JP4071674B2 - 反発式ポータブル硬度計用インパクトハンマー - Google Patents
反発式ポータブル硬度計用インパクトハンマー Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、反発式ポータブル硬度計用インパクトハンマーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、内部に備えたインパクトハンマーを試料に衝突させて、その打撃速度と反発速度の関係から試料の硬度を測定する反発式ポータブル硬度計が知られている(例えば、特許文献1)。
図3は、従来の反発式ポータブル硬度計に用いられるインパクトハンマーの形態を示す断面図である。図3に示すように、従来のインパクトハンマー20は、インパクトハンマー本体11と、このインパクトハンマー本体11の先端面に配置され、一部が平面に加工された金属球13と、この金属球13よりも径の小さい孔部12aを底面部121に有する筒状部材12と、インパクトハンマー本体11に内蔵された磁石14と、を備えている。
このインパクトハンマー20は、筒状部材12の底面部121の孔部12aから金属球13の一部が外へ突出した状態で筒状部材12が嵌め込まれ、筒状部材12とインパクトハンマー本体11とが接着されて、金属球13がインパクトハンマー本体11に固定されている。
【0003】
そして、試料の硬度を測定する場合、インパクトハンマー20の先端面に設けられた金属球13が試料に衝突してインパクトハンマー20が反発するようになっている。
また、インパクトハンマー20の速度は、インパクトハンマー20に内蔵された磁石14が硬度計本体(図示省略)に設けられた速度検出コイル(図示省略)内を通過するときに速度検出コイルに発生する電圧を測定することで算出される。
【0004】
ところで、反発式硬度試験を繰り返し行うことにより、試料に直接衝突するインパクトハンマー20の金属球13が磨耗することがある。磨耗した金属球13を有するインパクトハンマー20を継続して使用していると、測定精度低下の原因となるので、金属球13の交換が必要となる。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−160216号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、金属球13は、筒状部材12とインパクトハンマー本体11との接着により、インパクトハンマー本体11に固定されているため、インパクトハンマー本体11から金属球13を取り外すことができないので、金属球13を交換したい場合は、インパクトハンマー20ごと交換しなければならない。
【0007】
さらに、反発式ポータブル硬度計は、前述のように硬度計本体(図示省略)の速度検出コイル(図示省略)をインパクトハンマー20に内蔵されている磁石14が通過する際に発生する電圧から速度を測定するものであるので、インパクトハンマー20ごと交換すると、インパクトハンマー20内の磁石14も変わることとなり、校正値が変化してしまう。そこで、測定精度を保つため、反発式ポータブル硬度計そのものを製造元の工場が引き取り、再調整する必要がある。
【0008】
このような現状から、インパクトハンマー20の金属球13が磨耗してしまうと、部品の交換に時間を要し、コストもかかるという問題点がある。
【0009】
そこで、本発明の課題は、新たな金属球に交換することが容易且つ安価にできる反発式ポータブル硬度計用インパクトハンマーを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、例えば、図1又は2に示すように、
インパクトハンマー本体(1)と、
前記インパクトハンマー本体の先端部外周に形成された雄ねじ部(4)と、
前記雄ねじ部に螺合される雌ねじ部(8)が内周に形成されるとともに、底面部(21)に孔部(2a)を備えた筒状部材(2)と、
前記インパクトハンマー本体の先端面に交換可能に配置され、前記筒状部材の内径よりも小さく且つ前記孔部の径よりも大きい金属球(3)と、
前記インパクトハンマー本体の先端面に形成された溝部(5)と、を備え、
前記溝部の断面形状が前記金属球の半径以上の曲率半径の円弧状となっており、
前記雄ねじ部と前記筒状部材の前記雌ねじ部との螺合により、前記金属球が前記インパクトハンマー本体と前記筒状部材とに挟持されて固定されることを特徴とする。
