JP4076304B2 - 建設機械の盗難防止装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は油圧ショベル等の建設機械の盗難防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
油圧ショベル等の建設機械は最近では途上国においても需要が多く、しかも、高価なものであるため、盗難事件が頻発するようになった。そこで、例えば、特開平4−30032号公報には、操作部に設置された数字入力装置に正しい暗証番号を入力した時のみ原動機始動系の始動阻止手段の作動を解除して駆動装置を稼働できるような構成とすることにより、他人による盗難を防止できるようにした油圧機械の盗難防止装置の発明が開示されている。また、特開平9−50584号公報には、コード入力手段に所定のコードが入力されると解錠信号を発する解錠回路を設け、該解錠回路から解錠信号が発せられた時だけパイロット油圧回路系統を動作可能とするようにした油圧機械の盗難防止装置の発明が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述の従来技術によれば、正しい暗証番号を知っている者しか油圧機械を始動し、あるいは、操作することができないようになっているから、手軽で便利な盗難防止装置となっている。しかし、上記盗難防止装置はマイコン等を具えた電子装置で構成されるため、高価な別付け装置となってしまい、顧客に少なからぬ費用負担を強いることになる。そして、最近は事務室や倉庫の扉等の施錠装置等に電子式のものが普及してきている等の理由もあって、操作者が記憶した暗証番号を他の暗証番号と混同して思い出せなかったり、度忘れしてしまうことがある。また、操作者が油圧機械の稼働を停止させて降車する際に盗難防止装置の施錠操作をし忘れることもある。この場合には盗難防止装置は実際上、盗難防止機能を喪失した状態となる。また、暗証番号は一旦、第三者に知られてしまうと機密性が失われてしまう。
【0004】
さらに、建設機械は複数の操作者により操作される場合が少なくなく、その場合に盗難防止装置が具わっていることを知らない他の操作者が油圧機械を操作しようとした時、油圧機械が始動しなかったり、操作不能になると、機械を点検したり修理しようとしたりする。一般に建設機械を稼働させる作業現場は人里離れた場所にあることが少なくないので、かかる事態が生じると、操作者は然るべき情報が得られる場所まで移動して正しい操作情報を得なければならず、建設作業の進行に著しい支障を来してしまう。
本発明は従来技術におけるかかる問題点を解消すべく為されたものであり、人の記憶に頼らないため安全かつ確実で、目に付き易いため操作忘れが少なく、他の操作者に誤認される虞がない建設機械の盗難防止装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、原動機により駆動される油圧ポンプと、該油圧ポンプから吐出された作動油により駆動される走行モーターを含むアクチュエーターと、前記油圧ポンプと前記走行モーターとを連絡する油管路中に介装され、作動油の方向を切り替える走行用方向切替弁と、該走行用方向切替弁を切替え操作するための操作手段とを具えた建設機械の盗難防止装置において、前記建設機械が、小型油圧ショベルから成り、前記操作手段が、走行操作桿から成り、前記走行操作桿を機械的に固定してその切替え動作を不能にする施錠手段を設けるとともに、前記施錠手段が、前記走行操作桿の下部に設けられ、運転席の床の前部に向かって突設された係止片と、前記走行操作桿の前方に位置する運転席の床の前部の前記係止片に対向する位置に立設された固定片と、前記走行操作桿の前方に位置する前記運転席の床の上方に配置され、前記係止片と前記固定片とを相互に連結する錠前とから成る構成にしたものである。
また、本発明は、原動機により駆動される油圧ポンプと、該油圧ポンプから吐出された作動油により駆動される走行モーターを含むアクチュエーターと、前記油圧ポンプと前記走行モーターを含む前記アクチュエーターとを連絡する油管路中に介装され、作動油の方向を切り替える走行用方向切替弁を含む方向切替弁と、該方向切替弁を切替え操作するための操作手段と、該操作手段の操作による少なくとも前記走行用方向切替弁を含む前記方向切替弁の切替え動作を無効にする切替無効手段とを具えた建設機械の盗難防止装置において、前記建設機械が、小型油圧ショベルから成り、前記操作手段が、操作桿から成り、前記切替無効手段が、前記操作桿のパイロット弁へのパイロット圧の供給を