JP4073854B2 - 中空部を有する成形品の射出成形方法 - Google Patents

中空部を有する成形品の射出成形方法 Download PDF

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本発明は、中空部を有する成形品の射出成形方法での使用に適した金型組立体、及び、係る金型組立体を使用した中空部を有する成形品の射出成形方法に関する。
溶融熱可塑性樹脂を用いて射出成形法により成形品を成形する際、ヒケや反りのない外観の美麗な成形品を得るために、キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂内に加圧流体を導入して、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂の内部に中空部を形成し、型開きの前に中空部内の加圧流体を大気中に解放する、中空部を有する成形品の射出成形方法が広く用いられている。キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂内に導入された加圧流体によって、溶融熱可塑性樹脂が金型のキャビティ面に押し付けられる結果、得られる成形品にヒケや反りが発生することを防止し得る。
このような従来の中空部を有する成形品の射出成形方法には、以下に説明する問題点がある。即ち、キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させた後に中空部内の加圧流体を大気中に解放するとき、短時間で解放することが困難である。また、キャビティ内の熱可塑性樹脂の内部に形成された中空部はほぼ断熱状態となる。その結果、キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させるために長時間を要する。
これらの問題点を解決するための方策が、例えば、特開平11−314253、特開2002−187158、特開2001−232656から周知である。
特開平11−314253に開示された熱可塑性樹脂のガス射出成形用金型は、キャビティ型、コア型、及び、キャビティ型とコア型との間に形成され溶融樹脂が充填される製品キャビティ部から構成され、樹脂ゲートと、ガスゲートと、溶融樹脂の最終充填部に設けられた樹脂溜まり部を有する。そして、ガスゲートと樹脂溜まり部との間にガス放出機構が設けられている。このガス放出機構は、具体的には、撃ち抜きピン12から構成されている。
特開2002−187158に開示された技術にあっては、溶融樹脂を主キャビティ内に一定量充填した後、この主キャビティ内の溶融樹脂の肉厚中にガスを注入してこのガス圧により溶融樹脂中に中空部を形成すると同時に、主キャビティ内からオーバーフローキャビティ側に溶融樹脂の一部を押し出し、更に、このオーバーフローキャビティ側に押し出した溶融樹脂中に到達するようにガスを注入して中空部を主キャビティ内からオーバーフローキャビティ内に連続して形成する。そして、注入したガス圧を保持しながら溶融樹脂の硬化を進行させ、次に、オーバーフローキャビティの一部を開放することにより、このオーバーフローキャビティ内を減圧する。そして、この減圧作用を利用して、オーバーフローキャビティにおいて樹脂層を破裂させ、この破裂口からオーバーフローキャビティ内の中空部を経由して成形品内の中空部内及びガス供給路内の残留ガスを金型外に排出する。
特開2001−232656に開示された技術にあっては、流体の除去手段である放出ノズル13が開示されている。
特開平11−314253 特開2002−187158 特開2001−232656
しかしながら、特開平11−314253に開示された技術にあっては、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂の粘度が低いときに撃ち抜きピン12によってガス放出口を形成した場合、ガス放出口の大きさにばらつきが生じ、中空部からのガス放出時間が一定では無くなり、最悪の場合、ガス放出口が閉塞されてしまい、中空部からのガス放出が出来なくなる虞がある。
また、特開2002−187158に開示された技術にあっては、金型の構造が非常に複雑であるといった問題を有するし、特開2001−232656に開示された技術にあっては、流体の除去手段である放出ノズル13が開示されているものの、放出ノズル13の具体的な開示は認められない。
従って、本発明の第1の目的は、複雑な構造、構成を要することなく、キャビティ内の熱可塑性樹脂が冷却、固化した後、中空部内の加圧流体を短時間で排出することを可能とする金型組立体、及び、係る金型組立体を使用した中空部を有する成形品の射出成形方法を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、キャビティ内に射出された熱可塑性樹脂を冷却、固化させるのに長時間を必要としない構造を有する金型組立体、及び、係る金型組立体を使用した中空部を有する成形品の射出成形方法を提供することにある。
上記の第1の目的を達成するための本発明の金型組立体は、
(A)第1の金型部、
(B)第2の金型部、
(C)第1の金型部と第2の金型部とを型締めすることで形成されるキャビティ、
(D)キャビティに開口した溶融樹脂射出部、並びに、
(E)加圧流体源に接続された加圧流体導入部、
を備え、溶融樹脂射出部を介してキャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の内部に加圧流体源から加圧流体導入部を介して加圧流体を導入し、以て、内部に中空部が形成された熱可塑性樹脂製の成形品を成形する射出成形方法に用いられる金型組立体であって、
キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の流動方向の末端に相当する第2の金型部の部分には、キャビティに連通し、キャビティから溶融熱可塑性樹脂が部分的に流入する凹部が形成されており、
溶融熱可塑性樹脂が到達しない該凹部の部分には、該凹部に開口し、且つ、外部に連通した加圧流体排出部が設けられていることを特徴とする。
尚、キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の流動方向の末端に相当する第2の金型部の部分には凹部が形成されているが、この凹部が形成された部位は、溶融熱可塑性樹脂の流動方向の厳密に末端に相当する第2の金型部の部分でなくともよい。即ち、溶融熱可塑性樹脂の流動方向の末端近傍に相当する第2の金型部の部分であってもよい。後述する本発明の中空部を有する成形品の射出成形方法における金型組立体においても同様である。
本発明の金型組立体において、上記の第2の目的を達成するために、更には、加圧流体の使用効率の向上のために、加圧流体排出部と加圧流体導入部とを結ぶ加圧流体循環手段を有する構成とすることが望ましい。このような本発明の金型組立体を、本発明の第1の態様に係る金型組立体と呼ぶ。
あるいは又、本発明の金型組立体において、上記の第2の目的を達成するために、更には、加圧流体の使用効率の向上のために、加圧流体排出部の下流に加圧流体保存容器を備えている構成とすることが望ましい。このような本発明の金型組立体を、本発明の第2の態様に係る金型組立体と呼ぶ。あるいは又、本発明の金型組立体において、加圧流体排出部の下流に開閉弁を備えていることが望ましい。このような本発明の金型組立体を、本発明の第3の態様に係る金型組立体と呼ぶ。
上記の第1及び第2の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る中空部を有する成形品の射出成形方法(以下、本発明の第1の態様に係る射出成形方法と呼ぶ)は、本発明の第1の態様に係る金型組立体を使用した射出成形方法である。即ち、
(A)第1の金型部、
(B)第2の金型部、
(C)第1の金型部と第2の金型部とを型締めすることで形成されるキャビティ、
(D)キャビティに開口した溶融樹脂射出部、並びに、
(E)加圧流体源に接続された加圧流体導入部、
を備え、
キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の流動方向の末端に相当する第2の金型部の部分には、キャビティに連通し、キャビティから溶融熱可塑性樹脂が部分的に流入する凹部が形成されており、
溶融熱可塑性樹脂が到達しない該凹部の部分には、該凹部に開口し、且つ、外部に連通した加圧流体排出部が設けられており、
加圧流体排出部と加圧流体導入部とを結ぶ加圧流体循環手段を有する金型組立体を用い、
(a)加圧流体循環手段を不作動状態として、キャビティ内に溶融樹脂射出部を介して溶融熱可塑性樹脂を射出する工程と、
(b)溶融熱可塑性樹脂の射出中、射出完了と同時、あるいは、射出完了後、加圧流体循環手段を不作動状態としたまま、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂の内部に加圧流体源から加圧流体導入部を介して加圧流体を導入し、以て、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂の内部に中空部を形成し、更には、該中空部と加圧流体排出部とを連通させる工程と、
(c)加圧流体源からの加圧流体の導入を中止し、加圧流体循環手段を作動状態として、加圧流体循環手段から加圧流体導入部を介して中空部へ加圧流体を流し、加圧流体排出部から加圧流体循環手段へと加圧流体を戻しながら、キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させる工程と、
(d)加圧流体循環手段を不作動状態として、中空部内の加圧流体を加圧流体排出部から排出した後、第1の金型部と第2の金型部とを型開きし、成形品を取り出す工程、
から成ることを特徴とする。
本発明の第1の態様に係る射出成形方法にあっては、加圧流体導入部の構造、構成にも依るが、上記工程(c)において、加圧流体排出部から中空部へ加圧流体を流し、加圧流体導入部から加圧流体を排出しながら、キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させてもよく、このような工程も、本発明の中空部を有する成形品の射出成形方法に包含される。また、加圧流体導入部の構造にも依るが、上記工程(d)において、中空部内の加圧流体を、加圧流体排出部からだけでなく、加圧流体導入部からも排出してもよい。
本発明の第1の態様に係る金型組立体においては、加圧流体循環手段に冷却手段が備えられている構成とすることができる。また、本発明の第1の態様に係る射出成形方法においては、前記工程(c)において、加圧流体導入部に導入される加圧流体を加圧流体循環手段にて冷却することが望ましい。具体的には、加圧流体と冷却媒体との間で熱交換を行い加圧流体を冷却させることが、キャビティ内の熱可塑性樹脂を一層短時間にて冷却、固化させるといった観点から望ましい。より具体的には、例えば、ラジエータのようにフィンを多く有する配管中を加圧流体を通過させ、フィンの熱を室温の空気、水、油等を介して放熱させ、あるいは又、冷凍装置で冷却された冷却媒体で加圧流体を冷却すればよい。
あるいは又、本発明の第1の態様に係る金型組立体においては、加圧流体循環手段に圧力調整弁が備えられている構成とすることができる。また、本発明の第1の態様に係る射出成形方法においては、前記工程(c)において、加圧流体導入部に導入される加圧流体の圧力を加圧流体循環手段にて制御することが望ましい。より具体的には、例えば、加圧流体排出部の下流に圧力調整弁を配置し、この圧力調整弁を介して加圧流体を循環させればよい。このように、加圧流体導入部に導入される加圧流体圧力を制御することで、成形品にヒケや反り等を生じることを確実に防止することができる。加圧流体の圧力が低すぎる場合には、成形品の肉厚部においてヒケが生じ易くなり、加圧流体の圧力が余りに高すぎる場合には、反りが生じ易くなる。最適な加圧流体の圧力は、成形品の形状や使用する材料によって適宜決定すればよい。
