JP4076826B2 - 液晶性ポリエステルフィルムと金属箔の積層方法並びに積層体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子産業に適した特性を有する液晶性ポリエステルフィルムと金属箔の積層方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶性ポリエステルフイルムと金属箔を積層する方法として、例えば特許文献1には液晶性重合体フィルムと金属箔とを二重ベルト・ブレスの中で該液晶重合体の融点より高い温度において一定時間、一定の圧力をかけて接合することが開示されている。この方法における問題点として、表面が比較的平滑な金属箔を使用した場合、液晶性ポリエステルフイルムの表面と金属泊との間の十分な密着強度が得られないことが挙げられる。昨今の高度情報化時代における電子及び電気機器産業の発展にともない、電気回路を流れる信号速度も高速化し、またダウンサイジングのための集積化による回路の細線化などにより、回路基板を形成する導電体(銅箔)表面の平滑性が求められるようになってきた。特に、導電体表面の平滑性が機能上重要な特性となる高周波回路部品においては、従来の電解銅箔に代えて圧延銅箔が用いられるようになってきた。従って、特許文献1の実施例に示されるような電解銅箔を用いる場合、めっき析出によって形成される片側粗化面のアンカー効果を利用することにより、液晶性ポリエステルフイルムとの良好な密着性が得られるが、表面粗さ(Rz)が5μm以下のロープロファイル電解銅箔や圧延銅箔の場合には十分な密着力が得られていない。
【0003】
一方、熱可塑性樹脂と金属との複合一体化に際し、金属を予めトリアジンチオール化合物で表面処理する方法が、特許文献2や特許文献3に開示されている。特許文献2の方法では、熱可塑性樹脂と金属の接合において、熱可塑性樹脂と含酸素炭化水素樹脂との組成物を溶融状態で接触(射出成形等)する必要があるばかりか、実験例に例示される如く、該熱可塑性樹脂が液晶性ポリエステル樹脂の場合、必ずしも十分な接着性が得られない。また、含酸素炭化水素樹脂の添加によりある程度の密着性改善効果が認められるものの、このような含酸素炭化水素樹脂の添加は、液晶性ポリエステル樹脂が本来有する優れた熱的特性、機械的特性、電気的特性、バリアー性など特性を少なからず低下させることになるため好ましくない。また、特許文献3の方法では、特許文献1の方法と同様に、熱可塑性樹脂成形品に接する側の表面粗度が小さいロープロファイル金属箔や圧延金属箔の場合、十分な密着強度が得難い。
また、表面粗度が小さいロープロファイル銅箔と合成樹脂とを接着する方法として、銅箔を予め特定のポリチオール表面処理剤で処理する方法が、例えば特許文献4に開示されている。しかしながら、この方法は、熱硬化性樹脂プリブレグとの接着にのみ改善効果が認められるものであり、熱可塑性の液晶性ポリエステルフィルムとの接合においては改善効果が得難い。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−58024号公報
【特許文献2】
特開平11−58604号公報
【特許文献3】
特開2000−218935号公報
【特許文献4】
特開2000−196207号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐熱性、機械的特性、電気的特性、ガスバリアー性などの優れた特性を備え、電子及び電気部品の絶縁部材として好適な液晶性ポリエステルフィルムと表面粗度が小さいロープロファイル金属箔とを高い密着力で接合する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は前記課題の解決のために鋭意研究を進めた結果、金属箔表面を予め特定のトリアジンチオール化合物で表面処理し、更に液晶性ポリエステルフィルムの表面を特定の表面粗さ以上になるようブラスト処理するか、又は/及び液晶性ポリエステルフイルムの表面を特定波長以下の紫外線で照射処理することにより、金属箔と液晶性ポリエステルフィルムとの接着性が著しく向上することを見出した。本発明は上記知見に基づいてなされたものである。
【0007】
