JP4067759B2 - 酸化亜鉛固溶酸化セリウムの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、Zn2+を固溶(ドープ)して触媒活性を低減させた酸化亜鉛固溶酸化セリウムの製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
紫外線はプラスチックを劣化させるので、この劣化を防止するためにいろいろな対策が取られてきた。その一つとして、有機系紫外線吸収剤や無機系紫外線散乱剤と言われる種々の紫外線遮断剤が開発され、これらをプラスチックに添加することで紫外線の影響を低減させることが行われてきた。有機系紫外線吸収剤には、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系などがあるが、最近では、耐熱性や耐候性の不足や、その分解生成物の安全性などが問題にされている。これらの問題を解決する目的で、無機系紫外線散乱剤の微粒子酸化チタンや微粒子酸化亜鉛が開発されてきたが、これについても新たに分散性や触媒作用等の問題も生じている。特に近年、酸化チタンについては光触媒作用による一重項酸素の発生が問題を引き起す場合があることが指摘されている。
【0003】
また、紫外線は生体に対しても悪影響を及ぼすことが知られており、波長が280〜320nmのUV−B領域の紫外線は、皮膚の紅斑水泡等の炎症を引き起こし、波長が320〜400nmのUV−A領域の紫外線は、メラニン生成を促して、皮膚の褐色化を生じさせることが知られている。このような紫外線の悪影響の対策として、従来より多種多様な日焼け止め化粧料が知られている。これらの化粧料に用いられてきた紫外線遮断剤としては、大別すると、ケイ皮酸系、ベンゾフェノン系、ジベンゾイルメタン系等の紫外線吸収剤と、酸化亜鉛、酸化チタン等の紫外線散乱剤との2種類に分けられる。しかしこれらの紫外線吸収剤は、紫外線に対する吸収性が不充分であったり、大量に配合すると安全性の面から好ましくない等の問題がある。更に、従来の紫外線散乱剤については分散性を向上させても透明性を高くすることは困難であったため、使用感の悪化を来すだけでなく不自然な化粧仕上がりとなる等の問題があった。
【0004】
最近では、特開平6−145645号や特開平7−207251号に見られるようなセリウム化合物を紫外線散乱剤として利用する技術が提案されている。ところが酸化セリウムは、高い触媒活性を持ち、樹脂や油脂の酸化分解を促進し、化粧品や樹脂中に配合した場合に変色や変臭の原因となるという問題が生じる。そこで、紫外線散乱剤としての作用を有し、触媒活性を持たないセリウム化合物に関する技術の開発が望まれていた。そして、特開平9−118610号公報にシリカ・酸化セリウム複合粒子が提案されているが、このシリカ・酸化セリウム複合粒子は触媒活性の低減はある程度達成されるものの紫外線遮断能力については必ずしも満足のいくものとは言い難い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の事情に鑑みなされたもので、高い紫外線遮断能力を持ち、しかも触媒活性が低減され、透明性のよい酸化セリウム固溶体の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、白色度をL * a * b * 系で評価した時に、L * 値が80以上、a * 値が絶対値で4以下、b * 値が絶対値で10以下の白色度を有する酸化亜鉛固溶酸化セリウムの製造方法であって、温度60℃以下、pH5以上の条件下で、セリウム塩水溶液と、Zn 2+ の金属塩の水溶液と、アルカリとを反応させて水酸化セリウムと金属水酸化物の固溶体を生成させた後、温度60℃以下の条件下で酸化剤を加え、且つ酸化剤滴下終了時における液の温度を60℃以下、pHを8未満にすることを特徴とする酸化亜鉛固溶酸化セリウムの製造方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の酸化亜鉛固溶酸化セリウムは、酸化セリウムにZn2+を置換固溶させたものである。このZn2+を固溶させることによって、酸化セリウムの触媒活性を低減させることができる。またZn2+を固溶させることによって、酸化セリウムの透明性が向上し、紫外線遮断効果は同等もしくは優れたものとすることができる。固溶体中の酸化セリウム濃度は40〜99モル%が好ましい。
