JP4075099B2 - 車両の後部車体構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体後部にスペアタイヤが格納されるよう構成された車両の後部車体構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の車両の後部車体構造として、スペアタイヤを傾斜して配設し、後面衝突時には、その後突荷重を受けてスペアタイヤの前端を前方の上向きに立ち上がらせるようにして、このスペアタイヤがその前方の燃料タンクに突き当たらないようにしたものが知られている(例えば、実公平6−11906号公報参照)。このものでは、上記スペアタイヤを立ち上がらせる手段として、リヤフロアパネルに形成されたスペアタイヤを格納するスペアタイヤパンの底面を車両の前部に向かって斜め上方に傾斜させ、加えて、上記スペアタイヤの取り付け位置の上記リアフロアパネルに車幅方向に延びる脆弱部を設けている。そして、後面衝突時には、上記脆弱部においてリヤフロアパネルが下側に折曲することでスペアタイヤの前端を前方の上向きに立ち上げるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来より、後面衝突時には、後部車体が潰れることで後突荷重を吸収して、この後突荷重を車両の前方の車室に伝達しないようにすることが知られている。ところが、車両の後方のスペアタイヤが、その直径方向が車両の前後方向に向くような状態に配設されていれば、このスペアタイヤのホイール部の剛性が高いため、このホイール部の存在により後面衝突時における上記後部車体の前後方向に対する潰れ量の確保が困難になるおそれがある。このため、上記後部車体の潰れ量の減少により後突荷重の吸収率が低下するという問題がある。さらに、上記ホイール部が後突荷重を受けてそのままの姿勢で前方の車室まで移動してしまうことを阻止する必要もある。
【0004】
また、上記の公報で提案されたものにおいては、スペアタイヤ後端を入力点として後面衝突時の荷重を入力させるようにしているため、スペアタイヤの空気圧及び外径によっては、後面衝突時のスペアタイヤの挙動が当初の設計どおりにならないおそれがある。すなわち、スペアタイヤの空気圧が高い場合と低い場合、例えば通常のタイヤとパンクしたタイヤとでは、後突荷重が入力されたときに上記スペアタイヤのタイヤ部における後突荷重の吸収率が異なるためスペアタイヤの挙動が異なり、スペアタイヤの姿勢変換が当初の設計どおりにならない場合がある。さらに、例えば、スペアタイヤとして実際のタイヤに比べてその外径が小さい応急用タイヤ(Tタイプ応急用タイヤ)をスペアタイヤとして配設している場合と、実際のタイヤをスペアタイヤとして配設している場合とでは、その外径の違いにより後面衝突時の荷重の入力点の車両に対する位置が異なり、後面衝突時のスペアタイヤの挙動が当初の設計とは異なるものになるおそれがある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、スペアタイヤの空気圧及び外径等のいかんに拘わらず、後面衝突時のスペアタイヤの挙動を常に一定化させることにあり、併せて、上記スペアタイヤが車両の前方に後突荷重を伝達しないようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、スペアタイヤを車体後部に格納する格納部を備えた車両の後部車体構造を前提としている。このものにおいて、上記スペアタイヤのホイール部に対して、後面衝突時の後突荷重を軸力として直接伝達する荷重伝達メンバを備え、上記荷重伝達メンバを、その前端がスペアタイヤのホイール部に接合される一方、その後端が車両の後方に少なくとも上記スペアタイヤの後端位置まで延びるよう配設すると共に、上記荷重伝達メンバの後端に、上記スペアタイヤの後端部よりも後方に突出した後突荷重受け部を形成する。
【0007】
そうして、上記格納部を上記スペアタイヤを横置き状態に配設し得るよう略水平に拡がるようにして、側面視で、上記荷重伝達メンバの後突荷重を受ける後端の入力点と、上記スペアタイヤの前端側の、上記格納部の側壁により構成される、上記後突荷重の、上記スペアタイヤを介した反力が作用する作用点とを、上記荷重伝達メンバとスペアタイヤのホイール部との接合点を間に挟んで互いに逆の位置にオフセット配置する構成とするものである。
【0008】
上記の構成の場合、後面衝突時の後突荷重が、荷重伝達メンバによりスペアタイヤの剛体部分であるホイール部に直接伝達されるため、スペアタイヤの後面衝突時における挙動がそのタイヤの空気圧及び外径等の状態に影響されることなく一定のものにコントロール可能になり、スペアタイヤの空気圧及び外径等のいかんに拘わらず確実に設計どおりの挙動を実現することが可能になる。
