JP2006213984A - 超磁歪材料及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 RFe2ラーベス型金属間化合物を主相とする焼結体からなる超磁歪材料において、磁歪特性の低下を招くRFe3相の生成を抑制しつつ、ヤング率を向上できる超磁歪材料を提供する。
【解決手段】 RT2ラーベス型金属間化合物(ただし、Rは希土類金属元素の中から選択される1種又は2種以上の元素、TはFe、Ni、Coの群から選択される1種又は2種以上の元素)からなる主相と、Rを含むR酸化物相と、R及びTを含む化合物からなるRリッチ相と、を備えた焼結体からなり、R酸化物相の面積率が2.5〜10%、Rリッチ相の面積率が7%以下であることを特徴とする超磁歪材料。
【選択図】図7

Description

本発明は、超磁歪材料に関し、特に粉末冶金法により製造されるRT2ラーベス型金属間化合物を主相とする超磁歪材料のヤング率の向上に関する。
強磁性体を磁化したときに、磁性体の寸法が変化する現象を磁歪といい、このような現象が生ずる材料を磁歪材料という。磁歪による飽和変化量である飽和磁歪定数は、一般には10-5〜10-6の値を有し、大きな飽和磁歪定数を有する磁歪材料は超磁歪材料とも呼ばれ、振動子、フィルター、センサ等に広く利用されている。現在、R(希土類金属元素)とT(Fe、Co及びNiの群から選択される1種又は2種以上の元素で、典型的にはFe)の化合物であるRFe2ラーベス型金属間化合物を主相とする磁歪材料が飽和磁歪定数の大きな材料として知られている。そして、RFe2ラーベス型金属間化合物を主相とする磁歪材料において、低外部磁界でも磁歪値を大きくするために、磁化容易軸であって、磁歪定数の大きい[111]軸方向に配向させることが行われている。また、RFe2ラーベス型金属間化合物としては、Tb0.34Dy0.66Fe2.0(原子比)の組成を有する場合に特に磁歪値が大きいため、専らこの組成が採用されている。
RFe2ラーベス型金属間化合物からなる以上の超磁歪材料は、その組成、製造条件等により、主相となるRFe2相の他に、例えばRFe3で表される相や、原料中の不純物によって形成される相、例えば酸化物、炭化物等の異相が生成することがある。このような異相の生成は、超磁歪材料の磁歪特性に影響を及ぼす。特に、RFe3は磁歪特性が非常に小さいことから、特開平5−148594号公報(特許文献1)においては、Feの一部をMnで置換することにより、ラーベス型金属間化合物を形成する際避けられなかったRFe3相の生成を5容量%以下に抑制できることを開示している。
また、本発明者らによる特開2003−171747号公報(特許文献2)は、RFe2相に加えて、RFe2相よりもRを過剰に含む相(特許文献2では、Rを主成分とする相と称している)を生成することによってRFe3相の生成を抑制する方法が提案されている。具体的には、RFe2よりもRが過剰なRFe1.81.9程度の組成を採用することにより、Rを主成分とする相と、RFe2主相との比([R]/[RFe2])を、0<[R]/[RFe2]≦0.45とすることにより、RFe2相の存在比率を向上して高い磁歪特性を得ている。
特開平5−148594号公報 特開2003−171747号公報
よく知られているように、超磁歪材料は、振動分野では磁歪振動子としてスピーカ、ソナー、パーツフィーダ、超音波遅延線、超音波加工機、モータの除振・防振機構などへ応用でき、機械応用分野では 変位制御アクチュエータとして精密位置決め機構、バルブ制御弁、機械スイッチ、マイクロポンプ、プリンタヘッドなどへ応用できる。また磁歪センサとして、 圧力センサ、ノックセンサ、音圧センサなどに使用可能である。
