JP4074080B2 - 可変動弁機構の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、機関の吸気バルブ又は排気バルブのバルブ作動特性を可変する可変動弁機構の制御技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、吸気バルブ・排気バルブのバルブリフト量及びバルブ作動角を連続的に変える構成の可変バルブ機構が知られている(特開2001−012262号公報参照)。
この可変バルブ機構は、カム軸と略平行に配設された制御軸と、該制御軸の外周に偏心して固定された制御カムと、該制御カムに揺動自在に軸支されたロッカアームと、前記カム軸の回転に応じて前記ロッカアームの一端部を揺動駆動するリンクアーム・偏心カムと、前記ロッカアームの他端部に連係して揺動して吸・排気バルブを開動作させる揺動カムと、前記制御軸を回転駆動するDCサーボモータと、を備える。
【0003】
そして、作動角センサで検出される前記制御軸の実際の作動角を、要求のバルブ開特性に対応する目標作動角に一致させるべく、前記DCサーボモータをフィードバック制御するよう構成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記可変バルブ機構によりバルブリフト量及びバルブ作動角を可変とすることで、スロットルバルブによらず吸入空気量を制御することが考えられる(スロットルレス制御)。
かかるスロットルレス制御においては、スロットルバルブによるトルク制御ができないため、いかにしてトルク制御、特にトルクリニアリティの確保を行うかが課題となる。
【0005】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、スロットルレス制御においても、精度のよいトルク制御を行うことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そのため、請求項1に係る発明は、内燃機関の吸気バルブのバルブリフト量及びバルブ作動角を可変する可変バルブ機構を有する可変動弁機構の制御装置であって、機関の運転状態に応じた要求空気量を設定する要求空気量設定手段と、前記要求空気量を機関回転速度及びシリンダ容積で除算して目標体積流量比を算出する目標体積流量比算出手段と、前記目標体積流量比を前記吸気バルブの開口面積に変換し、変換した開口面積に基づいて前記吸気バルブの目標バルブリフト量を設定する目標バルブリフト量設定手段と、前記吸気バルブのバルブリフト量が前記目標バルブリフト量となるように前記可変バルブ機構の駆動を制御する可変バルブ機構駆動手段と、を備え、前記目標バルブリフト量設定手段は、前記吸気バルブの実バルブリフト量に応じて流量損失係数を設定すると共に、前記目標体積流量比を前記吸気バルブの開口面積に変換する際に前記設定された流量損失係数を用いることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、前記可変動弁機構は、バルブリフト量を固定したまま前記吸気バルブの開閉タイミングを可変する可変バルブタイミング機構を有し、前記吸気バルブの閉弁タイミングに応じて前記吸気バルブの開口面積を補正する第1開口面積補正手段を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、機関回転速度に応じて前記吸気バルブの開口面積を補正する第2開口面積補正手段を備えることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、前記要求空気量設定手段が、アクセル開度と機関回転速度とに基づいて前記目標吸入空気量を設定することを特徴とする。
請求項5に係る発明は、前記可変バルブ機構が、クランク軸に同期して回転する駆動軸と、該駆動軸の固定された駆動カムと、揺動することで前記吸気バルブを開閉作動する揺動カムと、一端で前記駆動カム側と連係し他端で前記揺動カム側と連係する伝達機構と、該伝達機構の姿勢を変化させる制御カムを有する制御軸と、該制御軸を回動するアクチュエータと、を含んで構成され、前記アクチュエータによって前記制御軸を回動制御することにより前記吸気バルブのバルブリフト量及びバルブ作動角を可変することを特徴とする。
