JP4072829B2 - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は自動変速機の制御装置に関し、特に、ロックアップクラッチを備えたトルクコンバータを備えるものに関する。
ロックアップクラッチを備えたトルクコンバータでは、ロックアップクラッチの前後差圧(ロックアップ差圧)を制御することで、ロックアップクラッチの締結・開放を行っており、コンバータ状態からロックアップ状態へ移行する際には、所定の初期差圧から徐々に差圧を上昇させてコンバータ状態からスリップ状態へ移行した後にロックアップクラッチの締結を行っている。
このようなロックアップクラッチの制御では、減速時に所定の車速なると徐々にロックアップクラッチを開放して、エンジンのストールを防止するものが知られている(特許文献1)。
この従来例では、
特開平11−223263号
しかしながら、上記従来例では、減速度を監視しながら基準減速度を超えると、ロックアップクラッチを強制的に解放するため、減速度が急変して解放によるショック(減速度の急激な減少)が発生するという問題がある。
また、ロックアップクラッチを滑らかに解放するコーストロックアップ解除では、ロックアップ解除開始車速から、予め設定したランプ(変化率)で差圧指令値を徐々に低減し、所定の解放車速に達するとロックアップクラッチを完全に解放するが、上記ランプを緩減速に合わせた場合、急減速を行うと差圧指令値が十分低下しないうちに、所定の解放車速に達して、上記従来例と同様に解放時にショックが発生するという問題がある。
逆に、上記ランプを急減速に合わせた場合では、緩減速のときに差圧指令値の低下が速すぎて減速度の急変が発生し、上記と同様にショックが発生するという問題があった。
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、減速状態にかかわらずロックアップの解除を円滑に行うことを目的とする。
本発明は、エンジンと自動変速機の間に介装されるとともにロックアップクラッチを備えたトルクコンバータと、車両の運転状態に基づいて、前記ロックアップクラッチに供給する差圧指令値を演算して、前記トルクコンバータのコンバータ状態とロックアップ状態とをスリップ状態を介して切り換えるロックアップ制御手段と、を備え、前記ロックアップ制御手段は、車速を検出する車速検出手段と、前記車速が予め設定した第1の車速以下になると、締結中のロックアップクラッチを徐々に解放するスムーズロックアップ解除手段と、前記車速が予め設定されて前記第1の車速よりも低い第2の車速以下になると、ロックアップクラッチを即座に解放するロックアップ解放手段と、を備え、前記スムーズロックアップ解除手段は、予め設定した変化率で前記差圧指令値を徐々に低減するように演算する差圧指令値演算手段を備えた自動変速機の制御装置において、
前記車速が低下するにつれて前記予め設定した変化率よりも更に大きな変化率で前記差圧指令値が更に低減するように補正する差圧指令値補正手段を備える。
本発明によれば、スムーズロックアップ解除手段は、所定の変化率で差圧指令値を低減して締結中のロックアップクラッチを徐々に解放するが、車速が低下するにつれて差圧指令値が更に低減するように補正されるので、第2の車速に達する時点では差圧指令値を十分低く、かつ、減速度の大小にかかわらずほぼ一定にすることが可能となり、減速度の大きさに係わらず解放時のショックの発生を抑制して、滑らかにロックアップクラッチの解放を行うことが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明のシステム構成を示す概略図である。
この図1において、エンジン3にはトルクコンバータ5を備えた自動変速機4が連結され、トルクコンバータ5にはロックアップクラッチ6が配設されて運転状態に応じてロックアップ(締結状態)またはアンロックアップ(開放状態)を行うものである。
