JP2005066823A - ガス注入ピン及び中空成形用金型 - Google Patents

ガス注入ピン及び中空成形用金型 Download PDF

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康公 鈴木
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Abstract

【課題】ガスインジェクション成形において、金型キャビティ内の溶融樹脂は、時間の経過と共に周りに熱エネルギーを奪われることによりスキン層が形成されるため、金型に接した厚いスキン層を破るための高いガス圧が必要であるという問題があった。
【解決手段】略円柱形の胴体部の一端に、胴体部よりも直径が大きい略円柱形のフランジ部の一端を合わせて一体的に形成し、胴体部の他端を尖らせて形成した頂点を通り、直径方向に形成した一定の幅と深さを有する溝と、溝の一部からフランジ部の他端に到達する少なくとも1つの切り欠きを有するガス注入ピンを用いて溶融樹脂中にガスを注入する。
【選択図】 図11

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金型キャビティ内に射出された溶融樹脂中にガスを注入するガスアシスト成形で用いられるガス注入(圧入)ピン及び該ガス注入ピンを用いた固定型と可動型からなる中空成形用金型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ガスアシスト成形法で用いられるガス注入ピンは、該ガス注入ピンを外筒体に挿入し、該外筒体を金型にセットして使用される。すなわち、前記ガス注入ピンと前記外筒体の隙間からガスを金型キャビティ内に注入するタイプのものである(例えば、特許文献1〜5参照。)。
【0003】
この種のガス注入ピンの先端を尖らせた場合、ガス注入ピンの先端は、溶融樹脂の熱エネルギーによって加熱され易い。このため、ガス注入ピンの先端部に形成されるスキン層(冷却固化が進み溶融樹脂の粘度が高くなった部分)は、薄くなることが知られている(例えば、特許文献6〜8参照。)。
【0004】
したがって、これらの先端を尖らせたタイプのガス注入ピンをガスアシスト成形法で用いた場合、外筒体との隙間から噴出したガスは、溶融樹脂が金型に接触して冷やされたことにより形成されたガスが噴出する近傍の厚いスキン層を破り注入されるか、或いはガス注入ピンに沿ってガス注入ピンとスキン層の間を進み、先端のスキン層の薄い部分に到達した後、金型キャビティ内の溶融樹脂内へ注入される。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−177668号公報
【特許文献2】
特開平3−164222号公報
【特許文献3】
特開平11−56518号公報
【特許文献4】
特開平11−320622号公報
【特許文献5】
実公平6−46652号公報
【特許文献6】
特開平9−309130号公報 (図1〜図3)
【特許文献7】
特開平5−293854号公報 (図3)
【特許文献8】
特開平10−217287号公報 (図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、金型キャビティ内の溶融樹脂は、時間の経過と共に周りに熱エネルギーを奪われることにより、金型キャビティに接している溶融樹脂から徐々に粘度が高くなり、スキン層が形成されるので、金型に接した厚いスキン層を破るための高いガス圧が必要となる。このため、樹脂成形品に反り・変形が発生するという問題があった。
【0007】
また、注入したガスが、ガス注入ピンに沿って進まず、金型に沿って進み(金型とスキン層の間、所謂パーティングに流れ込み)、成形品の表面にガスが流れた跡を形成して成形不良を発生させるという問題があった。これは、後述するGPIと同じような外観となる。
【0008】
そこで、本発明は、前記課題を解決すべく、最もスキン層が薄くガスの注入が容易であるガス注入ピンの先端からガスを直接供給して注入することができるガス注入ピンを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のガス注入ピンは、金型キャビティ内に突出して位置決めされ、射出された溶融樹脂中にガスを注入するガス注入ピンにおいて、該ガス注入ピンは、略円柱形の胴体部の一端に、該胴体部よりも直径が大きい略円柱形のフランジ部の一端を合わせて一体的に形成され、前記胴体部の他端を尖らせて形成した頂点を通り、直径方向に形成した一定の幅と深さを有する溝と、該溝の一部から前記フランジ部の他端に到達する少なくとも1つの切り欠きを有することにより、ガスを直接ガス注入ピンの先端部に送ることができ、最もスキン層が薄い先端部から溶融樹脂中にガスを注入することができるものである。
【0010】
請求項2に記載のガス注入ピンは、金型キャビティ内に突出して位置決めされ、射出された溶融樹脂中にガスを注入するガス注入ピンにおいて、該ガス注入ピンは、略円柱形の胴体部の一端に、該胴体部よりも直径が大きい略円柱形のフランジ部の一端を合わせて一体的に形成され、前記胴体部の他端を尖らせて形成した頂点を通り、直径方向に形成した一定の幅と深さを有する溝と、前記フランジ部の他端から前記溝までを貫通する少なくとも1つの孔を有することにより、ガスを直接ガス注入ピンの先端部に送ることができ、最もスキン層が薄い先端部から溶融樹脂中にガスを注入することができるものである。
【0011】
請求項3に記載のガス注入ピンは、請求項1または請求項2に記載のガス注入ピンにおいて、溝の幅が0.01mm以上0.10mm以下であることにより、溶融樹脂が溝に流れ込みにくく、ガスを溶融樹脂中に容易に注入することができるものである。溝に流れ込んだ溶融樹脂は、少量に抑えられているため、ガスを噴出時により溝から吹き飛ばすことができる。したがって、溝は常にきれいな状態を保つことができる。
【0012】
請求項4に記載の中空成形用金型は、固定型と、該固定型に対して接離する方向に移動する可動型と、該可動型および前記固定型からなる金型キャビティに突出して位置決めされたガス注入ピンとからなる中空成形用金型において、前記ガス注入ピンは、請求項1または請求項2に記載されたガス注入ピンであって、該ガス注入ピンを、その先端を前記移動型に向けて、前記固定型に植設したことにより、中空成形用金型のパーティングが開く前に、中空成形品からガス注入ピンが離れ、残留圧力をなくすことができるので、中空成形品の白化やバーストを防止することができる。
【0013】
請求項5に記載の中空成形用金型は、固定型と、該固定型に対して接離する方向に移動する可動型と、該可動型および前記固定型からなる金型キャビティに突出して位置決めされたガス注入ピンとからなる中空成形用金型において、前記ガス注入ピンは、請求項1または請求項2に記載されたガス注入ピンであって、前記可動型は、一部が前記金型キャビティを構成する固定板と、該固定板に対して前記方向と同方向に移動する移動板からなり、前記ガス注入ピンを、その先端を前記固定型に向けて、前記移動板に植設したことにより、中空成形用金型のパーティングが開く前に、中空成形品からガス注入ピンが離れ、残留圧力をなくすことができるので、中空成形品の白化やバーストを防止することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
〔射出成形機〕
まず、本発明に係るガス注入ピンが用いられる射出成形機について説明する。市販されている射出成形機の一部について、ガス注入装置の設置およびガス注入装置との信号線の接続等の改造を施すことにより、容易にガスアシスト成形法が実施可能な射出成形機とすることができる。
【0015】
当該射出成形機をガスアシスト成形法で用いた場合のフローチャートを図1に示す。図1に従って射出成形機と増設したガス注入装置のインターフェイスについて説明する。
【0016】
射出成形機の加熱筒内で加熱された溶融樹脂は、金型を閉じ、射出しても安全な状態が確認された後(ステップS1)、金型キャビティ内へ射出される。射出が開始されてから(ステップS2)、或いは、射出が完了(ステップS3)した後、直ぐに、或いは一定時間経過後(ステップS4)、ガス注入装置内のガスは、金型キャビティ内の溶融樹脂中に注入される(ステップS5)。ここで、一次射出完了後(ステップS3)に金型キャビティ内の溶融樹脂へ直接ガスを注入する場合は、ガス保圧と樹脂保圧の併用が可能である。
【0017】
金型キャビティ内の溶融樹脂に注入される大気圧以上の圧力を持つ大なる圧力のガスは、一定時間注入が続けられた後{ガス注入完了(ステップS6)後}、0〜一定時間圧力が保持される(ステップS7、ステップS8)。
その後、大気中へ放出(ステップS9)、または再使用を目的に回収される。
【0018】
大気中への放出完了信号(ステップS10)、または回収完了信号と、金型を開けることが可能であるとの信号は、ガス注入装置から射出成形機へ送られ、この信号を受信し、かつ金型の冷却完了及び計量完了等金型を開く条件が整うことにより(ステップ15)、射出成形機の金型は開かれ(ステップS16、ステップS17)、金型内の製品が取り出される。
【0019】
金型キャビティ内に溶融樹脂の射出完了後(ステップS3)、或いは保圧完了後(ステップS11、ステップS12)、射出成形機スクリューを初め設定しておいた場所まで強制的にリセス(後退,リセッション,サックバック)させ、金型キャビティ内の溶融樹脂の圧力を下げることで注入ガス圧力を更に低圧にすることができる。ガス注入の動作とは別に、リセス完了後に通常の計量動作や、金型の冷却等を開始する(ステップS13、ステップS14)。
【0020】
計量及び冷却等が完了した後(ステップS15)、金型開開始信号(ステップS16)、金型開の完了信号(ステップS17)、エジェクター前進信号等の信号の何れか1つを受けることにより、ガス注入装置及びGCP装置のシーケンサプログラムはリセットし、成形品が金型から取り出される。
その後、次の成形品の射出の準備に入り、前記した動作を繰り返す。
【0021】
図1には、1次射出完了後にガスを注入するフローチャート(a)と、2次射出完了後にガスを注入するフローチャート(b)を示している。成形品の形状等に応じて、選択的に使用される。
前記した一連の動作において、内容積可変金型(ブリージングトゥール)を用いて金型の一部の体積を増やすことにより、金型キャビティ内の溶融樹脂の圧力を下げ、ガス注入を容易にすることもできる。
【0022】
また、溶融樹脂が注入された金型のパーティングを開き、金型キャビティ内の溶融樹脂の圧力を下げ、ガス注入を容易にすることもできる。この場合のパーティングは当然のことながら、すり合わせ(見切り構造)であることが望ましい。図2に他のガスアシスト成形法のフローチャートをしめす。図1との相違点は、ガス注入装置の動作が溶融樹脂の射出開始直後(ステップS2)に開始される点のみである。すなわち、溶融樹脂の射出中にガスの注入を開始する。
【0023】
図3に他のガスアシスト成形法のフローチャートをしめす。図1との相違点は、ガス注入装置の動作が、溶融樹脂の保圧完了後(ステップS12)、射出成形機のスクリューを初め設定しておいた場所まで強制的に後退させ、スクリュー後退の後にガス注入が開始される点のみである。すなわち、スクリューを所定の位置まで少しの距離強制的に後退させ、金型キャビティ内の溶融樹脂の圧力を下げた後、ガスの注入を開始する。こうすることで、ガスの注入が容易になる。
【0024】
図3では、スクリュー後退やブリージングトゥール完了後にガス注入をするフローチャートをしめしたが、リセスやブリージングトゥール開始の直後に、ガス注入を開始しても良い。
また、図1〜図3には、溶融樹脂を保圧する場合をしめしたが、保圧が無い場合でも適用することができる。
【0025】
さらに、図1〜3に示したガスアシスト成形法は、ガスカウンタープレッシャー(GCP)との併用も可能である。
この場合の溶融樹脂は、発泡剤(超臨界状態のガスを用いる発泡剤も含む)を用いて起泡させた発泡性樹脂,ガラス繊維等を含む複合樹脂や、ポリマーブレンド,ポリマーアロイの場合も可能である。
【0026】
図4にGCPのフルショット法のフローチャートをしめす。
金型キャビティ内に発泡性樹脂を満たさないショートショット法においては、発泡性樹脂の金型キャビティ内への射出(充填)率は、95%以上あれば良い。
【0027】
また、異種多数個取り(例えば、ペアー取り)を行う場合、一方の成形品は図1のフローチャートに基づき、金型キャビティへの溶融樹脂の充填完了後(ステップS3)にガス注入を行い、他方の成形品は図2のフローチャートに基づき充填途中にガス注入を行う等が可能である。
【0028】
その他、小野産業やシスコが装置販売している加熱水蒸気を用いたHeat&cool成形法、射出圧縮成形(インジェクション・コンプレッション)、DSI(ダイスライド・インジェクション)、マルチコンポーネント(サンドイッチ成形法)等との組み合わせも可能である。
【0029】
〔ガス注入方法〕
次に、金型キャビティ内の溶融樹脂にガスを注入する方法について説明する。溶融樹脂にガスを注入する方法は、注入する圧力を予め設定して注入する所謂プレッシャーコントロール法(圧力制御法)と、溶融樹脂へ注入するガスの量(大気圧下の体積に換算)を予め計量して注入する所謂ボリュームコントロール法(容量制御法)とがある。
【0030】
プレッシャーコントロール法は、ポンプ等によって圧縮されたガスをタンク(蓄圧器)へ蓄え、レギュレータで圧力を設定してガスを注入する方法、或いはタンク内の圧力を注入圧力に設定しガスを注入する方法である。
【0031】
レギュレータで圧力を設定する方法は、タンク内の圧力を注入ガス圧以上に蓄圧して、レギュレータで注入圧力に設定して、注入弁を開き、金型キャビティ内の溶融樹脂にガスを注入する方法である。この方法は、金型キャビティ内の溶融樹脂に注入されるガスの圧力が一定で安定しているという特徴を有している。レギュレータを用いているため、タンク内の圧力が設定値以下に下がらなければ、注入されるガス圧力は一定だからである。
【0032】
一方、タンク内の圧力を注入ガス圧力に設定する方法は、溶融樹脂へのガスの注入によってタンク内に蓄えられた大なる圧力のガスは消費されるので、ガス注入が進み、中空部が拡大するにつれて、タンク内の圧力が低下する傾向がある。
【0033】
注入するガス圧は、成形品の形状や板厚によって大きく左右されるが、スチレン系樹脂の場合は1MPa以上、好ましくは5MPa以上、オレフィン系の樹脂の場合は表面の結晶化粘度が高くなるので、スチレン系樹脂より低い圧力で中空形成が可能となる。熱変形温度の高いエンプラや複合材等は高圧を必要とする。
【0034】
また、ボリュームコントロール法は、成形サイクル内での溶融樹脂に作用するガス圧力が一定にならないという問題を有している。
【0035】
前記した何れの方法でもガスアシスト成形は可能であるが、好ましくはレギュレータで圧力を設定する方法がよい。
図5に示すように、ボリュームコントロール法では、装置によって終わりの圧力が下がる場合があるからである。一方、図6に示すように、プレッシャーコントロール法のレギュレータを用いた場合は、安定した圧力のガスを供給できることがわかる。
【0036】
〔窒素ガス分離装置〕
次に、ガス注入装置で用いられる窒素ガスを分離して生成する窒素ガス分離装置について説明する。
【0037】
ガスアシスト成形法で用いられるガスは、不活性ガスが好ましく、窒素ガスが経済性及び安全性の点で優れており、一般的に使用されている。
しかし、窒素ボンベを購入して使用し、回収をしないで生産(成形加工)をした場合は、ランニングコストが高くなるという問題がある。
そこで、溶融樹脂内に注入した窒素ガスを回収し再使用する方法が提案されている。この方法は、回収された窒素ガス内に樹脂から発生した塵(例えば樹脂屑等)、揮発性の物質、気化したガス、酸素、水蒸気等が含まれているので、新しい窒素ガスを25体積%以上、好ましくは50体積%以上混合して使用すること等の対策が考えられる。
【0038】
