JP4070426B2 - 高密度焼結体の製造方法及びその焼結体 - Google Patents

高密度焼結体の製造方法及びその焼結体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、合金を粉体状にして粉末冶金によって製造する高密度焼結体の製造方法及びその製造方法による高密度焼結体に関する、さらに、その高密度焼結体の製造方法を用いて、合金に磁歪材料を用いることで製造する超磁歪素子の製造方法及びその製造方法による超磁歪素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属又は合金粉末を高温に加熱して焼結することで、一定の形状の焼結体を製造するのが粉末冶金法である。この粉末冶金法により多孔質から緻密質までの幅広い組織を有する焼結体を製造することができるため、軸受け、工具用の機械部品から磁歪素子、磁石などの機能材料まで幅広く利用されている。
しかし、粉末を一定の形状に成形した成形体は、粉末粒子間の隙間があり、焼結によっても隙間が残って気孔となり、焼結体の高密度化を阻んでいる。さらに、この気孔により、焼結体内部から酸化して焼結体の酸化が促進され、例えば、焼結体が磁歪素子であれば、その磁歪特性が低下する。
【0003】
一方、粉末冶金法を用いて製造される磁歪素子では、さらに、飽和磁歪定数の大きい磁歪素子が求められており、R(希土類金属、以下元素記号で記す。)とFe(鉄)の化合物などが提案されている。特に、RとFeの化合物として、RFeラーベス型金属間化合物が挙げられるが、このRFeラーベス型金属間化合物は、外部磁界が大きいときには磁歪値が大きいが、外部磁界が小さいときには磁歪値が十分ではない。そこで、RFeラーベス型金属間化合物において、さらに高い磁歪値を有する磁歪素子が求められている。
この磁歪値を大きくするための手段として、粉末冶金法で製造するときの焼結体の密度を大きくすることが挙げられる。しかし、粉末冶金法で製造される磁歪素子で、上述したように気孔が残るために長期間磁歪素子として使用している間に希土類金属の乾食が進行して酸化が進み、特に、大気中高温で乾食が激しくおこり、それに伴い磁歪特性が低下するという不具合がある。
【0004】
したがって、気孔を少なくして高密度を有する磁歪素子等の高密度焼結体を製造する方法として、例えば、(1)RTで示される超磁歪素子を粉末冶金法で製造する場合、焼結時の雰囲気をArガス雰囲気で行うことが提案されている(J.J.Croat:「Liqiud Sintering of Rare Earth-Iron(Dy0.7Tb0.3Fe2) Magnetostrictive Materilas」J.Appl.Phys.49.3,(1978))。また、(2)特開平7−286249号公報では、磁場中での成形により結晶方向を揃えるために、数種類の機械粉砕により得られた原料粉をArガス雰囲気で焼結する磁歪材の製造方法が提案されている。(3)また、同様に、複数種の原料の一部を水素化物とした原料粉をArガス雰囲気で焼結する磁歪材の製造方法が提案されている。
しかしながら、Croatが提案する製造方法では、焼結体の密度は86%程度で低い密度しか得られない。また、特開平7−286249号公報の磁歪材の製造方法では、磁歪材の焼結体密度は86%程度で低い密度しか得られない。また、複数種の原料粉を用いる上記製造方法では、焼結体密度は88〜93%程度で低い密度しか得られない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した提案の製造方法又はその製造方法により製造される焼結体のように焼結体密度が低い場合、外気との接触面積が大きくなり、高温の大気中での酸素との反応により酸化速度が速くなり、磁歪特性等の焼結体特性の劣化の速度が大きくなるという問題点がある。
【0006】
そこで、本発明の課題は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、粉末冶金法により得られる超磁歪素子等の焼結体の密度を大きくすることにより、高温大気中での磁歪特性等の焼結体特性の劣化を少なくする高密度焼結体の製造方法を提供することである。さらに、その高密度焼結体により製造される高密度焼結体を提供することである。