トルクコンバータ5は、トルクコンバータ出力要素(タービン)と共に回転するロックアップクラッチ6を内蔵し、このロックアップクラッチ6は、トルクコンバータ入力要素(インペラ)に締結されるとき、トルクコンバータ5を入出力要素間が直結されたロックアップ状態にするものとする。
ロックアップクラッチ6は、その両側(前後)におけるトルクコンバータアプライ圧Paとトルクコンバータレリーズ圧Prとの差圧Pa−Prに応動し、レリーズ圧Prがアプライ圧Paよりも高いとロックアップクラッチ6は開放されてトルクコンバータ入出力要素間を直結せず、レリーズ圧Prがアプライ圧Paよりも低くなる時にロックアップクラッチ6は締結されてトルクコンバータ入出力要素間を直結するものである。
そして、上記後者の締結に際して、ロックアップクラッチ6の締結力、つまりロックアップ容量は、上記の差圧Pa−Prにより決定し、この差圧が大きい程ロックアップクラッチ6の締結力が増大してロックアップ容量を増大する。
差圧Pa−Prは、周知のロックアップコントロールバルブ7により制御し、このロックアップコントロールバルブ7には、アプライ圧Paおよびレリーズ圧Prを相互に対向するように作用させ、更にアプライ圧Paと同方向にバネの付勢力を、またレリーズ圧Prと同方向にばね力を作用させ、同時にレリーズ圧Prと同方向に信号圧Psolをそれぞれ作用させる。
ロックアップコントロールバルブ7は、これら油圧とバネの付勢力が釣り合うよう差圧Pa−Prを決定する。
ここでロックアップコントロールバルブ7にかかる信号圧Psolは、ポンプ圧Ppを元圧としてロックアップソレノイド8がデューティ信号Dutyに応じて作り出すものである。
マイクロコンピュータなどを主体にして構成されるATコントローラ1は、車両の運転状態に応じて差圧Ptを演算してデューティ信号Dutyに変換し、ロックアップソレノイド8を介して差圧Pa−Prを制御する。
ATコントローラ1には、車両の走行状態やドライバーの運転状況を示す信号、例えば、自動変速機4に設けた入力軸回転センサ16からの入力軸回転速度Ni、トルクコンバータ5への入力回転速度(=エンジン回転速度Ne)を検出するインペラ回転センサ11からのポンプインペラ回転速度Np、アクセル操作量センサ14からのアクセル操作量APO(またはスロットル開度TVO)、油温センサ12からの油温Tatf、車速センサ13からの車速VSPが入力される。そして図示しないインヒビタスイッチなどからの信号に基づいて、運転者が選択した変速レンジで変速制御及びロックアップ制御を行う。ここでは、Dレンジ、Lレンジ(低速レンジ)、Pレンジ、Rレンジを備えるものとする。
また、ATコントローラ1はエンジンコントローラ2からエンジン回転速度Ne、エンジントルクTeを受信する。
そして、ATコントローラ1は、これらの検出信号によりロックアップクラッチ6の締結や解放あるいはスリップなどの制御を行う。
ATコントローラ1は、車両の運転状態に応じてスムーズロックアップを行うもので、このスムーズロックアップは、例えば、アクセル操作量APOの変化が少なく、かつ車速VSPが緩やかに上昇する際に、コンバータ状態からスリップ状態を経てロックアップクラッチ6の締結を行うものである。
また、ATコントローラ1は、車両のコースト状態などの減速時に、所定の車速まで低下すると、エンジンストールを回避するために徐々にロックアップクラッチを解放するスムーズロックアップ解除制御を行うもので、このスムーズロックアップ解除制御は、例えば、アクセル操作量APOが解放状態で、かつ車速VSPが所定値まで減少すると、ロックアップクラッチを締結状態からスリップ状態を経てコンバータ状態に移行するものである。
すなわち、図3で示すように、車速VSPとアクセル操作量APOの大きさに基づいて、スムーズロックアップ解除開始車速Vssと、ロックアップクラッチ6を即座に解放するロックアップ解除車速VsuD、VsuLが設定されて、スムーズロックアップ解除車速Vss以上の領域(図中右側)はロックアップクラッチ6を締結するロックアップ領域であり、ロックアップ解除車速VsuD、VsuLよりも車速VSPの小さい領域がコンバータ状態の領域(図中C領域)となる。そして、ロックアップ領域とコンバータ状態の領域の間がスリップ領域となる。
