JP4075143B2 - 産業車両の操作レバー取付構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、フォークリフト等の産業車両における操作レバーの取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
フォークリフトのような産業車両では、一般的に、フォークを上下動させるためのリフトシリンダ及びマストを前後に傾動させるためのチルトシリンダに、それぞれコントロールバルブが連結されており、これらコントロールバルブのスプールを、操作レバーの手動操作により動かすことで、上記シリンダに供給される油圧を調整し、上記リフト動作やチルト動作の操作を行っている。
【0003】
このような操作レバーの取付構造の一例として、例えば実開平1−103697号には、リフト用コントロールバルブ及びチルト用コントロールバルブの双方を、一本の操作レバーによって独立に又は同時に制御する、いわゆる一本レバータイプの構造が記載されている。すなわち、一対のコントロールバルブのスプールに接続する一対の連結ロッドの上端を、それぞれボールジョイントを介して一本の操作レバーの下端部に連結してある。
【0004】
また、操作レバーの取付構造の他の例として、特開平9−309353号には、一対のコントロールバルブのスプールにそれぞれ連結する一対の連結ロッドを互いに交差させた構造が記載されている。これは、操作レバーによるリフト,チルト操作の位置関係が異なる仕様の車両に対し、コントロールバルブの共用化を可能にするためである。なお、この例では一対の連結ロッドのそれぞれに操作レバーが連結されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ここで仮に、前者(特開平9−39353号)のように2本の連結ロッドをボールジョイントを介して1本の操作レバーに連結するとともに、後者(特開平9−39353号)のように2本の連結ロッドを互いに交差させた場合、各連結ロッドは、ボールジョイントに連結する上端と、軸周りに回転可能なスプールに連結する下端とを結ぶ軸線回りに回転可能な形となる。
【0006】
しかしながら、このように連結ロッドが軸回りに回転した場合、両連結ロッドが交差部分で互いに接触したり、あるいは連結ロッドがアクセルペダル等の周辺部品に干渉する虞がある。このような接触,干渉を回避するためには、連結ロッドの周りに十分なスペースを確保する必要があり、その構造の大型化を招聘してしまう。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、簡素な構造で、連結ロッドが軸周りに回動することを効果的に抑制することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係る産業車両の操作レバー取付構造は、一対の荷役用コントロールバルブのスプールに接続する一対の連結ロッドの上端を、それぞれボールジョイントを介して一本の操作レバーの下端部に連結してある。
【0009】
すなわち、一本の操作レバーで、例えばフォークのリフト操作及びマストのチルト操作のような複数の荷役操作を行うことができる構造となっている。
【0010】
また、本発明では、上記一対の連結ロッドを互いに交差させている。これは、例えば操作レバーによる操作方向の位置関係が異なる車両に対し、コントロールバルブを共用化するためである。
【0011】
ここで、連結ロッドは、ボールジョイントにより回転可能に支持された上端と、軸回りに若干の回転が可能なスプールに連結する下端とを結ぶ軸線の周りを回転する虞がある。
【0012】
そこで本発明は、上記連結ロッドに当接することで、上記連結ロッドの交差部分が互いに近づく方向の軸周りの回転を規制する回り止め部材を有する構造としている。
【0013】
このように、連結ロッドの軸回りの回転が規制されるため、連結ロッドが交差部分で互いに接触したり周辺部品へ干渉することを確実に防止できる。また、連結ロッドの周りに、その軸線周りの回転動作を見越した余分なスペースを確保する必要がないため、設置スペースの縮小化を図ることができる。
【0014】
上記回り止め部材は一方の連結ロッドの下端部に固定され、他方の連結ロッドの下端部に当接する回り止めピンである。
【0015】
この場合、回り止めピンによって連結ロッドの軸周りの回転を抑制することができ、更なる構造の簡素化を図ることができる。また、回り止めピンが一方の連結ロッドにのみ固定される構成となっているため、連結ロッドの昇降動作を妨げることはない。