また、焼結体として磁歪材料を用いるより、高密度であって、経時による磁歪値の低下の少ない超磁歪素子の製造方法を提供することである。さらに、その超磁歪素子の製造方法により製造される超磁歪素子を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために、本発明の焼結体の製造方法は、式(1)RT(ここで、Rは式(2)Tb Dy (1−a) で示す組成であって、aが、0.27<a≦0.50の範囲にある、TはFe、Co及びNiのなかの1種以上である、yは1<y<4を表す。)で示す組成の合金粉を、水素ガス及び不活性ガスが、水素ガス:アルゴン(Ar)ガス=X:100−Xと表す式(3)(ここで、X( vol %)が、0<X<50である)で表される混合雰囲気で、1150℃以上1230℃以下の安定温度区間で焼結されることを特徴とする。
また、本発明の焼結体の製造方法は、さらに、前記合金粉の一部は、水素吸蔵処理がされていることを特徴とする。
また、本発明の焼結体の製造方法は、さらに、前記混合雰囲気は、650℃以上の昇温過程から用いることを特徴とする。
【0008】
本発明の焼結体は、上述のいずれかに記載の焼結体の製造方法により製造されることを特徴とする。
本発明の磁歪素子の製造方法は、上述のいずれかに記載の焼結体の製造方法であることを特徴とする。
本発明の磁歪素子は、上述に記載の磁歪素子の製造方法により製造されることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の高密度焼結体の製造方法は、式(1)RT(ここで、Rは1種類以上の希土類金属、Tは1種類以上の遷移金属であり、yは1<y<4を表す。)で示す組成の合金粉を焼結する。
ここで、Rは、Yを含むランタノイド系列、アクチノイド系列の希土類金属から選択される1種以上を表している。これらのなかで、Rとしては、特に、Nd、Pr、Sm、Tb、Dy、Hoの希土類金属が好ましく、Tb、Dyがより一層好ましく、これらを混合して用いることができる。
Tは、1種以上の遷移金属を表している。これらのなかで、Tとしては、特に、Fe、Co、Ni、Mn、Cr、Mo等の遷移金属が好ましく、Fe、Co、Niが一層好ましく、これらを混合して用いることができる。
【0010】
式(1)RTで表す合金で、yは、1<y<4を表す。RTは、y=2で、RとTとが形成するRTラーベス型金属間化合物は、キュリー温度が高く、磁歪値が大きいため、磁歪素子に適する。ここで、yが1以下では、焼結後の熱処理でRT相が析出して磁歪値が低下する。また、yが4以上では、RT相又はRT相が多くなり、磁歪値が低下する。このため、RTがリッチな相を多くするために、yは、1<y<4の範囲が好ましい。
Rは、希土類金属を混合してもよく、特に、TbとDyを混合して用いることが好ましい。さらに、式(2)TbDy(1- )で表される合金で、aは0.27<a≦0.5の範囲にあることが一層好ましい。これにより、(TbDy(1- ))Tの合金で、飽和磁歪定数が大きく、大きな磁歪値が得られる。ここで、aが0.27以下では室温以下では十分な磁歪値を示さず、0.5を越えると室温付近では十分な磁歪値を示さない。
Tは、特に、Feが好ましく、FeはTb、Dyと(Tb、Dy)Fe金属間化合物を形成して、大きな磁歪値を有し磁歪特性の高い焼結体が得られる。このときに、Feの一部をCo、Niで置換するものであってもよいが、Coは磁気異方性を大きくするが透磁率を低くし、また、Niはキュリー温度を下げ、結果として常温・高磁場での磁歪値を低下させるために、Feは70wt%以上、一層好ましくは80wt%以上が良い。
【0011】
また、本発明の高密度焼結体の製造方法は、合金粉の一部に水素吸蔵処理される原料を含んでいることが好ましい。合金粉に水素を吸蔵させることにより、歪みが生じ、その内部応力によって割れが生ずる。このために、混合される合金粉は、成形体を形成する時に圧力を受け、混合した状態の内部で粉砕されて細かくなり、焼結したときに緻密な高密度焼結体を得ることができる。さらに、Tb、Dyの希土類は酸化されやすいために、わずかな酸素があっても表面に融点の高い酸化膜を形成し、焼結の進行を抑制するが、水素を吸蔵することで、酸化されにくくなる。したがって、合金粉の一部を水素吸蔵処理をして高密度焼結体を製造することができる。