ここで、ロックアップ解除車速VsuD、VsuLは、変速レンジに応じて設定されたロックアップ解除車速であり、VsuDは変速レンジがDレンジのときに用いるロックアップ解除車速で、VsuLはレンジのときに用いるロックアップ解除車速である。
一方、ロックアップ解除開始車速はVssは、車速VSPとアクセル操作量APOに応じて変化し、アクセル操作量APO=0/8のときには、Vss1がロックアップ解除開始車速Vssであり、アクセル操作量APO=1/8程度(または図示しないアイドルスイッチがオンとなる領域)まではVss1をロックアップ解除開始車速Vssとする。
アクセル操作量APOが1/8以上になると、Vss1よりも小さいVss2をロックアップ解除開始車速Vssとし、さらにアクセル操作量APOが増大して5/8以上の領域では、ロックアップ解除開始車速VssがVss2からVss1へ向けて徐々に増大するように設定される。つまり、アクセル操作量APOが5/8以上ではアクセル操作量APOが大きいほどロックアップ解除開始車速Vssが大きくなる。なお、ロックアップ解除開始車速Vss1は低車速で設定され、例えば、20km/h等に設定される。
次に、図2は、ATコントローラ1で行われるスムースロックアップ解除制御の一例を示すフローチャートである。この処理は、ロックアップ解除が完了するまで、所定の周期(例えば、数十msec)で繰り返して実行される。
S1では、車速VSPとアクセル操作量APOを読み込んで、S2において、車速VSPがスムースロックアップ解除を開始する所定の車速Vss以下となったか否かを判定する。
このスムーズロックアップ解除開始車速Vssは、図3で示したように、車速VSPとアクセル操作量APOの大きさに基づいて、Vss2からVss1の間で設定されるものである。
車速VSPがスムーズロックアップ解除車速Vss以下になった場合には、S3以降でスムーズロックアップ解除制御を実行する。一方、車速VSPがスムーズロックアップ解除車速Vssを超えるときにはロックアップ状態を維持してそのまま終了する。
S3では、現在の変速レンジをインヒビタスイッチ(図示省略)からの信号に基づいて検出し、上記図3のマップから現在選択中の変速レンジに対応するロックアップ解除車速VsuDまたはVsuLを選択し、現在の車速VSPと比較する。
現在の車速VSPがロックアップ解除車速VsuD、L以上の場合にはS4に進んで、スリップ制御を主体とするロックアップ解除制御を行い、現在の車速VSPがロックアップ解除車速VsuD、Lを下回ったときには、S8へ進んでロックアップクラッチ6を完全に解放してエンジンのストールを回避する。つまり、差圧指令値Ptを予め設定した解放用の値に設定し、即座にロックアップクラッチ6の解放を行う。
一方、車速VSPがロックアップ解除車速VsuD、VsuL以上の領域にあるS4では、スリップ制御を行って滑らかにロックアップクラッチ6を解放するため、解除用差圧指令値Puを予め設定したランプ(傾斜)により演算する。なお、このランプは緩減速用の緩やかな勾配を用いるのが望ましい。
次に、S5では、上記差圧指令値Puを補正するため、図4のマップから、現在の車速VSPに応じた差圧上限値Plimを求める。この図4のマップは、車速VSPが低下するにつれて差圧上限値Plimが低下するように設定され、所定の車速を下回ると差圧上限値Plimは負の値となる。負の値はPa<Prの状態を示す。
この差圧上限値Plimは、ロックアップ解除車速VsuDまたはVsuLへ低下するまでに差圧を所定値まで下げておき、前記従来例のようにロックアップクラッチ6の解放時に減速度の変動によるショックが発生するを防止する。このため、車速VSPが減少するにつれて差圧指令値の変化率(勾配)も大きくなるように設定されている。
