JP4073232B2 - エレベータの駆動機構 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、住居ビル、事務所ビル等に設置されるエレベータの駆動機構に係り、とりわけ乗りかごとつり合いおもりとを連結する主ロープを有するエレベータの駆動機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来よりエレベータの乗りかごとつり合いおもりとを連結する主ロープと、主ロープが係合するとともに巻上機により駆動されるトラクションシーブとを備えたつるべ式エレベータの駆動機構が知られている。
【0003】
主ロープの乗りかご側張力Tとつり合いおもり側張力Tとの差がトラクションシーブと主ロープとの間に生ずる摩擦力と釣り合っており、一般には次式で表される関係にある。
【0004】
【数1】
Figure 0004073232
上式において、左辺が乗りかご側張力Tとつり合いおもり側張力Tとの比、いわゆるトラクション比であり、右辺のμは主ロープとトラクションシーブとの摩擦係数、θは主ロープがトラクションシーブに巻きかかる角度である。
【0005】
また図7、図8にエレベータに用いられる主ロープ5の断面構造の一例としてシール形構造を示す。図7において、主ロープ5は芯鋼6と、芯鋼6を囲むように配置された複数のストランド7とを有し、各ストランド7は複数の素線8を撚って形成されている。芯鋼6については麻、ポリプロピレン等の複数の繊維芯9を有しているが、図8にようにストランド7と同程度の強度を有する複数の鋼線8を有しているものが、海外の超高層ビル等に用いられている。図7および図8に示す主ロープ5には、素線8、繊維芯9の他、0.5〜3重量%程度のロープ油が素線8および繊維芯9同士の接触による摩耗を防ぐために含まれている。
【0006】
つるべ式エレベータのように、トラクションシーブの摩擦によって巻上機からの動力を主ロープ5に伝えて装置を駆動する機構については、主ロープ5とシーブとの組合せに対して、耐曲げ疲労性、トラクション性能、耐摩耗性が要求される。
【0007】
主ロープ5の曲げ疲労による劣化は、繰返し応力により生じ、摩耗による素線破断として表われる。一般に主ロープ5の劣化はシーブ径Dとロープ径dとの比であるD/d比、主ロープ5の張力、シーブの溝形状の他、主ロープ構造等に依存する。素線8に生ずる概略の曲げ応力σは縦弾性係数をE、素線径をδとすると、
【数2】
Figure 0004073232
となり、D/d比が大きいほうが主ロープ5への負荷が小さく主ロープ5の寿命は長い。
【0008】
主ロープ5の張力が主ロープの素線に平均してかかるとすると、シーブと素線8との間の接触応力として作用するため張力は小さいほうが寿命は長い。シーブの溝の形状は接触面圧に関係しており、接触面積が大きい形状のほうがストランド7の表層素線8の摩耗が減り、主ロープ5の有効断面積を維持できるため、結果的に疲労寿命も延びる。
【0009】
トラクション性能確保については、広く用いられている方法としては、トラクションシーブの溝にアンダーカットを施したり、シーブの溝形状をV型にして主ロープ5との接触面圧を高め、高トラクション化を図るものがある。しかしながら、この場合、主ロープおよびシーブへの負担も高くなり、摩耗が増えることによって前述のように疲労寿命が低下する傾向にある。
【0010】
高トラクションを得る別な方法としては、ゴム、樹脂、皮革材料等からなる高摩擦係数のライニングをシーブの溝に設けることも考えられている。
【0011】
図9に一例としてトラクションシーブ4の溝に高分子ライニング10を設けた構成を示す。この方法の利点は、トラクションシーブ4の摩耗がライニング10側に集中するため、主ロープ5の寿命が長くなることである。この場合、メンテナンスは主としてライニング10の交換のみとなり、主ロープ5の交換頻度が少なくなる。このため、鉱山用エレベータ等、行程が非常に高いエレベータでは、適当なライニングの使用によりメンテナンスコストの低減が図られている。
【0012】
エレベータの駆動機構において、上述の如く主ロープ5の耐疲労性能、トラクション性能、耐摩耗性能は互いに深く影響しあい、それぞれの要求をバランスよく満たすことがシステム構成上重要である。
【0013】
近年、住宅向けのエレベータについては、省スペース化への要求が厳しく、傾向として昇降路に巻上機を収納した機械室レス構造が増えている。機械室レス構造のエレベータにおいて、省スペース化を図るには、トラクションシーブを含む駆動系を極限的に小型化することがポイントである。しかしながらトラクションシーブの小型化を図ると、前述のように主ロープの曲げ疲労寿命を低下させるため、建築基準法ではD/d比を40以上確保することを義務付けている。