あるいは又、本発明の第1の態様に係る金型組立体においては、加圧流体循環手段に流量調整弁が備えられている構成とすることができる。また、本発明の第1の態様に係る射出成形方法においては、前記工程(c)において、加圧流体導入部に導入される加圧流体の流速を加圧流体循環手段にて制御することが望ましい。具体的には、例えば、加圧流体排出部の下流に流量調整弁を配置し、この流量調整弁を介して加圧流体を循環させればよい。このように、加圧流体導入部に導入される加圧流体の流速を制御することで、中空部内において必要とされる加圧流体保持時間(加圧流体滞留時間)を確保することができ、且つ、成形品内部での加圧流体と溶融熱可塑性樹脂との間の熱交換の状態を制御することができる。そして、これによって、成形品の形状精度の向上を図ることができる。加圧流体循環手段における加圧流体の供給能力、必要とされる加圧流体保持時間(加圧流体滞留時間)等に基づき、加圧流体の排出速度、即ち、流量調整弁における加圧流体の流量を決定すればよい。
本発明の第1の態様に係る金型組立体あるいは射出成形方法における加圧流体循環手段の構成の一例として、加圧流体バッファタンクと加圧流体導入部とを配管で結び、この配管の途中に、循環用コンプレッサ、開閉弁を設け、加圧流体バッファタンクからこれらを経由して加圧流体導入部へと加圧流体を導入し、一方、加圧流体排出部と加圧流体バッファタンクとを配管で結び、この配管の途中に、開閉弁、減圧弁を設け、加圧流体排出部からこれらを経由して加圧流体バッファタンクへと加圧流体を戻す構成を挙げることができる。尚、循環用コンプレッサと開閉弁との間に冷却手段を設けてもよい。また、加圧流体排出部と加圧流体バッファタンクとを結ぶ配管において、開閉弁と減圧弁との間に圧力調整弁や流量調整弁を配置してもよい。
上記の第1及び第2の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る中空部を有する成形品の射出成形方法(以下、本発明の第2の態様に係る射出成形方法と呼ぶ)は、本発明の第2の態様に係る金型組立体を使用した射出成形方法である。即ち、
(A)第1の金型部、
(B)第2の金型部、
(C)第1の金型部と第2の金型部とを型締めすることで形成されるキャビティ、
(D)キャビティに開口した溶融樹脂射出部、並びに、
(E)加圧流体源に接続された加圧流体導入部、
を備え、
キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の流動方向の末端に相当する第2の金型部の部分には、キャビティに連通し、キャビティから溶融熱可塑性樹脂が部分的に流入する凹部が形成されており、
溶融熱可塑性樹脂が到達しない該凹部の部分には、該凹部に開口し、且つ、外部に連通した加圧流体排出部が設けられており、
加圧流体排出部の下流に加圧流体保存容器を備えている金型組立体を用い、
(a)キャビティ内に溶融樹脂射出部を介して溶融熱可塑性樹脂を射出する工程と、
(b)溶融熱可塑性樹脂の射出中、射出完了と同時、あるいは、射出完了後、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂の内部に加圧流体源から加圧流体導入部を介して加圧流体を導入し、以て、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂の内部に中空部を形成し、更には、該中空部と加圧流体排出部とを連通させる工程と、
(c)加圧流体源から加圧流体導入部を介して中空部へ加圧流体を流し、加圧流体排出部から加圧流体を排出し、排出された加圧流体を加圧流体保存容器に保存しながら、キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させる工程と、
(d)加圧流体源からの加圧流体の導入を中止し、中空部内の加圧流体を加圧流体排出部から排出した後、第1の金型部と第2の金型部とを型開きし、成形品を取り出す工程、
から成ることを特徴とする。
本発明の第2の態様に係る金型組立体あるいは射出成形方法において、加圧流体排出部と加圧流体保存容器との間に圧力調整弁や流量調整弁を配置してもよい。圧力調整弁を配置することで、加圧流体導入部に導入される加圧流体圧力を制御することができる結果、中空部内の圧力制御を行うことができるので、成形品にヒケや反り等を生じることを確実に防止することができる。加圧流体の圧力が低すぎる場合には、成形品の肉厚部においてヒケが生じ易くなり、加圧流体の圧力が余りに高すぎる場合には、反りが生じ易くなる。最適な加圧流体の圧力は、成形品の形状や使用する材料によって適宜決定すればよい。また、流量調整弁を配置することで、中空部内において必要とされる加圧流体保持時間(加圧流体滞留時間)を確保することができ、且つ、成形品内部での加圧流体と溶融熱可塑性樹脂との間の熱交換の状態を制御することができる。これによって、成形品の形状精度の向上を図ることができる。必要とされる加圧流体保持時間(加圧流体滞留時間)等に基づき、加圧流体の排出速度、即ち、流量調整弁における加圧流体の流量を決定すればよい。尚、加圧流体保存容器に保存された加圧流体は、最終的に加圧流体源に搬送して、再度、使用すればよい。また、加圧流体導入部の構造にも依るが、上記工程(d)において、中空部内の加圧流体を、加圧流体排出部からだけでなく、加圧流体導入部からも排出してもよい。
上記の第1の目的を達成するための本発明の第3の態様に係る中空部を有する成形品の射出成形方法(以下、本発明の第3の態様に係る射出成形方法と呼ぶ)は、本発明の第3の態様に係る金型組立体を使用した射出成形方法である。即ち、
(A)第1の金型部、
(B)第2の金型部、
(C)第1の金型部と第2の金型部とを型締めすることで形成されるキャビティ、
(D)キャビティに開口した溶融樹脂射出部、並びに、
(E)加圧流体源に接続された加圧流体導入部、
を備え、
キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の流動方向の末端に相当する第2の金型部の部分には、キャビティに連通し、キャビティから溶融熱可塑性樹脂が部分的に流入する凹部が形成されており、
溶融熱可塑性樹脂が到達しない該凹部の部分には、該凹部に開口し、且つ、外部に連通した加圧流体排出部が設けられており、
加圧流体排出部の下流に開閉弁を備えている金型組立体を用い、
(a)キャビティ内に溶融樹脂射出部を介して溶融熱可塑性樹脂を射出する工程と、
(b)溶融熱可塑性樹脂の射出中、射出完了と同時、あるいは、射出完了後、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂の内部に加圧流体源から加圧流体導入部を介して加圧流体を導入し、以て、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂の内部に中空部を形成し、更には、該中空部と加圧流体排出部とを連通させる工程と、
(c)加圧流体源からの加圧流体の導入を継続し、キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させる工程と、
(d)加圧流体源からの加圧流体の導入を中止し、中空部内の加圧流体を加圧流体排出部から排出した後、第1の金型部と第2の金型部とを型開きし、成形品を取り出す工程、
から成り、
前記工程(b)において、中空部と加圧流体排出部とを連通させる直前に開閉弁は閉状態にあり、
前記工程(c)において、開閉弁は閉状態のままであり、
前記工程(d)において、開閉弁を開状態とすることで、中空部内の加圧流体を加圧流体排出部から排出することを特徴とする。
本発明の第3の態様に係る射出成形方法においては、前記工程(a)、及び、前記工程(b)において中空部と加圧流体排出部とを連通させるまで開閉弁を閉状態としておいてもよいが、前記工程(a)、及び、前記工程(b)において中空部と加圧流体排出部とを連通させる直前までは開閉弁を開状態としておくことが、キャビティ内における溶融熱可塑性樹脂の円滑なる流れを妨げないといった観点から好ましい。尚、「直前」という時間的長さは、成形品の大きさや使用する熱可塑性樹脂等によって変化するが、例えば、一例として、前記工程(b)において中空部と加圧流体排出部とが連通する時点の0.1秒前乃至1.0秒前を挙げることができる。尚、加圧流体導入部の構造にも依るが、上記工程(d)において、中空部内の加圧流体を、加圧流体排出部からだけでなく、加圧流体導入部からも排出してもよい。
上述の各種の好ましい態様や形態を含む本発明の金型組立体、あるいは又、上述の各種の好ましい形態を含む本発明の第1の態様〜第3の態様に係る射出成形方法(以下、これらを総称して、単に、本発明と呼ぶ場合がある)において、キャビティは、成形品を成形する成形品キャビティ部から構成されている形態とすることができ、あるいは又、キャビティは、成形品を成形する成形品キャビティ部、及び、該成形品キャビティ部に連通したオーバーフローキャビティ部から構成されており、前記凹部は、該オーバーフローキャビティ部に設けられている形態とすることができる。尚、成形品キャビティ部とオーバーフローキャビティ部との間に開閉可能な弁機構を配置してもよく、これによって、溶融熱可塑性樹脂のオーバーフローキャビティ部への流入を正確に制御することができる。
以上の各種の好ましい形態を含む本発明において、凹部は円筒状であり、加圧流体排出部が設けられた凹部の部分の直径をD、凹部の深さをHとしたとき、H/Dの値は1.2以上、好ましくは2以上、より好ましくは5以上である構成とすることができる。尚、円筒状の凹部は、その直径が、キャビティから離れるほど、小さくなるような構成とすることが、第1の金型部と第2の金型部とを型開きして成形品を容易に取り出すために、好ましい。軸線方向と直角の方向で凹部を切断したときの凹部の形状が、上述のように円形ではない場合、かかる断面の面積と等しい円の直径(D’)を計算から求める。そして、H/D’の値が1.2以上、好ましくは2以上、より好ましくは5以上である構成とすればよい。
以上の各種の好ましい形態を含む本発明においては、加圧流体導入部を、第1の金型部に配置してもよいし、第2の金型部に配置してもよいし、第1の金型部及び第2の金型部に配置してもよい。より具体的には、金型組立体への加圧流体導入部の配設例として、
(1)加圧流体導入部の先端部が、キャビティ内、あるいは金型部のキャビティ面近傍に配置されるように、加圧流体導入部を第1の金型部、あるいは、第2の金型部、あるいは、第1の金型部及び第2の金型部に配設する構成
(2)加圧流体導入部の先端部が溶融樹脂射出部内に配置されるように、加圧流体導入部を配設する構成
(3)金型組立体は射出用シリンダーを備えた射出成形機に取り付けられており、射出用シリンダーと溶融樹脂射出部とは樹脂流路を介して連通しており、加圧流体導入部の先端部が射出用シリンダーの先端部(ノズル部)に配置されるように、加圧流体導入部を配設する構成
(4)射出用シリンダーと溶融樹脂射出部とを結ぶ樹脂流路に加圧流体導入部の先端部が配置されるように、加圧流体導入部を配設する構成
を挙げることができる。
加圧流体導入部は、例えば配管を介して加圧流体源に接続されている。この配管の途中には、開閉弁を設けておくことが望ましい。
キャビティが成形品キャビティ部から構成されている場合、キャビティ内に射出すべき溶融熱可塑性樹脂の量は、キャビティを完全には充填しない量とすることが好ましい。また、キャビティが成形品キャビティ部及びオーバーフローキャビティ部から構成されている場合、キャビティ内に射出すべき溶融熱可塑性樹脂の量は、成形品キャビティ部を完全には充填しない量であってもよいし、成形品キャビティ部を完全に充填するが、オーバーフローキャビティ部を完全には充填しない量であってもよい。要は、キャビティ内に射出すべき溶融熱可塑性樹脂の量を、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂の内部に加圧流体導入部を介して加圧流体を導入したとき、第2の金型部の部分に設けられた凹部に溶融熱可塑性樹脂が部分的に流入し、しかも、加圧流体排出部が設けられた凹部の部分には溶融熱可塑性樹脂が到達しないような量とすればよい。更には、このような状態が達成できるように、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂の内部への加圧流体の導入を制御すればよい。
