JP3488542B2 - 成形型用樹脂組成物、成形型及び該成形型による材料成形 - Google Patents

成形型用樹脂組成物、成形型及び該成形型による材料成形

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JP3488542B2
JP3488542B2 JP14378595A JP14378595A JP3488542B2 JP 3488542 B2 JP3488542 B2 JP 3488542B2 JP 14378595 A JP14378595 A JP 14378595A JP 14378595 A JP14378595 A JP 14378595A JP 3488542 B2 JP3488542 B2 JP 3488542B2
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cavity
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多希雄 田坂
洋三郎 辻川
講二 坂根
靖彦 市川
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は樹脂、ゴム組成物、ワッ
クス等の材料の成形に関係しており、特に、かかる材料
成形のための成形型を製作するのに利用できる樹脂組成
物、該組成物を利用して構成される成形型及び該成形型
による樹脂等の材料の成形法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】商品サ
イクルの短縮化、多品種少量化が進むに伴い、それらに
対応できる安価な樹脂製コア及び(又は)キャビティを
有する成形型の需要ニーズが年々高まっている。従来の
樹脂製コア及び(又は)キャビティは、得ようとする成
形品のマスターモデルを木等で作成し、これを「入れ
子」として使用し、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの
熱硬化性樹脂を注型法により所定形状に成形するととも
に脱泡及び硬化させることにより製造されている。
【0003】すなわち樹脂製のコア、キャビティ等を有
する成形型の製造においては、マスターモデルが必須で
あるが、マスターモデルの作成には煩雑な作業が必要と
なる。またエポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの熱硬化性
樹脂は室温で液状であり、注型が容易であるため、成形
型の材料として使用されているが、注型の際に気泡が混
入するのを防ぐための真空脱泡及び樹脂の硬化に時間を
要する上に、硬化収縮が起きるため、所定の寸法精度が
出にくいという欠点がある。
【0004】なお、このような熱硬化性樹脂利用の成形
型の問題を解決するため熱可塑性樹脂を利用して成形型
を作ることが考えられるが、一般に、熱可塑性樹脂は粘
度が非常に高いため、注型には加圧を必要とし、加圧し
ても細部まで入り込まず、マスターモデルの細微な凹凸
などを再現できないという欠点がある。特開昭51−1
19765号公報には、ガラス繊維などの無機繊維又は
炭酸カルシウム、川砂などの粉末状無機質材料を含む熱
可塑性樹脂からなり、強化プラスチックの接触圧成形に
用いられる成形型が開示されているが、この成形型は射
出成形や圧縮成形により製造されており、やはり該成形
型を得るためのマスターモデルが必要となる。
【0005】また、樹脂の射出成形を例にとると、射出
成形における製品設計と金型設計には、通常の部品設計
とは異なる特異性がある。すなわち、設計者が製品の具
体的な形状を数値化し、図面化して製品設計を完了して
も、すぐに樹脂製品が得られるわけではなく、製品設計
が完了した時点で該製品を作るための転写工具である成
形用金型を設計しなければならない。そして樹脂製品を
新規に設計する毎に、新しい金型を製作する必要があ
る。しかも、この金型から製造される製品は、それ自体
を手直し出来ないため、金型(特にそのコア及びキャビ
ティ)には極めて高い精度が要求される。
【0006】従来、金型としては一般的には金属製のも
のが汎用されているが、上記した様に金属を用いて極め
て高い精度を要求される金型を製作することは莫大なコ
スト及び長時間を要するので、樹脂製品を開発する上で
の大きな妨げとなっている。特に、多品種少量生産化が
進む現状においては、以前の少品種量産の時代に比べ、
試作用、評価用、製品用などに必要となる金型の数量が
飛躍的に増大し、また新製品の開発時には、デザインの
変更や機能性能向上、製品価格低減などを目的とした設
計変更ひいては金型の設計変更の発生が避けられないた
め、金型の製造に要するコストを低下させることが強く
望まれている。さらに商品サイクルの短縮化も顕著にな
っているため、金型の製作を短期間に行うことが非常に
重要になっている。
【0007】この様な現状に鑑み、加工性の良い鋼材を
金型材料としたり、金型材料や部品を標準化したり、キ
ャビティ及びコアの部分だけを変更するカセット型の金
型を製作したり、更にコンピューターによる金型設計の
合理化を行うなど種々の方法が提案されている。しかし
ながら、いずれの方法も従来と同様に金属を金型のコア
及びキャビティ材料とするものであり、十分な改善効果
を得ているとは言えない。
【0008】そこで本発明の一つの課題は、マスターモ
デルを要することなく、切削加工仕上げで従来よりも安
価に短時間で寸法精度の良い、高耐久性の、成形型用の
コア、キャビティ等を得ることができる成形型用樹脂組
成物を提供することである。本発明のもう一つの課題
は、切削加工仕上げで寸法精度よく、また、従来よりも
安価に短期間で作ることができ、耐久性もあるコア及び
キャビティを有し、従って全体をそれだけ安価に、短期
間で製作でき、精度の点についても要求に応じることが
できる成形型を提供することである。
【0009】本発明のさらにもう一つの課題は、精度良
く、安価に成形品を得ることができる樹脂等の材料の成
形法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の無機質材料を
特定量含む熱硬化性樹脂組成物が高い機械的強度と優れ
た切削加工性を有し、該組成物を用いれば、マスターモ
デルを必要とせず、切削加工により表面平滑性の良い精
度の高い高耐久性の、成形型用のコア、キャビティ等を
安価に且つ短時間で製造できることを見出した。
【0011】また、本発明者は、従来の成形用金型にお
いて特に製作コストが高く、製作に長時間を要するキャ
ビティ及びコアの材料を樹脂で代替することによって金
型製作コストの低減化及び製作期間の短縮化を図るべく
鋭意研究を重ねた結果、前記の優れた切削加工性及び高
い機械的強度を有する、特定の無機質材料を特定量含む
熱硬化性樹脂組成物を用いれば、これから例えば直方体
形状等の成形体を容易に得て、それを切削加工するだけ
で容易に、精度よく、安価に、且つ、短時間でキャビテ
ィ及びコアを製作できることを見いだした。
【0012】そして該樹脂組成物からなるキャビティ及
びコアは高い機械的強度を有するものであるが、これら
に、例えば射出成形による連続的な樹脂製品の成形にも
十分耐えることのできる一層の機械的強度を付与するに
は、該樹脂製のコア及びキャビティのそれぞれを補強を
兼ねる保持手段により保持して使用すればよいこと、及
び樹脂製のコア及びキャビティとすることによる耐久性
