JP4146120B2 - 磁歪材料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁歪特性に優れた磁歪材料に関する、さらに詳細には、原料を粉体にして焼結する粉末冶金法で、配向度が高く、磁歪値を大きく取れる磁歪材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
強磁性体を磁化したときに、磁性体の寸法が変化する現象を磁歪といい、このような現象を生ずる材料を磁歪材料という。磁歪による飽和変化量である飽和磁歪定数は、一般には10−5〜10−6の値を有し、大きな飽和磁歪定数を有する磁歪材料は、発振器、フィルター、センサ等に広く利用されている。
現在、磁歪材料としては、さらに、磁歪値の大きい材料が求められている。特に、R(希土類)とFeの化合物は、RFeラーベス型金属間化合物を形成するが、磁歪材料として、外部磁界が大きいときには磁歪値が大きいが、外部磁界が小さいときには磁歪値が十分ではない。
そこで、RFeラーベス型金属間化合物を用いて低外部磁界でも磁歪値が大きく、磁界応答性の良好な磁歪材料又は製造方法が求められていた。このRFeラーベス型金属間化合物における磁歪値を大きくするには、磁化容易軸であって、磁歪定数の大きい[111]軸方向に配向させることが提案されている。
【0003】
例えば、(1)従来、結晶を配向させた磁歪材料としては、単結晶法により製造された磁歪材料がある。また、(2)Tb0.3Dy0.7Fe2.0の粉末を磁場中で成形した後、焼結する粉末冶金法により[111]軸に配向させた磁歪材料が米国特許第4,152,178号に提案されている。また、(3)Dy、TbとFeの合金であって、FeTb、FeDyの粒子を磁場中プレスにより圧縮成形体を作製し、焼結する合金が特開平1−180943号公報に開示されている。また、(4)Mnを添加した希土類−鉄の組成を基調として、結晶成長の容易な方向である<110>軸方向に成長させた磁歪材料が特開平5−148594号公報に提案されている。
また、(5)RFeの粉末とRとFeの共晶組成でガスアトマイズ法又は回転電極法で調整した粉末とを混合して、さらに、微粉砕し、磁場プレス後に焼結する磁歪焼結体の製造方法が特開平6−256912号公報に提案されている。さらに、従来の技術として、焼結体で高い密度を得るために、振動ミルにより粉砕して、焼結する方法が知られている。
【0004】
しかし、(1)単結晶法は、ゾーンメルティング法又はブリッジマン法にしても、原料を溶解後鋳造し、鋳造したインゴットを用いて単結晶にし、その後アニール処理、加工処理を必要とするため生産性が低く、さらに、円柱状に形状が限定されるために製品にするには切削等の加工が必要となる。また、単結晶法では、特に、ブリッジマン法では、単結晶が[111]軸方向に配向しないという問題点がある。また、(2)米国特許第4,152,178号に提案されている方法では、Tb0.3Dy0.7Fe2.0の結晶磁気異方性が小さいために配向させるのに大きな磁場を必要とするという問題点がある。また、(3)特開平1−180943号公報に提案されている合金は、磁化容易軸がFeTbは[111]軸、FeDyは[100]軸で、[111]軸方向に配向しないという問題がある。また、(4)特開平5−148594号公報に提案されている磁歪材料では、<110>方向に成長するために、磁化容易軸であって磁歪定数の最も大きい<111>軸に配向した磁歪材料を得るには、さらに、切削等の加工が必要となる問題点がある。また、(5)特開平6−256912号公報に提案されているガスアトマイズ法による粉体又は振動ミルによる粉体では、焼結密度を高くして高磁歪特性とするには、焼結密度が必ずしも十分でないという問題点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の課題は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、生産性が高く、かつ磁歪値を大きくするために結晶方位を揃えた磁歪材料を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために、請求項1に記載の発明は、式1:RT(u)(ここで、uは、1.50≦u≦2.30の範囲にある。Rは、1種類以上の希土類金属、Tは、Fe、Ni、Coの群から選択される少なくとも1種類の金属をいう。)で表される磁場中成形される磁歪材料であって、該磁歪材料は、磁場と平行な方向に[111]軸が配向する配向度が、下記数式(1)の値で、2.0以上である
