JP4072875B2 - 無段変速装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンと無段変速機との間に介装した発進デバイスに、トルクコンバータと前後進切換装置とを収納した無段変速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、無段変速機を主変速部とする無段変速装置では、エンジンとトランスミッションとの動力伝達をコントロールする発進デバイスと、車両を後進させるためにトランスミッションよりの駆動回転方向を逆転させる前後進切換装置と、この前後進切換装置への動力の切換えを行うクラッチ部とを有している。
【0003】
ここで、上記無段変速機は、その機能上、通常走行における変速作動を任意の変速比に設定することができることから、エンジンと無段変速機とを直結することも可能である。エンジンと無段変速機とを直結することで、通常の多段変速機のように、トルクコンバータ等の流体を介して動力を伝達する際に生じる駆動損失が無くなり、同時に、車速とエンジン回転数との関係を最適に保つことのできる変速比を設定することが可能であることから、駆動効率を大幅に向上させることができ、駆動効率の向上により燃費と走行性能との双方を改善することが可能となる。
【0004】
図3に、従来の一般的な無段変速装置1を示す。
この無段変速装置1では、エンジンAに併設する発進デバイス2と無段変速機3との間に、前後進切換装置4が介装されており、この前後進切換装置4に、上記発進デバイス2からの駆動力の伝達−遮断を設定するフォワードクラッチ部5と、上記駆動力を逆転させる逆転装置であるプラネタリギャ6と、このプラネタリギヤ6の作動−停止を設定するリバースブレーキ部7とが設けられている。
【0005】
前進走行時、上記フォワードクラッチ部5のクラッチプレート5aは締結状態にあり、上記発進デバイス2からの駆動力が、上記クラッチプレート5aの締結により連設されたクラッチドラム5bとクラッチハブ5cとを経て無段変速機3のプライマリプーリ3aから延出するプーリ入力軸3bへ伝達される。尚、発進時は上記発進デバイス2に内蔵するトルクコンバータ2aの流体を介してクラッチドラム5bへ動力が伝達され、通常走行へ移行するとロックアップクラッチ2bが締結され、エンジンAからの駆動力は上記トルクコンバータ2aによる流体を介さず上記クラッチドラム5bに直接伝達される。
【0006】
一方、後進走行時は、上記クラッチプレート5aが解放され、又上記リバースブレーキ部7のブレーキプレート7aが締結される。その結果、プラネタリギヤ6を構成するリングギヤ6aが本体ケースに固定され、上記クラッチドラム5bに連結するプラネタリキャリヤ6bに支持されているダブル配列のプラネタリピニオン6cが上記プーリ入力軸3bに設けたサンギヤ6dを所定に減速した状態で逆転駆動させる。
【0007】
ところで、図4に示すように、一体に組み付けられているエンジンAと無段変速装置1とを、車体8前部に設けたエンジンルーム8aに横置きに搭載する場合、その車幅方向の寸法Wは当然エンジンルーム8aに収容可能な寸法でなければならない。
【0008】
ところが、最近のエンジンルーム8aには衝突時の衝撃を吸収するフレーム9が両側に設けられ、更に、このフレーム9の外側にはフロントタイヤ10が設けられている。
【0009】
上記フレーム9は、車両の操縦安定性の維持、及び衝突安全性を保証するためには剛性を維持するに十分なある程度の断面を確保する必要があり、又、上記フロントタイヤ10は、車両の取回し性を確保するためには転舵角を大きく設定する必要がある。更に、最近の燃費向上等の効率化のためには車体幅をタイヤ幅を含めて小さくする傾向にある。
【0010】
その結果、エンジンルーム8a内のエンジンAと無段変速装置1とを収容するスペースは次第に狭小化する傾向となり、このエンジンAと無段変速装置1との車幅方向の寸法Wの短縮化を図る必要性がでてきた。その一つの考えとして、無段変速装置1の軸方向の寸法W’を短縮することが考えられる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の無段変速装置1では、発進デバイス2と前後進切換装置4とが、エンジンAと無段変速機3との間に、動力伝達経路順に沿ってエンジンA側から無段変速装置3側へ配列されているため、無段変速装置1の軸方向の寸法W’を短縮化することは技術的に困難である。
