JP4070888B2 - 積層フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、層間接着性、透明性、ガスバリヤー性等に優れ、外観の優れた製品を生産性よく製造することが可能な積層フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
包装廃棄物の急増に伴い、リサイクル性に優れた包装材料や、廃棄物処理において有毒ガスを発生しない、焼却燃焼熱が小さい、焼却後の残留物が少ない、など、大きな欠点を有しない包装材料が脚光を浴びるようになってきた。その中でも、酸化珪素や酸化アルミニウムを蒸着したフィルムは、透明性、ガスバリヤー性、耐薬品性など優れた機能を有するとともに、焼却処理に伴う問題点が少ないところから、従来使用されてきたガスバリヤー包装材料の一部と代替されるようになってきた。
【0003】
このような無機酸化物蒸着フィルムは単独で用いられることは少なく、通常は他の熱可塑性樹脂と積層した積層フィルムの形で用いられる。その際問題になることは、無機酸化物蒸着フィルムの蒸着面とそれに積層する熱可塑性樹脂との層間接着性であり、この接着力が充分でないと優れた包装材料とならない。このため無機酸化物蒸着フィルムの蒸着面に対し良好な層間接着性を示す樹脂の探索がなされてきた。例えばカルボキシル基を有するオレフィン重合体が前記目的に有効であることは、特開昭58−128852号、特開平2−81628号、特開平5−330568号などの各公報で知られている。
【0004】
ところが無機酸化物蒸着フィルムには多くの市販品があり、これらは製造方法が異なっていたり、あるいは印刷性の向上やクラック防止のため表面コートされているものもあるなど、必ずしも同様の性質を有するものではなく、上記公報で紹介されているようなカルボキシル基含有オレフィン重合体を用いても、蒸着面に対して充分な層間接着力を示さないものがあった。
【0005】
またたとえ無機酸化物蒸着フィルムに対して良好な層間接着性を示すものであっても、工業的に有利な押出ラミネート法で積層した場合に、外観等の優れた積層フィルムを生産性よく製造できるものでなければ工業的に魅力のあるものとはいえず、カルボキシル基含有オレフィン重合体のあるものについては、この点に問題があるものがあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明者は、より汎用性があり、また良好な品質の積層フィルムを生産性よく製造することが可能な接着性樹脂を求めて検討を行った。その結果、後記するような特定のエチレン共重合体組成物を使用するときにその目的が達成できることを知るに至った。したがって本発明の目的は、無機酸化物蒸着フィルムを用いる積層フィルムにおいて、蒸着面に対する層間接着性が優れ、しかも透明性、ガスバリヤー性等に優れた積層フィルムを提供することにある。本発明の他の目的は、このような優れた諸性質を有し、かつ外観が優れ、生産性よく製造することが可能な積層フィルムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、無機酸化物蒸着フィルムの蒸着面側に、エチレン・不飽和カルボン酸ランダム共重合体(A)60〜99重量部及びエチレン・(メタ)アクリル酸エステル・無水マレイン酸ランダム共重合体又は無水マレイン酸でグラフト変性したエチレン・α−オレフィン共重合体(B)40〜1重量部からなるエチレン共重合体組成物を積層した積層構造を有する積層フィルムに関する。
【0008】
【発明の実施の態様】
本発明で用いられる蒸着フィルムを構成する無機酸化物としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化インジウム、酸化鉛などの1種又は2種以上の組み合わせである。とくに好ましいのは、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどである。
【0009】
蒸着フィルムを構成する基材フィルムとしては、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリカーボネート、ポリオレフィンなどを例示することができる。これらは延伸されたものであってよい。これら基材フィルムは、蒸着強度を高めるような処理、例えばコロナ処理、プライマー塗布、サンドブラストのような表面処理などが施されたものであってもよい。
【0010】
基材フィルムの厚みは任意であるが、例えば10〜200μm程度のものが好適である。また無機酸化物の蒸着膜は、化学的方法あるいは物理的方法で形成したものであって、その蒸着厚みとしては、例えば50〜2000Å程度のものが好適である。