【0011】
請求項1の発明によれば、反発式硬度試験を繰り返し行うことによりインパクトハンマーの金属球が磨耗した場合に、金属球を固定しているインパクトハンマー本体の雄ねじ部と筒状部材の雌ねじ部との係合を解くことで、インパクトハンマーから磨耗した金属球を取り出し、新たな金属球に交換することができる。
従って、従来のようにインパクトハンマーごと交換する必要がなくなるので、インパクトハンマー交換に伴う校正等も必要なくなることとなって、金属球の交換が容易且つ安価にできる。
また、溝部の断面形状が金属球の半径以上の曲率半径の円弧状となっているので、金属球の交換の際、新たな金属球をインパクトハンマー本体の先端面の溝部に配置させることが容易になることとなって、固定作業を円滑に進めることができる。
【0012】
請求項2記載の発明は、
請求項1記載の反発式ポータブル硬度計用インパクトハンマーにおいて、
前記筒状部材の開口部側端部の内周面に設けられ、弾性部材の弾性力により出没自在なストッパーと、前記インパクトハンマー本体に設けられた前記ストッパーを係合する係合溝と、からなる弛み防止手段を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項2の発明によれば、インパクトハンマー本体に筒状部材を螺合する際は、ストッパーを内側に引っ込めておき、螺合が終了した際には、当該ストッパーがインパクトハンマー本体に設けられた係合溝に突出させて係合溝に係合させるようにすることができ、よって、筒状部材の弛みを防止することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面により本発明の実施形態としての反発式ポータブル硬度計用インパクトハンマー(以下、インパクトハンマーという。)について説明する。
【0015】
図1は本発明のインパクトハンマーの分解断面図であり、図2は本発明のインパクトハンマーの断面図である。
【0016】
図1におけるインパクトハンマー10は、反発式ポータブル硬度計に用いられるものであって、例えば、D型ハンマー、あるいはD+15型ハンマーである。
インパクトハンマー10は、インパクトハンマー本体1と、インパクトハンマー本体1の長手方向一端部に突設された首部6と、首部6に接続され且つインパクトハンマー本体1に内蔵された磁石7と、インパクトハンマー本体1の先端部外周に形成された雄ねじ部4と、雄ねじ部4に螺合される雌ねじ部8が内周に形成されるとともに、底面部21に孔部2aを備えた筒状部材2と、インパクトハンマー本体1の先端面に配置され、筒状部材2の内径より小さく且つ孔部2aの径よりも大きい金属球3などから構成されている。
【0017】
また、インパクトハンマー本体1の先端面には、溝部5が形成され、この溝部5の断面形状は、金属球3の半径以上の曲率半径を有する円弧形状となっている。
筒状部材2の底面部21に設けられた孔部2aの縁面は、内から外に向かって孔部2aが縮径するように傾斜した傾斜面となっており、金属球3が縁面に当接するようになっている。
金属球3は、試料に直接衝突するので、例えば、超硬合金球などの耐摩耗性を有する材料を用いるのが好ましい。
【0018】
インパクトハンマー本体1の先端面の溝部5に金属球3が配置され、インパクトハンマー本体1の雄ねじ部4と筒状部材2の雌ねじ部8とが螺合されて、金属球3がインパクトハンマー本体1と筒状部材2とで挟持されて固定されることにより、インパクトハンマー10に組み立てられる。この際、筒状部材2の底面部21の孔部2aから金属球3の一部が突出した状態となる。
そして、硬さ試験を行う場合には、まず、インパクトハンマー10の首部6を反発式ポータブル硬度計(図示省略)内のつかみ治具(図示省略)に弾性部材(図示省略)により付勢された状態で係合させ、次いで、係合を解除することにより、弾性部材の弾性力によりインパクトハンマー10を試料に衝突させる。
【0019】
図2に示す形態のインパクトハンマー10を備えた反発式ポータブル硬度計を繰り返し使用し、金属球3が磨耗した場合、測定精度維持のため、磨耗した金属球3の交換が必要となる。磨耗した金属球3をインパクトハンマー本体1から取り外したいときには、インパクトハンマー本体1の雄ねじ部4と、筒状部材2の雌ねじ部8との係合を解く。その結果、インパクトハンマー20は図1に示す状態になり、インパクトハンマー本体1に固定されている磨耗した金属球3を取り外すことができる。