【0012】
すなわち、従来の無段変速装置1の配列において軸方向の寸法W’を短縮するためには、無段変速機のプーリ比を小さく、或いは無段変速機の両プーリ間に巻装するベルトの幅を縮小し、又は各部材の肉厚を薄くし、或いは各部材間のクリアランスを狭める技術が考えられるが、これらは無段変速装置1の機能低下、或いは剛性及び強度の低下による耐久性の低下を招いてしまうため、実現することは難しい。
【0013】
一方、本出願人は、先に提出した特願平9−61333号において、前後進切換装置を発進デバイスに内蔵すると共に、この発進デバイスに内蔵するトルクコンバータを無段変速機側に配設して、上記前後進切換装置とロックアップ装置とを軸径方向に臨ませる構成とすることで、無段変速装置の軸方向寸法W’を短縮する技術を提案した。
【0014】
上記先行技術では、発進デバイスに前後進切換装置を内蔵することで軸方向寸法W’を短縮しようとするものであるが、トルクコンバータが無段変速機に隣接した構造であるため、上記無段変速機のプライマリプーリとの間の距離を狭めるには、プライマリプーリの可動シーブに連設し作動させるプライマリプーリ作動室を上記トルクコンバータの反対側に配設することが好ましい。
【0015】
しかし、上記プライマリプーリの可動シーブをトルクコンバータの反対側に配設すると、セカンダリプーリの可動シーブは、構造上、トルクコンバータ側に配設しなければならず、この可動シーブを動作させるセカンダリプーリ作動室が上記トルクコンバータ側に突出する分、無段変速機の軸方向寸法W’が短縮できないという問題がある。
【0016】
ところで、トルクコンバータの外径形状は、トルクコンバータの伝達トルクにより決定される。従って、無段変速装置で採用する上記トルクコンバータは、主に停止時や発進時等、駆動輪の回転に対してエンジン回転数が著しく低下し、その回転を維持することができない場合、或いは前後進の切換え時など駆動力の伝達方向が切換えられるときにトルクコンバータが機能すれば良い。
【0017】
しかし、車両の発進特性は、車両負荷とエンジンの駆動力とにより大きく変化し、これを最適に制御するには、トルクコンバータ特性を適切に設定する必要がある。例えば、車両負荷とエンジンからの駆動力との双方が大きい場合、トルクコンバータの伝達可能な駆動力も大きく設定する必要がある。このトルクコンバータの伝達可能な駆動力は、トルクコンバータを構成するブレードの流路最大径によって決定されることから、動力伝達系の容量が大きい場合には、トルクコンバータの外径も必然的に大きくなってしまうため、トルクコンバータを小型化することで無段変速装置の軸方向寸法W’の短縮化を実現することは難しい。
【0018】
又、無段変速機のプーリ間距離を広げ、このプーリ間に上記トルクコンバータを収容することで軸方向寸法W’を短縮することも考えられるが、プーリ間距離を広げた分だけ、ベルトが長くなってしまうため、ベルト強度を見直さなければならず、無段変速機全体の設計変更が強いられ、更に、無段変速機の軸直交方向の幅が大きくなってしまい、結果として無段変速装置全体が大型化し、その分、重量が増加するばかりでなく、製造コストの高騰を招き、更には、衝突時のエンジンルーム内空間を確保することが困難になる。
【0019】
本発明は、上記事情に鑑み、無段変速機を大型化することなく、装置全体の軸方向寸法の短縮化を実現し、エンジンと共にエンジンルーム内に衝突時の空間を確保しつつ横置きで容易に搭載することのできる無段変速装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明による第1の無段変速装置は、エンジンと無段変速機との間に発進デバイスを介装し、上記発進デバイスに少なくとも前後進切換装置とトルクコンバータとを配設し、上記前後進切換装置を上記エンジン側に配設すると共に上記トルクコンバータを上記無段変速機側に配設した無段変速装置において、上記トルクコンバータの流路最小径を、上記トルクコンバータ内周に上記前後進切換装置の少なくとも一部を収容可能な径に設定すると共に、上記トルクコンバータの内周に上記前後進切換装置の少なくとも一部を収容し、上記流路最小径の位置に対し、流路最大径の位置を上記エンジン側へ設定幅オフセットさせたことを特徴とする。
【0023】
第2の無段変速装置は、第1の無段変速装置において、前記オフセット幅を流路最大幅の10%程度に設定したことを特徴とする。