【数2】
Figure 0004146120
(ここで、I(222)とI(311)は、それぞれ(222)面と(311)面からのX線回折強度を表し、(//)と(⊥)は磁場中成形の磁場方向に平行な面と垂直な面を測定したことを表す。)磁歪材料である。
請求項2に記載の発明は、前記磁歪材料は、磁場と平行な方向に[111]軸が配向する配向度が、数式(1)の値で、7.0以上である 請求項1に記載の磁歪材料である。
請求項3に記載の発明は、前記式1:RT(u)の磁歪材料は、式2:(Tb(v)Dy(1−v))T(w)(ここで、Dyは、Hoを含むことがある。v、wは、0.27≦v<0.50、1.50≦w≦2.30の範囲にある。)で表される磁歪材料である 請求項1又は2に記載の磁歪材料である。
請求項に記載の発明は、前記磁歪材料は、式3:(Tb(x)Dy(1−x))T(y)(ここで、x及びyは、0.35<x≦0.50、1.70≦y≦2.00の範囲にある。)で表される原料Aと、式4:(Dy(1−t)Tb(t)(1−z)(ここで、Dyは、Hoを含むことがある。tは、0≦t≦0.30、zは、0.40≦z≦0.80の範囲にある。)で表され、7000ppm≦水素量≦22000ppmの範囲にある水素を含む原料Bと、Tを含有する原料Cと を混合して磁場中成形され、焼結される 請求項1ないしのいずれかに記載の磁歪材料でる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の磁歪材料は、式1:RT(u)で表される磁歪材料である。Rは、Y、Sc、ランタノイド系列、アクチノイド系列の希土類金属から選択される1種類以上を表している。これらのなかで、Rとしては、特に、Nd、Pr、Sm、Tb、Dy、Hoの希土類金属が好ましく、Tb、Dyがより一層好ましく、これらを混合して用いることができる。
Tは、1種類以上の遷移金属を表している。これらのなかで、Tとしては、特に、Fe、Co、Ni、Mn、Cr、Mo等の遷移金属が好ましく、Fe、Co、Niが一層好ましく、これらを混合して用いることができる。
uは、1.50≦u≦2.30を表す。RTは、u=2で、RとTとが形成するRTラーベス型金属間化合物は、キュリー温度が高く、磁歪値が大きいため、磁歪素子に適する。ここで、uが1.50未満では、焼結後の熱処理でRT相が析出して磁歪値が低下する。また、uが2.30を越えると、RT相又はRT相が多くなり、磁歪値が低下する。このため、RTがリッチな相を多くするために、uは、1.50≦u≦2.30の範囲が好ましい。
【0008】
式1:RT(u)で表される磁歪材料は、式2:(Tb(v)Dy(1−v))T(w)で表される磁歪材料であることが好ましい。ここで、v、wは、0.27≦v<0.50、1.50≦w≦2.30の範囲にある。また、TはFe、Ni、Coの群から選択される少なくとも1種類の金属をいい、DyはHoを含むことがある。
式2:(Tb(v)Dy(1−v))T(w)で表される磁歪材料は、TbTがラーベス型金属間化合物を形成し飽和磁歪値λが大きく、さらに、Tbの一部をDyで置換することにより、低い外部磁場でも高い磁歪値を呈するようになる。また、Dyの他に、一部は、他の希土類と置換しても良い。これらは、Fe等の遷移金属と同様の金属間化合物を形成する。
【0009】
また、Tは、Fe、Co、Niの群から選択される少なくとも1種類の金属で、特に、Feは、Tb、Dyと磁歪特性の高い(Tb、Dy)Fe金属間化合物を形成する。このときに、Feの一部をCo、Niで置換するものであってもよいが、Coは磁気異方性を大きくするが透磁率を低くし、また、Niはキュリー温度を下げ、結果として常温・高磁場での磁歪値を低下させるために、Feは70wt%以上、一層好ましくは80wt%以上が良い。その他に、Tb、Dy、Hoの希土類金属と合金を形成する遷移金属を含んでいても良い。遷移金属としては、具体的にはMn、Cr、Mo、Wを挙げることができる。