キャビティに開口した溶融樹脂射出部の数、キャビティに連通した加圧流体導入部の数、凹部の数の組合せを以下の表1に例示するが、これらに限定するものではなく、例えば、溶融樹脂射出部を複数とすることもできる。尚、成形品は1個取りであってもよいし、多数個取りであってもよい。
[表1]
ケース A B C D
溶融樹脂射出部 1 1 1 1
加圧流体導入部 1 複数 複数 1
凹部 1 1 複数 複数
加圧流体は、常温及び常圧で気体の物質であり、使用する熱可塑性樹脂と反応や混合しないものが望ましい。具体的には、窒素ガス、空気、炭酸ガス、ヘリウム等が挙げられるが、安全性及び経済性を考慮すると、窒素ガスやヘリウムガスが好ましい。
第1の金型部や第2の金型部は、炭素鋼、ステンレス鋼、アルミニウム合金、銅合金等の周知の金属材料から作製することができる。
溶融樹脂射出部(具体的には、ゲート部)の構造は、公知の如何なる形式のゲート構造とすることもでき、例えば、ダイレクトゲート構造、サイドゲート構造、ジャンプゲート構造、ピンポイントゲート構造、トンネルゲート構造、リングゲート構造、ファンゲート構造、ディスクゲート構造、フラッシュゲート構造、タブゲート構造、フィルムゲート構造を例示することができる。加圧流体導入部は、例えば、先端部に逆止弁が配設された周知のガス注入ノズルとすることができる。
本発明での使用に適した樹脂として、結晶性熱可塑性樹脂や非晶性熱可塑性樹脂を挙げることができ、具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミドMXD6等のポリアミド系樹脂;ポリオキシメチレン(ポリアセタール,POM)樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂等のポリエステル系樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AS樹脂といったスチレン系樹脂;メタクリル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;変性ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリアミドイミド樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリエステルカーボネート樹脂;液晶ポリマーを例示することができる。
更には、ポリマーアロイ材料から成る熱可塑性樹脂を用いることができる。ここで、ポリマーアロイ材料は、少なくとも2種類の熱可塑性樹脂をブレンドしたもの、又は、少なくとも2種類の熱可塑性樹脂を化学的に結合させたブロック共重合体若しくはグラフト共重合体から成る。ポリマーアロイ材料は、単独の熱可塑性樹脂のそれぞれが有する特有な性能を合わせ持つことができる高機能材料として広く使用されている。少なくとも2種類の熱可塑性樹脂をブレンドしたポリマーアロイ材料を構成する熱可塑性樹脂として、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AS樹脂といったスチレン系樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;メタクリル樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミドMXD6等のポリアミド系樹脂;変性PPE樹脂;ポリブチレンテレフタレート樹脂やポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂;ポリオキシメチレン樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリイミド樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリエステルカーボネート樹脂を挙げることができる。2種類の熱可塑性樹脂をブレンドしたポリマーアロイ材料として、ポリカーボネート樹脂とABS樹脂とのポリマーアロイ材料を例示することができる。尚、このような樹脂の組合せを、ポリカーボネート樹脂/ABS樹脂と表記する。以下においても同様である。更に、少なくとも2種類の熱可塑性樹脂をブレンドしたポリマーアロイ材料として、ポリカーボネート樹脂/PET樹脂、ポリカーボネート樹脂/PBT樹脂、ポリカーボネート樹脂/ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂/PBT樹脂/PET樹脂、変性PPE樹脂/HIPS樹脂、変性PPE樹脂/ポリアミド系樹脂、変性PPE樹脂/PBT樹脂/PET樹脂、変性PPE樹脂/ポリアミドMXD6樹脂、ポリオキシメチレン樹脂/ポリウレタン樹脂、PBT樹脂/PET樹脂を例示することができる。
尚、以上に説明した各種の熱可塑性樹脂に、添加剤や、充填剤、強化剤を加えることもできる。
尚、添加剤として、可塑剤;安定剤;酸化防止剤:紫外線吸収剤;ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド等の有機ニッケル化合物、ヒンダードアミン系化合物等の紫外線安定剤;帯電防止剤;難燃剤;バイナジン、プリベントール、チアベンダゾール等の防かび剤;流動パラフィン、ポリエチレンワックス、脂肪酸アマイド等の滑剤;ADCA等の有機発泡剤;透明核剤;有機顔料、無機顔料といった各種の着色剤;架橋剤;アクリルグラフトポリマー、MBS等の耐衝撃強化剤を挙げることができる。
可塑剤として、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジシクロヘキシル等のフタル酸類;リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、リン酸トリクレシル、リン酸トリフェニル等のリン酸エステル類;オレイン酸ブチル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸−n−ヘキシン、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル等の脂肪酸塩基エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエート等のアルコールエステル類;クエン酸アセチルトリエチル、マレイン酸ジブチル等のオキシ酸エステル類;トリメリット系可塑剤;ポリエステル系可塑剤;エポキシ系可塑剤;塩化パラフィン系可塑剤を挙げることができる。
安定剤として、ジ−n−オクチルスズ化合物、ジ−n−ブチルスズ化合物、ジメチルスズ化合物等の有機スズ系安定剤;三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、ケイ酸鉛等の鉛化合物系安定剤;カドミウム石けん、鉛石けん、亜鉛石けん等の金属石けん系安定剤;リン酸トリスノニル;リン酸トリスノニルフェニル等を挙げることができる。
酸化防止剤として、ジブチルクレゾール、ブチルヒドロキシアニソール等のフェノール系酸化防止剤;メチレンビス(メチルブチルフェノール)、チオビス(メチルブチルフェノール)等のビスフェノール系酸化防止剤;トリス(メチルヒドロキシブチルフェニル)ブタン、トコフェノール等のポリフェノール系酸化防止剤;ジミリスチルチオジプロピオネート等の有機イオウ化合物;トリス(モノ/ジノニルフェニル)ホスファイト等の有機リン化合物を挙げることができる。
紫外線吸収剤として、サリチル酸フェニル、サリチル酸ブチルフェニル等のサリチル酸系紫外線吸収剤;ジヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;(ヒドロキシメチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;アクリル酸エチルヘキシルシアノジフェノニル等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤を挙げることができる。
帯電防止剤として、ポリ(オキシエチレン)アルキルアミン、ポリ(オキシエチレン)アルキルフェニルエーテル等の非イオン界面活性剤系帯電防止剤;アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩等の陰イオン界面活性剤系帯電防止剤;第4級アンモニウムクロライド等の陽イオン界面活性剤系帯電防止剤;両性系界面活性剤;電導性樹脂を挙げることができる。
難燃剤として、テトラブロモビスフェノールA、ポリブロモビフェノール、ビス(ヒドロキシジブロモフェニル)プロパン、塩化パラフィン等のハロゲン系難燃剤;リン酸アンモニウム、リン酸トリクレジル等のリン系難燃剤;三酸化アンチモン;赤リン;酸化スズ等を挙げることができる。
また、充填剤、強化剤として、無機系材料;ステンレス鋼繊維、高強度アモルファス金属繊維、ステンレス箔、スチール箔、銅箔等の金属系材料;高分子ポリエチレン繊維、高強力ポリアレート繊維、パラ系全芳香族ポリアミド繊維、アラミド繊維、PEEK繊維、PEI繊維、PPS繊維、フッ素樹脂繊維、フェノール樹脂繊維、ビニロン繊維、ポリアセタール繊維等の有機系材料;粉系材料を挙げることができる。
ここで、無機系の充填剤、強化剤として、ガラス繊維、ガラス長繊維、石英ガラス繊維等のガラス系材料;PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、グラファイトウィスカ等の炭素系材料;炭化ケイ素繊維、炭化ケイ素連続繊維、炭化ケイ素ウィスカ、炭化ケイ素ウィスカシート等の炭化ケイ素系材料;ボロン繊維といったボロン系材料;Si−Ti−C−O繊維といったSi−Ti−C−O系材料;チタン酸カリウム繊維、チタン酸カリウムウィスカ、チタン酸カリウム系導電性ウィスカ等のチタン酸カリウム系材料;窒化ケイ素ウィスカ、窒化ケイ素ウィスカシート等の窒化ケイ素系材料;硫酸カルシウムウィスカといった硫酸カルシウム系材料を挙げることができる。
また、粉系の充填剤、強化剤として、マイカフレーク、マイカ粉、シラスバルーン、シリカ微粉、タルク粉、水酸化アルミニウム粉、水酸化マグネシウム粉末、マグネシウムシリケート粉末、硫酸カルシウム微粉、球状中空ガラス粉、金属化粉、高純度合成シリカ微粉、二硫化タングステン粉末、タングステンカーバイト粉、ジルコニア微粉、ジルコニア系微粉末、部分安定化ジルコニア粉末、アルミナ−ジルコニア複合粉末、複合金属粉末、鉄粉、アルミニウム粉、モリブデン金属粉、タングステン粉、窒化アルミニウム粉末、ナイロン微粒子粉、シリコーン樹脂微粉末、スピネル粉末、アモルファス合金粉末、アルミフレーク、ガラスフレークを挙げることができる。