の低下については、それらを冷却できる手段を設ければ
よいことを見出した。
【0013】以上の検討に基づき、本発明は次の成形型
用樹脂組成物、成形型等を提供する。 (1)熱硬化性樹脂、無機質繊維状強化材及び無機質粒
子状充填材からなる組成物であって、曲げ強さが100
0kgf/cm2 以上、曲げ弾性率が70000kgf
/cm2 以上であり、且つ、切削加工可能な成形型用樹
脂組成物。 (2)上記(1)項記載の成形型用樹脂組成物からなる
コア及びキャビティを有する成形型。 (3)上記(2)項記載の成形型を用いて、成形品を得
るための材料成形を行うことを特徴とする成形法。 (4)樹脂製コア及び樹脂製キャビティ、前記コアを保
持するコア保持手段、前記キャビティを保持するキャビ
ティ保持手段、前記コア及びキャビティのうち少なくと
も一方の温度を検出する温度検出手段、前記コア及びキ
ャビティに冷却用気体を吹きつける手段、及び前記温度
検出手段により検出される温度が予め定めた温度条件を
満足するように該温度検出手段により検出される温度に
応じて前記気体吹きつけ手段の運転を制御する制御部を
備え、前記コア及びキャビティが熱硬化性樹脂、無機質
繊維状強化材及び無機質粒子状充填材からなる組成物で
あって曲げ強さが1000kgf/cm2 以上、曲げ弾
性率が70000kgf/cm2 以上で、切削加工可能
な熱硬化性樹脂組成物から形成されている成形型。 (5)樹脂製コア及び樹脂製キャビティ、前記コアを保
持するコア保持手段、及び前記キャビティを保持するキ
ャビティ保持手段を備え、前記コア及びキャビティが熱
硬化性樹脂、無機質繊維状強化材及び無機質粒子状充填
材からなる組成物であって曲げ強さが1000kgf/
cm2 以上、曲げ弾性率が70000kgf/cm2
上で、切削加工可能な熱硬化性樹脂組成物から形成され
ており、前記コア及びキャビティにはそれぞれ金属製放
熱用フィンを付設してある成形型。 (6)上記(4)項又は(5)項に記載の成形型を用い
て、成形品を得るための材料成形を行うことを特徴とす
る成形法。
【0014】上記いずれの場合においても、成形型用
の、特にコア及びキャビティ用の本発明樹脂組成物は、
必須成分として熱硬化性樹脂、無機質繊維状強化材及び
無機質粒子状充填材を含み、曲げ強さが1000kgf
/cm2 以上、曲げ弾性率が70000kgf/cm2
以上であり、且つ、切削加工が可能なものである。或い
はさらに、比較的融点の高い樹脂材料等の成形に採用で
きるように熱変形温度180℃以上のものが望ましい。
ワックス等の低融点材料を成形するときや、2液性硬化
型エポキシ樹脂や2液性硬化型ウレタン樹脂などの熱硬
化性樹脂を注型成形する際には、熱変形温度は180℃
以上でなくてもよい場合がある。
【0015】ここで「切削加工が可能」とは、旋盤、ボ
ール盤、フライス盤などの一般的な切削機械で、その切
削工具を著しく傷めることなく切削加工ができることを
意味する。また、前記「熱変形温度」は、米国材料試験
協会規格(ASTM)D648に規定されている方法で
18.6kgf/cm2 応力下で所定の変形を示す温度
である。前記曲げ強さ、曲げ弾性率の各値はASTM
D790で規定されている方法で測定したときのもので
ある。
【0016】本発明に係る成形型用の樹脂組成物におけ
る熱硬化性樹脂には、後記する無機質繊維状強化材と無
機質粒子状充填材のそれぞれ所定量と混合したときに、
前記に規定の機械的強度及び切削加工性を発現し得るも
のを採用すればよい。このような熱硬化性樹脂は実際の
試験により容易に選定できるが、その具体例を挙げる
と、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル
樹脂、エポキシ樹脂、アリル樹脂、フェノール樹脂、ユ
リア樹脂、メラミン樹脂、ポリアミノビスマレイミド樹
脂、ポリトリアジン樹脂、ビスマレイミドトリアジン系
(BT)樹脂、架橋ポリアミドイミド樹脂、ポリビニル
フェノール/エポキシ樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂な
どであり、これらの中でも経済性、ブロック材への成形
加工性及び切削加工性、切削加工時の靱性から、不飽和
ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹
脂、フェノール樹脂、ポリアミノビスマレイミド樹脂、
ビスマレイミドトリアジン系樹脂が好ましく、中でもビ
ニルエステル樹脂、エポキシ樹脂がより好ましい。ま
た、本発明において熱硬化性樹脂には上記各種の樹脂に
架橋剤、反応開始剤等の硬化に必要な成分が配合された
混合物も含まれる。
【0017】このような熱硬化性樹脂の配合量は特に制
限されず広い範囲から適宜選択できるが、通常本発明樹
脂組成物全量の25〜70重量%程度とすればよい。2
5重量%を著しく下回ると、得られる組成物の成形加工
性及び靱性が悪くなる傾向がある。一方、70重量%を
はるかに超えると、上記の規定の強度を得ることができ
ず、樹脂成形時に変形や破損が生じる恐れがある。
【0018】本発明に係る成形型用の樹脂組成物におけ
る無機質繊維状強化材は、上記に規定した曲げ強さ及び
曲げ弾性率を得るため、或いは更に所望の熱変形温度
(例えば前記の180℃以上)を得るため、並びに切削
加工時の表面平滑性を確保するために使用する。該無機
質繊維状強化材としては、ガラス繊維、炭素繊維、岩石
繊維などを除く公知のものを使用でき、例えば、繊維状
チタン酸カリウム、繊維状ケイ酸カルシウム、繊維状ホ
ウ酸マグネシウム、繊維状硫酸マグネシウム、繊維状硫
酸カルシウム、繊維状炭酸カルシウム、繊維状ホウ酸ア
ルミニウム等のウィスカーなどを挙げることができる。
これらウイスカーの中では、特にチタン酸カリウムウイ
スカーを推奨できる。これらは1種を単独で使用しても
よく、又は2種以上を併用してもよい。
【0019】無機質繊維状強化材としては、平均繊維径
5μm以下、アスペクト比3以上且つモース硬度6以下
のものが好ましい。無機質繊維状強化材の平均繊維径が
5μmよりも著しく大きいと、本組成物から得られる成
形型部品の表面平滑性が低下する可能性がある。またア
スペクト比が3よりも著しく小さくなると、規定の曲げ
強さ及び曲げ弾性率が得られない恐れがあり、或いはさ
らに所望の熱変形温度(例えば180℃以上)が得られ
ない恐れがある。更にモース硬度が6よりもはるかに大
きいと、切削加工性が低下し、切削加工具を傷める危険
性がある。
【0020】無機質繊維状強化材の配合量は特に制限さ
れず、広い範囲から適宜選択できるが、通常本発明樹脂
組成物全量の15〜50重量%程度とすればよい。15
重量%を著しく下回ると、規定の強度が得られない恐れ
がある。一方、50重量%を著しく超えると、本組成物
の成形加工性が低下する傾向にある。本発明に係る成形
型用の樹脂組成物における無機質粒子状充填材は、該組
成物の機械的強度(特に剛性)及びメッキ密着性及び経
済性を一層向上させるために使用する。通常成形型に
は、表面平滑性、耐久性及び離型性を向上させるために
金属メッキを施すことがあり、そのためメッキ密着性が
良好であることが望まれる。無機質粒子状充填材として
は公知のものを使用でき、例えば、炭酸カルシウム、タ
ルク、クレー、ピロリン酸カルシウムなどを挙げること
ができる。これらは一種を単独で使用してもよく、又は
2種以上を併用してもよい。また、熱伝導性を改良する
目的で、粒状黒鉛を併用することも可能である。