しかし、実際使用した窒素ガスを回収して再使用すると、塵や酸素等の影響によって、ガスブースター(図7の12,13)、レギュレータ(図7の15、16)、圧入弁(図7の17、19)を傷めることがあるので、窒素ガスは回収しないで大気放出するのが好ましい。
【0039】
その他、安価に窒素ガスを得る方法として、液体窒素を購入し蒸発気化させる方法と、空気から窒素ガスを生成する方法があるが、後者がランニンングコストをより安価にできるという点で優れている。
【0040】
空気から窒素ガスを得るためには、酸素を取り除かなければならない。その方法として、PSA(活性炭吸着を利用した方式)、分離膜方式(例えば、宇部興産やDuPont製のポリイミド中空糸等の使用)等がある。前者は酸素濃度がかなり抑えられた窒素ガスを得ることができるが発生量が少ない。
【0041】
しかし、後者(分離膜方式)は、前者(PSA)よりも酸素の含有率が高いがランニングコストが安く、窒素ガスの発生量(分離量、製造量)が多いという利点がある。
低級な窒素ガスでもガス注入装置の部品、例えば、ガス圧縮装置をnon−OILタイプ、或いは低−OILタイプの使用等、部品を工夫すれば、ガスアシスト成形法で使用するガスとしては問題ない窒素ガス(酸素濃度が15体積%、好ましくは5体積%以下)を提供することができる。
【0042】
図8に、前記した分離膜方式を採用した窒素ガス分離装置の回路図をしめす。本窒素ガス分離装置は、ポリイミド中空糸等を用いて、空気中の窒素を捕集する装置である。
【0043】
図8にしめすように、図示しないエアーコンプレッサによって略1MPaに圧縮された空気は、オイルミストフィルタ1、活性炭フィルタ(チャコールフィルタ)2、更に活性炭の粉を取り除くフィルタ3等を介して、クリーンなエアーへと精製され、ヒーター4によって30〜50℃に暖められ、ポリイミド中空糸からなる窒素ガス分離膜5へと導かれ、分子運動の違いによって窒素ガスとその他のガス(酸素、二酸化炭素、水蒸気等)に分離される。
【0044】
ここでは、酸素濃度計6及びエアーの流量調整弁7を設け、窒素ガス分離膜5へのエアーの流量を調整することにより、分離された窒素ガス中の残留酸素の濃度をコントロールすることができる。分離された窒素ガスは、タンク8に蓄えられる。
【0045】
図8に点線で示すように、窒素ガス分離膜5を並列に設置するのが望ましい。並列に設置することにより、窒素ガスの発生量を多くすることができるだけでなく、一方の窒素ガス分離膜の運転を停止せずに他方の窒素ガス分離膜のメンテナンスができる等の利点があるからである。
【0046】
本窒素ガス分離装置では、略1MPaに圧縮されたエアーから、圧力は略0.6MPa、酸素含有量は5体積%以下の窒素ガスを生成することができる。酸素濃度を更に下げるには分離した窒素ガスを更に窒素ガス分離膜を通す等、直列設置するのが良い。
【0047】
〔窒素ガス増圧装置〕
次に、前記窒素ガス分離装置で生成した窒素ガスを増圧する窒素ガス増圧装置について説明する。
【0048】
後述するガス注入装置は、面積比を利用したガスブースター、高圧コンプレッサー、または注射器のようなピストンタイプのガス圧縮装置により圧縮されたガスを金型キャビティ内の溶融樹脂中に注入する。
【0049】
これらのガス注入装置は、供給する不活性ガス、例えば窒素ガスの圧力が高い方が運転に有利となる。即ち早く昇圧を完了することができる。
【0050】
図9に窒素ガス増圧装置の回路図をしめす。
図8のタンク8に蓄えられた窒素ガスは、ガスブースター9によって、1MPa近く{日本の規制(例えば、高圧ガス保安法等)では、1MPa以上を高圧ガスと定義されているので、1MPa未満とした。}に増圧され、タンク10に蓄えられる。タンク10には、接点付きの圧力計11が配され、タンク10内の圧力が設定圧力以下になった時にガスブースター9が作動してタンク10内を昇圧させる。
【0051】
タンク10内の窒素ガスは、作業エリア(射出成形機が設置されているエリア)内に張り巡らせられた配管へと送り出される。作業エリア内の各射出成形機、或いはその近くには、窒素ガスが取り出せる口(例えば、ワンタッチカプラ)が設けられている。
【0052】
図9には、2系列の増圧回路がしめしてあり、例えば一方のガスブースター等にトラブルが生じても、バルブの切り替えにより片方だけでも運転が可能である。つまり、一方のガスブースターが動作しなくなっても生産をストップさせないような考慮がなされている。
【0053】
〔ガス注入装置〕
次に、前記窒素ガス増圧装置で加圧した窒素ガスを、金型キャビティ内の溶融樹脂中に注入するガス注入(アシスト)装置について説明する。
図7にガス注入装置の回路図をしめす。
【0054】
前記配管から取り出された窒素ガスは、ガスブースター12及びガスブースター13によって昇圧され、タンク14に蓄えられる。
タンク14内の圧力は、一般的に、図示しない圧力計によって監視される。この圧力計は、ガス供給を停止する上限値の監視と、ガス供給の開始、即ちガスブースターの作動が開始する下限値の監視と、該下限値よりもさらに圧力が低下している状態を監視している。前記下限値よりもさらに圧力が低下している状態であって、ガス注入の工程に入るためのガスユニットの準備が整っていない場合には、射出成形機はサイクルスタートすることができない仕組みになっている。
【0055】
ガスブースターの作動は、タンク14内の圧力(下限値)を検知して開始するだけでなく、溶融樹脂の射出開始、射出完了(充填完了、あるいは保圧の完了)、ガス注入の開始、あるいは終了、の何れの信号で開始しても良い。勿論、これらの場合もガスブースターは、タンク14内の圧力を監視して、設定値(上限値)に達すれば停止する仕組みになっている。
【0056】
タンク14に蓄えられた窒素ガスは、金型のキャビティ内に射出された溶融樹脂の内部及び/又は外部へ注入され、溶融樹脂中に中空部等を形成するために使用される。溶融樹脂中に注入するガス圧は、レギュレータ15及び/又はレギュレータ16によって設定することができる。
【0057】
注入するガス圧とタンク14内の圧力との関係は、タンク14内の圧力を注入するガス圧よりも高く設定し、ガス注入が開始され、タンク14内のガスが消費されても注入ガス圧以下にならないように設定することが望ましい。
【0058】
また、タンク14よりも下流のガスが通る配管の内径は、注入するガスの圧損が少ない内径であればよく、一般的にはφ1.5以上、好ましくはφ3以上の高圧ステンレス等の配管が使用される。
【0059】
さらに、圧入弁17、19以降の配管の長さは、短い方が圧損が少ないので10m以内、更に好ましくは5m以内とすることが望ましい。
レギュレータ15及びレギュレータ16もCv値が小さいと圧損を生じるので、0.05以上、好ましくは0.1以上であることが望ましい。
【0060】
また、本ガス注入装置の安全対策としては、圧入弁17,19と、大気放出弁201、202をノーマルクローズとし、装置内に温度計を設け、火災等によって異常に温度が上昇した場合にタンク14内の圧力を開放するために圧入弁17,19および大気放出弁201、202を開けるようにする。更に、ガス注入装置内の配管の一部が外れる等のトラブルにより、ガスが外に漏れ、タンク14内が一定時間内に昇圧が完了しない場合は、強制的にガスブースターの駆動エアーおよび電源の供給が停止する構造となっている。さらに、ガスブースターの運転時間の積算計等メンテナンスに必要な情報が得られる構造になっている。
【0061】
図7において、ガスブースターを複数使用しているのは、多段で圧縮を繰り返し、ガスの製造量を多くすること、ガスブースターへの運転負荷を低減させるためである。さらに、図8と同様に2系列がしめしてあるが、これは、例えば片方のガスブースター、レギュレータ、注入バルブにトラブルが生じてもバルブの切り替えで片方だけでも運転を可能とするためである。
【0062】
また、図7に示すガスブースター12、13は、前記した面積比を利用したエアー駆動方式(例えば、米国ハスケル社製のガスブースター)を使用しているが、油圧駆動方式(例えば、米国ハイドロパック社製のガスブースター)や、電動駆動方式、高圧のコンプレッサー(例えば、独国のバウアーコンプレッサー)や、プランジャーポンプ、圧縮シリンダでの置き換えも可能である。
【0063】
また、図8の窒素ガス分離装置と、図9の窒素ガス増圧装置は固定式、図7のガス注入装置は移動式とし、ガス注入装置を必要に応じて成形機の側へ手動で、或いはフォークリフト、クレーン等で運んで使用する方が、作業性や安全性の面からは好ましい。
【0064】
成形機の側で、原料となる窒素ガスと、運転のためのエネルギー(電気とエアー等)の供給を受け、成形機と接続(図1〜3、及び図4の信号は射出成形機とガス注入装置及び/又はGCP装置との互いのシーケンサによる制御)した方が、前記ガス注入装置を必要な時にのみ使用できる等の効率的な運転が可能となるからである。
【0065】
さらに、金型とガス注入装置とのガス注入回路は、ステンレスの細管でも可能であるが、疲労破壊の危険性を考えると、フレキの高圧ホース{例えば、ASK製の油圧ホースやサーモプラスチックホース(商品名)の流用}を使用した方が安全性は向上する。
【0066】
〔ガス注入のパターン〕
次に、前記ガス注入装置による、窒素ガスの注入パターン(多段注入)について説明する。
図7にしめしたガス注入装置は、バルブ(弁)の操作によって圧力を多段とすることができる。例えば、レギュレータ15、16を異なる圧力に設定し、バルブ203を開、バルブ18を閉として、バルブ204開とし、圧入弁17、19の開及び/又は閉のタイミングをコントロールすると、注入のガス圧力のプロファイルは2段となる。この部分の回路を同様に増設することにより3段以上の注入が可能となる。
【0067】
多段注入をする場合、注入バルブの切り替え時に圧力が変動(一時低下等)するという問題が生じるが、本ガス注入装置においては、バックプレッシャーレギュレータ205を設置することで解決している。
【0068】
成形用樹脂としてポリプロピレンに代表されるオレフィン系樹脂を用いて多段注入により成形した場合、成形品の外観は、ガス注入による特有のガスフローマークの発生はなく、きれいにすることができる。
【0069】
具体的には、金型キャビティ内に溶融樹脂としてのポリプロピレンを注入した後、該溶融樹脂中に高圧でガス注入を行い、幾分か圧力を下げてガス注入を行うのである。また、GPIの場合には、初めに低圧でプレスした後、圧力を高めてプレスする場合がある。
【0070】
また、図7にしめしたガス注入装置は、注入するガスの圧力を一定にして注入することが可能である。さらに、バルブの操作と注入弁の作動プログラムの設定によって、初めが高圧で、徐々に圧力を下げて、或いは初めの高圧よりも更に圧力を上げてガス注入することも可能である。
【0071】
さらに、ガス注入ピンを複数有する場合には、其々のガス注入ピンに異なる圧力のガスを噴出させることができる。この場合、ガス噴出(注入)のタイミングをずらしてガスを注入することもできる。
【0072】
したがって、図7にしめすガス注入装置は、ガス注入タイミングと圧力パターンを組み合わせて溶融樹脂中にガスを注入することができる。
【0073】
この圧力パターンの設定は、電動レギュレータ(例えば、米国TESCOM社製)を使用すると容易にできる。レギュレータ15及びレギュレータ16は、上部に設けられたエアーまたは電動のアクチエーターを使用することで容易に圧力プロファイルの設定ができる。
【0074】
〔ガス注入ピン〕
次に、本発明に係るガス注入ピンを詳細に説明する。
本発明に係るガス注入ピンは、金型キャビティ内に射出された溶融樹脂中にガスを注入するガスアシスト成形(中空成形,中空射出成形,中空発泡成形)で用いられるガス注入(圧入)ピンである。ここで、前記溶融樹脂には、物理発泡剤及び/又は化学発泡剤を含んでいても良く、本発明で金型キャビティ内へ射出充填された溶融樹脂内へガス注入とは、GPIのように外部からの場合も含むものである。
【0075】
(第1実施形態)
図10は、本発明のガス注入ピン100を金型112、金型106に組み付けた時の側面図である。説明を容易にするため、ガス注入ピン100以外の金型112等は断面図にしている。また図11は、ガス注入ピン100の側面図、図12は図11のガス注入ピン100を上方から見た図、図13は図11のガス注入ピン100を下方から見た図である。図14はガス注入ピン100を挿入して金型にセットする外枠体102の断面図である。
【0076】
図10では、ガス注入ピン100が外枠体102に挿入され、金型112、金型106に設置されているが、図15のように外枠体102の形状を金型112に直接加工して、ガス注入ピン100を設置することもできる。
【0077】
図11にしめすように、ガス注入ピン100は、直径がBである胴体部101と、直径がCであるフランジ部105からなり、胴体部101の一端と、フランジ部105の一端がそれぞれの中心線が略一致するように一体的に形成されている。
【0078】
本実施形態においては、ガス注入ピン100は、右ピン103及び左ピン104の2部品から構成される半割り構造になっている。つまり、前記中心線に沿って(軸方向に)左右対象に2つに分割された構造になっている。これら右ピン103及び左ピン104は、合わせて、ガス注入ピン100を構成し、図14にしめす外筒体102に挿入して、図10にしめすように金型112等にセットされる。
【0079】
前記した右ピン103及び左ピン104の後端部(他端)には、図10にしめすように、金型106のガス供給路107から供給されるガスを導き易くする為に、略円錐状の面取り108が設けられている。
【0080】
また、先端部110には、右ピン103及び左ピン104の先端部をそれぞれ切削等し、該切削部を合わせることで形成される隙間111が設けられている。この隙間111は、右ピン103及び左ピン104が対向する面をそれぞれ例えば、0.015mmずつ切削した場合は、図11における寸法A=0.03mmとすることができる。
【0081】
溶融樹脂中にガスを射出するための隙間111の寸法Aは、溶融樹脂の侵入を防ぐため大きくすることはできないが、小さすぎるとガスの供給に支障をきたす。したがって、0.01mm≦A≦0.10mmであることが望ましいが、加工性及び溶融樹脂へのガスの注入性を考慮すると0.03mm≦A≦0.05mmであることがより望ましい。
【0082】
右ピン103及び左ピン104には、前記面取り108及び前記隙間111を連通させるために、それぞれミゾ109が形成されている。
【0083】
金型106のガス供給路107から供給されたガスは、フランジ部105に形成された面取り108から、2つのミゾ109が形成する孔を通って先端部110に形成された隙間111に到達し、先端部110に接して形成されたスキン層を破って溶融樹脂中に注入することができる。
【0084】
図10にしめすように、金型106とガス注入ピン100の間には、ガス漏れを防止するためのOリング133が設けられている。
【0085】
右ピン103及び左ピン104が形成する先端部110は、図10および11にしめすように、尖らせてあり、溶融樹脂の熱エネルギーによって容易に暖められる。これにより、先端部110近傍の溶融樹脂の冷却固化が進みにくい(スキン層の形成が遅れる)ため、低い圧力でスキン層を破ってガスを容易に溶融樹脂中に注入することができる。
【0086】
然も本発明のガス注入ピン100は、最もスキン層の薄い先端からガス噴出構造を持たせてあるので、前記特許文献1〜5記載のガス注入ピンを用いた場合より更に低圧でガス注入が可能となる。即ち注入ガスの圧力が低いことで、成形品内部の残留応力が少なくできる。
【0087】
(第2実施形態)
以下に、本発明に係るガス注入ピンの他の実施形態を詳細に説明する。
図10にしめした第1実施形態との相違点はガス注入ピンのみであるため、ガス注入ピンのみ図示して説明する。尚、同一部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0088】
図16はガス注入ピン115の側面図であり、図17は図16を上方から見た平面図である。
