線42bと接続され、MOS−FET(Metal-Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor:金属酸化物半導体−電界効果トランジスタ)などを含んでいる。駆動素子6は、制御素子5で作成された指令に基づき上部電線42aと下部電線42bとの間に電圧を印加する。それにより、上部コイル22aおよび下部コイル22bに電圧が印加される。
図2は、本発明の実施の形態1に係るカメラモジュールの回路図である。以下、図2を加えてさらに説明する。演算用電源線7aは、撮像素子4、制御素子5および駆動素子6に接続されていて、これらに電力を供給するためのものである。また、通信線7bは、制御素子5に接続されていて、制御素子5と例えば上記外部出力装置との情報をやり取りするための配線である。また、駆動用電源線7cは、駆動素子6に接続されていて、駆動素子6に電力を供給するための配線である。なお、図1には示されていないが、演算用電源線7a、通信線7bおよび駆動用電源線7cは、基板2上に金属パターンで構成されている。
また、駆動素子6に接続されている上部電線42aおよび下部電線42bは、上部ばね41aおよび下部ばね41bとそれぞれ接続されている。上部ばね41aおよび下部ばね41bは、並列接続された上部コイル22aおよび下部コイル22bとを介して接続されている。なお、上部コイル22aおよび下部コイル22bを直列接続としてもよい。上部コイル22aおよび下部コイル22bを並列に接続した場合、電気抵抗が小さくなり抵抗損失が小さくなるという利点がある。一方、上部コイル22aおよび下部コイル22bを直列に接続した場合、それぞれのコイルの電気抵抗にばらつきがあっても、全てのコイルに同一の電流が流れるため、全てのコイルで発生するローレンツ力のばらつきを低減できるという利点がある。
図3は、本発明の実施の形態1に係るカメラモジュールにおける、撮像素子、制御素子および駆動素子の配置を説明するための断面図である。以下、図3を加えてさらに説明する。図3は、実施の形態1のカメラモジュール100のうち、基板2上に配置された、撮像素子4、制御素子5および駆動素子6を示している。図3に示しているように、基板2上において、撮像素子4と駆動素子6とが、制御素子5に対してそれぞれ反対側に配置されていることが好ましい。これにより駆動素子6によって生じるノイズの撮像素子4への影響を小さくすることができる。また、図4は、本発明の実施の形態1に係るカメラモジュールにおける、撮像素子、制御素子および駆動素子の他の配置を説明するための断面図である。以下、図4を加えてさらに説明する。図4は、撮像素子4、制御素子5および駆動素子6における、図3に示した配置とは異なる配置の一例である。図4に示すように、撮像素子4と駆動素子6とを基板2の異なる面に配置し、さらにそれぞれが離れるように配置してもよい。
撮像素子4は、出力電圧が小さく、ノイズの影響を受けやすい。また、駆動素子6は、PWMスイッチングなどにより電流変化および電圧変化が大きく、大きなノイズを発生する。そのため、撮像素子4と駆動素子6とを接近させて設置すると、撮像素子4が駆動素子6のノイズの影響を受け、良好な画像を得ることができない。そこで、図3および図4で示したように、撮像素子4と駆動素子6とが離れるように設置することで、撮像素子4が受けるノイズの影響を低減できる。なお、撮像素子4、制御素子5および駆動素子6の各役割をする各ブロックを同一チップ内に実装する場合にも、同様に駆動素子4の役割をするブロックと駆動素子6の役割をするブロックとが離れるように配置されていることが望ましい。
また、撮像素子4と制御素子5とを接続している信号線にノイズが混入することを防止するために、撮像素子4と制御素子5とを接続している信号線が、他の配線と交差しないよう配置することが望ましい。特に、大きな電流を流している配線や電圧変動が大きい配線と交差しないようにすることが望ましい。例えば、演算用電源線7a、通信線7b、駆動用電源線7c、上部電線42aおよび下部電線42bとは交差しないようにすることが望ましい。これらにより、ノイズの影響を小さくすることができ、カメラモジュール100は、良好な画像を作成することができる。
また、駆動素子6は出力電流が大きいため、必要となる電力の変化が大きく、駆動素子6に供給される電流も急峻に変動する。そのため、電源線のインダクタンス成分や抵抗成分の影響や、電源の応答遅れにより、駆動素子6には、例えば電圧変動が発生する。ここで、撮像素子4、制御素子5および駆動素子6に同一の電源線で電力を供給すると、駆動素子6への供給電流の変動による電源電圧の影響を撮像素子4、制御素子5も受ける可能性がある。それにより、撮像素子4、制御素子5が誤動作を起こす。しかし、図2に示したように、カメラモジュール100において、演算用電源線7aと駆動用電源線7cとの二つの電源線が設置されていることで、これら撮像素子4および制御素子5の誤動作を防ぐことができる。演算用電源線7aは、撮像素子4と制御素子5と駆動素子6とに接続されていて、これら各素子に電力を供給する。また、駆動用電源線7cは、駆動素子6を介してコイル22aおよびコイル22bに接続されていて、コイル22aおよびコイル22bに電力を供給する。このような構成であるため、駆動用電源線7cに電圧変動が生じても、撮像素子4および制御素子5はその影響を受けず、誤動作が発生することがない。
次に、このカメラモジュール100の焦点制御機能について説明する。下部電線42bと比較して、上部電線42aの電圧が高くなるように電圧を印加し、上部コイル22aおよび下部コイル22bに電流を流す。レンズモジュール1の上側(入射側)から見た場合、上部コイル22aに電流が左回りの向きに流れ、下部コイル22bに電流が右回りの向きに流れるように配線されている。
また、図1のように、各永久磁石(永久磁石31aおよび31bと残り2つの永久磁石)の上部は、内側がN極、外側がS極になるように着磁されている。また、各永久磁石(永久磁石31aおよび31bと残り2つの永久磁石)の下部は、内側がS極、外側がN極になるように着磁されている。このような構成であるため、各永久磁石(永久磁石31aおよび31bと残り2つの永久磁石)の発生する磁束と、上部コイル22aおよび下部コイル22bに流れる電流の相互作用(ローレンツ力)により、上部コイル22aおよび下部コイル22bには、上向きの力が作用する。そして、この力と上部ばね41aと下部ばね41bとの変形によって発生する力(フック力)とが釣り合う位置まで、レンズ部10と可動ベース20とが一体となって上向きに移動する。このように、レンズ11と撮像素子4との相対距離が長くなる。
レンズ部10および可動ベース20の移動量はローレンツ力に比例し、ローレンツ力は上部コイル22aおよび下部コイル22bに流れる電流に比例し、電流は上部電線42aと下部電線42bとの間の電圧に比例する。したがって、制御素子5は、駆動素子6を用いて上部電線42aと下部電線42bとの間の電圧を制御することにより、レンズ11と撮像素子4との相対距離を制御することができる。つまり、上部コイル22a、下部コイル22b、ヨーク32および各永久磁石(永久磁石31aおよび31bと残り2つの永久磁石)は、アクチュエータを構成している。
上記説明したように、被写体からの入射光が、レンズ11を経て撮像素子4に到達し、撮像素子4の受光面に結像される際に、レンズ11と撮像素子4との相対距離が適切であれば、焦点が合い、撮像素子4上に明瞭な像が結像される。撮像素子4が、その光信号を光電変換して電気信号を出力する。撮像素子4が出力した電気信号が制御素子5に入力され、その信号に基づいて、制御素子5は得られた画像が明瞭であると判断し、駆動素子6への電圧指令を維持する。それにより、駆動素子6は、上部電線42aと下部電線42bとの間の電圧を維持し、レンズ11と撮像素子4との相対距離が維持される。
一方、レンズ11と撮像素子4との相対距離が不適切であれば、焦点が合わず、撮像素子4上に不明瞭な像が結像される。撮像素子4が、その光信号を光電変換して電気信号を出力する。撮像素子4が出力した電気信号が制御素子5に入力され、その信号に基づいて、制御素子5は得られた画像が不明瞭であると判断し、駆動素子6への電圧指令を変化させる。それにより、駆動素子6は、上部電線42aと下部電線42bとの間の電圧を変化させ、レンズ11と撮像素子4との相対距離が変化する。この動作を、レンズ11と撮像素子4との相対距離が適切になるまで繰り返す。このようにして、カメラモジュール100は焦点制御機能を実現する。また、複数のレンズを光軸が略同一になるように配置し、上述の機構により、ある特定のレンズを移動させることにより、拡大写真機能を実現することもできる。
次に、実施の形態1のレンズモジュールの詳細を説明する。図5Aは本発明の実施の形態1に係るレンズモジュールの構成を示す平面図であり、図5Bは本発明の実施の形態1に係るレンズモジュールの構成を示す断面図であり、図5Cは本発明の実施の形態1に係るレンズモジュールの底面図である。なお、図5Bは、図5Aおよび図5Cの5B−5B線の矢視断面図である。
図5A、図5Bおよび図5Cは、図1に示したカメラモジュールのレンズモジュール1の構成をさらに図示したものである。図5A、図5Bおよび図5Cを用いて、レンズモジュール1についてさらに詳しく説明する。レンズモジュール1は、レンズ部10と可動ベース20と固定ベース30と連結部40とを備えている。
