JP4068678B2 - 改良された応力亀裂抵抗を示すモノビニル芳香族ポリマー - Google Patents
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Description
【発明の分野】
本発明は、モノビニル芳香族化合物のポリマー類をゴムで改質してそれが示す衝撃強度を向上させたポリマー類を利用した熱可塑性組成物に関し、この組成物は、環境応力亀裂抵抗(environmental stress crack resistance)(ESCR)を向上させることが要求される製造品で用いるに特に有用である。より詳細には、本発明は、一般に環境応力亀裂を受ける食品用容器で用いるに特に有利な高衝撃ポリスチレン(high impact polystyrene)(HIPS)材料を開示する。
【0002】
【発明の背景】
モノビニル芳香族化合物、例えばスチレン、アルファメチルスチレンおよび環置換スチレン類などのポリマー類をゴムで補強したポリマー類が多様な用途で用いるに望ましいことはよく知られている。より詳細には、架橋ゴム、例えばポリブタジエンなどで出来ている離散粒子が中に入っているゴム補強スチレンポリマー類(このスチレンポリマーマトリックス全体に渡ってゴムの離散粒子が分散している)は、冷蔵庫の内張り、包装用途、家具、家庭用品および玩具などを含む多様な用途で用いられ得る。このようなゴム補強ポリマー類に通常の用語は「高衝撃ポリスチレン」または「HIPS」である。このHIPSが示す物性および機械的特性は数多くの要因に依存し、その要因には架橋ゴム粒子の粒子サイズが含まれる。HIPS材料で最も望まれる特性の1つは、上記材料が環境応力亀裂に抵抗する能力である。食品用容器などの如き製品で有用であるには、そのような能力に加えて高い衝撃強度を示す必要がある。加うるに、そのような製品で保持させるべき他の特性には、曲げ強度および引張り強度が含まれる。
【0003】
熱可塑性ポリマー類を食品用容器で用いる場合、応力亀裂抵抗特性、即ち環境応力亀裂抵抗(ESCR)が特に重要である。そのようなポリマー容器の食品内容物は、通常、その容器を構成している種類のポリマー材料を劣化させないかもしれないが、押出し加工シート材料を用いて熱可塑性ポリマーの熱成形を行う場合、その成形品に残存応力が閉じ込められる。その応力が解放され、該ポリマーが通常では全体として抵抗を示す物質によってポリマーが攻撃を受ける。スチレンポリマー類をゴムで改質して衝撃強度を高めたポリマー類から作られた上記製品は、有機食品で見られる通常の薬剤、例えば油脂などにこれらが接触した時、応力亀裂を起こす傾向がある。このような製品はまた有機発泡剤、例えばフッ素と塩素を含有するハロヒドロカーボン類などに接触した時も同様に応力亀裂を受ける。このようなポリマー類は一般に家庭用品、例えば冷蔵庫の内張りなどで見られ、その冷蔵庫の空洞部がポリウレタンフォームで満たされていると、このフォーム中に発泡剤が用いられている結果として亀裂が生じ得る。
【0004】
過去において、環境応力亀裂の防止は、通常、発泡剤もしくは脂肪食品材料とポリスチレン層の中間に保護ポリマー層を位置させた多層ポリマー構造物を用いることを伴う複雑な手順で行われて来た。そのような薬剤からポリスチレンを離す目的で用いられる上記層の材料の1つはABSまたはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンとして知られるターポリマー材料である。高衝撃モノビニル芳香族ポリマー類の応力亀裂抵抗を改良する別の試みは、このポリマーに混合するゴムの量を多くすると言った試みであった。不幸なことには、ゴム含有量を高くすればするほど引張り強度と曲げ強度が低下する。他の解決法は、工程条件を厳格に管理してポリスチレンマトリックス内に存在する架橋ゴム粒子が示す粒子サイズの管理を厳格に維持することを伴っていた。このような技術を開示している1つの特許は、本発明の譲受人に授与された特許で発行日が1988年10月11日の米国特許第4,777,210号であり、そこでは、信頼できる様式で再現可能なように粒子サイズを変化させる方法を与える高衝撃ポリスチレン製造連続フロー方法が開示されている。その特許方法では、スチレンとポリスチレンとゴム(例えばポリブタジエン)とパーオキサイド触媒の溶液を高い環境応力亀裂抵抗を示す高衝撃ポリスチレン材料に変化させる目的でプレインバージョン(pre−inversion)反応槽が用いられた。
