JP3497026B2 - 液晶性ポリエステル樹脂成形品の表面処理法 - Google Patents

液晶性ポリエステル樹脂成形品の表面処理法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は液晶性ポリエステル
樹脂成形品の表面処理法に関する。更に詳しくは印刷、
塗装、蒸着、メッキ等による表面装飾や回路形成、又、
接着剤による接着などに適した表面特性を有する耐熱
性、成形加工性に優れた液晶性ポリエステル樹脂成形品
を効率よく得るための、表面粗化時のエッチング液の濡
れ性に優れ、且つ量産性に優れた液晶性ポリエステル樹
脂成形品の表面処理法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】液晶性
ポリエステル樹脂は、一般に知られている熱可塑性ポリ
エステル、例えばポリブチレンテレフタレート、ポリエ
チレンテレフタレートと異なり、剛直な高分子よりな
り、溶融状態でも分子鎖は折れ曲がり難く棒状を保って
いるため、溶融時に分子の絡み合いが少なく、僅かな剪
断応力を受けるだけで一方向に配向し、液状でも結晶性
を示す、いわゆる液晶性を示す。斯かる液晶性ポリエス
テル樹脂は一般に行われている射出成形加工法を適用す
ることができ、成形加工性、耐熱性、寸法安定性等に優
れる利点を有するが、成形された成形品の表面は強い配
向のため表層部が剥離し毛羽立ちを生じ易く、そのまま
では接着、塗装、メッキによる2次加工ができない。そ
こで、従来一般の樹脂に用いられている様な薬品による
表面粗面化処理を行うことが考えられるが、液晶性ポリ
エステル樹脂成形品の表面は化学的に極めて不活性で、
親和性のある適切な溶剤がなく、表層の配向層を取り除
き表面を粗面化することができない。そこで、液晶性ポ
リエステル樹脂の強い配向性を弱めるための無機充填剤
や易溶出性添加剤等を加えて強酸や強アルカリ溶液によ
り表面を粗化することが考えられる。しかしながら、こ
の方法では表面粗化に溶液を用いているため、樹脂と表
面粗化用溶液との濡れ性に問題があり、特に立体形状の
成形品の場合、成形品の表面に気泡が付着してその部分
が粗化されず、その後の印刷、塗装、蒸着、メッキ等の
処理ができなくなる等の問題が発生する。一方、液晶性
ポリエステル樹脂は、一般金属に匹敵する低い線膨張係
数を示し、耐熱的には 260℃のハンダ浴に10秒間浸漬し
ても異常を生じない等の特徴を有し、この特性を生かし
て、印刷、塗装、蒸着、メッキ等の表面装飾や回路形成
した成形品や、金属と接着させた部品への用途を目的と
して前記表面特性を改善した表面処理方法が求められて
いたが未だ満足のいく方法は知られていない。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、これら従
来法の問題点を解決し、物理的・化学的性質を損なうこ
となしに、液晶性ポリエステル樹脂成形品の表面に印
刷、塗装、蒸着、メッキ等を均一に付与する方法に関し
鋭意検討した結果、液晶性ポリエステル樹脂成形品の表
面に予め紫外線を照射した後、エッチング液にて表面粗
化し、好ましくは更に超音波洗浄することにより、立体
な成形品を従来よりも均一に表面粗化することが可能と
なることを見出し、本発明を完成するに至ったものであ
る。即ち本発明は、異方性溶融相を形成し得る液晶性ポ
リエステル樹脂からなる成形品の表面の所望の部分に紫
外線を照射した後、エッチング液にて表面粗化すること
を特徴とする液晶性ポリエステル樹脂成形品の表面処理
法である。
【0004】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用される液晶性ポリエステル樹脂とは、溶融
状態で分子配向が有り、光学的に異方性を示す。この場
合の分子配向は分子の長軸方向及びその平行方向に分子
が全体として配列しており、この軸と分子の傾きとは必
ずしも一致しなくても良い。溶融状態での異方性観察
は、直交偏光子を利用した慣用の偏光検査法により行う
ことができる。より具体的には、異方性溶融相の確認
は、Leitz 偏光顕微鏡を使用し、Leitz ホットステージ
にのせた溶融試料を窒素雰囲気下で40倍の倍率で観察す
ることにより実施できる。本発明のポリマーは直交偏光
子の間で検査したときにたとえ溶融静止状態であっても
偏光は透過し、光学的に異方性を示す。これは徐々に加
熱した際にはある温度範囲で液晶相に特有の光学模様と
して観察できる。又、X線回折においても相に特異的な