ここで、水素を吸蔵する原料は、式(4)Dy(1−b)で、bが0.37≦b≦1.00で表される組成であることが好ましい。TはFe単独でも、Feの一部をCo、Niで置換されたものでもよい。これにより、原料の合金粉の焼結体密度を高くすることができる。
【0012】
また、本発明の高密度焼結体の製造方法は、原料粉を650℃以上の昇温過程での温度区間又は/及び1150℃以上1230℃以下の安定温度区間で、水素ガス雰囲気又は水素ガス:アルゴン(Ar)ガス=X:100−Xと表す式(3)におけるXが、0<X<50である水素ガス及び不活性ガスの混合雰囲気で焼結する。
RTで表す合金は、少なくとも原料粉を650℃以上の昇温過程で水素ガス及び不活性ガスの混合雰囲気にする。焼結は、成形した原料粉を炉中で昇温して熱処理する。昇温速度は、3〜20℃/minで行う。昇温速度が、3℃/min未満では生産性が低くいし、昇温速度が20℃/minを越えると炉中で成形した原料粉の温度が均一にならず偏析や異相が生ずる。昇温過程の650℃以上とするのは、残留する微量の酸素による酸化を防止するためである。
【0013】
また、焼結は温度をほぼ一定に保持する安定温度にして行う。この安定温度は、1150〜1230℃の範囲が好ましい。安定温度が1150℃未満では、内部歪みを除去するために長時間が必要であり効率的ではないし、安定温度が1230℃を越えると、RTで表される合金の融点に近くなるために焼結体が溶融することがあり、また、他のRT3相等の異相が析出することがあるからである。
【0014】
また、本発明の高密度焼結体の製造方法は、水素ガス雰囲気又は水素ガス:アルゴン(Ar)ガス=X:1−Xと表す式(3)におけるXが、0<X<0.5である水素ガス及び不活性ガスの混合雰囲気で焼結する。Rは、酸素と極めて容易に反応し、安定な希土類酸化物を形成する。これらの酸化物は、低い磁性を有するが実用上の磁性材料になるような磁気特性を示さない。高温焼結ではわずかな酸素であっても、焼結体の磁気特性を大きく低下するため、焼結等の熱処理では、特に水素ガスを含む雰囲気が好ましい。又、酸化を防ぐ雰囲気としては、不活性ガスによる雰囲気があるが、不活性ガスだけでは完全に酸素を除去することが難しく、酸素と反応性の大きい希土類金属では酸化物を形成するため、この酸化を防止するために、水素ガスと不活性ガスの混合ガスの雰囲気が好ましい。
【0015】
水素ガスを含む還元性雰囲気としては、水素ガス:アルゴン(Ar)ガス=X:100−Xと表す式(3)で、X(vol%)が、0<X<50であることが好ましい。Arガスは不活性ガスでRを酸化することがないので水素ガスと混合して還元作用を有する雰囲気を得ることができる。このために、還元作用を有するために、X(vol%)は、少なくとも0<Xであることがよい。また、X(vol%)は、50≦Xでは還元作用が飽和するため、X<50であることがよい。
ここで、昇温過程の650℃以上の温度区間で水素ガスとArガスの混合雰囲気にすることがよく、または、安定温度区間で水素ガスとArガスの混合雰囲気にすることがより好ましい。
【0016】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を具体的に説明する。
ここで、本発明の高密度焼結体及びその製造方法等を説明するとともに、製造した焼結体としての超磁歪素子の焼結体密度、磁歪値を評価する。
図1は、本発明の高密度焼結体の製造方法を示すフローチャートである。
原料の一つとして、Tb、Dy、Feを秤量して、Arガスの不活性雰囲気中で溶融して、合金を製造した(以下、これを「原料A」と記す。)。ここでは、原料Aとして、Tb0.4Dy0.6Fe1.94の組成にする。この原料Aを、アニールする熱処理を行い、合金製造時の各金属元素の濃度分布を一様にし、また、析出した異相を消滅させてから、アトマイザーで粉砕する。