【0021】無機質粒子状充填材の粒子径は特に制限さ
れないが、切削加工後の表面平滑性などを考慮すると、
通常平均粒子径20μm程度以下、好ましくは10μm
程度以下とするのがよい。また無機質粒子状充填材のモ
ース硬度も特に制限はないが、通常6程度以下とするの
がよい。前記と同様にモース硬度が6程度よりもはるか
に大きいと、切削加工性が低下し、切削加工具を傷める
危険性がある。
【0022】無機質粒子状充填材の配合量は特に制限さ
れず広い範囲から適宜選択できるが、通常本発明樹脂組
成物全量の10〜50重量%程度とすればよい。10重
量%を著しく下回ると、メッキ密着性の向上効果が十分
に現れない恐れがある。一方、50重量%をはるかに超
えると、本組成物の靱性が低下し、非常に脆くなり、切
削加工性が損なわれる傾向がある。
【0023】いずれにしても、本発明に係る成形型用の
(代表的にはそのコア及びキャビティ用の)樹脂組成物
の代表例として、 a.熱硬化性樹脂25〜70重量%、 b.平均繊維径5μm以下、アスペクト比3以上且つモ
ース硬度6以下の無機質繊維状強化材15〜50重量
%、及び c.平均粒子径20μm以下且つモース硬度6以下の無
機質粒子状充填材10〜50重量%からなり、 曲げ強さが1000kgf/cm2 以上、曲げ弾性率が
70000kgf/cm2 以上で、切削加工可能である
組成物を挙げることができる。 また、さらに熱変形温
度が前記の測定法において180℃以上である組成物を
挙げることができる。
【0024】以上説明した本発明に係る樹脂組成物に
は、上記の規定の機械的強度及び切削加工性を低下させ
ない範囲で、例えば、離型剤、着色剤、難燃剤などの公
知の樹脂添加剤を添加してもよい。また、本発明の樹脂
組成物は、公知の方法に従って、例えば、熱硬化性樹
脂、無機質繊維状強化材及び無機質粒子状充填材並びに
必要に応じて他の樹脂添加剤の所定量を、リボンブレン
ダー、ニーダー、ヘンシェルミキサー等による前混合を
行った後、ロール、ニーダー或いはコニーダー等で混練
することにより製造できる。本発明では、かかる混練後
に破砕機或いは押出等により顆粒化してもよいし、又
は、そのままバルク状で使用可能である。
【0025】本発明の樹脂組成物を利用して構成される
本発明に係る成形型、特にそのコア及びキャビティは、
例えば、該組成物をトランスファー成形又は圧縮成形、
射出成形などの通常の方法に従って成形して所望の形状
及び大きさの成形物を得、この成形物に直接切削加工し
て所望の形状のコア及びキャビティを形成することによ
り製造できる。
【0026】ここで成形物の形状は、特に制限されない
が、立方体状、直方体状、円柱体状などのブロック体を
例示できる。また成形物の大きさも製作しようとする成
形型の形状及び大きさ等に応じて広い範囲から適宜選択
できるが、例えば直方体の場合には、通常厚さ30〜5
0mm程度、幅300〜1000mm程度の平板形とす
ればよい。これをそのまま、或いは幅300mm程度、
長さ300mm程度のブロック材に切断して使用すれば
よい。
【0027】この成形物の切削加工には、通常の機械加
工法、例えばフライス加工、リーマ加工、研削加工、レ
ーザー加工などが採用できる。また該成形物は接着剤に
よる接着が可能であり、例えば、該組成物の微粉をエポ
キシ系接着剤に分散させたものをパテとし、これを用い
て補修することもできる。本発明に係るいずれの成形型
においても、前記本発明の樹脂組成物で作ったコア及び
キャビティに、成形時の適正温度の維持などを目的とし
て、空冷又は水冷用の流路を形成してもよい。また、本
発明成形型のコア、キャビティの合わせ面に樹脂漏れ防
止用パッキン溝などを加工してパッキンを装着すること
もできる。本発明の成形型には金属メッキを施してもよ
い。
【0028】前記(2)項に記載の本発明の成形型用樹
脂組成物からなるコア及びキャビティを有する成形型を
用いて成形品を製造するに当たっては、通常の方法が採
用できる。例えば、該成形型を、補強及び位置決め用金
属製保持構造(マザーダイ)に組み込み、これに適当な
成形方法に従って成形品の材料を注入することにより、
目的の成形品を得ることができる。成形方法としては特
に制限はなく公知の方法が採用でき、例えば、射出成
形、注型成形、ブロー成形などを挙げることができる。
また、該成形型は、ワックス成形にも適用できる。
【0029】前記(4)項に記載の本発明成形型、すな
わち、コア及び(又は)キャビティの温度検出手段、コ
ア及びキャビティへの冷却用気体吹きつけ手段及びその
制御部等を備えた成形型、並びに前記(5)項に記載の
本発明成形型、すなわち、コア及びキャビティに金属製
放熱用フィンを付設してある成形型の場合は、代表例と
して射出成形用の成形型を挙げることができるが、これ
らの場合も、この他、注形成形、ブロー成形、ワックス
成形などにも適用できる種々の成形型が考えられる。
【0030】また、かかる成形型は、本発明に係る樹脂
組成物から形成されているコア及びキャビティ、これら
の保持手段、コア及び(又は)キャビティの温度検出手
段等又はコア及びキャビティに付設した放熱用フィンを
備える他は、2プレート金型、突き出しスリーブ及び/
又はストリッパプレートを備えた金型、3プレート金
型、割型(アンダーカット処理機構を有する金型)、内
面ネジ金型等の従来の成形金型と同様の構造をとること
ができる。
【0031】コア及びキャビティに冷却用気体を吹きつ
ける手段等を備えた前記の本発明成形型において、該冷
却用気体吹きつけ手段としては、例えば、該コア及びキ
ャビティへ向け、より望ましくはその高温に加熱される
高温部にむけ冷却用気体を吹きつけるためのノズル、低
温高圧空気(例えば−10℃〜−55℃、3〜7kg/
cm2 程度)を発生させる装置、該発生装置で発生させ
た低温高圧空気をノズルへ導く手段を備えるものや、成
形条件(時間、温度、圧力等)が一定しているときに
は、前記低温高圧空気発生装置に代えて圧縮空気発生装
置を採用したり、さらにはノズルへ供給される圧縮空気
に水を添加して空気とともに霧状に吹きつけるための水
添加装置を採用したもの等も考えられる。但し、水添加
については、補強及び位置決め用金属製保持構造(マザ
ーダイ)等の錆の発生を考慮して採用するか否かを決め
なければならない。
【0032】また、この成形型におけるコア及びキャビ
ティのうち少なくとも一方の温度を検出する温度検出手
段としては、非接触で高速で応答する赤外線放射温度計
の他、抵抗温度計、熱電対温度計等を例示できる。赤外
線放射温度計は温度制御の繰り返し安定性と成形作業効
率向上のうえで有利である。抵抗温度計や熱電対温度計
を採用する場合は、コアやキャビティの温度測定しよう
とする部分(例えば射出成形用コアのゲート近傍部分)
へ向け温度計を挿入する孔、溝等を形成し、そこに温度
計を配置することが考えられる。以上のほか、ヒートラ
ベル(例えばミクロン株式会社製)を温度測定しようと
する部分に貼着してもよい。ヒートラベルはコアやキャ
ビティに孔や溝を設けなくてもよいので、その加工が不
要であり、また孔や溝を設けることによる強度低下も回
避される。ヒートラベルは研究室や実験室で予備実験と
して成形作業を行うときに簡便なものであり、また、安
価につく。
【0033】コア及びキャビティに金属製放熱用フィン
を付設した前記の本発明成形型は、研究室や実験室で予
備実験として成形作業を行うときに適している。この場
合、フィンとしてアルミ系及び(又は)銅系のものを採