即ち、本発明は、表面粗さ(Rz)が5μm以下の金属箔を液晶性ポリエステルフィルムの間に配し、電磁誘導加熱による加熱及び加圧接着を行って金属箔の両面に液晶性ポリエステルフィルムを積層する方法であって、金属箔の両面を予め下記一般式(I)で表わされるカップリング剤で表面処理する工程と、液晶性ポリエステルフィルムの片面を予め表面粗さ(Rz)が5μm以上になるようにブラスト処理するか、又は/及び液晶性ポリエステルフイルムの片面に予め300nm以下の波長の紫外線を照射する前処理工程と、該液晶性ポリエステルフイルムのガラス転移点以上の温度で、該液晶性ポリエステルフィルムの前処理された面と該金属箔の表面処理された面とを加熱及び加圧接着して複合一体化する工程からなることを特徴とする液晶性ポリエステルフィルムと金属箔の積層方法を提供する。
【0008】
【化2】
(上式において、Rは-OR1、-OOR1、-SmR1又は-NR1R2であり、ここでR1及びR2は各々水素原子である他、水酸基、カルボニル基、エーテル基、エステル基、アミド基、アミノ基、フェニル基、シクロアルキル基、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を含む置換基であり、mは1から8までの整数であり、MはH、Na、Li、K、1/2Ba、1/2Ca又はアンモニウム塩である。)
【0009】
また、本発明は、前記発明の液晶性ポリエステルフィルムと金属箔の積層方法により形成された積層体を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の具体的構成について詳しく述べる。
本発明に使用される液晶性ポリエステルフィルムを形成する液晶性ポリエステルとは、光学異方性溶融相を形成し得る性質を有する溶融加工性ポリマーを指す。異方性溶融相の性質は、直交偏光子を利用した慣用の偏光検査法により確認することができる。より具体的には、異方性溶融相の確認は、Leitz偏光顕微鏡を使用し、Leitzホットステージに載せた溶融試料を窒素雰囲気下で40倍で観察することにより実施できる。本発明に適用できる液晶性ポリエステルは直交偏光子の間で検査したときに、たとえ溶融静止状態であっても偏光は通常透過し、光学的に異方性を示す。
【0011】
このような液晶性ポリエステルとしては特に限定されないが、芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドであることが好ましく、芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドを同一分子鎖中に部分的に含むポリエステルもその範囲にある。これらは60℃でペンタフルオロフェノールに濃度0.1重量%で溶解したときに、好ましくは少なくとも約2.0dl/g、更に好ましくは2.0〜10.0dl/gの対数粘度(I.V)を有するものが使用される。本発明に適用できる液晶性ポリエステルとしての芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドとして特に好ましくは、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ポリエステル、芳香族ポリエステルアミドである。
【0012】
より具体的には、(1)主として芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種以上からなるポリエステル;(2)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種以上、(b)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸及びその誘導体の1種以上と、(c)芳香族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジオール及びその誘導体の少なくとも1種以上、とからなるポリエステル;(3)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種以上と、(b)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン及びその誘導体の1種以上と、(c)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸及びその誘導体の1種以上、とからなるポリエステルアミド;(4)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種以上と、(b)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン及びその誘導体の1種以上と、(c)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸及びその誘導体の1種以上と、(d)芳香族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジオール及びその誘導体の少なくとも1種以上、とからなるポリエステルアミドなどが挙げられる。