本発明の金型組立体、あるいは、本発明第1の態様〜第3の態様に係る中空部を有する成形品の射出成形方法での使用に適した金型組立体にあっては、キャビティ内における溶融熱可塑性樹脂の流動方向の末端に相当する第2の金型部の部分に、キャビティに連通し、キャビティから溶融熱可塑性樹脂が部分的に流入する凹部が形成されている。そして、溶融熱可塑性樹脂が到達しないこの凹部の部分には、この凹部に開口し、且つ、外部に連通した加圧流体排出部が設けられている。従って、溶融熱可塑性樹脂の射出中、射出完了と同時、あるいは、射出完了後、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂の内部に加圧流体導入部を介して加圧流体を導入したとき、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂の内部に中空部が形成され、この中空部は溶融熱可塑性樹脂の流動方向の末端に向かって延びていく。同時に、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂は、その内部に加圧流体が導入される結果、流動方向の末端に向かって流動し、一部が凹部の一部分に流入する。但し、凹部内の溶融熱可塑性樹脂は、凹部に開口した加圧流体排出部を閉塞することはない。そして、溶融熱可塑性樹脂の流動方向の末端あるいはその近傍で(具体的には、凹部内において)、最終的に、中空部は熱可塑性樹脂層を突き破り(即ち、中空部が破裂し)、凹部内において中空部と加圧流体排出部とは連通状態となる。このように、キャビティに連通した凹部、及び、凹部に加圧流体排出部を設けるといった比較的簡単な構造、構成を有する金型組立体を用いることで、キャビティ内の熱可塑性樹脂が冷却、固化した後、中空部内の加圧流体を短時間にて加圧流体排出部から排出することが可能となる。
しかも、本発明の第1の態様に係る金型組立体あるいは射出成形方法においては、加圧流体循環手段から加圧流体導入部を介して中空部へ加圧流体を流し、加圧流体排出部から加圧流体循環手段へと加圧流体を循環させながら、キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させるので、キャビティ内の熱可塑性樹脂の冷却、固化時間の短縮化を図ることができる。また、加圧流体排出部から加圧流体導入部へと加圧流体を循環させるので、加圧流体を効率的に利用することができる。本発明の第2の態様に係る金型組立体あるいは射出成形方法においても、加圧流体源から加圧流体導入部を介して中空部へ加圧流体を流し続け、加圧流体排出部から加圧流体を排出し続けるので、キャビティ内の熱可塑性樹脂の冷却、固化時間の短縮化を図ることができる。また、加圧流体保存容器に加圧流体を保存するので、係る加圧流体を再利用することが可能となり、加圧流体を効率的に利用することができる。
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。
実施例1は、本発明の第1の態様に係る金型組立体及び射出成形方法に関する。図1に実施例1の金型組立体を含む射出成形装置全体の概念図を示し、図2の(A)に実施例1の金型組立体の模式的な端面図を示し、図2の(B)に実施例1における第2の金型部のパーティング面12Aの模式的な部分的平面図を示す。
実施例1の金型組立体10は、
(A)第1の金型部(固定金型部)11、
(B)第2の金型部(可動金型部)12、
(C)第1の金型部11と第2の金型部12とを型締めすることで形成されるキャビティ18、
(D)キャビティ18に開口した溶融樹脂射出部15、並びに、
(E)加圧流体源40に接続された加圧流体導入部16、
を備えている。
ここで、実施例1において、キャビティ18は、成形品を成形する成形品キャビティ部19A、及び、この成形品キャビティ部19Aに連通したオーバーフローキャビティ部19Bから構成されている。
そして、溶融樹脂射出部15は、より具体的には、成形品キャビティ部19Aに開口したサイドゲート構造を有する。また、加圧流体導入部16は、より具体的には、加圧流体導入ノズルから構成され、加圧流体導入ノズルの先端部が溶融樹脂射出部15内に配置されるように配設されている。溶融樹脂射出部15は、樹脂流路14を介して射出用シリンダー13に連通している。
ここで、この金型組立体10は、溶融樹脂射出部15を介してキャビティ18内に射出された溶融熱可塑性樹脂の内部に加圧流体源40から加圧流体導入部16を介して加圧流体を導入し、以て、内部に中空部が形成された熱可塑性樹脂製の成形品を成形する射出成形方法に用いられる金型組立体である。
実施例1の金型組立体10においては、キャビティ18内に射出された溶融熱可塑性樹脂の流動方向の末端に相当する第2の金型部12の部分(より具体的には、オーバーフローキャビティ部19B)には、キャビティ18(より具体的には、オーバーフローキャビティ部19B)に連通し、キャビティ18(より具体的には、オーバーフローキャビティ部19B)から溶融熱可塑性樹脂が部分的に流入する凹部20が形成されている。更に、溶融熱可塑性樹脂が到達しない凹部20の部分には、凹部20に開口し、且つ、外部に連通した加圧流体排出部21が設けられている。ここで、加圧流体排出部21は、具体的には、第2の金型部(可動金型部)12に設けられた一種の貫通孔である。尚、凹部20が形成された部位は、溶融熱可塑性樹脂の流動方向の厳密に末端に相当する第2の金型部の部分(オーバーフローキャビティ部19Bの部分)ではなく、溶融熱可塑性樹脂の流動方向の末端近傍に相当する第2の金型部の部分(オーバーフローキャビティ部19Bの部分)である。
より具体的には、凹部20は円筒状であり、加圧流体排出部21が設けられた凹部20の部分の直径をD、凹部の深さをHとしたとき、D=8mm、H=50mmであり、H/Dの値=6.25である。尚、円筒状の凹部20の直径は、オーバーフローキャビティ部19Bから離れるほど小さくなる。オーバーフローキャビティ部19Bとの境界部分における円筒状の凹部20の直径を10mmとした。また、成形品キャビティ部19Aの容積を135cm3、オーバーフローキャビティ部19Bの容積を40cm3とした。尚、溶融樹脂射出部15からオーバーフローキャビティ部19Bへ向かう方向と直角方向の仮想平面で成形品キャビティ部19Aを切断したときの成形品キャビティ部19Aの断面形状は矩形であり、オーバーフローキャビティ部19Bの断面形状も矩形である。
図1に示すように、加圧流体導入部16(より具体的には、加圧流体導入ノズルの後端部)は、配管17を介して加圧流体源40に接続されている。尚、配管17の途中には、開閉弁41が配されている。また、実施例1の金型組立体10は、加圧流体排出部21と加圧流体導入部16とを結ぶ加圧流体循環手段を有している。ここで、加圧流体循環手段は、加圧流体バッファタンク42、循環用コンプレッサ43、冷却手段44、開閉弁45,46、圧力調整弁47、減圧弁48、配管17A,49から構成されている。より具体的には、加圧流体排出部21から加圧流体導入部16へと加圧流体を循環させるために、加圧流体バッファタンク42と加圧流体導入部16とが配管17Aで結ばれており、この配管17Aの途中に、循環用コンプレッサ43、冷却手段44、開閉弁45が配されている。そして、加圧流体バッファタンク42から、これらの循環用コンプレッサ43、冷却手段44、開閉弁45を経由して加圧流体導入部16へと加圧流体が導入される。一方、加圧流体排出部21と加圧流体バッファタンク42とは配管49(図1以外には図示せず)で結ばれている。そして、この配管49の途中に、開閉弁46、圧力調整弁47、減圧弁48が配されており、加圧流体排出部21から、開閉弁46、圧力調整弁47、減圧弁48を経由して加圧流体バッファタンク42へと加圧流体が戻される。冷却手段44はラジエータ構造を有する。具体的には、フィンを多く有する配管中を加圧流体を通過させ、フィンの熱を室温の空気を介して放熱させる構造を有する。尚、実施例1においては、開閉弁46と減圧弁48との間に圧力調整弁47が配設されており、中空部の加圧流体の圧力を制御しながら、加圧流体排出部21から加圧流体導入部16へと加圧流体を循環させることができる。具体的には、(加圧流体導入部16に導入される加圧流体の圧力)>(圧力調整弁47における加圧流体の圧力)に設定し、加圧流体を加圧流体排出部21から排出しながら中空部の圧力を参照して循環用コンプレッサ43の運転を制御する。また、開閉弁46は三方弁としての機能を有し、開閉弁46を介して加圧流体を大気中に解放することができる。
以下、図3の(A)、(B)及び図4の(A)、(B)を参照して、実施例1の中空部を有する成形品の射出成形方法を説明するが、実施例1においては、熱可塑性樹脂として、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンS3000)を使用した。また、図3の(A)、(B)、図4の(A)、(B)、図6の(A)、(B)、図7の(A)、(B)、図10の(B)、図11、図12の(B)、図13の(B)、図14、図15の(B)、図16、図17の(B)、図18、図19の(B)、図20、図21の(A)、(B)においては、射出用シリンダー13の図示を省略した。
[工程−100]
先ず、第1の金型部11と第2の金型部12とを型締めすることで形成されたキャビティ18内に、溶融樹脂射出部15を介して溶融熱可塑性樹脂30を射出した。この際、加圧流体循環手段を不作動状態としておいた。具体的には、熱可塑性樹脂を射出用シリンダー13内で可塑化・溶融、計量した後、射出用シリンダー13から樹脂流路14、溶融樹脂射出部15を介して、成形品キャビティ部19A内に溶融熱可塑性樹脂30を射出した(図3の(A)参照)。射出条件を、以下の表2に例示する。キャビティ18内に射出した溶融熱可塑性樹脂30の体積を135cm3とした。尚、開閉弁41は開状態であり、開閉弁45,46は閉状態である。
[表2]
溶融熱可塑性樹脂温度 :280゜C
金型温度 : 80゜C
射出時間 : 6秒間
[工程−110]
溶融熱可塑性樹脂30のキャビティ18内への射出完了と同時に、加圧流体循環手段を不作動状態としたまま(具体的には、開閉弁45,46を閉状態としたまま)、キャビティ18内に射出された溶融熱可塑性樹脂30の内部に、加圧流体源40から配管17、開閉弁41を介して加圧流体導入部16から加圧流体(具体的には、窒素ガス)を導入した。これによって、キャビティ18内に射出された溶融熱可塑性樹脂30の内部に中空部31が形成され、この中空部31は溶融熱可塑性樹脂30の流動方向の末端に向かって延びていく。同時に、キャビティ18内の溶融熱可塑性樹脂30は、その内部に加圧流体が導入される結果、流動方向の末端に向かって流動し、一部が凹部20の一部分に流入する。但し、凹部20内の溶融熱可塑性樹脂30は、凹部20に開口した加圧流体排出部21を閉塞することはない。そして、溶融熱可塑性樹脂30の流動方向の末端あるいはその近傍で(具体的には、凹部20内において)、最終的に、中空部31は熱可塑性樹脂層を突き破り(即ち、中空部31が破裂し)、凹部20内において中空部31と加圧流体排出部21とは連通状態となった。キャビティ18内に射出された溶融熱可塑性樹脂30の内部への導入時の加圧流体の圧力を1×107Pa(98kgf/cm2)とした。尚、加圧流体導入開始直後の状態を図3の(B)に模式的に図示し、中空部31と加圧流体排出部21とが連通する直前の状態を図4の(A)に模式的に図示し、中空部31と加圧流体排出部21とが連通した状態を図4の(B)に模式的に図示する。破裂した部分を、図4の(B)に、参照番号32で示す。
[工程−120]
次いで、加圧流体源40からの加圧流体の導入を中止し、加圧流体循環手段を作動状態として、加圧流体循環手段から加圧流体導入部16を介して中空部31へ加圧流体を流し、加圧流体排出部21から加圧流体循環手段へと加圧流体を戻しながら、キャビティ18内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させた。具体的には、溶融熱可塑性樹脂30のキャビティ18内への射出開始から8秒後に、開閉弁41を閉じ、開閉弁45及び開閉弁46を開けた。そして、加圧流体バッファタンク42に蓄えられていた加圧流体(具体的には、圧力1×106Paの窒素ガス)を循環用コンプレッサ43によって圧力1.2×107Paまで昇圧し、冷却手段44を通過させて約24゜Cとし、開閉弁45、配管17を介して加圧流体導入部16から中空部31へ加圧流体を流した。そして、加圧流体排出部21から加圧流体を、開閉弁46、圧力調整弁47、減圧弁48、配管49を介して、加圧流体バッファタンク42に戻した。尚、圧力調整弁47を通過する加圧流体の圧力が1×107Paとなるように圧力調整弁47が調整されており、更には、循環用コンプレッサ43の運転が制御される。