図16及び図17にしめすように、ガス注入ピン115は、胴体部101と、フランジ部105から構成され、胴体部101の一端とフランジ部105の一端がそれぞれの中心線を略一致させるように一体的に形成されている。
【0089】
胴体部101の他端は、尖らせており、その頂点134を通り、直径方向に溝(スリット)135が形成されている。すなわち、胴体部101の他端を尖らせたことにより形成された頂点134を取り除くように、軸方向に一定の深さをもち、一定の幅Aを持つ溝135が直径方向に形成されている。
この溝135は、先端部110からガスを噴出するためスリットであり、図11における隙間111に相当するものである。また、その加工は、ワーヤーカット等の方法によって行うことができる。
【0090】
一方、フランジ部105には、幅がDのガスを通すための切り欠き116が形成され、胴体部101には、略同じ幅Dの切り欠き(Dカット、D面取り)113が形成されている。
該切り欠き113は、溝135の一部まで形成されているため、フランジ部105の他端と溝135が切り欠き116及び切り欠き113によりつながる構造になっている。
【0091】
切り欠き113の幅及び深さは、ガスが安定して供給できるものであれば問わない。例えば、図16では幅がDの切り欠き113及び切り欠き116をしめしたが、切り欠き116の幅が切り欠き113の幅よりも大きくても構わない。
【0092】
また、図16には、切り欠きが2箇所ある例をしめしたが、ガスが供給できれば、連続した切り欠き116及び切り欠き113は1箇所(一方)だけでも良い。また、図18にしめすように、切り欠き113の替わりに、溝135に通じる孔210であっても良い。図18においては、孔210が1つの例が示されているが、2つ以上形成されていても良い。
【0093】
前記した構造を有するガス注入ピン115を外筒体102に挿入することにより、金型106から供給された流体、例えばガスが、切り欠き116から切り欠き113を通って溝135に流れるため、溶融樹脂中に容易にガスを注入することができ、第1実施形態と同様な作用効果を奏することができる。
【0094】
また、前記したガス注入ピン115等の構造は、押し出しピン(エジェクターピン、Eピン、E/Jピン)を用いてガスを注入する他の構造に対しても適用することができる。
【0095】
(第3実施形態)
以下に、本発明に係るガス注入ピンの他の実施形態を説明する。
図10にしめした第1実施形態に係るガス注入ピン100との相違点を図示して説明する。尚、同一部分については同一の符号を付して説明を省略し、相違点のみ説明する。
【0096】
図19はガス注入ピン119の側面図である。
ガス注入ピン119は、右ピン120及び左ピン121と、右ピン120と左ピン121間に設けた複数の絶縁層117と、右ピン120と左ピン121をその先端部110で繋ぐ導線118から構成される。
【0097】
また絶縁層117は、外筒体102とガス注入ピン119間にも設けられる。このような構造にして、右ピン120のフランジ部105から左ピン121のフランジ部105へ電流を流すことにより、先端部110を加熱することができる。
【0098】
前記した図10にしめしたガス注入ピン100の先端部110は、溶融樹脂の持っている熱エネルギーによって加熱される。しかし、時間経過と共に、溶融樹脂の冷却固化が進むにつれて温度が下がるため、スキン層が除々に形成されていく。
【0099】
図10にしめしたガス注入ピン100は、冷却固化が進んだ時点でガスを注入する場合や、より低いガス圧でガス注入する場合は、ガス注入ピン100の先端部110のスキン層(冷却固化層)は薄い方が良いため、前記針体119を用いることにより、一度形成されたスキン層を再溶融等して注入するガス圧力を下げることができる。
【0100】
図示を省略したが、右ピン120及び左ピン121への配線は、後端部であるフランジ部105に対して行えばよく、図14にしめした外筒体102に配線の逃がし部を設けてOリング等で密閉すればガスの流出を防ぐことができる。
【0101】
(第4実施形態)
図20に第4実施形態に係るガス注入ピンの側面図をしめす。説明を容易にするため、上記したこれまでの説明と同じく、ガス注入ピンを構成する外筒体125は断面としている。
【0102】
第1実施形態でしめした図10との相違点は、ガス注入ピン100及び外筒体102の先端部110がフラットになっている点のみである。
【0103】
したがって、ガス注入ピン122を構成する右ピン123及び左ピン124の先端部がフラットになるように加工されている。
本実施形態は、GPIに用いるガス注入ピンをしめしている。ガス注入ピン115でも同様な構造を取ることができる。
【0104】
(第5実施形態)
以下に、本発明に係るガス注入ピンの他の実施形態を詳細に説明する。
図10にしめした第1実施形態に係るガス注入ピン100との相違点のみ図示して説明する。尚、同一部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0105】
図21は、ガス注入ピン100の側面図、図22は、図21を上方から見た平面図である。
図21にしめすように、ガス注入ピン100のフランジ部105の他端から孔130があけられており、さらに、先端部110には孔130よりも直径が小さい穴129があけられている。
【0106】
孔130及び穴129は連通しているため、供給されたガスをガス注入ピン100の頂点にだけ供給することができる。
【0107】
穴129の直径Aは、溶融樹脂の流れ込みを少なくし、かつ、ガスの注入を容易にするため、0.01mm≦A≦0.10mmにするのが望ましい。より好ましくは、0.03mm≦A≦0.05mmである。この寸法にしておけば、穴129に入り込む溶融樹脂の量を少なくすることができ、入り込んだ溶融樹脂は、次のガスの注入時に吹き飛ばすことができるため、常に穴129の掃除(セルフクリーニング効果)をすることができる(穴が詰まらない)という効果がある。セルフクリーニング効果は、ガス注入ピン100、115、119、122の場合でも期待できる。
【0108】
前記した実施形態は、ガス注入ピンが1本の場合をしめしたが、ガス注入ピンは2本以上の複数本設置することが望ましい。
ガス注入ピンを複数にするとGPIの場合も含め成形品に作用させる(注入する)ガス圧力を低くすることができ、ガス圧力が低いと成形品の内部応力及び型締め力を小さくできるという効果があるからである。
【0109】
〔ガス注入ピンの製造方法〕
次に、ガス注入ピン製造方法について説明する。
本発明に係る前記したガス注入ピンの材質は、ステンレス鋼、ダイス鋼、高速度鋼、合金工具鋼、マルエージング鋼、銅合金等が使用可能である。具体的には、SKH51、SKD61、YAG300、MAS1C等が使用される。
また、加工法は、旋削、切削、研削、放電(WEDM含む)等を使用する。
【0110】
図10、図19等にしめした半割り構造のガス注入ピンは、汎用旋盤またはNC旋盤を用いて、外筒部及び全長及び端の尖らせた形状部を仕上げる。その後、加工機にて直接チャックするか、もしくは専用の冶具を用いてピンをチャックし汎用フライス、NCフライス、またはマシニングセンターにて半割り体に削り落とす。この加工方法では1本のピンより2個の半割り体(右ピン120及び左ピン121)を製作するのは不可能であるため1セット分の加工には2本のピンが必要となる。
【0111】
また、半割り体のフライスでカットした面は精度(公差±5μm)を要するため最終的には平面研削盤にて寸法を整えるのが望ましい。
ガスを導くための円錐状の面取り及び、先端部と連通させるための溝は最終工程として汎用フライス、NCフライス、またはマシニングセンターにてφ2mm以下の工具を用いて加工する。または切削抵抗によるピンの変形を考慮すると放電(EDM)にて加工する方法もある。また加工精度的にはラフな部分ゆえリューターを使って手仕上げでも構わない。
【0112】
その他、特殊な加工方法として、最近ではワイヤー径φ0.03mmの線が使用可能なワイヤーカット加工機がある。この加工機を用いることで、1本のピンより2個の半割り体が製作できる。しかし、この方法では放電ギャップを最小の0.01mmに設定したとしても隙間幅は0.05mmとなり隙間幅設定に余裕がなくなってしまう。そこでこのような加工の場合はレーザー加工を用いるのが望ましい。レーザー加工は0.01mm以下の溝幅設定ができるので、1本のピンより2個の半割り体が製作できると共に、隙間0.01mm≦A≦0.10mmの設定が可能となる。
【0113】
先端にガススリット形状(ガス注入ピン115)を持つピンは半割り体のピンと同様にワイヤーカットまたは、レーザー加工にて加工する。
また、先端に細穴(φ0.01mm〜φ0.1mmの穴)を持つガスピンの加工は、ナノレベルの細穴加工機、または細穴放電加工機を用いる。
【0114】
また、本発明に係るガス注入ピンの先端部は、例えば、PVD、CVD等の方法によって熱伝導率が高いDLC(ダイヤモンド・ライク・コーティング;CVDのよる加工ではDLCは熱伝導率の良いダイヤモンド構造を持つ。然しPVD加工によって得られたDLCの熱伝導率は低い。)、SiC(炭化珪素)等のコーティング(表面処理)や、熱伝導率が低いTiN(窒化チタン)、TiC(炭化チタン)、AlN、CrN、CrC等のコーティングが必要に応じてなされる場合もある。
【0115】
DLCに代表される熱伝導率が高いコーティングを施した場合は、溶融樹脂の熱エネルギーを吸収して容易に昇温する。逆に熱伝導率の低いコーティングを施した場合は、溶融樹脂の熱エネルギーはコーティングによって伝導しにくいので、溶融樹脂の粘度低下(冷却固化)が遅くなる。
【0116】
何れの場合もガス注入ピンの先端部に接して形成されたスキン層を薄くすることができるので、低圧でガスを注入することができる。
【0117】
ガス注入ピンを構成する材料が、ガス等により腐食し易い場合、即ち溶融樹脂から腐食性の物質(ハロゲンガス、酸性の気体や液体、発生期の酸素等)の発生が懸念される場合には、オーステナイト,マルテンサイト,フェライト系ステンレスに代表される耐蝕性の優れた材料、或いは化学Ni鍍金等のプレーティングを行う必要がある。
コーティングがDLCの場合、化学Ni鍍金の上のDLCは、DLCの密着性を大きく向上させることができる。
【0118】
〔ガス注入ピンを有する中空成形用金型〕
以下に、本発明に係るガス注入ピンを有する中空成形用金型を詳細に説明する。
中空成形用金型の材質は、一般的なものであれば良く、具体的には、S55C、NAK55、NAK80、HPM1、HPM2、HPM7、HPM38、HPM75、YAG300、SKD11、SKD61、銅合金(MP15、HIT75、HR750)、アルミ合金(YH75等)等を使用することができる。
【0119】
(第6実施形態)
射出成形において、成形品の金型からの離型は、金型のパーティングが開いた後に行う(エジェクタを開始する)。ガス注入ピンは、一般に可動型(可動側の金型)から固定型(固定側の金型)に向けて立てられている(植設されている)ため、エジェクタを開始したときに初めて成形品とガス注入ピンとが分離される。
【0120】
しかし、パーティングが開く時点で大気開放が十分ではなく、ガス注入回路、成形品中空部に残圧が残っていると、今まで金型のパーティング閉では抑えられていた力が開放され成形品を抑える力がなくなるため、中空内の残圧が成形品を白化したり、バーストしたりする。
【0121】
この問題を解決するために、ガス注入ピンは、パーティングが開く時に成形品から離れる方向、即ち固定側から可動側に向かって立てることが望ましい。スプールランナーからガス注入する場合においても同じである。
【0122】
具体的には、図10、図15および図25に示すように、ガス注入ピンが植設されていることが望ましい。すなわち、ガス注入ピンの先端部を上方に位置する図示しない可動型に向けて金型キャビティに突出させ、金型106および金型112からなる固定型にガス注入ピンを位置決めするのである。
この構成の中空成形用金型を用いることにより、成形品の白化及びバーストを防止することができる。
【0123】
(第7実施形態)
また、本発明に係る中空成形用金型は、ガス注入ピンを可動側から固定側へ向かって立てざるを得ない場合には、図23及び図24にしめすように、パーティングの開と連動させてガス注入ピン100が成形品から離れる可動式の構造を持たせることができる。
【0124】
図23は、ガス注入ピン100が成形品から離れる前をしめす図であり、図24は、ガス注入ピン100が成形品から離れた後をしめす図である。
説明を容易にするため、可動型を構成する固定板126、可動板127及び金型106を断面図にしている。
【0125】
図23において、ガス注入ピン100は、可動板127に挿入され、ガス注入ピン100と可動板127は、ガスを供給する金型106に固定されている。
該金型106は図示しない油圧若しくは空気圧シリンダを用いた昇降機構により昇降するように構成され、昇降機構が動作しない場合は、図24にしめすように、バネ128により下方に押しつけられている。
【0126】
つまり、図示しない固定型に対して、固定板126、可動板127、金型106及び前記昇降機構からなる可動型が接離する方向に移動可能であり、さらに、固定板126に対して、前記昇降機構により可動板127、金型106が前記接離する方向と同方向に移動可能に構成されている。
【0127】
中空成形用金型が図23及び図24にしめした構成を伴う場合は、パーティングが開く前にガス注入ピン100が成形品から離れ、成形品内部のガスを大気中に放出し、残留の圧力をなくすことができる。これにより、成形品の白化、バースト等の問題を解決することができる。
【0128】
(第8実施形態)
本発明に係る中空成形用金型は、図25にしめすようにガス注入ピン100に加振構造(2〜10万ヘルツ)を持たせることもできる。
【0129】
金型106には、超音波振動子131が設けられており、該超音波振動子131とガス注入ピン100の下端がシャフト132でつなげられている。
また、金型112にセットされた外枠体102とガス注入ピン100の間にはシリコン製のOリング等が設けられ、金型106とガス注入ピン100の間にも同じOリングが設けられている。これらのOリングは、ガス注入ピン100が上下方向(軸方向)に振動してもガスが漏れない働きをするものである。
【0130】
超音波振動子131で発生した振動を、シャフト132によりガス注入ピン100に伝達すると、ガス注入ピン100の先端部に接触して形成されたスキン層は発熱するため、スキン層が柔らかくなる。このため、ガスを溶融樹脂中に容易に注入することができる。
【0131】
(第9実施形態)
本発明に係るガス注入ピンをスプールランナー或いはゲート近傍に設置した場合は、注入ガスの圧力を高くしなければならないが、中空率は大きくなる。
【0132】
スプールランナーからガスを注入する目的は、▲1▼成形品にガス注入ピンの跡(痕)を付けたくない時、▲2▼スプールランナーの肉厚が厚いため、スプールランナーの冷却固化に時間がかかり、成形品の生産性がスプールランナーの冷却固化の速度に律速されてしまう時、▲3▼透明品等で中空にしたくないが生産性を上げたい等の理由によってスプールランナーだけにガス注入を実施し、スプールランナーの冷却を早くする時等である。
【0133】
スプールランナーを中空化させると離型時に折れやすくなるので、コーナーRやC面を取ったりして離型時のスプールランナー折れのトラブルを回避する方法を講じる必要がある。
【0134】
その他の実施形態を以下に簡単に説明する。
本発明に係るガス注入ピンを溶融樹脂の流動末端に設置した場合は、注入ガスの圧力を低くでき、その結果、成形品内部の残留応力は少なくなり、反り・変形の少ない成形品が得ることができる。
【0135】
また、ガスの注入を容易にするためには、図26にしめすように成形品内部へガス注入を行う際には、ボスを立て、その中心付近にガス注入ピンを設置することが望ましい。さらに、最も冷却固化の遅い部分、即ち周辺に比べて肉厚が厚い部分が最適である。
【0136】