【0020】
そして、新たな金属球3をインパクトハンマー本体1に固定する。先述のように、インパクトハンマー本体1の溝部5に新たな金属球3を配置し、インパクトハンマー本体1の雄ねじ部4と筒状部材2の雌ねじ部8とを螺合させ、新たな金属球3をインパクトハンマー1と筒状部材2とで挟持し固定する。なお、新たな金属球3に交換するときには、付属の工具を用いて行う。
【0021】
以上説明した本発明に係るインパクトハンマー10によれば、金属球3の交換後、インパクトハンマー10の金属球3以外の部材は変わらないため、インパクトハンマー10に内蔵されている磁石7は継続して使用できるので、反発式ポータブル硬度計(図示省略)内の速度検出コイル(図示省略)との間で特性の変化は起きず、校正値を補正する手間がない。従って、製造元の工場が反発式ポータブル硬度計を引き取り、再調整する必要もないので、インパクトハンマー10の金属球3の交換に関して、時間をかけることなく且つ測定精度を維持させたまま客先で行うことができる。部品交換も金属球3のみなので、部品交換によるコストを抑えることができる。
【0022】
また、本発明のインパクトハンマー本体1には、断面弧状の溝部5が設けられているので、加工をしない金属球3の固定が容易であるので、インパクトハンマー10の製造工程において従来の金属球の加工作業を省略することができる。
【0023】
なお、インパクトハンマー本体1に筒状部材2を螺合した場合に、弛みが生じないような弛み防止手段を設けることが望ましい。弛み防止手段としては、例えば、筒状部材2の開口部側端部の内周面に弾性部材の弾性力により出没自在なストッパーと、インパクトハンマー本体1にストッパーを係合する係合溝とにより構成するようにしてもよい。そして、インパクトハンマー本体1に筒状部材2を螺合する際は、ストッパーを内側に引っ込めておき、螺合が終了した際には、当該ストッパーがインパクトハンマー本体1に設けられた係合溝に突出させて係合溝に係合させるようにする。このような構成をとることにより、筒状部材2の弛みを防止することができる。
【0024】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の反発式ポータブル硬度計用インパクトハンマーによれば、金属球を固定しているインパクトハンマー本体の雄ねじ部と筒状部材の雌ねじ部との係合を解くことで、インパクトハンマーから金属球を取り出し、新たな金属球に交換することができるので、新たな金属球に交換することが容易且つ安価にできる。また、交換の際、新たな金属球をインパクトハンマー本体の先端面の溝部に配置させることで、固定作業を円滑に進めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したインパクトハンマーの分解断面図である。
【図2】本発明を適用したインパクトハンマーの組立後の断面図である。
【図3】従来のインパクトハンマーの断面図である。
【符号の説明】
1 インパクトハンマー本体
2 筒状部材
2a 孔部
3 金属球
4 雄ねじ部
5 溝部
8 雌ねじ部
10 インパクトハンマー
21 底面部
Claims (2)
- インパクトハンマー本体と、
前記インパクトハンマー本体の先端部外周に形成された雄ねじ部と、
前記雄ねじ部に螺合される雌ねじ部が内周に形成されるとともに、底面部に孔部を備えた筒状部材と、
前記インパクトハンマー本体の先端面に交換可能に配置され、前記筒状部材の内径よりも小さく且つ前記孔部の径よりも大きい金属球と、
前記インパクトハンマー本体の先端面に形成された溝部と、を備え、
前記溝部の断面形状が前記金属球の半径以上の曲率半径の円弧状となっており、
前記雄ねじ部と前記筒状部材の前記雌ねじ部との螺合により、前記金属球が前記インパクトハンマー本体と前記筒状部材とに挟持されて固定されることを特徴とする反発式ポータブル硬度計用インパクトハンマー。 - 請求項1記載の反発式ポータブル硬度計用インパクトハンマーであって、
前記筒状部材の開口部側端部の内周面に設けられた弾性部材の弾性力により出没自在なストッパーと、前記インパクトハンマー本体に設けられ、前記ストッパーを係合する係合溝と、からなる弛み防止手段を備えることを特徴とする反発式ポータブル硬度計用インパクトハンマー。
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