JP4069403B2 - 波形測定器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、波形測定器に関するものであり、詳しくは、シリアルバスを流れるデータの波形解析表示に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
シリアルバスインターフェースは、パラレルバスインターフェースに比べて信号線を少なくできることから、基板に実装されるデジタルIC間を接続するバスインターフェースとして用いられることが多い。
【0003】
このようなシリアルバスインターフェースの一つに、モトローラ社が提唱したSPI(Serial Peripheral Interface)バスがある。このSPIバスは、クロックSCK(Serial Clock)とデータ出力SDO(Serial Data Output)とデータ入力SDI(Serial Data Input)の3本の信号線を備えるとともに、他に、スレーブの出力を制御するスレーブ識別信号として機能するチップセレクト信号CS(Chip Select)の信号線も備えている。
【0004】
図2は、SPIバスによるマスタMとスレーブS1〜S3の接続例図である。SPIバスは、チップセレクト信号CSを制御することにより、マスタMと複数のスレーブS1〜S3との間でのデータの授受を制御する。
【0005】
スレーブS1〜S3のデータ出力SDOピンは、チップセレクト信号CSがHレベルのときハイインピーダンスになり、チップセレクト信号CSがLレベルのときデータを出力する。そこで、マスタMは、通信を行いたいスレーブS1〜S3のチップセレクト信号CSを選択的にLレベルにして、選択したスレーブとの間でデータ通信を行う。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなSPIバスを用いた装置の開発や保守にあたっては、従来から例えばオシロスコープを用いて各信号線の波形を観測することは行われているものの、マスタと複数のスレーブとの間で選択的に行われるデータの授受までも観測することは考慮されていなかった。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するものであり、その目的は、シリアルバスを流れるデータの波形パターン解析が、マスタと複数のスレーブとの間で選択的に行われるデータの授受も含めて効率よく行える波形測定器を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成する請求項1の発明は、
マスタと複数のスレーブとを接続するシリアルバスに流れるデータを解析表示する波形測定器であって、
解析対象データ全体を表示するメイン画面部と、
このメイン画面上の解析対象データからズーム表示したい任意のフレームおよびズーム拡大率を指定するズーム指定手段と、
このズーム指定手段で指定されたフレームを設定されたズーム拡大率で拡大表示するズーム表示部と、
前記ズーム指定手段が指定するズーム表示したいフレームを含む複数フレームのフレーム番号とデータおよびマスタから各スレーブ毎に送信される各スレーブに固有のスレーブ識別信号を含む解析結果をズーム指定手段の位置変化に連動してスクロールしながら一覧表示する解析結果一覧表示部とを備え、
この解析結果一覧表示部に一覧表示される解析結果のうちズーム指定手段が指定するズーム表示したいフレームを他のフレームと識別可能に表示することを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1記載の波形測定器において、シリアルバスはSPIバスであることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2記載の波形測定器において、ズーム表示部に拡大表示するフレームを解析結果一覧表示部から指定することを特徴とする。
【0011】
これらにより、シリアルバスを流れるデータの解析、特にSPIバスを流れるデータの解析を効率よく行える。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明を詳しく説明する。
図1は図2のSPIバスを観測対象とした本発明の実施の形態の一例を示す表示例図である。図1において、表示画面は、メイン画面部10とズーム画面部20と解析結果一覧表示部30よりなる3つの表示部と、操作指示部40とで構成されている。
【0013】
メイン画面部10には、クロックSCKの波形CKと、スレーブS1〜S3からマスタMに入力されるデータ入力SDIの波形Dt 1と、3つのスレーブS1〜S3にそれぞれ割り当てられているスレーブ識別信号としてのチップセレクト信号CSの波形CSよりなる3つの解析対象データの全体波形が表示されている。
【0014】
またメイン画面10上には、これら解析対象データからズーム表示したい任意のフレームおよびズーム拡大率を指定するズーム指定手段として機能するズームボックス11も表示されている。
【0015】
ズーム画面部20は、ズームボックス11で指定された解析対象データのフレームについて、クロックSCKの波形CKと、スレーブS1〜S3からマスタMに入力されるデータ入力SDIの波形Dt 1と、3つのスレーブS1〜S3にそれぞれ割り当てられているチップセレクト信号CSの波形CSを、ズームボックス11の幅で設定されるズーム拡大率に従って拡大表示している。
【0016】
解析結果一覧表示部30は、ズームボックス11が指定するフレームを含む複数フレームに対して波形測定器内部で並び順に割り付けたフレーム番号「No.」と、各スレーブS1〜S3からマスタMに入力されるデータDt1およびマスタMから各スレーブS1〜S3に出力されるDt2(データDt2は図示せず)の16進数値と、マスタMから各スレーブS1〜S3毎に送信される各スレーブS1〜S3に固有のチップセレクト信号CSのビット番号B0〜B2(B0=Bit0,B1=Bit1,B2=Bit2)を含む解析結果を、ズームボックス11の位置変化に連動してスクロールしながら一覧表示する。
【0017】
図1の例では、11個のフレームを表示していて、各フレームにおける解析結果をデジタルデータとして読み取ることができる。
