JP4074895B2 - 透き入れ模様付き抄紙網用剥離剤 - Google Patents

透き入れ模様付き抄紙網用剥離剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、「透かし模様紙」を製造するための透き入れ模様を抄紙網上に形成する透き入れ模様付き抄紙網の作製方法おいて用いられる透き入れ模様付き抄紙網用剥離剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
抄紙は、大量の水に分散した繊維(パルプ)をすき上げてシート化することで製造されているが、このすき上げの際に透かし模様を付与することが従来から行われている。
「透かし模様紙」には、偽造防止を目的にしたものと主に装飾を目的としたものがあるが、偽造防止を目的として「紙幣」、「印紙」等に適用される「透かし模様」は、いわゆる「黒透かし模様」と称せられるもので、その形成のために、抄紙網上に繊維(パルプ)を周辺に対して過剰に付着するように、抄紙網に凹処理等を施す特殊技法が用いられている。ただ、この技法は、「造幣法」により産業紙への適用が規制されている。
これに対し、主に装飾を目的として「障子紙」、「襖紙」、「包装紙」、「書籍装丁」等の装飾紙に適用される透かし模様は、いわゆる白透かし模様と称され、「抄紙網」上に「模様切り抜き型紙」を当て、切り抜き箇所に水不溶性物質(有機溶剤可溶性樹脂類、化学架橋性高分子化合物など)を塗り込めて抄紙網の網目を封鎖する方法が採られている。
この場合、前記封鎖された箇所では、通水が阻害されるため、原料繊維(パルプ)の吸引力が弱まり、水に分散された原料繊維は、封鎖された網目箇所には吸引されず、付着量が少なくなり、他の箇所に比較して薄くなる、つまり、抄紙網上に「網目封鎖」処理をすることで、周辺に比較して繊維の付着量を少なくして、その結果、繊維付着量が少ない箇所が「透かし模様」として表現される。つまり、前者の「黒透かし模様」と後者の「白透かし模様」は、いわゆる「写真画像」における「陽画:ポジ画像」と「陰画:ネガ画像」に相当する。
【0003】
従来の透かし模様紙の作成方法については、以下のものが知られている。
(1)「型紙法」
この「型紙法」は、原料繊維(パルプ)を抄き上げる抄紙網上に、透き入れ模様を形成するのに型紙を用いる方法である。この方法は、▲1▼「型紙」の作製、▲2▼抄紙網上への「型紙」の配置・熱融貼着、▲3▼型紙の切り抜き箇所への網目封鎖材の塗り込め、等の工程から成り、その実施に当たっては、紙の伸縮に対する模様の調整、連続抄紙の場合の模様の均等配置、など高度な技法が求められるため、俗に「マーク家」と云われる技能者の作業に委ねられてきた。
しかしながら、技能者の高齢化と後継者の払底とともに、一般産業紙では既に消滅した技法となっている。
【0004】
(2)「簀板」を抄紙網上に設置する方法
「透き入れ模様」が付けられた「金属簀」、「竹製簀」等を既設の抄紙網上に巻き付ける方法も採られる。しかし、「簀子」上に「透き入れ模様」を構成する技法は、上記(1)記載の技術と同じである。
【0005】
(3)「抄紙網」上に網目封鎖物を固定する方法
切り抜き模様板(合成樹脂、耐水性紙またはシート)を接着剤にて接着固定する方法。または、金属模様板をハンダ付け、もしくは溶接する方法などが採られるが、本発明が意図する技術的思想とは全く異なるものである。
【0006】
(4)抄紙網に直接的に凹凸を付ける方法
抄紙網を打変型し、網目に粗/密性を与える方法であって、主に「黒透かし」に適用される技法である。この方法では極めて高度な技能が求められ、複製は不可能であるため、一旦製作された抄紙網を保管しておくことが必要となるため、特殊分野を除き、今日では全く消滅した技法となっている。
【0007】
以上、透かし模様紙の製造は、現在では産業紙の分野では行われていない。その理由は、既に述べたとおり、直接には技能者の高齢化と技能後継者の払底があるが、それとともに、特殊技能者による単品製作であるが故に、その製造コストつまり経済性に問題があったからである。
つまり、従来行われている機械抄紙における透かし模様の付与は、透き入れ模様付円筒状網(円網)による直接抄紙法か、抄紙された湿潤状態のシート面に透き入れ模様付ロール(整形ロール網:ダンディーロール)を当てる方法のいずれかが採られているが、いずれの方法を採るにしても、生産実機では、透き入れ模様付抄紙網は巨大であり、価格も高いため、紙の種類の増加とともに透き入れ模様付き抄紙網の保管量および保管経費の負荷が増大した。また、透き入れ模様付抄紙網の製造は、前述のように、▲1▼「型紙」の作製、▲2▼抄紙網上への「型紙」の配置・熱融貼着、▲3▼型紙の切り抜き箇所への網目封鎖材の塗り込め、等の各工程を、紙の伸縮に対する模様の調整、連続抄紙の場合の模様の均等配置を考慮しながら手作業で行っていたため、抄紙網に形成した透き入れ模様の一部のみの描き直しは到底不可能であり、透き入れ模様が部分的に痛んだ場合でも抄紙網全体を廃棄しなければならなかった。