【0010】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、機関の運転状態に応じた要求空気量を機関回転速度およびシリンダ容積で除算して目標体積流量比とし、この目標体積流量比を吸気バルブの開口面積に変換し、変換された開口面積に基づいて吸気バルブの目標バルブリフト量を設定する構成において、前記吸気バルブの実バルブリフト量を検出し、検出された実バルブリフト量に応じて流量損失係数を設定し、前記目標体積流量比を前記吸気バルブの開口面積に変換する際に前記設定された流量損失係数を用いるので、バルブリフト量により変化する流量損失分を考慮しつつ、要求空気量を得るためのバルブ開口面積を精度よく算出できる。
【0011】
そして、バルブ開口面積が決まれば、該バルブ開口面積を得るようなバルブリフト量(及びバルブ作動角)も決まるので、これを前記吸気バルブの目標バルブリフト量とし、実際の吸気バルブのバルブリフト量が前記目標バルブリフト量となるように可変バルブ機構を制御することで、可変動弁機構(可変バルブ機構)によるトルク制御(空気量制御)を精度よく実行できる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、バルブリフト量を固定したまま前記吸気バルブの開閉タイミングを可変する可変バルブタイミング機構を更に有する構成において、前記吸気バルブの閉弁タイミングに応じて前記吸気バルブの開口面積を補正するので、体積効率の変化を考慮しつつ、要求空気量を得るためのバルブ開口面積を精度よく算出できる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、機関回転速度に応じて前記吸気バルブの開口面積を補正するので、要求空気量を得るためのバルブ開口面積を精度よく算出できる。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、前記要求空気量が、アクセル開度と機関回転速度に基づいて設定されるので、前記可変バルブ機構により、運転者の要求に対応したトルク制御(空気量制御)が可能となる。
請求項5に係る発明によれば、可変バルブ機構は、アクチュエータによって制御軸の作動角を変化させることにより前記吸気バルブのバルブリフト量及びバルブ作動角を連続的に変化させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。
図1は、車両用内燃機関の構成図である。
図1において、内燃機関101の吸気通路102には、スロットルモータ103aでスロットルバルブ103bを開閉駆動する電子制御スロットル104が介装されており、該電子制御スロットル104及び吸気バルブ105を介して、燃焼室106内に空気が吸入される。
【0018】
燃焼排気は、燃焼室106から排気バルブ107を介して排出され、排気浄化触媒108により浄化された後、マフラー109を介して大気中に放出される。
前記排気バルブ107は、排気側カム軸110に軸支されたカム111によって一定のバルブリフト量及びバルブ作動角を保ったまま駆動されるが、吸気バルブ105は、可変バルブ機構(VEL)112によってバルブリフト量及びバルブ作動角が連続的に変えられるようになっている。
【0019】
また、吸気側カム軸113の端部には、クランク軸に対するカム軸の回転位相を変化させることでバルブリフト量を固定したままバルブの開閉タイミングを連続的に可変する公知の構成の可変バルブタイミング機構(VTC)114が設けられている。
マイクロコンピュータを内蔵するコントロールユニット(C/U)115には、アクセル開度センサAPS116、吸入空気量(質量流量)Qaを検出するエアフローメータ117、クランク軸から回転信号Neを取り出すクランク角センサ118、吸気側カム軸113の回転位置を検出するカムセンサ119、スロットルバルブ103bの開度TVOを検出するスロットルセンサ120、シリンダ内の燃焼圧を検出する燃焼圧センサ121等からの各種検出信号が入力される。