また、図27にしめすように、ボスを設けずにガス注入を行う際にはガス噴出の位置が冷却固化が最も遅い板厚の中心付近にあることが望ましい。特許第2954898号にしめされるガス注入ピンの場合も同様のガス注入の位置は冷却の遅い部分が望ましい。
【0137】
上述したように本発明のガス注入ピンは、図28にしめすようにエジェクターピンを用いてガス注入を実施するにも使用できるし、勿論エジェクターピンを用いてのGPIのガス注入ピンとしての使用も可能である。また、不必要になる溶融樹脂を逆流させること、即ちスプールランナーをダミー形状として利用することも、溶融樹脂を移送させる専用ダミーの形状を設けることも可能である。
【0138】
また、固定側取付板と可動側取付板の間に、固定側型板、ランナーのストリッパープレートおよび可動側型板をこの順序で設けた3枚型構造の金型の場合には、ストリッパープレートにガス注入ピンを設ける構造が望ましい。この構造により、成形品のパーティングが開く前に成形品からガス注入ピンを離すことができ、成形品内やガス注入回路内のガスを大気中に放出し、残留圧力をなくすことができるので白化やバーストの回避ができる。
【0139】
さらに、固定側取付板と可動側取付板の間に、固定側型板、ランナーのストリッパープレートおよび可動側型板をこの順序で設けた3枚型構造の金型において、スプールランナーにガス注入ピンを設ける場合は、固定側取付板からガス注入ピン立てる(植設する)ことが望ましい。この構造により、成形品のパーティングが開く前にガス注入ピンは離れ、残留の圧力をなくすことができるので、白化やバーストの回避ができる。
【0140】
また、第1実施形態から第5実施形態で説明したガス注入ピンは、スライドコアに立てることもできる。この場合は、同様に金型のパーティングが開く前、即ち成形品を押え付ける力がなくなる前にガス注入ピンが成形品から離れる構造にする必要がある。ここで、スライドコアとは、成形品のアンダーカット処理をするための金型構造をいう。
【0141】
〔金型の表面処理〕
前記したDLC等のコーティングは、溶融樹脂が流れる(溶融樹脂と接する)金型表面にも適用することができる。
金型表面の全てをコーティングすると、金型キャビティ内の溶融樹脂の流動性を高めることができる。また金型表面の一部にコーティングすると、その部分の溶融樹脂の粘度の低下を抑制することができる。
【0142】
例えば、金型表面に熱伝導率の悪いコーティングを施した場合、金型表面を流れる溶融樹脂は、前記熱伝導率の悪いコーティングによって熱移動が阻害され、溶融樹脂の温度低下が遅くなる。逆に、金型表面に熱伝導率の良いコーティングを施した場合、金型表面を流れる溶融樹脂は、前記熱伝導率の良いコーティングによって熱が奪われ易くなり、溶融樹脂の温度低下が早くなる。
実際に、金型に窒化クロムのコーティングを施した場合、溶融樹脂の金型内での冷却時間の短縮を確認することができた。
【0143】
熱伝導率の悪いコーティングの上に、更に熱伝導率の良いコーティングを施した場合、金型キャビティ内に射出された溶融樹脂の熱は、熱伝導率の良いコーティングに伝わるが、下地の熱伝導率の悪いコーティングによって熱伝導は阻まれ、溶融樹脂の熱的作用によって金型表面が熱せられる。その結果、溶融樹脂の流動性が増す。金型に施すコーティングの厚さは1μm以上が望ましい。
【0144】
溶融樹脂の流動性を増加させる他の方法として、シボ模様の付加がある。
シボの大きさにも左右されるが、深さ30μm程度の梨地シボ(例えば、棚沢八光社のシボパターン見本TH−112〜TH−121程度で可)を金型に施すと、溶融樹脂の流動性を良くすることができる。
【0145】
その理由は、シボが施された面を溶融樹脂が流れると、シボと溶融樹脂との間に、複数の細かな気泡ができ、この気泡によって断熱層(熱境膜と類似するもの)が形成されるからである。
【0146】
この気泡は、シボが施された面を溶融樹脂が流れた時、シボの谷部にあった空気が溶融樹脂の流動によって押出されることなく、溶融樹脂と金型との間に入る(残る)ことにより形成される。
【0147】
シボ加工を金型の化粧面に施すのは一般的に行われているが、前記した梨地程度のシボ加工を化粧面ではない裏面の少なくとも一部に実施することで、金型キャビティ内の溶融樹脂の流動性を向上させ、中実成形時の保圧効果、ガスアシスト成形時のガス保圧効果等を向上させることができる。
化粧面ではない裏面にシボ加工を施すに際し、成形品が金型から離型する場合の障害とならない箇所を選択すべきことは言うまでもない。
【0148】
前記したコーティングや、シボ加工又は後述するWPCの様な処理は、金型キャビティ面のみならず、ホットランナーのノズル、マニホールド内、成形機加熱筒バレルやスクリューにも適用が可能である。
【0149】
ホットランナーのノズルやマニホールド内にコーティングやWPCを含むシボ加工等を施した場合、樹脂の焼けや分解による成形品の色むら、焼け、異物等不良を低減することができる。また、バレルやスクリューに施した場合も同じ効果が得られる他に、溶融混練性を増すことができる。
【0150】
硝子繊維等が含有した複合材では、硝子繊維の浮きによる外観の低下が問題となっていたが、金型に前記したようなコーティング又はシボ加工を施すことにより硝子繊維の浮きを少なくすることができる。GCPとの併用によって更に効果を増すことができる。
【0151】
溶融樹脂の流動性を増す為の他の手段として、成形加工時に溶融樹脂温度を高く設定することが考えられる。しかし、樹脂の分解による変色や、異物不良の発生といった問題点を含んでいる。また、滑剤の添加も可能ではあるが、樹脂の製造コストのアップ等の問題点があり、決して経済的ではない。
【0152】
ガスアシスト成形では、溶融樹脂の粘度の低い部分、即ちコーティングがなされた部分にガスが流れ、中空部を形成するので、上記した表面処理を用いれば、所謂ガスチャンネルという太いリブ等の形状を設ける必要がなくなる。
【0153】
〔シーケンシャル制御とホットランナー〕
(ホットランナー)
本発明のガス注入ピンと併用して使用可能なホットランナーは、特開2002−200650号公報に代表される方式が採用される。該公開特許公報に記載されたホットランナーは、溶融樹脂のバネ性(射出時における溶融樹脂の振動)が金型キャビティ内の溶融樹脂へ持ち込まれ、サザナミ(波)やシルバー・ストリークといった成形不良を誘発する恐れがあるという問題を有する。
【0154】
この問題は、図29にしめすように、ホットランナーの先部にバネの振動を吸収する空間200を設けることにより解決することができる。それぞれのノズル(マニホールドを除く)の全容量を100とした場合に、空間20はその容積は15%以上、好ましくは20%以上取る必要がある。
【0155】
また、マニホールドの途中に振動吸収の空間を設けることで、更に効果が増す図29にしめしたような溶融樹脂のバネ性を吸収する空間を設けることができるホットランナーシステムは、市販されているモールドマスターズ、ハスキー、Incoe(インコー)、Dynisco(ダイニスコ)、YUDO(ユートー)、世紀、FISA、東洋ガス機工、十王等にも適用することができる。
【0156】
(シーケンシャル制御)
シーケンシャル制御において、ガスによる保圧の場合は、射出成形機のシリンダからの樹脂保圧をする必要がない。このため、異種多数ヶ取り金型においてゲートを切り替え次々と射出するシーケンシャル制御のみならず、射出成形機の最大射出容量を越える大きな製品の場合、射出して直ぐに計量して再び直ぐに射出するようなシーケンシャル制御や、異種多数ヶ取り金型で全製品量に相当する樹脂を計量して次々と其々の成形品キャビティへと射出して行くシーケンシャル制御に用いるホットランナーは、ローターリーバルブ,シャットオフバルブゲート付で、然もガス注入による溶融樹脂及び/又はガスの逆流(浸入)を防止する機構をもっていることが望ましい。
前記したホットランナーは、一般の中実成形、発泡成形にも使用可能であることは言うまでもない。
【0157】
異種多数個取りのシーケンシャル成形時において、充填量のバラツキは製品精度におよぼす影響が大きく成形不良となりやすい。そこでホットランナーの各ノズルにおける充填量のバラツキをなくすため、均一な温度分布による樹脂抵抗の低減を図るとともに、バルブピン摺動抵抗低減の狙いから、その表面に樹脂との非粘着性に優れるテフロン処理等の表面処理を施す。またバルブピン動作スピードの観点から、バルブピン駆動用シリンダの内面にも、テフロン含有の低摩擦表面処理を施すことが望ましい。
【0158】
図30に示すように、ホットランナーのマニホールドに用いる鋼種は構造用炭素鋼、ダイス鋼、高速度鋼、ステンレス鋼、銅合金、合金工具鋼、亜鉛合金、アルミ合金、ニッケル合金、超硬合金、セラミック等が用いられる。機械加工および研削加工により作製された上記各種金属およびセラミックのブロックにおいて、ホットランナーに要求される流路形状とマニホールド昇温用温調回路穴を2つに分割した形状を切削、放電、研削、鋳造加工にてブロック表面上に加工する。
【0159】
また、図31に示すように、ブロック211およびブロック212に温調回路穴の代わりにヒーター用の掘り込みミゾを加工することで、従来のヒーター方式のマニホールドにも対応可能で、流路形状と温調回路はCAE解析により最適値の選択も可能である。
こうして製作された2つのブロック211、212の間に、図32に示すように、CuやNi等の金属ろう材213を挟み込み、真空炉内で昇温させることにより、金属ろう材213のみを熔(溶)融拡散させ、ブロック211、212を接合することにより一体化させてマニホールドを製作することができる。従来の2分割製作方法では、上下ブロックがボルト締結であった為、接合面からの樹脂漏れの可能性が高かったが、ろう付けで接合することにより機密性が上がり、樹脂漏れを無くすことができる。また、ボルト締結と併用することで、樹脂漏れをより確実にすることができる。
【0160】
また、万が一樹脂が漏れた場合、その異常に素早く気付くように、マニホールドを組み込むプレートの掘り込みから地側に向けてミゾを設置しておくことが望ましい。
マニホールド内の樹脂流路には、樹脂流動の改善を図る為、必要に応じテフロン含有のコーティングやDLC等の低摩擦コーティング、また(株)不二機販のWPC等の表面処理を行うことができる。
【0161】
ノズルは、図33にしめすように内筒214、外筒215とゲートブッシュ216、カラー217の4部品と、接合に用いるろう材で構成されている。
内筒214は、内部に樹脂流路、外周には温調の為のミゾが形成されている。その材質は、構造用炭素鋼、ダイス鋼、高速度鋼、ステンレス鋼、銅合金、合金工具鋼、亜鉛合金、アルミ合金、ニッケル合金、超硬合金等が使用樹脂ごとに用いられ、旋削、切削、放電(WEDM含む)、電鋳、鍛造等により加工される。
【0162】
外筒215は、内筒の放熱を防ぐ為、チタンやセラミック等の熱伝導率の低い材質が用いられ旋削、切削、放電、鍛造等により加工される。
前記内筒214および前記外筒215は、ろう材としてCuやNi等を用いた真空ろう付けの技術にて一体化される。図34にその断面をしめす。
【0163】
前記ゲートブッシュ216の材質は、構造用炭素鋼、ダイス鋼、高速度鋼、ステンレス鋼、銅合金、合金工具鋼、亜鉛合金、アルミ合金、ニッケル合金、超硬合金等である。ゲートブッシュと金型との嵌合部には、使用樹脂の種類(結晶性、非結晶性)により、熱伝導の良い銅合金や銀、または熱伝導の悪いチタンやセラミック等の材質で製作されたカラー217が上記ろう付けによりゲートブッシュと一体化される。このとき、熱膨張差の緩和を図る為、ろう材部分の厚みは0.5mm以上とすることが望ましい。
【0164】
ノズル内の樹脂流路も、樹脂流動の改善を図る為、必要に応じテフロン含有のコーティングやDLC等の低摩擦コーティング、またWPC等の表面処理を行うことができる。
【0165】
別に金型の入子(金型キャビティの表面)に一部にWPCを施す(成形品でガスを導きたいところに部分的に)と、射出された溶融樹脂と、WPCが施された金型キャビティ表面との隙間に空気の断熱層が形成され、結果WPCの処理が施されていない他部分に比べ金型キャビティ内に射出された溶融樹脂温度は下がらずに、ガスは選択的にその部分(溶融樹脂温度が高い部分、即ち溶融樹脂の粘度が低い部分)を流れ、中空を形成しガスチャンネルとしての効果を齎するので、敢えて太いリブ等のガスチャンネルを設ける必要がない。WPCと同じ様な効果は上述したシボ加工を施すことや、熱伝導率の悪いコーティングを施すことでも可能である。
【0166】
マニホールドおよびノズル温度制御は、マニホールドおよびノズルに設けられた温調回路に、圧力と温度が調整された水蒸気、または水や油等の液体、空気等の気体を循環させることにより、マニホールドおよびノズルの温度管理を行う構造とで温度制御を行い、今まで必要とされていた各種ヒーター類が不要となる為、断線や焼損といった問題を解決できる。ノズル部においてはノズルの小径化につながりノズル設置位置の自由度が向上する。また、従来のヒーター方式では、ヒーター寿命を上げる観点から電源投入時にはフルパワーでの昇温ができず、ソフトスタート機能が必要となっていた。本発明のホットランナーではその必要がない為、ホットランナー内樹脂の昇温が素早く完了すること等の効果があり、成形段取り時間の短縮という経済性が認められる。
【0167】
市販のホットランナーではヒーター電源のON/OFFのみによる温度コントロールなので、設定温度以上に加熱された場合自然冷却に頼るしかなく、余熱により更に樹脂温度が上昇する。その結果、樹脂焼け、樹脂分解、ガスの発生等がみられ、結果成形不良の原因にもなっていた。前記課題を解決する手段として特開2002−200650号公報にみられるような流体による強制冷却構造の導入が望ましくその基本構造を図35にしめす。
【0168】
ガスアシスト成形時には、ガスは樹脂粘度が低く、圧力の低いところを選択して流れる性質があるため、ホットランナーノズル部(ゲート)からホットランナー内へ、更には成形機加熱筒内で流れ込み易く、その結果次ショットでのショートショット、シルバーストリークといった成形不良の発生につながる。その対策として、図36のようにゲート直下への冷却回路400を設置することができる。逆に、図37のようにゲート直下以外の入子部分にヒーター500を設置し、ガスをそこに強制的に導き、ゲート部分に流れないような構造とすることも可能である。
【0169】
それ以上確実に逆流防止を要求される場合は、特開2002−200650号公報にみられる、逆流防止構造を導入することが望ましくその基本構造を図38および図39にしめす。
【0170】
〔スプルーブッシュの冷却〕
1次スプルーはコールドで、部分的にホットランナーを用いる場合や、コールドランナーの場合、樹脂流動抵抗の観点および製品品質向上のために1次スプルーは、太く設定することが望ましい。しかし、その反面、スプルー部の冷却が遅く、成形サイクルの延びに直結することになる。一般的な1次スプルーの構造を図40にしめす。スプルーブッシュはPL側の一部のみをインロー構造として、他の部分を組み付け性の観点からその部分にスキマを設けることが多かった。そのため、そのスキマ部分が空気の断熱層となり、プレート等への熱放散を妨げる要因となり、冷却時間がかかっていた。また、効果的に冷却を行う方式として以前から図41にしめすような、水等の流体600をスプルーブッシュ内に循環させる構造が知られているが、Oリング601部分からの水漏れ等の問題が多く発生して量産には向かないという問題を有する。
【0171】
そこで、図42に示すスプルーブッシュを用いることにより、組み付け性を損なうことなく冷却を効果的に行え、更に水漏れ等のトラブルを解決することができる。成形機ノズルタッチ部と樹脂流路部を備え、その外周に冷却のための流体が循環するミゾ形状を有する内筒604と、その外側に位置する外筒602と、それら2つを拡散結合するろう材603から構成されている。
【0172】
内筒と外筒の材質としては、構造用炭素鋼、ダイス鋼、高速度鋼、ステンレス鋼、銅合金、合金工具鋼、亜鉛合金、アルミ合金、ニッケル合金、超硬合金等が使用樹脂ごとに用いられ旋削、切削、放電(WEDM含む)、電鋳、鍛造等により加工される。