【0008】
一方、上述のような状況のもと、従来用いられれてきた方法では、一旦製作した「透き入れ模様」を消去して同一網を用いて繰り返し「透き入れ模様」を着像するという本発明に係る技術的思想はなく、剥離剤について、格別な従来技術はない。
また、描画材について、合成化合物の開発と共に、「うるし」や「にかわ」などから合成化合物への変換が図られている。これらの多くが有機溶剤で膨潤または溶解するから、必要ならば、剥離剤として有機溶剤を適用することにより、「透き入れ模様」を抄紙網から消去することはでき、実際、消去を必要とする場合には、原物質の溶化が可能な有機溶剤が適用されてきた。
しかし、今日の環境等の問題に対する高まりから有機溶剤系物質の使用は、好ましくない。併せて、生産実機の抄紙網は大型であり、溶剤との接触をさせる特別な装置も必要になり、従来の「透き入れ模様」製作法では、実効性は疑わしい。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前記従来の問題を解決すべくなされたものであって、機械抄紙の分野において、特殊技能を必要とすることなく、希望する絵柄の透き入れ模様を画像データとして蓄積しておいて、抄紙網に必要なときには何時でも容易に形成でき、しかも、一度作成した透き入れ模様を抄紙網から剥離自在にすることで抄紙網を再利用できる、「透かし模様紙」を製造するための透き入れ模様を抄紙網上に形成する透き入れ模様付き抄紙網の作製方法において、好適に用いることができる透き入れ模様付き抄紙網用剥離剤を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を達成するため、透き入れ模様付き抄紙網用剥離剤の必要な特性について鋭意検討した結果、同一抄紙網の繰り返し使用を実現し、描画材により形成された「透き入れ模様」を抄紙網から消去・除去するために、透き入れ模様付き抄紙網用剥離剤として、熱融貼着性物質からなる水媒系描画材及びこれの融着物に対して膨潤作用を有するものが、必須性能要件を満足することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、転写材上に透き入れ模様を形成する工程、該透き入れ模様を抄紙網に転写する工程、及び転写された透き入れ模様を剥離する工程を備えた透き入れ模様付き抄紙網の作製方法において用いられる透き入れ模様付き抄紙網用剥離剤であって、転写材上に透き入れ模様を形成する工程及び該透き入れ模様を抄紙網に転写する工程で用いられた描画材を膨潤又は軟化する性能を有することを特徴とする透き入れ模様付き抄紙網用剥離剤が提供される。
【0012】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、剥離剤は、剥離作用物質として、天然精油類又は天然植物抽出油から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする透き入れ模様付き抄紙網用剥離剤が提供される。
【0013】
さらに、本発明の第3の発明によれば、第2の発明において、さらに、アニオン系又は非イオン系界面活性剤、アルコール類およびアルカリ剤を含有することを特徴とする透き入れ模様付き抄紙網用剥離剤が提供される。
【0014】
本発明の第4の発明によれば、第3の発明において、剥離剤は、天然精油類又は天然植物抽出油から選ばれる少なくとも1種1.0〜5.0重量%、アニオン系又は非イオン系界面活性剤から選ばれる少なくとも1種1.0〜10.0重量%、アルコール類1.0〜10.0重量%、及びアルカリ剤0.1〜1.0重量%からなる水溶液又は水媒系乳化液であることを特徴とする透き入れ模様付き抄紙網用剥離剤が提供される。
【0015】
また、本発明の第5の発明によれば、第2〜4のいずれかの発明において、天然精油類は、アニス油、アビネス油、オレンジ油、シトロネラ油、柑橘油、レモン油、又はユーカリ油であり、天然植物抽出油はテレピン油であることを特徴とする透き入れ模様付き抄紙網用剥離剤が提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明について、説明する。
1.透き入れ模様の描画と同模様の抄紙網上への転写
本発明の基本的な課題は、同一抄紙網の繰り返し使用を可能とする一連の技術の提供にあり、そのためには、▲1▼コンピュータ画像処理機能とロボットによる描画機能の活用により同一画像(透き入れ模様)を正確に再生・復元できる技術、▲2▼この技術を適用する際に、原抄紙網を損傷することなく、一旦作製された抄紙網上の「透き入れ模様」を消去しても、再度、同一画像の復元作製ができる技術、この両技術を連携して機能させなければならない。