ここで、vが0.27未満では、常温より低い温度域で十分な磁歪値を示さず、vが0.50以上では常温域で十分な磁歪値を示さない。
また、wが1.50未満では希土類リッチな相が多くなり、wが2.30を越えると、(Tb、Dy)T相等の異相が生じ磁歪値が低下する。
【0010】
本発明の磁歪材料は、[111]軸方向へ配向する配向度が、数式(1)の値で、2.0以上の範囲にある。
【数3】
Figure 0004146120
ここで、I(222)とI(311)は、それぞれ(222)面と(311)面からのX線回折強度を表し、(//)と(⊥)は磁場中成形の磁場方向に平行な面と垂直な面を測定したことを表す。
本発明の磁歪材料は、ラーベス型金属間化合物で、磁化容易軸が[111]軸方向で、さらに、[111]軸方向で磁歪定数が最も大きい。そこで、本発明の磁歪材料は、成形時の磁場と平行な方向に[111]軸方向へ配向させ、その配向度が2.0以上である。
配向度は、X線回折で最も強い(222)面と測定のノイズの影響の少ない(311)面の回折されるX線強度を直行する2方向から測定しその比で表わす。
【0011】
図1は、本発明の磁歪材料の磁場中成形した方向に平行な面のX線回折のグラフである。大きなピークは、(222)面からの回折されたX線の強度である。小さなピークは、(311)面からの回折されたX線の強度である。
図2は、本発明の磁歪材料の磁場中成形した方向に垂直な面のX線回折のグラフである。大きなピークは、(311)面からの回折されたX線の強度である。小さなピークは、(222)面からの回折されたX線の強度である。
【0012】
図3は、それぞれ平行方向と垂直方向の(222)面と(311)面からのX線回折強度の比と磁歪値の関係を示すグラフである。磁歪値λの測定は、試料に磁場を印加し、印加磁場に平行な方向に変化する歪みをストレインゲージで測定する。ここで、磁歪値λ1.0(ppm)は、印加した磁場8×10A/m(1.0kOe)の値を示している。
図3に示すように、磁場中成形の印加磁場に平行方向のX線回折強度の比(I(222)(//)/I(311)(//))が大きくなるにつれて、磁歪値λ1.0(ppm)は大きくなっている。一方、磁場中成形の印加磁場に垂直方向のX線回折強度の比(I(222)(⊥)/I(311)(⊥))の値に対して、磁歪値λ1.0(ppm)はほとんど左右されない。これは、垂直方向に配向している割合が低いために変化する割合が小さいためである。
【0013】
図4は、配向度と垂直方向の磁歪値λ1.0の関係を示すグラフである。図4に示すように、配向度が大きくなるにつれて磁歪値λ1.0が大きくなっている。本発明の磁歪材料は、磁歪値λ1.0が、700ppm以上であることが好ましい。これは、本発明の磁歪材料と同じ組成で、配向させない等方性磁歪材料では、磁歪値1.0が、600〜700ppmある。したがって、本発明の磁歪値1.0は、この値よりも大きい必要がある。そこで、図4に示すように、変位量として実用的な磁場8×10A/m(1.0kOe)での磁歪値が700ppm以上とするために配向度を2.0以上にする。
さらに、駆動電圧が大きく応答速度が遅いジルコン・チタン酸(PZT)圧電素子は、従来のフェライト磁歪材料に比べても、電場によって800〜900ppmの変位量は得ることができる。しかし、フェライト磁歪材料は、磁場による変位量が実用上は30ppm程度である。したがって、駆動電圧が小さく応答速度が速く、かつ、電場・磁場による変位量が900ppm以上と大きい材料が求められており、本発明の磁歪材料は900ppmにするために、配向度を7.0以上にすることが一層好ましい。
【0014】
さらに、本発明の磁歪材料は、粉体の原料A、B、Cを粉砕・混合し、磁場中成形されたものである。原料Aとしては、式3:(Tb(x)Dy(1−x))T(y)で表される原料を用いる。ここで、原料AのTは、遷移金属の中で、特に、TはFe単独でも良いが、すくなくともFeは70wt%以上、一層好ましくは80wt%以上が良い。
x、yは、0.35<x≦0.50、1.70≦y≦2.00の範囲にある。xが小さいと最終の磁歪材料となったときに、原料Aが少ないことで、[111]軸方向の配向が困難になり、xが、0.5を越えると、最終の磁歪材料全体に対する原料Aの比率が低下するために焼結後の[111]軸方向の配向度が低くなる。