【0020】
そして、コントロールユニット(C/U)115は、前記クランク角センサ118及びカムセンサ119の検出信号に基づき、クランク軸に対する吸気側カム軸113の回転位相(VTCNOW)を検出して吸気バルブ105の開閉タイミングを検出すると共に、運転状態に応じて目標進角値又は遅角値(TRGVTC)を設定し、吸気側カム軸の回転位相が前記目標進角値又は遅角値(TRGVTC)となるよう可変バルブタイミング機構(VTC)114を制御することで吸気バルブ105の開閉タイミングを制御する。
【0021】
また、スロットルバルブ103bの開度及び吸気バルブ105の開特性によって、アクセル開度に対応する吸入空気量が得られるように、アクセル開度センサAPS116で検出されるアクセル開度APOに応じて前記電子制御スロットル104及び可変バルブ機構(VEL)112の駆動を制御する。
具体的には、前記可変バルブ機構(VEL)112によりバルブリフト量(及びバルブ作動角)を制御することで吸入空気量を制御しつつ、キャニスタパージ及びブローバイガスの処理のために一定の負圧(目標Boost:例えば−100mmHg)を発生させるようにスロットルバルブ103bの開度を制御する。
【0022】
但し、吸気負圧が要求ない運転条件では、スロットルバルブ103bを全開に保持して、可変バルブ機構(VEL)112のみで吸入空気量を制御する、いわゆるスロットルレス制御を行う。
ここで、前記可変バルブ機構(VEL)112の構造について説明する。
可変バルブ機構(VEL)は、図2〜図4に示すように、一対の吸気バルブ105、105と、シリンダヘッド11のカム軸受14に回転自在に支持された中空状のカム軸13と、該カム軸13に軸支された回転カムである2つの偏心カム15、15と、前記カム軸13の上方位置に同じカム軸受14に回転自在に支持された制御軸16と、該制御軸16に制御カム17を介して揺動自在に支持された一対のロッカアーム18、18と、各吸気バルブ105、105の上端部にバルブリフター19、19を介して配置された一対のそれぞれ独立した揺動カム20、20とを備えている。
【0023】
前記偏心カム15、15とロッカアーム18、18とは、リンクアーム25、25によって連係され、ロッカアーム18、18と揺動カム20、20とは、リンク部材26、26によって連係されている。
前記偏心カム15は、図5に示すように、略リング状を呈し、小径なカム本体15aと、該カム本体15aの外端面に一体に設けられたフランジ部15bとからなり、内部軸方向にカム軸挿通孔15cが貫通形成されていると共に、カム本体15aの軸心Xがカム軸13の軸心Yから所定量だけ偏心している。
【0024】
また、前記偏心カム15は、カム軸13に対し前記バルブリフター19に干渉しない両外側にカム軸挿通孔15cを介して圧入固定されていると共に、カム本体15aの外周面15dが同一のカムプロフィールに形成されている。
前記ロッカアーム18は、図4に示すように、略クランク状に屈曲形成され、中央の基部18aが制御カム17に回転自存に支持されている。
【0025】
また、基部18aの外端部に突設された一端部18bには、リンクアーム25の先端部と連結するピン21が圧入されるピン孔18dが貫通形成されている一方、基部18aの内端部に突設された他端部18cには、各リンク部材26の後述する一端部26aと連結するピン28が圧入されるピン孔18eが形成されている。
【0026】
前記制御カム17は、円筒状を呈し、制御軸16外周に固定されていると共に、図2に示すように軸心P1位置が制御軸16の軸心P2からαだけ偏心している。
前記揺動カム20は、図2及び図6、図7に示すように略横U字形状を呈し、略円環状の基端部22にカム軸13が嵌挿されて回転自在に支持される支持孔22aが貫通形成されていると共に、ロッカアーム18の他端部18c側に位置する端部23にピン孔23aが貫通形成されている。
【0027】
また、揺動カム20の下面には、基端部22側の基円面24aと該基円面24aから端部23端縁側に円弧状に延びるカム面24bとが形成されており、該基円面24aとカム面24bとが、揺動カム20の揺動位置に応じて各バルブリフター19の上面所定位置に当接するようになっている。