抄紙網の内または裏面への描画材の回り込みがあり、抄紙網内または裏面に描画材の一部が残留すると、それが透水性(ろ水度)を阻害し、均等な「地合」を有する紙シートが構成されず、原抄紙網として使用することが不可能となり、廃棄処分せざるを得ない状況となる。これにより、再生経費の増大の原因となり、実業上の大きな阻害要因となる。
【0017】
本発明では、この問題に着目し、抄紙網面上に膜状の画像を構成するようにしたものであるが、そのため、転写材として、例えば、窯業分野で焼結画像の着像に汎用されている、それ自身は公知の転写紙を用いている。この転写紙は、水湿潤層が表層に設けられた紙シートからなり、この層面に着像(印刷)された画像面を被転写体面に熱融貼着し、水にて湿潤すると、転写紙上に設けられた水湿潤層により、画像を被転写体面に残して担体である紙シートが剥離されるよう構成されている。
この「転写紙」上に、後述の熱融貼着性描画材にて描画し、その乾燥皮膜状の画像を抄紙網面に熱融貼着する。この方法によれば、画像は、既に膜状に形成された乾燥固化物であって流動性がないため、転写時に抄紙網内への浸透または裏面へ回り込む虞はなく、抄紙網面にのみ膜状に固定され、上記した問題を回避することができる。
【0018】
図1は、描画機構を説明するための図であって、コンピュータ技術を応用して送信された透き入れ模様についての位置情報付きの画像データに応じて、X−Y−Z軸駆動機構を有する描画ロボットにより、細針管吐出方式或いは細針壁面液漏流方式によるノズル(N)を駆動し、該ノズル(N)から吸水性の紙50上に載置された前記転写紙5の水膨潤層(剥離作用部)上に、透き入れ模様を描画する。描画される画像(模様)は、後に抄紙網面に転写する際に、必要に応じて反転描画も可能である。
【0019】
2.抄紙網上への着像
次に、形成された転写紙上の画像を抄紙網上に画像転写する技術について、説明する。
転写紙上に描画された画像は、乾燥により膜状に固化した状態で形成される。
この描画に用いる描画材は、後述の実施例等で開示するように、熱溶融性物質を主材とし、描画機構に対して適正な流動特性(描画材の延展性、液送条件に対する流出適性等、流体力学上の特性:レオロジー特性)を有するように設計されている。
この転写紙上に形成された画像面を抄紙網面に密着し、転写紙の裏面から加熱・圧着することで形成された熱溶融性基材からなる画像が抄紙網面に熱融貼着される。
この段階では、転写紙自体が画像とともに融着されるが、全体を水にて湿潤すると、転写紙の水膨潤層の作用により、画像を抄紙網面に残して担体である転写紙の紙層が剥れる。
この方法により、膜状の画像を抄紙網面に固定することができ、従来法の抄紙網上への直接画像形成法(型紙塗り込み、切り抜き模様熱融貼着など)において生じる網目内もしくは裏面への画像形成材の回り込みを回避することができる。
このことにより、後述する画像消去の精度が保証され、該発明の基本思想である同一抄紙網の繰り返し使用が可能となる。
【0020】
図2は、転写紙上に作製された画像の抄紙網上への熱融貼着を説明するための図である。
透き入れ模様5a、・・が形成された転写紙が貼り付けられた配置シート(マスターペーパー)6を円筒状の抄紙網7上に、例えば粘着テープにより貼り付ける。
ここで、各透き入れ模様が描かれた転写紙は、製造した抄紙を所定サイズに裁断したときに、その紙葉の所定位置に透き入れ模様が来るように、配置シート上に、例えばX・Yプロッタで描かれた位置マーク上に熱融貼着される。その際、配置シートの長手方向つまり円筒状抄紙網の円周に沿う方向における透き入れ模様の位置は、その寸法、数、円筒状抄紙網の円周の長さを元に、所定サイズに裁断した後の紙葉の所定の位置に透き入れ模様が配置されるように、自動計算して割り付けられている。
抄紙網7は、透き入れ模様が熱融貼着された配置シート6が巻き付けられた状態で、転写紙の裏面から200〜230℃で約1〜5分間熱圧着され、それによって透き入れ模様が転写紙から抄紙シート7の網に転写される。
【0021】
3.描画材(抄紙網目封鎖材)
次に、本発明に係る描画材(抄紙網目封鎖材)について説明する。