【0005】
応力亀裂抵抗を改良する別の試みは、日付が1979年3月13日でMittnacht他の米国特許第4,144,204号に開示されている試みであり、そこでは、ESCRを向上させる目的でモノビニル芳香族ポリマーコンパンドの改質がゴムを用いて行われており、そしてそこでは、その耐衝撃性ポリマー中のソフト成分(ゲル相)含有量がその耐衝撃性ポリマーの重量を基準にして少なくとも28重量%、好適には38重量%以上になるように、重合前のモノマーに溶解させるゴムの量が選択された。そのソフト成分含有量の上限は約50から60重量%であり、30から40重量%の好適な範囲が有利であることを確認している。
【0006】
HIPSが示すESCRを向上させる目的で通常用いられる3番目の方法は、英国特許第1,362,399号に開示されている方法であり、そこでは、不飽和炭素鎖が有する液状の炭化水素テロマーをHIPS材料に100部当たり0.2から5部の範囲の量で添加している。テロマー類は、「Websters unabridged dictionary」において、1つの分子(例えばアルコール、アセタールまたはクロロホルム)のフラグメントを重合オレフィン鎖末端に付加させることを伴う化学反応の生成物であるとして定義されている。上記英国特許で使用された具体的なテロマー類は、塩化ベンジル由来のベンジル基で終結させた数平均分子量が1000から6000の範囲のブタジエンテロマー類であった。ESCR−HIPSの製造で低分子量のポリブタジエン類を利用する試行実験は架橋が生じることで不成功に終わり、このことは、上記特許方法で利用されたブタジエンは重合反応中に添加されたブタジエンではなくポリスチレンと一緒に混合されたか或はブレンドされたブタジエンであることを示している。
【0007】
HIPS材料の応力亀裂抵抗を改良する別の試みを英国特許出願公開第2,153,370A号に見ることができ、そこでは、指定分子質量が少なくとも300,000で粘度が140センチポイズに等しいかそれ以上である高分子量のゴム材料を利用してHIPS材料を製造しており、その結果として生じたHIPSはゴムを7から10重量%の範囲で含有し、そしてその重合はアルファメチルスチレン二量体の存在下か或はn−ドデシルメルカプタン、第三ドデシルメルカプタン、ジフェニル1,3ブタジエンから選択される化合物またはそれらの他の種々の化合物もしくは混合物の存在下で実施された。その方法はまたシクロヘキサンとエチルベンゼン(これらの量は全材料の少なくとも7重量%に等しい)の存在下でも実施された。加うるにまた添加剤も用いる必要があり、それにはポリエチレンワックスからステアレート類のモノトリグリセライド類が含まれる。
【0008】
他方、ESCR改良以外の理由でも添加剤が用いられる。Dempsey他の特許第3,506,740号には、衝撃ポリスチレン組成物の内部滑剤として低分子量のポリオレフィン類を用いることが教示されている。挙げられている例には分子量(蒸気圧浸透圧法で測定)が800から1600の範囲のポリプロピレン類およびポリブチレン類が含まれる。
【0009】
【発明の要約】
本発明では、ポリブタジエンまたはスチレン−ブタジエンゴムを含有させたポリスチレン材料およびまた潤滑添加剤の相乗的組み合わせを含有させたポリスチレン材料を提供することにより、公知高衝撃ポリスチレン材料が示す欠点を克服する。本発明で開示する高衝撃ポリスチレンは、環境応力亀裂に対して高い抵抗を示し、かつ高い衝撃強度、良好な引張り強度および良好な曲げ強度を示す。
【0010】
【好適な態様の説明】
本発明では、モノビニル芳香族化合物のポリマーをゴムで改質してそれが示す衝撃強度および環境応力亀裂抵抗を向上させたポリマーを含有する熱可塑性組成物を開示し、ここでは、このモノビニル芳香族材料の重合をゴムの存在下で行うことで本組成物を得る。この組成物において、このポリマー中のソフト成分(衝撃強度を向上させる目的で改質を受けさせた)部分がこのポリマーを基準にして28重量%以下であり、ここでは、このソフト成分を、このポリマーの衝撃強度を向上させる目的で改質を受けさせたトルエン不溶ポリマー成分(存在している可能性がある如何なる顔料も差し引いた)であるとして定義する。本発明で用いる特別なゴムは、いくつかの種類の1つ、例えばFirestoneがDiene 55の商標で販売している種類のゴムであってもよく、このゴムが示すムーニー粘度は約55であり、数分子量は約150,000であり重量平均分子量は約300,000であり、そしてゲル浸透技術で測定した時のZ分子量は約500,000である。別の種類の有利なゴム材料には高シスゴムが含まれる。