レンズ部10はレンズ11とレンズホルダ12とを有している。レンズ11は、ガラスあるいは樹脂などに、射出成型あるいは切削加工を施すことで構成され、光を曲げる役割を果たす。なお、レンズ11は、高屈折率、低分散の材料により構成されることが望ましい。また、レンズホルダ12は、樹脂などを用いて射出成型などにより作製されている。レンズホルダ12は略円筒状であり、直径が一定の開口部12bと、テーパ状で直径が徐々に大きくなっていく開口部12aとを有する。この開口部12bには、レンズ11が圧入などにより配置されている。開口部12aは、撮像素子4から遠い側に設けられ、開口部12bは撮像素子4側に配置されている。入射光は、開口部12aによって絞られ、レンズ11に入射し、レンズ11を透過して開口部12bから射出される。
可動ベース20は可動ベースホルダ21と、上部コイル22aおよび下部コイル22bを有している。可動ベースホルダ21は、射出成型などにより樹脂などを略円筒状に構成することで作製されている。可動ベースホルダ21の内側には、レンズ部10が圧入などにより配置されている。また、可動ベースホルダ21には、外周部に円環状の3つの突起21a、21bおよび21cが形成されている。突起21aと突起21bと可動ベースホルダ21の外周部により、溝状のボビン部21dが形成されている。また、突起21bと突起21cと可動ベースホルダ21の外周部により、溝状のボビン部21eが形成されている。ボビン部21dには上部コイル22aが巻回され、ボビン部21eには下部コイル22bが巻回されている。上部コイル22aおよび下部コイル22bは、溝状のボビン部21dおよびボビン部21eに巻回されるので、位置がずれることがなく、容易に巻回することができる。なお、突起21aおよび突起21cが形成されていない場合であっても、上部コイル22aおよび下部コイル22bの巻回時のみ、突起の代わりとなる冶具などを用いてもよい。上部コイル22aおよび下部コイル22bを、自己融着線を巻回することで形成し、溶着後に冶具を取り外すこととしてもよい。
固定ベース30は、永久磁石部31とヨーク32を有している。永久磁石部31は、例えば、図5Aおよび図5Cに示されているように、4つの永久磁石31a、31b、31cおよび31dから構成されている。図6は本発明の実施の形態1に係るレンズモジュールであって、連結部を取り除いた状態の平面図である。以下、図6を加えてさらに説明する。上部ばね41aおよび上部絶縁シート45aを取り除くことで、4つの永久磁石31a、31b、31cおよび31dの配置がわかり易くなる。これら永久磁石31a、31b、31cおよび31dはそれぞれ、磁束がレンズ11の半径方向に発生するように配置されている。永久磁石31a、31b、31cおよび31dは、表面処理された円筒状のネオジ焼結磁石を角度が90°より若干小さい(約80°)角度だけ切り出した形状に形成されたものである。これら永久磁石31a、31b、31cおよび31dは、レンズ11の半径方向において内側がN極になるように着磁したものが上部に配置され、同一形状でレンズ11の半径方向の内側がS極になるように着磁したものが下部に配置されている。
ヨーク32は、表面をめっき処理した鉄などの強磁性体が円筒状に形成されたもので、その内周が、永久磁石部31である永久磁石31a、31b、31c、31dの外周と同一の曲率を有している。ヨーク32の内側には永久磁石31a、31b、31c、31dが接着剤などにより固着されていて、ヨーク32は支持部3(図1参照)の上部に配置されている。つまり、永久磁石部31の着磁方向の外側にヨーク32が接続するように配置されている。
また、上部コイル22aおよび下部コイル22bは、永久磁石部31の内側にギャップを有するように配置され、永久磁石部31の外周部にのみヨーク32が配置され、永久磁石部31の内側には、ヨークが配置されていない。このように、永久磁石部31の内周部にはヨーク32が配置されない構成としたので、レンズ11の半径方向の大きさを小型化でき、半径方向におけるボイスコイルモータの大きさを小型化できる。また、永久磁石部31の上部あるいは下部にヨーク32が配置されていないので、その分薄型化できる。したがって、カメラモジュール100を小型化することができる。また、永久磁石部31、上部コイル22aおよび下部コイル22bは、ヨーク32の内側であり、かつ上部ばね41aおよび下部ばね41bとの間に配置されているため、カメラモジュール100を薄型化することができる。
上部ばね41aの形状は後述する。上部ばね41aの内周側は可動ベースホルダ21の上部に接続され、上部ばね41aの外周側は永久磁石部31の上端に設置された絶縁シート45aに接続されている。
連結部40は、上部ばね41aと下部ばね41bと、永久磁石部31の上下端に設置された上部絶縁シート45aおよび下部絶縁シート45bとを有している。上部ばね41aおよび下部ばね41bは、ベリリウム銅合金などのような導電性が高く金属疲労に強い金属から構成され、板状の部材をプレスなどで打ち抜いて形成される。上部ばね41aは、レンズ11の光軸方向における中心位置より撮像素子4(図1参照)から離れる側に配置されている。上部ばね41aの内周側は可動ベースホルダ21の上部に接続され、上部ばね41aの外周側は永久磁石部31の上端に設置された上部絶縁シート45aに接続されている。また、下部ばね41bは、レンズ11の光軸方向における中心より撮像素子4から近い側に配置されている。下部ばね41bの内周側は可動ベースホルダ21の下部に接続され、下部ばね41bの外周側は永久磁石部31の下端に設置された下部絶縁シート45bに接続されている。これにより、連結部40は、可動ベースホルダ21を介してレンズ部10と固定ベース30とを連結している。
図7は本発明の実施の形態1に係る上部ばね(下部ばね)の構成を示す平面図である。具体的には、上部ばね41aは、内部および外部にそれぞれ円環部を有し、両者を4つのアームがつなぐ構成となっている。なお、下部ばね41bは上部ばね41aと同一の構成である。以下、図7を加えてさらに説明する。
上部ばね41aの内側の円環部には、可動ベースホルダ21に設置された突起23a、23b、23c、23dに嵌合するような切り欠きが形成されている。これら切り欠きが突起23a、23b、23c、23dに嵌合することで、上部ばね41aは位置決めされ、接着剤などにより可動ベースホルダ21に固定される。なお、例えば、円環状の樹脂をレンズホルダ12の外周に圧入することにより、上部ばね41aの内側の円環部と可動ベースホルダ21とを接続してもよい。
下部ばね41bの内側の円環部には、可動ベースホルダ21に設置された突起24a、24b、24c、24dに嵌合するような切り欠きが形成されている。これら切り欠きが突起24a、24b、24c、24dに嵌合することで、下部ばね41bは位置決めされ、接着剤などにより可動ベースホルダ21に固定される。このように、容易に位置決めすることができるので、位置合わせ工程が不要となり、カメラモジュールを低コスト化できる。なお、上部ばね41aおよび下部ばね41bに突起を設置し、可動ベースホルダ21にその突起が嵌合する切り欠きを形成してもよい。
また、上部絶縁シート45aを永久磁石部31に接着剤などにより固定し、上部ばね41aの外側の円環部を上部絶縁シート45aに接着剤などにより固定することで、上部ばね41aを固定部30に接続する。同様に、下部絶縁シート45bを永久磁石部31に接着剤などにより固定し、下部ばね41bの外側の円環部を下部絶縁シート45bに接着剤などにより固定することで、下部ばね41bを固定部30に接続する
なお、上部ばね41aの外側の円環部は、円環状の樹脂をヨーク32の内周に圧入することにより、上部ばね41aの外側の円環部をヨーク32に固定してもよい。また同様に、下部ばね41bの外側の円環部は、円環状の樹脂をヨーク32の内周に圧入することにより、下部ばね41bの外側の円環部をヨーク32に固定してもよい。
なお、上部ばね41aおよび下部ばね41bのそれぞれの外周には、外側に向けて突起46aおよび46bが設置されている。また、ヨーク32には、切り欠き32aおよび32bが形成されていて、上部ばね41aおよび下部ばね41bの突起が切り欠き32aおよび32bに嵌合している。それにより、上部ばね41aおよび下部ばね41bはヨーク32に位置決めされる。それにより、位置合わせ工程が不要となるため、カメラモジュールを低コスト化できる。なお、ヨーク32に突起を設置し、上部ばね41aおよび下部ばね41bにその突起が嵌合する切り欠きを形成してもよい。
上部ばね41aと、永久磁石31a、31b、31c、31dとは、それらの間に設置された上部絶縁シート45aにより、接触することがなく、電気的に絶縁されている。同様に、下部ばね41bと、永久磁石31a、31b、31c、31dは、それらの間に設置された下部絶縁シート45bにより、接触することがなく、電気的に絶縁されている。上部絶縁シート45aおよび下部絶縁シート45bは、例えば樹脂や紙から構成されている。上部絶縁シート45aおよび下部絶縁シート45bを、このように薄い部材とすることで、カメラモジュール100の厚みが増えることを防ぎ、薄型のカメラモジュール100を実現できる。また、上部絶縁シート45aと下部絶縁シート45bとは、同一の構成とすればよく、それにより、部品の種類を低減できるため、カメラモジュール100を低コスト化できる。なお、ヨーク32の切り欠き32aおよび32bと、上部ばね41aおよび下部ばね41bの突起46aおよび46bが嵌合している箇所においても、絶縁がなされるように、上部絶縁シート45aおよび下部絶縁シート45bを設置する。また、ヨーク32に突起を設置し、上部ばね41aおよび下部ばね41bにその突起が嵌合する切り欠きを形成する構成とする場合も、これらの嵌合箇所が絶縁されるようにすればよい。
