JP4072377B2 - 工具状態検知装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主軸の先端部に装着された状態で回転駆動される工具の状態を検知する工具状態検知装置に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
被加工物を加工する所謂マシニングセンタなどの工作機械は、無人の状態で運転されることが多い。従って、加工に使用される工具に例えば折損が発生した場合には、その状態を自動的に検出して工具を交換する必要がある。
【0003】
従来、工具の状態として折損を検知する方式には様々なものがある。例えば、加工が終了した後、工具がツールマガジンに収納された状態で、スイングバー式のリミットスイッチを用いて検知する機械検知型や、工具の折損によりスピンドル(主軸)が無負荷となることで、消費電力が変化することに基づいて検知する電力検知型などがある。
【0004】
しかしながら、機械検知型のものでは加工の全工程が終了した後に検知を行うため、加工の途中で工具が折損した場合は、その状態で被加工物の加工が行なわれてしまう可能性がある。すると、工具の折損状態が悪化したり、被加工物の加工不良が発生するおそれがある。
【0005】
また、電力検知型では、加工時におけるスピンドルの負荷が小さく消費電力量も小さい場合には、工具が折損した場合の電力変化量も小さいため、検知を行なうことができない。例えば、定格22kWのスピンドルでφ2のドリル穴加工を行った場合には、工具の折損による電力変化の差が現れない。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、加工の途中であっても、また、負荷が小さい場合でも、工具の状態を確実に検出することができる工具状態検知装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の工具状態検知装置は、主軸の先端部に装着された状態で回転駆動される工具を有してなる工具部に、絶縁体を介して装着される工具側電極と、
この工具側電極と所定の間隔を有して静電結合するように配置される固定側電極と、
出力端子の一端が前記固定側電極に接続され、他端が前記工具によって加工される導電性材料よりなる被加工物側に接続され、出力端子間に高周波信号を出力する高周波信号出力手段と、
前記工具側電極と前記工具部との間に接続される整流素子とを備え、
前記工具の変位状態と、前記高周波信号出力手段により出力される高周波信号の状態とに基づいて、前記工具の状態を検知することを特徴とする。
【0008】
即ち、高周波信号出力手段によって出力される高周波信号は、固定側電極から静電結合により工具側電極に供給されると、整流素子により直流信号に整流されて工具部に印加される。そして、主軸の回転が停止している場合、主軸とその主軸を支承するヘッド(ハウジング)との間はベアリングを介して導通接触しているため、前記直流信号の抵抗、即ち、工具(部)→主軸→ベアリング→ヘッド→コラム(支持柱)→ベッド(基盤)→テーブル→被加工物、といった経路における直流抵抗は0Ωに近い値となっている。
【0009】
一方、主軸が回転する場合は、ベアリングのボール若しくはローラは油膜に覆われるため、その油膜がキャパシタンスをなすことで前記直流信号の抵抗は極めて大きな状態となるが、工具と被加工物とが接触するとその部分が短絡状態となる。
【0010】
このように、工具と被加工物とが接触しているか否かに応じて測定系のインピーダンスが変化するため、その変化の影響を受けて、高周波信号出力手段側において高周波信号の出力状態が変化する。従って、工具の変位に伴う高周波信号の変化を参照すれば、工具の状態を検知することができる。そして、工具による被加工物の加工が行われている途中であっても状態の検知が可能であり、また、工具にかかる負荷が小さい場合でも検知することができる。
【0011】
更に、固定側電極と工具側電極とが静電結合することで、高周波信号を、工具側に対して非接触状態で供給することができるので、工具側が回転することに伴って磨耗するような部材が無く、安定した状態で供給することができる。
【0012】
この場合、請求項2に記載したように、前記工具の状態として、工具の折損を検知することが好適である。即ち、工具が折損した状態で被加工物の加工が行われると、加工不良が発生する可能性が高いので、本発明によれば工具の折損を速やかに検知して対応することができる。
【0013】
また、請求項3に記載したように、前記固定側電極側に、高周波信号の伝送線路のインピーダンスを調整するためのインピーダンス調整手段を配置するのが好ましい。即ち、伝送線路のインピーダンスを調整して整合を取るようにすれば、高周波信号を反射が生じない状態にして工具側に伝送することができるので、変化状態の観測を容易に行なうことができる。