[工程−130]
溶融熱可塑性樹脂30のキャビティ18内への射出開始から40秒後に、加圧流体循環手段を不作動状態として(具体的には、開閉弁45を閉状態とし)、循環用コンプレッサ43の運転を停止し、開閉弁46を大気への解放状態として、中空部31内の加圧流体を開閉弁46を介して大気中に排出した。その後、開閉弁46を閉状態とし、第1の金型部と第2の金型部とを型開きし、成形品を取り出した。こうして、内部に中空部31が形成された熱可塑性樹脂製の成形品を成形することができた。
[比較例1]
比較のために、凹部20を塞いだ金型組立体を使用し、実施例1の[工程−100]と同様にして、キャビティ18内に、溶融樹脂射出部15を介して溶融熱可塑性樹脂30を射出した。射出条件中、溶融熱可塑性樹脂温度及び金型温度は表2に例示したと同様であるが、射出時間を6秒間とし、キャビティ18内に射出した溶融熱可塑性樹脂30の体積を135cm3とした。次いで、実施例1の[工程−110]と同様にして、溶融熱可塑性樹脂30のキャビティ18内への射出完了と同時に、キャビティ18内に射出された溶融熱可塑性樹脂30の内部に、加圧流体源40から配管17、開閉弁41を介して加圧流体導入部16から加圧流体(具体的には、窒素ガス)を導入した。この比較例1においては、中空部31が破裂することはない。尚、この状態を、図21の(A)に模式的に図示する。そして、溶融熱可塑性樹脂30のキャビティ18内への射出開始から60秒後に、加圧流体導入部16を介して中空部31内の加圧流体を大気中に排出した。次いで、第1の金型部と第2の金型部とを型開きし、成形品を取り出した。こうして、内部に中空部31が形成された熱可塑性樹脂製の成形品を成形することができた。ここで、キャビティ18内の溶融熱可塑性樹脂30の内部に加圧流体導入部16を介して加圧流体を導入してから中空部31内の加圧流体を大気中へ排出するまでに要した時間T1、及び、中空部31内の加圧流体を大気中に排出するのに要した時間T2に関して、実施例1と比較例1とを比較すると、以下の表3のとおりとなった。表3から、実施例1においては、キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させるために要する時間が短縮され、しかも、中空部31内の加圧流体を短時間で排出できることが明らかである。
[表3]
1(秒) T2(秒)
実施例1 34 2
比較例1 54 5
尚、圧力調整弁47の代わりに流量調整弁を配し、[工程−120]において、加圧流体導入部16に導入される加圧流体の流速を制御してもよい。具体的には、循環用コンプレッサ43の最大処理量>流量調整弁の流量とし、加圧流体を加圧流体排出部21から排出しながら中空部の圧力を設定値とし、中空部の圧力を参照して循環用コンプレッサ43の運転を制御すればよい。以下に説明する実施例2や実施例7においても、同様とすることができる。
実施例2は実施例1の変形である。図5の(A)に実施例2の金型組立体10Aの模式的な端面図を示し、図5の(B)に実施例2の金型組立体における第2の金型部のパーティング面12Aの模式的な部分的平面図を示す。実施例2においては、キャビティ18は、成形品を成形する成形品キャビティ部19Aから構成されている。金型組立体のその他の構成、構造は、実施例1にて説明した金型組立体と同様とすることができる。また、実施例2の金型組立体を含む射出成形装置全体も、図1に概念図を示したと同様とすることができる。それ故、金型組立体等の詳細な説明は省略し、実施例1との相違点のみを説明する。
実施例2においても、凹部20は円筒状であり、加圧流体排出部21が設けられた凹部20の部分の直径をD、凹部の深さをHとしたとき、D=8mm、H=50mmであり、H/Dの値=6.25である。尚、円筒状の凹部20の直径は、成形品キャビティ部19Aから離れるほど、小さくなる。成形品キャビティ部19Aとの境界部分における円筒状の凹部20の直径を10mmとした。また、成形品キャビティ部19Aの容積を135cm3とした。尚、図5の(A)の紙面上下方向であって紙面垂直方向の仮想平面で成形品キャビティ部19Aを切断したときの成形品キャビティ部19Aの断面形状は矩形である。尚、凹部20が形成された部位は、溶融熱可塑性樹脂の流動方向の厳密に末端に相当する第2の金型部の部分(成形品キャビティ部19Aの部分)ではなく、溶融熱可塑性樹脂の流動方向の末端近傍に相当する第2の金型部の部分(成形品キャビティ部19Aの部分)である。
以下、図6の(A)、(B)及び図7の(A)、(B)を参照して、実施例2の中空部を有する成形品の射出成形方法を説明するが、実施例2においても実施例1にて使用したと同じ熱可塑性樹脂を使用した。
[工程−200]
先ず、第1の金型部11と第2の金型部12とを型締めすることで形成されたキャビティ18内に、溶融樹脂射出部15を介して溶融熱可塑性樹脂30を射出した。この際、加圧流体循環手段は不作動状態としておいた。具体的には、熱可塑性樹脂を射出用シリンダー13内で可塑化・溶融、計量した後、射出用シリンダー13から樹脂流路14、溶融樹脂射出部15を介して、成形品キャビティ部19A内に溶融熱可塑性樹脂30を射出した(図6の(A)参照)。射出条件を、以下の表4に例示する。キャビティ18内に射出した溶融熱可塑性樹脂30の体積を105cm3とした。尚、開閉弁41は開状態であり、開閉弁45,46は閉状態である。
[表4]
溶融熱可塑性樹脂温度 :280゜C
金型温度 : 80゜C
射出時間 : 4.6秒間
[工程−210]
溶融熱可塑性樹脂30のキャビティ18内への射出完了と同時に、加圧流体循環手段を不作動状態としたまま(具体的には、開閉弁45,46を閉状態としたまま)、キャビティ18内に射出された溶融熱可塑性樹脂30の内部に、加圧流体源40から配管17、開閉弁41を介して加圧流体導入部16から加圧流体(具体的には、窒素ガス)を導入した。これによって、キャビティ18内に射出された溶融熱可塑性樹脂30の内部に中空部31が形成され、この中空部31は溶融熱可塑性樹脂30の流動方向の末端に向かって延びていく。同時に、キャビティ18内の溶融熱可塑性樹脂30は、その内部に加圧流体が導入される結果、流動方向の末端に向かって流動し、一部が凹部20の一部分に流入する。但し、凹部20内の溶融熱可塑性樹脂30は、凹部20に開口した加圧流体排出部21を閉塞することはない。そして、溶融熱可塑性樹脂30の流動方向の末端あるいはその近傍で(具体的には、凹部20内において)、最終的に、中空部31は熱可塑性樹脂層を突き破り(即ち、中空部31が破裂し)、凹部20内において中空部31と加圧流体排出部21とは連通状態となった。導入時の加圧流体の圧力を1×107Pa(98kgf/cm2)とした。尚、加圧流体導入開始直後の状態を図6の(B)に模式的に図示し、中空部31と加圧流体排出部21とが連通する直前の状態を図7の(A)に模式的に図示し、中空部31と加圧流体排出部21とが連通した状態を図7の(B)に模式的に図示する。破裂した部分を、図7の(B)に、参照番号32で示す。
[工程−220]
次いで、加圧流体源40からの加圧流体の導入を中止し、加圧流体循環手段を作動状態として、加圧流体循環手段から加圧流体導入部16を介して中空部31へ加圧流体を流し、加圧流体排出部21から加圧流体循環手段へと加圧流体を戻しながら、キャビティ18内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させた。具体的には、溶融熱可塑性樹脂30のキャビティ18内への射出開始から8秒後に、開閉弁41を閉じ、開閉弁45及び開閉弁46を開けた。そして、実施例1の[工程−120]と同様にして、加圧流体を循環させた。
[工程−230]
溶融熱可塑性樹脂30のキャビティ18内への射出開始から40秒後に、加圧流体循環手段を不作動状態として(具体的には、開閉弁45を閉状態とし)、循環用コンプレッサ43の運転を停止し、開閉弁46を大気への解放状態として、中空部31内の加圧流体を開閉弁46を介して大気中に排出した。その後、開閉弁46を閉状態とし、第1の金型部と第2の金型部とを型開きし、成形品を取り出した。こうして、内部に中空部31が形成された熱可塑性樹脂製の成形品を成形することができた。
[比較例2]
比較のために、凹部20を塞いだ金型組立体を使用し、実施例2の[工程−200]と同様にして、キャビティ18内に、溶融樹脂射出部15を介して溶融熱可塑性樹脂30を射出した。射出条件中、溶融熱可塑性樹脂温度及び金型温度は表4に例示したと同様であるが、射出時間を4.6秒間とし、キャビティ18内に射出した溶融熱可塑性樹脂30の体積を105cm3とした。次いで、実施例2の[工程−210]と同様にして、溶融熱可塑性樹脂30のキャビティ18内への射出完了と同時に、キャビティ18内に射出された溶融熱可塑性樹脂30の内部に、加圧流体源40から配管17、開閉弁41を介して加圧流体導入部16から加圧流体(具体的には、窒素ガス)を導入した。この比較例2においては、中空部31が破裂することはない。尚、この状態を、図21の(B)に模式的に図示する。そして、溶融熱可塑性樹脂30のキャビティ18内への射出開始から60秒後に、加圧流体導入部16を介して中空部31内の加圧流体を大気中に排出した。次いで、第1の金型部と第2の金型部とを型開きし、成形品を取り出した。こうして、内部に中空部31が形成された熱可塑性樹脂製の成形品を成形することができた。ここで、実施例1にて説明した時間T1及び時間T2に関して、実施例2と比較例2とを比較すると、以下の表5のとおりとなった。表5から、実施例2においても、キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させるために要する時間が短縮され、しかも、中空部31内の加圧流体を短時間で排出できることが明らかである。
[表5]
1(秒) T2(秒)
実施例2 35.4 2
比較例2 55.4 5
実施例3は、本発明の第2の態様に係る金型組立体及び射出成形方法に関する。図8の(A)に実施例3の金型組立体を含む射出成形装置全体の概念図を示す。実施例3の金型組立体は、実施例1の金型組立体のように加圧流体排出部21と加圧流体導入部16とを結ぶ加圧流体循環手段を有する代わりに、加圧流体排出部21の下流に加圧流体保存容器(加圧流体保存タンク)50を備えている。この点を除き、実施例3の金型組立体は実施例1の金型組立体と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。ここで、実施例3の金型組立体の模式的な端面図は図2の(A)に示したと同様とすることができるし、第2の金型部のパーティング面12Aの模式的な部分的平面図も図2の(B)に示したと同様とすることができる。
尚、実施例3にあっては、図8の(A)に示すように、加圧流体排出部21と加圧流体保存容器50とを結ぶ配管51の途中に、開閉弁52、圧力調整弁53、及び、減圧弁54が配置されている。開閉弁52は三方弁としての機能を有し、開閉弁52を介して加圧流体を大気中に解放することができる。また、加圧流体導入部16(より具体的には、加圧流体導入ノズルの後端部)と加圧流体源40とを結ぶ配管17の途中には、開閉弁41,61,62が配されており、開閉弁61と開閉弁62との間の配管には、実施例1の冷却手段44と同様の構造を有する冷却手段63が配置されている。尚、加圧流体保存容器50に保存された加圧流体は、最終的に加圧流体源40に搬送して、再度、使用すればよい。
以下、再び、図3の(A)、(B)及び図4の(A)、(B)を参照して、実施例3の中空部を有する成形品の射出成形方法を説明するが、実施例3においても、実施例1と同じ熱可塑性樹脂を使用した。
[工程−300]