更に前記の構成成分に必要に応じ分子量調整剤を併用してもよい。
【0013】
本発明に適用できる前記液晶性ポリエステルを構成する具体的化合物の好ましい例としては、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ−酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、レゾルシン、下記一般式(II)及び下記一般式(III)で表わされる化合物等の芳香族ジオール;テレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸及び下記一般式(IV)で表わされる化合物等の芳香族ジカルボン酸;p−アミノフェノール、p−フェニレンジアミン等の芳香族アミン類が挙げられる。
【0014】
【化3】
(但し、Xは直接結合、アルキレン(C1〜C4)、アルキリデン、-O-、-SO-、-SO2-、-S-、-CO-より選ばれる基、Y:-(CH2)-(n=1〜4)、-O(CH2)nO-(n=1〜4)より選ばれる基)
【0015】
本発明が適用される特に好ましい液晶性ポリエステルとしては、p−ヒドロキシ安息香酸及び6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸からなる芳香族ヒドロキシカルボン酸を主構成単位成分とする芳香族ポリエステル及びポリエステルアミドである。
【0016】
本発明の液晶性ポリエステルには、使用目的に応じて各種の繊維状、粉粒状、板状の無機及び有機の充填剤を配合することができる。
繊維状充填剤としてはガラス繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化珪素繊維、硼素繊維、チタン酸カリ繊維、ウォラストナイトの如き珪酸塩の繊維、硫酸マグネシウム繊維、硼酸アルミニウム繊維、更にステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮等の金属の繊維状物などの無機質繊維状物質が挙げられる。特に代表的な繊維状充填剤はガラス繊維である。尚、ポリアミド、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などの高融点有機質繊維状物質も使用することができる。
【0017】
一方、粉粒状充填剤としてはカーボンブラック、黒鉛、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ミルドガラスファイバー、ガラスバルーン、ガラス粉、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、カオリン、クレー、珪藻土、ウォラストナイトの如き珪酸塩、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、アルミナの如き金属の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムの如き金属の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムの如き金属の硫酸鉛、その他フェライト、炭化珪素、窒化珪素、窒化硼素、各種金属粉末等が挙げられる。又、板状充填剤としてはマイカ、ガラスフレーク、タルク、各種の金属箔等が挙げられる。有機充填剤の例を示せば、芳香族ポリエステル、液晶性ポリマー繊維、芳香族ポリアミド、ポリイミド繊維などの耐熱性高強度繊維などである。
これらの無機及び有機充填剤は1種以上併用することができる。
【0018】