上述したように、特許文献2によれば、Rを主成分とする相(以下、Rリッチ相)を意図的に生成させることによって、磁歪特性低下の大きな原因となるRFe3相の生成を抑制して高磁歪特性を実現している。ところが、Rリッチ相の存在は、超磁歪材料の用途によっては不都合な場合がある。振動子として用いる場合である。Rリッチ相はヤング率が低いため、Rリッチ相を含む超磁歪材料から構成される振動子はヤング率が低下する。ヤング率が低い振動子は、機械的共振係数Qが小さいために共振周波数帯での使用には適さない。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、RFe2ラーベス型金属間化合物を主相とする焼結体からなる超磁歪材料において、磁歪特性の低下を招くRFe3相の生成を抑制しつつ、ヤング率を向上できる超磁歪材料及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、磁歪特性の低下を招くRFe3相を抑制するために生成するRリッチ相を消失又は低減(以下、消失と総称する)すべく、微細な酸化物を添加することを検討した。すなわち、Rリッチ相は、酸化されやすいRを多く含んでいる。そこで、酸化物を添加することにより、焼結過程において、一旦生成したRリッチ相をR酸化物へと酸化することにより消失させることを狙ったものである。その結果、酸化物粉末を添加して、粉末冶金法によりRFe2ラーベス型金属間化合物を主相とする焼結体からなる超磁歪材料を製造することにより、Rリッチ相を消失させることに成功した。しかも、酸化物粉末の種類、添加量を特定することにより、磁歪特性を低下させることもない。そしてこのようにして得られた超磁歪材料の組織中には、添加した酸化物粉末に起因するR酸化物が存在する一方、RFe3相及びRリッチ相は存在しないか、存在したとしても磁歪特性及びヤング率を低下させない程度とすることができる。
以上の検討に基づく本発明の超磁歪材料は、RT2ラーベス型金属間化合物(ただし、Rは希土類金属元素の中から選択される1種又は2種以上の元素、TはFe、Ni、Coの群から選択される1種又は2種以上の元素)からなる主相と、Rを含むR酸化物相と、R及びTを含む化合物からなるRリッチ相と、を備えた焼結体からなり、R酸化物相の面積率が2.5〜10%、Rリッチ相の面積率が7%以下であることを特徴とする。
本発明の超磁歪材料において、焼結体がRTw(ただし、wは1.7≦w≦1.95)で表される組成を有することが好ましく、さらに、(TbvDy1-v)Few(ただし、v、wは、0.27≦v<0.5、1.7≦w≦1.95)で表される組成を有することが好ましい。
以上の本発明による超磁歪材料は、RT2ラーベス型金属間化合物(ただし、Rは希土類金属元素の中から選択される1種又は2種以上の元素、TはFe、Ni、Coの群から選択される1種又は2種以上の元素)を主相とする超磁歪材料の製造方法であって、RT2ラーベス型金属間化合物を含む原料粉末及び酸化物粉末を含む成形体を得る工程と、成形体を焼結する工程と、を備える超磁歪材料の製造方法により製造することができる。
本発明の超磁歪材料の製造方法において、酸化物としては、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル及び酸化マンガンの群から選択される1種又は2種以上を用いることが好ましい。
また本発明の超磁歪材料の製造方法において、原料粉末の平均粒径が5〜20μm、酸化物粉末の平均粒径が1μm以下であることが好ましい。
さらに、本発明の超磁歪材料の製造方法において、酸化物粉末は、0.5wt%以下(0を含まず)添加されることが好ましい。
以上説明したように、本発明によれば、RFe2ラーベス型金属間化合物を主相とする焼結体からなる超磁歪材料において、磁歪特性の低下を招くRFe3相の生成を抑制しつつ、ヤング率低減の原因となるRリッチ相を消失する。
以下、実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
<超磁歪材料の組織>
本発明による超磁歪材料は、RT2ラーベス型金属間化合物からなる主相と、Rを含むR酸化物相と、R及びTを含む化合物からなるRリッチ相と、を備えた焼結体からなる。
RT2ラーベス型金属間化合物からなる主相を備えた焼結体は、活性なRを含むために、R酸化物相が不可避的に存在する。ただし、従来、R酸化物相の生成を回避するように当該焼結体が製造されていた。したがって、本発明者等の知見によれば、従来の焼結体には存在するR酸化物相は2%以下程度である。