すなわち、図8に示すバルブリフト特性からみると、図2に示すように基円面24aの所定角度範囲θ1がベースサークル区間になり、また、カム面24bの前記ベースサークル区間θ1から所定角度範囲θ2が所謂ランプ区間となり、更に、カム面24bのランプ区間θ2から所定角度範囲θ3がリフト区間になるように設定されている。
【0028】
また、前記リンクアーム25は、円環状の基部25aと、該基部25aの外周面所定位置に突設された突出端25bとを備え、基部25aの中央位置には、前記偏心カム15のカム本体15aの外周面に回転自在に嵌合する嵌合穴25cが形成されている一方、突出端25bには、前記ピン21が回転自在に挿通するピン孔25dが貫通形成されている。
【0029】
なお、前記リンクアーム25と偏心カム15とによって揺動駆動部材が構成される。
更に、前記リンク部材26は、所定長さの直線状に形成され、円形状の両端部26a、26bには前記ロッカアーム18の他端部18cと揺動カム20の端部23の各ピン孔18d、23aに圧入した各ピン28、29の端部が回転自在に挿通するピン挿通孔26c、26dが貫通形成されている。
【0030】
なお、各ピン21、28、29の一端部には、リンクアーム25やリンク部材26の軸方向の移動を規制するスナップリング30、31、32が設けられている。
また、前記制御軸16は、図10に示すように、一端部に設けられたDCサーボモータ等のアクチュエータ201によって所定回転角度範囲内で回転駆動されるようになっており、前記制御軸16の作動角を前記アクチュエータ201で変化させることで、吸気バルブ105、105のバルブリフト量及びバルブ作動角が連続的に変化する(図9参照)。
【0031】
すなわち、図10において、アクチュエータ(DCサーボモータ)201の回転は、伝達部材202を介してネジ切り加工が施された軸103に伝達され、該軸203が通されたナット204の軸方向位置が変化する。
そして、制御軸16の先端の取り付けられ、その一端が前記ナット204に固定された一対のステー部材205a、205bにより制御軸16が回転する。
【0032】
なお、本実施形態では、図に示すように、ナット204の位置を前記伝達部材202に近づけることでバルブリフト量を小さくし、逆に、ナット204の位置を前記伝達部材202から遠ざけることでバルブリフト量を大きくする。
また、前記制御軸16の先端には、該制御軸16の作動角(VEL作動角)VELCOMを検出するポテンショメータ式の作動角センサ206(調整位置センサ)が設けられており、該作動角センサ206で検出される実際のVEL作動角VELCOMが、目標VEL作動角TGVELに一致するように、前記コントロールユニット(C/U)115が前記アクチュエータ(DCサーボモータ)201をフィードバック制御する。
【0033】
次に、前記コントロールユニット(C/U)115による可変バルブ機構(VEL)112の駆動制御について説明する。
図11に示すように、本実施形態におけるコントロールユニット(C/U)115は、目標体積流量演算部a、VEL目標作動角演算部b及び目標スロットル開度演算部cを含んで構成される。
【0034】
目標体積流量演算部aは、以下のようにして目標体積流量比TQH0STを算出する。
まず、アクセル開度APO及び機関回転速度Neに対応する(あるいは、アクセル開度APO及び機関回転速度Neに基づき設定される目標トルクが得られるような)要求空気量(機関要求空気量)Q0を算出する一方、アイドル回転速度制御(ISC)で要求されるISC要求空気量QISCを算出する。
【0035】
そして、前記機関要求空気量Q0にISC要求空気量QISCを加算して全要求空気量(吸入空気量)Q(=Q0+QISC)を算出し、これを機関回転速度Ne、排気量(シリンダ総容積)VOL#で順次除算することにより、目標体積流量比TQH0ST(=Q/(Ne・VOL#))を算出する。
VEL目標作動角演算部bは、以下のようにして目標VEL作動角TGVELを算出する。
【0036】