これらの充填剤の使用に当たっては必要ならば集束剤又は表面処理剤を使用することができる。尚、液晶性ポリマーに対し、核剤、カーボンブラック、無機焼成顔料等の顔料、酸化防止剤、安定剤、可塑剤、滑剤、離型剤及び難燃剤等の添加剤を添加して、所望の特性を付与した組成物も本発明で云う液晶性ポリマーの範囲に含まれる。尚、液晶性ポリエステルフィルムの厚さは特に制限はないが、一般的には10〜500μmの範囲が好適である。
【0019】
次に、本発明に使用される金属箔は、材質、形状、その製造方法や厚みについて特に限定するものではない。例えば、銅箔の場合、電解銅箔、圧延銅箔のいずれであってもよい。しかし、本発明がもっともその効果を発揮するのは表面粗さ(Rz)が5μm以下の金属箔への適用である。また、本発明で使用する金属箔は、金属表面を酸化や腐食から保護するために、ニッケル、錫、金等、公知の金属めっき処理がなされていてもよい。
本発明では、上記の金属箔を積層する前に予め特定のカップリング剤で表面処理する必要がある。本発明で使用する特定のカップリング剤とは、下記一般式(1)で示されるものである。
【0020】
【化4】
(上式において、Rは-OR1、-OOR1、-SmR1又は-NR1R2であり、ここでR1及びR2は各々水素原子である他、水酸基、カルボニル基、エーテル基、エステル基、アミド基、アミノ基、フェニル基、シクロアルキル基、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を含む置換基であり、mは1から8までの整数であり、MはH、Na、Li、K、1/2Ba、1/2Ca又はアンモニウム塩である。)
【0021】
上記カップリング剤の一部は、一般に市販されている(ジスネツト(登録商標)/三協化成株式会社)。また、このカップリング剤を使用した金属箔の表面処理は、金属箔表面に該カップリング剤の薄い皮膜を形成することが目的であり、その方法について特に制限はないが、一般的に知られる方法として、該カップリング剤を水又はメチルアルコール、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン等の特定の有機溶剤に、濃度0.0001〜30重量%の範囲となるように溶解又は分解し、この溶液中に金属箔を室温〜溶媒の沸点以下の温度範囲で任意の時間単に浸漬する方法や、浸漬して金属箔を陽極に、白金板等を陰極としてカップリング剤を電気化学的に吸着させる方法などがある。
【0022】
次に、本発明で液晶性ポリエステルフイルムの表面を予め表面粗さ(Rz)が5μm以上になるように粗化する方法として、ブラスト処理が使用される。液晶性ポリエステルフィルムの表面を予めブラスト処理することにより、カップリング剤で表面処理した金属箔との接触反応面積が増大し、金属箔と液晶性ポリエステルフイルムとの密着強度が増大する。表面粗さ(Rz)が5μmより小さいと、密着強度の改善効果があまり認められない。また、表面粗さがあまり過大になりすぎても、フィルムが破れたり、フィルム強度の低下が大きくなるため、好ましくは50μm以下、更に好ましくは30μm以下とするのがよい。ブラスト処理は、研削剤の種類やそれを噴射する方法などによって、サンドブラスト、ウェットブラスト、グリットブラスト、ショットブラスト、液体ホーニングなどの方法があり、いずれの方法を用いてもよいが、目的のフィルム表面状態が安全かつ経済的に効率良く得られる方法として、特に液体ホーニングによる粗化処理方法が好適に用いられる。
【0023】
液体ホーニングとは、アルミナ等の微粒研削剤を添加した水を、圧縮空気の力で被処理物の表面に噴射して被処理物表面を物理的に粗化する方法であり、液体ホーニング装置が使用される。研削剤に水を添加しないで、乾燥状態のままで、圧縮空気の力で被処理物表面に噴射する方法は、一般的にサンドブラスト法又はエアーブラスト法と呼ばれる方法であり、液体ホーニング法とは一線を画す粗化処理方法である。
【0024】
即ち、サンドブラスト法又はエアーブラスト法において、研削剤の噴射運搬媒体が空気であるのに対し、液体ホーニング法におけるそれは水であるため、サンドブラスト法と比較して液体ホーニング法の方が圧力損失が小さく、また粗化と同時に表面を清浄化する作用が大きいため、液晶性ポリエステルフィルム表面を効率的に粗化することができる。また、サンドブラスト法では処理中に多量の粉塵が発生するため、粉塵発生が殆どない液体ホーニング法は作業環境の点からも安全性が高く、本発明における液晶性ポリエステルフイルムのブラスト処理方法として好適に用いられる。
【0025】