【0014】
この場合、請求項4に記載したように、前記高周波信号出力手段側における電圧定在波比を測定することで、前記工具の状態を検知すると良い。即ち、工具と被加工物とが接触した状態における測定系のインピーダンスを予め整合させておけば、例えば工具の状態が変化することで被加工物と接触すべき位置で接触しなくなった場合は、前記インピーダンスが整合状態から外れて反射波が発生する。従って、その反射波の発生を、電圧定在波比を測定することで検出すれば、工具の状態を容易に検知することができる。
【0015】
更に、請求項5に記載したように、前記整流素子を、前記絶縁体の内部に埋め込んだ状態で配置すると良く、斯様に構成すれば、整流素子を工具側電極と工具部との間に容易に接続することができる。また、主軸を回転させて加工を行う場合に、振動などにより整流素子が脱落することを防止できる。
【0016】
加えて、請求項6に記載したように、前記固定側電極と前記工具側電極との間に圧縮空気を送出するための圧縮空気送出手段を備えることが好ましい。即ち、固定側電極と工具側電極とは、静電結合されるように所定の間隔を有して配置されるため、両者の隙間にクーラント液や加工により発生する切削屑などが入ると短絡するおそれがあり、測定系のインピーダンスが変化して状態検知を正確に行えなくなる場合がある。従って、圧縮空気送出手段によって両電極間に圧縮空気を送出すれば、切削屑などが入ることを防止できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例について図面を参照して説明する。図1は、工作機械の構成を概略的に示すと共に、本発明の工具状態検知装置の構成を示すものである。工作機械50の主軸装置1は、例えば、中空円筒状のヘッド(ハウジング)2内に、スピンドル(主軸)3とそのスピンドル3を回転駆動させる誘導モータ4とを内蔵するビルトインタイプとして構成されている。スピンドル3の先端部分及び中間部分は、玉軸受5及び6によってヘッド2に対して回転自在に支承されている。尚、ヘッド2及びスピンドル3は、いずれも鉄系材料で構成されている。
【0018】
玉軸受5及び6によって支承されている部分の略中間に位置する部位のスピンドル3側には、コア及びかご形巻線(エンドリング)からなるロータ7が配設され、ヘッド2の内周部には、上記コアと所定ギャップを以て対向するコア及び巻線(コイルエンド)からなるステータ8が配設されることにより、前述の誘導モータ4が構成されている。
【0019】
スピンドル3の内部には、周知の機構であるドローバー9,そのドローバー9の先端側に配置されたチャック機構及び図示しないドローバースプリング等が配設されている。一方、切削加工用の工具12は、ツールホルダ13に取付けられており、そのツールホルダ13は、上端部にプルスタッド14を備えている。そして、スピンドル3側のドローバー9が図示しない駆動機構によって軸方向に変位することにより、スピンドル3内部で、チャック機構がツールホルダ13のプルスタッド14を鋼球を介して把持することで、工具12がスピンドル3の先端部に取付けられるようになっている。尚、工具12とツールホルダ13とは、工具部15を構成している。
【0020】
工作機械50は、ベッド51上にサドル52及びテーブル53が配置されており、テーブル53上に導電性材料よりなる被加工物54が載置される。また、ベッド51上には、コラム55が立設されており、そのコラム55は、主軸装置1を支持するようになっている。
【0021】
また、コラム55と主軸装置1との間には、図示しない駆動機構が存在しており、主軸装置1を上下方向に変位させて工具12により被加工物54の加工を行なうようになっている。尚、ベッド51、サドル52、テーブル53及びコラム55も、鉄系材料によって構成されている。
【0022】
ところで、ベッド51上のサドル52とテーブル53とは、各々油膜を介した状態にあるため電気的には非接触となっているが、これらの接触面積は比較的大きく、また、テーブル53のサドル52に対する移動速度は小さいため、直流抵抗値は小さい(設備によって異なるが、大体1kΩ以下である)。
【0023】
図2(a)には、工具部15の拡大図を示す。ツールホルダ13の外周部には、リング状の工具側電極17が同じくリング状の絶縁体16を介して配置されている。そして、絶縁体16の内部には、アノードが工具側電極17に接続され、カソードがツールホルダ13に接続されるダイオード(整流素子)18が埋設されている。尚、図1においては、理解を容易にするためダイオード18を外部に出して図示している。
【0024】
また、工具側電極17の外側には、所定の間隔を有して、円弧状を成す固定側電極19が配置されている。この固定側電極19は、例えば、ヘッド2に固定支持されるようになっている。尚、図2(b)には、2つの電極17,19の配置関係を断面図で示している。