用すると、低温高圧空気による冷却時間よりも冷却時間
が長くなるが、急激な冷却によって変形が生じる樹脂材
料の成形の場合には適している。また、放熱用フィンを
付設するときは、該フィンを設けたコアやキャビティの
表面にニッケル、クロム等の金属メッキを施し、放熱用
フィンへの熱伝達性を高めてもよい。
【0034】本発明の成形型においては、それに適用し
得る材料は特に制限されず広い範囲から適宜選択できる
が、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴム組成
物、金属鋳造用の鋳型製造のためのワックス、樹脂成形
時に成形型内にセットするワックスや低融点金属(錫、
ビスマス、鉛などを主成分として融点140℃前後の金
属又は合金)などを挙げることができる。
【0035】
〔切削加工性〕
加工機:マシンニングセンター(商品名:FX−1、
(株)松浦機械製作所製) 加工工具:3mm径、リード6mm、2枚刃の汎用加工
用エンドミル 回転数:6000rpm 送り速度:200mm/分 切込深さ:0.2mm 〔メッキ密着性〕上記ブロック材を厚さ3mm、幅50
mm、長さ50mmに切削加工。 洗浄:75℃、10分 洗浄液:コンディショナー1200(商品名)、シプレ
イ・ファーイースト社製 エッチング:75℃、20分 エッチング液:H2 SO4 :CrO3 =1:2の溶液 化学銅メッキ:室温で15分間 化学銅メッキ液:カッパーミックス328L(商品
名)、シプレイ・ファーイースト社製 メッキ処理:Crメッキ また、上記ブロック材の基本物性を調べるため、ブロッ
ク材より127mm×12.7mm×6.4mmの曲げ
試験片及び熱変形温度測定試験片を、試料調整機により
切り出し、下記条件にて物性を評価した。 試験片:厚さ6.4mm、幅12.7mm 曲げ強さ及び曲げ弾性率:ASTM D790、試験速
度5mm/分 熱変形温度:ASTM D648、18.6kgf/c
2 下にて測定 結果は表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】表1によれば、実施例1〜3では、(a)
曲げ強さ、曲げ弾性率及び熱変形温度が充分に高く、後
記する実施例7に示す射出成形用型材としての変形が小
さいこと、並びに(b)ブロック材の圧縮成形性、切削
加工性及びメッキ密着性が共に極めて良好であることが
判る。これに対し、炭酸カルシウムを配合していない比
較例1では、メッキ密着性が悪く、また、ウィスカーを
配合していない比較例2では、曲げ強さが1000kfg
/cm2 以下、熱変性温度が165℃と低いため、射出
成形時の樹脂型の(熱)変形が大きくなり、また、ウィ
スカー配合量が50重量%を超える比較例3では、ブロ
ック材の圧縮成形が困難となることが判る。 (実施例4〜6:成形型用樹脂組成物について)実施例
1〜3と同様にして、熱硬化性樹脂として、ビニルエス
テル樹脂(商品名:リポキシH−600、昭和高分子
(株)製)、エポキシ樹脂(商品名:エピコート82
5、油化シェルエポキシ(株)製)、ビスマレイミドト
リアジン系樹脂(商品名:BT4480A、三菱ガス化
学(株)製)を用い、無機質繊維状強化材として、繊維
状珪酸カルシウム(ワラストナイト、商品名Wicroll −
10、平均繊維径4.5μm、平均繊維長14μm、ア
スペクト比3、モース硬度4.5、Partek Minerals 社
製)、無機質粒子状充填材として、タルク(タルクM
S、平均粒子径10μm、日本タルク(株)製)を表2
に示す配合組成にて、ニーダーにて混練し、プレス機に
て、ビニルエステル樹脂は150℃で20分間、エポキ
シ樹脂は180℃で30分間、ビスマレイミドトリアジ
ン系樹脂は170℃で30分間、200kgf /cm2
圧して、ブロック材及び試験片を作成した。
【0038】
【表2】
【0039】表2から、熱硬化性樹脂として、ビニルエ
ステル樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン
系樹脂、無機質繊維強化材として、繊維状珪酸カルシウ
ム、無機質粒子状充填材としてタルクを、本発明の配合
組成内でコンパウンド化し、成形したブロック材は、い
ずれも曲げ強さが1000kgf /cm2 以上、曲げ弾性
率が70000kgf /cm2 以上、熱変形温度が180
℃以上で、且つ、ブロック材の圧縮成形性、切削加工性
が良好で、型材として充分使用可能なことが判明した。 (実施例7:成形型について)実施例1で得られた厚さ
40mm、幅300mm、長さ300mmのブロック材
を用い、幅26mm、長さ55mm、深さ18mm、肉
厚1.5mmの箱状の成形品を成形するための成形型
(コア部、キャビティ部二つ割り型)のコア及びキャビ
ティをNC加工機にて作成した。該コア及びキャビティ
をマザーダイ(金属製保持構造)に装着し、射出成形機
(商品名:SG50、型締め力50トン、住友重機械工
業株式会社製)に取り付け、ポリアセタール(商品名:
テナックLA501、旭化成工業株式会社製)及びAB
S樹脂(商品名:サイコラックGSM450、宇部サイ
コン株式会社製)の成形を行った。射出成形条件は表3
に示す通りである。
【0040】
【表3】
【0041】ポリアセタールの成形では数回の型馴らし
成形を行った後、連続して50回の成形を行ったが、成
形型の変形、破損もなく、良好な状態の成形品を得るこ
とができた。不良品もなかった。またABS樹脂の成形
でも40回の成形を行ったところ、離型不良も起こらず
良好な状態の成形品が得られた。 (実施例8:成形型用樹脂組成物の切削加工性につい
て)前掲の表2に示す実施例4の材料配合割合の樹脂組
成物について実施例4の場合と同様の手順に従って成形
加工して得たブロック材から80mm×50mm×40
mmの角材を切り出した。この角材を、下記切削加工機
及び工具により下記表4に示す条件で切削加工し、図1
及び図2に示す形状の部品を作製した。この部品は上部
中央に半球部100を備え、その周りにポケット部10
1を介して外周壁102を形成したもので、壁102の
頂部の内外上縁は丸みを付けて形成されている。図に示
す各部の寸法は次のとおりである。
【0042】L1=80mm、L2=70mm、L3=
60mm、W1=50mm、W2=40mm、H1=4
0mm、H2=12mm、D1=24mm。 切削加工には30分しか要しなかった。荒加工時及び切
粉を排除する時に、水溶性切削油(商品名:カストール
ハイソルX、英国のカストロール社製)を用いた。
【0043】 切削加工機:マシニングセンター(商品名:FX−1) 制御装置;マツウラシステムM80 主軸回転数;30000rpm 高速制御機能;Cタイプコーナリング 切削加工機及び制御装置は、いずれも松浦機械製作所製
である。
【0044】使用工具:R1.5ボールエンドミル(C
Sコーティング、日立ツール(株)製) ツールホルダーBT40−CTH10−90(MTSコ
ーポレイション製)
【0045】
【表4】
【0046】表4において、「精度指定」とはトレラン
ス指定値を意味し、「ピック量」とは加工部の形状と精
度に応じて送り速度を自動減速し得る量を意味する。切
削加工により得られた部品は、球面部及びポケット部の
各部が平滑性良好であり、磨き加工は不要であった。ま
た該部品については、ポケット部の面粗度(中心線平均
粗さRa)をサーフコム300B((株)東京精密製)
を使用して測定したところ、エンド加工面のRa=0.