また、上部ばね41aの内側の円環部に設置された突起41cには、上部コイル22aおよび下部コイル22bの各巻線の一端が半田付けなどにより接続されている。これにより、上部コイル22aおよび下部コイル22bとが電気的に接続されている。また、下部ばね41bの内側の円環部に設置された突起41dには、上部コイル22aおよび下部コイル22bの各巻線の他端が半田付けなどにより接続されている。これにより、上部コイル22aおよび下部コイル22bとが電気的に接続されている。
すわなち、上部電線42aは上部ばね41aを介し、上部コイル22aおよび下部コイル22bの各巻線の一端に電気的に接続されている。また、下部電線42bは下部ばね41bを介し、上部コイル22aおよび下部コイル22bの各巻線の他端に電気的に接続されている。
次に、図5Aおよび図5Cを用いて、上部ばね41aおよび下部ばね41bの配置について説明する。下部ばね41bは、上部ばね41aをレンズ11の光軸方向に下部ばね41bの位置まで平行移動し、レンズ11の光軸に垂直である軸51を中心に180°反転させた配置である。なお、図5Aおよび図5Cにおいて、上部ばね41aと下部ばね41bとは反転された配置でないようにも見えるが、これは図5Aは平面図であり図5Cは底面図であるためであり、組立時は上部ばね41aと下部ばね41bとは5B−5B軸に対して対称となる。また、図8は、本発明の実施の形態1に係る上部ばねおよび下部ばねの配置を示すための斜視図である。以下、図8を加えてさらに説明する。具体的には、図8は、実施の形態1のレンズモジュール1において、上部ばね41aおよび下部ばね41bのみを抜き出して示した斜視図である。図8に示しているように、下部ばね41bは、上部ばね41aをレンズ11の光軸方向に下部ばね41bの位置まで平行移動し、レンズ11の光軸に垂直である軸51を中心に180°反転させたものと同一の配置である。
このように、同一形状の2つの弾性体(上部ばね41aおよび下部ばね41b)を有し、互いにレンズ11の光軸に垂直な軸に対し対称に反転させた配置とすることで、摩擦なくレンズ11と撮像素子4の相対距離を変化させることができる。また、上部ばね41aおよび下部ばね41bを対称に反転させ配置されているため、上部ばね41aおよび下部ばね41bのそれぞれに生じる焦点制御に不要な力の方向がお互いに異なる。なお、焦点制御に不要な力とは、光軸方向以外の方向への力である。これら不要な力どうしがお互いを打ち消すことになる。したがって、レンズ部10のチルトの発生を抑制できるため、撮像素子4の受光面に常に良好な結像を得ることができ、良好な画像を得ることができるカメラモジュールを提供することができる。
また、摩擦なくレンズ11と撮像素子4の相対距離を変化させることができるので、その分だけ、必要な推力を小さくでき、例えば、永久磁石31a、31b、31c、31dを小型化することができ、上部コイル22aおよび下部コイル22bに流す電流を小さくすることができる。したがって、小型化、薄型化および低消費電力化された、焦点制御機能を有するカメラモジュールを提供することができる。
なお、可動ベースホルダ21に、可動ベース20の変位を制限するストッパを設けてもよい。それにより、可動ベース20の移動を制限し、上部ばね41aと下部ばね41bの破壊強度を超える変形を防止し、耐衝撃強度を向上できる。
なお、上部ばね41aおよび下部ばね41bは、中心軸が同一であり対向するよう配置され、かつ、レンズ11の光軸方向に上部ばね41aを投影した形状とは異なるよう下部ばね41bは配置されていれば実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係るカメラモジュールについて、図面を参照しながら説明する。図9Aは本発明の実施の形態2に係るレンズモジュールの構成を示す平面図であり、図9Bは本発明の実施の形態2に係るレンズモジュールの断面図であり、図9Cは本発明の実施の形態2に係るレンズモジュールの底面図である。なお、図9Bは、図9Aおよび図9Cの9B−9B線の矢視断面図である。
また、実施の形態2のカメラモジュールは、実施の形態1のカメラモジュールとはレンズモジュールの構成が異なる。すなわち、実施の形態2のカメラモジュールは、図1に示すカメラモジュール100において、レンズモジュール1の代わりに実施の形態2のレンズモジュール201を用いる構成とすればよい。そのため、実施の形態2に係るカメラモジュールのレンズモジュール201以外は実施の形態1と同様の構成および動作であり、説明は省略する。
レンズ部210はレンズ211とレンズホルダ212を有している。レンズ211は、ガラスあるいはプラスチックなどから構成され、光を曲げる役割を果たす。また、レンズホルダ212は、プラスチックなどであり、略円筒状に構成されていて、内側にレンズ211が圧入などにより配置されている。
可動ベース220は可動ベースホルダ221およびコイル部222を有している。可動ベースホルダ221はプラスチックなどであり、略円筒状に構成され、上部にレンズ部210が圧入などにより配置されている。コイル部222は、可動ベースホルダ221の外周上に設置された4つのコイルから構成されている。可動ベースホルダ221の中央部を中心として、これら4つのコイルは、レンズ211の光軸を中心に互いに90°離れて配置されている。これらのコイルはそれぞれ自己溶着線などで略長方形状に積層巻回され、磁束がレンズ211の半径方向に発生するように配置される。また、コイル部222は、可動ベースホルダ221の外周部にボビン状に形成された位置に配置されている。なお、図9Bにおいては、これら4つのコイルのうち、コイル222aおよび222cが示されていて、残りの2つは図示されていない。
また、図9Bに示しているように、レンズ211の光軸方向において、レンズ部210の中心よりも、コイル部222の中心が下側になるような配置とすることが望ましい。このような構成であるため、レンズ部210の中心とコイル部222の中心とが光軸方向において一致する場合に比べて、レンズ211と撮像素子4(図1参照)との相対距離を適切に保ちつつ、レンズ211の上部の空間を削減することができる。それにより、レンズモジュール201を薄型化することができるため、実施の形態2のカメラモジュールを薄型化できる。
また、可動ベース221はその下部に開口部223を有している。それにより、可動ベース221の内側に形成されている円柱状の空洞部の側面で入射光が散乱することを防止することができ、撮像素子4(図1参照)に常に良好な結像を得ることができる。なお、レンズ211の光軸方向において、レンズ部210の中心よりも、コイル部222の中心を下側になるような配置とすることで、小型の支持部3(図1参照)で、開口部223の下部を撮像素子4付近まで配置することができ、カメラモジュールを低コスト化できる。
固定ベース230は、永久磁石部231とヨーク232を有している。永久磁石部231は、コイル部222の4つのコイルに互いに対向するように配置された4つの永久磁石から構成され、磁束がレンズ211の半径方向に発生するように配置される。各永久磁石は、表面処理された円筒状のネオジ焼結磁石を角度が90°より若干小さい(約80°)角度だけ切り出した形状に形成されたものである。これら永久磁石は、レンズ211の半径方向の内側がN極になるように着磁したものが上部に配置され、同一形状でレンズ211の半径方向の内側がS極になるように着磁したものが下部に配置されている。なお、図9Bにおいては、これら4つの永久磁石のうち、永久磁石231aおよび231cが示されていて、残りの2つは図示されていない。ヨーク232は、表面をめっき処理した鉄などの強磁性体が円筒状に形成されたもので、その内周が、永久磁石231aおよび231cを含む4つの永久磁石(永久磁石部231)の外周と同一の曲率を有している。ヨーク232の内側には永久磁石231aおよび231cを含む4つの永久磁石(永久磁石部231)が固着されていて、支持部3(図1参照)の上部に配置されている。つまり、永久磁石部231の着磁方向の外側にヨーク232が接続するように配置されている。
また、コイル部222の各コイル(コイル222aおよび222cと残り2つのコイル)は、永久磁石部231の内側にギャップを有するように配置されている。このように、永久磁石部231の外周部にのみヨーク232が設置されていて、永久磁石部231の内側には、ヨークが配置されていない。それにより、レンズ211の半径方向の大きさを小型化でき、半径方向におけるボイスコイルモータの大きさを小型化できでき、カメラモジュールを小型化することができる。また、永久磁石部231、コイル部222の各コイル(コイル222aおよび222cと残り2つのコイル)は、ヨーク232の内側であり、かつ上部ばね241aおよび下部ばね241bとの間に配置されているため、カメラモジュールを薄型化することができる。
連結部240は、上部ばね241aと下部ばね241bと内部上部止め243aと内側下部止め243bと外部上部止め244aと外側下部止め244bとを有している。上部ばね241aは、導電性が高い金属などから構成され、板状の部材を打ち抜いて形成される。上部ばね241aの内周側はレンズホルダ212の上部に接続され、上部ばね241aの外周側は磁石部231の上部に接続されている。下部ばね241bは、上部ばね241aと同一の構成である。下部ばね241bの内周側は可動ベースホルダ221の下部に接続され、下部ばね241bの外周側は磁石部231の下部に接続されている。
また、上部ばね241aの外周側は、電線や金属膜パターンにより、駆動素子6(図1参照)に接続されている。また、下部ばね241bの外周側は、電線や金属膜パターンにより、駆動素子6に接続されている。