yが1.70未満では、原料Cの混合比率を高くしなければならず、磁歪材料全体に占める原料Aの比率が小さくなり、焼結後の[111]軸方向の配向度が低くなってしまう。yが大きいと(Tb、Dy)T等のFeリッチの相が多くなり、このため、磁場中成形による配向度が低くなり、それにつれて焼結後の磁歪材料の配向度も低くなる。
【0015】
また、式4:(Dy(1−t)Tb(t)(1−z)で表される原料Bを用いる。原料BのTは、Fe、Co、Niの群から選択される少なくとも1種類の金属で、特に、TはFe単独でも良い。このときに、Feの一部をCo、Niで置換するものであってもよく、これにより原料Bは粉砕されやすくなり、焼結による焼結密度を高くすることができる。原料BのDyは、単独でも良いが、一部がHoと置換されていても良い。
tは、0≦t≦0.30の範囲にある。DyとTは共晶点を有するので、tがこの範囲以外の組成では、原料Aと原料Cとの混合において、共晶組成である低融点のRTが少なくなり、焼結密度を高くして磁歪値を高くすることが難しくなる。また、zは、0.40≦t≦0.80の範囲にある。zがこの範囲以外では、原料Bの融点が高くなるために焼結密度を高くして磁歪値を高くすることができない。
【0016】
また、本発明の磁歪材料は、Tを含む原料Cを用いる。Tは、上述したように、遷移金属で、特に、Fe、Co、Niが好ましく、さらにFeが一層好ましい。Feは、焼結時に溶融して、Tb、Dy等の金属間化合物を形成するとともに、磁歪値を高くする。
【0017】
また、本発明の磁歪材料は、前記原料Aと原料Bと原料Cとを混合し、磁場中成形し、焼結して、式2:(Tb(v)Dy(1−v))T(w)で表される磁歪材料となる。前記原料Aと原料Bと原料Cとの混合の割合は、式1で表される磁歪材料になるように適宜決定することができる。
磁歪材料に対して、原料Aは50wt%以上で100wt%未満、一層好ましくは60wt%以上で95wt%以下が良い。磁歪材料は、原料Aの[111]軸が維持されるが、原料Aが少ないと、磁場中成形で配向するものが少なく、焼結した磁歪材料の配向度が低くなる。原料Aが多いと、水素を含有した原料Bが少なくなるために、磁歪材料の密度が高くならず、磁歪値が低下する。
磁歪材料に対して、原料Bは40wt%以下で、一層好ましくは5wt%以上で30wt%以下が良い。原料Bが少ないと、焼結が進みにくい。原料Bが多いと、原料Aが少なくなるため磁歪値が低下する。
また、原料Cは、磁歪材料としたときのTの範囲になるように、原料A、Bの割合を考慮して、添加量を決定する。
【0018】
これらの原料A、B、Cは、図5に示すように、秤量してから混合し、粉砕処理される。各原料の平均粒径は、1〜100μm、一層好ましくは5〜20μmが良い。平均粒径が小さいと製造中に酸化する、また、粒子の磁化が小さくなり磁場による磁気モーメントも小さくなるために粒子が回転しずらく配向度を高くすることが難しい。平均粒径が大きいと焼結が進みにくく、密度が高くならず、磁歪値を大きくすることが難しい。
粉砕処理では、振動ミル、ボールミル、アトライタ、アトマイザー等の粉砕機から適宜選択することができる。特に、アトマイザーが好ましい。衝撃と剪断を同時にかけることができ、粉体の凝集を防ぎ、かつ製造装置への付着が少ないために生産性が高い。
【0019】
混合したものは、焼結前に所望の形状に成形するが、この成形時は磁場中で行うことで、原料Aを一定方向に揃えて、焼結後の磁歪材料を[111]軸方向に配向させる。印加する磁場は、24×10A/m以上、好ましくは48×10A/m以上が良い。磁場の方向は、圧力の方向に垂直でも、平行でも良い。成形圧力は、4.9×10Pa以上で、好ましくは2.9×10Pa以上が良い。
ここで、磁歪材料は、原料Aの磁化容易軸が[111]軸方向で、原料Bは磁化容易軸が[110]軸方向であり、また、原料AとBは、結晶磁気異方性が大きい。したがって、磁場中成形で、磁場方向と平行な方向に原料Aが[111]軸方向に、原料Bが[110]軸方向に配向する。しかし、原料Bは、焼結時に融剤として作用し、原料Bに水素を含有させ磁場中成形時の圧力で微細に粉砕されることで溶融しやすくなり、原料Cとともに溶融して、[111]軸方向へ配向している原料Aと合金化して磁歪材料を形成する。さらに、磁場中成形時に、原料Bは微細に粉砕されることで、原料Aの粒子が回転しやすくなり、磁場の方向に配向しやすくなる。