【0011】
このような高衝撃ポリマー類の製造は、本明細書の上で述べた成分を用いることを条件として如何なる通常方法に従ってもよい。通常の製造方法には塊状重合および溶液重合、例えば米国特許第2,694,692号に開示されている如き重合、或は塊状懸濁重合、例えば米国特許第2,862,906号に開示されている如き重合などが含まれる。また、本明細書の上に述べた成分を使用することができることを条件として、他の製造方法も使用可能である。
【0012】
本発明を利用するに適切なモノビニル芳香族化合物には、スチレンに加えて核もしくは側鎖がアルキル置換されているスチレン類、例えばアルファメチルスチレンおよびビニルトルエンなどが含まれる。このモノビニル芳香族化合物は単独または混合物として使用可能である。好適な1つの態様ではスチレンが好適なモノビニル芳香族化合物である。このモノビニル芳香族化合物をゴムの存在下で重合させることにより、本発明に従って製造する高衝撃ポリスチレンを生じさせる。ゴムの使用レベルはその溶液の好適には約5−15重量%の範囲である。塊状重合、溶液重合または水分散重合を用いた通常様式で重合を実施するが、ここでは、最初に重合性モノマーにゴムを溶解させた後、その溶液に重合を受けさせる。望ましい重合速度を得る目的で適切な重合開始剤、例えばパーオキサイド類またはアゾ型化合物を用いてもよい。溶液重合を利用する場合の出発溶液は、使用するモノビニル芳香族化合物を基準にして約10重量パーセント(10%)以下の量で不活性希釈剤を混合した溶液であってもよい。好適な不活性希釈剤には芳香族炭化水素もしくは芳香族炭化水素混合物、例えばトルエン、エチルベンゼン、キシレン類または上記化合物の混合物などが含まれる。また、ポリマーの分子量およびゴムの粒子サイズを調節する目的で適切な連鎖移動剤、例えばメルカプタン類またはアルファメチルスチレン二量体などを添加してもよい。
【0013】
本発明はまたプレインバージョン反応槽を利用してポリスチレンを製造する連続フロー方法でも利用可能であり、この場合、スチレンとゴムが入っている溶液をインバージョン(inversion)以下の地点にまで重合させた後、2番目の撹拌タンク反応槽に入れる。プレインバージョンにおける溶液粘度および第二撹拌タンク反応槽内の溶液粘度を精密に調節して所望のHIPSを生じさせる。好適な態様を製造する特別な方法を日付が1988年10月11日でSosa他の米国特許第4,777,210号(これの開示は引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)に見付け出すことができる。
【0014】
このESCRを向上させる添加剤は、初期モノマー/ゴム供給材料流れに添加可能であるか、或は最終重合反応槽に至る重合過程(最終重合反応槽も含む)の如何なる地点でも添加可能である。ESCR特性が予想外に高くなることを確認した相乗的添加剤組み合わせは、ポリイソブチレン(PIB)、より具体的には99℃で示す粘度が196−233cstの範囲であるPIBと鉱油から成る組み合わせを含む。上記添加剤をいろいろな比率で用いるが、好適な比率はほぼ等しい比率で約0.5から約3.0重量%の量であり、好適な最終比率は最終生成物中約2.0重量%の鉱油と2.0重量%のPIBである。
【0015】