こうして作製された2つのパーツはろう材にCuやNi等を用いた真空ろう付けの技術等を用いて一体化される。
【0173】
このような加工法を用いれば温調の回路は1系統だけでなく、2系統以上を設置することも可能であることから、素早く昇温/冷却が可能となり、成形に最適な温度へのコントロールが可能となる
【0174】
〔コアピン〕
発泡成形や、ガスアシスト成形法では、成形収縮率が大きいので、一般に実施されているように可動側からコアピンを立てると、エジェクタの段階でコアピンの先端が最後に成形品から離れる。このため、コアピンが折れる危険性が高い。
【0175】
この問題を解決するため、コアピンは固定側に立てること、スライドコアの場合にはパーティングが開くまでに作動するスライドコアに立てることが望ましい。
可動側や成形収縮の影響を受ける形状のスライドコアに立てる場合には、マルエージング鋼{YAG(商品名)}を溶体化処理(処理条件=1,000℃〜800℃の温度範囲内で、好ましくは不活性ガスの存在の元、30分〜4時間程度加熱して、空気中で冷却)後に機械加工して、400℃〜500℃の範囲の最適な温度で、4〜6時間程度加熱し、油冷して時効(自硬)処理して、靭性を持たせたピンを使用するのが望ましい。
【0176】
更にコアピンを折れにくくするには、図43にしめすような二重構造を持たせたものが最適である。図43にしめすように、コアピン201は、図示しない金型にセットされ、その先端部205が金型キャビティに突出している。該コアピン201は、部品202と部品203の間に隙間204を持たせてあるので、ピン先端205の横方向からの折れる力が加わっても部品202が部品203との隙間204内で曲がり、力を吸収するので、コアピンは折れない。
部品203はハイス鋼を、部品202は前記したようなマルエージング鋼の溶体化処理、並びに自硬処理を施すことで、靭性が更に高くなり、折れにくくなる。
【0177】
図44にしめす製品形状の成形品(平均の板厚5mm)を、成形材料として変性PPE{旭化成工業(株)製 変性PPE XYRON 100Z(商品名)}を用い、成形法として発泡成形と上述したガス注入ピンを用いたガスアシスト成形法とを融合させた発泡ガスアシスト成形法を用いて成形した。成形収縮率は6.8/1,000あった。
【0178】
この成形品を成形するに当たり、材質がSKH51(ハイス)で熱処理して硬度(HRC)=58〜60とした図45にしめす一体で加工したコアピン206を用いた場合、1500ショット程度で折れた。
【0179】
しかし、溶体化・自硬処理を施し、硬度(HRC)52〜54とした図43にしめす二重構造を持ったコアピン201を用いた場合、650000ショット以上成形を繰り返しても折れることがない。
【0180】
前記した同様な理由から、図10にしめしたガス注入ピン100を可動側から立てる場合、前記コアピン201と同様に材料としてマルエージング鋼を使用し、溶体化,自硬処理等を施すと成形加工時にガス注入ピン100の折れを防止することができる。
【0181】
〔ガス注入の作用と効果〕
成形品にガスを作用させる、即ち中実成形品にガスアシスト成形法を適用すると、体積収縮分(ABSに代表される非晶性スチレン系樹脂の場合は5〜8%前後、PPに代表される結晶性樹脂の場合は10〜15%程度)に見合う中空が形成させるので、使用する材料を低減することができる。特に厚肉成形品、例えば、車両のエアースポイラー等肉厚成形品の場合、内部を中空にすることで材料の大幅な低減・軽量化をすることができるため効果が大きい。
【0182】
また成形品の内部及び/又は外部(例えば、コンツール、GPI等)から作用させるガス(圧縮性の物体)は、パスカルの原理が働くことと、形成される中空部に応力が吸収されることや、中空部にヒケが吸収されること等なので、成形収縮率を略一定にすることが可能となる。即ち、溶融樹脂による保圧ではなく、ガスによる保圧なので、パスカルの原理に基づいて略均一な圧力が作用した、寸法精度の高い成形品を得ることができる。
また成形品へ直接ガス注入する場合は、溶融樹脂による保圧とガスによる保圧の併用も可能である。
【0183】
上述したように、成形品に発生する歪(残留応力)の多くは、中空部に吸収され、反り・変形の少ない成形品を得ることができる。その結果、生産準備段階(金型の立ち上げの段階)でのトライの回数低減,トライ後の金型修正の工数低減等を鑑みれば大幅な金型製作費用の低減を実現することができる。
中空部を主に冷却に時間がかかる厚肉部に設けることで、成形品の冷却固化を速くすることができる。さらに、ガスにより溶融樹脂の流動支援効果を得ることができる。溶融樹脂のピーク圧が出ない程度に金型キャビティ内に溶融樹脂を射出(ショートショット)した後、ガスの作用によって充填(パッキング)させることも可能なので、その場合型締め力が従来の中実成形法(ソリッド成形法)に比べて半分以下での射出成形加工が可能となり、加工費の低減といった経済的効果や、型締め力を少なくできるので省エネルギー(マキシマイザープラン)となる。
【0184】
金型へは大きなストレスがかからないので、金型の材質は安価なモノを用いることができる。肉厚部を中空にすることで、外観不具合のヒケが成形品表面に現れないので、部品の一体化等が可能である。
【0185】
発泡成形法を初め、DSI(商品名),SPモールド(商品名),heat&cool,インモールド成形法との組み合わせも可能である。ガスアシスト成形法では異種多数ヶ取りが簡単にできる=其々の金型キャビティに必要な保持圧を必要な時間だけガスによってかけることが容易となる等の効果を得ることができる。
【0186】
〔金型入子〕
ガスアシスト成形における金型(特に入子)は、熱伝導率を高くすることで、金型表面に接する溶融樹脂の冷却固化は早く高粘度となり、溶融樹脂の内部は未だ冷却が進まない低粘度であることから、中空の形成を容易にすることや、中空率をUPすること、薄肉成形品へのガス注入ができる。熱伝導率を高くするための材質として、アルミニウム(Al)を45質量%以上、及び/又はCuを45質量%以上、及び/又は銀(Ag)が10質量%以上含む金属で金型キャビティを構成する入子等の全部或いは一部を製作するのが望ましい。
【0187】
図44にしめす製品の金型入子を、鉄(Fe)を主成分とし、鋼材{KPM1(商品名)}と、熱伝導率が高いAlを主成分と材料{アルクイン300(商品名)}とで、其々金型(コア側)の入子を製作し、ABSを用い成形加工した結果、KPM1の場合に比べ、アルクイン300の場合は、金型内冷却時間が約35%短縮できることが確認できた。
上述したようにガスアシスト成形法(発泡射出成形や発泡射出成形とガスアシスト成形法との併用を含む)では、型締め力が少なくて済むことでAl合金のような機械的強度がFeを主成分とする材料よりも低い場合でも使用可能である。
【0188】
これらの入子形状部の加工は、マシニングセンターやNCフライスを用いることができる。その際のエンドミルはφ2mm以上の工具を使用し、平面加工、等高線加工、曲面投影加工、プロファイル3D加工等のプログラムパスを用いて加工する。
【0189】
また、当然のことながら、細部形状や角出しは放電加工(EDM)を用い、孫入子用のポケット、オープン部は放電加工(EDM)やワイヤーカット(WEDM)を用いて加工する。入子は角物ばかりではなく、丸物(ピン)等の加工は汎用旋盤、NC旋盤での加工となる。その他、入子の外寸を整えるため、平面研削盤、円筒研削盤を、精度が必要な形状部には冶具研削盤、プロファイル研削盤、成形研削盤を用いて加工する。
【0190】
〔入子冷却回路製作方法〕
入子には、射出された溶融樹脂をキャビティ形状に固化安定させるため、冷却用回路が設けられる。しかし、現状ではその穴をドリル等の回転工具で加工することが多く、冷却穴の形状としては、図46にしめすような直線的な回路しか設定できなかった。
【0191】
しかし、最近の製品形状は、3次元曲面が多く用いられるため、従来の工法では製品形状に沿った冷却回路の設置は困難であった。そのため製品の冷却状況にバラツキが生じ、その結果内部応力や収縮の差となって現れ、製品品質に悪影響を及ぼす。
【0192】
そこで、以下に、製品形状に沿った冷却回路の設置が可能となる入子の製作方法をしめす。まず初めに、図47のように製作予定の入子を2つに分割し、その分割面に入子形状に沿った冷却穴を2分割した形状または片側にその形状全てを、それぞれ各種エンドミル等により切削、または放電により加工して、その後2分割された入子の間にCuやNi等のろう材を挟み込み、真空炉内で拡散ろう付けを行うことにより一体化する。このようにして入子の冷却回路を製造する。
【0193】
また、図48にしめすように、上記工法により一体化された冷却回路部350のみを入子部材351に嵌合することによっても同様の効果が得られる。この場合には、嵌合部に熱伝導に優れるサーモグリス等を塗布することが望ましい。
【0194】
〔塗装・印刷〕
成形品は、必要に応じて公知の方法を用いて公知の塗料を使用して塗装が施される。塗装成形品のリサイクルでは、塗膜が成形品と相溶性を待たせた樹脂によって構成されている塗料を用いることが有効であると判断され、詳細に付いてはWO97/38838公報に詳細が述べられている。
【0195】
〔リサイクル〕
本発明に係るガス注入ピンを用いた成形法は、バージン材を用いたガスアシスト成形法のみならず、リサイクル材、或いはリサイクル材を含むバージン材のガスアシスト成形法にも適用が可能である。
【0196】
〔発泡剤〕
本発明に係るガス注入ピンを用いたガスアシスト成形法は、発泡成形法と融合させることができる。
【0197】
発泡成形法は、物理的な方法と化学的な方法とに大別され、物理的な発泡の例としては、機械的な撹拌によって起泡(発泡)させたり、溶融樹脂中に揮発性の溶剤を注入し、加熱することで気化させて発泡させる方法で、一方化学的な発泡の例は、化学反応を起こさせ、発生してくるガスを利用する方法等がある。一般的には、取り扱いやすさの観点から、発泡剤を用いる場合が多い。
【0198】
発泡剤は、物理発泡剤と化学発泡剤とに分類され、前者の物理発泡剤の例としては、上述した超臨界状態の炭酸ガスや窒素ガス、気体の炭酸ガス、窒素ガス、空気、水蒸気、水等に代表される無機系の液体や気体、ジクロルエタン、メチレンクロライド、フロンガス等のハロゲン化炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、オクタン、ガソリン等の炭化水素、エタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、エチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル類等に代表されるの低沸点溶剤、或いは上記低沸点溶剤を熱可塑性樹脂シェル内に封入した発泡性カプセル等有機系の液体や気体がある。
【0199】
後者の化学発泡剤の例としては、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム等に代表される重炭酸塩、炭酸アンモニウム等に代表される炭酸塩、亜硝酸アンモニウム等に代表される亜硝酸塩、Ca(N等に代表されるアジド化合物、ホウ水素化ナトリウム等に代表される水素化合物、Mg,Al等の軽金属に水や酸、アルカリを作用させて水素ガスを発生させる組み合わせ、シリカゲルや、吸水性の大きな樹脂ペレットの水を含ませ、成形機加熱筒内での加熱溶融の段階で水蒸気を発生させ発泡剤として使用するケース、マカロニペレットや、発泡剤を含む樹脂をペレット化した発泡ペレットを水に浸漬して含水させた含水ペレット等は、無機系化合物の発泡剤である。
【0200】
一方、有機化合物の発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、バリウムアゾジカルボシキレート、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、P、P’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジッド)、パラトルエンスルホニルヒドラジッド、ジアゾアミノベンゼン、N、N’−ジメチルN、N’−ジニトロソテレフタルアミド、ニトロウレア、アセトン−P−トルエンスルホニルヒドラゾン、P−トルエンスルホニルアジド、2,4−トルエンスルホニルヒドラジド、P−メチルウレタンベンゼンスルホニルヒドラジド、トリニトロソメチレントリアミン、P−トルエンスルホニルセミカルバジド、オキザリルヒドラジド、ニトログアニジン、ヒドラジカルボンアミド、トリヒドラジノトリアジン等、アゾ化合物、ヒドラジン誘導体、セミカルバジド化合物、アジ化物、ニトロソ化物、トリアゾール化合物等が例示される。
【0201】
〔ガスアシスト成形法及び発泡射出成形に必要な設備〕
射出発泡成形には、発泡剤を熱分解等させて起泡させることで、溶融樹脂の圧力が高くなってくること、また溶融樹脂内に発泡ガスを加圧溶解させること、圧力を掛け気泡体積を小さくすること、即ち高背圧で可塑化する必要がある。
【0202】
特に射出成形機の加熱筒内へ予め超臨界状態にした炭酸ガスや窒素ガス等を導き、超臨界のガスとして溶解させる場合、成形機加熱筒の圧力と温度によって超臨界状態を作り出す場合等には、射出成形機の加熱筒先端のノズル部から溶融樹脂が漏れるので、これを防止する目的で、シャットオフノズルを用いる方が良い。
【0203】
ガスアシスト成形法の場合、スプールランナー及び/又は成形品へ直接ガス注入すると、スプールランナー内の溶融樹脂(メルト)は逆流してしまうことや、ガスが逆流し成形機加熱筒まで進入して、スクリューを押し下げ、最悪の場合、ホッパーから溶融樹脂を吹き上げるトラブルが懸念される。この問題を解決するには、シャットオフノズルやボールチェックノズルを用いる。
【0204】
シャットオフノズルは、油圧作動式のシャットオフノズル、空気圧作動式のシャットオフノズル、油圧作動式のロータリーノズル、空気圧作動式のロータリーノズル、バ
ネ方式のシャットオフノズルや、油圧作動式のホットランナーバルブゲート、空気圧作動式のホットランナーバルブゲート、バネ方式のホットランナーバルブゲート等が使用可能で図64〜68に例示してある。それ以外には図69及び図70にしめすシャッター付きや、ローターバルブ式のシャットオフノズルの使用も可能である。図71は、ボールチェックノズルで、スプールランナーや、金型キャビティへ直接ガス注入する際に使用し注入ガスの成形機加熱筒内への浸入を防止する。
【0205】
〔成形収縮率〕
熱可塑性樹脂は、加熱溶融すると、体積は増し、冷却固化されると体積は減ずる。係る現象から射出成形用金型を設計・製作するに当たり、予め体積減少分を見込んで、金型を製作する。
実際の射出成形加工では、上述したように製品の形状、金型の温度、熱伝導率の違い等の理由によって、成形収縮率に差が生じるが、金型の製作に当たり、成形収縮率は縦(X軸方向)、横(Y軸方向)、高さ(Z軸方向)同一の値を用いて金型を設計する。X軸方向、Y軸方向、Z軸方向それぞれに異なる成形収縮率を設定しても構わないが、金型の設計と製作が複雑になってしまうという問題がある。
【0206】
本発明における成形収縮率は、
成形収縮率(千分率)=(実際の金型寸法−成形品のでき上がり寸法)/実際の金型寸法によって定義する。
ガスアシスト成形法,発泡成形法,ガスアシスト成形法と発泡射成形法との融合成形法,ガスアシスト成形法と他の成形法(例えば射出圧縮成形機等)では成形収縮率はX,Y,Z方向何れも略同一であることが確認されている。
【0207】
成形収縮率は成形条件(金型表面温度,溶融樹脂温度,冷却時間等)によって異なる(一般的には、金型表面温度が高いほど,溶融樹脂温度が高いほど,金型内での冷却時間が短いほど成形収縮率は大きくなる。)が、ABS樹脂の場合を例にすると、3.8〜7.8‰であり、発泡セルや、中空部が存在することで、応力は吸収され、X,Y,Z方向の成形収縮率は略一致した。
【0208】
〔熱可塑性樹脂〕
樹脂成形品の材料として使用する熱可塑性樹脂としては、一般的に成形に用いられている熱可塑性樹脂であれば種類を問わない。
【0209】