【0014】
D/d比を40とし、かつシーブ径を削減するには、主ロープ径も同時に減らす必要がある。しかしながら所定の引張り強度を満足するために、主ロープ5の本数を増やしたり、あるいは素線材料の破断強度を向上させる必要がある。この場合、主ロープ5の本数を増やしてしまうと、本来の目的である省スペース化に反するほか、据付けやメンテナンス工数も増すため、強度確保には材料強度向上が望ましい。しかしながら主ロープ5の素線径の減少を図り破断強度を向上させると、主ロープ5の張力が増加し、主ロープ5とシーブ4との間の接触面圧が過大になり、主ロープ5の摩耗が増え疲労・摩耗寿命が低下する問題がある。このような高強度の主ロープ5においても、前述したような高分子材料等からなるライニングをトラクションシーブ4の溝の表面に設けることは、主ロープ5の延命のためには有効である。この場合、シーブ4の溝との接触面においても、主ロープ5の摩耗はほとんどなくなり、大幅に寿命が延長する。
【0015】
ところで、主ロープ5に接触するライニング10をシーブ4に設けると、以下のような問題が生じる。
【0016】
ライニング材料については、高摩擦係数と耐摩耗性が必要であり、広く用いられている材料ではポリウレタンやフッ素ゴム等の高強度ゴムの性能が比較的優れている。ところでゴムの摩擦機構については、一般に個体と同様摩擦力Fはせん断摩擦Fsと変形摩擦Fpにわかれ、次式で表される。
【0017】
【数3】
Figure 0004073232
(1)式において、せん断摩擦Fsは摩擦材料間の結合を切る力である。ライニング10のように耐摩耗性があり結合の切断が表面で生じる場合、すなわち摩擦材料間の表面で滑る場合では、ライニング10と主ロープ5の素線8との間の分子間力が摩擦力を支配すると考えられる。
【0018】
分子間力による摩擦力モデルとしては、例えばShallamach等によるモデルは次式で表される。
【0019】
【数4】
Figure 0004073232
(2)式において、Eaは活性化エネルギ、Tは温度、Aは摩擦材料間の真実接触面積、δAは接触点における高分子材料−分子の真実接触面積、λは接触している分子の結合が切れるまでに伸びる長さ、κはボルツマン定数、Vは分子間の相対速度、V、cは定数である。
【0020】
一方、変形摩擦Fpは摩擦による変形のヒステリシス・ロスに起因する力で例えば次式が文献(Moor,D.F.:"Viscoelastic Machine Elements"Butterworth-Heinemann Ltd 1993)に示されている。
【0021】
【数5】
Figure 0004073232
(3)式において、δはは変形量、Eは弾性係数、tanδは貯蔵エネルギに対する損失エネルギの比である損失正接、cは定数である。(3)式には変形速度や温度が現れていないが、弾性係数Eや損失正接tanδがそれらの影響を受け、一般には速度が速く、温度が低くなると変形摩擦Fpは増大する。しかしエレベータのトラクションシーブ4においては変形量δが小さく、変形摩擦Fpはせん断摩擦Fsに比べて非常に小さいと考えられる。
【0022】
前述のように、エレベータの駆動機構においては、トラクションシーブ4に高分子ライニング10を使用する場合、主ロープ5のライニング10との間の分子間力が摩擦力(トラクション性能)を支配すると考えられる。ここでライニング材とFe材(ロープ素材相当)との間で実施したピン・オン・ディスク摩擦試験の結果を図12に示す。試験で使用したロープ潤滑油は従来一般にロープに塗布されているものであるが、高分子ライニング材とFe材との摩擦ではロープ油の有無が摩擦力に大きな影響を与えることがわかる。
【0023】
図12に示す結果は、(2)式における真実接触面積Aが潤滑油によって減少するためと考えられる。すなわち主ロープ5に塗布されるロープ油によって、図10に示すように主ロープ5がライニング10と油とで支持された状態になるためにロープとライニング材との間に働くせん断力が減少すると考えられる。真実接触面積Aについては、上記の潤滑条件以外に材料硬度や接触面圧等に依存する。ライニング材の硬度は低い方が主ロープ5の表面の形状になじみ易く接触面積は増えるが、一般には経年的な応力緩和による永久変形によりシーブ4から剥離しやすく摩耗も多い。主ロープ5とライニング10との間の接触面圧が増加すると、接触面積は増えるが、ある程度の面圧で飽和し、以後は面圧が増加しても接触面積は増えない。
【0024】
図11に、面圧とトラクション性能との関係を示すが、一般に面圧増加によりトラクション性能は低下する。即ち一般のエレベータにおける荷重範囲においては、面圧によってライニング10と主ロープ5との間の接触面積は飽和しており、荷重が増えるとトラクション性能は低下すると考えられる。