本発明の第一態様では、ムーニー粘度が約55であることに相当する分子量を有する通常のゴムとスチレンモノマーの混合物をこの上で述べた特許方法で重合させて高衝撃ポリスチレン材料を生じさせた。このHIPS材料の後期重合段階中の中間段階の反応槽1基に鉱油が1.25重量%でPIBが1.25重量%である潤滑添加剤組み合わせを添加した。このPIBが99℃で示す粘度は約196−233cstであり、そして上記鉱油が38℃で示す粘度は約78.7cstであった。この選択した鉱油はPennzoil Products Company(Penreco Div.)が市販していて「Penreco Supreme Mineral Oil」として識別される製品であった。使用した特別なPIBは、Amoco Corporationが商標H100として市販している製品であり、これを99℃で測定した時の粘度は196−233cstの範囲でありそしてゲル浸透クロマトグラフィー(「gpc」)で測定した時のMnは965であった。次に、最終生成物を環境応力亀裂抵抗および引張り強度に関して試験し、その結果を以下の表Iにサンプル「F」として示し、これを、いろいろなレベルで鉱油もしくはPIB滑剤を含有させたHIPS材料と比較する。
【0016】
通常の鉱油改質高衝撃ポリスチレンおよびPIB改質高衝撃ポリスチレンは両方とも鉱油とPIB滑剤を等しい比率でブレンドしたものを用いて製造した材料に比較してずっと低いESCRを示すことが表Iから分かるであろう。
【0017】
例えば、サンプル「A」は通常のHIPS材料、即ち滑剤を添加しなかった純粋なHIPS材料の例(対照)である。この材料が示すESCR値は41.1である。サンプル「B」は、鉱油を滑剤として1.5%のみ用いて製造したHIPS材料である。このサンプルで得られたESCR値は有意に高く52.2であった。サンプル「C」の場合のように鉱油含有量を2.5重量%にまで高めると、このHIPS材料が示すESCR値は61.7にまで上昇した。
【0018】
サンプル「D」および「E」では、この上に示したサンプルの鉱油の代わりにPIB滑剤を用いた。この最初のサンプルにはPIBを1.5重量%のレベルで含有させる結果として85のESCR値を得た。2番目のPIBサンプルではPIBを2.5%のレベルで用いた結果、ESCRが90.6にまで改良された。
【0019】
しかしながら、サンプル「F」では中間的な量であるが相対的に等しい量でPIBと鉱油を含有させた結果、これが示すESCR値は全部の中で最も高く、96.3であった。最後の実施例「G」は、PIBと鉱油添加剤のブレンド物を用いたが鉱油の量を実施例「F」の量の2倍にしそしてPIBの量をそのままにしたHIPS材料であった。その結果として得られたESCRはずっと低く83であった。従って、中間的な量でも鉱油とPIB添加剤の両方を相対的に等しい量で用いるとHIPS材料のESCR値が予想外に高くなることが分かるであろう。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】
本発明の別の態様において、添加するPIBの分子量が特定範囲内に入るように調節する限りPIBのみをHIPS材料に添加することでもESCR値をある地点まで改良することができることを見い出した。PIBのみを添加したHIPS材料が示すESCR値はMO/PIBを添加したHIPS材料が示すESCR値ほどは良好でないが、その値は鉱油もPIBも添加しなかったHIPSが示すESCR値よりも良好である。低応力のHIPS用途では、そのようにPIBのみを添加したHIPS材料でも満足されるほど良好なESCR値を与え、通常のHIPS材料に対する改良になる。
【0023】
例えば表II中のサンプル「E」−「K」は、いろいろな分子量のPIBをいろいろなPIBレベルで含有するHIPS材料の例である。より具体的には、サンプル「E」−「H」は、全部にPIBを同じ重量パーセントで含有させたがこのPIBの分子量(粘度で測定して)を高めたHIPSサンプルの例である。サンプル「E」では、粘度が27−33cstであることで示されるように低い分子量のPIBを用い、その結果としてHIPS材料が示すESCR値は56であった。サンプル「F」では、粘度が48−56cstであることに伴って分子量が低/中程度であるPIBを用いることにより、69のESCR値を得た。
【0024】
サンプル「G」では分子量が中程度のPIB(粘度=196−233cst)を用い、その結果としてESCRが86のHIPS材料を得た。サンプル「H」では高い分子量を有するPIB(粘度=4069−4350cst)を用い、その結果としてESCRが低下して75になった。
【0025】
このように、ESCRを改良するに最適なPIBの粘度レベル(分子量)は約196から4069の範囲であると見られる。
【0026】