熱可塑性樹脂を例示すれば、スチレン系単量体を重合せしめてなるポリスチレン系樹脂、例えばポリスチレン(PS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS,HiPS)、ニトリル系単量体、スチレン系単量体との共重合体であるスチレン系樹脂、例えば、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS)、ニトリル系単量体・スチレン系単量体・ブタジエン系ゴムからなる樹脂、例えば、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)や、アクリロニトリル・オレフィン系ゴム・スチレン共重合体(AES,AbS)、アクリロニトリル・アクリル系ゴム・スチレン共重合体{AAS(ASA),AbS}等のスチレン系樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等に代表されるポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性PPE及び変性PPe、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のエンジニアリングプラスチック、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル樹脂、塩化ビニル(PVC)等のビニル系樹脂等、或いは前記熱可塑性樹脂の二種以上の混合物である。
【0210】
尚、樹脂成形品の材料として特に有用であるのは、ポリスチレン系樹脂、ニトリル系単量体(例えばシアン化ビニル系単量体)・スチレン系単量体(例えばスチレン化ビニル系単量体)との共重合体、PPE、幹部分がブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム等のジエン系ゴム、オレフィン系ゴム、アクリル系ゴムからなるグラフトゴムを含むABS、AAS(ASA)、AES、EPM−AS、EPDM−AS、AbSや、幹部分がジエン系ゴム、オレフィン系ゴム、アクリル系ゴムからなるグラフトゴムを含むHIPS、HiPS或いはABS、AbS等及び/又はHIPS、HiPSを含む変性PPE、変性PPe、PP、ABS、AbS等及び/又はHIPS、HiPSとPC、PA、PBT、PSF、PEI等との混合物、ポリマーブレンド、またはポリマーアロイである。
以下に前記熱可塑性樹脂のいくつかに付いて詳細な説明を行う。
【0211】
(スチレン系樹脂)
本発明が対象とするスチレン系樹脂とは、重合体中にスチレン系単量体を少なくとも25重量%以上含有する樹脂であり、スチレン系単量体の単独重合体、または該スチレン系単量体の二種以上の共重合体、該スチレン系単量体と該スチレン系単量体と共重合可能な他の単量体の一種、または二種以上との共重合体、前記ジエン系ゴムに前記スチレン系単量体の単独もしくは二種以上をグラフト重合せしめたグラフト共重合体、前記スチレン系樹脂と前記ジエン系ゴムとのミクロブレンド或いはポリマーブレンド等が包含される。
【0212】
前記スチレン系樹脂の代表的なものとしては、スチレン単独重合体であるポリスチレン(PS)、前記ジエン系ゴム、アクリル系ゴム、オレフィン系ゴムにスチレンをグラフト重合したゴム状重合体とポリスチレンとのブレンドポリマーである耐衝撃性ポリスチレン{HIPS(HIPSは、樹脂に機械的物性を付与する目的で添加したゴム材料がブタジエンゴム、またはブタジエンゴムを主成分としたモノ),HiPS(、樹脂に機械的物性を付与する目的で添加したゴム材料がオレフィン系ゴム及び/又はアクリル系ゴム、またはこれらの飽和のゴムを主成分としたモノ)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS)、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・α―メチルスチレン共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、スチレン・メチルメタクリレート共重合体、スチレン・エチレン共重合体、スチレン・エチレン・プロピレン・ブタジエン共重合体に、ジエン系ゴム、アクリル系ゴム、オレフィン系ゴムにアクリロニトリル系モノマーとスチレン系モノマーとをグラフト重合したグラフトゴム重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とのブレンドポリマー、塩素化ポリエチレンとアクリロニトリル・スチレン共重合体との混合樹脂であるACS、オレフィン系ゴムにアクリロニトリルとスチレンとをグラフト重合したオレフィン系ゴム含有のアクリロニトリルとスチレンとの3元共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体との混合樹脂であるAES(AbS)、アクリル系ゴムにアクリロニトリルとスチレンとをグラフト重合したアクリル系ゴム含有のアクリロニトリルとスチレンとの3元共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体との混合樹脂であるAAS(AAS,AbS)、アクリロニトリル・ジメチルシロキサン・スチレン共重合体とアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂との混合樹脂であるASiS等がある。此処でABSは、樹脂に機械的物性を付与する目的で添加したゴム材料がブタジエンゴム、またはブタジエンゴムを主成分としたモノで、AbSは樹脂に機械的物性を付与する目的で添加したゴム材料がオレフィン系ゴム及び/又はアクリル系ゴム、またはこれらの飽和のゴムを主成分としたモノをいう。
【0213】
{ポリフェニレンエーテル(PPE)系樹脂}
本発明が対象とするPPE系樹脂の代表的なものとしては、2,6−キシレノールを銅触媒で酸化重合して得られるポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)があるが、更に2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテルと2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレンエーテルとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体等がある。また前記PPE系樹脂にスチレン系樹脂及び/又はアミド系樹脂等で変性したものも本発明の変性PPE系,変性PPe系樹脂に含まれる。
変性PPEとは、前記HIPS及び/又はABSとPPEとのポリマーアロイ・ポリマーブレンド、変性PPeとは前記HiPS及び/又はAbSとPPEとのポリマーアロイ・ポリマーブレンドをいう。
【0214】
{ポリカーボネート(PC)樹脂}
本発明に措いてPC樹脂は成形(型)用熱可塑性樹脂として単独に使用されることもできるが、主として前記スチレン系樹脂やPPE(e)系樹脂等と混合してポリマーアロイ・ポリマーブレンドとする材料として使用される。
前記PC樹脂(芳香族PC樹脂)としては、芳香族ジヒドロキシ化合物から誘導されたポリ炭酸エステルであれば特に制限はない。
【0215】
前記芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールAともいう)、テトラメチルビスフェノールA、テトラブロムルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニル等を使用することができるが、通常はビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン系ジヒドロキシ化合物が選択され、特にビスフェノールA、またはビスフェノールAと他の芳香族ジヒドロキシ化合物との組み合わせが好ましい。
【0216】
(難燃化)
前記スチレン系樹脂であるABSとAbS、HIPSとHiPSの難燃化には、PPE系樹脂及び/又はPC樹脂とのポリマーアロイとすることに加え難燃剤(材)の添加によって難燃化が可能である。また難燃剤の単独添加でも難燃化は可能である。
【0217】
難燃剤の代表的な物を例示すると、三酸化アンチモン、アンチモン系難燃剤、五酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硼酸亜鉛、グァニジン系難燃剤としてスルファミン酸グァニジン、燐酸グァニジン、燐酸グァニール尿素、ジルコニウム系難燃剤、錫化合物、モリブデン化合物、赤燐等、燐酸エステル、及び燐化合物として、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(モノクロロプロピル)ホスフェート、トリス・β−クロロプロピルホスフェート、トリス(ジブロモフェニル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、ジメチルメチルホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、トリス(3−ヒドリシキプロピル)ホスフィンオキシド、トリス(トリブロモフェニル)ホスフェート、テトラキス(2−クロルエチル)エチレン・ジホスフェート、グリシジル−α−メチル−β−ジ(ブトキシ)ホスフェニル・プロピオネート、ジブチルヒドロオキシメチルホスフォネート、ジ(ブトキシ)ホスフィニル・プロピルアニド、ジメチルメチルホスフォネート、トリス(2−クロロエチル)オルト燐酸エステル、芳香族縮合燐酸エステル、含ハロゲン縮合有機燐酸エステル、エチレン・ビス・トリス(2−シアノエチル)ホスフォニウム・ブロミド、ジー(ポリオキシエチレン)−ヒドロキシメチル・ホスフォネート、燐・塩素含有オリゴマー、ポリ燐酸アンモニウム、β−クロロエチルアシッドホスフェート、β−クロロプロピルホスフェート、ブチルピロホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、メラミン燐酸塩、燐−塩素系、有機燐系、ホスフェート系、赤燐系難燃剤等がある。
【0218】
塩素系難燃剤の代表的な物は、塩素化パラフィン、塩素化ポリオレフィン、塩素化ポリエチレン、パークロロシクロペンタデカン、塩素化パラフィンと三酸化アンモチンの混合品等がある。
【0219】
臭素系難燃剤の代表的な物は、臭素化エポキシ、臭素化ポリカーボネート,ヘキサブロモベンゼン、デカブロモジフォニルオキシド、ポリジブロモフェニレンオキシド、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、エチレンビス・ジブロモノルボルナンジカルボキシイミド、エチレンビス・テトラブロモフタルイミド、ジブロモエチル・ジブロモシクロヘキサン、ジプロモネオペンチルグリコール、2,4,6−トリブロムフェノール、トリブロモフェノールアリルエーテル、テトラブロモ・ビスフェノールA、及びテトラブロモ・ビスフェノールA誘導体、テトラブロモ・ビスフェノールS、テトラデカブロム・ジフェニキシベンゼン、トリス−(2,3−ジブロモプロピル−1)−イソサヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、ポリ(ペンタブロモベンジル・アクリレート)、トリブロモスチレン、ペンタブロモフェノール、臭素化ポリエチレン、ジブロモネオペンチルグリコールテトラカルボナート、ビス(トリブロモフェニル)フマルアニド、N−メチルヘキサブロモジフェニルアミン、含ハロゲンポリホスフェ−ト、芳香族臭素化合物臭素化エポキシ樹脂、臭素化ポリスチレン、臭素系難燃剤(商品名:スイス、サンド
Sandoflam5071 等)ペンタブロモトルエン、ペンタブロモフェニルオキシド、ペンタブロモフェニルオキシドと燐酸エステル,安定剤の混合物、ヘキサブロモシクロドデカン、ヘキサブロモフェニルエーテル、ヘキサブロモフェニルエーテル、ヘキサブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルオキシド、マグネシウムヒドロキシド等がある。
【0220】
反応型難燃剤の代表的な物は、無水クレインド酸、テトラブロモ無水フタル酸、テトラブロモ・ビスフェノールA、ジエトキシ−ビス−(2−ヒドロキシエチル)−アミノエチル・ホスフェート、ジブロモ・クレジル・グリシジルエーテル、ジブロモフェノール、ジブロモクレゾール、トリブロモフェノール、フェニル・ホスフォン酸、フェニル・ホスフォン酸ジクロリド、ジエチルフェニル・ホスフォネート、ジアリル=クロレンデート、反応難燃ポリオール、ジ(イソプロピル)N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメチル・ホスフォネート、ジブチルビス(2−ヒドロキシプロピル)ピロホスフェート、ジエチルフェニル・ホスフォネート及びジメチルフェニル・ホスフォネート等がある。
その他、シリコン樹脂、シリコンオイル、フッ素樹脂、フッ素系のオイル等がある。
【0221】
また難燃化安定剤としての代表的な物は、エポキシ系安定剤(アデカ・アーガス化学の製品:Mark EP−13、EP−17、EP−22、Mark273)、組成不明の難燃化安定剤(アデカ・アーガス化学の製品:Mark−ZS−66、ZS−506)、ABS−PVC系ポリマーブレンド用安定剤(三共有機合成の製品:StanBM(N)、−RC−200S)、ABS、PS系難燃剤添加型安定剤)等がある。これら難燃剤は後述するオレフィン系樹脂を初め、熱可塑性樹脂,熱硬化性樹脂の難燃化も可能である。
【0222】
難燃剤である臭素化エポキシに対して、カチオン、アミン、カルボキシル基(ーCOOH)、フェノール基(−OH)、チオール基(ーSH)等の活性水素化合物、金属石鹸、アンモニューム塩、アクリル酸、カルボン酸、顔料、等は、前記臭素化エポキシをゲル化し、増粘させる。酸化チタンや顔料の一部はは臭素化エポキシのゲル化の触媒と作用を有している。
このように、臭素化エポキシがゲル化し、増粘すると成形機加熱筒内の溶融樹脂の粘度が上昇し、結果せん断発熱をして、溶融樹脂が焼けたり、炭化したりする。
【0223】
難燃化用安定剤としては、エポキシ系の安定剤、例えば旭電化の製品、商品名、及びグレード;アデカ・サイザーEPー13,アデカ・サイザーEPー17,アデカ・サイザーEPー22、組成不明の難燃化用安定剤としては、例えば旭電化の製品、商品名、及びグレード;アデカ・スタブZS−66,アデカ・スタブZS−506、ABS−PVC系ポリマーブレンド用安定剤としては、ブチル・錫・マレート系、オクチル・錫・マレート系、ブチル・錫・含硫黄系、オクチル・錫・含硫黄系、例えば三共有機合成の製品、商品名、及びグレード;StanBM(N),Stan OMF,Stan JF−9B,Stan JF−95B,Stan BKー1100L,Stan JF−95B,Stan BK−1100L,Stan
ONZ−20,Stan ONZ−22,Stan ONZ−22P,StanMMS、MC、その他の難燃化用安定剤としては、協和化学の製品、商品名、及びグレード;DHT−4A−2等がある。
【0224】
塗料(成形品に塗装した塗膜)に難燃性が要求される場合は、上述した難燃剤が用いることも可能である。
【0225】
また市場から回収したABS(94ULグレードがHB)やHIPS(94ULグレードがHB)は、配合されているジエン系ゴムがリサイクル時加熱溶融段階で熱ストレスを受け劣化し、結果樹脂の物理的な性質が劣化するので、配合予定の樹脂と相溶性を持つジエン系ゴム及び/又はアクリル系ゴム及び/又はオレフィン系ゴムをグラフト共重合(グラフトゴム)を添加し、物理的性質を回復させることは可能で、更に発泡スチロールを有機溶剤で溶解し、濾過、蒸発乾固して得られたPSや、単に発泡スチロールを熱、または機械的な作用によって減容化し、粉砕したPSに、スチレンをグラフトさせたジエン系ゴム及び/又はアクリル系ゴム及び/又はオレフィン系ゴムをグラフト共重合(グラフトゴム)を添加し、物理的性質を付与させたHIPS(94ULグレードがHBレベル)やHiPS(94ULグレードがHBレベル)に難燃性を付与、例えば94UL規格のグレードをVレベルに難燃化させる場合に、難燃助剤及び/又は難燃剤を添加するだけでは多くの難燃剤、難燃助剤を必要とするので、耐熱性や元々難燃性を持つ樹脂、例えばPEI、PPE、PC、α−メチルスチレン、α−メチルスチレンとアクリロニトリル及び/又はスチレンとの共重合体、N−フェニルマレイミド、N−フェニルマレイミドとアクリロニトリル及び/又はスチレンとの共重合体、メタロセン触媒を用いて合成されたシンジオタクチックなPSやAS等や耐熱ABS{例えばマッレカK610(商品名)}を必要に応じて5〜50質量%程度混ぜ合わせると、難燃助剤及び/又は難燃剤の添加量を少なくする事ができ経済的である。