【0025】
そして、高周波信号出力装置(高周波信号出力手段)20の出力端子の一端はSWR(Standing Wave Ratio)メータ21を介して固定側電極19に接続され、他端は主軸装置1のテーブル53(機械側アース)に接続されている。高周波信号出力装置20は、例えば100MHzの高周波信号を出力する。即ち、100MHzの高周波信号は2,3pF程度の容量でも静電結合により伝送可能であり、また、FM帯でも使用されていないためノイズが少ない。
【0026】
また、固定側電極19側には、測定系の線路のインピーダンスを調整するためのインピーダンス調整部(インピーダンス調整手段)22が設けられている。即ち、図3に等価回路で示すように、高周波信号出力装置20の出力端子の一端は、コイル23及びトリマコンデンサ24を介して固定側電極19に接続されており、また、両出力端子間にもトリマコンデンサ25が接続されている。そして、これらのコイル23及びコンデンサ24,25がインピーダンス調整部22を構成している。
尚、このインピーダンス調整部22は、その一部または全部を固定側電極19に取り付けて一体に構成しても良いし、高周波信号出力装置20の出力端子と固定側電極19との間に配置しても良い。
【0027】
圧縮空気送出装置(圧縮空気送出手段)26は、固定側電極19側から2つの電極17,19の間に乾燥圧縮空気を送出するものである。即ち、工具12によって被加工物54の加工を行なう際には、切削屑が生じたり、或いは冷却用のクーラント液が図示しない供給手段によって供給される。これらが電極17,19の間に入ると両者が短絡する可能性があることから、その防止のために乾燥圧縮空気を送出するようになっている。
【0028】
即ち、図4に示すように、固定側電極19は、例えば樹脂製の固定側電極部27に取り付けられている。固定側電極部27は、径方向に厚みを有する円弧状に形成されており、工具側電極17と対向する面側には、例えば深さ1mm程度の溝28が形成されている。そして、固定側電極19は、溝28に貼り付けられている。
【0029】
また、固定側電極部27の図4(b)中左方側には貫通孔29が設けられており、圧縮空気送出装置26より送出された圧縮空気は、この貫通孔29を介して工具側電極17と固定側電極19との間に供給される。尚、工具側電極17と固定側電極部27とのクリアランスは、例えば0.5mm程度である。また、溝28及び貫通孔29も圧縮空気送出手段を構成している。
【0030】
次に、本実施例の作用について図5をも参照して説明する。図5(a)は、測定系の構成を、電気的接続関係を中心として示すもので、図5(b)は、その等価回路を示すものである。コンデンサC1は、固定側電極19と工具側電極17との間における静電結合の容量成分であり、ダイオード18のカソード側の抵抗R1は、工具部15が有している抵抗分である。スイッチSWは、工具12と被加工物54との間の接触、非接触状態に対応するものである。
【0031】
また、抵抗R2は、スピンドル3の回転が停止している場合における、玉軸受5及び6部の抵抗分であり、コンデンサC2は、スピンドル3が回転している場合における、スピンドル3とヘッド2との間の容量分である。
【0032】
即ち、スピンドル3の回転が停止している場合の直流抵抗は0Ωに近い値であるが、スピンドル3が回転する場合は、玉軸受5,6におけるベアリングのボールは油膜に覆われるため、その油膜がキャパシタンスC2をなす。この場合の直流抵抗は、設備によって異なるが例えば20k〜30kΩ程度である。そして、抵抗R3は、ヘッド2、ベッド51、サドル52、テーブル53及びコラム55などが有する抵抗分である。
尚、ダイオード18のカソード側には、高周波チョークコイル(平滑手段)30が介挿されているが、このチョークコイル30はダイオード18によって整流された信号を平滑する目的で設けられている。
【0033】
図5(b)において、工具12と被加工物54との間が非接触状態でスイッチSWが開いており、且つ、スピンドル3の回転が停止している場合、高周波信号出力装置20により出力される高周波信号は、コンデンサC1,ダイオード18,抵抗R2,R3の実線で示す経路で流れ、スピンドル3が回転すると、上記経路における抵抗R2がコンデンサC2に置き換わる。
【0034】
そして、その状態から、工具12と被加工物54との間が接触状態となり、スイッチSWが閉じると、高周波信号は、コンデンサC1,ダイオード18,抵抗R1,スイッチSWの破線で示す経路で流れる。よって、この状態で測定系の線路インピーダンスが整合するように、インピーダンス調整部22により予め調整を行なっておく。
【0035】