より高いレベルでPIBをHIPS材料に添加しそしてそのPIBの粘度をサンプルからサンプルで変化させたサンプル「I」−「K」でも同様な結果が見られる。粘度が中程度のPIB(196−233cst@99℃)を用いたサンプル「K」で得たESCR値が最も高く、91である。
【0027】
HIPS配合でいろいろな添加剤を試した表IIのサンプル「L」−「N」にもまた本発明の更に別の態様を見ることができる。サンプル「L」では比較的高いレベルで鉱油(MO)を用いると共にステアリン酸亜鉛を用い、その結果として得られたESCR値は84であり、卓越した値ではないが、限界ぎりぎりで容認される値である。
【0028】
サンプル「M」では、鉱油とn−ドデシルメルカプタン(NDM)[これは連鎖移動剤(CTA)として働く]の組み合わせを用いた。HIPS材料が示すESCR値は40で、満足されるものでなく、これは主にCTAを存在させた結果である。他方、サンプル「N」では、中程度の粘度を示すPIBとNDMを配合に含めた結果、卓越したESCR値である95を示すHIPS材料が得られた[供給材料溶液の500ppm(parts per million)の量でNDMを添加した]。この上に示したメルカプタンと同様にt−ドデシルメルカプタンおよびアルファメチルスチレン二量体などの如き連鎖移動剤は通常ESCRを改良しないでサンプル「M」で示すようにESCR値を悪化させる傾向があるが、これを用いると製造業者はHIPS材料の重要な特定性質、例えばポリスチレンの分子量、ゴムの粒子サイズおよびメルトフローインデックス(即ち加工が容易であると言った特性)などを調節することが可能になる。従って、CTAと協力させてPIB添加剤を用いることは可能な種類の系であり、HIPSの製造業者は、PIBを用いることにより、ESCR値を高く保持しながらCTAを用いることに関して上で述べた特徴を制御することが可能になる。
【0029】
HIPS材料の「ゲル」レベルまたは「ゲル」含有量を言及する場合、この用語でモノビニル芳香族化合物の重合連続相に含まれる分散相を表すことを意図する。この分散相、即ちゲルは、重合したモノビニル芳香族化合物とポリブタジエンゴムのグラフトコポリマーで出来ている粒子に加えて、ゴム粒子内に局在していて重合したモノビニル芳香族化合物が物理的に封じ込められている粒子から本質的に成る。ゲルレベルは、ゴム改質高衝撃コンパンドのトルエン不溶成分として測定可能である。ゲルレベルを重量パーセントで示す。
【0030】
モノビニル芳香族モノマーもしくは化合物を言及する場合、これにスチレン類、アルファメチルスチレンおよび環置換スチレン類を包含させることを意図する。ゴムを言及する場合、この言葉は天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、およびブタジエンおよび/またはイソプレンとスチレンのコポリマー類を指すことを意図する。
【0031】
この上で組み入れた米国特許第4,777,210号のコラム10および11に示されている手順に従ってESCR値を測定する。
【0032】
Rubber Division of the American Chemical Societyが後援者になってニューヨークのVan Nostrand Reinhold Companyが出版している出版物であるRUBBER TECHNOLOGY、第3版の109から110頁に示されている手順を用いてムーニー粘度を測定する。
【0033】
本発明の特徴および態様は以下のとうりである。
【0034】
1. 改良された環境応力亀裂抵抗を示す耐衝撃性ゴム改質モノビニル芳香族ポリマーを含有する高衝撃モノビニル芳香族ポリマーコンパンドであって、99℃で測定された粘度が約48から約4380cstである低/中ないし高い分子量を有するポリイソブチレンから本質的に成る添加剤とゴムの存在下でモノビニル芳香族化合物を重合させることで生じさせたポリマーコンパンド。
【0035】
2. 上記ポリイソブチレンが99℃で測定して196−233cstの範囲の粘度を示しそしてこれを該ポリマーコンパンドの約1重量パーセントから4重量パーセントの量で重合反応に添加した第1項のポリマーコンパンド。
【0036】
3. 上記ポリイソブチレンを重合混合物の2.5重量パーセントのレベルで重合反応に添加した第2項のポリマーコンパンド。
【0037】