次に、本発明で液晶性ポリエステルフイルムの表面を予め300nm以下の波長の紫外線で照射する方法について説明する。300nm以下の紫外線は、例えば、市販の低圧水銀ランプを使用することにより得られる。300nm以下の紫外線を液晶性ポリエステルフィルムに照射することにより、液晶性ポリエステルフイルムの表面が活性化され、金属箔表面のカップリング剤との反応性が増大し、金属箔との密着強度が増大する。尚、本発明における300nm以下の波長の紫外線を液晶性ポリエステルフイルムに照射する方法において、照射する紫外線の波長を除いては、照射時間、トータル照射エネルギー等、特に制限を設けるものではないが、トータル照射エネルギーとして、100〜3000mJ/cm2が好ましく、過少では活性化が不充分となり密着性の改善効果が見られなくなる。また、過大になりすぎるとフィルム強度の低下が著しくなり、実使用上問題となる。
【0026】
上記、液晶性ポリエステルフイルムの表面を予め表面粗さ(Rz)が5μm以上になるように粗化する方法、及び液晶性ポリエステルフィルムの表面を予め300nm以下の波長の紫外線で照射する方法は、それぞれ単独でも、液晶性ポリエステルフィルムとカップリング剤で表面処理した金属箔との密着力を向上させるのに効果が見られるが、両者を併用すると相乗効果が生じ、著しく改善効果が高まる。
【0027】
上記のように予め処理した金属箔と液晶性ポリエステルフイルムとを加熱・加圧接着して複合一体化する工程について説明する。本発明において、金属箔と液晶性ポリエステルフィルムとを加熱・加圧接着する方法について、その設備並びに方法等について特に制限はなく、ヒーターと温度制御装置を内蔵したプレス成形機やホットスタンピング装置のようなものであってもよいし、また、連続した複合一体フィルムを所望する場合には、熱ロールによるロールラミネート装置のようなものであってもよい。また、接着条件について、液晶性ポリエステルフィルムの温度が、そのガラス転移点以上の温度である条件で接着する必要がある他は、特に制限はない。接着温度が液晶性ポリエステルフィルムのガラス転移点以下の場合、液晶性ポリエステルフィルムと金属箔は全く密着しない。また、あまりに高すぎても(例えば、液晶性ポリエステルフィルムの融点をはるかに超える温度領域)、フィルムの熱分解が著しくなるため、好ましくは、ガラス転移点温度以上で融点プラス50℃以下、更に好ましくは、融点±50℃の温度領域である。また、本発明において、金属箔を中間層とし、その両面に液晶性ポリエステルフィルムを積層(サンドイッチ)する場合には、電磁誘導加熱方式を利用したプレス成形法が好適に用いられる。
【0028】
このような液晶性ポリエステルフィルムと金属箔との積層方法により得られる液晶性ポリエステルフィルム/金属箔積層品は、密着強度が高く電気回路部品や電磁波シールド部品などに好適に用いられる。具体的には、電磁波シールド部品や電気回路基板などに好適に用いられる。具体的には、電気・電子用コネクター、光通信用光リンク、電子制御ユニット(ECU)、放電灯昇電圧装置、携帯電話、携帯用通信端末装置の部品などに使用される。
【0029】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例において、液晶性ポリエステルフィルムと金属箔との密着力を測定するのに用いた方法等は以下の通りである。
(密着力測定試験)
試験片を長辺方向にカッターナイフを使用して10mm幅に切断して短冊状の測定用サンプルを作成する。このサンプルの片端部を一部剥離した後、小型引張り試験機(ロードセル100kg)にて、液晶性ポリエステルフィルムと金属箔とを互いに180°方向に引張り(クロスヘツドスピード50mm/分)、液晶性ポリエステルフイルムと金属箔との密着力を測定した。尚、結果は(kg/cm)の単位で表示した。
表面粗さ(Rz)
JIS B0601に準拠して十点平均粗さを測定した。
【0030】
(実施例1)
液晶性ポリエステルフィルムとして、ヘキスト・セラニーズ社から市販されているベクトランA(登録商標)(厚み50μm、融点約282℃、ガラス転移点約100℃)を使用し、また金属箔として市販のファインパターン用電解銅箔(厚み35μm)を使用した。市販の表面粗さ計(ミツトヨ社製/SV−C624)を用いて測定した結果、液晶性ポリエステルフイルムの表面粗さ(Rz)は1.2μm、電解銅箔の表面粗さ(Rz)は3.2μmであった。液晶性ポリエステルフイルム及び電解銅箔は、カッターナイフを使用して100mm×150mmの大きさに切り出して試験片とした。