【0025】
このようにトラクションシーブ4の溝にライニング10を設けたつるべ式エレベータの駆動装置において、主ロープ5に加わる荷重が増えるとトラクション性能が低下する。この問題は、主ロープ5の高強度化に伴って深刻になり、JISG 3525において区分されるB種以上の破断荷重を有する素線材料で構成されるような高強度かつ直径の小さな主ロープ5については所定のトラクション性能を満足することがむずかしいのが実情である。
【0026】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、つるべ式エレベータの駆動機構において、トラクションシーブの径の小型化と、トラクションシーブと主ロープの長寿命化とを図ることができるエレベータ駆動装置を提供することを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エレベータの乗りかごとつり合いおもりとを連結する主ロープと、主ロープが係合する外周溝を有し、外周溝に高分子材料からなるライニングが設けられているとともに、巻上機により駆動されるトラクションシーブとを備え、主ロープは複数の鋼線からなる芯鋼と、芯鋼を囲むように配置され、各々が鋼線を平行よりして撚ってなる複数のストランドとを有し、芯鋼は高い潤滑性をもつ芯鋼油を含み、各ストランドは芯鋼油と異なり、芯鋼油より低い粘度をもつストランド油を含み、ストランド油は、ストランドとライニングとの接触面から容易に排出される程度の低い粘度をもつことを特徴とするエレベータの駆動機構である。
【0028】
本発明は、芯鋼と複数のストランドとの間に緩衝部材を介在させたことを特徴とするエレベータの駆動機構である。
【0030】
本発明は、芯鋼油は増ちょう剤を含むグリスからなり、ストランド油は増ちょう剤を含まない油からなることを特徴とするエレベータの駆動機構である。
【0031】
本発明は、ストランド油の粘度は、20℃で100cSt以下となることを特徴とするエレベータの駆動機構である。
【0032】
本発明は、エレベータの乗りかごとつり合いおもりとを連結する主ロープと、主ロープが係合する外周溝を有し、外周溝に高分子材料からなるライニングが設けられているとともに、巻上機により駆動されるトラクションシーブとを備え、主ロープは複数の鋼線からなる芯鋼と、芯鋼を囲むように配置され、各々が鋼線を平行よりして撚ってなる複数のストランドとを有し、芯鋼は芯鋼油を含み、各ストランドはストランド油を含み、芯鋼油とストランド油は、各々の粘度が20℃で、100cSt以下であるとともに、ストランド油は、芯鋼油より低い粘度をもち、ストランド油は、ストランドとライニングとの接触面から容易に排出される程度の低い粘度をもつことを特徴とするエレベータの駆動機構である。
【0037】
【発明の実施の形態】
第1の実施の形態
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図6は、本発明によるエレベータの駆動機構の第1の実施の形態を示す図である。
【0038】
まず図6により、エレベータの駆動機構の概略について述べる。図6に示すように、エレベータの駆動機構はエレベータの乗りかご1をつり合いおもり2を用いて駆動するものである。すなわちエレベータの駆動機構はエレベータの乗りかご1とつり合いおもり2とを連結する主ロープ15と、この主ロープ15が係合する外周溝14aを有するトラクションシーブ14と(図1参照)、トラクションシーブ14を駆動する巻上機3とを備えている。
【0039】
このうちトラクションシーブ14の外周溝14a内には、高分子材料、例えばポリウレタンからなるライニング13が設けられており、ライニング13の硬度は85℃(JIS Aスケール)以上となっていることが好ましい。
【0040】
また主ロープ15は、図1に示すように複数の鋼製素線(鋼線)11aからなる芯鋼11と、芯鋼11を囲むように配置された複数のストランド12とを有し、各ストランド12は素線11aと同一材料からなる鋼線(素線)12aを平行よりで撚られて形成されている。また各ストランド12は芯鋼11の囲りに、一定ピッチで撚られている。
【0041】
芯鋼11およびストランド12を構成する素線11aおよび素線12aは、いずれもJIS G 3525で規定されるB種以上の強度の有する素線からなっている。
【0042】
また芯鋼11は、潤滑油、油膜保持のために望ましくはグリスからなる芯鋼油を含んでいる。さらにストランド12は、芯鋼油よりも粘度の低い油、すなわちストランド油を含んでいる。
【0043】