前記目標体積流量比TQH0STに対してBOOST補正(バルブ上流圧補正)を行った後、圧縮流体式をベースに、補正後の目標体積流量比TQH0VELをバルブ開口面積に変換する。具体的には、前記BOOST補正後の目標体積流量比TQH0VELと、実際のバルブリフト量(前記バルブ作動角VELCOM)に応じたバルブ流量損失係数Cdと、実際の吸気バルブの閉弁タイミング(REALIVC)に応じたバルブタイミング補正係数HOSIVCと、を用いてバルブ目標開口面積TVELAAを算出する。
【0037】
具体的な制御ブロック図を図12に示す。
図12において、まず、前記目標体積流量比TQH0STにバルブ上流圧補正を行うことにより、発生負圧を考慮した実目標体積流量比、換言すれば可変バルブ機構(VEL)112の駆動を制御することで確保すべき体積流量比(以下、VEL要求体積流量比という)TQH0VEL0に変換する(図12のA部)。
【0038】
かかる変換は、図に示すように、前記目標体積流量比TQH0STをバルブ上流圧補正値KMANIQH0で除算することにより行う。
なお、前記バルブ上流圧補正値KMANIQH0は、スロットルバルブ103bの開口面積Aを機関回転速度Ne、排気量VOL#で除算して得られる状態量AADNVに基づき、図に示すようにテーブルTQH0を検索して求める(図12のa1部)。
【0039】
次に、前記VEL要求体積流量比THQ0VEL0と最小体積流量比QH0LMTとをセレクトハイし、可変バルブ機構VEL112で実現すべき体積流量比(以下、VEL実現体積流量比という)TQH0VELを設定する(図12のB部)。
ここで、前記最小体積流量比QH0LMTは、VELのバルブ作動角が最小のときに可変バルブ機構(VEL)112によって実現可能な体積流量比であり、あらかじめ実験等により求めたものを設定しておく。
【0040】
なお、前記VEL要求体積流量比THQ0VEL0が、前記最小体積流量比QH0LMTを下回る場合は、該最小体積流量比QHOLMTが選択されることになるが、この場合、前記可変バルブ機構VEL112のみでは目標体積流量比TQH0STに制御できず(すなわち、トルク制御できず)、スロットルバルブ103bの開度制御を併用することになる(後述する目標スロットルバルブ演算部cの説明参照)。
【0041】
次に、前記VEL実現体積流量比TQH0VELを、以下のようにしてAA・Cd/NV(開口面積・損失係数/回転速度/排気量)特性に変換してVAACDNVを求める(図12のC部)。まず、吸気バルブ105を通過する空気流量(すなわち、シリンダ吸入空気量)Qcは、圧縮性流体の一次元定常流れの式より次式(1)、(2)のように表すことができる。
【0042】
【数1】
なお、R:気体定数(=287)、γ:比熱比(=1.4)、Cd:バルブ流量損失係数、VA:バルブ開口面積(m2)、P0:バルブ上流圧(例えば、吸気マニホールド部の圧力Pm)(Pa)、Pc:シリンダ内圧(Pa)、T0:バルブ上流温度(例えば、吸気マニホールド部の温度Tm)(K)である。
【0043】
前記VEL実現体積流量比TQH0VELは、吸気バルブ105を通過させる空気量を機関回転速度Ne、排気量VOL#で除算したものであるから、同様にして次式(3)、(4)のように表すことができる。
【0044】
【数2】
従って、バルブ上流温度T0、バルブ上流圧P0及びシリンダ内圧Pcを検出して、Cd・VA/(Ne・VOL#)を算出することでAA・Cd/NV特性に変換できる。
【0045】
但し、本実施形態では、図に示すようなテーブルTVAACDNVをあらかじめ作成しておき、前記VEL実現体積流量比TQH0VELの基づいてテーブル検索によりAA・Cd/NV特性への変換を行うようにしている。
なお、前記テーブルTAACDNVは、例えば以下のようにして作成する。
すなわち、前記VEL実現体積流量比TQH0VELは、非チョーク時においては、上記式(3)よりCd・VA/(Ne・VOL#)及びバルブ前後差圧比(Pc/P0)に応じた値として、チョーク時においては、上記式(4)よりCd・VA/(Ne・VOL#)に比例した値となることが判るので、シミュレーションや実験等によりTQH0VELとCd・VA/(Ne・VOL#)との相関を求めることで作成する。
【0046】