【0024】
第3の無段変速装置は、第1或いは第2の無段変速装置において、前記トルクコンバータの外周に、前記無段変速機に設けたセカンダリプーリに連設する構成部品の少なくとも一部を臨ませたことを特徴とする。
【0025】
すなわち、第1の無段変速装置では、トルクコンバータの流路最小径を、上記トルクコンバータ内周に上記前後進切換装置の少なくとも一部を収容可能な径に設定することで、軸方向寸法の短縮化が図れる。
【0027】
又、上記流路最小径の位置に対し、流路最大径の位置を前記エンジン側へ設定幅オフセットさせたことで、トルクコンバータの流路最大径を縮小することなく、該トルクコンバータを前記無段変速機に対して相対的に近接させることが可能となる。この場合、第2の無段変速装置に示されているように、前記オフセット幅を、流路最大幅の10%程度とすることで、前記無段変速機に設けたセカンダリプーリに連設する構成部品との干渉が回避される。
【0028】
第3の無段変速装置では、第1或いは第2の無段変速装置において、前記トルクコンバータの外周に、前記無段変速機に設けたセカンダリプーリに連設する構成部品の少なくとも一部を臨ませたことで、軸方向寸法の短縮化が図れる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、図1、図2の図面に基づいて本発明の一実施の形態を説明する。
図中の符号11は無段変速装置で、トランスミッションケース11a内に発進デバイス12と無段変速機13とが収容されており、又、上記トランスミッションケース11aの入力側にエンジンAが連結されている。
【0030】
上記エンジンAのクランク軸A1には、ドライブプレート14が軸着されており、このドライブプレート14が上記発進デバイス12に設けたトルクコンバータケース15に連設されている。このトルクコンバータケース15は上記無段変速機13側へ延出され、上記発進デバイス12の後部に配設されているトルクコンバータ16のインペラ16aに連設されている。
【0031】
上記トルクコンバータ16は、上記インペラ16aと、このインペラ16aに流体を介して連設するタービン16bと、流体を整流するステータ16cとで構成されており、更に、上記インペラ16aにオイルポンプ17のポンプ軸17aが連設されている。
【0032】
又、上記無段変速機13はプライマリプーリ19と、該プライマリプーリ19に対設するセカンダリプーリ20と、この両プーリ19,20を連設するベルト21とを有し、上記プライマリプーリ19を軸装するプーリ入力軸19aが上記発進デバイス12方向へ延出され、又、上記セカンダリプーリ20を軸支するプーリ出力軸20aが、終減速装置22の減速歯車列22aを介して、前輪或いは後輪の駆動軸23に軸着されているデファレンシャル装置22bに連設されている。
【0033】
更に、上記プライマリプーリ19の上記発進デバイス12の反対側に、該プライマリプーリ19に設けた可動シーブを動作させるプライマリ作動室19bが併設されており、一方、上記セカンダリプーリ20の発進デバイス12側に、該セカンダリプーリ20に設けた可動シーブを動作させるセカンダリ作動室20bが併設されている。上記無段変速機13では、上記セカンダリ作動室20bに供給されるプライマリ圧であるセカンダリ圧により、上記セカンダリプーリ20に対しトルク伝達に必要な張力が付与され、又、上記プライマリ作動室19bに供給される上記ライン圧を元圧とするプライマリ圧により変速比が設定される。尚、上記ライン圧、及びプライマリ圧は、図示しないトランスミッション制御装置においてエンジン運転状態等に基づいて設定される。
【0034】
又、上記トルクコンバータ16の流路最小径DSに位置しているステータ16cの幅方向中心の流路内径が比較的大きく設定されており、又、インペラ16aのブレードとタービン16bのブレードとの間の流路最大径DIとなる連通部16dの幅方向中心位置が、上記ステータ16cの流路最小径DSの中心位置に対して、上記エンジンAの方向へ所定幅WOだけオフセットされている。
【0035】