【0009】
また、後突荷重受け部を形成することによって、後面衝突時の荷重が、スペアタイヤよりも先に荷重伝達メンバに入力されることになるため、上記スペアタイヤの空気圧及び外径等のタイヤ部の状態が、後面衝突時のスペアタイヤの挙動に影響を及ぼさないようにすることが可能になる。
【0010】
そうして、後突荷重の入力点と、その反力が作用する作用点とを、荷重伝達メンバとスペアタイヤのホイール部との接合点を間に挟んで互いに逆の位置にオフセット配置することにより、後面衝突時にスペアタイヤを回転させるモーメントが確実に発生し、これにより、上記スペアタイヤを立ち上がらせて、後部車体の潰れ量を確実に確保して後突荷重を吸収することが可能になる。さらに、上記スペアタイヤが車両の前方に後突荷重を伝達しないようにすることがより確実に可能になる。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、荷重伝達メンバを、車両前方に向けて上下方向に傾斜するように配設する構成とするものである。
【0012】
上記の構成の場合、後面衝突時に荷重伝達メンバの後端に入力された後突荷重がホイール部に伝達され、これにより、スペアタイヤを車幅方向の軸を回転軸として上下方向に回転させて、上記タイヤを立ち上がらせるようにすることが可能になる。このため、後部車体の潰れ量を確保して後突荷重を吸収することが可能になる上に、車室側への後突荷重の伝達をも防止することが可能になる。
【0013】
さらに、請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、荷重伝達メンバの前端よりも前方位置のフロアパネルに対し、車幅方向に延びる脆弱部を形成する構成とするものである。
【0014】
上記の構成の場合、後面衝突時に、フロアパネルを容易に破断させて折り曲げることが可能になり、スペアタイヤを確実に立ち上がらせて、後部車体の潰れ量をより一層確実に確保して後突荷重を吸収することが可能になる。さらに、上記スペアタイヤが車両の前方に後突荷重を伝達しないようにすることも確実に行い得るようになる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。
【0016】
<第1実施形態>
図1及び図2は、本発明の第1実施形態に係る車両の後部車体構造を示し、10,10はリヤサイドメンバ、20はフロアパネル、30は荷重伝達メンバである。
【0017】
上記リヤサイドメンバ10,10は、車両の両側部に前後方向に延びるようにそれぞれ配設されている。このリヤサイドメンバ10,10は、その前部において、前方の車室側に向かって下方に傾斜しており、その前端はサイドシル11,11に接続されている。上記リヤサイドメンバ10,10のそれぞれの後部には、V溝状の脆弱部12,12,…が形成され、この脆弱部12,12,…により後面衝突時に上記リヤサイドメンバ10,10が屈曲するきっかけを与えて潰れやすくして、後突荷重を吸収するようにしている。そして、上記リヤサイドメンバ10,10の傾斜部分の後端部分にサスペンションクロスメンバ13が、車幅方向に延びて上記各リヤサイドメンバ10,10を連結するように取り付けられている。また、上記サスペンションクロスメンバ13の両端部と、上記リヤサイドメンバ10,10とを連結するようにサスペンションブラケット14,14が斜め方向に取り付けられている。このサスペンションブラケット14,14は、上記リヤサイドメンバ10,10とサスペンションクロスメンバ13とのそれぞれの支持剛性を高めつつ、サスペンションのコイルスプリング(図示省略)の受け部となっている。
【0018】
上記両リヤサイドメンバ10,10とサスペンションクロスメンバ13とに囲まれた部分にはフロアパネル20が取り付けられて床面を構成している。そして、このフロアパネル20には車幅方向右寄りにオフセットして凹状のスペアタイヤパン21が形成されて、スペアタイヤ40をその凹部に格納するようになっている。このスペアタイヤパン21の底面21aは前方に向かって斜め上方に傾斜しており、その前端の側壁22が斜め上方に延びるように形成されている。
【0019】
上記スペアタイヤパン21の下面に沿うように、荷重伝達メンバ30が車両の前後方向に延びるように取り付けられている。この荷重伝達メンバ30の前部には、スペアタイヤを固定するためのフランジ31が取り付けられており、このフランジ31の前端は、上記スペアタイヤパン21を突き抜けてスペアタイヤパン21上に突出されている。一方、上記荷重伝達メンバ30の後端には、車両をけん引する際にロープ等を結び付けるための後突荷重受け部としてのけん引フック32が取り付けられている。