描画材は、「細針管」による吐出描画および「細針壁面液漏流」による延展描画を行うため、当該描画機構に対する適正な流動特性等を備えたものでなければならない。即ち、(1)作業環境保全・労働衛生安全性のために溶剤系ではなく、水媒系であること、(2)細間隙における流動適性が描画機構に合致すること、(3)描画後の液の延展適性(画質の良否に関係する)が転写紙面の剥離層の性質と合致すること(濡れ性)、(4)装具の洗浄等の保守管理が容易であること、(5)経時による流動特性の安定化、(6)作業環境(温度、湿度)の変化に対して鈍感な特性を有すること(乾燥/湿潤環境において描画材の流動性/乾燥性の変動が少ない)、(7)描画後の乾燥適性を制御できること(乾燥が遅ければベタ付く、乾燥が早ければ描画始点に描画点が戻った時、先に描かれた部分の半乾燥皮膜を描画針先端で引っ掻く状態を生じ、画像破損の原因となる)、(8)描画停止による描画針先端における描画材の凝固に対する清浄処理が容易であること(当発明の描画材は半乾燥状態では湿潤紙もしくは布で拭うことで原状を復帰できる)、(9)描画材のカートリッジ化((5)の経時安定性と関連する)により描画機構部への装着/脱着の簡易化、(10)描画像の大小に対応できる特性を有すること(描画像の大/小、太/細により描画材吐出部の針径および吐出間隙の広/狭に対応する流動特性の制御)でなければならない。
本発明に係る描画材(抄紙網目封鎖材)は、上記の描画特性に加えて、前項にて記載したように、間接媒体である「転写紙」上に描画し、この乾燥皮膜像を、熱融貼着する方法で抄紙網面に着像する方法を採ったため、描画材は、描画時においては水媒体系の液状であるが、描画後の乾燥画像は、熱溶融性(融着)を有していなければならない。
更に、既に述べたように、本発明では、一旦作製された「透き入れ模様」を消去し、同一抄紙網の繰り返し使用を可能とするため、描画材は、後記する「剥離剤」に適合するものでなくてはならない。
【0022】
本発明に係る「描画材」は、上記の如き技術的思想に基づき案出したものであって、▲1▼描画部に適合すること、▲2▼転写紙上に描かれた模様を抄紙網面に熱融貼着して固定すること、▲3▼抄紙網上の模様を消去して元の抄紙網に復元して同一網の繰り返し使用を可能にすること、という実施態様に適合するものである。
すなわち、本発明に係る「描画材」は、水に溶解、乳化又は分散し、熱融貼着性を有し、かつ転写後では水に不溶化又は耐水化する性能を有することを特徴とするものである。また更に、転写された透き入れ模様を剥離する工程で用いられる本発明の「剥離剤」にて膨潤する性能を有することを特徴とするものである。
【0023】
本発明に係る「描画材」は、上記の性能を有していれば特に限定されないが、具体的に説明すると、例えば、アクリル酸エステル系共重合体、スチレンマレイン酸共重合体、ポリオレフィン変性化合物、ブタジエン系共重合体、ポリピロリドン系共重合体、ポリビニル系共重合体、ポリピリジン系共重合体、ポリスチレンスルホン酸共重合体、及びアクリル酸系共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の水媒系乳化物又は水溶性化合物が主成分として含有されるものが挙げられる。
さらに、具体的には、アクリル酸エステル系共重合体が20〜60重量%の水媒系乳化物、スチレンマレイン酸共重合体が20〜60重量%の水媒系乳化物、ポリオレフィン変性化合物が20〜60重量%の水媒系乳化物、ブタジエン系共重合体が20〜60重量%の水媒系乳化物、ポリピロリドン系共重合体が50〜70重量%と窒素系ホルマリン架橋剤が1〜5重量%の水媒系乳化物、ポリビニル系共重合体が30〜50重量%と窒素系ホルマリン架橋剤が1〜5重量%の水媒系乳化物、ポリピリジン系共重合体が20〜50重量%と熱分解性塩が1〜5重量%の水溶性化合物、スチレンスルホン酸5〜20重量%を含有する共重合体が20〜50重量%の中性又は弱酸性水媒系乳化物、及びアクリル酸を5〜20重量%含有する共重合体が20〜50重量%の中性又は弱酸性水媒系乳化物からなる群から選ばれる少なくとも1種のものが挙げられる。
【0024】
描画材には、描画特性や濡れ性などを改善するために、本発明の目的や効果を損なわない範囲で、各種の添加剤を配合することができる。そのような添加剤としては、粘性や流動性、曳糸性の描画特性改善のために、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド等の水溶性合成化合物、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチル(メチル)セルロース、ヒドロキシエチル(メチル)澱粉、カルバミン酸等の水溶性天然物誘導体、アルギン酸ナトリウム、キトサン、植物ガム、ゼラチン、アルブミン等の水溶性天然物が挙げられ、0.01〜0.1重量%の範囲で添加される。
また、濡れ性や延展性の改善のために、例えば、アルキル硫酸エステルナトリウム、オレイン酸硫酸エステルナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ナトリウムスルホネート)、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、オレイン酸アミドスルホン酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルチオエーテル、ポリエレンイミン、ペンタエリスリトールエステル、脂肪酸エタノールアミド、高級アルコール等の非イオン系界面活性剤が挙げられ、0.001〜0.01重量%の範囲で添加される。