即ち、無段変速装置11では、通常走行時の変速が連続的に設定されるため、トルクコンバータ16による流体を介して駆動力を伝達する必要が無く、発進或いは停止時においてストールトルク比とトルクコンバータ16の滑り量を表す容量係数が制御できればよく、通常の自動変速装置に採用されているトルクコンバータでは、上記インペラ16aのブレードの流路最大径DIに対して、流路最小径DSが26%程度であるが、それよりも大きく設定することができ、又、上記連通部16dも上記エンジンAの方向へ所定幅オフセットすることができる。
【0036】
実験によれば、伝達可能な駆動力により一義的に決定される上記インペラ16aのブレードの流路最大径DIに対して、流路最小径DSを50%程度まで大きくすることが可能であり、又、上記オフセット幅WOは、流路最大幅WTの10%程度まで設定することが可能である。
【0037】
又、トルクコンバータケース15には、前後進切換装置24とロックアップクラッチ部25とが内蔵されている。上記前後進切換装置24は逆転装置であるプラネタリギヤ26とリバースブレーキ部27とフォワードクラッチ部28とで構成されている。
【0038】
上記ロックアップクラッチ部25のロックアップクラッチプレート25aが上記エンジンA側の上記トルクコンバータケース15に対設されている。更に、上記ロックアップクラッチプレート25aがダンバユニット25bを介して、上記フォワードクラッチ部28に設けられたダンパハブ25cに連設され、このダンパハブ25cが上記プーリ入力軸19aに軸着されている。
【0039】
又、上記ダンパハブ25cの中途から上記トルクコンバータ16方向へ上記フォワードクラッチ部28に設けらたクラッチドラム28aが突設され、このクラッチドラム28aの内周に、ドライブ側とドリブン側とに交互に配列されている各クラッチプレート28bを介して、クラッチハブ28cが対設されている。
【0040】
更に、このクラッチハブ28cが上記プラネタリギヤ26に設けたプラネタリピニオン26aの両面を支持するプラネタリキャリヤ26bの一方に連結され、このプラネタリキャリヤ26bが上記タービン16bに連結されている。
【0041】
又、上記プラネタリギヤ26のサンギヤ26cが上記プーリ入力軸19aに、一体形成されており、このサンギヤ26cの外周に上記プラネタリピニオン26aを介して連設するリングギヤ26dが配設されている。更に、このリングギヤ26dの外周に、上記リバースブレーキ部27のブレーキドラム27aが、ドライブ側とドリブン側に交互に配列されているブレーキプレート27bを介して対設されている。
【0042】
上記ブレーキドラム27aがリバースブレーキシリンダ27cから延出されており、このリバースブレーキシリンダ27cが、上記トルクコンバータ16の流路最小径DS部に収容され、その軸中心が、上記プーリ入力軸19aに外装されると共に上記トランスミッションケース11aに直接或いは間接的に固定されているステータ軸16eにスプライン係合されている。
【0043】
又、上記リバースブレーキシリンダ27cに、上記ブレーキプレート27bに作動圧を印加するリバースブレーキピストン27dが進退自在に保持されており、このブレーキプレート27bと上記リバースブレーキピストン27dとの間にブレーキ作動室27eが形成されている。
【0044】
更に、上記リバースブレーキシリンダ27cの反リバースブレーキピストン27d側である背面にステータ支持軸27fが突設され、このステータ支持軸27fに上記ステータ16cの内周に形成されたハブ16eが、ワンウェイクラッチ16fを介して支持されている。上記ハブ16eは、上記ステータ16cの幅方向中心から上記インペラ16a側へ軸方向に沿って設定幅オフセットされており、その端面がスラスト軸受け等の摺動部材30aを介して上記インペラ16aに支持されている。
【0045】
上記ハブ16eをインペラ16aの方向へ設定幅オフセットさせ、且つ上記トルクコンバータ16の流路最小径DSを、流路最大径DIに対して50%程度まで広げたことで、上記トルクコンバータ16の幅内に、上記リバースブレーキシリンダ27c、及びプラネタリギヤ26とリバースブレーキ部27のブレーキプレート27b並びにブレーキドラム27aとの幅方向の一部を収容することが可能となり、無段変速装置11の軸方向寸法を短縮することができる。尚、上記ステータ支持軸27fが上記ワンウェイクラッチ16fのインナレースを兼用すれば、部品の共用化により部品点数の削減を図ることができる。
【0046】
又、上記ブレーキドラム27aの外周面が上記ハブ16eの外周面にほぼ連続して形成されており、このブレーキドラム27aの外周面が上記ステータ16cに連続する流路を形成している。