先ず、第1の金型部11と第2の金型部12とを型締めすることで形成されたキャビティ18内に、溶融樹脂射出部15を介して溶融熱可塑性樹脂30を射出した。具体的には、熱可塑性樹脂を射出用シリンダー13内で可塑化・溶融、計量した後、射出用シリンダー13から樹脂流路14、溶融樹脂射出部15を介して、成形品キャビティ部19A内に溶融熱可塑性樹脂30を射出した(図3の(A)参照)。射出条件を、表2に例示したと同様とした。キャビティ18内に射出した溶融熱可塑性樹脂30の体積を135cm3とした。尚、開閉弁41は開状態であり、開閉弁61,62は閉状態であり、開閉弁52は開状態である。
[工程−310]
溶融熱可塑性樹脂30のキャビティ18内への射出完了と同時に、キャビティ18内に射出された溶融熱可塑性樹脂30の内部に、加圧流体源40から配管17、開閉弁41を介して加圧流体導入部16から加圧流体(具体的には、窒素ガス)を導入した。これによって、キャビティ18内に射出された溶融熱可塑性樹脂30の内部に中空部31が形成され、この中空部31は溶融熱可塑性樹脂30の流動方向の末端に向かって延びていく。同時に、キャビティ18内の溶融熱可塑性樹脂30は、その内部に加圧流体が導入される結果、流動方向の末端に向かって流動し、一部が凹部20の一部分に流入する。但し、凹部20内の溶融熱可塑性樹脂30は、凹部20に開口した加圧流体排出部21を閉塞することはない。そして、溶融熱可塑性樹脂30の流動方向の末端あるいはその近傍で(具体的には、凹部20内において)、最終的に、中空部31は熱可塑性樹脂層を突き破り(即ち、中空部31が破裂し)、凹部20内において中空部31と加圧流体排出部21とは連通状態となった。キャビティ18内に射出された溶融熱可塑性樹脂30の内部への導入時の加圧流体の圧力を1×107Pa(98kgf/cm2)とした。尚、加圧流体導入開始直後の状態を図3の(B)に模式的に図示し、中空部31と加圧流体排出部21とが連通する直前の状態を図4の(A)に模式的に図示し、中空部31と加圧流体排出部21とが連通した状態を図4の(B)に模式的に図示する。
[工程−320]
次いで、開閉弁41を閉状態とし、開閉弁61,62を開状態とし、加圧流体源40からの加圧流体を冷却手段63を通過させた後、加圧流体導入部16を介して中空部31へ加圧流体を流し、加圧流体排出部21から加圧流体を排出し、排出された加圧流体を加圧流体保存容器50に保存しながら、キャビティ18内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させた。具体的には、溶融熱可塑性樹脂30のキャビティ18内への射出開始から8秒後に、開閉弁41を閉じ、開閉弁61,62を開けた。そして、加圧流体(具体的には、圧力1×107Paの窒素ガス)を冷却手段63を通過させて約24゜Cとし、配管17を介して加圧流体導入部16から中空部31へ加圧流体を流した。そして、加圧流体排出部21から加圧流体を、開閉弁52、圧力調整弁53、減圧弁54、配管51を介して、加圧流体保存容器50に蓄えた。尚、圧力調整弁53を通過する加圧流体の圧力が1×107Paとなるように圧力調整弁53が調整されている。
[工程−330]
溶融熱可塑性樹脂30のキャビティ18内への射出開始から40秒後に、加圧流体源からの加圧流体の導入を中止し、(具体的には、開閉弁61,62を閉状態とし)、開閉弁52を大気への解放状態として、中空部31内の加圧流体を開閉弁52を介して大気中に排出した。その後、開閉弁52を開状態に戻し、第1の金型部と第2の金型部とを型開きし、成形品を取り出した。こうして、内部に中空部31が形成された熱可塑性樹脂製の成形品を成形することができた。
ここで、実施例3における時間T1及び時間T2(実施例1の説明を参照)の値は表3の実施例1にて示す値と同じ値であった。
実施例4は実施例3の変形である。実施例4の金型組立体は、実施例2の金型組立体のように加圧流体排出部21と加圧流体導入部16とを結ぶ加圧流体循環手段を有する代わりに、加圧流体排出部21の下流に加圧流体保存容器(加圧流体保存タンク)50を備えている。この点を除き、実施例4の金型組立体は実施例2の金型組立体と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。ここで、実施例4の金型組立体を含む射出成形装置全体の概念図は図8の(A)に示したと同様である。また、実施例4の金型組立体の模式的な端面図は図5の(A)に示したと同様とすることができるし、第2の金型部のパーティング面12Aの模式的な部分的平面図も図5の(B)に示したと同様とすることができる。
以下、再び、図6の(A)、(B)及び図7の(A)、(B)を参照して、実施例4の中空部を有する成形品の射出成形方法を説明するが、実施例4においても実施例1にて使用したと同じ熱可塑性樹脂を使用した。
[工程−400]
先ず、第1の金型部11と第2の金型部12とを型締めすることで形成されたキャビティ18内に、溶融樹脂射出部15を介して溶融熱可塑性樹脂30を射出した。具体的には、熱可塑性樹脂を射出用シリンダー13内で可塑化・溶融、計量した後、射出用シリンダー13から樹脂流路14、溶融樹脂射出部15を介して、成形品キャビティ部19A内に溶融熱可塑性樹脂30を射出した(図6の(A)参照)。射出条件を、表4に例示したと同様とした。キャビティ18内に射出した溶融熱可塑性樹脂30の体積を105cm3とした。尚、開閉弁41は開状態であり、開閉弁61,62は閉状態であり、開閉弁52は開状態である。
[工程−410]
溶融熱可塑性樹脂30のキャビティ18内への射出完了と同時に、キャビティ18内に射出された溶融熱可塑性樹脂30の内部に、加圧流体源40から配管17、開閉弁41を介して加圧流体導入部16から加圧流体(具体的には、窒素ガス)を導入した。これによって、キャビティ18内に射出された溶融熱可塑性樹脂30の内部に中空部31が形成され、この中空部31は溶融熱可塑性樹脂30の流動方向の末端に向かって延びていく。同時に、キャビティ18内の溶融熱可塑性樹脂30は、その内部に加圧流体が導入される結果、流動方向の末端に向かって流動し、一部が凹部20の一部分に流入する。但し、凹部20内の溶融熱可塑性樹脂30は、凹部20に開口した加圧流体排出部21を閉塞することはない。そして、溶融熱可塑性樹脂30の流動方向の末端あるいはその近傍で(具体的には、凹部20内において)、最終的に、中空部31は熱可塑性樹脂層を突き破り(即ち、中空部31が破裂し)、凹部20内において中空部31と加圧流体排出部21とは連通状態となった。導入時の加圧流体の圧力を1×107Pa(98kgf/cm2)とした。尚、加圧流体導入開始直後の状態を図6の(B)に模式的に図示し、中空部31と加圧流体排出部21とが連通する直前の状態を図7の(A)に模式的に図示し、中空部31と加圧流体排出部21とが連通した状態を図7の(B)に模式的に図示する。
[工程−420]
次いで、開閉弁41を閉状態とし、開閉弁61,62を開状態とし、加圧流体源40からの加圧流体を冷却手段63を通過させた後、加圧流体導入部16を介して中空部31へ加圧流体を流し、加圧流体排出部21から加圧流体を排出し、排出された加圧流体を加圧流体保存容器50に保存しながら、キャビティ18内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させた。具体的には、溶融熱可塑性樹脂30のキャビティ18内への射出開始から8秒後に、開閉弁41を閉じ、開閉弁61,62を開けた。そして、実施例3の[工程−320]と同様にして、加圧流体を流し続けた。
[工程−430]
溶融熱可塑性樹脂30のキャビティ18内への射出開始から40秒後に、加圧流体源からの加圧流体の導入を中止し、(具体的には、開閉弁61,62を閉状態とし)、開閉弁52を大気への解放状態として、中空部31内の加圧流体を開閉弁52を介して大気中に排出した。その後、開閉弁52を開状態に戻し、第1の金型部と第2の金型部とを型開きし、成形品を取り出した。こうして、内部に中空部31が形成された熱可塑性樹脂製の成形品を成形することができた。
ここで、実施例4における時間T1及び時間T2(実施例1の説明を参照)の値は表5の実施例2にて示す値と同じ値であった。
実施例5は、本発明の第3の態様に係る金型組立体及び射出成形方法に関する。図8の(B)に実施例5の金型組立体を含む射出成形装置全体の概念図を示す。実施例5の金型組立体は、実施例1の金型組立体のように加圧流体排出部21と加圧流体導入部16とを結ぶ加圧流体循環手段を有する代わりに、図8の(B)に示すように、加圧流体排出部21の下流に開閉弁70を備えている。この点を除き、実施例5の金型組立体は実施例1の金型組立体と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。ここで、実施例5の金型組立体の模式的な端面図は図2の(A)に示したと同様とすることができるし、第2の金型部のパーティング面12Aの模式的な部分的平面図も図2の(B)に示したと同様とすることができる。
尚、開閉弁70を開状態とすることで加圧流体を大気中に解放することができる。また、加圧流体導入部16(より具体的には、加圧流体導入ノズルの後端部)と加圧流体源40とを結ぶ配管17の途中には、実施例1と同様に開閉弁41が配されている。
以下、再び、図3の(A)、(B)及び図4の(A)、(B)を参照して、実施例5の中空部を有する成形品の射出成形方法を説明するが、実施例5においても、実施例1と同じ熱可塑性樹脂を使用した。
[工程−500]
先ず、第1の金型部11と第2の金型部12とを型締めすることで形成されたキャビティ18内に、溶融樹脂射出部15を介して溶融熱可塑性樹脂30を射出した。具体的には、熱可塑性樹脂を射出用シリンダー13内で可塑化・溶融、計量した後、射出用シリンダー13から樹脂流路14、溶融樹脂射出部15を介して、成形品キャビティ部19A内に溶融熱可塑性樹脂30を射出した(図3の(A)参照)。射出条件を、表2に例示したと同様とした。キャビティ18内に射出した溶融熱可塑性樹脂30の体積を135cm3とした。尚、開閉弁41は開状態であり、開閉弁70も開状態である。
[工程−510]
溶融熱可塑性樹脂30のキャビティ18内への射出完了と同時に、キャビティ18内に射出された溶融熱可塑性樹脂30の内部に、加圧流体源40から配管17、開閉弁41を介して加圧流体導入部16から加圧流体(具体的には、窒素ガス)を導入した。これによって、キャビティ18内に射出された溶融熱可塑性樹脂30の内部に中空部31が形成され、この中空部31は溶融熱可塑性樹脂30の流動方向の末端に向かって延びていく。同時に、キャビティ18内の溶融熱可塑性樹脂30は、その内部に加圧流体が導入される結果、流動方向の末端に向かって流動し、一部が凹部20の一部分に流入する。但し、凹部20内の溶融熱可塑性樹脂30は、凹部20に開口した加圧流体排出部21を閉塞することはない。そして、溶融熱可塑性樹脂30の流動方向の末端あるいはその近傍で(具体的には、凹部20内において)、最終的に、中空部31は熱可塑性樹脂層を突き破り(即ち、中空部31が破裂し)、凹部20内において中空部31と加圧流体排出部21とは連通状態となった。キャビティ18内に射出された溶融熱可塑性樹脂30の内部への導入時の加圧流体の圧力を1×107Pa(98kgf/cm2)とした。尚、加圧流体導入開始直後の状態を図3の(B)に模式的に図示し、中空部31と加圧流体排出部21とが連通する直前の状態を図4の(A)に模式的に図示し、中空部31と加圧流体排出部21とが連通した状態を図4の(B)に模式的に図示する。
加圧流体導入部16からの加圧流体の導入の時点においては、開閉弁70を開状態のままとした。そして、中空部と加圧流体排出部とが連通した時点から0.2秒前に、開閉弁70を閉状態とした。
[工程−520]
次いで、加圧流体源40から加圧流体導入部16を介して中空部31への加圧流体の導入を継続し、キャビティ18内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させた。開閉弁70は閉状態のままである。中空部31内の加圧流体の圧力は約1×107Paであった。