さらに、抄紙時に抄紙網上の「透き入れ模様」箇所から湿紙が正常に剥がれる性能である湿紙剥離性の改善のために、例えば、水媒系アニオンワックス乳化物、水溶性アニオンフッ素樹脂、水媒系アニオンポリマーワックス硫化物、水媒系パラフィンワックス乳化物量、水媒系ポリエチレンワックス乳化物、水媒系ポリエチレン・ポリアミン脂肪酸混合乳化物、水溶性ステアリン酸金属錯体化合物の単独或いは複数からなる混合物が挙げられ、0.1〜1.0重量%の範囲で添加される。
【0025】
本発明に係る描画材は、上記の如きものであるが、描画材構成組成に関する技術的思想(例)としては、例えば、アクリル酸化合物/誘導体の水媒系乳化物を適用した例で示せば、次の表1のようになる。
【0026】
【表1】
Figure 0004074895
【0027】
4.剥離剤
抄紙網の繰り返し使用のための画像消去に用いる、本発明の剥離剤について説明する。
既に述べたように、本発明に係る抄紙網は、コンピュータ機能による画像復元を可能とし、従来技術のように一旦作製された「透き入れ模様」を保管する必要をなくし、これにより、同一の抄紙網の繰り返し使用を可能としている。
そのためには、一旦抄紙網上に作製された「透き入れ模様」を消去する必要がある。既述したように抄紙は、大量の水の存在の下で行われるため、「透き入れ模様」は、抄紙作業に耐え得る耐水性を有していなくてはならない。
したがって、従来技術では、水に不溶な物質である溶剤可溶性物質が適用され、消去を必要とする場合には、原物質の溶化もしくは膨潤化が可能な有機溶剤が適用されてきた。
しかし、このことは、今日の労働安全・衛生上の観点からは望ましいものではない。
この点に着目し、本発明では、前述した熱融貼着性物質からなる水媒系描画材(乾燥画像が熱融貼着性を有する)を採用し、併せて、これの熱融貼着物を膨潤・軟化剥離する水媒系剥離剤(水媒系消去剤)を採用した。
即ち、本発明の剥離剤は、(1)作業環境保全・労働衛生安全性のために溶剤系ではなく、水媒系であること、(2)適用される描画材の基材に対して軟化もしくは膨潤する作用を有すること、(3)通常の取扱において、人体に対して安全性が保証されること(皮膚炎症等の原因物質を含まないこと)、(4)有害蒸散物質を含まないこと(作業環境の汚染、作業者の呼吸障害の原因物質を含まないこと)、(5)器物に対する腐食性がないこと(容器、機械・装置に対する非腐食性)、(6)被服等の汚染時に対策が容易であること(水にて容易に除去できる)、(7)廃剤の処分が容易であること(環境保全諸法の規制に準拠し、PH調整等の簡易処理にて流出廃棄が可能な範囲の成分構成と含有量)、(8)有害薬品/危険物取扱法における規制条件を充たす成分取扱と成分量で構成されること、(9)消去される画像は溶化することなく剥離され、単純な分離(ろ過)により廃剤を汚染しないこと((7)と関連)、(10)解放作業において作用効果の減衰が少ないこと(当剤に浸漬することになるため、液剤槽は解放状況にある:(4)と関連)、が必要である。
なお、次章「実施例」にて、本発明の実施態様の具体例(実施例と結果)の詳細を開示するが、本態様を構成する基本となる作用物質として、例えば「変成橙油=天然植物精油」を適用することを特徴としている。
本発明の基幹要素である「剥離剤」(消去剤)は、上記の如き技術的思想に基づき案出したものであり、下記の実施態様例(表2)に示した組成物である。
【0028】
【表2】
Figure 0004074895
【0029】
本発明の剥離剤は、上記の技術的思想に該当するものであって、具体的なものを例示すると、(I)▲1▼アネトール、メチルシャピコール、p−メトキシアセトフェノンを主組成とするアニス油、▲2▼α−ピネン、β−ピネン、1−酢酸ボルニル、カンフェン、1−α−フェランドレンを主組成とするアビネス油、▲3▼d−リモネン、n−デシルアルデヒド、リナロールを主組成とするオレンジ油、▲4▼ゲラニオール、d−シトロネラール、ネラール、酢酸ゲラニルを主組成とするシトロネラ油、▲5▼d−リモネン、リナロール、テルピネオールを主組成とする柑橘油、▲6▼d−リモネン、シトラール、α−オクタナール、β−オクタナール、ピネン、リナロールを主組成とするレモン油、▲7▼ピネトール、シトロネラール、オイデスモールを主組成とするユーカリ油、等の天然精油類、又は天然植物から抽出されるテレピン油等の少なくとも1種1.0〜5.0重量%と、(II)アルキル硫酸エステルナトリウム、オレイン酸硫酸エステルナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ナトリウムスルホネート)、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、オレイン酸アミドスルホン酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤、又はポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルチオエーテル、ポリエレンイミン、ペンタエリスリトールエステル、脂肪酸エタノールアミド、高級アルコール等の非イオン系界面活性剤の少なくとも1種1.0〜10.0重量%と、(III)アルコール類1.0〜10.0重量%、及び(IV)アルカリ剤0.1〜1.0重量%からなる水溶液又は水媒系乳化液が挙げられる。