【0008】
本発明の酸化亜鉛固溶酸化セリウムは、温度60℃以下、pH5以上の条件下で、セリウム塩水溶液と、Zn2+の金属塩(固溶させる金属の塩)の水溶液と、アルカリとを反応させて水酸化セリウムと金属水酸化物の固溶体を生成させた後、温度60℃以下の条件下で酸化剤を加え、且つ酸化剤滴下終了時における液の温度を60℃以下、pHを8未満にし、水洗、ろ過した後、乾燥又は焼成、粉砕して製造する。上記の水酸化セリウムと金属水酸化物の固溶体を生成させる態様としては、(1)容器にアルカリ水溶液を入れ、これにセリウム塩水溶液とZn2+の金属塩の水溶液とを同時に滴下する方法、(2)容器に水を入れ、これにセリウム塩水溶液とアルカリ水溶液とZn2+の金属塩の水溶液とを同時に滴下する方法、などがある。
【0009】
また、本発明の酸化亜鉛固溶酸化セリウムは、温度60℃以下、pH5以上の条件下でセリウム塩水溶液と、Zn2+の金属塩の水溶液と、アルカリと、酸化剤とを同時に滴下混合することによって製造することができる。例えば温度60℃以下、pH5以上の条件下で、容器に入れた水に、セリウム塩水溶液と、Zn2+の金属塩の水溶液と、アルカリ水溶液と、酸化剤である過酸化水素とを同時に滴下し、且つ酸化剤滴下終了時における液の温度を60℃以下、pHを8未満にして製造する。その後に水洗、ろ過した後、乾燥又は焼成、粉砕して酸化亜鉛固溶酸化セリウム粉末を製造する。
【0010】
上記の反応に用いるセリウム塩水溶液は、例えば炭酸セリウムを塩酸や硝酸などの酸水溶液で溶解するか、或は塩化セリウム、硝酸セリウム、硫酸セリウム、酢酸セリウムなどを水に溶解して調製する。またアルカリは、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液又はアンモニア水を用いることができる。また、上記の固溶させるZn2+の塩は例えば塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩などである。酸化剤としては過酸化水素、次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム、オゾン等を用いることができる。上記では固溶体の形成を水系で行なっているが、これに限られるものではない。
【0011】
上記したいずれの態様の反応を採用した場合においても、酸化剤を滴下中に、液の温度を60℃以下好ましくは40℃以下、pHを5以上にすることによって、平均粒径2〜4nmの超微粒子の酸化亜鉛固溶酸化セリウムを得ることができる。このような超微粒子の酸化亜鉛固溶酸化セリウムは可視光線域での透明性に優れまた分散性に優れ、更に紫外線遮断効果が高い。
【0012】
また上記したいずれの態様の反応を採用した場合においても、酸化剤滴下終了時における液の温度を60℃以下、pHを8未満にすることによって、殊にZn2+の場合は、金属酸化物固溶酸化セリウムの黄色味を減少させ、その白色度を高めることができる。そして、白色度をL*a*b*系で評価した時にL*値が80以上、a*値が絶対値で4以下、b*値が絶対値で10以下の白色度を有する酸化亜鉛固溶酸化セリウムを得ることができる。ここにL*a*b*とは、1976年にCIE(国際照明委員会)により定められたCIE1976L*a*b*色空間により定義される。この色空間は次式で定める量L*、a*、b*を直交座標系に持つ色空間である。
L*=116(Y/Y0)1/3−16