【0047】
更に、上記プラネタリギヤ26の両プラネタリキャリヤ26bにて上記プラネタリピニオン26a、リングギヤ26dの両側面が規制されており、又、この両プラネタリキャリヤ26bの外側が、スラスト軸受け等の摺動部材30bを介して上記リバースブレーキシリンダ27cの側面と、上記プーリ入力軸19aに形成された段部との間に挟持されている。
【0048】
尚、上記トルクコンバータ16のタービン16bは上記プラネタリキャリヤ26b、プラネタリピニオン26a、サンギヤ26cを介して上記プーリ入力軸19aに支持されている。
【0049】
又、上記リバースブレーキシリンダ27cの背面が、上記オイルポンプ17のポンプ軸17aに他の摺動部材30cを介して支持されている。
【0050】
一方、上記無段変速機13に隣接する上記トルクコンバータ16のインペラ16aとタービン16bとの間に形成されている連通部16dが上記ステータ16cの幅方向中心から上記エンジンA側へオフセット幅WOだけ偏倚されているため、上記セカンダリプーリ20に併設するセカンダリ作動室20bを形成するセカンダリプーリシリンダ20cとセカンダリプーリプランジャ20d、及びベアリング20e等、セカンダリプーリ20を構成する部品の一部を、プライマリプーリ19とセカンダリプーリ20とのプーリ間距離を長くすることなく、上記トルクコンバータ16の径方向に臨ませることが可能となり、その分、無段変速装置11の軸方向寸法を更に短縮化させることができる。
【0051】
次に、上記構成による本実施の形態の作用について説明する。
エンジンAの出力はクランク軸A1に固設したドライブプレート14を介して発進デバイス12に設けたトルクコンバータケース15に入力され、このトルクコンバータケース15に連結されているトルクコンバータ16のインペラ16aが回転し、このインペラ16aに対向するタービン16bに流体を介して動力を伝達する。そして、この流体は、ステータ16cで反転整流された後、上記インペラ16aに戻される。
【0052】
車両のコンソールボックス等に配設されたセレクトレバーがNレンジ、或いはPレンジにセットされている状態では、上記発進デバイス12に設けたリバースブレーキ部27のブレーキプレート27b、フォワードクラッチ部28のクラッチプレート28b、ロックアップクラッチ部25のロックアップクラッチプレート25aは、全て解放されており、上記タービン16bから出力された動力が、前後進切換装置24のプラネタリギヤ26に設けたプラネタリピニオン26aを支持するプラネタリキャリヤ26bに伝達され、このプラネタリキャリヤ26bが一体回転する。
【0053】
すると、上記プラネタリピニオン26a、リングギヤ26dがプラネタリキャリヤ26bに支持された状態で、無段変速機13のプライマリプーリ19から延出するプーリ入力軸19aの周囲を空転し、上記プーリ入力軸19aに対する動力の伝達が遮断される。尚、上記プラネタリキャリヤ26bの幅方向は、リバースブレーキ部27に設けたブレーキシリンダ27cの対向面とプーリ入力軸19aに形成した対向面との間に摺動部材30bを介して、摺動自在に支持されている。
【0054】
そして、セレクトレバーをDレンジ等の前進走行レンジにセットすると、フォワードクラッチ部28のクラッチプレート28bが結合し、上記プラネタリキャリヤ26bとクラッチドラム28aとが連結する。その結果、このクラッチドラム28aに連結するダンパハブ25cを介して、無段変速機13のプライマリプーリ19から延出するプーリ入力軸19aに駆動力が伝達され、この無段変速機13が正転する。
【0055】
そして、前進走行時、ロックアップ作動条件が満足されると、ロックアップクラッチ部25のロックアップクラッチプレート25aが結合し、エンジンAのクランク軸A1に連設するドライブプレート14、トルクコンバータケース15、ダンパユニット25bを介して伝達された動力が、上記トルクコンバータ16による流体を介さず、上記プーリ入力軸19aに連結する上記ダンパハブ25cに出力される。
【0056】
一方、後進走行すべく、上記セレクトレバーをRレンジにセットすると、上記フォワードクラッチ部28の上記クラッチプレート28bが解放され、又、リバースブレーキ部27のブレーキプレート27bがリバースブレーキピストン27dの付勢力を受けて結合される。
【0057】