[工程−530]
溶融熱可塑性樹脂30のキャビティ18内への射出開始から40秒後に、加圧流体源からの加圧流体の導入を中止し、(具体的には、開閉弁41を閉状態とし)、開閉弁70を開状態として、中空部31内の加圧流体を開閉弁70を介して大気中に排出した。その後、第1の金型部と第2の金型部とを型開きし、成形品を取り出した。こうして、内部に中空部31が形成された熱可塑性樹脂製の成形品を成形することができた。
ここで、実施例5における時間T1及び時間T2(実施例1の説明を参照)の値は表3の実施例1にて示す値と同じ値であった。
実施例6は実施例5の変形である。実施例6の金型組立体は、実施例2の金型組立体のように加圧流体排出部21と加圧流体導入部16とを結ぶ加圧流体循環手段を有する代わりに、加圧流体排出部21の下流に開閉弁70を備えている。この点を除き、実施例6の金型組立体は実施例2の金型組立体と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。実施例6の金型組立体を含む射出成形装置全体の概念図は図8の(B)に示したと同様である。また、実施例6の金型組立体の模式的な端面図は図5の(A)に示したと同様とすることができるし、第2の金型部のパーティング面12Aの模式的な部分的平面図も図5の(B)に示したと同様とすることができる。
以下、再び、図6の(A)、(B)及び図7の(A)、(B)を参照して、実施例6の中空部を有する成形品の射出成形方法を説明するが、実施例6においても実施例1にて使用したと同じ熱可塑性樹脂を使用した。
[工程−600]
先ず、第1の金型部11と第2の金型部12とを型締めすることで形成されたキャビティ18内に、溶融樹脂射出部15を介して溶融熱可塑性樹脂30を射出した。具体的には、熱可塑性樹脂を射出用シリンダー13内で可塑化・溶融、計量した後、射出用シリンダー13から樹脂流路14、溶融樹脂射出部15を介して、成形品キャビティ部19A内に溶融熱可塑性樹脂30を射出した(図6の(A)参照)。射出条件を、表4に例示したと同様とした。キャビティ18内に射出した溶融熱可塑性樹脂30の体積を105cm3とした。尚、開閉弁41は開状態であり、開閉弁70も開状態である。
[工程−610]
溶融熱可塑性樹脂30のキャビティ18内への射出完了と同時に、キャビティ18内に射出された溶融熱可塑性樹脂30の内部に、加圧流体源40から配管17、開閉弁41を介して加圧流体導入部16から加圧流体(具体的には、窒素ガス)を導入した。これによって、キャビティ18内に射出された溶融熱可塑性樹脂30の内部に中空部31が形成され、この中空部31は溶融熱可塑性樹脂30の流動方向の末端に向かって延びていく。同時に、キャビティ18内の溶融熱可塑性樹脂30は、その内部に加圧流体が導入される結果、流動方向の末端に向かって流動し、一部が凹部20の一部分に流入する。但し、凹部20内の溶融熱可塑性樹脂30は、凹部20に開口した加圧流体排出部21を閉塞することはない。そして、溶融熱可塑性樹脂30の流動方向の末端あるいはその近傍で(具体的には、凹部20内において)、最終的に、中空部31は熱可塑性樹脂層を突き破り(即ち、中空部31が破裂し)、凹部20内において中空部31と加圧流体排出部21とは連通状態となった。導入時の加圧流体の圧力を1×107Pa(98kgf/cm2)とした。尚、加圧流体導入開始直後の状態を図6の(B)に模式的に図示し、中空部31と加圧流体排出部21とが連通する直前の状態を図7の(A)に模式的に図示し、中空部31と加圧流体排出部21とが連通した状態を図7の(B)に模式的に図示する。
加圧流体導入部16からの加圧流体の導入の時点においては、開閉弁70を開状態のままとした。そして、中空部と加圧流体排出部とが連通した時点から0.2秒前に、開閉弁70を閉状態とした。
[工程−620]
次いで、加圧流体源40から加圧流体導入部16を介して中空部31への加圧流体の導入を継続し、キャビティ18内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させた。開閉弁70は閉状態のままである。中空部31内の加圧流体の圧力は約1×107Paであった。
[工程−630]
溶融熱可塑性樹脂30のキャビティ18内への射出開始から40秒後に、加圧流体源からの加圧流体の導入を中止し、(具体的には、開閉弁41を閉状態とし)、開閉弁70を開状態として、中空部31内の加圧流体を開閉弁70を介して大気中に排出した。その後、第1の金型部と第2の金型部とを型開きし、成形品を取り出した。こうして、内部に中空部31が形成された熱可塑性樹脂製の成形品を成形することができた。
ここで、実施例6における時間T1及び時間T2(実施例1の説明を参照)の値は表5の実施例2にて示す値と同じ値であった。
実施例7は、実施例1〜実施例6の変形である。実施例7においては、実施例1〜実施例6の金型組立体の各種の変形例を説明する。実施例7の金型組立体を含む射出成形装置全体の概念図は図1、図8の(A)あるいは図8の(B)に示したと同様とすることができる。更には、金型組立体の構造、構成、係る金型組立体を使用した中空部を有する成形品の射出成形方法も、実質的には、実施例1〜実施例6にて説明した金型組立体の構造、構成、射出成形方法と同様とすることができるので、実施例1〜実施例6との相違点のみを以下に説明する。
実施例1〜実施例6においては、成形品を1個取りとした。一方、図9の(A)及び(B)に示す例においては、成形品を多数個取り(より具体的には、2個取り)としている。尚、図9の(A)は、実施例1、実施例3あるいは実施例5の金型組立体の変形例における第2の金型部のパーティング面12Aの模式的な部分的平面図であり、図9の(B)は、実施例2、実施例4あるいは実施例6の金型組立体の変形例における第2の金型部のパーティング面12Aの模式的な部分的平面図である。
図10〜図12に示す例においては、溶融樹脂射出部15を1つ、加圧流体導入部16を複数(図示した例では2つ)、凹部20を1つとしている。尚、図10の(A)、(B)及び図11に示す金型組立体は、実施例1、実施例3あるいは実施例5の金型組立体の変形例であり、図12の(A)、(B)に示す金型組立体は、実施例2、実施例4あるいは実施例6の金型組立体の変形例である。ここで、図10の(A)は、実施例1、実施例3あるいは実施例5の金型組立体の変形例における第2の金型部のパーティング面12Aの模式的な部分的平面図であり、図10の(B)は、図10の(A)の矢印B−Bに沿った模式的な端面図であり、図11は、図10の(A)の矢印C−Cに沿った模式的な端面図である。一方、図12の(A)は、実施例2、実施例4あるいは実施例6の金型組立体の変形例における第2の金型部のパーティング面12Aの模式的な部分的平面図であり、図12の(B)は、図12の(A)の矢印B−Bに沿った模式的な端面図である。尚、図12の(A)の矢印C−Cに沿った模式的な端面図は、図10の(B)と同じである。ここで、加圧流体導入部(加圧流体導入ノズル)16の先端部が、キャビティ18内、あるいは金型部のキャビティ面近傍に配置されるように、加圧流体導入部(加圧流体導入ノズル)16は第2の金型部12に配設されている。
図13〜図16に示す例においては、溶融樹脂射出部15を1つ、加圧流体導入部16を複数(図示した例では2つ)、凹部20を複数(図示した例では2つ)としている。尚、図13の(A)、(B)及び図14に示す金型組立体は、実施例1、実施例3あるいは実施例5の金型組立体の変形例であり、図15の(A)、(B)及び図16に示す金型組立体は、実施例2、実施例4あるいは実施例6の金型組立体の変形例である。ここで、図13の(A)は、実施例1、実施例3あるいは実施例5の金型組立体の変形例における第2の金型部のパーティング面12Aの模式的な部分的平面図であり、図13の(B)は、図13の(A)の矢印B−Bに沿った模式的な端面図であり、図14は、図13の(A)の矢印C−Cに沿った模式的な端面図である。一方、図15の(A)は、実施例2、実施例4あるいは実施例6の金型組立体の変形例における第2の金型部のパーティング面12Aの模式的な部分的平面図であり、図15の(B)は、図15の(A)の矢印B−Bに沿った模式的な端面図であり、図16は、図15の(A)の矢印C−Cに沿った模式的な端面図である。ここで、加圧流体導入部(加圧流体導入ノズル)16の先端部が、キャビティ18内、あるいは金型部のキャビティ面近傍に配置されるように、加圧流体導入部(加圧流体導入ノズル)16は第2の金型部12に配設されている。
図17〜図20に示す例においては、溶融樹脂射出部15を1つ、加圧流体導入部16を1つ、凹部20を複数(図示した例では2つ)としている。尚、図17の(A)、(B)及び図18に示す金型組立体は、実施例1、実施例3あるいは実施例5の金型組立体の変形例であり、図19の(A)、(B)及び図20に示す金型組立体は、実施例2、実施例4あるいは実施例6の金型組立体の変形例である。ここで、図17の(A)は、実施例1、実施例3あるいは実施例5の金型組立体の変形例における第2の金型部のパーティング面12Aの模式的な部分的平面図であり、図17の(B)は、図17の(A)の矢印B−Bに沿った模式的な端面図であり、図18は、図17の(A)の矢印C−Cに沿った模式的な端面図である。一方、図19の(A)は、実施例2、実施例4あるいは実施例6の金型組立体の変形例における第2の金型部のパーティング面12Aの模式的な部分的平面図であり、図19の(B)は、図19の(A)の矢印B−Bに沿った模式的な端面図であり、図20は、図19の(A)の矢印C−Cに沿った模式的な端面図である。ここで、加圧流体導入部(加圧流体導入ノズル)16の先端部が、キャビティ18内、あるいは金型部のキャビティ面近傍に配置されるように、加圧流体導入部(加圧流体導入ノズル)16は第2の金型部12に配設されている。
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定するものではない。実施例にて説明した金型組立体の構造、構成、実施例にて使用した熱可塑性樹脂、射出成形条件、成形品の形状やキャビティの寸法等は例示であり、適宜変更することができる。
実施例1、実施例3あるいは実施例5のように、キャビティが、成形品を成形する成形品キャビティ部、及び、成形品キャビティ部に連通したオーバーフローキャビティ部から構成されている場合には、得られた成形品のオーバーフローキャビティ部によって成形された部分を成形品キャビティ部によって成形された部分から例えば切り離し、成形品キャビティ部によって成形された部分を最終製品とすればよい。一方、実施例2、実施例4あるいは実施例6のように、キャビティが、成形品を成形する成形品キャビティ部から構成されている場合には、得られた成形品の凹部によって成形された部分を成形品キャビティ部によって成形された部分から例えば切り離し、成形品キャビティ部によって成形された部分を最終製品とすればよく、場合によっては、凹部によって成形された部分を例えばボス部として最終製品に残してもよい。