また、図示されていないが、上部ばね241aの内周側は、コイル部222の各コイル(コイル222aおよび222cと残り2つのコイル)の巻線の一端に電気的に接続されている。また、図示されていないが、下部ばね241bの内周側は、コイル部222の各コイル(コイル222aおよび222cと残り2つのコイル)の巻線の他端に電気的に接続されている。すわなち、上部電線242aは、上部ばね241aを介し、コイル部222の各コイル(コイル222aおよび222cと残り2つのコイル)の一端に接続され、下部電線242bは、下部ばね241bを介し、コイル部222の各コイル(コイル222aおよび222cと残り2つのコイル)の他端に電気的に接続されている。
この構成により、各永久磁石(永久磁石231aおよび231cと残り2つの永久磁石)の発生する磁束と、各コイル(コイル222aおよび222cと残り2つのコイル)に流れる電流の相互作用(ローレンツ力)により、各コイル(コイル222aおよび222cと残り2つのコイル)には、上向きまたは下向きの力が作用する。そして、この力と連結部240の上部ばね241aと下部ばね241bとの変形によって発生する力(フック力)とが釣り合う位置まで、レンズ部210と可動ベース220とが一体となって上向きに移動する。このように、レンズ211と撮像素子4との相対距離が長くなる。
レンズ部210および可動ベース220の移動量はローレンツ力に比例し、ローレンツ力は各コイル(コイル222aおよび222cと残り2つのコイル)に流れる電流に比例し、電流は上部電線42aと下部電線42bとの間の電圧に比例する。したがって、制御素子5は、駆動素子6を用いて上部電線42aと下部電線42bとの間の電圧を制御することにより、レンズ211と撮像素子4との相対距離を制御することができる。
上部ばね241aは、レンズ211の光軸方向における中心より撮像素子4(図1参照)寄りに配置されていてレンズ部210と固定ベース230とを連結していて、下部ばね241bは、レンズ211の光軸方向における中心より撮像素子4の反対側寄りに配置されていてレンズ部210と固定ベース3(図1参照)とを連結している。
具体的には、上部ばね241aは、内部および外部にそれぞれ円環部を有し、両者を4つのアームがつなぐ構成となっている。下部ばね241bは、上部ばね241aと同一の構成である。内側上部止め243aは、プラスチックなどであり円環状に形成されていて、上部ばね241aの内側の円環部をはさむようにレンズホルダ212に圧入などにより配置され、上部ばね241aの内側の円環部を保持する。また、内側下部止め243bは、プラスチックなどであり円環状に形成され、下部ばね241bの内側の円環部をはさむように可動ベースホルダ221に圧入などにより配置され、下部ばね241bの内側の円環部を保持する。外側上部止め244aは、プラスチックなどであり円環状に形成され、上部ばね241aの外側の円環部をはさむようにヨーク232の内周の上側に圧入などにより配置され、上部ばね241aの外側の円環部を保持する。外側下部止め244bは、プラスチックなどであり円環状に形成され、下部ばね241bの外側の円環部をはさむようにヨーク232の内周の下側に圧入などにより配置され、下部ばね241bの外側の円環部を保持する。
ここで、特に、図9Aおよび図9Cを用いて、上部ばね241aおよび下部ばね241bについて説明する。下部ばね241bは、上部ばね241aをレンズ211の光軸方向に下部ばね241bの位置まで平行移動し、レンズ211の光軸に垂直である9B−9B軸を中心に180°反転させた配置である。なお、図9Aおよび図9Cにおいて、上部ばね241aと下部ばね241bとは反転された配置でないようにも見えるが、これは図9Aは平面図であり図9Cは底面図であるためであり、組立時は上部ばね241aと下部ばね241bとは9B−9B軸に対して対称となる。
このように、同一形状の2つの弾性体(上部ばね241aおよび下部ばね241b)を有し、レンズ211の光軸に垂直な軸に対し対称に反転させた配置とすることで、摩擦なくレンズ211と撮像素子4の相対距離を変化させることができる。それにより、小型化、薄型化および低消費電力化が可能な自動焦点機能を有するカメラモジュールを提供することができる。また、上部ばね241aおよび下部ばね241bを対称に反転させ配置することにより、レンズ部210のチルトの発生を抑制できるため、撮像素子4に常に良好な結像を得ることができ、優れた画質を得るカメラモジュールを提供できる。
なお、実施の形態2のカメラモジュールは、レンズ211の光軸の周りに配置された4つのコイルを用いることとしたが、実施の形態1のカメラモジュールのように、レンズ211の光軸に沿って配置された2つのコイルを用いる構成としてもよい。
また、永久磁石部231と上部ばね241aとの間に、樹脂や紙から構成された上部絶縁シートが設置されていてもよい。また、永久磁石部231と下部ばね241bとの間に、樹脂や紙から構成された下部絶縁シートが設置されていてもよい。それにより、上部ばね241aが永久磁石231に接触することがなく、これらは電気的に絶縁される。また、下部ばね241bが永久磁石231に接触することがなく、これらは電気的に絶縁される。また、上部絶縁シートおよび下部絶縁シートは薄いため、カメラモジュールの厚みが増加することはない。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係るカメラモジュールについて、図面を参照しながら説明する。図10は、本発明の実施の形態3に係るカメラモジュールの上部ばね(下部ばね)の構成を示す平面図である。
実施の形態3に係るカメラモジュールの上部ばね341aおよび下部ばね341bの形状は、図7に示す実施の形態1に係るカメラモジュールの上部ばね41aおよび下部ばね41bと異なっている。具体的には、実施の形態1の上部ばね41aおよび下部ばね41bは4つのアームを備えているが、実施の形態3の上部ばね341aおよび下部ばね341bは2つのアームを備えている。実施の形態3に係るカメラモジュールは、それ以外の点は、実施の形態1に係るカメラモジュールと同様の構成である。つまり、実施の形態3のカメラモジュールは、図1に示すカメラモジュール100において、上部ばね41aおよび下部ばね41bの代わりに実施の形態3の上部ばね341aおよび下部ばね341bを用いる構成とすればよい。そのため、実施の形態3に係るカメラモジュールにおいて、上部ばね341aおよび下部ばね341b以外の部材、構成および動作は、実施の形態1と同様であるため説明は省略する。
上部ばね341aは、実施の形態1の上部ばね41aとは形状が異なるだけである。したがって、上部ばね341aは、導電性が高く、金属疲労に強い金属などから構成され、板状の部材をプレスなどで打ち抜いて形成される。上部ばね341aは、内部におよび外部にそれぞれ円環部を有し、両者を2つのアームがつなぐ構成となっている。下部ばね341bは、上部ばね341aと同一の構成である。
上部ばね341aおよび下部ばね341bのそれぞれの外周には、外側に向けて突起346aおよび346bが設置されている。また、ヨーク32(図5Aおよび図5C参照)に、突起346aおよび346bに対応する切り欠きを形成しておけば、この切り欠きに突起346aおよび346bを嵌合することで、上部ばね341aおよび下部ばね341bの位置決めが容易にできる。
また、上部ばね341aの内側の円環部に設置された突起341cには、上部コイル22aおよび下部コイル22b(図5Aおよび図5C参照)の各巻線の一端を半田付けなどにより接続すればよい。また、下部ばね341bの内側の円環部に設置された突起341dには、上部コイル22aおよび下部コイル22bの各巻線の一端を半田付けなどにより接続すればよい。これにより、上部コイル22aおよび下部コイル22bとが電気的に接続される。
これら上部ばね341aおよび下部ばね341bの配置は、実施の形態1と同様に、下部ばね341bは、上部ばね341aをレンズ11の光軸方向に下部ばね341bの設置位置まで平行移動し、レンズ11の光軸に垂直である軸を中心に180°反転させたものと同一の配置である、上部ばね341aおよび下部ばね341bのそれぞれのアームを2つとしても、実施の形態1と同様の効果を有する。
また、アームを4つとする場合に比べて、アームを2つとした場合の方が、ばね定数を小さくすることができ、必要となる力が小さくなる。したがって、さらに、カメラモジュールを小型化、薄型化および低消費電力化することができる。
なお、同様に、図9A、図9Bおよび図9Cに示された実施の形態2のレンズモジュール201における上部ばね241aおよび下部ばね241bにおいて、4つのアームを2つとしても同様の効果を有する。このような構成のカメラモジュールについて以下に説明する。図11Aは本発明の実施の形態3に他の係るレンズモジュールの構成を示す平面図であり、図11Bは実施の形態3に係るレンズモジュールの構成を示す断面図であり、図11Cは実施の形態3に係るレンズモジュールの構成を示す底面図である。なお、図11Bは、図11Aおよび図11Cの11B−11B線の矢視断面図である。なお、図11A、図11Bおよび図11Cに示されているレンズモジュール201aは、図9A、図9Bおよび図9Cに示されているレンズモジュール201と上部ばねおよび下部ばねの形状が異なるだけで、他の構成は同様である。そこで、これら以外の部材には同一符号を付し、説明も省略する。図11A、図11Bおよび図11Cに示しているように、上部ばね241cは、内部および外部にそれぞれ円環部を有し、両者を2つのアームがつなぐ構成となっている。下部ばね241dは、上部ばね241cと同一の構成である。