すると、上記プラネタリギヤ26のリングギヤ26dが固定され、上記タービン16bに連設するプラネタリキャリヤ26bを介してプラネタリピニオン26aが回転し、上記プーリ入力軸19aに設けたサンギヤ26cを所定変速比の減速状態で逆回転させる。
【0058】
尚、この場合、ストール回転数付近では、ステータ16cの反力によりワンウェイクラッチ16fのインナレースに作用する軸トルクの荷重方向と、リバースブレーキシリンダ27cの上記プラネタリギヤ26の反力を受けるブレーキドラム27aに作用する軸トルクの荷重方向とが逆方向に働くため、上記リバースブレーキシリンダ27cでは、上記両軸トルクが内部応力として互いに打ち消し合う方向に作用し、従って、このリバースブレーキシリンダ27cを支持するステータ軸16eに作用する軸トルクが小さくなる。
【0059】
無段変速機13では、上記プーリ入力軸19aに入力された駆動力をプライマリプーリ19、ベルト21、セカンダリプーリ20を介してプーリ出力軸20aへ出力し、その際、エンジン回転数、スロットル開度、車速等に基づいて、上記両プーリ19,20の溝幅を反比例状態に可変設定して変速制御を行う。
【0060】
上記プライマリプーリ19の可動シーブが反トルクコンバータ16側に配設されている場合、セカンダリプーリ20の可動シーブはトルクコンバータ16側に配設されることになり、このセカンダリプーリ20の可動シーブを可変動作させるセカンダリ作動室20b等、上記セカンダリプーリ20の上記発進デバイス12側に配設された構成部品が、上記発進デバイス12に設けたトルクコンバータ16側に突出するが、このトルクコンバータ16のインペラ16aとタービン16bとの間の連通路16dの幅方向中心をステータ16cの幅方向中心に対してエンジンA方向へ幅WOだけオフセットさせたことで、上記インペラ16aと上記構成部品との干渉が回避され、部品配列の効率化が図れる。
【0061】
このように、本実施の形態では、トルクコンバータ16の伝達可能な駆動力を確保するための流路最大径DIを通常の寸法条件と同等で設定し、その流路最大径DIに対して、流路最小径DSを50%程度まで広げ、しかもステータ16cの内周に形成した、ワンウェイクラッチ16fに支持されるハブ16eを無段変速機13側へ偏倚させたことで、トルクコンバータ16の内周に、リバースブレーキシリンダ27cを収納することができると共に、ブレーキドラム27a、及び、このブレーキドラム27aの径方向に配列するブレーキプレート27b、プラネタリギヤ26の少なくとも一部を収納させることができ、その分、自動変速装置11の軸方向の寸法が短縮され、最近の狭隘化するエンジンルーム内に、横置き状態で容易に搭載することが可能になる。
【0062】
又、ステータ16cを支持するワンウェイクラッチ16fのインナレースをリバースブレーキシリンダ27cに形成したステータ支持軸18fにて兼用し、更に、トルクコンバータ16のタービン16bをプラネタリキャリヤ26bを介して支持させることで、部品の共用化が図れると共に構造の簡素化が図れ、その結果、自動変速装置11の幅方向の寸法を一層短縮させることができるばかりでなく、製品コストの低減を図ることができる。
【0063】
更に、トルクコンバータケース15内に前後進切換装置24を内蔵することで、トルクコンバータ16周辺の組付けと前後進切換装置24の組付けとが同時に行えるため、組立工数が削減され、製造コストの低減を図ることができるばかりでなく、トルクコンバータ16と前後進切換装置24とが1ユニット化されるため、前後進切換装置24の機能の確認を、他の部品を組み付けることなく、トルクコンバータケース15に収納した状態で行うことができ、開発、及び製造過程において機能の管理がし易くなり、信頼性が向上する。。
【0064】
又、スラスト方向に隣接する上記タービン16b、プラネタリギヤ26、リバースブレーキシリンダ27cを摺動部材30b,30c等を介して互いに支持することで、各構成部品を独立状態で支持する場合に比し、部品点数を削減することができると共に、軸方向の寸法をより一層短縮化させることができる。
【0065】