これに対して本発明による超磁歪材料は、R酸化物相の面積率が2.5〜10%である。これは、上述したように、Rリッチ相の低減のために、意図的に酸化物粉末を添加して焼結体を作製するためである。つまり、R酸化物相の面積率が2.5%未満では、Rリッチ相の低減効果が不十分であることを示している。ただし、R酸化物相は、磁歪特性にとって悪影響を与えるため、面積率で10%以下とする。R酸化物相の好ましい面積率は3〜9%、さらに好ましい面積率は3〜7%である。
本発明は、R酸化物相の面積率が多いことにより、Rリッチ相を面積率で7%以下に低減することができる。ヤング率の低いRリッチ相の量を低減したことにより、本発明の超磁歪材料はヤング率を向上することができる。Rリッチ相の好ましい面積率は6%以下、さらに好ましい面積率は5%以下である。もちろん、Rリッチ相が存在しないことが本発明の最も好ましい形態である。
<超磁歪材料の製造方法>
原料A:
本発明による超磁歪材料の好適な製造方法を図1に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
本発明は、式(1):(TbxDy1-x)Tyで表される原料Aを用いる。ここで、原料AのTは、Fe、Co、Niの群から選択される1種又は2種以上の金属で、特に、元素TはFe単独で用いるのが好ましい。Feは、Tb、Dyと磁歪特性の高い(Tb、Dy)Fe2金属間化合物を形成するからである。このときに、Feの一部をCo、Niで置換するものであってもよいが、Coは磁気異方性を大きくするものの透磁率を低くし、また、Niはキュリー温度を下げ、結果として常温・高磁場での磁歪値を低下させるために、Feは70wt%以上、一層好ましくは80wt%以上である。
原料Aは、その他に、Tb、Dyの希土類金属と合金を形成する遷移金属を含んでいてもよい。遷移金属としては、具体的にはMn、Cr、Mo、Wを挙げることができる。原料AのTbの一部は、Dyを除く希土類(R')と置換してもよい。R'として、例えば、Nd、Pr、Gd、Y等を挙げることができる。
式(1)において、x、yは、0.35<x≦0.5、1.7≦y≦1.95の範囲とすることが好ましい。
xが0.35以下の小さい値になると[111]軸方向の配向が困難になり、xが0.5を超えると、後述する原料Cの比率を高くする必要が生じ、磁歪材料全体に対する原料Aの比率が低下するために焼結後の[111]軸方向の配向度が低くなる。
yが1.7未満では、後述する原料Cの比率を高くする必要が生じ、磁歪材料全体に占める原料Aの比率が小さくなり、焼結後の[111]軸方向の配向度が低くなってしまう。yが大きいと(Tb、Dy)T3等のTリッチの相が多くなり、このため、磁場中成形による配向度が低くなり、それにつれて焼結後の磁歪材料の配向度も低くなる。したがって、yの上限は1.95とする。また、yをこの範囲にすると、通常であれば焼結後にRリッチ相が生成するが、本発明はこのRリッチ相を消失又は低減すべく、酸化物粉末を添加する。酸化物粉末の添加については後述する。
好ましいxは0.3≦x≦0.45、より好ましいxは0.34≦x≦0.40である。また、好ましいyは1.8≦y≦1.95、より好ましいyは1.87≦x≦1.92である。
原料B:
原料Bとして式(2):Dyt1-t(Dyは、TbとHoの双方又はいずれか一方を含むことがあり、tは0.37≦t≦1.0の範囲)で表される組成を有するものを用いる。tがこの範囲内においてDyとTは共晶点を有するので、tがこの範囲以外の組成では、原料Aと原料Cとの混合において、共晶組成であるR2Tが少なくなり、焼結密度を高くすることが難しくなる。
また、原料Bは、水素吸蔵処理を施すことにより、7000ppm≦水素量≦22000ppmの水素を含むことが好ましい。原料Bは水素を吸蔵することにより脆化し、これを原料A及び原料Cと混合し、成形体を形成する時の圧力により混合した状態の内部で粉砕されて微細化する。したがって、主相形成を担う原料Aの間に入り込みやすくなり、焼結したときに緻密で密度の高い焼結体を形成する。
原料Bに、吸蔵させる水素の量としては、7000ppm≦水素量≦22000ppmの範囲がよい。水素の量が7000ppm未満では、水素の量が少なくて原料Bの内部歪みが小さく、成形時の割れが少なく、密度が低く、さらに開気孔も多くなる。さらに、長期間の使用により磁歪特性が低下する。また、水素量が22000ppmを超えると、原料Bの微細化が飽和し、これ以上吸蔵する効果がない。