主ロープ15において、ストランド12が芯鋼11周りにおいて撚りの緩みが生じ、また芯鋼11の直径が減少することがあり、この場合は、このような主ロープ15では、一般にストランド12の素線12aよりも芯鋼11の素線11aに生ずる応力の方が大きい。主ロープ15内部では、芯鋼11の素線11aの断線の原因は、素線11a間の摩擦によるフレッティング摩耗や内部応力である。このため芯鋼11に対する芯鋼油の潤滑性はより高い方が望ましい。芯鋼油は極圧添加剤や二硫化モリブデン等の固体潤滑材を含有するとともに、油膜保持のためには分子間の凝集力が高く、高粘度を有している。さらには芯鋼油は増ちょう剤を含有しており、メンテナンスの作業を大幅に省力化することができる。
【0044】
他方、ストランド12に塗布するストランド油については、ライニング13表面とストランド12表面との間の真実接触面積を確保するために、接触面から排出されやすい低粘度の油が望ましい。
【0045】
主ロープ15のトラクション性能を示す主ロープ15に対するトラクション比の測定結果を図2に示す。図2に示すように、実用性能を確保するには概ね20℃で100cSt程度以下の油が良好な結果となっている。
【0046】
即ち、芯鋼11に塗布する芯鋼油の性状と、ストランド12に塗布するストランド油の性状を替え、ストランド12に塗布するストランド油の粘度を20℃で100cSt以下とする。このことによりトラクションシーブ14のライニング13と主ロープ15との間でトラクション性能が確保されるとともに、経年的劣化に対しても十分な寿命を得ることが出来る。
【0047】
なおストランド油の低粘度化にともない、油膜の保持性が悪くなるためストランド12においては、錆の発生等が懸念されるが、本発明の駆動機構において、定常的にストランド12に油を供給するための油供給装置16を設けてもよい。油供給装置16について、機能、メンテナンスの簡便さから望ましい構成を図3に示す。
【0048】
図3において、油供給装置16は油を含んだ繊維部材から成る塗布片16aを有し、この塗布片16aは主ロープ15に押し付けられている。塗布片16aはローラ17に巻付けられ、塗布片16aはストランド油19を収納するタンク18内を通るようになっている。塗布片16はタンク18の油面に接触しており、またローラ17はタンク18に回転自在に取り付けられている。主ロープ15の移動によりローラ17が回転して、タンク19から塗布片16への給油と、主ロープ15への油の塗布を同時に行う構成となっている。このように油供給装置16を設けることにより、ストランド油の低粘度化に際しても従来と同等以上の油膜保持性を確保できる。
【0049】
図1において、主ロープ15の一例としてIWRC(Independent Wire Rope Core)のシール形を示したが、類似の実施形態としてウォーリントン形、フィラー形、さらにはIWSC(Independent Wire Strand Core)構造の主ロープ15を用いてもよい。
【0050】
第2の実施の形態
次に本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0051】
本発明の第2の実施形態は、図4に示すように主ロープ15において芯鋼11とストランド12との間にポリエチレン等からなる緩衝部材22を設けたものである。緩衝部材22は芯鋼11とストランド12との接触面における摩耗を防止するとともに、芯鋼11に塗布された油を密封する機能を有している。即ち緩衝部材22により、芯鋼11に塗布された潤滑性の高い芯鋼油がストランド12表面に漏れ出すことはなく、このためトラクション低下を防ぐことができる。
【0052】
図4において、図1乃至図3および図6に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を符して詳細な説明は省略する。
【0053】
図4において、主ロープ15の一例としてIWRC(Independent Wire Rope Core)のシール形を示したが、類似の実施形態としてウォーリントン形、フィラー形、さらにはIWSC(Independent Wire Strand Core)構造の主ロープを用いてもよい。
【0054】
第3の実施の形態
次に本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0055】
本発明の第3の実施形態としてCFRC(Center Fit Rope Core)構造ロープを図5に示す。CFRCは前述のIWRCやIWSCとは異なり、主ロープ15内部の芯鋼11において、素線11a間の交差がなく接触応力の緩和が図られている。このため素線11aの断線が起こり難く、曲げに対する疲労寿命上有利な構造となっている。芯鋼11の素線11a間の接触応力が低いため、芯鋼11に対してもストランド12のストランド油と同じ低粘度の芯鋼油を塗布しても実用上十分な寿命を確保でき、トラクション性能と疲労寿命との両立が可能である。