【0020】
上記荷重伝達メンバ30は、図3に示すように、ハット形の断面形状を有する部材が上記スペアタイヤパン21に対し溶接され、このスペアタイヤパン21の部分と共に閉断面を形成して、その前後方向の荷重に対し、比較的大きい座屈強度を有するように構成されている。そして、スペアタイヤ40が、スペアタイヤパン21内に横置き状態でかつ車両の前方に向かって上方に傾斜した状態で格納され、上記スペアタイヤ40のホイール部(ホイールディスク)41の左寄りの位置のボルト孔を利用してボルト・ナットにより上記フランジ31に対し固定されるようになっている。
【0021】
つぎに、上記第1実施形態の作用・効果を説明する。
【0022】
後面衝突時には、後突荷重が、まず、けん引フック32に入力されて(図1の矢印A参照)、荷重伝達メンバ30によってスペアタイヤ40のホイール部41に伝達されることになる。そして、上記荷重伝達メンバ30の前方のスペアタイヤパン21の底面が座屈変形を起こしながら上記スペアタイヤ40が前方に移動することになる。このスペアタイヤ40が前方に移動して、その前端が上記スペアタイヤパン21の前端の側壁22に接触して、上記の後突荷重に対する反力が作用することになる(矢印B参照)。この際、スペアタイヤ40がパンクしていたり、タイヤ部42の空気圧が極めて低い場合であっても、上記スペアタイヤ40のホイール部41の前端が上記スペアタイヤパン21の側壁22に接触して、上記の後突荷重に対する反力が作用することになる。このとき、上記の後突荷重の入力点Aと反力の作用する作用点Bとが上記フランジ31のスペアタイヤ40取り付け点を挟んで互いに逆の位置の上下方向にオフセットされ、上記入力点Aと作用点Bとがオフセット量αだけ上下方向に離れた位置関係になる。このため、上記スペアタイヤ40に対して、その前端を上向きに回転させるモーメントがかかることになる(矢印C参照)。このモーメントにより、上記スペアタイヤ40は前方の上方に移動しながら、その前端が立ち上がるようになる。
【0023】
ここで、上記のスペアタイヤ40の前端を上向きに回転させるモーメントを発生させるのは、入力点と作用点との上下方向の相対的な位置関係であり、入力点の位置は上記荷重伝達メンバ30の位置により決定され、また、作用点の位置はスペアタイヤ40の上下方向の重心位置により決定される。従って、モーメントを発生させる入力点と作用点との上下方向の相対的な位置関係は、スペアタイヤ40の外径及び空気圧には関係しないため、スペアタイヤ40の外径及び空気圧が変わっても、後面衝突時のスペアタイヤ40の挙動は変化せず、スペアタイヤ40は、荷重伝達メンバ30により伝達された後突荷重を受けて確実に立ち上がるようになる。また、回転モーメントを発生させる入力点と作用点との上下方向の相対的な位置関係、つまり、オフセット量αが大きくなれば、スペアタイヤ40にかかる回転モーメントは大きくなり、このスペアタイヤ40はより確実に立ち上がるようになる。
【0024】
そして、上記の第1実施形態においては、スペアタイヤ40が、前方の上方に移動して立ち上がるようになるため、上記スペアタイヤ40による後突荷重の前方への伝達を防止することができることになる。また、このスペアタイヤ40が立ち上がって、そのスペアタイヤ40の幅方向が車両の前後方向になることにより、リヤサイドメンバ10,10の潰れ量を確保し、このリヤサイドメンバ10,10が潰れることで後突荷重が吸収されて、車両前方の車室に対して後突荷重を伝えないようにすることができることになる。さらに、上記スペアタイヤ40は上記フランジ31に対して車幅方向左寄りの位置にオフセットして固定されているため、後突荷重による上記スペアタイヤ40の前端の立ち上がりに伴い、このスペアタイヤ40の左側が立ち上がるようになる。このため、後突荷重が小さい場合であっても、上記スペアタイヤ40を確実に姿勢変換させて、スペアタイヤパン21から抜け出させることができ、このスペアタイヤ40による後突荷重の前方への伝達をより確実に防止することになる。
【0025】
<参考形態>
図4及び図5は本発明の参考形態に係る車両の後部車体構造を示し、本参考形態は、第1実施形態とは異なり後突荷重の反力が作用する作用点B(図1参照)のない場合を示す。図4において、50はリアフェンダ、60はリアエンドパネルである。このものでは、図5に示すように、スペアタイヤ40が、車体後部のトランクルームの側部に、車体に対して垂直に縦置きされている。