原料C:
本発明の磁歪材料の製造方法は、Tを含む原料Cを用いる。Tは、上述したように、Fe、Co、Niの群から選択される1種類又は2種以上の金属であり、この中ではFeが最も好ましい。
本実施の形態は、磁場中成形により磁化容易軸が十分に配向可能な程度の結晶磁気異方性をもち、かつその磁化容易軸が[111]軸である上記原料Aを用いる。しかし、上記原料Aのみからなる焼結体では、結晶磁気異方性が大きすぎるため、磁歪材として用いるときの磁場応答性が悪く実用的ではない。そこで、上記原料Aに加えて上記原料B、上記原料Cを加えたものを磁場中成形して焼結する。焼結の際には元素拡散が生じるため、Tb0.3 Dy0.7 Fe2.0 付近の組成をもつ多結晶磁歪材が得られる。この多結晶磁歪材は、原料Aの[111]軸配向が維持されているため磁歪が大きく、しかも、磁歪材として適度な結晶磁気異方性を有するため、良好な磁場応答性が得られる。
原料Bに水素を吸蔵させることにより、水素化物を形成するか又は水素原子が結晶内に侵入することによって歪みが生じ、原料Bがその内部応力に耐えられなくなり、粒子に割れが生ずる。そして、原料Aと原料Cとを混合、磁場中成形する時に印加される圧力が割れの先端に応力集中となって作用し、さらに割れが進行する。したがって、混合した状態の内部で原料Bは粉砕されて微細化して原料Aの間に入り込むことで、緻密で密度の高い焼結体が得られる。
酸化物粉末:
本発明は、上述した原料A〜原料Bの他に、酸化物粉末を原料として用いる。この酸化物粉末は、式(1):(TbxDy1-x)Tyで表される原料Aのyを1.75〜1.95とすることにより生成するRリッチ相を消失させるために添加される。ここで、Rリッチ相は、R173〜R2T化合物から構成され、酸化物粉末は焼結過程でRリッチ相と反応してR酸化物を生成する。R酸化物生成により分離するTは、主相中に取り込まれる。
本発明に用いる酸化物としては、上記作用を果たすものであれば特に限定されないが、Fe、Mn、Co及びNiの酸化物の1種又は2種以上を用いることが好ましく、特にFeを用いるのが好ましい。
また、酸化物粉末の添加量は、原料A〜Bの合計に0.5wt%以下(0を含まず)の範囲とすることが好ましい。酸化物粉末の量が多くなるとヤング率は向上するものの、0.5wt%を超えて添加すると磁歪特性が低下してしまう。なお、ある範囲の添加量において、酸化物粉末を添加することにより磁歪特性が向上する傾向が観察されており、このことを考慮すると酸化物粉末の添加量は0.1〜0.4wt%とするのが好ましく、0.15〜0.35wt%とするのがさらに好ましい。
添加される酸化物粉末の粒径は、Rリッチ相を酸化する作用を確保するために、微細であることが好ましく、1.0μm以下、さらには0.5μm以下の平均粒径とすることが好ましい。このように微細な粒径とすることにより、原料A〜原料Cとの混合状態において、酸化物粉末が混合物の中に均一に分散し、Rリッチ相の酸化作用を促進することができる。
原料A〜原料C及び酸化物粉末の混合:
以上説明した原料A、原料B、原料C及び酸化物粉末を混合、磁場中成形、焼結して、式(3):(TbvDy1-v)Twで表される磁歪材料を製造する。ここで、v、wは、0.27≦v<0.5、1.7≦w≦1.95の範囲にある。vが0.27未満では、常温より低い温度域で十分な磁歪値を示さず、vが0.5以上では常温域で十分な磁歪値を示さない。wが1.7未満ではRリッチな相が多くなり、wが1.95を超えると、(Tb、Dy)T3相等の異相が生じ磁歪値が低下する。
好ましいvは0.27≦v≦0.40、より好ましいvは0.27≦v≦0.34である。また、好ましいwは1.8≦w≦1.95、より好ましいwは1.87≦w≦1.92である。
原料A、原料B及び原料Cとの混合の割合は、式(3)で表される磁歪材料になるように適宜決定することができるが、以下に従うことが好ましい。