【0018】
解析結果一覧表示部30に設けられているフレームボックス31は、解析結果一覧表示部30に表示される解析結果のうちズームボックス11が指定するズーム表示したいフレームに対応していて、他のフレームと識別可能に表示している。
【0019】
図1の操作指示部40には、5つのボタン41〜45が設けられている。
【0020】
ボタン41により、所望の解析条件を設定するための図示しないダイアログボックスを呼び出す。
【0021】
ボタン42は、設定された解析条件による解析実行を指示する。
【0022】
ボタン43により、図示しないパターンサーチによるデータ検索画面に切り換える。
【0023】
ボタン44はズームボックス11を制御するためのものであり、メイン画面10上におけるズームボックス11の位置とズームボックス11の幅を任意に調整設定できる。
【0024】
ボタン45により、解析結果一覧表示部30に設けられているフレームボックス31の位置を移動させる。なお、このボタン45による解析結果一覧表示部30上におけるフレームボックス31の位置の移動に連動して、メイン画面10上におけるズームボックス11の位置も変化する。
【0025】
すなわち、オペレータは、ズーム表示する対象フレームを、メイン画面10上のズームボックス11の位置を変えることで指定できるし、解析結果一覧表示部30上におけるフレームボックス31の位置を変えることでも指定できる。
【0026】
図2の接続において、複数のスレーブS1〜S3からマスタMに対して同時にデータを送ることはない。従って、マスタMがデータを受信しているとき、どのスレーブS1〜S3から送信されたものなのかは、チップセレクト信号CSのレベル変化で知ることができる。すなわち、チップセレクト信号CSはデータを送信していない通常状態ではHレベルであるが、データ送信中はLレベルになる。
【0027】
マスタMがデータを受信しているとき、オシロスコープで各スレーブS1〜S3のチップセレクト信号CSのレベルを調べることにより、どのスレーブからの送信データなのかを識別できる。
【0028】
例えば、図1においては、Bit0〜Bit2のそれぞれに図2のスレーブS1〜S3のチップセレクト信号CSが入力されている。マスタMがデータを受信しているとき、スレーブS1〜S3のどれか一つのチップセレクト信号CSがLレベルになるはずであり、このとき図1においてもBit0〜Bit2のどれか一つがLレベルになるはずである。もしBit0の信号レベルがLであれば、スレーブS1がデータを送信していることになる。
【0029】
図1では、前述のように、解析結果一覧表示部30にこれらBit0〜Bit2を表示することにより、3つのスレーブS1〜S3のうちのどのスレーブSからデータが送信されているかが解るようにしている。
【0030】
なお、図1において、メイン画面10およびズーム画面部20におけるチップセレクト信号CSの波形を非表示にし、それらの領域をクロックSCKおよびマスタMのデータ入力SDIの波形に割り当ててこれらを大きく高精度に表示するようにしてもよい。この場合、チップセレクト信号CSの情報は、解析結果一覧表示部30のCSの解析結果を見れば分かる。
【0031】
オペレータは、このような表示画面における各スレーブS1〜S3に固有のチップセレクト信号CSに基づいて、マスタMとの間でデータ伝送を行っているスレーブを的確に識別できる。
【0032】
なお、実施例では、解析結果一覧表示部30に表示される解析結果のうちズームボックス11が指定するズーム表示したいフレームに対応するフレームを、フレームボックス31を設けることにより他のフレームと識別可能に表示しているが、該当フレームの表示色や表示輝度を異ならせてもよい。
【0033】
また、スレーブ識別信号がチップセレクト信号の例を説明したが、実質的に複数のスレーブが個別に識別できる信号であればよい。
【0034】
また、上記実施例ではSPIバスの例について説明したが、SPIバスに限るものではなく、マスタと複数のスレーブ間をシリアルバスで接続し、各スレーブを各スレーブに固有のセレクト信号で識別するように構成されたものであれば同様の効果が得られる。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、シリアルバスを流れるデータの波形パターン解析が、マスタと複数のスレーブとの間で選択的に行われるデータの授受も含めて効率よく行える波形測定器が実現でき、シリアルバスを含む各種の開発や保守などに好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく解析結果の表示画面例図である。
【図2】シリアルバスによるマスタと複数のスレーブの接続説明図である。
【符号の説明】
10 メイン画面部
20 ズーム画面部
30 解析結果一覧表示部
40 操作指示部

Claims (3)

  1. マスタと複数のスレーブとを接続するシリアルバスに流れるデータを解析表示する波形測定器であって、
    解析対象データ全体を表示するメイン画面部と、
    このメイン画面上の解析対象データからズーム表示したい任意のフレームおよびズーム拡大率を指定するズーム指定手段と、
    このズーム指定手段で指定されたフレームを設定されたズーム拡大率で拡大表示するズーム表示部と、
    前記ズーム指定手段が指定するズーム表示したいフレームを含む複数フレームのフレーム番号とデータおよびマスタから各スレーブ毎に送信される各スレーブに固有のスレーブ識別信号を含む解析結果をズーム指定手段の位置変化に連動してスクロールしながら一覧表示する解析結果一覧表示部とを備え、
    この解析結果一覧表示部に一覧表示される解析結果のうちズーム指定手段が指定するズーム表示したいフレームを他のフレームと識別可能に表示することを特徴とする波形測定器。
  2. シリアルバスはSPIバスであることを特徴とする請求項1記載の波形測定器。
  3. ズーム表示部に拡大表示するフレームを解析結果一覧表示部から指定することを特徴とする請求項1または請求項2記載の波形測定器。
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