遮断する休止操作桿から成り、前記休止操作桿を機械的に固定してその切替え動作を不能にする施錠手段を設けるとともに、前記休止操作桿が、操作者が運転席に着席したとき押し下げ操作され、操作者の乗降通路内に突出して操作者の通過を妨げ所定の作業を行なうための操作を可能にし、また、引き起こされると、上記所定の作業を行なうための操作を不可能にして上記乗降通路を開放し操作者の降車を可能にするものから成り、前記施錠手段が、前記操作手段を形成する操作桿の下方に配置され、休止操作桿に固定された休止片と、前記操作手段を形成する操作桿の下方に配置され、運転席の台座の前記休止片に対向する位置に固定された固定片と、前記操作手段を形成する操作桿の下方に配置され、前記休止片と前記固定片を相互に連結する錠前とから成る構成にしたものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。図1、図2および図3はそれぞれ本発明の第1の実施例に係る小型油圧ショベルの盗難防止装置の側面図、小型油圧ショベルの側面図および小型油圧ショベルの走行系油圧回路図である。これらの図において、2は自走可能な下部走行体、3は下部走行体2上に旋回可能に取り付けられた上部旋回体、4は上部旋回体3の前部に俯仰動可能に設けられた作業装置、5は上部旋回体3の中央部上に設けられた運転席、21は下部走行体2に周回移動可能に架け渡されて下部走行体2を走行させる左右の履帯、22は下部走行体2の前方に上下に揺動可能に設けられた排土板、23は排土板22の両端を回動可能に支持する一対の支持腕、31は運転席5の後部に配設された機械室、32は運転席5が設けられた底床、33は運転席5の上部に設けられた日除け用の天井板である。
【0007】
また、作業装置4に関しては、41,42,43は上部旋回体3の前部に設けられた回動支点から回動可能にそれぞれ連設されたブーム、アームおよびバケット、44,45,46はこれらのブーム41、アーム42、バケット43をそれぞれ回動駆動するブームシリンダー、アームシリンダーおよびバケットシリンダー、操作部に関しては、51(a,b)は下部走行体2の左右の走行動作の操作を行うための走行操作桿、52は作業装置4の各作業要素等の操作を行うための作業操作桿、53は図1に示すように走行操作桿51の下部に設けられ、運転席5の底床32の前部に向かって突設された係止片、54は走行操作桿51の前方に位置する運転席5の底床32の前部の係止片53に対向する位置に立設された固定片、53a,54aはそれぞれ係止片53および固定片54の先端部の対応箇所に穿設された係止孔、6は走行操作桿51の前方に位置する運転席5の底床32の上方に配置され、係止片53および固定片54の係止孔53a,54aに貫通して施錠するための錠前である。
【0008】
また、走行系油圧回路に関しては、7,8,9はそれぞれ小型油圧ショベルを駆動するアクチュエーターに作動油を供給する油圧ポンプ、作動油を貯溜する油タンクおよびパイロット油圧を供給するパイロット油圧源、71,72は左右の走行操作桿51(a,b)の操作に応じて油圧ポンプ7からの吐出油の流出方向を切り替える左右の走行用方向切替弁、73,74は左右の走行モーターである。係止片53および固定片54は溶接等により走行操作桿51および底床32に強固に固定されている。なお、作業装置4等を駆動するブームシリンダー44等への作動油の供給経路を示す油圧回路も当然、存在するが、従来例のものと同様の構成で動作も変わらないので、図示および説明を省略する。
【0009】
図1は小型油圧ショベルの非稼働時に施錠された状態を示しており、稼働時は当然、錠前6は係止片53および固定片54の係止孔53a,54aから外されている。この時は従来のものと同様に、左右の走行操作桿51(a,b)は操作者の操作により、自在に前後方向に傾倒操作可能になっているから、操作者は左右の走行操作桿51(a,b)を操作して左右の走行用方向切替弁71,72を切り替え、左右の走行モーター73,74の回転方向と回転速度を調整する。これに応じて、左右の履帯21の周回方向と周回速度が変化するから、左右の履帯21の周回移動により走行する下部走行体2、従って、小型油圧ショベルは所望の方向に向かって所望の速度で走行する。
【0010】