即ち、工具12が健全であれば、主軸1を所定位置まで下降させた時に工具12の先端が被加工物54に接触して両者は電気的に接続され、スイッチSWが閉じることなる。一方、工具12が折損した場合は、主軸1を所定位置まで下降させても工具12の先端は被加工物54に接触しなくなるので、両者は電気的に接続されることがない。従って、スイッチSWは開いたままとなるので、伝送線路のインピーダンスは整合せず、反射が生じる状態となる。すると、反射波によって伝送線路に定在波が発生するようになり、その状態はSWRメータ21によって観測することができる。
【0036】
実際の使用形態を考慮すれば、被加工物54の加工が終了した後、主軸装置1を引き上げる際に、工具12の先端が上記所定位置に達した時点で接触があるか否かによって折損を検知すれば良い。
【0037】
以上のように本実施例によれば、スピンドル3の先端部に装着された状態で回転駆動される工具12を有してなる工具部15に絶縁体16を介して工具側電極17を装着し、工具側電極17と工具部15との間にダイオード18を接続して、工具側電極17と被加工物54との間に高周波信号出力装置20により高周波信号を出力する。そして、工具12が被加工物54に接触する位置に変位した場合における高周波信号の状態に基づいて工具12の折損を検知するようにした。
【0038】
即ち、工具12が折損している場合は、工具12が被加工物に接触する位置に変位しても両者が接触しなくなり測定系のインピーダンスが変化するので、その変化の影響を受けて、高周波信号の出力状態が変化する。従って、その時の変化状態により工具12の折損を検知することができる。そして、被加工物54の加工が行われている途中であっても折損の速やかな検知が可能であり、また、工具12にかかる負荷が小さい場合でも折損を検知することができる。
【0039】
また、工具側電極17と所定の間隔を有して静電結合するように配置される固定側電極19を備えたので、高周波信号を、工具12側に対して非接触状態で供給することが可能となり、工具12側が回転することに伴って磨耗するような部材が無く、安定した状態で供給を行なうことができる。
【0040】
また、固定側電極19側に、高周波信号の伝送線路のインピーダンスを調整するためのインピーダンス調整部22を配置したので、伝送線路のインピーダンスを整合させることで高周波信号を反射が生じない状態にして工具12側に伝送できるので、変化状態の観測を容易に行なうことができる。そして、SWRメータ21によって、高周波信号出力装置20側における電圧定在波比を測定することで工具12の折損を容易に検知することができる。
【0041】
更に、ダイオード18を、絶縁体16の内部に埋め込んだ状態で配置したので、ダイオード18を工具側電極17と工具部15との間に容易に接続することができる。また、スピンドル3を回転させて加工を行う場合に、振動などによりダイオード18が脱落することを防止できる。
【0042】
加えて、固定側電極19と工具側電極17との間に圧縮空気を送出するための圧縮空気送出装置23を設けたので、両者の隙間にクーラント液や加工により発生する切削屑などが入って短絡が発生することを防止できる。
【0043】
本発明は上記し且つ図面に記載した実施例にのみ限定されるものではなく、次のような変形または拡張が可能である。
ダイオード18のカソードは、工具12に直接接続しても良い。
整流素子は、固定を確実に行って脱落するおそれがないような場合は、必ずしも絶縁体の内部に埋設する必要はない。
折損の検出は、必ずしも電圧定在波比を検出することで行う必要はなく、その他、例えば電圧振幅の変化や、或いは伝送電力量の変化等を観測することで検出しても良い。
他の対策などによって、固定側電極19と工具側電極17との間にクーラント液や切削屑などが入るおそれがない場合は、圧縮空気送出装置23を設けなくても良い。
ビルトインタイプの主軸装置に限らず、主軸装置の外部にモータが配置されるものであっても良い。
【0044】
工具の状態としては、折損を検知するものに限ることなく、その他、例えば以下のようにして、工具の長さや幅、或いは工具の振れなどを検出することも可能である。工具の長さは、その先端が被加工物に接触した時点における主軸装置の変位量で検知することができ、工具の幅は、工具が幅方向に変位する場合に同様にして検知できる。また、工具の振れは、振れ幅の許容範囲に対応する位置に被加工物側に電気的に接続される導体板を配置しておけば、その導体板に工具が接触することで振れ幅が許容範囲一杯になったことが検知できる。
更に、被加工物の状態、例えば加工後の寸法を測定することに適用しても良い。即ち、これについても、工具が被加工物に接触した時点における主軸装置の変位量で検知することが可能である。
【0045】
【発明の効果】
本発明は以上に説明した通りであり、以下の効果を奏する。
請求項1記載の工具状態検知装置によれば、主軸の先端部に装着された状態で回転駆動される工具を有してなる工具部に、絶縁体を介して工具側電極を装着し、工具側電極と静電結合するように配置される固定側電極と被加工物側との間に高周波信号を出力し、工具の変位状態と高周波信号出力手段により出力される高周波信号の状態とに基づいて工具の状態を検知するようにした。