【0026】
上記リアフェンダ50に平行して、このリアフェンダ50より内方にサイドパネル51が取り付けられている。そして、このサイドパネル51に取り付けられたフランジ31に対しホイール部41がボルト・ナットにより結合されてスペアタイヤ40が、リヤサイドメンバ10よりも外方寄りの位置に取り付けられている。
【0027】
また、荷重伝達メンバ30は、車両後端の上記リアエンドパネル60位置に配設された後端から、前端が車幅方向内側に傾斜して車両の前方に延びるように取り付けられており、その前端面が上記フランジ31より後側位置で上記スペアタイヤ40のホイール部41に対し当接状態で接合されている。
【0028】
つぎに、上記参考形態の作用・効果を説明する。
【0029】
後面衝突時には、まず、後突荷重が荷重伝達メンバ30の後端に入力されて(図4の矢印A参照)、この荷重伝達メンバ30によって、スペアタイヤ40のホイール部41に後突荷重が伝達されることになる。次いで、上記荷重伝達メンバ30により、上記スペアタイヤ40は車幅方向の内向きの力を受けることになるため(矢印D参照)、上記スペアタイヤ40はフランジ取り付け位置を支点として、その前端が車幅方向の外方に回転するようになる(矢印C参照)。このため、上記スペアタイヤ40のホイール部41に後突荷重が直接伝達されることで上記第1実施形態と同様に、タイヤの外径及び空気圧に拘わらず、後面衝突時のスペアタイヤ40を前方の外方に移動させることができることになる。また、このスペアタイヤ40の前端が外方に回転することで、上記スペアタイヤ40は、その幅方向が車両の前後方向に姿勢変換するため、リヤサイドメンバ10,10の後突荷重による潰れ量を確保することができることになる。従って、後面衝突時には、上記リヤサイドメンバ10,10が潰れて後突荷重を吸収して、車両前方に後突荷重を伝えないようにすることが可能になる。
【0030】
<他の実施形態>
なお、本発明は上記第1実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記第1実施形態では、スペアタイヤパン21としてその底面21aが前方に向かって斜め上方に傾斜しているようにしているが、これに限らず、例えば図6に示すように底面21aを水平にしてスペアタイヤ40を水平に格納しているもの、または、図7に示すように底面21aを前方に向かって斜め下方に傾斜させてスペアタイヤ40を前方に向けて斜め下向きに格納しているもののようにしてもよい。この場合においても、後面衝突時には、後突荷重の入力点(各図の矢印A参照)と、作用点(矢印B参照)とが、フランジ31の上記スペアタイヤ40取り付け点を挟んで上下方向にオフセット(矢印α参照)しているため、上記スペアタイヤ40の前端を上向きに回転させるモーメント(矢印C参照)が発生することになる。
【0031】
上記第1実施形態では、スペアタイヤパン21としてその底面21aが平らなものを用いているが、これに限らず、例えば図8に示すように、荷重伝達メンバ30の前方の上記スペアタイヤパン21の底面21aに車幅方向に延びる脆弱部としての例えばV溝状のリブ23が形成されているものを用いてもよい。この場合、後面衝突時には、図9に示すように上記スペアタイヤパン21が後突荷重を受けて上記リブ23の位置で破断しやすくなり、スペアタイヤ40を前方の上方に立ち上げる挙動をより確実に実現させることが可能になる。
【0032】
例えば図10に示すようにスペアタイヤパン21の後端部分を車幅方向軸回りに回転可能に支持する回転支持体24を介してフロアパネル20に取り付けるようにしてもよい。この場合、後面衝突時には、後突荷重(矢印A参照)を受けることにより、上記回転支持体24を回転中心として回転させて上記スペアタイヤパン21をより一層容易にかつ当初の設計どおりに立ち上げることができる。
【0033】
上記第1実施形態では、スペアタイヤ40をスペアタイヤパン21の上に置くようにしているが、これに限らず、例えば図11に示すように、スペアタイヤ40を上記フロアパネル20の下に設けたスペアタイヤパン21の下方に吊り下げて取り付けるようしてもよい。この場合には、荷重伝達メンバ30をフロアパネル20の下面に固定し、その前端に設けたフランジ31をスペアタイヤ40のホイール部41に取り付けるようにすればよい。この場合、後面衝突時には、後突荷重の入力点(矢印A参照)と、上記スペアタイヤパン21の前端側の立壁面22上の反力の作用点(矢印B参照)とが、上下方向にオフセット(矢印α参照)しているため、上記スペアタイヤ40の前端を下向きに回転させる方向のモーメント(矢印C参照)が発生して、上記スペアタイヤ40が前方の下方に移動することになる。