図1は、実施例1の金型組立体を含む射出成形装置全体の概念図である。 図2の(A)は、実施例1の金型組立体の模式的な端面図であり、図2の(B)は、実施例1における第2の金型部のパーティング面の模式的な部分的平面図である。 図3の(A)及び(B)は、実施例1の中空部を有する成形品の射出成形方法を説明するための金型組立体等の模式的な端面図である。 図4の(A)及び(B)は、図3の(B)に引き続き、実施例1の中空部を有する成形品の射出成形方法を説明するための金型組立体等の模式的な端面図である。 図5の(A)は、実施例2の金型組立体の模式的な端面図であり、図5の(B)は、実施例2における第2の金型部のパーティング面の模式的な部分的平面図である。 図6の(A)及び(B)は、実施例2の中空部を有する成形品の射出成形方法を説明するための金型組立体等の模式的な端面図である。 図7の(A)及び(B)は、図6の(B)に引き続き、実施例2の中空部を有する成形品の射出成形方法を説明するための金型組立体等の模式的な端面図である。 図8の(A)は、実施例3及び実施例4の金型組立体を含む射出成形装置全体の概念図であり、図8の(B)は、実施例5及び実施例6の金型組立体を含む射出成形装置全体の概念図である。 図9の(A)は、実施例1の金型組立体の変形例における第2の金型部のパーティング面12Aの模式的な部分的平面図であり、図9の(B)は、実施例2の金型組立体の変形例における第2の金型部のパーティング面12Aの模式的な部分的平面図である。 図10の(A)は、実施例1の金型組立体の変形例における第2の金型部のパーティング面12Aの模式的な部分的平面図であり、図10の(B)は、図10の(A)の矢印B−Bに沿った模式的な端面図である。 図11は、実施例1の金型組立体の変形例における図10の(A)の矢印C−Cに沿った模式的な端面図である。 図12の(A)は、実施例2の金型組立体の変形例における第2の金型部のパーティング面12Aの模式的な部分的平面図であり、図12の(B)は、図12の(A)の矢印B−Bに沿った模式的な端面図である。 図13の(A)は、実施例1の金型組立体の変形例における第2の金型部のパーティング面12Aの模式的な部分的平面図であり、図13の(B)は、図13の(A)の矢印B−Bに沿った模式的な端面図である。 図14は、実施例1の金型組立体の変形例における図13の(A)の矢印C−Cに沿った模式的な端面図である。 図15の(A)は、実施例2の金型組立体の変形例における第2の金型部のパーティング面12Aの模式的な部分的平面図であり、図15の(B)は、図15の(A)の矢印B−Bに沿った模式的な端面図である。 図16は、実施例2の金型組立体の変形例における図15の(A)の矢印C−Cに沿った模式的な端面図である。 図17の(A)は、実施例1の金型組立体の変形例における第2の金型部のパーティング面12Aの模式的な部分的平面図であり、図17の(B)は、図17の(A)の矢印B−Bに沿った模式的な端面図である。 図18は、実施例1の金型組立体の変形例における図17の(A)の矢印C−Cに沿った模式的な端面図である。 図19の(A)は、実施例2の金型組立体の変形例における第2の金型部のパーティング面12Aの模式的な部分的平面図であり、図19の(B)は、図19の(A)の矢印B−Bに沿った模式的な端面図である。 図20は、実施例2の金型組立体の変形例における図19の(A)の矢印C−Cに沿った模式的な端面図である。 図21の(A)及び(B)は、それぞれ、比較例1及び比較例2において、キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂内に中空部が形成された状態を模式的に示す金型組立体等の模式的な端面図である。
符号の説明
10,10A・・・金型組立体、11・・・第1の金型部(固定金型部)、12・・・第2の金型部(可動金型部)、12A・・・第2の金型部のパーティング面、13・・・射出用シリンダー、14・・・樹脂流路、15・・・溶融樹脂射出部、16・・・加圧流体導入部、17,17A,49・・・配管、18・・・キャビティ、19A・・・成形品キャビティ部、19B・・・オーバーフローキャビティ部、20・・・凹部、21・・・加圧流体排出部、30・・・溶融熱可塑性樹脂、31・・・中空部、40・・・加圧流体源、41,45,46・・・開閉弁、42・・・加圧流体バッファタンク、43・・・循環用コンプレッサ、44・・・冷却手段、47・・・圧力調整弁、48・・・減圧弁、50・・・加圧流体保存容器、51・・・配管、52・・・開閉弁、53・・・圧力調整弁、54・・・減圧弁、61,62・・・開閉弁、63・・・冷却手段、70・・・開閉弁

Claims (9)

  1. (A)第1の金型部、
    (B)第2の金型部、
    (C)第1の金型部と第2の金型部とを型締めすることで形成されるキャビティ、
    (D)キャビティに開口した溶融樹脂射出部、並びに、
    (E)加圧流体源に接続された加圧流体導入部、
    を備え、
    キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の流動方向の末端に相当する第2の金型部の部分には、キャビティに連通し、キャビティから溶融熱可塑性樹脂が部分的に流入する凹部が形成されており、
    溶融熱可塑性樹脂が到達しない該凹部の部分には、該凹部に開口し、且つ、外部に連通した加圧流体排出部が設けられており、
    加圧流体排出部と加圧流体導入部とを結ぶ加圧流体循環手段を有する金型組立体を用い、
    (a)加圧流体循環手段を不作動状態として、キャビティ内に溶融樹脂射出部を介して溶融熱可塑性樹脂を射出する工程と、
    (b)溶融熱可塑性樹脂の射出中、射出完了と同時、あるいは、射出完了後、加圧流体循環手段を不作動状態としたまま、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂の内部に加圧流体源から加圧流体導入部を介して加圧流体を導入し、以て、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂の内部に中空部を形成し、更には、該中空部と加圧流体排出部とを連通させる工程と、
    (c)加圧流体源からの加圧流体の導入を中止し、加圧流体循環手段を作動状態として、加圧流体循環手段から加圧流体導入部を介して中空部へ加圧流体を流し、加圧流体排出部から加圧流体循環手段へと加圧流体を戻しながら、キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させる工程と、
    (d)加圧流体循環手段を不作動状態として、中空部内の加圧流体を加圧流体排出部から排出した後、第1の金型部と第2の金型部とを型開きし、成形品を取り出す工程、
    から成ることを特徴とする、中空部を有する成形品の射出成形方法。
  2. 前記工程(c)において、加圧流体導入部に導入される加圧流体を加圧流体循環手段にて冷却することを特徴とする請求項1に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
  3. 前記工程(c)において、加圧流体導入部に導入される加圧流体の圧力を加圧流体循環手段にて制御することを特徴とする請求項1に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
  4. 前記工程(c)において、加圧流体導入部に導入される加圧流体の流速を加圧流体循環手段にて制御することを特徴とする請求項1に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
  5. (A)第1の金型部、
    (B)第2の金型部、
    (C)第1の金型部と第2の金型部とを型締めすることで形成されるキャビティ、
    (D)キャビティに開口した溶融樹脂射出部、並びに、
    (E)加圧流体源に接続された加圧流体導入部、
    を備え、
    キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の流動方向の末端に相当する第2の金型部の部分には、キャビティに連通し、キャビティから溶融熱可塑性樹脂が部分的に流入する凹部が形成されており、
    溶融熱可塑性樹脂が到達しない該凹部の部分には、該凹部に開口し、且つ、外部に連通した加圧流体排出部が設けられており、
    加圧流体排出部の下流に加圧流体保存容器を備えている金型組立体を用い、
    (a)キャビティ内に溶融樹脂射出部を介して溶融熱可塑性樹脂を射出する工程と、
    (b)溶融熱可塑性樹脂の射出中、射出完了と同時、あるいは、射出完了後、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂の内部に加圧流体源から加圧流体導入部を介して加圧流体を導入し、以て、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂の内部に中空部を形成し、更には、該中空部と加圧流体排出部とを連通させる工程と、
    (c)加圧流体源から加圧流体導入部を介して中空部へ加圧流体を流し、加圧流体排出部から加圧流体を排出し、排出された加圧流体を加圧流体保存容器に保存しながら、キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させる工程と、
    (d)加圧流体源からの加圧流体の導入を中止し、中空部内の加圧流体を加圧流体排出部から排出した後、第1の金型部と第2の金型部とを型開きし、成形品を取り出す工程、
    から成ることを特徴とする、中空部を有する成形品の射出成形方法。
  6. (A)第1の金型部、
    (B)第2の金型部、
    (C)第1の金型部と第2の金型部とを型締めすることで形成されるキャビティ、
    (D)キャビティに開口した溶融樹脂射出部、並びに、
    (E)加圧流体源に接続された加圧流体導入部、
    を備え、
    キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の流動方向の末端に相当する第2の金型部の部分には、キャビティに連通し、キャビティから溶融熱可塑性樹脂が部分的に流入する凹部が形成されており、
    溶融熱可塑性樹脂が到達しない該凹部の部分には、該凹部に開口し、且つ、外部に連通した加圧流体排出部が設けられており、
    加圧流体排出部の下流に開閉弁を備えている金型組立体を用い、
    (a)キャビティ内に溶融樹脂射出部を介して溶融熱可塑性樹脂を射出する工程と、
    (b)溶融熱可塑性樹脂の射出中、射出完了と同時、あるいは、射出完了後、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂の内部に加圧流体源から加圧流体導入部を介して加圧流体を導入し、以て、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂の内部に中空部を形成し、更には、該中空部と加圧流体排出部とを連通させる工程と、
    (c)加圧流体源からの加圧流体の導入を継続し、キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させる工程と、
    (d)加圧流体源からの加圧流体の導入を中止し、中空部内の加圧流体を加圧流体排出部から排出した後、第1の金型部と第2の金型部とを型開きし、成形品を取り出す工程、
    から成り、
    前記工程(b)において、中空部と加圧流体排出部とを連通させる直前に開閉弁は閉状態にあり、
    前記工程(c)において、開閉弁は閉状態のままであり、
    前記工程(d)において、開閉弁を開状態とすることで、中空部内の加圧流体を加圧流体排出部から排出することを特徴とする、中空部を有する成形品の射出成形方法。
  7. キャビティは、成形品を成形する成形品キャビティ部から構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
  8. キャビティは、成形品を成形する成形品キャビティ部、及び、該成形品キャビティ部に連通したオーバーフローキャビティ部から構成されており、
    前記凹部は、該オーバーフローキャビティ部に設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
  9. 凹部は円筒状であり、
    加圧流体排出部が設けられた凹部の部分の直径をD、凹部の深さをHとしたとき、H/Dの値は1.2以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
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