次に、VAACDNVに機関回転速度Ne、排気量VOL#を乗算してAA・CD(開口面積・損失係数;流量特性)TVELAACDに変換する(図12のD部、E部)。
次に、前記TVELAACDをバルブ流量損失係数Cdで除算して、基本バルブ開口面積TVELAA0を算出する(図12のF部)。
【0047】
ここで、バルブ流量損失係数Cdは、実際のバルブリフト量(すなわち、バルブ作動角)により異なるため、図に示すように、検出した実際のVEL作動角VELCOMに基づき、あらかじめ設定したテーブルTCDを検索することにより設定する(図12のf1部)。
また、前記バルブ流量損失係数Cdは流量に応じて変化するため、機関回転速度Neに応じて設定されるバルブ流量動的補正係数DHOSCDを乗算する(図12のG部)。
【0048】
該バルブ流量動的補正係数DHOSCDは、図に示すように、機関回転速度Neに基づき、あらかじめ設定したテーブルTDHOSCDを検索することにより設定する(図12のg1部)。
次に、前記基本バルブ開口面積TVELAA0に、吸気バルブの閉弁タイミングに応じたバルブタイミング補正係数HOSIVCを乗算してバルブの目標開口面積TVELAAを算出する(図12のH部)。
【0049】
これは、吸気バルブの閉弁タイミングによって変化する体積効率の変化に対応したバルブ開口面積を算出するためのものであり、前記バルブタイミング補正係数HOSIVCは、以下のようにして設定する。
まず、図に示すように、前記可変バルブタイミング機構(VTC)114が動作していないとき、すなわち、VTC最遅角時における吸気バルブの閉弁タイミングV0IVCを、バルブ作動角VELCOMに基づき、あらかじめ設定したテーブルTV0IVCを検索することにより求める(図12のh1部)。
【0050】
次に、吸気側カム軸の回転位相VTCNOWを、前記VTC最遅角時IVCから減算して実際の吸気バルブの閉弁タイミング(クランク角位置)REALIVCを求める(図12のh2部)。
そして、求めた実際の吸気バルブの閉弁タイミングREALIVCに基づき、図に示すようなテーブルTHOSIVCを検索してバルブタイミング補正係数HOSIVCを設定する(図12のh3部)。
【0051】
次に、算出したバルブの目標開口面積TVELAAに基づき、図に示すようなテーブルTTGVELを検索して目標VEL作動角TGVELを設定する(図12のI部)。
すなわち、バルブの開口面積からVEL作動角は一義的に求めることが可能であるので、前記テーブルTTGVELをあらかじめ設定しておくことで、容易に目標VEL作動角TGVELを設定できる。
【0052】
そして、前述したように、コントロールユニットC/U115は、実際のVEL作動角VELCOMが前記目標VEL作動角TGVELとなるように、アクチュエータ201を制御する。
目標スロットル開度演算部cは、負圧が要求されないとき目標スロットル開度を全開とし、一定の負圧(目標Boost)が要求されるときは目標Boostを確保する目標スロットル開度を設定する。
【0053】
また、前記VEL目標作動角演算部bにおいて最小体積流量比QH0LMTが選択されたとき(すなわち、可変バルブ機構(VEL)112によるトルク制御ができないとき)は、可変バルブ機構(VEL)112と協調して前記目標体積流量比TQH0STを実現する目標スロットル開度を演算する。
そして、電子制御スロットル104は、前記目標スロットル開度となるようにスロットルバルブ103bの開度を制御する。
【0054】
以上のように、基本的には、可変バルブ機構(VEL)112によるトルク制御(スロットルレス制御)を行う一方、所定の負圧を発生させるため、又は、可変バルブ機構(VEL)のみでは対応できない場合には、可変バルブ機構(VEL)112と電子制御スロットル104との協調制御を行う。
なお、前記可変バルブ機構は、上述した構成のものに限定するものではなく、他の構成によるものであってもよく、また、吸気バルブ105のみのバルブ作動特性を可変するものに限られず、排気バルブ107のバルブ作動特性についても吸気バルブ105と共に可変するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態における機関の構成図。