a*=500[(X/X0)1/3−(Y/Y0)1/3]
b*=200[(Y/Y0)1/3−(Z/Z0)1/3]
(ただし、X/X0,Y/Y0,Z/Z0>0.008856、X,Y,Zは物体色の三刺激値、X0,Y0,Z0は物体色を照明する光源の三刺激値で、Y0=100に基準化されている。)
そして、本発明では、L*a*b*系で評価した白色度について、L*≧80、|a*|≦4、|b*|≦10と定めた。その測定は色差計(日本電色工業社製)を用いて行なう。
【0013】
本発明の前記した酸化亜鉛固溶酸化セリウムは、更に酸化物で被覆した複合体の形態にして使用することができる(以下、この複合体を「酸化物被覆・酸化亜鉛固溶酸化セリウム複合体」ということがある)。この酸化物被覆・酸化亜鉛固溶酸化セリウム複合体の製造に用いる酸化物は酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、アルミナ、酸化鉄、酸化チタンから選ばれる一種又は二種以上である。酸化亜鉛固溶酸化セリウムを更に酸化物で被覆して複合体にすることによって、触媒活性を更に低下させ、また分散性を向上させることができる。
【0014】
酸化物被覆・酸化亜鉛固溶酸化セリウム複合体は、前述した原料及び製造方法で製造した酸化亜鉛固溶酸化セリウムを上記した酸化物で更に処理することによって製造する。例えば、液温60℃以下でpH9以上に保った水に、セリウム塩水溶液と亜鉛塩の水溶液とアルカリ水溶液とを滴下して水酸化亜鉛固溶水酸化セリウムを生成させ、これに過酸化水素等の酸化剤を滴下して酸化亜鉛固溶酸化セリウムを生成させ、更に80℃以上に加熱し、pHを9以上に保ちながらケイ酸ナトリウム水溶液と塩酸、硝酸、硫酸などの鉱酸水溶液とを滴下し、酸化亜鉛固溶酸化セリウムに酸化ケイ素を被覆し、水洗、ろ過、乾燥又は焼成、粉砕する。これによって、酸化ケイ素被覆・酸化亜鉛固溶酸化セリウム複合体が得られる。この場合、滴下するケイ酸ナトリウムの量は、SiO2として固溶体被覆物の2〜60%が適当である。この場合も、酸化剤滴下終了時における液のpHを8未満に維持して、酸化物被覆・酸化亜鉛固溶酸化セリウム複合体の黄色味を減少させ、その白色度を高め、白色度をL*a*b*系で評価した時にL*値が80以上、a*値が絶対値で4以下、b*値が絶対値で10以下の白色度を有する酸化亜鉛固溶酸化セリウムを得ることができる。また、酸化剤滴下中に、液のpHを5以上にすることによって、平均粒径2〜4nmの超微粒子の酸化物被覆・酸化亜鉛固溶酸化セリウム複合体を得ることができる。
【0015】
本発明の酸化亜鉛固溶酸化セリウムは、紫外線遮断効果が優れている。図1は、上記の方法で得られた酸化亜鉛固溶酸化セリウムの光の波長に対する光透過率を測定した結果を示すものである。光透過率は次のようにして測定した。すなわち、各試料をクリアラッカー固形分に対し添加率が3.0重量%となる量をとり、これにクリアラッカー6mlを加えてフーバーマーラー(50回転×2)で分散し、混練した後、この液を透明石英板に30μmの厚さに塗布し、分光光度計(島津製作所製UV−2200)で測定した。図1において、
試料1は無添加
試料2は市販の高純度酸化セリウム粒子(平均粒径10μm)
試料3は本発明のCe4+とZn2+がモル比で7:3である酸化亜鉛固溶酸化セリウム
試料4はCe4+とFe2+がモル比で98:2である酸化鉄固溶酸化セリウム
である。
【0016】
この図1から明らかなように、本発明の酸化亜鉛固溶酸化セリウム3、及び酸化鉄固溶酸化セリウム4は、市販の高純度酸化セリウム粒子2に比べて250nm〜400nm領域での紫外線遮断効果が非常に優れており、400nm〜800nmの可視領域の透明性も高いことがわかる。
【0017】