16μm、サイド加工面のRa=0.48μmであり、
優れた表面平滑性を有していることが確認された。一
方、Wicroll−10に代えて同量のガラス繊維を
含む組成物からなる角材を同様の高速切削加工に供した
ところ、切削工具の損傷が大きく、途中で中止しなけれ
ばならなかった。また多数のガラス粉末が飛散し、作業
環境が著しく悪化した。この比較例角材についても、主
軸回転数を下げることにより切削加工は可能であった
が、寸法精度や加工面の表面平滑性が低下するという欠
点があった。
【0047】このことから、本発明の組成物が優れた切
削加工性を有することが明白である。次に本発明に係る
成形型のさらに他の例を図3及び図4を参照して説明す
る。図3は本発明に係る一つの成形用金型の断面図であ
り、図4は本発明に係るもう一つの成形用金型の断面図
である。
【0048】図3の成形用金型は射出成形用の金型であ
り、一部を除いて従来の射出成形用金型と実質上同構造
である。この金型Aは、固定側金型A1と可動側金型A
2とからなっている。固定側金型A1は樹脂製のキャビ
ティ1を、可動側金型A2は樹脂製のコア2を備えてい
る。キャビティ1及びコア2はいずれも1)熱硬化性樹
脂25〜70重量%、2)平均繊維径5μm以下、アス
ペクト比3以上且つモース硬度6以下の無機質繊維状強
化材15〜50重量%、及び3)平均粒子径20μm以
下、モース硬度6以下の無機質粒子状充填材10〜50
重量%からなる組成物であって曲げ強さが1000kg
f/cm2 以上、曲げ弾性率が70000kgf/cm
2 以上及び熱変形温度が180℃以上である既述の熱硬
化性樹脂組成物のペレットを平板形に押出成形して、そ
の平板を切削加工することで精度良く形成されている。
【0049】固定側金型A1において、キャビティ1は
キャビティホルダ11から突出させた位置決めピン12
により位置決めされて該ホルダに当接されている。さら
に、ホルダ11に取り外し可能にネジ13で固定された
保持部材14によってホルダ11に固定されている。ま
た、これによって該キャビティは補強されている。キャ
ビティホルダ11には成形温度調節等に用いる冷却水通
路15を形成してある。ホルダ11は固定側取付け板1
6に当接固定されている。
【0050】また、固定側金型A1にはスプルSを形成
したスプルブッシュ17が嵌着されており、これは取付
け板16に固定したロケーティングリング18で固定さ
れている。可動側金型A2において、コア2はコアホル
ダ21から突出させた位置決めピン22により位置決め
されて該ホルダに当接されている。さらに、ホルダ21
に取り外し可能にネジ23で固定された保持部材24に
よってホルダ21に固定されている。また、これによっ
て該コアは補強されている。コアホルダ21には成形温
度調節等用の冷却水通路25を形成してある。ホルダ2
1は受板26に当接固定されている。
【0051】この金型及び後ほど説明するもう一つの金
型では、保持部材14、24の形状及び寸法を適宜変更
することにより、キャビティ1及びコア2の形状及び寸
法を変更することができ、ひいてはキャビティ1及びコ
ア2の軽量化及び小型化を図ることもできる。ここで保
持部材14、24の材質は、キャビティ1及びコア2を
保持し得る強度を有するものであれば特に制限はない
が、例えば、鋼等の金属を例示できる。ここではS15
C〜S45Cの範囲の一般構造用鋼が採用される。
【0052】キャビティホルダ11及びコアホルダ21
における冷却水通路15及び25は必ずしも必要ではな
く、自然冷却で足りるのであればなくてもよい。前記の
受板26の外側には可動側取付けフレーム3があり、こ
れは板体31、32及び両板間のスペーサブロック33
を備えている。フレーム3には位置決めピン34を立設
してあり、コアホルダ21はこれに嵌合することで位置
決めされている。また、フレーム3の板体31にはコア
ホルダ21の高さを決定する高さ基準ブロック35が立
設されており、これは受板26に当接している。ブロッ
ク35から離れた位置では押圧ロッド36がフレーム板
体32に立設されており、板体31を貫通して受板26
に当接している。ロッド36には受板26の上昇動作を
補助するバネ360が嵌装されている。
【0053】固定側金型A1にはガイドピン19が突設
され、該ピンは可動側金型A2におけるガイドピンブッ
シュ191、192を摺動可能に貫通している。可動側
金型A2はこれらピン及びブッシュに案内されて固定側
金型A1に接近離反でき、コア2はキャビティ1に対し
正しい位置で嵌脱できる。図3に示す状態では型締めが
行われ、キャビティ1及びコア2がパーティングライン
P−Pで接触しあい、両者間にスプルSに続くランナR
及びゲートGが形成されている。
【0054】可動側取付けフレーム3において、フレー
ム板体32上には突出し板37が配置されており、これ
に突出しピン38及びスプルロックピン39が突設され
ている。ピン38は受板26及びコアホルダ21を貫通
してコア2の上面まで達している。スプルロックピン3
9も受板26及びコアホルダ21を貫通してランナRに
達し、スプルSに臨んでいる。突出し板37は成形機の
一部であるエジェクタロッド30により駆動される。
【0055】この成形用金型は、さらに、キャビティ1
及びコア2に冷却用空気を吹きつける装置4を備えてお
り、これは低温高圧空気発生装置41、キャビティホル
ダ11に設けた空気吹出しノズル42、及び装置41か
らノズル42へ低温空気を導く配管43からなってい
る。低温高圧空気発生装置41はここでは株式会社メク
ト製のエアロマート90を採用しているが、サンワエン
タープライズ株式会社製のコルダー190−75SV
等、種々のものを採用できる。ノズル42はキャビティ
1及びコア2へ低温空気を吹きつける複数の空気噴出孔
を備えている。
【0056】この成形用金型は、さらに、キャビティ1
及びコア2の温度を検出する赤外放射温度計5(株式会
社キーエンス製のIT2−50)を備えている。この温
度計5はコアホルダ21に設けられている。ノズル42
は主としてキャビティ1及びコア2の高温になりやすい
高温部(代表的にはゲート及びその近傍部分)に向け、
成形後型開きしたときに、低温空気を吹きつけられるよ
うに設置することが望ましく、この金型ではそのように
設置してある。また、このようなノズル42の設置によ
り、型開きしたときキャビティ及びコアの冷却と同時に
成形品を冷却することもできる。温度計5もかかる高温
部の温度を検出できるように設置することが望ましく、
この金型ではそのように設置してある。但し、ノズル4
2及び温度計5の位置はこの金型のものに限定されな
い。
【0057】温度計5で検出されたキャビティ1及びコ
ア2の温度は装置4の制御部6へ入力される。制御部6
はマイクロプロセッサを含み、入力された検出温度に応
じて装置41の運転を制御する。その制御の仕方は、入
力される検出温度が予め設定した基準温度以上になると
ノズル42から低温空気をキャビティ1及びコア2へ予
め定めた時間吹きつけるように装置4(より具体的には
その低温高圧空気発生装置41)を動作させ、そのあと
停止するものである。そしてこの基準温度は、型開きし
たとき温度計5により検出されるキャビティ1及びコア
2の温度より低く設定してある。従って通常、制御部6
は型開きされると低温空気吹きつけ装置4に指示してキ
ャビティ1及びコア2に低温空気を吹きつける。そし
て、実験等により予め定めた前記の時間の空気吹きつけ
により検出温度が所定のものまで低下する結果となる。
なお、制御部6はこのような制御を行うものに限定され
る必要はなく、例えば検出温度が予め定めた第1の基準
温度以上であると装置4を作動させ、検出温度が第1の
基準温度より低温の第2の基準温度まで降下すると低温
空気の吹きつけを停止させるもの等種々の制御を行うも
のが考えられ、要するに温度計5により検出される温度
が予め定めた温度条件を満足するように温度計5により
検出される温度に応じて空気吹きつけ装置4を制御でき
るものであればよい。
【0058】以上説明した射出成形用金型Aによると次
のように成形が行われる。すなわち、この金型が図示し
ない射出成形機に組み込まれ、該成形機の図示しない溶
融成形材料の射出ノズルが固定側金型A1のロケーティ
ングリング18にてスプルSに位置決め接続される。金
型Aは図3に示すとおり型締めされる。この型締めは成
形機の図示しない駆動部により可動側取付けフレーム3
をキャビティ側へ押すことで、高さ基準ブロック35及
び押圧ロッド36にて受板26、コアホルダ21及びコ
ア2を押して行われる。溶融材料射出ノズルから射出さ