【0020】
また、磁歪材料の焼結条件は、適宜行うことができるが、1100℃以上で、好ましくは1150〜1250℃で、1〜10時間行うことがよい。焼結の雰囲気は、非酸化性雰囲気が良く、Ar、窒素ガス等の不活性ガス、又は真空中がよい。焼結後、表面の酸化物又は汚れを取るための加工を行って製品とする。
このようにして製造された磁歪材料は、多結晶体であり、この磁歪材料の結晶粒の平均粒径は10μm以上である。結晶粒の平均粒径が小さいと結晶粒界が多くなり、磁歪値、磁化率が低くなる。結晶粒の平均粒径の上限は特にないが、200μm以上になると磁歪値はほとんど飽和するためにこれ以上大きくする必要がなく、また、焼結等の時間がかかりすぎ実用的ではない。
【0021】
また、原料Bは,水素を含んでいてもよい。原料Bに水素を吸蔵させることにより、水素化物を形成するか又は水素原子が結晶内に侵入するかは別にして、歪みが生ずるために内部応力に耐えられなくなり、原料Bの粒子は割れが生ずる。このために、原料Aと原料Cと混合し、成形体を形成する時に圧力を懸けるため、割れの先端に応力が集中して、さらに割れるために、混合した状態の内部で粉砕されて細かくなり、原料Aの間に入り込むことで、焼結したときに緻密で密度が高く、磁歪値の高い磁歪材料を形成する。さらに、密度を高くすることで気孔の少ない磁歪材料となる。
原料Bは、水素ガス雰囲気中で水素を吸蔵する処理が行われるが、水素を吸蔵することで、酸化されにくくなる。Tb、Dy、Ho等の希土類は酸化されやすいために、わずかな酸素があっても表面に融点の高い酸化膜が形成されるために焼結の進行を抑制する。そのために、密度が低く、さらに開気孔も多くなる。したがって、原料Bに水素吸蔵処理をして磁歪値を高くし、密度を高くして磁歪特性の経時的な劣化を抑えることができる。
原料Bに、吸蔵させる水素の量としては、7000ppm≦水素量≦22000ppmの範囲がよい。水素の量が7000ppm未満では、水素の量が少なくて原料Bの内部歪みが小さく、成形時の割れが少なく、密度が低く、さらに磁歪値を向上させることが困難である。さらに、長期間の使用により磁歪特性が低下する。水素量が22000ppmを越えると、原料Bの微細化が飽和し、これ以上吸蔵する効果がない。
【0022】
【実施例】
(実施例1)
図5は、本発明の磁歪材料の製造方法の一例を示すフローチャートである。
原料Aとして、Tb、Dy、Feを秤量して、Arガスの不活性雰囲気中で溶融して、合金を作製した。この合金を、アニールする熱処理を行い、合金作製時の各金属元素の濃度分布を一様にし、また、析出した異相を消滅させる。次に、図1に示すように、この原料Aを粉砕する。ここでは、原料Aとして、Tb0.4Dy0.6Fe1.93の組成にする。
原料Bとして、Dy、Tb、Feを秤量して、Arガスの不活性雰囲気中で溶融して、合金を作製した。この合金を、粉砕して原料Bとする。ここでは、原料Bとして、Dy2.0Fe1.0の組成にする。次に、この粉砕した原料Bを、水素ガス雰囲気中又は水素・Arガスの混合ガス雰囲気中に保持して、原料Bの結晶格子中に水素原子を侵入させ、又は水素化物にする。
原料Cとして、水素ガス雰囲気中で酸素を除去する還元処理を行ったFeを用いた。
【0023】
ここで、原料A、B、Cを混合・粉砕する。粉砕は、アトマイザー(東京アトマイザー製造(株)社製)を用いた。
その後、これらの混合物を磁場中で成形した。12×12×16mmの角柱の形状の試料に対して磁場の方向は軸方向に平行で、印加する磁場は72×10A/mで、成形圧力は8640×10Paで行った。この成形体をAr雰囲気中で焼結して、磁歪材料を得た。
磁歪値の測定は、磁歪材料に対して、磁場8.0×10A/m印加して、そのときの歪みをストレインゲージで測定した。
【0024】
(比較例1)
比較例1では、原料A、B、Cを混合・粉砕した後、磁場を印加せずに成形した以外は、他は実施例1と同様にして磁歪材料を製造した。
以下の表1に、このときの、印加した磁場の強さ、焼結後の配向度、磁歪値を示す。