【0226】
(ポリオレフィン系樹脂)
ポリオレフィン系樹脂とは、α−オレフィンの一種、または二種以上をラジカル開始剤、金属酸化物系触媒、チグラー・ナッタ触媒、カミンスキー触媒等を使用して重合することによって得られる樹脂であり、前記樹脂は二種以上混合させても良い。
【0227】
前記α−オレフィンはα位に重合性の二重結合を有する直鎖状・分岐状或いは環状オレフィンであって、通常炭素数2〜8のものが選ばれる。
【0228】
前記α−オレフィンの具体例としてはエチレン及びプロピレンがある。
本発明の対象であるポリオレフィン系樹脂には、α−オレフィンと共重合可能な他の単量体が共重合されていても良い。
【0229】
他の単量体としてはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸、アリールマレイン酸イミド、アルキルマレイン酸イミド等のα−β不飽和有機酸、またはその誘導体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル;スチレン、メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;ビニルトリメチルメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシランがあり、更に1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−4−メチル−1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン(4−エチリデン−2−ノンボルネン)等の非共役ジエンを少量共重合させても良い。
【0230】
前記ポリオレフィン系樹脂として代表的なものは、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体等である。
前記ポリオレフィン系樹脂は、単独、または二種以上の混合物の状態で成形材料として使用されるが、更に前記スチレン系樹脂、例えばPS、HIPSやHiPS、AS、ABSやAbS、PPE(e)系樹脂等の他の熱可塑性樹脂と混合されても良い。
【0231】
(ポリマーブレンド、ポリマーアロイ)
以上、本発明の対象である成形用熱可塑性樹脂の代表的なものに付いて詳細な説明をおこなったが、前記熱可塑性樹脂は二種以上を混合してポリマーブレンド或いはポリマーアロイとされても良い。
【0232】
前記ポリマーブレンド或いはポリマーアロイは、例えば押出成形機におけるスクリュー混練等によって製造される。
【0233】
更に前記成形用熱可塑性樹脂には、耐衝撃性を改良する為に、前記ジエン系ゴム、オレフィン系ゴム、アクリル系ゴム等例えば、NR、BR、SBR、STR、IR、CR、CBR、IBR、IBBR、IIR、アクリルゴム、多硫化ゴム、ウレタンゴム、ポリエーテルゴム、エピクロルヒドリンゴム、クロロブチルゴム、水素化ニトリルゴム、フッ素系ゴム等のゴム類やエチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、塩化ビニル等に代表されるビニル系樹脂、ポリノルボリネン等の他の熱可塑性樹脂が混合されても良い。
【0234】
更に前記熱可塑性樹脂の耐衝撃性を改良する為には、熱可塑性エラストマー(TPE)を添加しても良い。該熱可塑性エラストマーとは常温で加硫ゴムの性質を有するが熱可塑性で熱成形可能なものであり、ハードセグメントとソフトセグメントとによって構成されるものである。
【0235】
該TPEとしては、ウレタン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ビニル系エラストマー、エステル系エラストマー等がある。
【0236】
〔成形加工法〕
成形法は、日本の旭化成工業株式会社のAGI,GPI,RFM,CGM、HM、出光石油化学(株)のGIM、新日鉄化学(株)のPFP、英国のシンプレス、米国のGAIN Technology 独国のエアーモールド,コンツール等に代表されるガスアシスト成形法(中空射出成形法)、及び米国のUCC法、USM法、或いは、東芝機械と旭ダウとが開発したTAF法、EX−CELL−O社法、ヘッティンガーの発泡成形や、New−SF、GCP法、アライドケミカル社の技法、Co−SF等、更に超臨界状態の気態(体)を用いた米国 トレクセル社のMuCell(ミューセル)や旭化成工業(株)のAMOTECに代表される発泡成形法(発泡射出成形法)と前記ガスアシスト成形法と融合された方法、更には(株)住友化学のSPモールド、インモールド成形法、DSI(商品名)、2層成形、2色成形、サンドイッチ成形等と前記ガスアシスト成形法とを融合させた方法にも適用される。
【0237】
【実施例】
以下にしめす実施例に用いた窒素ガス発生装置、窒素ガス増圧装置、ガス注入装置は本明細書の図7,8,9記載の装置と、必要に応じて図59記載のGCP装置を用いて実施した。またガス注入のプロセスは図1,2,3の何れかの内最適と判断したモノを、また必要に応じて図4記載のGCPプロセスを用いた。
【0238】
(実施例1)
成形材料として用いた旭化成工業(株)製ABS樹脂スタイッラク191(ナチュラルカラー)を240℃にして得た溶融樹脂中に、窒素ガスを、▲1▼成形機のノズルから注入した場合、▲2▼スプールランナーから注入した場合、▲3▼金型キャビティから直接注入した場合の3種類の方法で注入し、図72にしめす成形品を成形した。
窒素ガスは、図4にしめした窒素ガス分離装置によって得られたガスを、図5にしめした窒素ガス増圧装置によって略1MPaまで増圧(昇圧)し、図6にしめしたガス注入装置を用いて生成した。
【0239】
またガス注入の条件は、金型キャビティ内へ溶融樹脂が充填された後、即ち一次圧完了からカウントして、0.2秒後に、其々に設定したガス圧力で、溶融樹脂中に15秒間注入し、10秒間溶融樹脂内に閉じ込め(保圧)後、成形品内の窒素ガスを大気中に放出し、金型を開き成形品を取り出した。
【0240】
スプールランナー及び金型キャビティから成形品へ直接ガスを注入した場合に用いたガス注入ピンは、図10,11,12,13,及び図14にしめした本発明に係るガス注入ピンの場合と、特許第2954898号に記載されている形状の従来のガス注入ピンを用いた場合で比較した。
成形品を金型から取り出した後、72時間屋内で放置し、平面度と中空率を確認した結果を表1にしめす。
【0241】
【表1】
Figure 2005066823
【0242】
表1より、先端からガス注入可能な本発明のガス注入ピンを用いれば従来のガス注入ピンよりも低圧でガス注入ができ、中空率が大きいことが確認できる。
ここで、中空率は、下記計算式により算出したものである。
中空率=100−中空成形品(ガスアシスト成形品)重量÷中実成形品重量×100
【0243】
(実施例2)
前記実施例1と同一の成形材料、装置、成形法、ガス注入の条件を用いて、図10〜図13にしめした本発明に係るガス注入ピン100の右ピン103及び左ピン104にDLCとTiNのコーティングを施した場合、及び何も施さない場合の注入ガス圧,中空率,平面度を測定して、コーティング有無の作用効果を確認した。その結果を表2にしめす。
【0244】
【表2】
Figure 2005066823
【0245】
表2より、熱伝導性の高い表面処理、悪い表面処理の何れであっても中空率を向上させる(=スキン層を薄くさせる)作用効果を持ち、ガス注入がスムーズに行われることが確認できる。
【0246】
(実施例3)
図49にしめす製品(板厚が3mm、リブの根元の厚さが2.4mm)を、成形材料がABS{スタイラック191(ナチュラルカラー)},エー・アンド・エムスチレン(株)製のHIPS{A&Mスチレン 403R(黒)、ポリプロピレン(PP)樹脂{住友化学工業(株)製 住友ノーブレン H510(ナチュラルカラー)}を用い、成形本発明のガス注入ピン(図20に記載)を用いGPI成形(リブで囲まれた1cellを)を実施した。
【0247】
比較対象の為に同一形状で中実成形法も実施した、中実成形の場合はリブ部の体積収縮に起因するヒケが認められたが、前記ガス注入ピンを用いたGPIでは、ABS,HIPSのスチレン系樹脂ではリブ部のヒケは目立って大きくはなかったが、PPのようなオレフィン系樹脂ではヒケ発生の抑制は可能であったが、ヒケなしのレベルまでには至らなかった。
【0248】
(実施例4)
図50にしめすパイプ状成形品を加工する為に、RFM成形法を用いた。成形用樹脂はCM1011G15{東レ(株)製のポリアミド樹脂},AbS樹脂{日本エイアンドエル製 AES樹脂 ユニブライト 700(ナチュラルカラー)}それぞれを用い、図10,16にしめした本発明のガス注入ピンを用いて成形加工した。
【0249】
図51および図52にメルトシャッターのある場合、図52および図53にメルトシャッターのない場合の金型構造の概略図をしめした。
図10,16にしめした何れのガス注入ピンを用いてもRFM成形が可能であることを確認した。
【0250】
(実施例5)
ユニブライト700に有機系の化学発泡剤(ADCA−Ba塩)と、無機系の化学発泡剤(炭酸水素ナトリウム)との質量の混合比が2:1で、樹脂への添加量が発泡剤の総量で0.2質量%の発泡性を持たせた発泡性樹脂とで図44にしめす製品(天肉は6mm)でCo−SFを行い、図10にしめすガス注入ピンを用いてガス注入を行い、発泡構造を持つ中空成形品の加工が可能であるかを確認した。
【0251】
Co−SFの場合は初めに流すスキン層を形成する樹脂より、内部の発泡層の樹脂の方の流動性が高いと、発泡層の樹脂が表面に出てしまうので、スキン層を形成する樹脂の溶融温度を25℃程度高めに設定し流動性を高めた。
【0252】
Co−SFを含むサンドイッチ成形では、内部の餡子層より、スキン層の樹脂の流動性を高めに設定する必要があり、同質の樹脂の場合や、どうしてもスキン層の樹脂の流動性が餡子層の樹脂の流動性よりも悪い場合には、その手段としては上述したようにスキン層の樹脂温度を高めること(シリンダーの設定温度を高く設定すること)や、滑剤の添加によって流動性を高める手段を取る。上述した様にシボ加工や、コーティング等の表面処理でも対応可能である。
【0253】
(実施例6)
HIPS(403R)のバージン材(白)とリサイクル材(混色)とでリサイクル材を餡子層として、サンドイッチ成形を行い、それぞれの樹脂の充填完了後からカウントして0.5秒後の15MPaの窒素ガスを図16にしめすガス注入ピンを2本用いて15秒間ガス注入、続いて5秒間の注入したガスを成形品内で閉じ込め(圧力保持)、図7にしめす開放弁201、203を開き成形品内部の窒素ガスを大気中に開放した。冷却完了後金型を開き成形品を取り出した。本実施例6に用いた金型には、図23および図24記載の金型のパーティングが開く前に、ガス注入ピンが成形品から離れ、成形品内部に注入ガス残圧が残らない構造を持たせてある。
【0254】
(実施例7)
図72にしめす製品に図16にしめすガス注入ピンを金型の稼動側から固定側へ向かって設置した。またそれとは別にスプールランナーには固定側から稼動側に向かって設置した。
【0255】
ユニブライト700(白)を用いて、溶融樹脂温度が245℃、注入ガスの圧力を20MPaに設定し、射出完了(1次圧完了)後からカウントして、0.2秒後に5秒間ガス注入、保持なしで直ぐに大気開放(この場合には図23および図24記載の機構はなしで、その場を動かない固定のガス注入ピンを用いた)を開始し、開始から3秒後の金型のパーティングを開き製品の取り出しを行った。
【0256】
ガス注入ピンを金型のキャビティの稼動から固定に向かって立てた場合にはパーティングが開くと同時に成形品が内部中空部に残っていたガスの残圧によって成形品はバーストし、エジェクター(E/J)をする際(ガス注入ピンが成形品から離れる時)成形品内中空部に残っていた残圧が抜けるのが確認できた。
【0257】
同様なガス注入ピンの注入条件で、スプールランナーに固定側から稼動側にガス注入ピンを立てた場合は、パーティングが開くと同時に、設置されたガス注入ピンは成形品(この場合はスプールランナー)から離れ、中空部内の残留ガスを大気中に開放するので、成形品のバーストは発生しなかった。
【0258】
ガスアシスト成形は、反り・変形の少ない成形品が得られることと、成形品内の中空は肉厚の部分(金型キャビティ内の溶融樹脂の圧力に低い部分,溶融樹脂粘度の低い部分)、即ち冷却時間が掛かり、成形加工の生産性に律速される部分を中空にすることで生産性の向上が望めるが、上述したようにガス注入ピンの設置場所と方向の検討を必要とする。
【0259】
本発明の図10,16等に記載のガス注入ピンを初め、前記特許文献に記載のガス注入ピンでも同様で、止む終えずパーティングが開いた後にガス注入ピンが成形品から離れるような設置をする場合は図23,24のような方法や、ガス注入ピンに油圧,空圧のシリンダをセットし、ガス注入装置及び/又は射出成形機からガス注入ピン後退の指令の元、ガス注入ピン先端を後退させ、成形品内中空部の存在するガス残圧を開放する。
【0260】
図55には本発明の図10,16のガス注入ピンに油圧シリンダ800が融合されたガス注入ピンの構造図をしめした。
図56には、ガス注入ピンが後退した時に、ガスを大気中に導く回路600が設けられているが、ガス注入ピンの先端をDカット等することでも良い。
【0261】
(実施例8)
スタイラック191(青)に炭酸水素ナトリウムを0.3質量%混ぜ合わせ、220℃で加熱溶融して炭酸水素ナトリウムを熱分解させ炭酸ガスを発生させた。成形機加熱筒内の計量時の背圧は1.5MPa(ゲージ圧)、計量が完了しても背圧を1.5MPaに保持(背圧ブロック)して、成形機加熱筒内の炭酸ガスを超臨界状態にして、溶融樹脂中の加圧溶解させた。図44に示した製品の金型に射出し、樹脂の充填完了後からカウントして0.5秒後の15MPaの窒素ガスを図16にしめすガス注入ピンを用いてスプールランナーから15秒間ガス注入、続いて5秒間の圧力保持の後大気開放して発泡中空構造を持つ成形品を得た。
【0262】
本実施例8の金型には注入ガスの大気開放をスムーズにする為にパーティングにはガスリリースバルブが設けられている。図57はガスリリースバルブが「閉」の状態を、図58はガスリリースバルブが「開」の状態をしめす。
【0263】
(実施例9)
パーティングにOリング設置し、図59にしめすGCP装置を用い圧力3MPaの炭酸ガスをGCP(アウターGCP)として掛けた加圧金型キャビティ内に実施例8と同様な炭酸ガスを加圧溶解した発泡性の溶融樹脂を金型キャビティ内一杯に満たし、続けて図16にしめすガス注入ピンを用いて圧力が35MPaの窒素ガスを20秒間注入(インナーGCPともいう)で金型の転写性向上が可能かを確認した。
【0264】
比較対象に発泡剤を含まない樹脂の中実成形の場合、インナーGCPを付加しない場合、其々比較し、アウターGCPとインナーGCPを併用した場合が最も金型転写性が高いことを表面粗さの測定から確認した。
【0265】
(実施例10)
2層成形(裏面は発泡性樹脂)の場合にも図10,16のガス注入ピンによるガス注入可能であることを確認した。
初めに表面のスキン層(化粧層)にガス注入を行いガスアシスト成形加工し、続いてADCAを発泡剤として用いた発泡性樹脂を射出してソリッド/発泡2層の成形品を得た。
尚、図59記載のGCPの有無其々で共に実施可能であることを確認した。