回折パターンを観察することができる。熱分析では一般
的に示差走査熱量計が用いられ、各種相転移のエントロ
ピー変化や転移温度を測定できる。本発明に使用するの
に適した液晶性ポリマーは、一般溶剤には不溶である傾
向を示し、したがって溶液加工には不向きである。しか
し、これらのポリマーは普通の溶融加工法により容易に
加工することができる。本発明で用いられる液晶性ポリ
マーは、芳香族ポリエステル及び芳香族ポリエステルア
ミドが好ましく、芳香族ポリエステル及び/又は芳香族
ポリエステルアミドを同一分子鎖中に部分的に含むポリ
エステルも好ましい例である。特に好ましくは、芳香族
ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジ
オール、芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミンの群
から選ばれた少なくとも1種以上の化合物を構成成分と
して有する液晶性芳香族ポリエステル、液晶性芳香族ポ
リエステルアミドである。より具体的には、 1)主として芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体
の1種又は2種以上からなるポリエステル 2)主として a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種
又は2種以上と b)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸及びその
誘導体の1種又は2種以上と c)芳香族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジオール
及びその誘導体の少なくとも1種又は2種以上とからな
るポリエステル 3)主として a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種
又は2種以上と b)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン及びその
誘導体の1種又は2種以上と c)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸及びその
誘導体の1種又は2種以上とからなるポリエステルアミ
ド 4)主として a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種
又は2種以上と b)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン及びその
誘導体の1種又は2種以上と c)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸及びその
誘導体の1種又は2種以上と d) 芳香族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジオール
及びその誘導体の少なくとも1種又は2種以上とからな
るポリエステルアミドが挙げられる。更に上記の構成成
分に必要に応じ分子量調整剤を併用しても良い。例え
ば、一官能性モノマーを使用したり、酸とアルコールと
のモルバランスを崩すためカルボン酸過剰あるいはアル
コール過剰とするなどが挙げられるが、これらの例に限
定されるものではない。液晶性ポリエステルを構成する
具体的化合物の好ましい例は、2,6 −ナフタレンジカル
ボン酸、2,6 −ジヒドロキシナフタレン、1,4 −ジヒド
ロキシナフタレン及び6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸
等のナフタレン化合物、4,4'−ジフェニルジカルボン
酸、4,4'−ジヒドロキシビフェニル等のビフェニル化合
物、p−ヒドロキシ安息香酸、テレフタル酸、ハイドロ
キノン、p−アミノフェノール及びp−フェニレンジア
ミン等のパラ位置換のベンゼン化合物及びそれらの核置
換ベンゼン化合物(置換基は塩素、臭素、メチル、フェ
ニル、1−フェニルエチルより選ばれる)、イソフタル
酸、レゾルシン等のメタ位置換のベンゼン化合物であ
る。その具体的化合物の好ましい例は、2,6 −ナフタレ
ンジカルボン酸、2,6 −ジヒドロキシナフタレン、1,4
−ジヒドロキシナフタレン及び6−ヒドロキシ−2−ナ
フトエ酸等のナフタレン化合物、4,4'−ジフェニルジカ
ルボン酸、4,4'−ジヒドロキシビフェニル等のビフェニ
ル化合物、下記一般式(I) 、(II)又は(III)で表される