これら上部ばね241cおよび下部ばね241dの配置は、実施の形態2と同様に、下部ばね241dは、上部ばね241cをレンズ211の光軸方向に下部ばね241dの設置位置まで平行移動し、レンズ211の光軸に垂直である軸を中心に180°反転させたものと同一の配置である、上部ばね241cおよび下部ばね241dのそれぞれのアームを2つとしても、実施の形態2と同様の効果を有する。
また、アームを4つとする場合に比べて、アームを2つとした場合の方が、ばね定数を小さくすることができ、必要となる力が小さくなる。したがって、さらに、カメラモジュールを小型化、薄型化および低消費電力化することができる。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4に係るカメラモジュールについて、図面を参照しながら説明する。実施の形態4に係るカメラモジュールは、実施の形態1のカメラモジュールとほぼ同様の構成であって、上部ばね41aおよび下部ばね41bの配置が異なる。具体的には、実施の形態4では、上部ばね41aおよび下部ばね41bの中心軸を同一としてお互いに位相をずらした位置に配置している。つまり、上部ばね41aおよび下部ばね41bはお互いに同一形状であり、それらが対称ではなく位相が異なるように配置されている。それ以外の部材、構成および動作については、実施の形態1のカメラモジュールと同様であるので、説明を省略する。
図12は、本発明の実施の形態4に係る上部ばねおよび下部ばねの配置を示すための斜視図である。実施の形態1のレンズモジュールを示している図5A、図5Bおよび図5Cと、実施の形態1の上部ばねおよび下部ばねの配置を示している図8とを参照して、実施の形態4について説明する。
図12は、図8に対応する図である。なお、図12に示す上部ばね41aおよび下部ばね41bおいては、図8に示す上部ばね41aおよび下部ばね41bが有する突起46aおよび46bは省略している。図8においては、下部ばね41bは、上部ばね41aをレンズ11の光軸方向に下部ばね41bの位置まで平行移動し、レンズ11の光軸に垂直である軸を中心に180°反転させたものと同一の配置である。しかし、図12に示す実施の形態4における下部ばね41bの配置は、上部ばね41aをレンズ11の光軸方向に下部ばね41bの設置位置まで平行移動し、さらにレンズ11の光軸を中心にして45°だけ回転させた配置である。
このように、同一形状の2つの弾性体(上部ばね41aおよび下部ばね41b)を、中心軸を同一としてお互いに位相をずらした位置に配置することにより、実施の形態1と同様に、摩擦なくレンズ11と撮像素子4(図1参照)の相対距離を変化させることができる。そのため、小型化、薄型化および低消費電力化が可能な、焦点制御機能を有するカメラモジュールを提供することができる。また、上部ばね41aおよび下部ばね41bの位相がずれているので、レンズ部10のチルトの発生を抑制できるため、撮像素子4(図1参照)に常に良好な結像を得るカメラモジュールを提供できる。
なお、位相のずれは、上部ばね41aおよび下部ばね41bのアームの数をNとして、(180/N)°だけずらすことが好ましい。このとき、上部ばね41aと下部ばね41bとの位相ずれを最大とし、バランスがよくなり、チルトを最小化できる。実施の形態4ではNは4であるため45°ずらしている。これにより、撮像素子4(図1参照)に常に良好な結像を得ることができる、高性能なカメラモジュールを提供できる。
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5に係るカメラモジュールについて、図面を参照しながら説明する。図13Aは本発明の実施の形態5に係るレンズモジュールの構成を示す平面図であり、図13Bは本発明の実施の形態5に係るレンズモジュールの断面図であり、図13Cは本発明の実施の形態5に係るレンズモジュールの底面図である。なお、図13Bは、図13Aおよび図13Cの13B−13B線の矢視断面図である。
また、実施の形態5のカメラモジュールは、実施の形態1のカメラモジュールとはレンズモジュールの構成が異なる。すなわち、実施の形態5のカメラモジュールは、図1に示すカメラモジュール100において、レンズモジュール1の代わりに実施の形態5のレンズモジュール401を用いる構成とすればよい。そのため、実施の形態5に係るカメラモジュールのレンズモジュール401以外は実施の形態1と同様の構成および動作であり、説明は省略する。
実施の形態5のレンズモジュール401において、レンズを4つ備えている点が実施の形態1のレンズモジュールとは異なるが、それ以外は同様の構成である。そこで、図13A、図13Bおよび図13Cにおいて、図5A、図5Bおよび図5Cに示された実施の形態1のレンズモジュール1と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、説明を省略する。
図13A、図13Bおよび図13Cに示しているように、実施の形態5のレンズモジュール401は、レンズ部410と可動ベース20と固定ベース30と連結部40とを備えている。
レンズ部410は、4つのレンズ411a、411b、411cおよび411dを備えたレンズとレンズホルダ412とを有している。レンズ411a、411b、411cおよび411dは、すべて同一形状であり、ガラスあるいはプラスチックなどから構成され、光を曲げる役割を果たす。レンズ411a、411b、411cおよび411dは、例えば高屈折率で低分散なガラスあるいは樹脂などから構成されている。これらガラスあるいは樹脂を射出成型あるいは切削加工により、上面と下面とにそれぞれほぼ同一形状の4つの曲面が形成された略直方体を作製すればよい。また、レンズホルダ412は樹脂などで構成されている。レンズホルダ412には、その中心に対してそれぞれ90°ずれて4つのテーパ状の穴413a、413b、413cおよび413dが形成されている。これら90°ずれた4つの穴の中心は、それぞれレンズ411a、411b、411cおよび411dのそれぞれの光軸の中心と一致するように配置されている。つまり、レンズ411a、411b、411cおよび411dは、レンズホルダ412の中心に対して、それぞれ90°ずつ位相がずれて配置されている。なお、図13A、図13Bおよび図13Cに示すように、4つのテーパ状の穴413a、413b、413cおよび413dは、お互いに重なっているが、これらが、お互いに重ならない構成としてもよい。
また、4つのレンズ411a、411b、411cおよび411dの各光軸どうしの中心が撮像素子4(図1参照)の受光面の中心にほぼ一致するように配置されている。それにより、撮像素子4の受光面には4つのレンズ411a、411b、411cおよび411dによる4つの被写体像が結像される。制御素子5(図1参照)は、撮像素子4からの電気信号を読み込みディジタル値にした後、それぞれのレンズ411a、411b、411cおよび411dに対応した領域を切り出し、適宜画像処理を行う。
実施の形態5のカメラモジュールは、レンズが1つのものの処理に加えて、例えば、ステレオ視による測長などを行うことができる。また、実施の形態5のカメラモジュールは1つの撮像素子4を用いて、制御素子5で領域を切り出したが、撮像素子を4つ用いる構成としてもよい。具体的には、それぞれのレンズ411a、411b、411cおよび411dの各光軸中心が、4つの撮像素子の各受光面の中心にほぼ一致するように4つの撮像素子を配置する。そして、レンズ411a、411b、411cおよび411dの被写体像をそれぞれの撮像素子で受光してもよい。
さらに、実施の形態5のカメラモジュールは、同一形状の2つの弾性体(上部ばね41aおよび下部ばね41b)を有し、レンズ411a、411b、411cおよび411dの光軸に垂直な軸に対し対称に反転させた配置とする。それにより、実施の形態1のカメラモジュールと同様の効果を奏する。つまり、摩擦なくレンズ411a、411b、411cおよび411dと撮像素子4の相対距離を変化させることができる。したがって、小型化、薄型化および低消費電力化が可能な自動焦点機能を有するカメラモジュールを提供することができる。さらに、レンズ部10のチルトの発生を抑制できるため、撮像素子4の受光面に常に良好な結像を得ることができ、良好な画像を得ることができるカメラモジュールを提供することができる。特に、チルトの抑制により、各レンズ411a、411b、411cおよび411dの被写体像の座標の歪みを抑制できるため、ステレオ視において正確に測長できる。さらに、レンズ部410の回転も抑制できるため、各レンズ411a、411b、411cおよび411dの被写体像の座標の回転を抑制できる。そのため、ステレオ視において正確に測長できる。
なお、上部ばね41aおよび下部ばね41bの配置は、図8に示す配置としたが、実施の形態4で説明した図12で示す配置としてもよい。それにより、チルトを最小化でき、撮像素子4(図1参照)に常に良好な結像を得ることができる、高性能なカメラモジュールを提供できる。
また、図10に示されたアームが2つの上部ばね341aおよび下部ばね341bを用いてもよい。
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6に係るカメラモジュールについて、図面を参照しながら説明する。図14Aは本発明の実施の形態6に係るレンズモジュールの構成を示す平面図であり、図14Bは本発明の実施の形態6に係るレンズモジュールの断面図であり、図14Cは本発明の実施の形態6に係るレンズモジュールの底面図である。なお、図14Bは、図14Aおよび図14Cの14B−14B線の矢視断面図である。