図2は、上記の方法で得られた酸化亜鉛固溶酸化セリウムの触媒活性を、CDM(Contactometric Determination Method)の一種であるランシマット法を用いて評価した結果を示したものである。CDM装置はメトローム社製のE679を使用した。0.5gの試料とひまし油(伊藤製油社製)5gを攪拌後、130℃の恒温槽中にセットした密閉容器に最長10時間まで放置した。ここでひまし油中に20リットル/時の空気をバブリングさせ、ヘッドスペースの空気を別のフラスコ中の水に導入し、そこでトラップされた揮発性のひまし油分解生成物による水の導電率の変化を測定セルによって検出した。この導電率の時間による変化の度合いを触媒活性の高さとみなして評価した。なお、試料は、光透過率で使用したものと同じものを使用した。
【0018】
この図2から明らかなように、本発明の酸化亜鉛固溶酸化セリウム3、及び酸化鉄固溶酸化セリウム4は、市販の高純度酸化セリウム粒子2に比べてひまし油の酸化分解を促進することが少なく、触媒活性がかなり低減されたことがわかる。
【0019】
次に本発明に係わる樹脂組成物及び化粧料について説明する。一般に樹脂組成物は、太陽光線の紫外線領域の光を吸収することで劣化を起こす。そのための紫外線対策として、本発明の酸化亜鉛固溶酸化セリウムを樹脂組成物に配合することで耐光性が向上し、光劣化を防止ないし低減できる。また、透明な樹脂組成物に覆われた内容物の紫外線による光劣化を防止ないし低減できる。また、本発明の酸化亜鉛固溶酸化セリウムは、酸化セリウムに比し触媒活性が極めて小さいので、酸化セリウムに基づく樹脂組成物の酸化劣化を低減することができる。ここでいう樹脂組成物とは、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポエチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートなどの合成樹脂や天然樹脂の成形品、これら樹脂を配合した塗料など樹脂組成物全般をいう。
【0020】
次に本発明に係わる化粧料について説明する。本発明の化粧料は、上述した酸化亜鉛固溶酸化セリウムを配合することによって透明感を有し、紫外線遮断効果に優れたものを得ることができる。また、本発明の酸化亜鉛固溶酸化セリウムは、酸化セリウムに比し触媒活性が極めて小さいので、酸化セリウムに基づく化粧料中の油脂などの配合成分の劣化を低減することができる。化粧料の剤型としては、乳液、化粧水等のスキンケア化粧料、ファンデーション、口紅等のメイクアップ化粧料、頭髪化粧料等に用いることができ、就中、日焼け止め化粧料が好ましい。配合量は特に限定されないが、好ましくは0.1〜70重量%である。
【0021】
また、酸化亜鉛固溶酸化セリウム或は酸化物被覆・酸化亜鉛固溶酸化セリウム複合体を化粧料に配合する場合、これらを更に表面処理して用いてもよい。表面処理としては、一般油剤、金属石鹸処理、シリコーン処理、ジアルキルリン酸処理、パーフルオロアルキル基を有する化合物処理、アミノ酸処理、レシチン処理、コラーゲン処理等が挙げられる。
【0022】
本発明に係わる化粧料においては、紫外線防御剤である紫外線吸収剤及び/又は紫外線散乱剤とを組み合わせると効果が顕著なものとなる。紫外線吸収剤としては、オキシベンゾン、メトキシケイルメタンから選ばれる一種又は二種以上が好ましい。紫外線吸収剤の配合量は特に限定されないが、好ましくは0.1〜40重量%である。紫外線散乱剤としては、酸化チタン及び/又は酸化亜鉛が好ましく、より好ましくは、平均粒子径が0.05μm以下の微粒子酸化チタン及び/又は酸化亜鉛である。紫外線散乱剤の配合量としては、0.1〜50重量%が好ましい。
【0023】
さらに、本発明の化粧料には通常化粧料に用いられる成分、例えば、粉体、界面活性剤、油剤、ゲル化剤、高分子、美容成分、保湿剤、色素、防腐剤、香料等を本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
【0024】
【実施例】
実施例1
白色の超微粒子酸化亜鉛固溶酸化セリウム