化合物:
【0005】
【化1】
【0006】(但し、X:アルキレン(C1〜C4) 、アルキ
リデン、-O- 、-SO-、-SO2- 、-S- 、-CO-より選ばれる
基 Y:-(CH2)n- (n= 1〜4)、-O(CH2)nO- (n=1〜4)よ
り選ばれる基) 又、液晶性ポリエステルは、上述の構成成分の他に同一
分子鎖中に部分的に異方性溶融相を示さないポリアルキ
レンテレフタレートを含んでも良い。この場合のアルキ
ル基の炭素数は2乃至4である。上述の構成成分の内、
ナフタレン化合物、ビフェニル化合物、パラ位置換ベン
ゼン化合物より選ばれる1種若しくは2種以上の化合物
を必須の構成成分として含むものが更に好ましい例であ
る。又、パラ位置換ベンゼン化合物の内、p−ヒドロキ
シ安息香酸、メチルハイドロキノン及び1−フェニルエ
チルハイドロキノンは特に好ましい例である。構成成分
となるエステル形成性の官能基を有する化合物の具体例
及び本発明で用いられるのに好ましい異方性溶融相を形
成するポリエステルの具体例については特公昭63−3663
3 号公報に記載されている。上記の芳香族ポリエステル
及びポリエステルアミドはまた、60℃でペンタフルオロ
フェノールに0.1 重量%濃度で溶解したときに、少なく
とも約1.0dl/g 、たとえば約1.0 〜10.0dl/gの対数粘度
(I.V.)を一般に示す。
【0007】本発明で用いられる液晶性ポリエステル樹
脂は、印刷、塗装、蒸着、メッキ等の際の密着性を高め
るため、必要に応じその材料に易エッチング性物質等の
適当な物質を配合してもよい。又、必要に応じ充填剤を
配合してもよく、充填剤としては、ガラスビーズ、ガラ
スバルーン、ガラス粉、周期律表II族元素及びその酸化
物、硫酸塩、リン酸塩、珪酸塩、炭酸塩、又はアルミニ
ウム、珪素、スズ、鉛、アンチモン、ビスマスの元素及
びその酸化物からなる群より選ばれた1種又は2種以上
の微粉状充填剤が好ましい。周期律表II族の元素の酸化
物とは、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリ
ウム、酸化亜鉛等の如き化合物であり、リン酸塩とはリ
ン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸バリウ
ム、リン酸亜鉛、ピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸
カルシウム等の如き化合物であり、硫酸塩とは硫酸マグ
ネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の化合物で
あり、珪酸塩とは珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、
珪酸アルミニウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻
土、ウォラストナイト等の化合物であり、炭酸塩とは炭
酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸
亜鉛等の化合物である。特にリン酸塩が好適である。
又、上記の他に亜鉛、アルミニウム、珪素、スズ、鉛、
アンチモン、ビスマス等の両性金属元素、又はその元素
の酸化物からなる群より選ばれた1種又は2種以上も好
ましく、特に亜鉛、アルミニウム、スズ、鉛等の両性金
属元素及びその酸化物が好ましい。これら微粉状無機充
填剤の粒径は、平均粒径0.01〜100 μm の範囲、好まし
くは0.1 〜30μm 、更に好ましくは0.5 〜10μm が適当
である。0.01μm 未満では分散不良により成形品表面に
凝集塊が生じ易く、 100μm を超えると成形品の平滑性
が悪くなり、良い外観が得られない。
【0008】又、無機充填剤として繊維状無機物も好ま
しく、繊維状無機物単独で若しくは上記微粉状無機充填
剤と組み合わせて使用される。繊維状無機物としては、
ガラス繊維、ミルドガラスファィバー、炭素繊維、アス
ベスト繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、アル
ミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化珪素繊
維、硼素繊維、チタン酸カリ繊維、更にステンレス、ア
ルミニウム、チタン、銅、真鍮等の金属の繊維状物など
の無機繊維状物質が挙げられる。特にガラス繊維、ミル