実施の形態6のカメラモジュールは、図1に示すカメラモジュール100において、レンズモジュール1の代わりに実施の形態6のレンズモジュール501を用いる構成とすればよい。そのため、実施の形態6に係るカメラモジュールのレンズモジュール501以外は実施の形態1と同様の構成および動作であるため説明は省略する。なお、図14A、図14Bおよび図14Cの実施の形態6のレンズモジュールにおいて、図9A、図9Bおよび図9Cに示した実施の形態2のレンズモジュール201の部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、説明を省略する。
図14Bに示しているように、実施の形態6のレンズモジュール501は、レンズ部510と可動ベース520と固定ベース230と連結部540とを備えている。
レンズ部510は、4つのレンズ511a、511b、511cおよび511dとレンズホルダ512を有している。レンズ511a、511b、511cおよび511dは、すべて同一形状であり、高屈折率で低分散なガラスあるいは樹脂などから構成され、光を曲げる役割を果たす。これらガラスあるいは樹脂などを射出成型あるいは切削加工することで、レンズ511a、511b、511cおよび511dを作製すればよい。また、レンズホルダ512は、樹脂などであり、略円盤状に構成されている。レンズホルダ512の中央部には1つの穴が形成されていて、さらに、円盤の中心に対してそれぞれ90°ずれて4つの穴が形成されている。これら90°ずれた4つの穴には、それぞれレンズ511a、511b、511cおよび511dが圧入などにより配置されている。つまり、レンズ511a、511b、511cおよび511dは、レンズホルダ512の中心に対して、それぞれ90°ずつ位相がずれて配置されている。
可動ベース520は可動ベースホルダ521およびコイル部522を有している。可動ベースホルダ521は、略円盤状に構成された樹脂などであり、中央部において上部および下部方向への突起を有している。また、互いに90°ずれた開口部523a、523b、523cおよび523dが形成されていて、上部には、レンズ部510が配置されている。レンズ部510のレンズホルダ512の中央部の穴に、可動ベースホルダ521の中央部の上部方向への突起が圧入されている。それにより、レンズ部510は可動ベースホルダ521に固定されている。ここで、レンズ511a、511b、511cおよび511dの光軸方向の中心は、それぞれ開口部523a、523b、523cおよび523dの中心と一致している。また、レンズ511a、511b、511cおよび511dと、開口部523a、523b、523cおよび523dとはそれぞれ同一の大きさである。また、コイル部522は、可動ベースホルダ521の外周上に互いに90°ずれて配置された4つのコイルから構成されている。これらのコイルはそれぞれ自己溶着線などで略長方形状に積層巻回され、磁束がレンズホルダ512の半径方向に発生するように配置される。また、コイル部522は、可動ベースホルダ521の外周部にボビン状に形成された位置に配置されている。なお、図14Bにおいては、これら4つのコイルのうち、コイル522aおよび522cが示されていて、残りの2つは図示されていない。
また、図14Aに示しているように、レンズ511a、511b、511cおよび511dの光軸方向において、レンズ部510の中心よりも、コイル部522の中心が下側になるような配置とすることが望ましい。このような構成であるため、レンズ部510の中心とコイル部522の中心とが光軸方向において一致する場合に比べて、レンズ511a、511b、511cおよび511dと撮像素子4と(図1参照)の相対距離を適切に保ちつつ、レンズ511a、511b、511cおよび511dの上部の空間を削減することができる。それにより、レンズモジュール501を薄型化することができるため、実施の形態6のカメラモジュールを薄型化できる。
固定ベース230は、実施の形態2と同様であり、説明を省略する。
連結部540は、上部ばね541aと下部ばね541bと内側上部止め543aと内側下部止め543bと外側上部止め544aと外側下部止め544bとを有している。上部ばね541aおよび下部ばね541bは、ベリリウム銅合金などのような導電性が高く金属疲労に強い金属から構成され、板状の部材をプレスなどで打ち抜いて形成される。上部ばね541aは、レンズ511a、511b、511cおよび511dの光軸方向における中心より撮像素子4(図1参照)寄りに配置されていてレンズ部510と固定ベース230とを連結していて、下部ばね541bは、レンズ511a、511b、511cおよび511dの光軸方向における中心より撮像素子4(図1参照)の反対側寄りに配置されていてレンズ部510と固定ベース230とを連結している。
図15は、実施の形態6に係る上部ばね(下部ばね)の構成を示す平面図である。具体的には、図15に示すように、上部ばね541aは、内部および外部にそれぞれ円環部を有し、両者を4つのアームがつなぐ構成となっている。下部ばね541bは、上部ばね541aと同一の構成である。内側上部止め543aは、例えば射出成型により作製された円環状の樹脂であり、上部ばね541aの内側の円環部をはさむように可動ベースホルダ521の中央部の上部方向への突起に圧入などにより配置され、上部ばね541aの内側の円環部を保持する。また、内側下部止め543bは、例えば射出成型により作製された円環状の樹脂であり、下部ばね541bの内側の円環部をはさむように可動ベースホルダ521の中央部の下部方向への突起に圧入などにより配置され、下部ばね541bの内側の円環部を保持する。外側上部止め544aは、樹脂などであり円環状に形成され、上部ばね541aの外側の円環部をはさむようにヨーク232の内周の上側に圧入などにより配置され、上部ばね541aの外側の円環部を保持する。外側下部止め544bは、例えば射出成型により作製された円環状の樹脂であり、下部ばね541bの外側の円環部をはさむようにヨーク232の内周の下側に圧入などにより配置され、下部ばね541bの外側の円環部を保持する。
上部ばね541aのアーム部の一端側である外側の円環部を外側上部止め544aを用いて固定ベース230で支持している。また、上部ばね541aのアーム部の他端側を内側上部止め543aを用いてレンズ部510の中央に位置する可動ベースホルダ521の中央部の突起で支持している。例えばレンズ部510の側面を支持した場合には、レンズモジュール501の半径方向にその分のスペースが必要である。しかし、このように、可動ベースホルダ521の中央部の突起でアーム部を支持することで、このようなスペースは不要であり、カメラモジュールはレンズモジュール501の半径方向に広がることがなく、カメラモジュールを小型化することができる。なお、下部ばね541bのアームについても同様に、一端側は固定ベース230で支持され、他端側はレンズ部510の中央に位置する可動ベースホルダ521の中央部の突起で支持されているので、カメラモジュールを小型化することができる。特に、ステレオ視による測長において、より正確な測長をする場合には、レンズ間の距離を長くするが、それにより、レンズ間に無効空間ができる。このような場合にも、上述のように、支持することが有効である。
また、上部ばね541aおよび下部ばね541bを、レンズ部510の中央部で支持するため、その分アームを長くすることができ、上部ばね541aおよび下部ばね541bのばね定数を小さくすることができ、必要となる力を小さくできる。それにより、ボイスコイルモータが発生する力を少なくでき、永久磁石部231など各構成を小さくできる。したがって、さらに、小型化、薄型化および低消費電力化された焦点制御機能を有するカメラモジュールを提供することができる。
ここで、特に、14Aおよび図14Cを用いて、上部ばね541aおよび下部ばね541bの配置について説明する。下部ばね541bは、上部ばね541aをレンズ511a、511b、511cおよび511dの光軸方向に下部ばね541bの位置まで平行移動し、レンズ511a、511b、511cおよび511dの光軸に垂直である14B―14B軸を中心に180°反転させた配置である。
このような構成とすることにより、実施の形態1と同様の効果を有する。
実施の形態6のレンズモジュール501において、4つのレンズ511a、511b、511cおよび511dの各光軸どうしの中心が撮像素子4(図1参照)の受光面の中心にほぼ一致するように配置されている。それにより、撮像素子4の受光面には4つのレンズ511a、511b、511cおよび511dによる4つの被写体像が結像される。制御素子5(図1参照)は、撮像素子4からの電気信号を読み込みディジタル値にした後、それぞれのレンズ511a、511b、511cおよび511dに対応した領域を切り出し、適宜画像処理を行う。
実施の形態6のカメラモジュールは、レンズが1つのものと同様の処理に加えて、例えば、ステレオ視による測長などを行うことができる。また、実施の形態6のカメラモジュールは1つの撮像素子4を用いて、制御素子5で領域を切り出したが、4つの撮像素子を用いる構成としてもよい。具体的には、それぞれのレンズ511a、511b、511cおよび511dの光軸中心が、各撮像素子の受光面の中心にほぼ一致するように4つの撮像素子を配置する。そして、レンズ511a、511b、511cおよび511dの被写体像をそれぞれの撮像素子で受光してもよい。このようにすることで、実施の形態5と同様の効果を奏する。