次にS6では、上記S4で求めた差圧指令値Puと上記S5で求めた差圧上限値Plimとを比較して、小さい方を選択(セレクトロー)して差圧指令値Ptへ代入する。これにより、差圧指令値Ptは、解除用差圧指令値Puが車速VSPに応じた差圧上限値Plimを超えないように補正される。
そして、S7では差圧指令値Ptに応じたデューティ比を求めてロックアップソレノイド8を駆動する。
以上の制御により、スムーズロックアップ解除車速Vss以下になると、差圧上限値Plimを超えないように解除用差圧指令値Puが補正されて、ロックアップクラッチ6を徐々に解放するスムーズロックアップ解除制御(スリップ制御)が実行される。今、Dレンジで走行中に、緩減速によりスムーズロックアップ解除制御が行われる場合を図5に示す。
図5において、時刻T0まではロックアップ状態でコースト(緩減速)が行われている。そして時刻T0になると車速VSPがスムーズロックアップ解除車速Vss(この場合ではコースト=アクセル操作量APO=0/8であるから図3のVss1)に達しスムーズロックアップ解除制御が開始される。
差圧指令値Ptは時刻T0で所定値まで低減された後、上記S4で予め設定したランプ(傾斜)により差圧指令値Puが演算され、徐々に低減されてロックアップクラッチ6の締結力は徐々に低減してスリップ状態になる。
そして、車速VSPは徐々に減少し、時刻T1になると、上記S6により、所定のランプから求めた解除用差圧指令値Puが、車速VSPの減少に応じて低下する差圧上限値Plimを超える。このため、差圧指令値Puは差圧上限値Plimによって規制され、出力される差圧指令値Ptは、S4で求めた差圧指令値Puよりも小さく補正される。
さらに車速VSPが減少して時刻T2になるとロックアップ解除車速VsuD未満になり、上記S3、S8により差圧指令値Ptはロックアップクラッチ6を完全に解放する所定値に設定され、ロックアップクラッチ6は即座に解放されてスリップ状態からコンバータ状態に移行する。
この時刻T2の時点では、差圧上限値Plimにより差圧指令値Ptが解除用差圧指令値Puよりも小さな値になっているので、この時点でロックアップクラッチ6の完全解放を行っても減速度(負の加速度)が急変することはなく、図示のように緩やかに減速度が減少し、ショックを発生することなく緩減速でのスムーズロックアップ解除制御を実現できる。
一方、Dレンジで走行中に急減速を行った場合について図6を参照しながら説明する。
図6において、時刻T0まではロックアップ状態でコースト(緩減速)が行われている。そして時刻T0になると急減速が行われ、車速VSPがスムーズロックアップ解除車速Vss(例えば、図3のVss1)に達しスムーズロックアップ解除制御が開始される。
差圧指令値Ptは時刻T0で所定値まで低減された後、上記S4で予め設定したランプ(傾斜)により差圧指令値Puが演算されるが、急減速により車速VSPの低下が速いので、時刻T0以降から差圧指令値Puは差圧上限値Plimに制限される。
以降、急減速中は差圧指令値Ptが差圧上限値Plimによって規制されながら減少し、時刻T1になると車速VSPはロックアップ解除車速VsuD未満になり、上記S3、S8により差圧指令値Ptはロックアップクラッチ6を完全に解放する所定値に設定され、ロックアップクラッチ6は即座に解放されてスリップ状態からコンバータ状態に移行する。
この時刻T1の時点では、急減速時においても上記緩減速と同様に、差圧上限値Plimにより差圧指令値Ptが解除用差圧指令値Puよりも小さな値になっており、かつ、緩減速時と同様の差圧指令値Pt≒0となっている。
この時点でロックアップクラッチ6の完全解放を行っても減速度(負の加速度)が急変することはなく、図中実線のように緩やかに減速度が減少し、ショックを発生することなく緩減速でのスムーズロックアップ解除制御を実現できる。