4. 上記モノビニル芳香族ポリマーが、約170,000から285,000の重量平均分子量と約70,000から120,000の数平均分子量を示すポリスチレンを含む第3項のポリマーコンパンド。
【0038】
5. 改良された環境応力亀裂抵抗を示す高衝撃のモノビニル芳香族重合コンパンドを製造する方法であって、
ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレンを用いたブタジエンおよびイソプレンのコポリマー類および天然ゴムから成る群から選択されるゴムとスチレン、アルファメチルスチレンおよび環置換スチレン類から成る群から選択されるモノビニル芳香族モノマーの混合物を重合させ、そして
上記モノマーとゴムの混合物が完全に重合する前に、この混合物に、99℃で約48cstから約4380cstの粘度を示すポリイソブチレンから本質的に成る添加剤を添加する、
ことを含む方法。
【0039】
6. 上記ポリイソブチレンが99℃で196−233cstの範囲の粘度を示す第5項の方法。
【0040】
7. 上記ポリイソブチレンを重合混合物の約1重量パーセントから4重量パーセントに相当する量で添加する第6項の方法。
【0041】
8. 添加するポリイソブチレンの重量が上記混合物の約1.5重量パーセントから2.5重量パーセントである第7項の方法。
【0042】
9. 改良された環境応力亀裂抵抗を示す耐衝撃性ゴム改質ポリマーから本質的に成る高衝撃モノビニル芳香族ポリマー組成物であって、上記ポリマーが、鉱油とポリイソブチレンから成る2つの添加剤をほぼ等しい比率で含む混合物とゴムの存在下でモノビニル芳香族化合物を重合させることで生じさせたものである組成物。
【0043】
10. 上記鉱油と上記ポリイソブチレンの各々を最終生成物の約0.5から3.0重量パーセントの量で存在させた第9項の組成物。
【0044】
11. 上記ゴムが本質的にポリブタジエンから成る第9項の組成物。
【0045】
12. 上記第一および第二添加剤の各々を約2.0重量パーセントの量で存在させた第10項の組成物。
【0046】
13. 上記モノビニル芳香族化合物がスチレンでありそして上記化合物が最終的に重合する前にこの化合物に上記添加剤を添加した第12項の組成物。
【0047】
14. 上記モノビニル芳香族化合物がスチレン、アルファメチルスチレンおよび環置換スチレン類から成る群から選択される化合物である第9項の組成物。
【0048】
15. 改良された環境応力亀裂抵抗を示す高衝撃のモノビニル芳香族重合コンパンドを製造する方法であって、
ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレンを用いたブタジエンおよびイソプレンのコポリマー類および天然ゴムから成る群から選択されるゴムとスチレン、アルファメチルスチレンおよび環置換スチレン類から成る群から選択されるモノビニル芳香族モノマーの混合物を重合させ、そして
上記重合段階中、上記モノマーとゴムの混合物に鉱油とポリイソブチレンから成る2つの添加剤をほぼ等しい率で添加する、
ことを含む方法。
【0049】
16. 上記モノビニル芳香族モノマーがスチレンでありそして上記ゴムをポリブタジエン類、スチレン−ブタジエンコポリマー類およびスチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー類から成る群から選択する第15項の方法。
【0050】
17. 上記添加剤各々の率が最初に全混合物の約0.5から3重量パーセントを構成する第15項の方法。
【0051】
18. 改良された環境応力亀裂抵抗を示す耐衝撃性ゴム改質モノビニル芳香族ポリマーを含有する高衝撃モノビニル芳香族ポリマーコンパンドであって、ポリイソブチレンを含む添加剤とゴムと連鎖移動剤の存在下でモノビニル芳香族モノマーを重合させることで生じさせたポリマーコンパンド。
【0052】
19. 上記ポリイソブチレンが99℃で測定して約196−233cstの範囲の粘度を示しそしてこれを該ポリマーコンパンドの約1重量パーセントから約3重量パーセントの量で重合反応に添加した第18項のポリマーコンパンド。
【0053】
20. 上記連鎖移動剤がメルカプタンを含みそしてこれを上記モノマーに約500ppmの量で添加した第18項のポリマーコンパンド。
【0054】