【0016】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、一本レバータイプの操作レバー取付構造において、コントロールバルブの共有化等の目的で一対の連結ロッドを互いに交差させつつ、回り止め部材によって、連結ロッドの軸周りの回転を効果的に抑制することができる。このため、連結ロッドが交差部分で接触したり他の周辺部品へ干渉する事態が確実に回避されるとともに、連結ロッドの周囲に、その軸周りの回転動作を見越した余分なスペースを確保する必要がなく、設置スペースの縮小化を図ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面を参照して詳述する。
【0018】
このフォークリフトには、合計3本の操作レバー10,12,14が取り付けられているが、図1で最も左側に位置する一本レバータイプの操作レバー10に対して、本発明の一実施例に係る取付構造が適用されている。
【0019】
そして、この操作レバー10を手動操作により動かすことで、一対の連結ロッド16A,16B等を介して、リフト用並びにチルト用の一対の荷役用コントロールバルブ18(図2では手前側の一方のコントロールバルブのみが示されている)のスプール20の一方又は両方が昇降する。このようなスプール20の移動量に応じて、図外のリフト用,チルト用シリンダに供給される油圧が調整され、リフト動作,チルト動作が制御される。
【0020】
各部の構成を詳述すると、操作レバー10の下端部には、互いに直交する方向へ延びる一対のリンクアーム22A,22Bを備えたリンクユニット24が設けられている。このリンクユニット24は、レバーカバー26の下方に設けられたレバー支持ブラケット28のコ字状内部に配置されている。このレバー支持ブラケット28には、レバー支持ボール30がボルト32等を介して固定されており、このレバー支持ボール30によって、上記のリンクユニット24が任意の方向に回転可能に支持されている。
【0021】
なお、レバー支持ブラケット28は、略コ字状をなす補助ブラケット34に取り付けられており、この補助ブラケット34は、4つのボルト36を介して図外のダッシュパネル側へ固定されている。
【0022】
各リンクアーム22A,22Bの先端には、ボールジョイント38A,38Bを介して連結ロッド16A,16Bの上端がそれぞれ回転可能に連結されている。
【0023】
なお、操作レバー10の軸周りの回転を抑制する目的で、各ボールジョイント38A,38Bに対向するレバー支持ブラケット28の内壁部には、ボールジョイント38A,38Bの移動範囲を規制するテーパ状のガイド部材40がボルト42等を介して取り付けられている。
【0024】
各連結ロッド16A,16Bは、その途中に長さ調整用のターンバックル機構44が介装されているとともに、その下端に下向きコ字状のクレビス46A,46Bがそれぞれ設けられている。各クレビス46A,46Bは、連結ピン48を介して各コントロールバルブ18のスプール20にそれぞれ連結されている。
【0025】
ここで、図1,4に示すように、各連結ロッド16A,16Bは、正面視で互いに交差するように、それぞれ緩いS字状に湾曲している。具体的には、連結ロッド16A,16Bの上端側では、一方の第1連結ロッド16Aが他方の第2連結ロッド16Bよりも図1中右側に配置されているのに対し、下端側では第1連結ロッド16Aが第2連結ロッド16Bよりも図1中左側に配置されている。これは、例えば作業者に対する操作レバー10の操作方向の位置関係が異なる車両に対して、コントロールバルブ18を共用化するためである。
【0026】
なお、図2に示すように、第2連結ロッド16Bは、第1連結ロッド16Aの前方を迂回するように、その上部側が第2連結ロッド16Bよりも車両前方側へ張り出している。
【0027】
ここで本実施例にあっては、第1連結ロッド16Aの下端部に設けられた第1クレビス46Aに、連結ロッド16A,16Bの軸周りの回転を規制する回り止め部材としての位置決めピン50が予め固定されている。この位置決めピン50は、図5にも示すように、第1クレビス46Aの対向する両壁部にわたってその前面側に溶接固定されており、図1〜4に示すように、連結ロッド16A,16Bが定常姿勢にある状態で、第2連結ロッド16Bの第2クレビス46Bの前面側に軽く接触するように、第2クレビス46B側へ向けて側方へ延在している。
【0028】