【0030】
上記の剥離剤は、▲1▼水媒系であるため、全く引火性はなく、▲2▼PH調整剤であるアルカリ剤の使用量を抑制し、その添加量を0.1〜1.0重量%と設定しているため、作業者の皮膚炎症への危険度が極めて低く、▲3▼剥離作用基本物質として、天然系精油を主体とし、柑橘系精油(みかん油、橙油、レモン油、オレンジ油など)の作用に着目し、その添加量は、1.0〜5.0重量%であり、実用では好ましくは2重量%程度であり、▲4▼剥離効果増強及び液の安定化を目的に安全な界面活性剤を添加し、その添加量は、1.0〜10.0重量%であり、実用では好ましくは4.0重量%程度であり、▲5▼剥離効果増強及び液の安定化を目的に、エチルアルコール、プロピルアルコール等のアルコール類を添加し、その添加量は、1.0〜10.0重量%であり、実用では好ましくは5.0重量%以下であり、▲6▼「透き入れ模様」消去は、溶解消去ではなく、膜状に剥離する「膨潤剥離」であって、剥離された模様は剥離剤中で固形状況で浮遊するために、これを除去することで剥離剤液の汚染は少ないという特徴を有している。
【0031】
また、剥離剤を上記のような組成にすることにより、上記のような特徴を有しているが、特に、前記の描画材により形成された「透き入れ模様」を抄紙網から、描画材に対しての膨潤、軟化作用でもって、消去・除去でき、その適用において適正な安全性を有することができる。描画材に対して、溶解ではなく、膜状に剥離でき、その結果、溶解による消去の場合では廃液の処分にあたり、環境汚染の懸念が生じるが、膜状剥離であれば、剥離物の除去のみにより、剥離剤液自体の汚染は免れるという特徴を有している。
【0032】
さらに、剥離作用基本物質として、天然系精油などの精油系物質を説明すると、精油系物質においては、水蒸気蒸留による蒸散残留物、水洗遊離油に、格別の透明性や作用効果を有する製品化適性がある。一方、一般に精油を適用する場合、濁化したり層分離があり、効能において同等であっても、工業製品適性において望ましくはない。
【0033】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明と、本発明がどのような効果・利点を発揮するかを更に詳しく説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0034】
1.[実施例(1)] 描画材の組成構成
既述の描画機構、抄紙網への画像熱融貼着および剥離剤に対する適性を有する描画材の例を表3及び表4に掲示する。
【0035】
【表3】
Figure 0004074895
【0036】
[効果例] 効果例を表4に示し、その評価条件は次のとおりである。
▲1▼ 描画機構:「細針壁面液漏流」式 描画針径1.0mm/外鞘径1.1mm
▲2▼ 描画像:直線像(つずら折り、線長10cm、15本)
▲3▼ 液吐出圧:空気圧 0.2kg/cm
▲4▼ 描画速度:250mm/分
▲5▼ 転写紙:坪量/120g/m(紙層厚:0.20mm)、転写層;CMC/デキストリン/PVA系
【0037】
【表4】
Figure 0004074895
【0038】
上表の数値関係は、図3に示され、転写紙断面における非画像部の部厚(a)と画像形成部の部厚(b)及び描画層厚(c=b−a)である。
【0039】
2.[実施例(2)] 描画材吐出量の制御
条件は、次のとおり。
▲1▼ 描画機構:「細針壁面液漏流」式 空気圧送。
▲2▼ 適用描画材:実施例1−1−2の描画材であって、抄紙網上に形成される模様部分の湿紙の剥離性を付与するためにの撥水剤(フツ素系高分子化合物0.5%液:10g)を実施例1−1−1液に添加したもの。
上記の条件で、下記表5のごとく描画針径、描画速度、圧送空気圧を変化した。面積を固定した転写紙において無描画時の転写紙重量と描画時の転写紙重量の差から描画材吐出量を求めた(描画像は“つずら折り線形模様”とし、同一画像を適用した)。
【0040】
【表5】
Figure 0004074895
【0041】