れた材料は、スプルS、ランナR及びゲートGを経て樹
脂製キャビティ1とコア2で形成される空間に充填され
る。充填された材料がキャビティホルダ11の冷却水通
路15及びコアホルダ21の冷却水通路25に流される
温度調節用冷却水により冷却されて固化して形状を維持
し得る状態になった後、フレーム3が下降せしめられて
コア2が下降し、パーティングラインP−Pでキャビテ
ィ1とコア2とが分離して型開きされる。また、この型
開き後、突出し板37及びそれに支持された突出しピン
38及びスプルロックピン39がエジェクタロッド30
により押し出され、通常コア2の方に着いてくる成形品
が突出しピン38によりコア2から離型されるととも
に、スプルSがスプルロックピン39により閉じられ
る。
【0059】制御部6は、成形開始前から成形、それに
続く型開き、さらに成形品の離型に至る間のいずれにお
いても、温度計5で検出される温度が前記基準温度以上
になると、冷却空気吹きつけ装置4に指示して、キャビ
ティ1及びコア2を冷却するためノズル42から低温空
気を噴出させ得るが、本実施例では、基準温度を型開き
直後に検出されるキャビティ1及びコア2の高温度に注
目して前記のように定めてあり、従って通常の成形操作
においては、型開きしたときに検出される温度に応じて
冷却空気吹きつけを指示する。これによって、キャビテ
ィ1、コア2が急速冷却される。
【0060】成形品取り出し後は、再び型締めされ、次
の成形が行われるが、この再型締めのとき、突出し板3
7に支持された図示しないリターンピンが固定側金型A
1の所定部分に当接して押し戻されることで、突出しピ
ン38及びスプルロックピン39及びそれらを支持する
突出し板37も当初位置に復帰する。次に図4に示す成
形用金型について説明する。
【0061】この成形用金型Bは、割型構造を備えてお
り、側面に空孔又はリブやネジ部などのアンダーカット
部分を有する成形品を成形するためのものである。この
金型Bは、前記金型Aと実質上同構造の金型においてコ
ア2に代えてコア2aを採用するとともにスライドコア
7及びスライドコアバックアップ部材8を採用したもの
である。コア2aは金型Aの場合と同様にコアホルダ2
1に固定されている。スライドコア7はアンダーカット
部分71を備えており、バックアップ部材8によりコア
2aに対して所定位置に位置決めされ、コア2aととも
に一つのコアを形成する。スライドコア7はコアホルダ
21上に摺動可能に載置されており、該コアに設けたネ
ジ孔にネジ棒72が螺合され、該ネジ棒は電動モータ7
3にて正転、逆転駆動される。モータ73はコアホルダ
21を貫通して受板26に支持されている。スライドコ
ア7はモータ73の運転により成形位置(図4に示す位
置)又はそれより前進した離型位置をとることができ
る。
【0062】また、この金型Bでは受板26と可動側取
付けフレーム3との間に板状のバックアップ部材ホルダ
80が配置されており、バックアップ部材8はコアホル
ダ21及び受板26を昇降可能に貫通しており、ネジ8
1により該ホルダ80に固定支持されている。受板26
にはガイドピン82が突設され、これはホルダ80に設
けたガイドピンブッシュ83を摺動可能に貫通してフレ
ーム3に達している。ホルダ80はこのピン82に案内
されて昇降できる。ホルダ80の他の部分には雌ネジ部
92が固定されており、これにネジ棒91が螺合してお
り、該ネジ棒は電動モータ9により正転、逆転駆動され
る。モータ9はフレーム3に支持されている。
【0063】高さ基準ブロック35、突出しピン38、
スプルロックピン39、押圧ロッド36及び位置決めピ
ン34はいずれもバックアップ部材ホルダ80を貫通し
ており、従ってホルダ80はモータ9の駆動によるネジ
棒91の回転により受板26とフレーム3との間を往復
動でき、それによってバックアップ部材8はスライドコ
ア7をバックアップする位置(図4に示す位置)又はそ
れより下降してスライドコア7の離型位置への前進を許
す位置をとることができる。押圧ロッド36にはホルダ
80の上昇動作を補助するバネ361を嵌装してある。
【0064】この金型Bによると、次のように成形が行
われる。すなわち、金型Aの場合と同様に図示しない射
出成形機に組み込まれ、該成形機の図示しない溶融成形
材料の射出ノズルが固定側金型A1のロケーティングリ
ング18にてスプルSに位置決め接続される。また、金
型Aの場合と同様に型締めされる。但しこの金型Bで
は、バックアップ部材8がコア2aまで上昇せしめられ
てバックアップ位置におかれ、スライドコア7がこの部
材8に当接するまで前進せしめられ、図4に示す成形位
置をとる。かくして金型Aの場合と同様に成形が行われ
る。
【0065】キャビティ1及びコア間の空間に射出され
た溶融材料は、固化して形状を維持し得る状態になった
後、金型Aの場合と同様に型開きされて離型され、取り
出される。制御部6の指示に基づく冷却空気吹きつけ装
置4によるキャビティ1、コア2a及びスライドコア7
の冷却及び成形品の冷却についても金型Aの場合と同様
に行われる。
【0066】但し、この金型Bでは、型開きにあたり、
先ず、モータ9の運転によりバックアップ部材ホルダ8
0が下降し、それによりバックアップ部材8も下降す
る。次いでモータ73の運転によりスライドコア7がコ
アホルダ26とパーティングラインP−Pに沿って前進
し、離型位置をとる。かくしてスライドコア7が成形品
のアンダーカット部から解放される。引き続き可動側金
型A2全体がキャビティ1から分離(型開き)される。
【0067】以下に図3に示すようにアンダーカット部
分のない本発明に係る射出成形用金型を用いた射出成形
の実験例1及び2について説明する。この実験において
使用した金型のコア及びキャビティの材料はいずれも実
施例2の組成の熱硬化性樹脂組成物から作ったブロック
材を切削加工したものである。 〔実験例1〕 1)成形品:図5から図7に示すように周囲フランジa
を有し、底壁に孔bを設けた箱形成形品(寸法L=60
mm W=30mm H=18mm) 2)成形品材質:ABS樹脂 3)成形条件 使用成形機:住友ネスタール50トン SG50 キャビティ温度:45℃ コア温度:45℃ 成形機ノズル温度:235℃ シリンダー前部温度:235℃ シリンダー中央部温度:230℃ シリンダー後部温度:200℃ 計量:20cc/ショット 射出圧力:1290kgf/cm2 射出時間:1.56秒 冷却空気吹きつけ装置4による冷却時間:25秒 4)成形結果 射出圧力1290kgf/cm2 、成形サイクルタイム
30秒の連続ショットにより上記成形品を精度良く得る
ことができた。また、本実験例では冷却空気吹き付けに
よるキャビティ及びコアの冷却効果も確認された。 5)使用した成形型用樹脂組成物の切削加工条件と所要
加工時間(工具寸法単位はミリメートル) 固定側キャビティ 可動側コア 使用工具: φ2フラットエンドミル φ2フラットエンドミル 回転数 : 3500rpm 3500rpm 送り速度: 400〜500mm/分 1260mm/分 (手送り) 切込深さ: 2mm 0.02mm 合計加工時間: 約162分 約256分 このようにキャビティ及びコアは比較的短時間で切削加
工のみで製作することができた。 〔実験例2〕 1)成形品:図8及び図9に示す外輪郭形状を有し、全
体に略一様な壁厚さを残して内部を空洞にした成形品
(寸法L=34mm W=15mm H=25.5m
m) 2)成形部品材質:ワックス 3)成形条件 使用成形機:ワックスインジェクター キャビティ温度:14℃ コア温度:14℃ 成形機ノズル温度:90℃ 射出圧力:50kgf/cm2 射出時間:60秒 4)成形結果 射出圧力50kgf/cm2 、成形サイクルタイム60
秒の連続ショットにより上記成形品を精度良く得ること
ができた。 5)使用した成形型用樹脂組成物の切削加工条件と所要
加工時間(工具寸法単位はミリメートル) 固定側キャビティは、深さ6mm形状の仕上げ加工であ
る 可動側コアは、コマ取り付け部段仕上げ加工である。
【0068】 固定側キャビティ 可動側コア 使用工具; φ2ボールエンドミル φ2フラットエンドミル 回転数 ; 3500rpm 3000rpm 送り速度; 180mm/分 180mm/分 切込深さ; 0.051mm 0.1mm 合計加工時間; 約15分 約5分 このようにキャビティ及びコアは比較的短時間で切削加
工のみで製作することができた。
【0069】次に図10に示す平面視円形状の成形品
(寸法r1=9mm r2=6.5mm H=2.8m
m h=0.95mm)を得るためのキャビティ及びコ