又、後進走行時のストール回転数付近では、ステータ16cの反力としてステータ支持軸18fに作用する軸トルクの荷重方向と、プラネタリギヤ26からの反力としてブレーキドラム27aに作用する軸トルクの荷重方向とが逆方向に働くため、この両軸トルクを受けるリバースブレーキシリンダ27cでは、上記両トルクが互いに打ち消す方向へ作用し、従って、このリバースブレーキシリンダ27cを支持するステータ軸16eに作用する軸トルクが小さくなり、相対的に、このステータ軸16eの強度を高めることができ、その分、上記リバースブレーキシリンダ27cを支持する構造の簡素化を図ることができると共に、小型化を実現することができる。
【0066】
更に、トルクコンバータ16に設けたタービン16bをプラネタリキャリヤ26bに連結すると共に、このタービン16bを上記フォワードクラッチ部28のクラッチドラム28aに対設することで、このプラネタリキャリヤ26bを互いの動力伝達系として共用化することができ、部品点数の削減により構造が簡素化されるばかりでなく、分品点数の削減により装置全体の小型化、及び製造コストの低減を図ることができる。
【0067】
又、上記トルクコンバータ16の流路最小径DSの位置であるステータ16cの幅方向中心に対して、流路最大径DIの位置である連通部16dの幅方向中心をエンジンA方向へ、流路最大幅WTの10%程度、オフセットさせたことで、上記トルクコンバータ16とセカンダリプーリ20に連設するセカンダリプーリシリンダ20cを代表とする各構成部品との干渉が回避され、その分、無段変速装置11の軸方向寸法を短縮することができる。
【0068】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、発進デバイスに配設したトルクコンバータの流路最小径を拡大設定したので、上記発進デバイスに上記トルクコンバータと共に内蔵されている前後進切換装置の少なくとも一部を上記トルクコンバータの内周に収容することが可能となり、装置全体の軸方向寸法の短縮化が実現できる。
【0070】
又、上記流路最小径の位置に対し、流路最大径の位置を前記エンジン側へ設定幅オフセットさせたので、トルクコンバータの流路最大径を縮小することなく、該トルクコンバータを前記無段変速機に対して相対的に近接させることが可能となり、その結果、無段変速機のプーリ間距離を広げることなく、装置全体の軸方向寸法をより一層短縮化することができ、無段変速装置をエンジンと共にエンジンルーム内に、衝突時の空間を確保しつつ横置きで容易に搭載することが可能となる。
【0071】
この場合、請求項2に示されているように、前記オフセット幅を、流路最大幅の10%程度とすることで、トルクコンバータの伝達可能な駆動力を十分確保することができる。
【0072】
請求項3記載の発明によれば、請求項1或いは2記載の発明において、前記トルクコンバータの外周に、前記無段変速機に設けたセカンダリプーリに連設する構成部品の少なくとも一部を臨ませることで、無段変速装置の軸方向寸法をより一層短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動変速装置の全体構成図
【図2】自動変速装置の要部断面図
【図3】従来の自動変速装置の全体構成図
【図4】エンジンルーム内にエンジンと一体の自動変速装置を横置きに搭載した状態の概略平面図
【符号の説明】
A…エンジン
11…無段変速装置
12…発進デバイス
13…無段変速機
16…トルクコンバータ
20…セカンダリプーリ
24…前後進切換装置
DI…流路最大径
DS…流路最小径
WO…オフセット幅
Claims (3)
- エンジンと無段変速機との間に発進デバイスを介装し、上記発進デバイスに少なくとも前後進切換装置とトルクコンバータとを配設し、上記前後進切換装置を上記エンジン側に配設すると共に上記トルクコンバータを上記無段変速機側に配設した無段変速装置において、
上記トルクコンバータの流路最小径を、上記トルクコンバータ内周に上記前後進切換装置の少なくとも一部を収容可能な径に設定すると共に、
上記トルクコンバータの内周に上記前後進切換装置の少なくとも一部を収容し、
上記流路最小径の位置に対し、流路最大径の位置を上記エンジン側へ設定幅オフセットさせたことを特徴とする無段変速装置。 - 前記オフセット幅を流路最大幅の10%程度に設定したことを特徴とする請求項1記載の無段変速装置。
- 前記トルクコンバータの外周に、前記無段変速機に設けたセカンダリプーリに連設する構成部品の少なくとも一部を臨ませたことを特徴とする請求項1或いは2記載の無段変速装置。
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