原料の一つとして、Dy、Feを秤量して、Arガスの不活性雰囲気中で溶融して、合金を製造した(以下、これを「原料B」と記す。)。ここでは、原料Bとして、Dy2.0Feの組成にする。この原料Bを、同様にアトマイザーで粉砕する。
また、原料の一つとして、Feを水素ガス雰囲気中で酸素を除去する還元処理を行ってから、アトマイザーで粉砕して用いる(以下、これを「原料C」と記す。)。
得られた原料A、B、Cを秤量し、粉砕・混合処理して、組成をTb0.3Dy0.7Fe1.88にした合金粉を磁場中で成形する。
【0017】
これらの成形した合金粉を、炉中で昇温し、1150〜1230℃の安定温度区間で35vol%水素ガスと65vol%Arガスの混合雰囲気で焼成した焼結体密度を図2に示す。図2(a)は、経過時間(分)に対する熱処理の温度(℃)を、図2(b)は、経過時間(分)に対する焼結体密度(%)を示している。ここで、焼結体密度は、合金の真比重に対する焼結体の比重の比を表している。図2(a)(b)中の黒点の模様をした部分が35vol%水素ガスと65vol%Arガスの混合雰囲気にしたことを示し、その他はArガス単独の雰囲気である。図2(b)に示すように、混合ガス雰囲気中で熱処理直後に、焼結体密度が急激に上昇し、90%以上になっている。さらに、1225℃の安定温度区間内で約180分熱処理することで、焼結体密度が95%以上にすることができる。
以上のことから、成形した合金粉は、水素ガスとArガスの混合雰囲気中で熱処理することにより、高密度焼結体が得られることがわかる。
【0018】
また、650〜1238℃までの温度区間でArガスと水素ガスの混合比率における水素ガスを0〜100vol%の間で変化させて焼結し、焼結体密度、磁歪値を測定した。この結果を表1及び表2と図3及び図4に示す。ただし、表1中の水素吸蔵材とは原料の一部である原料Bに水素吸蔵処理をした合金粉を用いた焼結体で、表2中の非水素吸蔵材とは水素吸蔵処理をしない合金粉を用いた焼結体である。水素吸蔵処理は、水素ガス雰囲気中で一定温度に保持して水素を吸蔵させ、次に、雰囲気をArガス雰囲気に変えて一定時間保持することで行った。
【0019】
【表1】
Figure 0004070426
Figure 0004070426
表1と図3から、本発明の高密度焼結体は、水素ガスの濃度が高くなるにつれて、焼結体密度は徐々に高くなり、特に、水素ガスがわずかでも含まれていると焼結体密度は90%以上になっている。しかし、高密度焼結体の磁歪値は、水素ガス濃度が35vol%以上を越えると低下して、水素ガス濃度が50vol%以上では1000ppm以下の880ppmに低下する。
【0020】
【表2】
Figure 0004070426
Figure 0004070426
また、表2と図4から、非水素吸蔵材を用いる高密度焼結体では、同様に、水素ガスの濃度が高くなるにつれて、焼結体密度は徐々に高くなり、水素ガス濃度が30vol%以上になると焼結体密度は90%以上になっている。しかし、高密度焼結体の磁歪値は、水素ガス濃度が35vol%を越えると低下して、水素ガス濃度が50vol%以上では1000ppm以下の890ppmに低下する。
したがって、水素吸蔵材及び非水素吸蔵材のいずれの原料を用いても、水素ガス濃度Xは、50vol%未満で0vol%を越えていることが好ましいことがわかる。
【0021】
次に、本発明の高密度焼結体の熱処理で、650〜1225℃まで温度区間の中でArガスから35vol%水素ガスと65vol%Arガスとの混合雰囲気に変化させて焼結し、焼結体密度、磁歪値を測定した。また、原料Bは水素吸蔵処理がなされている。この結果を表3及び図5に示す。ここで、表3中で、混合雰囲気からArガスの単独雰囲気にする温度を水素化終了温度とした。
【表3】
Figure 0004070426
Figure 0004070426
【0022】
表3及び図5から、本発明の高密度焼結体の熱処理で、水素ガスとArガスの混合雰囲気にする水素化開始温度が650℃以上では、焼結体密度はほぼ97%以上と非常に高くなっているが、水素化開始温度が1150℃を超えると次第に、焼結体密度が低下する。また、磁歪値は水素化開始温度が高くなるにつれて大きくなるが、水素化開始温度が1150℃を超えると飽和する。