【0011】
このような無機酸化物蒸着フィルムとして、蒸着面が未処理のものを使用してもよいが、低温プラズマ処理のような表面処理をしたものや、印刷性、耐クラック性等の改良の目的で透明なプライマーを塗布したものであってもよい。このようなプライマーを塗布したものにおいては、そのコート厚みは、例えば1μm以下程度のものが望ましい。このような表面コート品の1例として、特開平7−137192号、特開平7−164591号、特開平7−268115号、特開平8−156171号、特開平9−85878号、特開平9−117986号などの各公報に記載のものを例示することができる。
【0012】
本発明においては、上記無機酸化物蒸着フィルムの未処理のあるいは表面処理された蒸着面に、エチレン・不飽和カルボン酸ランダム共重合体(A)とエチレン・(メタ)アクリル酸エステル・無水マレイン酸共重合体(B1)又は無水マレイン酸でグラフト変性したエチレン・α−オレフィン共重合体(B2)(上記(B1)、(B2) のいずれかを(B)成分として用いる)との組成物を積層するものである。
【0013】
ここにエチレン・不飽和カルボン酸ランダム共重合体(A)としては、エチレンと不飽和カルボン酸の二元共重合体のみならず、エチレンと不飽和カルボン酸のほかに他の極性モノマーをランダム共重合させた多元共重合体であってもよい。該共重合体としては、不飽和カルボン酸含量は、通常3〜25質量%、好ましくは5〜20質量%、他の極性モノマー含量は、通常0〜40質量%、好ましくは0〜30質量%のものを使用するのが、優れた層間接着性を得るために望ましい。
【0014】
該共重合体における不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチルなどを例示することができるが、とくにアクリル酸又はメタクリル酸の共重合体を使用するのが好ましい。共重合体中における不飽和カルボン酸成分は部分的に金属イオン等により中和されたものであってもよく、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどの1価金属、マグネシウム、カルシウム、亜鉛のような多価金属などが、好適なイオン種として例示することができる。これら金属イオンで部分中和されたアイオノマーの形で使用するときには、その中和度は80%以下、とくに50%以下のものを使用するのが好ましい。
【0015】
上記共重合体に共重合されていてもよい他の極性モノマーとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸nブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、マレイン酸ジエチルのような不飽和カルボン酸エステル、一酸化炭素、二酸化硫黄などである。
【0016】
かかるエチレン・不飽和カルボン酸ランダム共重合体としては、押出加工性等を考慮すると、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが、0.1〜1000g/10分、とくに1〜200g/10分程度のものを使用するのが望ましい。このような共重合体は、高温、高圧下のラジカル共重合によって得ることができる。またアイオノマーは、高温、高圧下で重合して得た共重合体を金属化合物で部分中和することによって得ることができる。
【0017】
上記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(A)とともに用いられる(B)成分の一つは、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル・無水マレイン酸ランダム共重合体(B1)である。ここに(メタ)アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸nブチル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソブチルなどを例示することができる。かかるランダム共重合体としては、(メタ)アクリル酸エステル含量が1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%、無水マレイン酸含量が0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%の範囲である。無水マレイン酸含量があまり少ないものを使用すると、蒸着フィルムとの層間接着強度の大きい積層フィルムを得ることが難しく、またその含量が多過ぎるとフィルム外観及び無臭性に優れた積層フィルムを得ることが難しくなる。