一方、従来例の場合では、緩減速用のランプ(例えば、図中破線のPu)で差圧指令値の漸減が行われるので、ロックアップ解除車速VsuDに達した時点ではまだ差圧が高く締結力も大きい状態である。この状態からロックアップクラッチ6を一気に解放すると、車両に発生する加速度は、図中一点鎖線のように解放後に一気に減速度が増大した後、減速度が増大することでショック発生していたのである。
これに対して本発明によれば、スムーズロックアップ解除制御のランプを緩減速用の設定としておき、この差圧指令値の特性を図4で示したマップにより、車速VSPの低下に伴って差圧上限値Plimを減少させ、この差圧上限値Plimで差圧指令値Puを補正するようにしたたため、減速度の大小にかかわらずロックアップ解除車速VsuD(またはVsuL)となる時点の差圧指令値Ptをほぼ一定にすることが可能となり、前記従来例のように減速度(または加速度)の監視を行うことなく、減速度の大きさに係わらずショックの発生を抑制して、滑らかにロックアップクラッチ6のスムーズロックアップ解除を実現することが可能となる。
図7は、第2の実施形態を示し、前記第1実施形態の図4に示した差圧上限値Plimのマップを、自動変速機4の油温Tatfに応じて変更するようにしたもので、その他の構成は前記第1実施形態と同様である。
図7のマップは、油温センサ12が検出した油温Tatf毎に設定され、油温Tatfが高くなると差圧上限値Plimも高くなり、油温Tatfが低下すると差圧上限値Plimも低下(ロックアップクラッチ6の解放側へ移動)する。ただし、各油温の特性、つまり車速変化に対する差圧上限値Plimの変化率(傾き)は同一とする。
この場合では、油温が低いほど油圧の応答速度は低下するので、車速VSPに対する差圧上限値Plimを基準値(図中油温=中)よりも全体的に低く設定し、油温が高いほど油圧の応答速度は向上するので、車速VSPに対する差圧上限値Plimを基準値(図中油温=中)よりも全体的に高く設定する。
これにより油温Tatfの変化による油圧の応答遅れを相殺するように設定することができる。
図8は、第3の実施形態を示し、前記第1実施形態の図4に示した差圧上限値Plimのマップを、ロックアップ解除車速VsuDまたはVsuLの大きさに応じて変更するようにしたもので、その他の構成は前記第1実施形態と同様である。
図8のマップは、インヒビタスイッチなどが検出した変速レンジ毎に設定され、ロックアップ解除車速が低いほど差圧上限値Plimを高く設定し、ロックアップ解除車速が高いほど差圧上限値Plimを低く設定する。
ロックアップ解除車速が低い場合は、例えば、図3のVsuLの場合であり、車速の差分が大きいため、ロックアップ解除開始車速Vssから高い差圧上限値Plimでスムーズロックアップ解除制御を行っても、ロックアップ解除車速VsuLに到達する時点では、差圧指令値Ptが十分低くなっているので、上述のようなショックを発生することなく滑らかにスムーズロックアップ解除制御を実現できる。
ロックアップ解除車速が高い場合は、例えば、図3のVsuDの場合であり、車速の差分が小さいため、ロックアップ解除開始車速Vssから低いい差圧上限値Plimでスムーズロックアップ解除制御を行わないと、ロックアップ解除車速VsuLに到達する時点で、差圧指令値Ptが十分低くならないので、上述のようなショックを防止するため、差圧上限値Plimを全体的に低く設定する。
図9は、第4の実施形態を示し、前記第1実施形態の図4に示した差圧上限値Plimのマップを、エンジントルクまたはトルクコンバータ5への入力トルクの大きさに応じて変更するようにしたもので、その他の構成は前記第1実施形態と同様である。
図9のマップは、エンジンコントローラ2から受信したエンジントルクTe、あるいはエンジン回転速度Neとアクセル操作量APOから推定し演算したエンジントルク毎に設定され、エンジントルクが大きいほど差圧上限値Plimを高く設定し、エンジントルクが小さいほど差圧上限値Plimを低く設定する。