次に、電解銅箔のカップリング剤処理を以下の手順に従って行った。先ず、電解銅箔を脱脂処理した後、市販の1,3,5‐トリアジン−2,4,6‐トリチオールモノナトリウム(商品名:ジスネツトTTN(登録商標)/三協化成株式会社)を用い、以下の条件で浸漬処理した後、60℃温風で乾燥して使用した。
溶媒:蒸留水
濃度:1×10-3モル/リットル
処理温度:50℃
処理時間:30秒
次いで、液晶性ポリエステルフィルムの片側表面を、市販の液体ホーニング装置(不二糖機製造所製、型式LH5)を使用して、以下の条件で粗化処理した。
研削剤:中心粒子径44〜74μmの溶融質アルミナ研削剤(液体:水、分散濃度15重量%)
吹付け圧力:0.4MPa
被処理物との距離:約20cm
処理時間:20秒
【0031】
上記処理したものを水洗、室温乾燥して使用した。市販の表面粗さ計により粗化処理面の表面粗さを測定したところ、表面粗さ(Rz)は13.5μmであった。次に、上記カップリング剤処理した電解銅箔と、上記ブラスト処理した液晶性ポリエステルフィルムの粗化処理面とを重ね合わせ、市販のホットスタンピング装置(太平工業製、型式VD6)を使用して、電解銅箔側をホットスタンピング装置のヒートパネル側に接触させるようにして、以下の条件で加熱・加圧接着した。
ヒートパネル温度:260℃
圧力:0.5MPa
時間:10秒
得られた樹脂フィルム/銅箔積層サンプルを使用し、前記の密着性測定試験の方法により、液晶性ポリエステルフィルムと銅箔との密着力を測定した。結果を表1に示す。
【0032】
(実施例2)
液晶性ポリエステルフイルムにブラスト処理をしないで、市販の低圧水銀ランプ照射装置(SEN LIGHTS CORPORATION製、型式PL8−200、主波長185nm及び254nm)を使用して、ランプからの距離5cmのところにフイルムを置いて60秒間、紫外線ランプ照射(紫外線照射強度が10mW/cm2、照射時間60秒、積算エネルギーとして600mJ/cm2)を行った他は、実施例1と同様にして評価サンプルを得て、同様の評価を行なった。結果を表1に示す。
(実施例3)
液晶性ポリエステルフィルムに実施例1と同様に液体ホーニングによるブラスト処理を行ない、更に実施例2と同様に紫外線照射処理を行なった他は、実施例1と同様にして評価サンプルを得て、同様の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0033】
(比較例1〜3)
電解銅箔にカップリング剤処理をしなかった他は、それぞれ実施例1〜3と同様にして評価サンプルを得て、同様の評価を行なった。結果を表1に示す。
(比較例4)
液晶性ポリエステルフィルムにブラスト処理をしなかった他は、実施例1と同様にして評価サンプルを得て、同様の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】
以上の説明及び実施例から明らかなように、本発明に係る液晶性ポリエステルフィルムと金属箔の積層方法によれば、密着強度が高い液晶性ポリエステルフィルム/金属箔積層品が得られ、電気回路部品や電磁波シールド部品などに好適に用いることができる。
Claims (3)
- 表面粗さ(Rz)が5μm以下の金属箔を液晶性ポリエステルフィルムの間に配し、電磁誘導加熱による加熱及び加圧接着を行って金属箔の両面に液晶性ポリエステルフィルムを積層する方法であって、金属箔の両面を予め下記一般式(I)で表わされるカップリング剤で表面処理する工程と、液晶性ポリエステルフィルムの片面を予め表面粗さ(Rz)が5μm以上になるようにブラスト処理するか、又は/及び液晶性ポリエステルフイルムの片面に予め300nm以下の波長の紫外線を照射する前処理工程と、該液晶性ポリエステルフイルムのガラス転移点以上の温度で、該液晶性ポリエステルフィルムの前処理された面と該金属箔の表面処理された面とを加熱及び加圧接着して複合一体化する工程からなることを特徴とする液晶性ポリエステルフィルムと金属箔の積層方法。
- 請求項1記載の方法により形成された液晶性ポリエステルフィルムと金属箔の積層体。
- 電気回路部品又は電磁波シールド部品である請求項2記載の積層体。
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