【図2】本発明の実施形態における可変バルブ機構VELの断面図(図3のA−A断面図)。
【図3】上記可変バルブ機構VELの側面図。
【図4】上記可変バルブ機構VELの平面図。
【図5】上記可変バルブ機構VELに使用される偏心カムを示す斜視図。
【図6】上記可変バルブ機構VELの低リフト時の作用を示す断面図(図3のB−B断面図)。
【図7】上記可変バルブ機構VELの高リフト時の作用を示す断面図(図3のB−B断面図)。
【図8】上記可変バルブ機構VELにおける揺動カムの基端面とカム面に対応したバルブリフト特性図。
【図9】上記可変バルブ機構VELのバルブタイミングとバルブリフトの特性図。
【図10】上記可変バルブ機構VELにおける制御軸の回転駆動機構を示す斜視図。
【図11】本実施形態におけるトルク制御を示す全体ブロック図。
【図12】VEL目標作動角TGVELの演算を示す制御ブロック図。
【符号の説明】
13 カム軸
15 偏心カム(揺動駆動部材)
16 制御軸
17 制御カム
18 ロッカアーム
20 揺動カム
25 リンクアーム(揺動駆動部材)
101 内燃機関
104 電子制御スロットル
105 吸気バルブ
112 可変バルブ機構(VEL)
114 可変バルブタイミング機構(VTC)
115 コントロールユニット(C/U)
116 アクセル開度センサ
117 エアフローメータ
118 クランク角センサ
119 カムセンサ
120 スロットルセンサ
121 燃焼圧センサ
201 アクチュエータ(DCサーボモータ)
206 作動角センサ
Claims (5)
- 内燃機関の吸気バルブのバルブリフト量及びバルブ作動角を可変する可変バルブ機構を有する可変動弁機構の制御装置であって、
機関の運転状態に応じた要求空気量を設定する要求空気量設定手段と、
前記要求空気量を機関回転速度及びシリンダ容積で除算して目標体積流量比を算出する目標体積流量比算出手段と、
前記目標体積流量比を前記吸気バルブの開口面積に変換し、変換した開口面積に基づいて前記吸気バルブの目標バルブリフト量を設定する目標バルブリフト量設定手段と、
前記吸気バルブのバルブリフト量が前記目標バルブリフト量となるように前記可変バルブ機構の駆動を制御する可変バルブ機構駆動手段と、
を備え、
前記目標バルブリフト量設定手段は、前記吸気バルブの実バルブリフト量に応じて流量損失係数を設定すると共に、前記目標体積流量比を前記吸気バルブの開口面積に変換する際に前記設定した流量損失係数を用いることを特徴とする可変動弁機構の制御装置。 - 前記可変動弁機構は、バルブリフト量を固定したまま前記吸気バルブの開閉タイミングを可変する可変バルブタイミング機構を有し、
前記吸気バルブの閉弁タイミングに応じて前記吸気バルブ開口面積を補正する第1開口面積補正手段を備えることを特徴とする請求項1記載の可変動弁機構の制御装置。 - 機関回転速度に応じて前記吸気バルブの開口面積を補正する第2開口面積補正手段を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の可変動弁機構の制御装置。
- 前記要求空気量設定手段は、アクセル開度及び機関回転速度に基づいて前記要求空気量を設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の可変動弁機構の制御装置。
- 前記可変バルブ機構は、
クランク軸に同期して回転する駆動軸と、
該駆動軸の固定された駆動カムと、
揺動することで前記吸気バルブを開閉作動する揺動カムと、
一端で前記駆動カム側と連係し他端で前記揺動カム側と連係する伝達機構と、
該伝達機構の姿勢を変化させる制御カムを有する制御軸と、
該制御軸を回動するアクチュエータと、を含んで構成され、
前記アクチュエータによって前記制御軸を回動制御することにより前記吸気バルブのバルブリフト量及びバルブ作動角を可変することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の可変動弁装置の制御装置。
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