アの製作実験例3について説明する。 〔実験例3〕本実験例は3次元加工の時間例を示す。 1)使用した成形型用樹脂組成物(実施例4のもの)の切削加工条件と所要加工 時間 (キャビティ加工) 加工内容 切削工具 切削速度 主軸回転数 送り速度 切込深さ (mm/分) (rpm) (mm/ 分) (mm) 粗加工 3mm 径の2枚刃 80 8500 1500 0.09 超硬ソリッドエンドミル 傾斜部 3mm 径の2枚刃 80 8500 1500 0.09 超硬ソリッドエンドミル 底 面 3mm 径の2 枚刃 80 8500 1500 0.09 超硬ボ-ルエンドミル (コア加工) 加工内容 切削工具 切削速度 主軸回転数 送り速度 切込深さ (mm/分) (rpm) (mm/ 分) (mm) 粗加工 3mm 径の2枚刃 80 8500 1500 0.09 (2mm径× 超硬ソリッドエンドミル 幅1.5mm) 1.5mm 径の2枚刃 56 12000 20/300 0.01 超硬ソリッドエンドミル 傾斜部 1mm 径の2枚刃 37 12000 750 0.03 (幅2mm ミ ゾ) 超硬ボ-ルエンドミル R1ミゾ 2mm 径の2枚刃 75 12000 650 0.02 超硬ボ-ルエンドミル 底面仕上 1mm 径の2枚刃 37 12000 600 0.02 超硬ソリッドエンドミル 以上の実験からキャビティ及びコアがプログラム工数、
測定時間を含めても約10時間で製作完了することが確
認された。
【0070】このように本発明に係る樹脂製キャビティ
及びコアは比較的短時間で切削加工により製作できるか
ら、成形品の試作又は少量の部品生産の工数低減、納期
短縮、コスト低減等に有効であることが分かる。本発明
成形用型は、前記のものに限定されるものではなく、他
にも種々の態様をとることができる。例えば、キャビテ
ィ及びコアのうち少なくとも一方の温度を検出する手段
として、図11に示すように、コア2のゲートG近傍部
分の温度を検出できるように、コア2に温度検出手段挿
入穴2hを設け、ここに例えば熱電対温度計の温度検出
端Tを挿入するようにしてもよい。
【0071】また、キャビティ及びコアの冷却手段とし
て、図12に示すように、前記の冷却空気吹きつけ装置
4に代えて、又は該装置の採用とともに金属製の放熱用
フィンFをコア2bに付設してもよい。また、この例で
は放熱用フィンFへの伝熱効果を上げるためにコア表面
には金属メッキを施してある。キャビティにも同様に放
熱用フィン、或いはさらに金属メッキを施すことができ
る。このように放熱用フィンFを設けることで冷却空気
吹きつけ装置4を省略するときは、金型全体の構造が簡
素化され、安価になるので、研究室での試作や実験に適
する。
【0072】次に、本発明に係る樹脂組成物を利用して
作った成形型(コア部及びキャビティ部)の耐久性評価
実験例4、及び本発明に係る樹脂組成物を利用して作っ
た成形型(コア部及びキャビティ部)によるゴムの射出
成形実験例5、並びに本発明に係る樹脂組成物を利用し
て作った成形型(コア部及びキャビティ部)による注型
成形の実験例6について説明する。 〔実験例4:成形型の耐久性について〕前掲の表2に示
す実施例4の材料配合割合の樹脂組成物を採用してブロ
ック体を作り、これを切削加工して、図5から図7に示
すに示す成形品を射出成形するための成形型(コア部及
びキャビティ部)を製作した。
【0073】この成形型には下記の条件で膜厚20μm
のクロムメッキを施した。 メッキ条件 洗浄:75℃、10分 洗浄液:コンディショナー1200(商品名)、シプレイ・
ファーイースト社製 エッチング:75℃、20分 エッチング液:H2 SO4 :CrO3 =1:2の溶液 化学銅メッキ:室温で15分間 化学銅メッキ液:カッパーミックス328L(商品
名)、シプレイ・ファーイースト社製 メッキ処理:Crメッキ この樹脂製成形型を用い、射出成形を行った。結果を下
記表5に示す。
【0074】
【表5】
【0075】上記表5において、射出成形材料の詳細は
次のとおりである。 ABS樹脂:商品名スタイラックAT−10、旭化成工
業(株)製。 OA−20:ポリアセタール樹脂に20重量%のチタン
酸カリウムウィスカー(商品名:ティモスD、大塚化学
(株)製)を含む樹脂コンパウンド〔大塚化学(株)
製〕。
【0076】CT132B:ポリカーボネート樹脂に1
5重量%のチタン酸カリウムウィスカー(商品名:ティ
モスN、大塚化学(株))を含む樹脂コンパウンド〔大塚
化学(株)製〕。 以上の結果から、本発明の樹脂製成形型が、汎用エンジ
ニアリングプラスチックの中でも特に成形温度が高いポ
リカーボネートの射出成形にも充分使用できることが判
る。
【0077】上記の射出成形終了後の本発明の樹脂製成
形型を観察したところ、特に目立った損傷はなく、プラ
スチック成形品の量産にも使用できることが判る。 〔実験例5:ゴムの射出成形について)前掲の表1に示
す実施例1の材料配合割合の樹脂組成物について実施例
1の場合と同様の手順で得たブロック材を切削加工し、
図13に示す成形品に対応する図14に示す樹脂型C1
0を作製した。該樹脂型のキャビティC1及びコアC2
の加工には、それぞれ3分30秒及び4分04秒しか要
しなかった。図14中Rcはスプルを示す。成形品及び
成形条件等は下記のとおりである。 1)成形品:図13(A)及び(B)に示す様に平面視円形リング状の成形品 寸法 d1=42mm、d2=30mm、d3=36mm P1=14mm、P2=8mm 2)成形品材質:アクリルゴム 商品名:ハイカー4000Z(日本ゼオン製) 3)成形条件:使用成形機:35トン横型射出成形機 型締力:160kgf/cm2 射出圧力:140kgf/cm2 成形温度と時間:165℃×150秒 成形の結果、所望の形状及び寸法を有するアクリルゴム
製成形品を得ることができた。 〔実験例6:注型成形について〕前掲の表1に示す実施
例3の材料配合割合の樹脂組成物について実施例3の場
合と同様の手順で得たブロック材を下記表6に記載の条
件下に切削加工し、下記成形品に対応する注型成形用の
樹脂型を作製し、この型により下記条件で注型成形を行
った。
【0078】
【表6】
【0079】1)成形品:樹脂ケース(筐体)。サイズ
90mm×60mm×25mm、平均厚さ2mm。 2)成形品材質:2液性ウレタン樹脂 3)成形機:真空注型機(商品名:真空注型機643
2、(株)野木製作所製) 4)成形圧力:−760mmHg 5)硬化温度及び時間:60〜65℃、45分 注形終了後、オーブンに入れ、上の硬化温度及び時間に
て硬化させ、成形品を作製した。所望の形状及び寸法を
有する成形品を得ることができた。
【0080】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、機
械的強度に優れ、切削などの機械加工が容易で、マスタ
ーモデルを要することなく、機械加工仕上げで従来の簡
易型の加工法よりも安価に短時間で寸法精度の良い、高
耐久性の成形型部品、代表的にはコア、キャビティ等を
得ることができる成形型用樹脂組成物を提供することが
できる。
【0081】またかかる樹脂組成物を利用して、機械加
工仕上げで寸法精度良く作ることができるとともに耐久
性が高く、従来に比べて安価な樹脂製のコア及びキャビ
ティを有する成形型を提供できる。また、本発明成形型
は、各種材料の成形や各種成形法に利用でき、精度良
く、安価に成形品を得ることができる。そして、従来の
コア及びキャビティを金属材料で形成した成形用金型と
比べると、安価に、短期間で製作することができ、設計
変更にも簡単に応じることができ、精度の点についても
要求に応じ得る。また、これらのことから、特に成形品
の量産に先行する成形型性能評価用や見本用の成形品、
少量品種の成形品などの製造に有利に採用できる。
【0082】樹脂製のキャビティ及びコアをキャビティ
保持手段及びコア保持手段で保持し、キャビティ及びホ
ルダに冷却用気体を吹きつけられるようにするか又はそ
れらに放熱用フィンを設けた成形型では、成形時の圧力
及び温度に耐え得る耐久性がある。本発明成形型におい
てコア及びキャビティを形成している熱硬化性樹脂組成
物の熱変形温度を180℃以上とするときは、比較的高
融点の樹脂等の成形にも対応できる。
【0083】本発明成形型においてキャビティ及びコア
を取り外し可能の保持部材でキャビティホルダ及びコア
ホルダに固定する構造とするときは、該キャビティ及び
コアの取り外しが容易で、メンテナンス性良好となる。
また、キャビティ及びコアを小型及び軽量化でき、さら
に錆が発生しないこと等により、キャビティ及びコアの
保管が容易になり、生産スペースと費用の節減も可能に