【0266】
(実施例11)
サンドイッチ成形機を用いて、縦(L)と横(W)が400mm板厚が6mmの平板形状の成形品金型で(サイドゲート)初めにスタイラック191(自然色)を射出し、続いて(株)宇部サイコンの難燃ABS{サイコラックZFJ12(黒)}のリサイクル材を射出してサンドイッチ成形した。サイコラックZFJ12(黒)に射出完了と同時に図10にしめすガス注入ピン5本を用いガス注入を行い中空率8質量%の中空成形品を得た。
【0267】
(実施例12)
前記実施例11の難燃ABS(サイコラックZFJ12)に、ADCAを10質量%加えたABSと溶融混練し、発泡剤のマスターバッチ{永和化成工業(株)} ポリスレン106(商品名)}を3質量%添加して餡子層が発泡のサンドイッチ成形品を加工した。
【0268】
発泡剤が混ぜられた難燃ABS(餡子層)の射出途中(50体積%充填が完了した時点)で図55にしめす可動式のガス注入ピンを用い、発泡溶融樹脂中にガス注入を行い、減は15質量%発泡中空成形品を得た。
【0269】
(実施例13)
前記実施例12の外部層を形成するABS(スタイラック191)にも、同様にポリスレン106(商品名)}を3質量%添加し発泡のサンドイッチ成形品を加工した。
【0270】
難燃ABSの射出途中(50体積%充填が完了した時点)に発泡溶融樹脂(難燃ABS)中にガス注入を行い、発泡部分と中空部分とを合わせた重量減は15質量%発泡中空成形品を得た。
【0271】
(実施例14)
前記実施例13に措いて、金型をシール金型とし、図59記載のGCP装置で、圧力が1MPaのGCPをかけサンドイッチ成形品を加工し、表面にスワールマークのないきれい(平滑)な成形品を得た。
【0272】
(実施例15)
成形材料としてスタイラック191(94UL規格の燃焼性がHBクラス)を用いて図72に示す成形品を得た。この成形品を粉砕して得た粉砕材にN−フェニルマレイミドを35質量%混ぜ、燐系の難燃剤〔大八化学工業(株)製の非ハロゲン縮合燐酸エステル{PX−200}(商品名)〕18質量%と、少量の水酸化アルミニウムと水酸化マグネシウムとを用いて、難燃性(94UL規格の燃焼性はVクラス)を付与し、図16に示したガス圧入ピンを用いてガスアシスト成形をし、中空率が約5%の中空成形品を得た。
水酸化アルミニウムと水酸化マグネシウムのかわりに1質量%以下のPTFEを使用してもよい。
【0273】
(実施例16)
前記実施例15で得た成形品に、スチレン変性アクリル樹脂を主成分とする塗料を用いて塗装し、塗膜付きのまま粉砕した。この粉砕材に、同様に難燃剤(PX−200)を添加して、難燃性(Vクラス)を付与したリサイクル材を用いて、同様に図16に示したガス圧入ピンでガスアシスト成形を実施し、中空率が約5%の中空成形品を得た。
【0274】
(実施例17)
発泡スチロールをトルエンに溶解した発泡スチロールトルエン溶液に水を添加し、発泡スチロールを析出させ、乾燥後粉砕しペレット化してPS樹脂ペレットを得た。このPS樹脂ペレットに旭化成工業(株)製の変性PPE{Xyron100Z(商品名)}ペレットを60質量%混ぜ合わせ、前記実施例15と同様な難燃剤(PX−200)をPS樹脂に対し18質量%用いて難燃性を付与させ、前記実施例15と同様にガスアシスト成形を行い中空率が約5%の成形品を得た。
【0275】
(実施例18)
市場から回収した{A&Mスチレン 403R(白)}を前記実施例17と同様に、Xyron100Zを60質量%混ぜ合わせ、前記難燃剤のPX−200で難燃性を付与させた後、図16に示したガス圧入ピンを用いてガスアシスト成形を実施し中空成形加工した。
【0276】
(実施例19)
東レ(株)製の透明ABS{トヨラック920(商品名)(自然色)}を成形材料として、金型キャビティに射出し、図18に示すガス圧入ピンを用いて、図3に示すフローシートに則したガスアシスト成形により半分が梨地のシボ(TH−115)加工を施した図62に示す板厚3mmの成形品を得た。ガスは、圧入口700または圧入口701から注入し、シボのある部分と、ない部分とでのガスチャンネル(根元の厚さは天肉の60%で、高さ5mmのリブ)702付近の中空部形成の様子を観察した結果、圧入口700、及び圧入口701の場合共にシボ部では、巾15〜20mm程度の広がりあるのに対し、シボがない部分では巾5〜8mm程度と極端に狭くなるのが確認された。この結果からシボは溶融樹脂の温度を低下させにくいので、ガス圧入が容易に実施可能という作用・効果があることが確認された。
【0277】
(実施例20)
成形用樹脂がトヨラック920で、図63に示す成形品に15mmの巾で梨地のシボ(TH−115)加工し、図63での圧入口703、及び圧入口704に図18示すガス圧入ピンを設置し、図3のフローシートに則してガスを圧入した。その結果、梨地のシボ加工を施した部分にだけ中空が形成されることを確認した。以上より、シボ加工を施すことで、その部分の溶融樹脂の冷却が遅くなり、ガス注入が可能となることが確認された。
【0278】
成形品にリブ等のガスチャンネルが設けられない場合でも、この様に部分的にシボ加工することにより、リブによるガスチャンネルと同様な結果が得られることが確認された。
【0279】
(実施例21)
樹脂がABS{スタイラック191(自然色)}を用い、MFR(樹脂の流動性を表す数値)を測定するスパイラルフローの金型で、キャビティ入子の材質がS55Cで、溶融樹脂が流れる部分に梨地のシボ加工を施した場合と、施さずにエメリーペーパーの♯600程度で磨いた場合とでMFR(流動距離÷板厚)を測定し、シボ加工がある場合は10%程度MFRが長くなる事を確認した。
【0280】
更に図18に示すガス圧入ピンを用いてゲート近傍からガス注入した結果、MFRはシボのある場合と、ない場合とでは、ガス圧入することで5%伸び、ガスによる流動支援効果が認められた。
【0281】
以上の結果から、成形品の衣装に関係ない裏面にシボ加工を施すことは、溶融樹脂の流動支援が望めることが確認された。シボ加工が施された金型にガスアシスト成形法を適用する事で、更に低圧での成形加工が可能とすることができ、さらに、ガスチャンネルが不要となることで材料費の低減という経済的な効果を奏することができる。
【0282】
(参考例1)
材質がSUS403の丸棒を旋盤により加工、先端の角度を90°に尖らせ、裏からのガス案内の穴とC面を取り(図60a)、ワイヤーカットでスリットを入れ、先端部スリ割りタイプ(図60b)と2分割タイプ(図60c)それぞれをガス注入ピンとした。
【0283】
(参考例2)
材質がハイス鋼の丸棒を旋盤により加工、先端の角度を90°に尖らせ、フライス盤にて側面にDカットを施し(図61a)、続いてワイヤーカットでスリットを入れ、先端部スリ割りタイプ(図61b)と2分割タイプ(図61c)それぞれをガス注入ピンとした。
【0284】
前記した実施形態及び実施例は、説明の為に例示したもので、本発明としてはそれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲、発明の詳細な説明、及び図面に記載から当業者が認識することができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更、及び付加が可能である。
【0285】
【効果】
本発明に係るガス注入ピンをガスアシスト成形法で用いた場合、ガスを直接ガス注入ピンの先端部に送ることができ、最もスキン層が薄い先端部から溶融樹脂中にガスを注入することができるため、低い圧力で溶融樹脂中にガスを注入できるという効果を奏する。さらに、成形品の中空率を向上させることができるという効果を奏する。
また、本発明に係る中空成形用金型は、パーティングが開く前に、中空成形品からガス注入ピンが離れ、残留圧力をなくすことができるので、中空成形品の白化やバーストを防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガスアシスト成形法のフローチャート図でガス注入は1次圧完了後、或いは保持圧完了後ある。
【図2】他のガスアシスト成形法のフローチャート図でガス注入は樹脂の射出開始後(射出途中)ある。
【図3】他のガスアシスト成形法のフローチャート図ガス注入は射出完了後にサックバックさせる途中、或いはサックバック完了後である。
【図4】GCP法のフローチャート図である。
【図5】ボリュームコントロール法の圧力プロファイル図である。
【図6】プレッシャーコントロール法の圧力プロファイル図である。
【図7】ガス注入装置の回路図である。
【図8】分離膜方式を採用した窒素ガス分離装置の回路図である。
【図9】窒素ガス増圧装置の回路図である。
【図10】本発明に係るガス注入ピンを金型に組み付けた時の側面図である。
【図11】本発明に係るガス注入ピンの側面図である。
【図12】本発明に係るガス注入ピンの平面図である。
【図13】本発明に係るガス注入ピンの背面図である。
【図14】外枠体の断面図である。
【図15】本発明に係るガス注入ピンの側面図である。
【図16】本発明に係るガス注入ピンの側面図である。
【図17】本発明に係るガス注入ピンの平面図である。
【図18】本発明に係るガス注入ピンの側面図である。
【図19】本発明に係るガス注入ピンの側面図である。
【図20】本発明に係るガス注入ピンと外枠体を組み付けたときの側面(断面)図である。
【図21】本発明に係るガス注入ピンの側面図である。
【図22】本発明に係るガス注入ピンの平面図である。
【図23】本発明に係るガス注入ピンを金型に組み付けた時の側面図である。
【図24】本発明に係るガス注入ピンを金型に組み付けた時の側面図である。
【図25】本発明に係るガス注入ピンを金型に組み付けた時の側面図である。
【図26】本発明に係るガス注入ピンを金型に組み付けた時の側面図である。
【図27】本発明に係るガス注入ピンを金型に組み付けた時の側面図である。
【図28】本発明に係るガス注入ピンを金型に組み付けた時の側面図である。
【図29】ホットランナーをしめす断面図である。
【図30】流体加熱タイプのマニホールドをしめす分解斜視図である。
【図31】ヒーター埋め込みタイプのマニホールドをしめす分解斜視図である。
【図32】マニホールドを構成するブロックのろう付け状態を示す断面図である。
【図33】ホットランナーノズルの構成をしめす分解斜視図である。
【図34】ホットランナーノズルの構成をしめす断面図である。
【図35】ホットランナーノズルの強制冷却構造をしめす平面図である。
【図36】ホットランナーノズルの構成をしめす断面図である。
【図37】ホットランナーノズルの構成をしめす断面図である。
【図38】ホットランナーノズルの逆流防止構造をしめす断面図である。
【図39】ホットランナーノズルの逆流防止構造をしめす断面図である。
【図40】一般的な1次スプルーの構造をしめす断面図である。
【図41】流体をスプルーブッシュ内に循環させる構造をしめす断面図である。
【図42】スプルーブッシュ内の構造をしめす断面図である。
【図43】コアピンの二重構造をしめす断面図である。
【図44】成形品の斜視図である。
【図45】従来のコアピンをしめす側面(断面)図である。
【図46】従来の入子の冷却回路をしめす斜視図である。
【図47】入子を構成する部品をしめす斜視図である。
【図48】入子の冷却回路をしめす断面図である。
【図49】成形品の斜視図である。
【図50】RFM製品モデルをしめす斜視素図である。
【図51】RFMシャッター方式を説明する図である。
【図52】RFMシャッター方式を説明する図である。
【図53】RFMショートショット方式を説明する図である。
【図54】RFMショートショット方式を説明する図である。
【図55】本発明のガス注入ピンに油圧シリンダが融合されたガス注入ピンの構造をしめす断面図である。
【図56】本発明のガス注入ピンに油圧シリンダが融合されたガス注入ピンの構造をしめす断面図である。
【図57】ガスリリースバルブが「閉」の状態をしめす断面図である。
【図58】ガスリリースバルブが「開」の状態をしめす断面図である。
【図59】GCP装置の回路図である。
【図60】ワイヤーカットによるガス注入ピンの製作手順の説明図である。
【図61】D面タイプのガス注入ピンの製作手順の説明図である。
【図62】成形品の斜視図である。
【図63】成形品の斜視図である。
【図64】成形機の加熱筒の先端に用いられるシャットオフノズルの一例をしめす断面図である。
【図65】成形機の加熱筒の先端に用いられるシャットオフノズルの一例をしめす断面図である。
【図66】成形機の加熱筒の先端に用いられるシャットオフノズルの一例をしめす断面図である。
【図67】成形機の加熱筒の先端に用いられるシャットオフノズルの一例をしめす断面図である。
【図68】成形機の加熱筒の先端に用いられるシャットオフノズルの一例をしめす断面図である。
【図69】成形機の加熱筒の先端に用いられるシャッター式のシャットオフノズルの動作をしめす断面図である。
【図70】成形機の加熱筒の先端に用いられるローターバルブ式のシャットオフノズルの動作をしめす断面図である。
【図71】成形機の加熱筒の先端に用いられるボールチェック入りノズルの好適な一例をしめす断面図である。
【図72】成形品の斜視図である。
【符号の説明】
100 ガス注入ピン
101 胴体部
102 外枠体
103 右ピン
104 左ピン
105 フランジ部
106 金型
107 ガス供給路
108 面取り
109 ミゾ
110 先端部
111 隙間
112 金型
113 切り欠き
115 ガス注入ピン
116 切り欠き
117 絶縁層
118 銅線
120 右ピン
121 左ピン
122 右ピン
123 左ピン
133 Oリング
134 頂点
135 溝
136 角部
210 孔

Claims (5)

  1. 金型キャビティ内に突出して位置決めされ、射出された溶融樹脂中にガスを注入するガス注入ピンにおいて、
    該ガス注入ピンは、略円柱形の胴体部の一端に、該胴体部よりも直径が大きい略円柱形のフランジ部の一端を合わせて一体的に形成され、
    前記胴体部の他端を尖らせて形成した頂点を通り、直径方向に形成した一定の幅と深さを有する溝と、
    該溝の一部から前記フランジ部の他端に到達する少なくとも1つの切り欠きを有することを特徴とするガス注入ピン
  2. 金型キャビティ内に突出して位置決めされ、射出された溶融樹脂中にガスを注入するガス注入ピンにおいて、
    該ガス注入ピンは、略円柱形の胴体部の一端に、該胴体部よりも直径が大きい略円柱形のフランジ部の一端を合わせて一体的に形成され、
    前記胴体部の他端を尖らせて形成した頂点を通り、直径方向に形成した一定の幅と深さを有する溝と、
    前記フランジ部の他端から前記溝までを貫通する少なくとも1つの孔を有することを特徴とするガス注入ピン
  3. 前記溝の幅は、0.01mm以上0.10mm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のガス注入ピン
  4. 固定型と、該固定型に対して接離する方向に移動する可動型と、該可動型および前記固定型からなる金型キャビティに突出して位置決めされたガス注入ピンとからなる中空成形用金型において、
    前記ガス注入ピンは、請求項1または請求項2に記載されたガス注入ピンであって、
    該ガス注入ピンを、その先端を前記移動型に向けて、前記固定型に植設したことを特徴とする中空成形用金型
  5. 固定型と、該固定型に対して接離する方向に移動する可動型と、該可動型および前記固定型からなる金型キャビティに突出して位置決めされたガス注入ピンとからなる中空成形用金型において、
    前記ガス注入ピンは、請求項1または請求項2に記載されたガス注入ピンであって、
    前記可動型は、一部が前記金型キャビティを構成する固定板と、該固定板に対して前記方向と同方向に移動する移動板からなり、
    前記ガス注入ピンを、その先端を前記固定型に向けて、前記移動板に植設したことを特徴とする中空成形用金型
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