原料Aの重量百分率をa、原料Bの重量百分率をb、原料Cの重量百分率をcとしたとき、原料Aは、好ましくは50≦a<100、より好ましくは60≦a≦95とする。aが小さすぎる場合、すなわち、磁場中成形において配向する原料Aの比率が低い場合、焼結後の結晶の配向度が低くなる。一方、aが大きすぎる場合、原料Aの組成が最終組成に近いということであり、磁場配向を容易にするために原料Aを用いる意味がなくなる。
原料Bは、好ましくは0<b≦40、より好ましくは5≦b≦30とする。原料Bは 焼結の際に融剤として働くため、bが小さすぎると焼結が進みにくくなって緻密な磁歪材が得にくくなる。一方、bが大きすぎると、aが小さくなりすぎて、上記弊害が生ずる。
以上の原料A、B、Cは、図1に示す各工程を経て焼結体からなる磁歪材料を構成する。
原料Aとして、Tb、Dy、Feを上記式(1)に該当するように秤量して、例えばArガスの不活性雰囲気中で溶融して合金を作製する。この合金を、1150〜1230℃程度の温度でアニール処理を行い、合金作製時の各金属元素の濃度分布を一様にし、また、析出した異相を消滅させることができる。次に、この原料Aを、平均粒径で5〜200μm程度まで粉砕処理する。
原料BとしてDy又はDy及びTからなる合金を用意し、原料Aと同様に粉砕処理する。次いで、粉砕された原料Bを水素雰囲気中又は水素と不活性ガスの混合雰囲気中に保持して、原料Bの結晶格子中に水素原子を侵入させ又は水素化物とする水素吸蔵処理を施す。原料Bに含まれる水素量は前述したように、7000〜22000ppmとするのが好ましい。原料Bは、水素吸蔵処理が施されることで割れが発生する。原料BがDy及びTからなる合金から構成される場合は、割れによって5〜200μm程度まで微粉化される。原料BがDy単体で構成される場合は、水素吸蔵処理後の割れによってDy及びTからなる合金のように微粉化することが困難であるため、水素吸蔵処理後に粉砕処理を行うことが好ましい。この粉砕は、平均粒径で5〜200μm程度とすればよい。なお、水素吸蔵処理を行う温度は、原料BがDy及びTからなる合金から構成される場合は、100〜200℃、原料BがDy単体で構成される場合は、250〜450℃とすることが好ましく、この温度であれば、保持時間を1〜20時間とすれば、原料Bに上記量の水素を含有させることができる。なお、保持時間による水素含有量は、原料B合金の大きさにも依存する。
原料Bに水素吸蔵処理を施すことにより、原料Bの耐酸化性を向上することができる。希土類元素であるDyは酸化されやすいために、わずかな酸素があっても表面に融点の高い酸化膜が形成される。この酸化膜は焼結の進行を抑制する。そのために、得られる焼結体の密度は低く、さらに開気孔も多くなる。この開気孔が多くなると、長期間使用している間に、さらにDyの酸化が進み、それに伴い磁歪特性が低下する。したがって、原料Bに水素吸蔵処理をして焼結体を製造することで高い焼結密度を獲得し、かつ、磁歪特性の経時的な劣化を抑えることができる。
原料Cは、原料A及び原料Bと同様に粉砕した後に、表面に付着している酸素を除去するための還元処理を行うことが好ましい。この還元処理は、例えば、300〜600℃の水素雰囲気中に1〜3時間程度保持すればよい。
以上のようにして得られた原料A、原料B及び原料Cは、最終的に得たい組成となるように秤量、混合してから、粉砕処理される。粉砕処理では、湿式ボールミル、アトライタ、アトマイザー等の粉砕機から適宜選択することができる。特に、アトマイザーが好ましい。衝撃と剪断を同時にかけることができ、粉体の凝集を防ぎ、かつ生産性が高いからである。この粉砕後の平均粒径は、5〜20μmとするのが好ましい。粒径が小さすぎると製造工程中で酸化が進行しやすく、磁歪特性を劣化させる。平均粒径が大きすぎると焼結が進みにくく、焼結密度が高くならず、開気孔が多くなる。
磁場中成形:
混合された原料A、原料B及び原料Cは、焼結前に所望の形状に成形する。この成形は磁場中で行うことで、主に原料Aを一定方向に揃えて、焼結後の磁歪材料を[111]軸方向に配向させる。印加する磁場は、2.4×104A/m以上、好ましくは4.8×104A/m以上がよい。磁場の方向は、圧力の方向に垂直でも、平行でもよい。成形圧力は、4.9×104Pa以上、好ましくは2.9×105Pa以上がよい。
焼結:
磁場中成形で得られた成形体は焼結される。焼結条件は、1100℃以上で、好ましくは1150〜1250℃で、1〜10時間行うことがよい。焼結の雰囲気は、非酸化性雰囲気が良く、Arガス等の不活性ガス又は真空中がよい。
この焼結過程で、本発明による特徴的な現象が生じる。すなわち焼結過程において、RFe2ラーベス型金属間化合物からなる主相の他に、Rリッチ相が生成される。Rリッチ相は、前述したように、式(1):(TbxDy1-x)Tyで表される原料Aのyを1.75〜1.95と、Rをリッチな組成としているために生成する。ところが、本発明では酸化物を意図的に添加しているために、この酸化物が還元されるとともにRリッチ相が酸化されてR酸化物が生成する。ヤング率の低いRリッチ相が消失するため、焼結後に得られる超磁歪材料のヤング率は高い。したがって、振動子として用いられるときの機械的共振係数Qは、従来のRリッチ相を意図的に生成していた超磁歪材料に比べて高い。
以上のようにして製造された磁歪材料は、式(3):(TbvDy(1-v))Tw(ここで、v、wは、0.27≦v<0.5、1.7≦w≦1.95の範囲にある。)で表される多結晶体であり、磁歪が最も大きくなる[111]軸方向に配向している。この磁歪材料の結晶粒の平均粒径は10μm以上である。結晶粒の平均粒径が小さいと結晶粒界が多くなり外部磁場による磁化率が低くなる。結晶粒の平均粒径の上限は特にないが、200μm以上になると磁歪値はほとんど飽和するためにこれ以上大きくする必要がなく、また、焼結等の時間がかかりすぎ実用的ではない。
以下本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。
原料Aとして、Tb0.4Dy0.6Fe1.875の組成となるようにTb、Dy、Feを秤量し、Arガス雰囲気中で溶解して原料合金を作製した。この合金に1170℃で20時間保持するアニール処理を施し、合金作製時の各金属元素の濃度分布を一様にし、また、析出した異相を消滅させた。次に、この原料合金をブラウンミルにて粉砕(粗粉砕)する。粗粉砕後、メッシュにて2mm以上の粗大粒子を除去した。粗大粒子除去後の粉末の平均粒径は500μmである。なお、平均粒径はサブシーブサイザー測定装置(フィッシャー社製)で測定した値である。
原料Bとして、Dy2Feの組成になるようにDy及びFeを秤量して、Arガス雰囲気中で溶解して原料合金を作製した。この原料合金を10mm角にした後に、水素ガス雰囲気中、150℃で1時間処理する水素吸蔵処理を行った。原料合金は水素吸蔵処理後に平均粒径15μm程度に水素粉砕されていた。なお、水素量は20000ppm程度であった。水素量は、水素量測定装置(HORIBA社製:ZWGA−G21)で測定した値である。
原料Cとして、300℃の水素ガス雰囲気中で酸素を除去する還元処理を1時間行った平均粒径5μmのFe粉末を用意した。原料Cの酸素量は2000ppm程度である。
以上の原料A、原料B及び原料Cを、Tb0.34Dy0.66Fe1.875の最終組成になるように秤量、混合した。この際、表1に示す通りに酸化物を添加した。なお、酸化物粉末の粒径は、Fe23が0.3μm、SiO2が0.4μm、CaOが0.8μm、Mn34が0.1μm、CoO及びNiOが0.4μmである。
酸化物を混合した後に、アトマイザー (東京アトマイザー製造(株)社製)を用いてArガス雰囲気中で粉砕して平均粒径9μmの微粉砕粉末を得た。次いで、微粉砕粉末を12kOeの磁場中で8ton/cm2の圧力で磁場中成形を行った。なお、成形は加圧方向に対して磁場垂直方向に印加する横磁場成形とした。得られた成形体を1230℃のH2ガス雰囲気中において3時間焼結した。
得られた焼結体からφ3.5×30(mm)の試験片を作製し、以下の要領でヤング率、密度及び磁歪特性を測定した。その結果を表1に示す。また、酸化物の添加量とヤング率(E)の関係を図2に、酸化物の添加量と相対密度の関係を図3に、酸化物の添加量と磁歪値λ0.4の関係を図4に、酸化物の添加量と磁歪値λ1.0の関係を図5に示す。
ヤング率:共振法に基づく試験片の長手方向のヤング率。
密度:アルキメデス法に基づく。