【0034】
上記第1実施形態では、スペアタイヤ40をスペアタイヤパン21に横置き状態で格納するようにしているが、これに限らず、例えば図12に示すように、上記スペアタイヤ40を車体後部のトランクルームの側部に縦置き状態に格納してもよい。この場合、後面衝突時には、後突荷重の入力点(矢印A参照)とサイドパン51前方の壁面上の反力の作用点(矢印B参照)とが車幅方向にオフセット(矢印α参照)されているため、車幅方向のモーメント(矢印C参照)が発生して、上記スペアタイヤ40の前端が車両の内方に回転することになる。
【0035】
また、上記参考形態では、スペアタイヤ40を車両の側部に配設するようにしているが、これに限らず、例えば図13に示すように、上記スペアタイヤ40をフロアパネル20の下部に吊り下げ固定するようにしてもよい。図13は、いわゆるワンボックスカーにスペアタイヤ40を配設している状態を示し、24は車室の床面である。このものでは、ワイヤ70の一端を上記スペアタイヤ40のホイール部41のハブ穴に通してこのハブ穴より大きい直径を有する係止部材71に連結する一方、上記ワイヤ70の他端を上記フロアパネル20の貫通孔に通してこのフロアパネル20の上面に設置された上記ワイヤ70の巻き上げ手段としてのジャッキ72に連結するようにしている。そして、車室内において、上記床面24上に突出している上記ジャッキ72のハンドル73を回して上記ワイヤ70を巻き上げることにより、上記係止部材71が上記ホイール部41を支持しながら上記スペアタイヤ40を上昇させ、このスペアタイヤ40を上記フロアパネル20に当接させて固定するようにしている。
【0036】
この場合、後面衝突時には、荷重伝達メンバ30により上記スペアタイヤ40のホイール部41に伝達された後突荷重(矢印D参照)により、上記スペアタイヤ40は、上方に移動することになる(矢印C参照)。
【0037】
さらに、上記第1実施形態では、荷重伝達手段として荷重伝達メンバ30を用いるようにしているが、これに限らず、例えば図14に示すように、パイプ等の軸方向に比較的大きい座屈強度を有するものでラック33をつくり、その中にスペアタイヤ40を入れて車体下面に取り付けるようにしてもよい。この場合、後面衝突時には、入力された後突荷重(矢印A参照)が、上記パイプによって伝達され、上記ラック33前端の回転支持体34が作用点となり、矢印Cで示す方向にモーメントが発生する。このモーメントにより取り付けボルト35が破断し、上記ラック33に伴ってスペアタイヤ40の後端が、上記回転支持体34を中心として下方に回転することになる。
【0038】
【実施例】
図15〜図18は、図6に示すようにスペアタイヤパン21の底面21aを水平にしてスペアタイヤを水平に格納した構造において、後面衝突をシミュレートしたCAE(Computer Aided Engineering)による解析結果を示し、70は燃料タンク、80はサイレンサ、90はディファレンシャルギヤである。この場合、車両に対して後方より荷重壁を入力することで後面衝突を表現している。図15は、荷重壁が入力する前の初期状態を示している。図16は、上記荷重壁が後方より入力され始めた状態を示し、荷重伝達メンバ30が後突荷重により座屈変形している。そして、スペアタイヤ40が前方に移動している。図17は、さらに上記荷重壁が前方に移動している状態を示し、上記スペアタイヤ40が後突荷重により前方の上方に移動し始めている。図18は、さらに上記荷重壁が前方に移動している状態を示し、上記スペアタイヤ40が前方の上方に移動して、立ち上がるようになり、燃料タンク70への突出が避けられている。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明における車両の後部車体構造によれば、荷重伝達メンバにより後突荷重を車両後方に配設されたスペアタイヤのホイール部に直接伝達させるようにしているため、タイヤの空気圧及び外径等のいかんに拘わらず、後面衝突時の上記スペアタイヤの挙動を確実に一定のものにコントロールすることができ、スペアタイヤの空気圧及び外径等のいかんに拘わらず確実に設計どおりの挙動を実現することができる。
【0040】
また、後面衝突時の荷重が、車両の後方に配設されたタイヤよりも先に荷重伝達メンバに入力されることになるため、上記スペアタイヤの外径部分の状態がそのタイヤの挙動に影響を及ぼさないようにすることができ、タイヤの空気圧及び外径等のいかんに拘わらず、後面衝突時の上記スペアタイヤの立ち上がらせる挙動を一定のものにコントロールするという効果を確実に得ることができる。