なお、実施の形態6において、可動ベースホルダ521の半径方向において、レンズ511a、511b、511cおよび511dの中心は、それぞれコイル部522の各コイル(コイル522aおよびコイル522cと残り2つのコイル)の中心と一致するが、一致しないように配置してもよい。例えば、それぞれ45°ずらすように、互い違いに配置してもよい。そうすることで、レンズ511a、511b、511cおよび511dのそれぞれの間に、コイル部522の各コイル(コイル522aおよびコイル522cと残り2つのコイル)や永久磁石部231を配置することができる。つまり、各コイル(コイル522aおよびコイル522cと残り2つのコイル)や永久磁石部231をさらに内側に設置することができる。それにより、レンズモジュール501の半径方向のサイズを削減でき、カメラモジュールを小型化することができる。
以上に示したように、実施の形態5のカメラモジュールは、摩擦なくレンズ511a、511b、511cおよび511dと撮像素子4(図1参照)の相対距離を変化させることができるため、小型化、薄型化および低消費電力化が可能な自動焦点機能を有するカメラモジュールを提供することができる。
また、実施の形態6のレンズモジュールにおいて、上部ばね541aおよび下部ばね541bが有するアームの数と、レンズの数は同数であることが望ましい。具体的には、上部ばね541aおよび下部ばね541bが有するアームの数はそれぞれ4つであり、レンズ511a、511b、511cおよび511dの数は4つである。これにより、レンズ511a、511b、511cおよび511dに入射する光をアームが遮らないように、上部ばね541aおよび下部ばね541bを配置することができ、有効に空間を利用できるため、カメラモジュールを薄型化できる。
なお、実施の形態6のカメラモジュールは、上部ばね541aおよび下部ばね541bを備えているが、例えば、上部ばね541aだけ、あるいは下部ばね541bだけを備えた構成であってもかまわない。なお、その場合でも、上部ばね541aまたは下部ばね541bは、外側においては外側の円環部が固定ベース230で支持され、内側においてはレンズ部510の中央位置で支持されていればよい。
また、永久磁石部231と上部ばね541aとの間に、樹脂や紙から構成された上部絶縁シートが設置されていてもよい。また、永久磁石部231と下部ばね541bとの間に、樹脂や紙から構成された下部絶縁シートが設置されていてもよい。それにより、上部ばね541aが永久磁石231に接触することがなく、これらは電気的に絶縁される。また、下部ばね541bが永久磁石231に接触することがなく、これらは電気的に絶縁される。また、上部絶縁シートおよび下部絶縁シートは薄いため、カメラモジュールの厚みが増加することはない。
実施の形態6で用いた上部ばね541aおよび下部ばね541b以外の形状の上部ばねおよび下部ばねを用いてもよい。図16は、本発明の実施の形態6に係る他の上部ばね(下部ばね)の構成を示す平面図である。例えば、上部ばね541aおよび下部ばね541bの代わりに、図16に示す上部ばね541cおよびこれと同一形状の下部ばね541dを用いてもよい。上部ばね541cは、内部および外部にそれぞれ円環部を有し、両者を2つのアームがつなぐ構成となっている。上部ばね541cを用いる場合は、下部ばね541bの代わりに、上部ばね541cと同一形状の下部ばね541dを用いる。アームが4つに比べて2つの方が、ばね定数を小さくすることができ、レンズ511と撮像素子4との相対距離を変化させるために必要な推力を小さくできる。そのため、その分だけボイスコイルモータの発生する力を少なくでき、永久磁石部231など各構成を小さくでき、小型かつ薄型であるカメラモジュールを実現することができる。また、電流も少なくてすむため、低消費電力なカメラモジュールを実現することができる。
なお、実施の形態6のカメラモジュールは、光軸の周りに配置された4つのコイルを用いることとしたが、実施の形態1のカメラモジュールのように、光軸に沿って配置された2つのコイルを用いる構成としてもよい。
(実施の形態7)
本発明の実施の形態7に係るカメラモジュールについて、図面を参照しながら説明する。図17Aは本発明の実施の形態7に係るレンズモジュールの構成を示す平面図であり、図17Bは本発明の実施の形態7に係るレンズモジュールの断面図であり、図17Cは本発明の実施の形態7に係るレンズモジュールの底面図である。なお、図17Bは、図17Aおよび図17Cの17B−17B線の矢視断面図である。
実施の形態7のカメラモジュールは、実施の形態1のカメラモジュールとはレンズモジュールの構成が異なり、それ以外の構成は略同一である。すなわち、実施の形態7のカメラモジュールは、図1に示すカメラモジュール100において、レンズモジュール1の代わりに実施の形態7のレンズモジュール601を用いる構成とすればよい。そのため、実施の形態7に係るカメラモジュールのレンズモジュール601以外は実施の形態1と同様の構成および動作であるため説明は省略する。
実施の形態7のレンズモジュール601は、レンズと可動ベースホルダとが一体成型された構成である。つまり、レンズの外周にコイルが設置されている構成である。それ以外は、実施の形態1のレンズモジュールと略同様の構成である。そこで、図17A、図17Bおよび図17Cにおいて、図5A、図5Bおよび図5Cに記載の部材において同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、説明を省略する。
図17A、図17Bおよび図17Cに示しているように、レンズ部610は可動レンズ615と、レンズホルダ612とを備えている。可動レンズ615は、レンズ611と可動ベースホルダ621とが一体成型されることで構成されている。可動レンズ615は、ガラスあるいは樹脂を、射出成型または切削加工などすることにより作製される。また、可動レンズ615は、レンズ611を含んでいるため、高屈折率であり、低分散の材料により構成されることが望ましい。
可動レンズ615の具体的な構成について説明する。可動レンズ615は、略円柱状の形状であり、その中心付近にレンズ611が形成されている。また、可動レンズ615の外周には、実施の形態1の可動ベースホルダと同様に、円環状の3つの突起621a、621bおよび621cが形成されている。突起621aと突起621bと可動レンズ611の外周部により、溝状のボビン部621dが形成されている。また、突起621bと突起621cと可動レンズ611の外周部により、溝状のボビン部621eが形成されている。ボビン部621dには上部コイル622aが巻回され、ボビン部621eには下部コイル622bが巻回されている。上部コイル622aおよび下部コイル622bは、溝状のボビン部621dおよびボビン部621eに巻回されるので、位置がずれることがなく、容易に巻回される。なお、突起621aおよび突起623cが形成されていない場合であっても、上部コイル622aおよび下部コイル622bの巻回時のみ、突起の代わりとなる冶具などを用いてもよい。上部コイル622aおよび下部コイル622bを、自己融着線を巻回することで形成し、溶着後に冶具を取り外すこととしてもよい。なお、このように可動レンズ615に、ボビン部621dおよびボビン部621eを形成しているので、ホルダなどの構成が不要となり、カメラモジュールを小型化できる。また、使用する部品点数が少なくなるため、カメラモジュールを低コスト化できる。
また、可動レンズ615は上部電極626aと下部電極626bとを有する。上部電極626aは、可動レンズ615の上部に金属蒸着などにより形成されている。上部電極626aは、上部コイル622aと下部コイル622bとのそれぞれの片端に電気的に接続される。また、下部電極626bは、可動レンズ615の下部に金属蒸着などにより形成されている。下部電極626bは、上部コイル622aと下部コイル622bとのそれぞれの他端に電気的に接続されている。上部電極626aと下部電極626bとにより、上部ばね41aと下部ばね41bを可動レンズ615に設置することで、上部ばね41aおよび下部ばね41bと上部コイル622aおよび下部コイル622bとが電気的に接続される。したがって、これらの接続において、半田付けが不要となり、半田付けする場合に必要となる空間が不要となり、カメラモジュールを小型化できる。
可動レンズ615上にはレンズホルダ612が設置されている。レンズホルダ612は、略円柱状に射出成型などにより構成された樹脂などにより構成されている。レンズホルダ621の内面には、テーパ上の穴が形成されている。レンズホルダ612には、撮像素子4(図1参照)から遠い側に開口部613aが設けられる。入射光は、開口部613aによって絞られ、レンズ611に入射し、レンズ611を透過して射出される。
固定ベース部30と連結部40とは、実施の形態1と同一であり、説明を省略する。
上部ばね41aの内側の円環部には、可動レンズ615に設置された突起623a、623b、623cおよび623dに嵌合するような切り欠きが形成されている。これら切り欠きが突起623a、623b、623cおよび623dに嵌合することで、上部ばね41aは位置決めされ、接着剤などにより可動レンズ615に固定される。
下部ばね41bの内側の円環部には、可動レンズ615に設置された突起624a、624b、624cおよび624dに嵌合するような切り欠きが形成されている。これら切り欠きが突起624a、624b、624cおよび624dに嵌合することで、下部ばね41bは位置決めされ、接着剤などにより可動レンズ615に固定される。このように、容易に位置決めすることができるので、位置合わせ工程が不要となり、カメラモジュールを低コスト化できる。なお、上部ばね41aおよび下部ばね41bに突起を設置し、可動レンズ615にその突起が嵌合する切り欠きを形成してもよい。