【0046】
即ち、工具と被加工物とが接触しているか否かに応じて測定系のインピーダンスが変化するため、その変化の影響を受けて、高周波信号出力手段側において高周波信号の出力状態が変化するので工具の状態を検知することができる。そして、被加工物の加工が行われている途中であっても、また、工具にかかる負荷が小さい場合でも検知することができる。更に、高周波信号を、工具側に対して非接触状態で供給することができるので、工具側が回転することに伴って磨耗するような部材が無く、安定した状態で供給することができる。
【0047】
請求項2記載の工具状態検知装置によれば、工具の状態として、工具の折損を検知するので、折損を速やかに検知して対応することができる。
請求項3記載の工具状態検知装置によれば、固定側電極側に、高周波信号の伝送線路のインピーダンスを調整するためのインピーダンス調整手段を配置したので、伝送線路のインピーダンスを調整して整合を取るようにすれば、高周波信号を反射が生じない状態にして工具側に伝送することができ、変化状態の観測を容易に行なうことができる。
【0048】
請求項4記載の工具状態検知装置によれば、高周波信号出力手段側における電圧定在波比を測定することで工具の状態を検知するので、工具の状態が変化した場合に伝送線路のインピーダンスが整合状態から外れて反射波が発生したことを検出すれば、工具の状態を容易に検知することができる。
【0049】
請求項5記載の工具状態検知装置によれば、整流素子を、絶縁体の内部に埋め込んだ状態で配置するので、整流素子を工具側電極と工具部との間に容易に接続することができる。また、主軸を回転させて加工を行う場合に、振動などにより整流素子が脱落することを防止できる。
【0050】
請求項6記載の工具状態検知装置によれば、固定側電極と工具側電極との間に圧縮空気を送出するための圧縮空気送出手段を備えるので、両者の隙間にクーラント液や加工により発生する切削屑などが入ることで短絡が発生することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であり、工作機械の構成を概略的に示すと共に、工具状態検知装置の構成を示す図
【図2】(a)は工具部の拡大図、(b)は2つの電極の配置関係を示す断面図
【図3】インピーダンス調整部の構成を示す等価回路図
【図4】(a)は、固定側電極部の構成を示す斜視図、(b)は同一部を透視して示す平面図
【図5】(a)は測定系の構成を電気的接続関係を中心として示すもので、(b)はその等価回路図
【符号の説明】
3はスピンドル(主軸)、12は工具、15は工具部、16は絶縁体、17は工具側電極、18はダイオード(整流素子)、19は固定側電極、20は高周波信号出力装置(高周波信号出力手段)、21はSWRメータ、22はインピーダンス調整部(インピーダンス調整手段)、27は圧縮空気送出装置(圧縮空気送出手段)、28は溝(圧縮空気送出手段)、29は貫通孔(圧縮空気送出手段)、54は被加工物を示す。
Claims (6)
- 主軸の先端部に装着された状態で回転駆動される工具を有してなる工具部に、絶縁体を介して装着される工具側電極と、
この工具側電極と所定の間隔を有して静電結合するように配置される固定側電極と、
出力端子の一端が前記固定側電極に接続され、他端が前記工具によって加工される導電性材料よりなる被加工物側に接続され、出力端子間に高周波信号を出力する高周波信号出力手段と、
前記工具側電極と前記工具部との間に接続される整流素子とを備え、
前記工具の変位状態と、前記高周波信号出力手段により出力される高周波信号の状態とに基づいて、前記工具の状態を検知することを特徴とする工具状態検知装置。 - 前記工具の状態として、工具の折損を検知することを特徴とする請求項1記載の工具状態検知装置。
- 前記固定側電極側に、高周波信号の伝送線路のインピーダンスを調整するためのインピーダンス調整手段を配置したことを特徴とする請求項2記載の工具状態検知装置。
- 前記高周波信号出力手段側における電圧定在波比を測定することで、前記工具の状態を検知することを特徴とする請求項3記載の工具状態検知装置。
- 前記整流素子を、前記絶縁体の内部に埋め込んだ状態で配置することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の工具状態検知装置。
- 前記固定側電極と前記工具側電極との間に圧縮空気を送出するための、圧縮空気送出手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の工具状態検知装置。
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