【0041】
さらに、後突荷重の入力点と、その反力が作用する作用点とをオフセット配置することにより、後面衝突時にスペアタイヤに対するモーメントを確実に発生させることができ、スペアタイヤを立ち上がらせて、後部車体の潰れ量を確保して後突荷重を吸収することができる。さらに、上記タイヤが車両の前方に後突荷重を伝達しないようにすることができる。
【0042】
請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明による効果に加えて、スペアタイヤが横置きに配設された場合においても、後面衝突時にこのスペアタイヤを立ち上がらせるようにすることにより、後部車体の潰れ量を確保して後突荷重を吸収することができる。
【0043】
請求項3記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明による効果に加えて、後面衝突時に、スペアタイヤパンを容易に破断させることができ、確実にスペアタイヤを立ち上がらせて、または、車幅方向に回転させて、後部車体の潰れ量を確保して後突荷重を吸収することが可能になる。さらに、上記タイヤが車両の前方に後突荷重を伝達しないようにすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態を示す側面断面図である。
【図2】 本発明の第1実施形態を示す平面図である。
【図3】 図2のA−A断面を示す断面図である。
【図4】 本発明の参考形態を示す平面断面図である。
【図5】 本発明の参考形態を示す側面図である。
【図6】 本発明の他の実施形態を示す側面断面説明図である。
【図7】 本発明の図6とは異なる他の実施形態を示す側面断面説明図である。
【図8】 本発明の図6及び図7とは異なる他の実施形態を示す側面断面説明図である。
【図9】 図8に示す他の実施形態におけるスペアタイヤパンの破断状態を示す側面断面説明図である。
【図10】 本発明の図6〜図8とは異なる他の実施形態を示す側面断面説明図である。
【図11】 本発明の図6〜図8及び図10とは異なる他の実施形態を示す側面断面説明図である。
【図12】 本発明の図6〜図8及び図10,図11とは異なる他の実施形態を示す平面断面説明図である。
【図13】 本発明の図6〜図8及び図10〜図12とは異なる他の実施形態を示す側面断面説明図である。
【図14】 本発明の図6〜図8及び図10〜図13とは異なる他の実施形態を示す側面断面説明図である。
【図15】 図6に示す他の実施形態において、後面衝突前の状態を示す説明図である。
【図16】 図6に示す他の実施形態において、後面衝突時のスペアタイヤの移動の解析結果を示す説明図である。
【図17】 図16に示す状態から、さらに後面衝突が進んだ時のスペアタイヤの移動の解析結果を示す説明図である。
【図18】 図17に示す状態から、さらに後面衝突が進んだ時のスペアタイヤの移動の解析結果を示す説明図である。
【符号の説明】
21 スペアタイヤパン(格納部)
30 荷重伝達メンバ(荷重伝達手段)
32 けん引フック(後突荷重受け部)
40 スペアタイヤ
41 ホイール部
Claims (3)
- スペアタイヤを車体後部に格納する格納部を備えた車両の後部車体構造において、
上記スペアタイヤのホイール部に対して、後面衝突時の後突荷重を軸力として直接伝達する荷重伝達メンバを備え、
上記荷重伝達メンバは、その前端がスペアタイヤのホイール部に接合される一方、その後端が車両の後方に少なくとも上記スペアタイヤの後端位置まで延びるよう配設されると共に、上記荷重伝達メンバの後端には、上記スペアタイヤの後端部よりも後方に突出した後突荷重受け部が形成され、
上記格納部は上記スペアタイヤを横置き状態に配設し得るよう略水平に拡がり、
側面視で、上記荷重伝達メンバの後突荷重を受ける後端の入力点と、上記スペアタイヤの前端側の、上記格納部の側壁により構成される、上記後突荷重の、上記スペアタイヤを介した反力が作用する作用点とが、上記荷重伝達メンバとスペアタイヤのホイール部との接合点を間に挟んで互いに逆の位置にオフセット配置されている
ことを特徴とする車両の後部車体構造。 - 請求項1において、
荷重伝達メンバは車両前方に向けて上下方向に傾斜するように配設されている
ことを特徴とする車両の後部車体構造。 - 請求項1において、
荷重伝達メンバの前端よりも前方位置のフロアパネルには、車幅方向に延びる脆弱部が形成されている
ことを特徴とする車両の後部車体構造。
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