【0018】
該ランダム共重合体としてはまた、押出加工性、接着性等を考慮すると、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが0.1〜1000g/10分、とくに1〜200g/10分の範囲である。このような共重合体は、共重合体(A)と同様に、高温、高圧下のラジカル共重合によって得ることができる。
【0019】
本発明においては、(B)成分としてまた無水マレイン酸でグラフト変性されたエチレン・α−オレフィン共重合体(B2)を使用することができる。ベースポリマーとなるエチレン・α−オレフィン共重合体のα−オレフィン成分としては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテンなどを挙げることができ、とくに炭素数4〜10程度ものを使用するのが好ましい。このような共重合体としてはまた、非晶性又は低結晶性、とりわけ低結晶性のものを使用するのが好ましい。エチレンを主成分として低結晶性又は非晶性となるのは、エチレン共重合体の密度が900kg/m3 以下のものであり、好ましくは密度が870〜890kg/m3 のものである。
【0020】
このような共重合体は、例えばハロゲン化バナジウムと有機アルミニウム化合物からなる触媒系、あるいはジルコニウム、ハフニウムなどのメタロセン化合物とアルモキサンからなるシングルサイト触媒系などを用いて、共重合させることによって得ることができる。
【0021】
(B2)成分としては、このようなエチレン共重合体に無水マレイン酸をグラフト重合して得られるグラフト変性体が使用される。無水マレイン酸のグラフト率としては0.1〜5質量%、好ましくは0.2〜3質量%の範囲が望ましい。すなわち無水マレイン酸のグラフト率が小さ過ぎると接着性に優れたものが得難いが、一方グラフト率が大きくなりすぎると加工性、フィルム外観、フィルム臭気等に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0022】
好適なグラフト共重合体は、加工性、接着性、強度等を考慮すると、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが0.1〜200g/10分、とくに0.5〜100g/10分のものである。
【0023】
本発明においてはエチレン・不飽和カルボン酸ランダム共重合体(A)とエチレン・(メタ)アクリル酸エステル・無水マレイン酸共重合体又は無水マレイン酸でグラフト変性したエチレン・α−オレフィン共重合体(B)を重量比で(A)/(B)=60/40〜99/1、好ましくは70/30〜95/5の範囲で配合する。すなわちかかる配合割合のエチレン共重合体組成物を使用することによりフィルムの押出加工性が優れ、蒸着フィルムとの層間接着性、フィルム外観、臭気等の優れた積層フィルムを得ることができる。上記範囲よりも(B)成分が少ない組成物を用いると蒸着フィルムとの層間接着性が低下し、また(A)成分が少ないと、(B)成分の種類によっても異なるが、フィルムの押出加工性あるいはフィルム外観、臭気が不良となる。
【0024】
この積層フィルムは、前記積層構造を有しているかぎり他の層が形成されていても良い。例えば、蒸着フィルムとエチレン共重合体組成物層とからなる2層積層フィルム、蒸着フィルムと1層又はそれ以上の熱可塑性樹脂、紙、不織布などの層とがエチレン共重合体組成物を介して積層されている多層積層フィルムなどである。
【0025】
このような積層フィルムは、蒸着フィルムの未処理のまたは表面処理された蒸着面に、エチレン共重合体組成物が溶融状態で積層する方法によって製造することができる。例えば、蒸着フィルムに前記組成物を押出ラミネートする方法、蒸着フィルムに前記組成物と上記熱可塑性樹脂を共押出ラミネートする方法、蒸着フィルムと上記熱可塑性樹脂フィルム等との間に前記組成物をサンドイッチラミネートする方法などを挙げることができる。
【0026】
このような積層フィルムの製造に際し、溶融状態の前記組成物層の積層面を予めオゾン処理したのちに積層すると、一層優れた層間接着力が得られるので好ましい。積層フィルムにおける組成物層の厚みは、例えば5〜200μm、とくに10〜100μm程度が一般的である。
【0027】