ドガラスファィバーが好ましい。これら繊維状無機物の
形状は、直径1〜30μm 、長さ5μm 〜1mm、特に10〜
100 μm の範囲にあるものが好ましい。
【0009】上記微粉状無機充填剤の配合量は液晶性ポ
リエステル樹脂組成物全量に対して0〜70重量%、好ま
しくは5〜40重量%である。70重量%を超えると樹脂の
流動性が低下し、表面の良好な成形品が得られず、それ
と同時に成形品の機械的強度も低下してしまい好ましく
ない。又、繊維状無機物の配合量は液晶性ポリエステル
樹脂組成物全量に対して0〜70重量%、好ましくは5〜
40重量%である。但し、上記微粉状無機充填剤と繊維状
無機物との総配合量が液晶性ポリエステル樹脂組成物全
量の70重量%を超えることは、成形加工性及び各種の物
性面から好ましくない。
【0010】次に、本発明で用いる紫外線は、液晶性ポ
リエステル樹脂成形品表面における水溶液等の極性の強
い溶液に対する濡れ性を向上させる効果があれば、一般
に言われている波長50〜390nm 程度の紫外線の何れでも
よいが、特に185nm 及び254nm の波長を含む紫外線を用
いることが好ましい。水溶液等の極性の強い溶液に対す
る濡れ性を向上させる機構は、紫外線照射することによ
り液晶性ポリエステル樹脂成形品表面にある化学結合が
切断され、これに空気中の酸素が結合し、中間に過酸化
構造を経由するなどして、表面にカネボニル基、カルボ
キシル基等が生成するためであり、その結果、表面の極
性を高くするためと推測される。又、185nm の波長の紫
外線は、 O2 → O+O O2+O→ O3 の反応によりオゾンを発生させ、次に254nm の波長の紫
外線により、 O3 → O2+O の反応が起き、活性酸素 Oが発生し、この活性酸素によ
り液晶性ポリエステル樹脂成形品の表面が酸化作用を起
こしやすくなり、より効果的に液晶性ポリエステル樹脂
成形品の表面の極性を高めることができる。又、液晶性
ポリエステル樹脂成形品の表面の所望の部分に紫外線を
照射する方法は、紫外線ランプ(低圧水銀ランプ等)が
発光している場所をコンベア等により通過させる方法が
一般的であるが、その他、紫外線レーザーを用いること
により液晶性ポリエステル樹脂成形品の表面に選択的に
紫外線を照射することが可能であり好ましい方法であ
る。紫外線の照射時間は、成形品と光源までの距離及び
光源の強度にもよるが、通常、成形品と光源までの距離
は操作上の点から20cm以下であることから、照射時間は
20秒以上10分以下であることが望ましい。20秒未満では
光照射効果が得られにくく、10分を超えると生産性が非
常に悪くなる。この際、照射雰囲気に分子状酸素を共存
ないし富化させることにより、照射時間の短縮化及びそ
れに伴う生産性の向上を図ることができる。
【0011】本発明で用いるエッチング液とは、液晶性
ポリエステル樹脂を溶解または分解することが可能な極
性の強い溶液であれば、如何なる溶液でもよいが、安全
性、量産性、簡便性等を考慮すると、アルカリ水溶液を
用いた加水分解によるエッチングが好ましい。このアル
カリ水溶液に用いられるアルカリ性物質は、アルカリ金
属の酸化物及び水酸化物が好ましく、これらの物質は1
種又は2種以上を混合して用いられる。具体的には、酸
化ナトリウム、水酸化ナトリウム、酸化カリウム、水酸
化カリウム等が挙げられ、特に水酸化ナトリウム、水酸
化カリウムが好ましい。
【0012】本発明では、紫外線照射、エッチング液に
よる表面粗化の後に、中和後、水洗等により前工程であ
るエッチング工程で表面に付着した液晶性ポリエステル
樹脂の分解物や充填剤を除去するのであるが、この際、
超音波洗浄を行うのが望ましい。本発明において超音波
洗浄とは、超音波洗浄器又は超音波発振器を水槽内に入
れて用い、上記分解物等の除去の万全を期すものであ
る。超音波洗浄に用いる溶液は通常水を用いるが、特に
限定されるものではない。又、充填剤の種類によって
は、超音波洗浄により、充填剤の一部分が表面に露出し
ただけで樹脂内に入っている部分も除去することが可能
となり、後工程で行われる印刷、塗装、蒸着、メッキ等
の密着力が向上する。
【0013】
【発明の効果】以上述べた様に、本発明の液晶性ポリエ
ステル樹脂成形品の表面処理法は、成形品表面のエッチ
ング液の濡れ性に優れており、複雑な立体形状の成形品
でも均一なエッチング表面が得られ、印刷、塗装、蒸
着、メッキ等の密着力が強く、多くの装飾品、電気・電
子部品に有効に利用される。