図18は、本発明の実施の形態7に係るカメラモジュールの回路図である。以下、図1も参照して説明する。可動レンズ615の上面に設置されている上部ばね41aの内周側は上部電極626aに接続され、上部電極626aは上部コイル622aおよび下部コイル622bの巻線の一端に電気的に接続されている。また、可動レンズ615の下面に設置されている下部ばね41bの内周側は下部電極626bに接続され、下部電極626bは上部コイル522aおよび下部コイル622bの巻線の他端に電気的に接続されている。そのため、上部ばね41aと駆動素子6とを接続する上部電線42aは、上部ばね41aと上部電極626aとを介し、上部コイル622aおよび下部コイル622bのそれぞれの一端に電気的に接続されている。また、下部ばね41bと駆動素子6とを接続する下部電線42bは、下部ばね41bと下部電極626bとを介し、コイル部622の上部コイル622aおよび下部コイル622bのそれぞれの他端に電気的に接続されている。
図18において、上部コイル622aおよび下部コイル622bは並列に接続されているが、直列に接続してもよい。並列に接続した場合、電気抵抗が小さくなり抵抗損失が小さくなり、直列に接続した場合、コイルの電気抵抗のばらつきがある場合でもすべてのコイルに同一の電流が流れすべてのコイルで発生するローレンツ力のばらつきを低減できる。
次に、焦点を合わせるため、レンズ611と撮像素子4との相対距離を制御する方法を説明する。下部電線42bと比較して、上部電線42aの電圧が高くなるように電圧を印加し、上部コイル622aおよび下部コイル622bに電流を流す。ここで、レンズモジュール601の上側(入射側)から見た場合、上部コイル622aに電流が左回りの向きに流れ、下部コイル622bに電流が右回りの向きに流れるように配線されている。各永久磁石31a、31b、31cおよび31dの発生する磁束と、上部コイル622aおよび下部コイル622bに流れる電流の相互作用(ローレンツ力)により、上部コイル622aおよび下部コイル622bには、上向きの力が作用する。そして、この力と連結部40の上部ばね41aと下部ばね41bとの変形によって発生する力(フック力)とが釣り合う位置まで、可動レンズ615が上向きに移動する。このように、レンズ611と撮像素子4との相対距離が長くなる。
レンズ611の移動量はローレンツ力に比例し、ローレンツ力は上部コイル622aおよび下部コイル622bに流れる電流に比例し、電流は上部電線42aと下部電線42bとの間の電圧に比例する。したがって、制御素子5は、駆動素子6を用いて上部電線42aと下部電線42bとの間の電圧を制御することにより、レンズ611と撮像素子4との相対距離を制御することができる。
上記のように構成し動作させることにより、実施の形態7のカメラモジュールは、実施の形態1のカメラモジュールと同様の効果を奏する。
なお、実施の形態2〜6で示したカメラもモジュールにおいても、実施の形態7のようにレンズ部と可動ベースが一体成型された構成としてもよい。
(実施の形態8)
本発明の実施の形態8に係るカメラモジュールについて、図面を参照しながら説明する。実施の形態8は、実施の形態1のカメラモジュールと略同一の構成であるが、コイルの形状が異なる。具体的には、実施の形態1のカメラモジュールは、レンズの光軸方向に並んだ2つのコイルを備えていたが、実施の形態8のカメラモジュールは、レンズの光軸を取り囲むような4つのコイルを備えている。これ以外の構成は、実施の形態1のカメラモジュールと略同様の構成である。つまり、実施の形態8のカメラモジュールは、図1に示す実施の形態1のカメラモジュール100において、レンズモジュール1の代わりに実施の形態8のレンズモジュール701を用いる構成とすればよい。そのため、実施の形態8に係るカメラモジュールのレンズモジュール701以外は実施の形態1と同様の構成および動作であるため説明は省略する。
図19は、本発明の実施の形態8に係るレンズモジュールにおけるコイルと永久磁石の配置を説明するための平面図である。具体的には、図19は、実施の形態8のレンズモジュールから上部ばねおよび上部絶縁シートを取り除いた状態の平面図であり、コイル722a、722b、722cおよび722dの構成および配置がわかりやすい。図19において、図5Aに示した部材と同様の機能を有する部材については、同一の符号を付し説明を省略する。なお、以下、図5A、図5Bおよび図5Cも参照して説明する。
実施の形態1のレンズモジュールでは、光軸方向に並んで設置された上部コイルおよび下部コイルを有していたが、実施の形態8のレンズモジュール701は、光軸周りに互いに90度離れて配置された4つのコイル722a、722b、722c、722dを有する。また、実施の形態1では、上部コイルおよび下部コイルを巻回されやすくするために、可動ベースホルダの外周に設置されている突起も、レンズモジュール701には設置されていない。
可動ベースホルダ21の外周上には、レンズ11の光軸を中心として、互いに90°ずれた4つのコイル722a、722b、722cおよび722dが配置されている。これらの各コイル722a、722b、722cおよび722dはそれぞれ自己溶着線などで略長方形状に積層巻回され、磁束がレンズ11の半径方向に発生するように配置される。また、コイル722a、722b、722cおよび722dは、それぞれ永久磁石31a、31b、31c、31dに対向するように配置されている。
図20は、本発明の実施の形態8に係るカメラモジュールの回路図である。上部ばね41aの内周側は、コイル722a、722b、722cおよび722dの各巻線の一端に電気的に接続されている。また、下部ばね41bの内周側は、コイル722a、722b、722cおよび722dの各巻線の他端に電気的に接続されている。すわなち、上部電線42aは上部ばね41aを介し、各コイル722a、722b、722cおよび722dの一端に電気的に接続され、下部電線42bは下部ばね41bを介し、コイル722a、722b、722cおよび722dの他端に電気的に接続されている。なお、図20において、各コイル722a、722b、722cおよび722dは並列に接続されているが、直列に接続してもよい。並列に接続した場合、電気抵抗が小さくなり抵抗損失が小さくなる。一方、直列に接続した場合、コイルの電気抵抗のばらつきがある場合においても、すべてのコイルに同一の電流が流れるため、全てのコイルで発生するローレンツ力のばらつきを低減できる。
次に、このレンズモジュール701の焦点制御のためのレンズ11と撮像素子4との位置制御について説明する。下部電線42bと比較して、上部電線42aの電圧が高くなるように電圧を印加し、各コイル722a、722b、722cおよび722dに電流を流す。ここで、それぞれ永久磁石31a、31b、31cおよび31d側からコイル722a、722b、722cおよび722dを見た場合に、右回りに電流が流れるように、コイル722a、722b、722cおよび722dは配線されている。
また、永久磁石31a、31b、31cおよび31dの上部は、内側がN極、外側がS極になるように着磁されている。また、各永久磁石永久磁石31a、31b、31cおよび31dの下部は、内側がS極、外側がN極になるように着磁されている。この構成により、各永久磁石31a、31b、31cおよび31dから発生する磁束と、コイル722a、722b、722cおよび722dに流れる電流の相互作用(ローレンツ力)により、コイル722a、722b、722cおよび722dには、上向きの力が作用する。そして、この力と連結部40の上部ばね41aと下部ばね41bとの変形によって発生する力(フック力)とが釣り合う位置まで、レンズ部10と可動ベース20とが一体となって上向きに移動する。このように、レンズ11と撮像素子4との相対距離が長くなる。
なお、コイル722bおよび722dの巻線の向きを逆にし、かつ永久磁石31b、31dの着磁方向を逆にしても、レンズ11と撮像素子4との位置制御は可能である。
レンズ部10および可動ベース20の移動量はローレンツ力に比例し、ローレンツ力は各コイル722a、722b、722cおよび722dに流れる電流に比例し、電流は上部電線42aと下部電線42bとの間の電圧に比例する。したがって、制御素子5(図1参照)は、駆動素子6(図1参照)を用いて上部電線42aと下部電線42bとの間の電圧を制御することにより、レンズ11と撮像素子4との相対距離を制御することができる。
上記のように構成し、動作させることにより、実施の形態8のカメラモジュールは、実施の形態1のカメラモジュールと同様の効果を持つ。
また、実施の形態3〜5および実施の形態7のカメラモジュールも、実施の形態1のカメラモジュールと同様に、光軸に沿って配置された2つのコイルを用いてレンズと撮像素子との距離を制御する構成である。これらにおいても、実施の形態8で示したように、光軸の周りに配置された4つのコイルを用いてレンズと撮像素子との距離を制御する構成としてもよい。
以上、本発明の具体的な実施形態について説明したが、実施の形態1から実施の形態8で具体的に示した、材料および構造等は、あくまでも一例であり、本発明はこれらの具体例のみに限定されるものではない。例えば、上部ばねおよび下部ばねの形状は上述以外の形状であってもかまわない。例えば、アームの数が3つや5つであってもよい。
また、実施の形態1から実施の形態8のカメラモジュールの各部分の構成を適宜組み合わせてもよい。例えば、実施の形態2のカメラモジュールに、実施の形態1で用いたレンズホルダを用いるなどしてもよい。