本発明の積層フィルムを構成することができる上記熱可塑性樹脂としては、各種密度及び又は各種製法のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチル−1−ペンテンのようなポリオレフィン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体又はそのアイオノマー、エチレン・不飽和カルボン酸・不飽和カルボン酸エステル共重合体またはそのアイオノマーのようなエチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12のようなポリアミド、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコールのようなビニルアルコール重合体、ポリカーボネート、ポリスチレンなどを例示することができる。
【0028】
無機酸化物蒸着フィルムに積層するエチレン共重合体組成物層には、本発明の目的を損なわない範囲において、任意の添加剤を配合することができる。かかる添加剤として、各種安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤などを挙げることができる。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、工業的に有利な押出ラミネートによって、高速でしかも外観等が優れた積層フィルムを得ることができる。また種々のタイプの無機酸化物蒸着フィルムの蒸着面との層間接着性に優れた積層フィルムを提供することができる。この様な積層フィルムはまた透明性、ガスバリヤー性にも優れているので、これら特性を生かした用途に使用することができる。勿論、積層フィルムの1層に紙のような不透明素材を用い、不透明な包装材料としても使用できる。例えば、食品の包装フィルム、ラミネートチューブ、ペーパーカートン、工業材料の包装フィルム、電子材料の包装フィルムなど各種用途に使用することができる。
【0030】
【実施例】
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお実施例および比較例において使用した積層フィルム用原料樹脂の種類、無機酸化物蒸着フィルムの種類、ラミネート加工条件、オゾン処理条件、積層体の接着強度測定条件等は以下の通りである。
【0031】
1.積層フィルム用原料樹脂
エチレン・不飽和カルボン酸ランダム共重合体(A)、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル・無水マレイン酸ランダム共重合体(B1)、及び無水マレイン酸でグラフト変性したエチレン・α−オレフィン共重合体(B2)としてそれぞれ表1、表2、表3記載の共重合体を、また、比較のため(C)成分として表4記載の低密度ポリエチレンを用いた。
【0032】
【表1】
MAA;メタクリル酸
iBA;アクリル酸イソブチル
AA;アクリル酸
【0033】
【表2】
EA:アクリル酸エチル
MAH:無水マレイン酸
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
2.無機酸化物蒸着フィルム
凸版印刷製GL−AE(アルミナ蒸着PETフィルム)
【0037】
3.ラミネート加工条件
装置 モダンマシナリー製
押出機 65mmφ、L/D=28
スクリュー スリーステージタイプ、CR=4.78
ダイ インナーディッケルタイプ
ダイ開口 0.8×500mm
エアギャップ 120mm
加工温度 280℃
加工速度 80m/min
【0038】
4.オゾン処理条件
オゾン濃度 25g/m3
オゾン流量 1m3 /hr
【0039】
5.物性評価方法
(1)層間接着強度測定法
尚、層間接着強度の測定は、強度の安定する加工後1月経過時に行った。
【0040】
(2)膜外観
加工時の溶融膜を目視にて観察し、ゲルの多少、ムラの有無、発煙現象
について判定
【0041】
(3)臭気
測定対象積層フィルムの構成
エチレン共重合体組成物(20μm)/Al箔(7μm)
形状 樹脂面を内側にしたA4サイズの3方シール袋
評価方法 7名のパネラーによる相対比較
評価時期 加工直後及び1月後
【0042】
[実施例1]
(A)成分としてA▲1▼80重量部、(B)成分としてエチレン・(メタ)アクリル酸エステル・無水マレイン酸ランダム共重合体であるB▲1▼20重量部とからなるエチレン共重合体組成物を、アルミナ蒸着PETフィルム(凸版印刷製GL−AE)のアルミナ蒸着面側に、上記3.のラミネート加工条件で押出ラミネートし、積層フィルムを得た。なお積層の際、上記エチレン共重合体組成物の接着面を上記4.の方法でオゾン処理したものとしないものとの両方について行った。得られた積層フィルムの層間接着強度、膜外観および臭気の測定により物性を評価した。結果を表5に示す。