【表1】
Figure 0004146120
表1から明らかなように、磁場を印加しない比較例1は、配向度が低く、磁歪値λ1.0も低い。これからも、原料A、B、Cを混合・粉砕し、磁場を印加することが、配向度を高め、磁歪値λ1.0を高めることがわかる。また、配向度を2.0以上の4.0にすることで、700ppm以上の800ppmの磁歪値λ1.0が得られることがわかる。
【0025】
(実施例2〜4及び比較例2)
実施例2〜4及び比較例2は、磁場中成形時の印加磁場の強さを変えただけで、実施例1と同様にして製造した。
以下の表2に、それぞれ印加した磁場の強さ、焼結後の配向度、磁歪値を示す。
【表2】
Figure 0004146120
表2からも明らかなように、印加した磁場により配向度が変わり、配向度が1.9で、磁歪値λ1.0が650ppmであり、磁歪値λ1.0を700ppm以上にするためには、少なくとも配向度をそれ以上にする必要があることがわかる。また、配向度を7.0以上の10.0にすることで、900ppm以上の磁歪値λ1.0が得られることがわかる。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の磁歪材料では、磁場中成形することで、焼結後に、磁化容易軸で磁歪定数の大きい[111]軸方向への配向度を高め、磁歪値を高くすることができる。さらに、原料の粉体のうち、磁場中成形で[111]軸方向に配向しやすい原料を用いて焼結することで[111]軸方向への配向度を高めことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁歪材料の磁場中成形した方向に平行な面のX線回折のグラフである。
【図2】本発明の磁歪材料の磁場中成形した方向に垂直な面のX線回折のグラフである。
【図3】それぞれ平行方向と垂直方向の(222)面と(311)面からのX線回折強度の比と磁歪値の関係を示すグラフである。
【図4】配向度と垂直方向の磁歪値λ1.0の関係を示すグラフである。
【図5】本発明の磁歪材料の製造方法の一例を示すフローチャートである。

Claims (4)

  1. 式1:RT(u)(ここで、uは、1.50≦u≦2.30の範囲にある。Rは、1種類以上の希土類金属、Tは、Fe、Ni、Coの群から選択される少なくとも1種類の金属をいう。)で表される磁場中成形される磁歪材料であって、
    該磁歪材料は、磁場と平行な方向に[111]軸が配向する配向度が、下記数式(1)の値で、2.0以上である
    Figure 0004146120
    (ここで、I(222)とI(311)は、それぞれ(222)面と(311)面からのX線回折強度を表し、(//)と(⊥)は磁場中成形の磁場方向に平行な面と垂直な面を測定したことを表す。)
    ことを特徴とする磁歪材料。
  2. 前記磁歪材料は、磁場と平行な方向に[111]軸が配向する配向度が、数式(1)の値で、7.0以上である
    ことを特徴とする請求項1に記載の磁歪材料。
  3. 前記式1:RT(u)の磁歪材料は、式2:(Tb(v)Dy(1−v))T(w)(ここで、Dyは、Hoを含むことがある。v、wは、0.27≦v<0.50、1.50≦w≦2.30の範囲にある。)で表される磁歪材料である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の磁歪材料。
  4. 前記磁歪材料は、式3:(Tb(x)Dy(1−x))T(y)(ここで、x、yは、0.35<x≦0.50、1.70≦y≦2.00の範囲にある。)で表される原料Aと、
    式4:(Dy(1−t)Tb(t)(1−z)(ここで、Dyは、Hoを含むことがある。tは、0≦t≦0.30、zは、0.40≦z≦0.80の範囲にある。)で表され、7000ppm≦水素量≦22000ppmの範囲にある水素を含む原料Bと、
    Tを含有する原料Cと を混合して磁場中成形され、焼結される
    ことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の磁歪材料。
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