磁歪特性:印加磁場400Oe、1000Oeについて、試験片の長手方向の磁歪値(Δl)を測定。印加磁場400Oeの場合をλ0.4、印加磁場1000Oeの場合をλ1.0とする。
表1及び図2より、酸化物を添加することによりヤング率(E)が向上することがわかる。また、所定量の酸化物添加により、焼結体の密度を向上できることが明らかとなった。一方で、磁歪値(λ0.4、λ1.0)は、酸化物の添加量が多くなるにつれて低下する傾向にある。特に、SiO2及びCaCO3、SiO2を添加した場合の磁歪値の低下が大きい。
以上の結果より、添加する酸化物としては、Fe23、Mn34、CoO及びNiOが好ましく、特にFe23が好ましい。
また、酸化物の添加量については、酸化物の種類にもよるが、0.5wt%以下、さらには0.3wt%以下の範囲とすることが磁歪特性の低下を最小限に抑える上で好ましい。
Figure 2006213984
得られた各焼結体について、R酸化物相及びRリッチ相の面積率(%)を求めた、その結果を表1に示した。
また、図6は、Mn34を1wt%添加した焼結体のSEM(走査型電子顕微鏡)によるミクロ組織写真を示す。また、図7に酸化物を添加しない焼結体のSEMによるミクロ組織写真を示す。図6において、R酸化物相(R(Tb,Dy)23)を点線で囲み、Rリッチ相を実線で囲んでいる。図7において、Rリッチ相は網目状となって焼結体中に存在するが、R酸化物相(R(Tb,Dy)23)を観察することができない。図6及び図7より、酸化物を添加することにより、Rリッチ相を低減できることがわかる。
本実施の形態における超磁歪材料の製造工程を示すフローチャートである。 酸化物の添加量とヤング率(E)の関係を示すグラフである。 酸化物の添加量と相対密度の関係を示すグラフである。 酸化物の添加量と磁歪値λ0.4の関係を示すグラフである。 酸化物の添加量と磁歪値λ1.0の関係を示すグラフである。 Mn34を1wt%添加した焼結体のSEMによるミクロ組織写真である。 酸化物を添加しない焼結体のSEMによるミクロ組織写真である。

Claims (7)

  1. RT2ラーベス型金属間化合物(ただし、Rは希土類金属元素の中から選択される1種又は2種以上の元素、TはFe、Ni、Coの群から選択される1種又は2種以上の元素)からなる主相と、
    前記Rを含むR酸化物相と、
    前記R及び前記Tを含む化合物からなるRリッチ相と、を備えた焼結体からなり、
    前記R酸化物相の面積率が2.5〜10%、
    前記Rリッチ相の面積率が7%以下であることを特徴とする超磁歪材料。
  2. 前記焼結体は、RTw(ただし、wは1.7≦w≦1.95)で表される組成を有することを特徴とする請求項1に記載の超磁歪材料。
  3. 前記焼結体は、(TbvDy1-v)Few(ただし、v、wは、0.27≦v<0.5、1.7≦w≦1.95)で表される組成を有することを特徴とする請求項1に記載の超磁歪材料。
  4. RT2ラーベス型金属間化合物(ただし、Rは希土類金属元素の中から選択される1種又は2種以上の元素、TはFe、Ni、Coの群から選択される1種又は2種以上の元素)を主相とする超磁歪材料の製造方法であって、
    前記RT2ラーベス型金属間化合物を含む原料粉末及び酸化物粉末を含む成形体を得る工程と、
    前記成形体を焼結する工程と、
    を備えることを特徴とする超磁歪材料の製造方法。
  5. 前記酸化物は、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル及び酸化マンガンの群から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする請求項4に記載の超磁歪材料の製造方法。
  6. 前記原料粉末の平均粒径が5〜20μm、前記酸化物粉末の平均粒径が1μm以下であることを特徴とする請求項4又は5に記載の超磁歪材料の製造方法。
  7. 前記酸化物粉末は、0.5wt%以下(0を含まず)添加されることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の超磁歪材料の製造方法。
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