したがって、水素ガスを混入して水素ガスとArガスの混合雰囲気にするには、少なくとも650℃から開始すればよいことがわかる。
【0023】
次に、本発明の高密度焼結体の熱処理で、1150℃でArガスから昇温過程での35vol%水素ガスと65vol%Arガスとの混合雰囲気に変化させ、この混合ガス雰囲気からArガス単独の雰囲気にする水素化終了温度を変えて焼結し、焼結体密度、磁歪値を測定した。ここで、原料Bは水素吸蔵処理がなされている。この結果を表4及び図6に示す。
【表4】
Figure 0004070426
Figure 0004070426
【0024】
表4及び図6から、本発明の高密度焼結体の熱処理で、終了温度が1200℃以上で焼結体密度が93.3%以上で、終了温度が高くなるにつれて焼結体密度が高くなっている。しかし、高密度焼結体の磁歪値は、終了温度が1230℃を超えると急激に低下し、1235℃では1000ppm以下の920ppmに低下する。
したがって、終了温度は、1230℃を超えないことが好ましく、さらに1220℃を超えないことが一層好ましいことがわかる。
【0025】
(実施例1と比較例1ないし4)
実施例1と比較例1ないし4の焼結体の組成等は表5に示す。
実施例1では、Tb0.4Dy0.6Fe1.94の組成を有する原料AとDy2.0Feの組成を有する原料BとFeを水素ガス雰囲気中で酸素を除去する還元処理された原料Cを秤量し、粉砕・混合処理した合金粉を最終的な組成としてTb0.3Dy0.7Fe1.88を磁場中で成形する。その後、Arガス雰囲気と水素ガス及びArガスの混合雰囲気で焼結して焼結体を製造する。焼結は、図2に示した熱処理条件で行い、安定温度区間で35vol%水素ガスと65vol%Arガスの混合雰囲気にし、その後Arガスの雰囲気にした。また、原料Bは、水素ガス雰囲気中で150℃に保持して水素を吸蔵させ、次に、水素ガス雰囲気中で温度を上げて400℃にし、さらに、400℃にして、雰囲気をArガス雰囲気に変えて一定時間保持して水素吸蔵処理を行った。
【0026】
比較例1は、Arガス単独の雰囲気中で焼結した以外は組成等も実施例1と同じである。
比較例2は、水素吸蔵処理されていない原料Bを用いて、Arガス単独の雰囲気中で焼結した以外は、組成等も実施例1と同じである。
比較例3は、水素吸蔵処理されていない原料Bを用いて、Arガス単独の雰囲気中で焼結した以外は実施例1と同じである。
比較例4は、米国エトレマ(ETREMA)社製の単結晶育成法で製造された焼結体である。組成はTb0.3Dy0.7Fe1.93で、実施例1等とほぼ同じである。
【0027】
次に、以下の実施例1と比較例1ないし3の焼結体を、85℃、100℃、125℃、155℃、200℃の大気中にそれぞれ1000時間放置して、磁歪特性を測定して、磁歪値劣化率を求めた。この放置温度(℃)と磁歪値劣化率(%)の関係を図7に示す。磁歪値劣化率は、各焼結体の初期の磁歪値を100%とし、この初期の磁歪値に対する各放置温度における磁歪値の比を表している。
【表5】
Figure 0004070426
Figure 0004070426
【0028】
表5及び図7からわかるように、実施例1と比較例1とを比較すると、水素ガスとArガスの混合雰囲気にすることで、焼結体密度を91%から97%に上げることができる。これにより、図7に示すように、高温の200℃で1000時間放置すると、実施例1等は磁歪値劣化率が90%以上であるのに対して、比較例1は90%以下に低下している。このことから、焼結体密度を高くすることで、磁歪値劣化率を高く維持して劣化を抑えることができることがわかる。
比較例2及び3のように、原料の一部を水素吸蔵処理せず、かつ焼結時の熱処理で水素ガスとArガスの混合雰囲気にせず、Arガス単独の雰囲気のまま焼結すると、両方とも焼結体密度が84%と低い上に、125℃及び155℃の高温放置で実施例1ではほとんど磁歪値が低下していないのに対して、125℃で比較例2は95%、比較例3は90%に低下し、155℃で比較例2は88%、比較例3は81%と大きく低下している。このことから、水素ガスとArガスの混合雰囲気にすることで、Arガス単独の雰囲気よりも焼結体密度を高くし、磁歪値の劣化を抑えることができる。