【0043】
[比較例1]
実施例1において、(B)成分を用いず、A▲1▼単体を用いて実施例1と同様にしてラミネートして積層フィルムを作成し、その物性を測定した。結果を表5に示す。
【0044】
実施例1において、A▲1▼とB▲1▼とからなる共重合体組成物は、無機酸化物蒸着フィルムに対して良好な層間接着性を示したが、本発明において必須成分である(B)成分を配合しないA▲1▼単体を用いた比較例1はこれに比べて層間接着性が劣る。
【0045】
[実施例2、比較例2]
実施例1および比較例1において、(A)成分としてA▲1▼の代わりにA▲2▼を用いた以外は実施例1および比較例1と同様にして積層フィルムを作成し、その物性を測定した。結果を表5に示す。
【0046】
[実施例3、比較例3]
実施例1および比較例1において、(A)成分としてA▲1▼の代わりにA▲3▼を用いた以外は実施例1および比較例1と同様にして積層フィルムを作成し、その物性を測定した。結果を表5に示す。
【0047】
実施例1の場合と同様、(A)成分と(B)成分とからなる共重合体組成物を用いた実施例2、3は、(B)成分を配合せず(A)成分単体を用いた比較例2、3よりも、無機酸化物蒸着フィルムに対して良好な層間接着性を示す。
【0048】
[比較例4]
実施例1において、(A)成分を用いず、A▲1▼の代わりに低密度ポリエチレン(C▲1▼)を用いた以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作成し、その物性を測定した。結果を表5に示す。
本発明における必須成分である(A)成分の代わりに、低密度ポリエチレンを配合したのでは、A▲1▼〜▲3▼を配合した実施例1〜3のような無機酸化物蒸着フィルムに対する良好な層間接着性が得られない。
【0049】
[比較例5]
実施例1において、(A)成分を用いず、B▲1▼単体を用いて実施例1と同様にしてラミネートして積層フィルムを作成し、その物性を測定した。結果を表5に示す。
【0050】
比較例5に示すように、(B1)成分であるエチレン・(メタ)アクリル酸エステル・無水マレイン酸ランダム共重合体(B▲1▼)は、単体でも無機酸化物蒸着フィルムに対して良好な層間接着性を示すが、これとエチレン・不飽和カルボン酸ランダム共重合体(A▲1▼〜▲3▼)とからなる共重合体組成物を用いた実施例1〜3と比較すると、加工時の膜外観、成形品の臭気が劣るため、実用性には劣る。
【0051】
[実施例4]
(B)成分として、無水マレイン酸でグラフト変性したエチレン・α−オレフィン共重合体であるB▲2▼を20重量%と、A▲1▼80重量%とからなるエチレン共重合体組成物を用い、実施例1と同様にして積層フィルムを作成し、その層間接着強度を測定した。この結果をB▲2▼無配合でA▲1▼のみを用いた比較例1の結果とともに表6に示す。
【0052】
実施例4におけるB▲2▼とA▲1▼とからなる共重合体組成物は、本発明の必須成分である(B)成分を配合しないA▲1▼単体を用いた比較例1に比べ、無機酸化物蒸着フィルムに対して良好な層間接着性を示す。
【0053】
[実施例5]
実施例4において、A▲1▼の代わりにA▲2▼を用いた以外は実施例4と同様にしてラミネートして積層フィルムを作成し、その層間接着強度を測定した。この結果をB▲2▼無配合でA▲2▼のみを用いた比較例2の結果とともに表6に示す。
【0054】
実施例4の場合と同様、実施例4におけるB▲2▼とA▲2▼とからなる共重合体組成物は、本発明の必須成分である(B)成分を配合しないA▲2▼単体を用いた比較例2に比べて無機酸化物蒸着フィルムに対して良好な層間接着性を示す。
【0055】
[比較例6]
実施例4において、A▲1▼を配合せず、B▲2▼単体を用いて積層フィルムを作成したが、(A)(B)両成分からなる共重合体組成物を用いた実施例4、5と異なり、押出ラミネート膜の安定性が劣るため加工が出来ない。
【0056】
【表5】
【0057】
【表6】
Claims (2)
- 無機酸化物蒸着フィルムの蒸着面側に、エチレン・不飽和カルボン酸ランダム共重合体(A)60〜99重量部及びエチレン・(メタ)アクリル酸エステル・無水マレイン酸ランダム共重合体又は無水マレイン酸でグラフト変性したエチレン・α−オレフィン共重合体(B)40〜1重量部からなるエチレン共重合体組成物を積層した積層構造を有する積層フィルム。
- 無機酸化物蒸着フィルムに対するエチレン共重合体組成物の接着面がオゾン処理されていることを特徴とする請求項1記載の積層フィルム。
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