【0056】
第3の実施の形態において、芯鋼油およびストランド油は、いずれも、20℃で100cSt以下の粘度を有している。
【0057】
図5において、図1乃至図3および図6に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を符して詳細な説明は省略する。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、従来の高トラクションシーブ構造と同等以上のトラクション性能を備え、かつ主ロープの寿命を長くすることができ、さらに直径の小さなトラクションシーブを有しエレベータの省スペース化に大きく貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるエレベータの駆動機構における主ロープとトラクションシーブを示す断面図。
【図2】高分子材料からなるライニングを用いたときの油の粘度とトラクション比との関係を示す試験結果。
【図3】ストランド油をストランドに供給するための油供給装置を示す図。
【図4】芯鋼に塗布された芯鋼油を密封しかつ芯鋼とストランドとの接触摩耗を緩和することができる緩衝部材を有する主ロープを示す図。
【図5】芯鋼の素線同士の交差を無くすことにより一様に低粘度油を使用することが可能であるCFRCの本ロープを示す図。
【図6】本発明によるエレベータの駆動機構を示す図。
【図7】一般に用いられている繊維芯を有する主ロープを示す断面図。
【図8】鋼線を有する主ロープを示す断面図。
【図9】トラクションシーブにライニングを設けた構成を示す図。
【図10】潤滑条件下におけるトラクションシーブの溝のライニングと主ロープの素線との接触状態を示す概念図。
【図11】ライニングを設けた条件において、トラクションシーブの溝と主ロープとの接触面圧とトラクション比との関係を示す試験結果。
【図12】ピン・オン・ディスク試験による試験結果を示す図。
【符号の説明】
1 乗りかご
2 つり合いおもり
3 巻上機
11 芯鋼
11a 素線
12 ストランド
12a 素線
13 ライニング
14a トラクションシーブ
15 主ロープ
16 油供給装置
16a 塗布片
17 ローラ
18 タンク
19 ストランド油
22 緩衝部材

Claims (5)

  1. エレベータの乗りかごとつり合いおもりとを連結する主ロープと、
    前記主ロープが係合する外周溝を有し、前記外周溝に高分子材料からなるライニングが設けられているとともに、巻上機により駆動されるトラクションシーブとを備え、
    前記主ロープは複数の鋼線からなる芯鋼と、この芯鋼を囲むように配置され、各々が鋼線を平行よりして撚ってなる複数のストランドとを有し、
    前記芯鋼は高い潤滑性をもつ芯鋼油を含み、各ストランドは前記芯鋼油と異なり、前記芯鋼油より低い粘度をもつストランド油を含み、
    前記ストランド油は、前記ストランドと前記ライニングとの接触面から容易に排出される程度の低い粘度をもつことを特徴とするエレベータの駆動機構。
  2. 前記芯鋼と前記複数のストランドとの間に緩衝部材を介在させたことを特徴とする請求項1記載のエレベータの駆動機構。
  3. 前記芯鋼油は増ちょう剤を含むグリスからなり、前記ストランド油は増ちょう剤を含まない油からなることを特徴とする請求項1または2記載のエレベータの駆動機構。
  4. 前記ストランド油の粘度は、20℃で100cSt以下となることを特徴とする請求項1または2記載のエレベータの駆動機構。
  5. エレベータの乗りかごとつり合いおもりとを連結する主ロープと、
    前記主ロープが係合する外周溝を有し、前記外周溝に高分子材料からなるライニングが設けられているとともに、巻上機により駆動されるトラクションシーブとを備え、
    前記主ロープは複数の鋼線からなる芯鋼と、この芯鋼を囲むように配置され、各々が鋼線を平行よりして撚ってなる複数のストランドとを有し、
    前記芯鋼は芯鋼油を含み、各ストランドはストランド油を含み、
    前記芯鋼油と前記ストランド油は、各々の粘度が20℃で、100cSt以下であるとともに、前記ストランド油は、前記芯鋼油より低い粘度をもち、
    前記ストランド油は、前記ストランドと前記ライニングとの接触面から容易に排出される程度の低い粘度をもつことを特徴とするエレベータの駆動機構。
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