21. 上記連鎖移動剤がドデシルメルカプタンを含みそしてこれを該重合モノマーとゴムと添加剤を一緒にした重量を基準にして約500ppm以下の量で上記コンパンドに添加した第20項のポリマーコンパンド。
【0055】
22. 上記連鎖移動剤がn−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンおよびアルファメチルスチレン二量体から成る群から選択される連鎖移動剤である第20項のポリマーコンパンド。
【0056】
23. 長期に渡って環境応力亀裂抵抗を示す高衝撃のモノビニル芳香族ポリマーをゴムの粒子サイズおよび上記ポリマーのメルトフローインデックスを調節しながら製造する方法であって、
ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレンを用いたブタジエンおよびイソプレンのコポリマー類および天然ゴムから成る群から選択されるゴムとスチレン、アルファメチルスチレンおよび環置換スチレン類から成る群から選択されるモノビニル芳香族モノマーの混合物を重合させ、そして
上記モノマーとゴムの混合物が完全に重合する前に、この混合物に、99℃で約196−233cstの範囲の粘度を示すポリイソブチレンを含む添加剤と連鎖移動剤を添加する、
ことを含む方法。
【0057】
24. 上記連鎖移動剤をメルカプタン類およびアルファメチルスチレン二量体から成る群から選択しそしてこれを該モノマーとゴムと添加剤の全重量の約500ppm以下の量で添加する第23項の方法。
【0058】
25. 上記連鎖移動剤がドデシルメルカプタン類を含みそしてこれを該モノマーとゴムと添加剤の全重量の約500ppm以下の量で添加する第23項の方法。
【0059】
26. 上記ポリイソブチレンを該モノマーとゴムの混合物の約1から3重量パーセントの量で添加しそして上記連鎖移動剤がメルカプタンである第24項の方法。
【0060】
27. 上記ポリイソブチレンを該モノマーとゴムの混合物の約2.5重量パーセントの量で添加しそして上記連鎖移動剤がドデシルメルカプタンである第26項の方法。
Claims (19)
- 天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレンおよびブタジエンまたはイソプレンとスチレンとのコポリマーより成る群から選択されるゴムの存在下でモノビニル芳香族モノマーを重合させることにより形成されるゴム改質ポリマー;および
99℃で測定して196−233cstの範囲の粘度を示すポリイソブチレンから成る還境応力亀裂抵抗性向上添加剤、このものは組成物の1から4重量パーセントの量でポリマー組成物に添加されている、
から成り、還境応力亀裂抵抗値が83〜96.3であることを特徴とする組成物。 - 天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレンおよびブタジエンまたはイソプレンとスチレンとのコポリマーより成る群から選択されるゴムの存在下でモノビニル芳香族モノマーを重合させることにより形成されるゴム改質ポリマー;および
99℃で測定して196−233cstの範囲の粘度を示すポリイソブチレンから成る還境応力亀裂抵抗性向上添加剤、このものは組成物の1から4重量パーセントの量でポリマー組成物に添加されている;および
鉱油または連鎖移動剤、
から成り、還境応力亀裂抵抗値が83〜96.3であることを特徴とする組成物。 - 連鎖移動剤がn−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンおよびアルフアメチルスチレン二量体より成る群から選択され、組成物中の連鎖移動剤の量がゴム改質ポリマーの500ppmまでの範囲である、請求項2の組成物。
- 還境応力亀裂抵抗性向上添加剤が1.5から2.5重量パーセントの量で存在する、請求項1または2の組成物。
- 連鎖移動剤が添加されていることにより、還境応力亀裂抵抗性を低下させることなく組成物の平均分子量が低下させられている、請求項2の組成物。
- ゴムの量が5から15重量パーセントである、請求項1または2の組成物。
- モノビニル芳香族モノマーがスチレン、アルフアメチルスチレンおよび環置換スチレンより成る群から選択される、請求項1または2の組成物。
- 請求項1または2の組成物から製造される食品用物品。