実施例1と比較例4を比較すると、比較例4は単結晶であり密度は99.5%とほぼ100%に近く、実施例1は磁歪値劣化率も単結晶の比較例4と同等であることがわかる。このことから、本発明の製造方法により、単結晶とほぼ同等の特性を有し、形状の選択が容易な金型成形により焼結体又は磁歪素子を、所望の形状で、かつ低コストに製造することができる。
【0029】
したがって、水素ガスを含む混合ガス雰囲気で焼結することが、不活性ガス単独の雰囲気で焼結するより焼結体密度を大きくし、かつ経時による焼結体の特性劣化を抑えることができることがわかる。また、原料の一部を水素吸蔵処理をするよりも、水素ガスを含む混合ガス雰囲気で焼結することが、焼結体密度を高くし、かつ経時による焼結体の特性劣化を抑えることができることがわかる。また、原料の水素吸蔵処理と焼結時の水素ガスを含む混合ガス雰囲気で焼結することが、さらに焼結体密度を高くし、かつ経時による焼結体の特性劣化を抑えることができることがわかる。
【0030】
【発明の効果】
以上、本発明の高密度焼結体の製造方法では、水素ガスを含む混合ガス雰囲気で焼結されることで高密度の焼結体となり、高温に長時間放置されても焼結体特性の劣化を小さくする高密度焼結体を製造することができる。
また、本発明の超磁歪素子の製造方法では、高密度の磁歪素子となり、高温に長時間放置されても磁歪値等の劣化を小さくする超磁歪素子を製造することができる。
また、本発明の製造方法により製造される高密度焼結体及び超磁歪素子では、焼結体密度を高くして、経時による特性の劣化、特に、磁歪値の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高密度焼結体を製造する工程を示したフローチャートである。
【図2】(a)は経過時間(分)に対する熱処理の温度(℃)、(b)は経過時間(分)に対する焼結体密度(%)を示したグラフである。
【図3】水素吸蔵材を用いて、水素ガスを0〜100%の間で変化させて焼結した焼結体の焼結体密度、磁歪値を示したグラフである。
【図4】非水素吸蔵材を用いて、水素ガスを0〜100%の間で変化させて焼結した焼結体の焼結体密度、磁歪値を示したグラフである。
【図5】35vol%水素ガスと65vol%Arガスとの混合雰囲気に変化させて焼結した焼結体の焼結体密度、磁歪値を示したグラフである。
【図6】35vol%水素ガスと65vol%Arガスとの混合雰囲気からArガス単独の雰囲気にする水素化終了温度を変えて焼結した焼結体の焼結体密度、磁歪値を示したグラフである。
【図7】焼結体を、大気中にそれぞれ1000時間放置した時の磁歪値劣化率示したグラフである。

Claims (6)

  1. 式(1)RT(ここで、Rは式(2)Tb Dy (1−a) で示す組成であって、aが、0.27<a≦0.50の範囲にある、TはFe、Co及びNiのなかの1種以上である、yは1<y<4を表す。)で示す組成の合金粉を、水素ガス及び不活性ガスが、水素ガス:アルゴン(Ar)ガス=X:100−Xと表す式(3)(ここで、X( vol %)が、0<X<50である)で表される混合雰囲気で、1150℃以上1230℃以下の安定温度区間で焼結される
    ことを特徴とする焼結体の製造方法。
  2. 前記合金粉の一部は、水素吸蔵処理がされている
    ことを特徴とする請求項2に記載の焼結体の製造方法。
  3. 前記混合雰囲気は、650℃以上の昇温過程から用いる
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の焼結体の製造方法。
  4. 焼結体は、請求項1ないし3のいずれかに記載の焼結体の製造方法により製造される
    ことを特徴とする焼結体。
  5. 磁歪素子の製造方法は、請求項1ないし3のいずれかに記載の焼結体の製造方法である
    ことを特徴とする磁歪素子の製造方法。
  6. 磁歪素子は、請求項5に記載の磁歪素子の製造方法により製造される
    ことを特徴とする磁歪素子。
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