【0014】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 実施例1 液晶性ポリエステル(商品名「ベクトラ」、ポリプラス
チックス(株)製)を主体とする金属密着性(メッキ
性)樹脂組成物を用いて、射出成形により外形が25mm×
20mm×2mmで表面に2mm×2mm×1mmの凹みが12個ある
立体的な成形品を作成した。次いで、これを脱脂し、18
5nm 及び254nm の波長を含む紫外線を発光する低圧水銀
ランプを有する紫外線照射装置の中に入れ、光源から5
cmの距離で1分間紫外線を照射した。ここで水による成
形品表面の接触角を測定したところ、45.7°であった。
次に、紫外線を照射した成形品を70℃の11 mol/リット
ルのKOH水溶液に30分間浸漬し、成形品表面をエッチ
ングし、塩酸水溶液にて中和後、60℃の温水にて超音波
洗浄した。ここで、成形品表面の状態を確認したとこ
ろ、凹み内部も均一にエッチングされていた。次に、エ
ッチングされた成形品を、触媒(商品名「キャタリスト
A−30」、奥野製薬工業(株)製)を付与して表面を
活性化した後、化学銅メッキ液(商品名「OPC−75
0」、奥野製薬工業(株)製)に浸漬し、成形品の表面
に厚さ0.6 μm の化学銅メッキを施し、よく洗浄した後
に乾燥させた。次に、この表面を化学銅メッキした成形
品に電気銅メッキを行い、銅膜の厚さ15μm の成形品を
得た。この表面を電気銅メッキした成形品を260 ℃の半
田浴に10秒間浸漬し、メッキのふくれを観察した。ま
た、ナイフを用いて、電気銅メッキした成形品の金属層
上より樹脂層に達するように1cmのすきま間隔の切り傷
をつけ、1cm幅の帯状の金属層を試験片に対して直角方
向に引き剥がすのに要した荷重を測定して、メッキ密着
力を評価した。これらの結果を表1に示す。
【0015】実施例2 エッチング後の超音波洗浄をただの水洗に変えた以外は
実施例1と同様にして銅膜の厚さ15μm の成形品を得
た。尚、エッチング後に成形品表面の状態を確認したと
ころ、凹み内部も均一にエッチングされていた。この表
面を電気銅メッキした成形品について、実施例1と同様
にメッキのふくれ、メッキ密着力を評価した。これらの
結果を表1に示す。
【0016】比較例1 紫外線の照射を行わない以外は実施例1と同様にして銅
膜の厚さ15μm の成形品を得た。このもののエッチング
前の水の接触角は、79.3°であった。又、エッチング後
に成形品表面を観察したところ、凹み内部に気泡が付着
しており、凹み内部がエッチングされていなかった。こ
の表面を電気銅メッキした成形品について、実施例1と
同様にメッキのふくれ、メッキ密着力を評価した。これ
らの結果を表1に示す。
【0017】比較例2 紫外線の照射を行わず、エッチング後の超音波洗浄をた
だの水洗に変えた以外は実施例1と同様にして銅膜の厚
さ15μm の成形品を得た。エッチング後に成形品表面を
観察したところ、凹み内部に気泡が付着しており、凹み
内部がエッチングされていなかった。この表面を電気銅
メッキした成形品について、実施例1と同様にメッキの
ふくれ、メッキ密着力を評価した。これらの結果を表1
に示す。
【0018】
【表1】

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 異方性溶融相を形成し得る液晶性ポリエ
    ステル樹脂からなる成形品の表面の所望の部分に紫外線
    を照射した後、エッチング液にて表面粗化することを特
    徴とする液晶性ポリエステル樹脂成形品の表面処理法。
  2. 【請求項2】 異方性溶融相を形成し得る液晶性ポリエ
    ステル樹脂からなる成形品の表面の所望の部分に紫外線
    を照射した後、エッチング液にて表面粗化し、超音波洗
    浄することを特徴とする液晶性ポリエステル樹脂成形品
    の表面処理法。
  3. 【請求項3】 紫外線が、185nm 及び254nm の波長を含
    む紫外線である請求項1又は2記載の液晶性ポリエステ
    ル樹脂成形品の表面処理法。
  4. 【請求項4】 紫外線が、紫外線レーザーにより照射さ
    れた紫外線である請求項1〜3の何れか1項記載の液晶
    性ポリエステル樹脂成形品の表面処理法。
  5. 【請求項5】 液晶性ポリエステル樹脂成形品が、表面
    形状が立体形状である請求項1〜4の何れか1項記載の
    液晶性ポリエステル樹脂成形品の表面処理法。
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