- モノビニル芳香族モノマーがスチレン、アルフアメチルスチレンおよび環置換スチレンより成る群から選択され;ゴムが天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレンおよびブタジエンまたはイソプレンとスチレンとのコポリマーより成る群から選択され;還境応力亀裂抵抗性向上添加剤がポリイソブチレンであり;連鎖移動剤がn−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンおよびアルフアメチルスチレン二量体より成る群から選択される、請求項8の食品用物品。
- モノビニル芳香族モノマーがスチレンから成り;ゴムの量が5から15重量パーセントであり;還境応力亀裂抵抗性向上添加剤がポリイソブチレンであって1 . 5から2 . 5重量パーセントの量で存在し;連鎖移動剤が500ppmまでの量で存在する、請求項8の食品用物品。
- スチレン、アルフアメチルスチレンおよび環置換スチレンより成る群から選択されるモノビニル芳香族モノマーと、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエンまたはイソプレンとスチレンとのコポリマーおよび天然ゴムより成る群から選択されるゴムとの混合物を重合し;該混合物に、その重合前または重合中に、99℃で測定して196−233ctsの範囲の粘度を示すポリイソブチレンから成る還境応力亀裂抵抗性向上添加剤、その量は1から4重量パーセントである、を添加することを特徴とする83〜96.3の還境応力亀裂抵抗値を有する組成物の製造方法。
- スチレン、アルフアメチルスチレンおよび環置換スチレンより成る群から選択されるモノビニル芳香族モノマーと、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエンまたはイソプレンとスチレンとのコポリマーおよび天然ゴムより成る群から選択されるゴムとの混合物を重合し;該混合物に、その重合前または重合中に、99℃で測定して196−233ctsの範囲の粘度を示すポリイソブチレンから成る還境応力亀裂抵抗性向上添加剤、その量は1から4重量パーセントである、および鉱油または連鎖移動剤を添加することを特徴とする83〜96.3の還境応力亀裂抵抗値を有する組成物の製造方法。
- 連鎖移動剤の量がゴム改質ポリマーの500ppmまでであり、連鎖移動剤がn−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンおよびアルフアメチルスチレン二量体より成る群から選択される、請求項12の方法。
- ゴムが5から15重量パーセントの範囲である、請求項11または12の方法。
- 連鎖移動剤を添加することにより、還境応力亀裂抵抗性を低下させることなく組成物の平均分子量を低下させる、請求項12の方法。
- 天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレンおよびブタジエンまたはイソプレンとスチレンとのコポリマーより成る群から選択されるゴムの存在下でモノビニル芳香族モノマーを重合して形成されるゴム改質ポリマーに、鉱油および99℃で測定して196−233cstの粘度を示すポリイソブチレンを、それぞれ最終組成物あたり0.5から3.0重量パーセントの範囲の量でブレンドして成ることを特徴とする83〜96.3の還境応力亀裂抵抗値を有する組成物。
- 鉱油およびポリイソブチレンが重合前または重合中に添加されたものである、請求項16の組成物。
- モノビニル芳香族モノマーがスチレン、アルフアメチルスチレンおよび環置換スチレンより成る群から選択され;ゴムが天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレンおよびブタジエンまたはイソプレンとスチレンとのコポリマーより成る群から選択された請求項17の組成物から製造された物品。
- n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンおよびアルフアメチルスチレン二量体より成る群から選択される連鎖移動剤が改質ゴムの500ppmまでの量で更に添加された組成物から製造された請求項18の物品。
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