小型油圧ショベルによる所定の作業が終了すると、操作者は走行操作桿51および作業操作桿52を中立位置に戻した後、図示しない原動機の電源スイッチを切る。これにより、原動機が停止し、小型油圧ショベルは稼働を停止する。そこで、操作者は左右の走行操作桿51(a,b)の下部に突設された係止片53の係止孔53aと、これに対向する位置にある、底床32の前部に立設された固定片54の係止孔54aとの間に錠前6の金具を挿通して施錠する。これにより、左右の走行操作桿51(a,b)は底床32と一体化されて前後方向に傾倒操作不能になるから、たとえ、何らかの手段で原動機の電源スイッチが閉成されて原動機が始動したとしても、左右の走行操作桿51(a,b)が中立位置で固定されて操作できなくなっているから、勝手に小型油圧ショベルを走行させて盗むことはできない。
【0011】
走行操作桿51(a,b)の係止片53と底床32に立設された固定片54は上述のように溶接等により強固に固定されており、通常の手段を用いたのでは切り離すことはできないから、本実施例は優れた保安機能を有している。なお、錠前6の鍵と電源スイッチの鍵を一纏めにして保持するようにすれば、錠前6の鍵を保持し忘れたり、錠前6を掛け忘れたりするの防止できる。本実施例では左右の走行操作桿51(a,b)を共に係止片53と固定片54とで底床32に固定して操作不能にしたが、走行操作桿51(a,b)の一方だけを底床32に固定するようにしても同じ目的を達成することができる。
【0012】
このように、本実施例では走行操作桿51(a,b)を中立位置で操作不能にすることにより、小型油圧ショベルの盗難防止を図るようにしたが、勿論、他の操作位置で操作不能にするようにしても良い。また、左右の走行用方向切替弁71,72をパイロット油圧源から供給されるパイロット油圧により切替え動作させるようにしたが、手動操作を機械的な動力伝達機構を介して直接切替え動作させるようにしたり、電磁式の切替え動作機構を介して切替え動作させるようにしても良い。さらに、ある種の建設機械では走行操作桿以外の操作桿を操作不能にすることにより、盗難を防止することができる。
【0013】
図4、図5および図6はそれぞれ本発明の第2の実施例に係る小型油圧ショベルの盗難防止装置の側面図、小型油圧ショベルの側面図および小型油圧ショベルの走行系油圧回路図である。これらの図において、57は小型油圧ショベルの作動停止時に引き起こされることにより、他の操作桿の操作位置に関わりなく全ての方向切替弁の切替え位置を中立位置に保持させる、つまり、他の操作桿のパイロット弁へのパイロット圧の供給を遮断する休止操作桿、55は図4に示すように、作業操作桿52の下方に配置され、休止操作桿57に溶接によって固定された係止片、56は作業操作桿52の下方に配置され、運転席5の台座の係止片55に対向する位置に溶接によって固定された固定片であり、これらの係止片55と固定片56とは、作業操作桿52の下方に配置された錠前6によって相互に連結されている。75は休止操作桿57の起伏動作に連動して開閉する開閉弁である。第1の実施例と同一または同一と見做せる個所には同一の符号を付し、その重複する説明を省略する。なお、実際には開閉弁75の下流側に作業操作桿52のパイロット弁へパイロット圧を供給するための油圧回路があるが、ここでは省略している。
【0014】
休止操作桿57は操作者が小型油圧ショベルに乗り込んで運転席5に着席した時、押し下げ操作され、これにより、開閉弁75が開路して走行操作桿51(a,b)のパイロット弁へパイロット圧が供給されると共に、図4に示すように休止操作桿57の先端が操作者の乗降通路内に突出して操作者の通過を妨げるようになっている。なお、開閉弁75の開路により作業操作桿52のパイロット弁へも同時にパイロット圧が供給され、所定の作業を行うための操作が可能になる。作業が全て終了すると、操作者は電源スイッチを切った後、休止操作桿57を引き起こし、開閉弁75を閉路させて走行操作桿51(a,b)のパイロット弁へ連通するパイロット油路を遮断すると共に、乗降通路を開放して降車する。
【0015】
そこで、本実施例では作業休止時には起立状態にある休止操作桿57の係止片55と運転席5の台座に固定された固定片55のそれぞれの係止孔を挿通して錠前6で封鎖し、休止操作桿57を押し下げ操作できなくすることにより、たとえ、原動機が動いたとしても走行操作桿51(a,b)の操作により左右の走行用方向切替弁71,72を切替え動作させることができないようにして、小型油圧ショベルが走行不能となるようにしている。本実施例では休止操作桿57が運転席5の台座部分に回動自在に取り付けられているので、錠前6の着脱操作を容易に行うことができる。