なる。さらに、形状及び大きさの異なるキャビティ及び
コアだけをカセット方式で取り替えることができる。
【0084】本発明成形方法は、かかる本発明成形型を
用いることで、精度よく、安価に成形品を得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る樹脂組成物のブロック材を切削加
工して得た部品の平面図である。
【図2】図1に示す部品のZ1−Z1線に沿う断面図で
ある。
【図3】本発明に係る成形用型の1例の断面図である。
【図4】本発明に係る成形用型の他の例の断面図であ
る。
【図5】本発明に係る成形用型を用いて射出成形される
成形品の1例を示す平面図である
【図6】図5のX−X線に沿う断面図である。
【図7】図5のY−Y線に沿う断面図である。
【図8】本発明に係る成形用型を用いて射出成形される
成形品の他の例の正面図である。
【図9】図8に示す成形品の側面図である。
【図10】本発明に係る成形用型を用いて射出成形され
る成形品のさらに他の例の断面図である。
【図11】本発明に係るコアへの温度検出手段配置の他
の例を示す斜視図である。
【図12】本発明に係るコアの他の例の斜視図である。
【図13】本発明に係る成形型を用いて成形される成形
品のさらに他の例を示すもので、(A)はその平面図、
(B)はその断面図である。
【図14】図13に示す成形品を得るための本発明に係
る樹脂型(キャビティ及びコア部分)の断面図である。
【符号の説明】
A、B 射出成形用金型 A1 固定側金型 A2 可動側金型 1 キャビティ 2、2a、2b コア 11 キャビティホルダ 13 ネジ 14 保持部材 16 固定側取付け板 17 スプルブッシュ 18 ロケーティングリング 19 ガイドピン 191 ガイドピンブッシュ S スプル R ランナ G ゲート 21 コアホルダ 23 ネジ 24 保持部材 26 受板 3 可動側取付けフレーム 35 コアホルダ用高さ基準ブロック 36 押圧ロッド 361 バネ 37 突出し板 38 突出しピン 39 スプルロックピン 4 冷却空気吹きつけ装置 41 低温高圧空気発生装置 42 ノズル 43 配管 5 温度計 6 制御部 7 スライドコア 71 コア7のアンダーカット部分 72 ネジ棒 73 スライドコア駆動用電動モータ 80 スライドコアホルダ 8 スライドコアバックアップ部材 81 ネジ 82 スライドコアガイドピン 83 ガイドピンブッシュ 9 バックアップ部材ホルダ80駆動用の電動モータ 91 ネジ棒 92 雌ネジ部 C10 成形用樹脂型(キャビティ及びコア部分) C1 キャビティ C2 コア Rc スプール
フロントページの続き (72)発明者 市川 靖彦 東京都西多摩郡五日市町山田503−4 (56)参考文献 特開 平2−232222(JP,A) 特開 昭63−223028(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 33/40 C08L 1/00 - 101/16

Claims (19)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱硬化性樹脂、無機質繊維状強化材及び
    無機質粒子状充填材からなる組成物であって、曲げ強さ
    が1000kgf/cm2 以上、曲げ弾性率が7000
    0kgf/cm2 以上であり、且つ、切削加工可能な成
    形型用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 熱変形温度が180℃以上である請求項
    1記載の成形型用樹脂組成物。
  3. 【請求項3】(1)熱硬化性樹脂25〜70重量%、 (2)平均繊維径5μm以下、アスペクト比3以上且つ
    モース硬度6以下の無機質繊維状強化材15〜50重量
    %、及び (3)平均粒子径20μm以下且つモース硬度6以下の
    無機質粒子状充填材10〜50重量%からなる請求項1
    記載の成形型用樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 熱変形温度が180℃以上である請求項
    3記載の成形型用樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 前記無機質繊維状強化材がチタン酸カリ
    ウムウイスカーである請求項4記載の成形型用樹脂組成
    物。
  6. 【請求項6】 請求項1、2、3、4又は5記載の成形
    型用樹脂組成物からなるコア及びキャビティを有する成
    形型。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の成形型を用いて成形品を
    得るための材料成形を行うことを特徴とする成形法。
  8. 【請求項8】 樹脂製コア及び樹脂製キャビティ、前記
    コアを保持するコア保持手段、前記キャビティを保持す
    るキャビティ保持手段、前記コア及びキャビティのうち
    少なくとも一方の温度を検出する温度検出手段、前記コ
    ア及びキャビティに冷却用気体を吹きつける手段、及び
    前記温度検出手段により検出される温度が予め定めた温
    度条件を満足するように該温度検出手段により検出され
    る温度に応じて前記気体吹きつけ手段の運転を制御する
    制御部を備え、前記コア及びキャビティが熱硬化性樹
    脂、無機質繊維状強化材及び無機質粒子状充填材からな
    る組成物であって曲げ強さが1000kgf/cm2
    上、曲げ弾性率が70000kgf/cm2 以上で、切
    削加工可能な熱硬化性樹脂組成物から形成されている成
    形型。
  9. 【請求項9】 前記熱硬化性樹脂組成物の熱変形温度が
    180℃以上である請求項8記載の成形型。
  10. 【請求項10】 前記熱硬化性樹脂組成物が、 (1)熱硬化性樹脂25〜70重量%、 (2)平均繊維径5μm以下、アスペクト比3以上且つ
    モース硬度6以下の無機質繊維状強化材15〜50重量
    %、及び (3)平均粒子径20μm以下、モース硬度6以下の無
    機質粒子状充填材10〜50重量%からなっている請求
    項8記載の成形型。
  11. 【請求項11】 前記熱硬化性樹脂組成物の熱変形温度
    が180℃以上である請求項10記載の成形型。
  12. 【請求項12】 前記熱硬化性樹脂組成物における前記
    無機質繊維状強化材がチタン酸カリウムウイスカーであ
    る請求項11記載の成形型。
  13. 【請求項13】 樹脂製コア及び樹脂製キャビティ、前
    記コアを保持するコア保持手段、及び前記キャビティを
    保持するキャビティ保持手段を備え、前記コア及びキャ
    ビティが熱硬化性樹脂、無機質繊維状強化材及び無機質
    粒子状充填材からなる組成物であって曲げ強さが100
    0kgf/cm2 以上、曲げ弾性率が70000kgf
    /cm2 以上で、切削加工可能な熱硬化性樹脂組成物か
    ら形成されており、前記コア及びキャビティにはそれぞ
    れ金属製放熱用フィンを付設してある成形型。
  14. 【請求項14】 前記熱硬化性樹脂組成物の熱変形温度
    が180℃以上である請求項13記載の成形型。
  15. 【請求項15】 前記熱硬化性樹脂組成物が、 (1)熱硬化性樹脂25〜70重量%、 (2)平均繊維径5μm以下、アスペクト比3以上且つ
    モース硬度6以下の無機質繊維状強化材15〜50重量
    %、及び (3)平均粒子径20μm以下、モース硬度6以下の無
    機質粒子状充填材10〜50重量%からなっている請求
    項13記載の成形型。
  16. 【請求項16】 前記熱硬化性樹脂組成物の熱変形温度
    が180℃以上である請求項15記載の成形型。
  17. 【請求項17】 前記熱硬化性樹脂組成物における前記
    無機質繊維状強化材がチタン酸カリウムウイスカーであ
    る請求項16記載の成形型。
  18. 【請求項18】 射出成形用の成形型である請求項8、
    9、10、11、12、13、14、15、16又は1
    7記載の成形型。
  19. 【請求項19】 請求項8、9、10、11、12、1
    3、14、15、16又は17記載の成形型を用いて成
    形品を得るための材料成形を行うことを特徴とする成形
    法。
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