エンジントルクが大きい場合には、ロックアップ解除時にロックアップクラッチ6のスリップが早期に発生するので、スリップが過大にならないように差圧上限値Plimを高くする。逆にエンジントルクが低い場合は、ロックアップ解除時のスリップ発生は遅れるので、低い差圧上限値Plimでスムーズロックアップ解除制御を行っても、スリップが過大になることはない。
以上のように、本発明によれば、減速度の大小にかかわらずスムーズロックアップ解除制御を滑らかに行うことができるので、運転性に優れたロックアップクラッチを備えたトルクコンバータを有する自動変速機の制御装置に適用することができる。
本発明の一実施形態を示す駆動系のブロック図である。 ATコントローラ1で行われる制御の一例を示すフローチャートである。 車速とアクセル操作量に応じたスムースロックアップ解除開始車速とロックアップ解除車速の関係を示すマップである。 車速に応じた差圧上限値Plimのマップ。 コースト状態のスムーズロックアップ解除制御を示し、車速、差圧指令値、加速度と時間の関係を示すグラフ。 急減速時のスムーズロックアップ解除制御を示し、車速、差圧指令値、加速度と時間の関係を示すグラフ。 第2の実施形態を示し、油温をパラメータとして車速に応じた差圧上限値Plimのマップ。 第3の実施形態を示し、ロックアップ解除車速をパラメータとして車速に応じた差圧上限値Plimのマップ。 第4の実施形態を示し、エンジントルクをパラメータとして車速に応じた差圧上限値Plimのマップ。
符号の説明
1 ATコントローラ
4 自動変速機
5 トルクコンバータ
6 ロックアップクラッチ

Claims (5)

  1. エンジンと自動変速機の間に介装されるとともにロックアップクラッチを備えたトルクコンバータと、
    車両の運転状態に基づいて、前記ロックアップクラッチに供給する差圧指令値を演算して、前記トルクコンバータのコンバータ状態とロックアップ状態とをスリップ状態を介して切り換えるロックアップ制御手段と、を備え、
    前記ロックアップ制御手段は、
    車速を検出する車速検出手段と、
    前記車速が予め設定した第1の車速以下になると、締結中のロックアップクラッチを徐々に解放するスムーズロックアップ解除手段と、
    前記車速が予め設定されて前記第1の車速よりも低い第2の車速以下になると、ロックアップクラッチを即座に解放するロックアップ解放手段と
    を備え、
    前記スムーズロックアップ解除手段は、予め設定した変化率で前記差圧指令値を徐々に低減するように演算する差圧指令値演算手段を備えた自動変速機の制御装置において、
    前記車速が低下するにつれて前記予め設定した変化率よりも更に大きな変化率で前記差圧指令値が更に低減するように補正する差圧指令値補正手段を備えたことを特徴とする自動変速機の制御装置。
  2. 前記差圧指令値補正手段は、車速が低下するにつれて差圧指令値の上限値を徐々に低下させる上限値規制手段を備え、
    前記差圧指令値演算手段の演算結果と、前記上限値とを比較して、小さい方を差圧指令値として出力することを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の制御装置。
  3. 前記上限値規制手段は、自動変速機の油温を検出する油温検出手段を有し、前記油温が高いほど前記上限値を高く設定することを特徴とする請求項2に記載の自動変速機の制御装置。
  4. ロックアップ解放手段は、予め設定した変速レンジ毎に第2の車速をそれぞれ設定し、
    前記上限値規制手段は、前記第2の車速が高いほど前記上限値を低く設定することを特徴とする請求項2に記載の自動変速機の制御装置。
  5. 前記上限値規制手段は、自動変速機の入力トルクを検出するトルク検出手段を有し、前記入力トルクが高いほど前記上限値を高く設定することを特徴とする請求項2に記載の自動変速機の制御装置。
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