上記の実施例の結果を、縦軸に描画材吐出量をまた横軸に圧送空気圧をとり、描画用のペン(ノズル)の径が2mm、0.5mmのものについて、異なる速度における描画材吐出量と圧送空気量との関係をそれぞれ図4及び図5に示す。描画針径、圧送空気圧、描画速度を替えることで吐出量を自在に変化させることができることを示している。つまり、図4及び図5から明らかなように、圧送空気量の増加と共に描画材吐出量が増加する。そのため、ペン(ノズル)を等速駆動しながら圧送空気量を変えることで転写紙に描く透き入れ画像の幅を調整することができる。
【0042】
3.[実施例(3)] 描画像の抄紙網への熱融貼着性
条件は次のとおり。
▲1▼ 供試する転写紙像:転写紙描画像(描画材と画像層厚の変化)の適用
▲2▼ 描画機構:実施例(1)記載の描画条件、細針壁面液漏流(空気圧送)
▲3▼ 適用描画材:実施例(1)記載の描画材および転写紙画像の内から抽出
▲4▼ 抄紙網:60メッシュ(網目)、ステンレス線材、平板
▲5▼ 熱融貼着方法: 「抄紙網上への着像」の方法
下記表6に示すように、上記▲4▼の抄紙網に、▲1▼の転写紙に描かれた画像面を当て、設定した熱板温度、圧着力、圧着時間を変えて抄紙網に熱融貼着する方法による。
▲6▼ 抄紙網からの媒体「転写紙」の剥離:画像を抄紙網に残し「転写紙」のみの除去 ※通常の冷水に浸漬する。浸漬時間を変えて剥離状況を評価する。
【0043】
【表6】
Figure 0004074895
註:1)供試例:実施例(1)の番号
2)固定状況(判定)基準 抄紙網の画像面を指先で摩擦する
+− 画像の一部が固定せず、浮遊する
++− 画像の少しの部分(細線部)が固定せず、浮遊する
++ 概ね良好であるが、強い摩擦に耐えられない
+++ 実用に耐える強度を有する(強い摩擦にも耐える)
3)2分間の水浸漬後に強制的に転写紙を剥がしても画像は抄紙網面に固着している
【0044】
4.[実施例(4)] 抄紙網に熱融貼着された画像の水潤摩耗耐性
条件は次のとおり。
▲1▼ 供試した抄紙網熱融貼着画像:表6の実施例(3)から抽出
▲2▼ 水潤耐摩耗性試験方法:
抄紙は、抄紙網と接触して同期駆動する吸着担体布により、抄紙網上に形成された湿紙層を吸着担体布に転移する方法が採られるため、理想的な抄造条件においては抄紙網と吸着担体布は上下の力学的作用を受けるのみであるが、現実には、抄紙網と担体吸収布の駆動速度差があり、摩擦作用は避けられない。
この実際的問題を想定し、抄紙網に熱融貼着された画像の耐性(水潤摩耗耐性適性)を評価するために図6に示すような装置で試験にて評価を行った。
【0045】
即ち、直径5cmで120回転/分で回転するゴム製の摩擦ロールと支えロールとの間を抄紙網上に転写された画像を、摩擦ゴムロールと前記画像との設定加重を1kgとして、摩擦ロールと前記画像との間に研磨剤(0.5%のカオリン分散液)を散布しながら2kgの引張加重で引き、経過時間つまり、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間経過時における減量値を各実施例毎に測定した。その結果を下記表7に示す。
【0046】
【表7】
Figure 0004074895
【0047】
以上の結果から、対照となる抄紙網の摩耗減量と比較して格別の摩耗現象は認められず、通常の抄紙における支障がないことが分かった。
【0048】
5.[実施例(5)] 「透かし模様」の精度
実際に「透かし模様紙」を抄造して現出する「透かし模様」の精度を検証する。
評価条件は次のとおり。
▲1▼ 描画材:実施例(1)の表3、表4における実施例1−1−2を使用
▲2▼ 描画方法:「細針壁面液漏流」方式を使用
▲3▼ 供試用画像の描画:
表4の実施例に準じ、その実施例で適用した転写紙(坪量:120g/m)上に「つづらおり直線模様」を下記のように描画条件を変えて4画像(画像の線幅、描画材量が異なる)を描いた。
▲4▼ 描画条件:
1)液漏流針径:0.5mm(ノズル内壁との間隙:0.1mm)、液送圧0(加圧なし、自然流下)、描画速度(描画ロボットの駆動速度):250mm/分、500mm/分の2条件
2)液漏流針径:2.0mm(ノズル内壁との間隙:0.1mm)、液送圧:2.5kg/cm、描画速度(描画ロボットの駆動速度):250mm/分、500mm/分の2条件
▲5▼ 抄紙網への画像熱融貼着条件:
表6の実施例(3)と同様に、60メッシュ抄紙網(ステンレス線材、平板)に転写紙画像面を当て、240℃、4.4kg/cm圧着、2分にて熱融貼着した後、水に浸漬して転写紙の担体層を分離する方法による。
▲6▼ 抄紙条件(角型抄紙試験法):
1)原料配合:NBKP:LBKP=1:1(叩解度:450mlc.s.f)
2)抄紙 :坪量 64.8g/m(紙厚:0.13mm)
なお、上記▲4▼、▲5▼による4種の「透かし模様」は同一の抄紙網に配置/熱融貼着した。従って、同一条件の下で、4「透かし模様」が形成される。
▲7▼ 「透かし模様」精度の評価:
表8に示すように、「透かし模様」(透かし)部(明部)と非着造(原紙)部(暗部)の光の透過状況(明度)を比較して、「透かし模様」部と非着造部とのコントラストを以て精度評価とした。
【0049】
【表8】
Figure 0004074895
【0050】
6.[実施例(6)] 「透き入れ模様」の剥離剤(処方例と性状)
本発明では、抄紙に作成された「透き入れ模様」を消去し、同一の抄紙網の繰り返し使用を可能とする。すなわち、コンピュータ/ロボットの機能により同一の画像の再現が自在にできるため、一旦作成した「透き入れ模様」を消去しても、同一模様を再現することが可能である。
また、「透き入れ模様」作成に当たり、最も重要かつ煩雑な作業を要する模様の抄紙網への配置も、既に説明したようにコンピュータの模様配置の演算機能により模様配置を迅速に再現することができる。
剥離剤の処方例を下記表9に示す。
【0051】
【表9】
Figure 0004074895
Figure 0004074895
【0052】
7.[実施例(7)] 「透き入れ模様」の剥離剤の効果
実施例(3)の表6で実施した「透き入れ模様」熱融貼着抄紙網の内、これから抽出した例について、実施例(6)の透き入れ模様の剥離剤の効果を評価した。
▲1▼ 剥離効果の試験方法:
平皿バットに「透き入れ模様」熱融貼着抄紙網を入れ、全体が浸るように剥離剤を入れる。しかるに、経時毎に熱融貼着模様の状態変化を観察する。
その結果を表10に示す。
【0053】
【表10】
Figure 0004074895
註 1)実施例(3)の表6から抜粋した供試体(透き入れ模様熱融貼着網)
註 表中の評価点の基準
0:液を揺らすとき、膨潤し軟化するも網より剥がれない。
1:液を揺らすとき、一部が網より剥がれるが分離はない。
2:液を揺らすとき、1/2程度の剥離が起こるが剥がれない部分と分離しない。
3:液を揺らすとき、全体が剥がれる。
4:静置状態で、一部が自力剥離するも、網に残る部分がある。
5:静置状態で、完全に自力剥離する。
【0054】
【発明の効果】
本発明の透き入れ模様付き抄紙網用剥離剤を用いて、「透かし模様紙」を製造するために、透き入れ模様を抄紙網上に形成する透き入れ模様付き抄紙網の作製を行えば、特殊技能を必要とすることなく抄紙網に希望する絵柄の透き入れ模様を画像データとして蓄積しておいて、必要なときには何時でも容易に形成でき、しかも、一度作成した透き入れ模様を抄紙網から剥離自在にすることで抄紙網を再利用できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】描画機構に関する技術的思想を示す図である。
【図2】「転写紙」上に作製された画像の抄紙網上への熱融貼着に関する技術的思想を示す図である。
【図3】表4の(a)非描画部厚さ、(b)描画形成厚さ、(c)描画層厚さの数値関係を示す図である。
【図4】実施例(2)の圧送空気圧と描画液吐出量(ペン直径2mm)の関係を示す図である。
【図5】実施例(2)の圧送空気圧と描画液吐出量(ペン直径0.5mm)の関係を示す図である。
【図6】抄紙網に熱融貼着された画像の耐性(水潤摩耗耐性適性)を評価する試験方法を示す図である。
【符号の説明】
5 転写紙
5a 透き入れ模様
50 吸水性紙
51a 水膨潤層
6 配置シート
7 抄紙網

Claims (3)

  1. 転写材上に透き入れ模様を形成する工程、該透き入れ模様を抄紙網に転写する工程、及び転写された透き入れ模様を剥離する工程を備えた透き入れ模様付き抄紙網の作製方法において用いられる透き入れ模様付き抄紙網用剥離剤であって、転写材上に透き入れ模様を形成する工程及び該透き入れ模様抄紙網に転写する工程で用いられた描画材を膨潤又は軟化する性能を有し、透き入れ模様付き抄紙網から透き入れ模様を剥離させ、剥離作用物質として、天然精油類又は天然植物抽出油から選ばれる少なくとも1種を含有し、さらに、アニオン系又は非イオン系界面活性剤、アルコール類及びアルカリ剤を含有することを特徴とする透き入れ模様付き抄紙網用剥離剤。
  2. 剥離剤は、天然精油類又は天然植物抽出油から選ばれる少なくとも1種1.0〜5.0重量%、アニオン系又は非イオン系界面活性剤から選ばれる少なくとも1種1.0〜10.0重量%、アルコール類1.0〜10.0重量%、及びアルカリ剤0.1〜1.0重量%からなる水溶液又は水媒系乳化液であることを特徴とする請求項1に記載された透き入れ模様付き抄紙網用剥離剤。
  3. 天然精油類は、アニス油、アビネス油、オレンジ油、シトロネラ油、柑橘油、レモン油、又はユーカリ油であり、天然植物抽出油はテレピン油であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の透き入れ模様付き抄紙網用剥離剤。
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