なお、その他の操作レバー12,14の取付構造を簡単に説明すると、上記のレバー支持ブラケット28の一側部にはボルト52を介してL字状のブラケット54が固定され、このブラケット54には固定ピン56等を介してシャフト58が固定されている。このシャフト58に、各操作レバー12,14の下端に固定されたボス部60が回転自在に支持されている。また、各ボス部60の外周に固定されたリンクアーム62の先端が、クレビス64や連結ピン66を介して連結ロッド68にそれぞれ連結されている。従って、各操作レバー12,14を操作することによって、各連結ロッド68の下端に連結する補助荷役用コントロールバルブのスプール(図示省略)が進退し、これにより油圧が調整されて、補助荷役動作が制御される。なお、図4では操作レバー12,14に連結する連結ロッド68等を図示省略している。
【0029】
次に、本実施例の作用,効果を説明する。
【0030】
操作レバー10を傾倒操作すると、リンクユニット24のリンクアーム22A,22Bの一方又は両方がレバー支持ボール30を中心に揺動する。これに伴って、ボールジョイント38A,38Bの一方又は両方が上下動し、連結ロッド16A,16Bを介して対応するコントロールバルブ18のスプール20が上下動する。
【0031】
例えば操作レバー10を図3の右上方向へ傾倒させた場合、右側のリンクアーム22Aがレバー支持ボール30を中心に揺動し、ボールジョイント38A及び第1連結ロッド16Aを介して、対応するコントロールバルブ18のスプール20が上下動する。一方、図3で左側のリンクアーム22Bは、自身の軸周りに回転する形となり、このリンクアーム22Bにボールジョイント38B及び第2連結ロッド16Bを介して連結するスプール20はほとんど動かない。
【0032】
ところで、各連結ロッド16A,16Bは、ボールジョイント38A,38Bの中心である上端連結点Aと、軸周りに若干の回転が可能なスプール20に連結する下端連結点Bとを結ぶ軸線Xの周りに回転可能な形となっている。
【0033】
しかしながら、連結ロッド16A,16Bが正面視で互いに交差しており、かつ、連結ロッド16A,16Bの直ぐ後方にアクセルペダルP等が配置されている関係で、仮に各連結ロッド16A,16Bが軸線X周りに回動した場合、両連結ロッド16A,16Bが交差部分で互いに接触したりアクセルペダルPに干渉する虞がある。
【0034】
そこで本実施例では、上記のように位置決めピン50を設けるという簡単な構造の追加によって、連結ロッド16A,16Bの軸線X周りの回転、特に両連結ロッド16A,16Bの交差部分が互いに近づく方向Q(図1参照)の回転が効果的に抑制されている。従って、両連結ロッド16A,16Bが交差部分で接触したりアクセルペダルPへ干渉することを確実に防止することができる。また、連結ロッド16A,16Bの周りに、連結ロッド16A,16Bの軸周りの回転分を見越した余分なスペースを確保する必要がなく、設置スペースの縮小化を図ることができる。
【0035】
ここで、位置決めピン50は、一方の第1連結ロッド16Aにのみ固定されており、第2連結ロッド16Bに対して接離可能であるため、操作レバー10の操作に伴う連結ロッド16A,16Bの昇降動作を妨げることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るフォークリフトの操作レバー取付構造を示す後方側から見た正面図。
【図2】上記実施例に係る取付構造を示す側面図。
【図3】上記実施例の要部を示す断面図。
【図4】上記実施例に係る取付構造を示す斜視図。
【図5】上記実施例の連結ロッド及び位置決めピンを単体で示す平面図。
【符号の説明】
10…操作レバー
16A,16B…連結ロッド
18…コントロールバルブ
20…スプール
38A,38B…ボールジョイント
50…位置決めピン

Claims (1)

  1. 一対の荷役用コントロールバルブのスプールに接続する一対の連結ロッドの上端を、それぞれボールジョイントを介して一本の操作レバーの下端部に連結した産業車両の操作レバー取付構造において、
    上記一対の連結ロッドを互いに交差させるとともに、
    上記連結ロッドに当接することで、上記連結ロッドの交差部分が互いに近づく方向の軸周りの回転を規制する回り止め部材を有し、
    上記回り止め部材は、一方の連結ロッドの下端部に固定され、他方の連結ロッドの下端部に当接する回り止めピンであることを特徴とする産業車両の操作レバー取付構造。
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