【0016】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1または請求項2記載の発明によれば、走行操作桿を機械的に固定してまたは休止操作桿を機械的に固定してその切替え動作を不能にする施錠手段、すなわち、前記走行操作桿の下部に設けられ、運転席の床の前部に向かって突設された係止片と、前記走行操作桿の前方に位置する運転席の床の前部の前記係止片に対向する位置に立設された固定片と、前記走行操作桿の前方に位置する前記運転席の床の上方に配置され、前記係止片と前記固定片とを相互に連結する錠前とから成る施錠手段、または、前記操作手段を形成する操作桿の下方に配置され、休止操作桿に固定された休止片と、前記操作手段を形成する操作桿の下方に配置され、運転席の台座の前記休止片に対向する位置に固定された固定片と、前記操作手段を形成する操作桿の下方に配置され、前記休止片と前記固定片を相互に連結する錠前とから成る施錠手段を設けたので、人の記憶に頼らないため安全かつ確実に盗難を防止でき、目に付き易いため操作忘れが少なく、また、他の操作者に誤認される虞を無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る小型油圧ショベルの盗難防止装置の側面図
【図2】同じく、小型油圧ショベルの側面図
【図3】同じく、小型油圧ショベルの走行系油圧回路図
【図4】本発明の第2の実施例に係る小型油圧ショベルの盗難防止装置の側面図
【図5】同じく、小型油圧ショベルの側面図
【図6】同じく、小型油圧ショベルの走行系油圧回路図
【符号の説明】
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 作業装置
5 運転席
6 錠前
21 履帯
31 機械室
32 底床
41 ブーム
42 アーム
43 バケット
51(a,b) 走行操作桿
52 作業操作桿
53,55 係止片
54,56 固定片
53a,54a 係止孔
57 休止操作桿
71,72 走行用方向切替弁
73,74 走行モーター
75 開閉弁
Claims (2)
- 原動機により駆動される油圧ポンプと、該油圧ポンプから吐出された作動油により駆動される走行モーターを含むアクチュエーターと、前記油圧ポンプと前記走行モーターとを連絡する油管路中に介装され、作動油の方向を切り替える走行用方向切替弁と、該走行用方向切替弁を切替え操作するための操作手段とを具えた建設機械の盗難防止装置において、
前記建設機械が、小型油圧ショベルから成り、
前記操作手段が、走行操作桿から成り、
前記走行操作桿を機械的に固定してその切替え動作を不能にする施錠手段を設けるとともに、
前記施錠手段が、前記走行操作桿の下部に設けられ、運転席の床の前部に向かって突設された係止片と、前記走行操作桿の前方に位置する運転席の床の前部の前記係止片に対向する位置に立設された固定片と、前記走行操作桿の前方に位置する前記運転席の床の上方に配置され、前記係止片と前記固定片とを相互に連結する錠前とから成ることを特徴とする建設機械の盗難防止装置。 - 原動機により駆動される油圧ポンプと、該油圧ポンプから吐出された作動油により駆動される走行モーターを含むアクチュエーターと、前記油圧ポンプと前記走行モーターを含む前記アクチュエーターとを連絡する油管路中に介装され、作動油の方向を切り替える走行用方向切替弁を含む方向切替弁と、該方向切替弁を切替え操作するための操作手段と、該操作手段の操作による少なくとも前記走行用方向切替弁を含む前記方向切替弁の切替え動作を無効にする切替無効手段とを具えた建設機械の盗難防止装置において、
前記建設機械が、小型油圧ショベルから成り、
前記操作手段が、操作桿から成り、
前記切替無効手段が、前記操作桿のパイロット弁へのパイロット圧の供給を遮断する休止操作桿から成り、
前記休止操作桿を機械的に固定してその切替え動作を不能にする施錠手段を設けるとともに、
前記休止操作桿が、操作者が運転席に着席したとき押し下げ操作され、操作者の乗降通路内に突出して操作者の通過を妨げ所定の作業を行なうための操作を可能にし、また、引き起こされると、上記所定の作業を行なうための操作を不可能にして上記乗降通路を開放し操作者の降車を可能にするものから成り、
前記施錠手段が、前記操作手段を形成する操作桿の下方に配置され、休止操作桿に固定された休止片と、前記操作手段を形成する操作桿の下方に配置され、運転席の台座の前記休止片に対向する位置に固定された固定片と、前記操作手段を形成する操作桿の下方に配置され、前記休止片と前記固定片を相互に連結する錠前とから成ることを特徴とする建設機械の盗難防止装置。
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