塩化セリウムCeCl3390gを水に溶解し、塩化セリウム水溶液3リットルを調製した。塩化亜鉛ZnCl254gを水に溶解し、塩化亜鉛水溶液3リットルを調製した。また、水酸化ナトリウムNaOH224gを水に溶解して水酸化ナトリウム溶液3リットルを調製した。さらに、30%過酸化水素水9・5gを水に溶解して過酸化水素水溶液3リットルを調製した。30〜40℃に加温した水8.5リットルに、撹拌しながら上記の塩化セリウム水溶液、塩化亜鉛水溶液及び水酸化ナトリウム水溶液を、反応液のpHを11以上、温度を40℃以下に維持しつつ同時滴下した。滴下終了後30分撹拌した後、反応液のpHを5以上、反応液の温度を40℃に保ち、過酸化水素水溶液を滴下した。滴下終了後30分撹拌した後、水洗、ろ過、乾燥し、Ce4+とZn2+がモル比で8:2である酸化亜鉛固溶酸化セリウムを得た。
この固溶体の平均粒径は2.8nmであった。尚、粒子径は透過型電子顕微鏡(JEOL製)を用いて測定した。すなわち、粒子100個について目視で粒子径を計測し、その平均値を求めた。
この固溶体の白色度はL*値94.0、a*値−1.6、b*値6.2であった。尚、L*値、a*値、b*値は直径6cmの金皿に試料20gをプレス成形し、色差計(日本電色工業社製)で測定した。
【0025】
参考例1
酸化鉄固溶酸化セリウム
塩化セリウムCeCl3483gを水に溶解し、塩化セリウム水溶液3リットルを調製した。塩化鉄FeCl25gを水に溶解し、塩化鉄水溶液3リットルを調製した。また、水酸化ナトリウムNaOH237gを水に溶解して水酸化ナトリウム水溶液3リットルを調製した。さらに、30%過酸化水素水113gを水に溶解して過酸化水素溶液3リットルを調製した。30〜40℃に加温した水8.5リットルに、撹拌しながら上記の塩化セリウム水溶液、塩化鉄水溶液及び水酸化ナトリウム水溶液を、反応液のpHを11以上、温度を40℃以下に維持しつつ同時に滴下した。滴下終了後30分攪拌した後、反応液の温度を40℃に保ち、過酸化水素水溶液を滴下した。滴下終了後30分攪拌した後、水洗、ろ過、乾燥し、Ce4+とFe3+がモル比で98:2である酸化鉄固溶酸化セリウムを得た。
【0026】
参考例2
酸化ケイ素被覆酸化亜鉛固溶酸化セリウム複合体
ケイ酸ナトリウム液(SiO2含有率28.5重量%)562gを水に溶解してケイ酸ナトリウム溶液2リットルを調製した。95重量%硫酸75.8gを水に希釈して希硫酸溶液2リットルを調製した。実施例1で得られた酸化亜鉛固溶酸化セリウムを含有した水溶液を80℃以上に加熱撹拌しながら、ケイ酸ナトリウム溶液と希硫酸溶液を反応液のpHが9以上に保てるように同時に滴下した。両液の滴下終了後30分撹拌し反応液のpHが7〜8になるように希硫酸で調整した。これをろ過、水洗、乾燥、粉砕してSiO230重量%被覆の酸化亜鉛固溶酸化セリウム(酸化ケイ素被覆酸化亜鉛固溶酸化セリウム複合体)を得た。
【0027】
参考例3
実施例1で得た白色の超微粒子酸化亜鉛固溶酸化セリウムを軟質ポリ塩化ビニルにそれぞれ0、0.5及び1重量%配合し、加熱ロール圧延して3種の厚さ0.24mmのシートに成形した。これらのシートの光透過率を分光光度計(島津製作所製UV−2200)で測定したところ、図3の結果を得た。
試料aは無添加のもの、
試料bは酸化亜鉛固溶酸化セリウム0.5重量%配合のシート、
試料cは酸化亜鉛固溶酸化セリウム1.0重量%配合のシート、
である。
この図から、本発明の酸化亜鉛固溶酸化セリウムは、配合率を高めるほど紫外線領域での遮断効果が高まるが、可視領域では高い透明性を維持することが分かった。
【0028】
参考例4
実施例1で得られた酸化亜鉛固溶酸化セリウム又は参考例2で得られた酸化物被覆・酸化亜鉛固溶酸化セリウム複合体を用いて、下記組成と調製方法によりクリームファンデーションを製造した。
組成:
(1)ステアリン酸 5.0重量%
(2)親油型モノステアリン酸グリセリン 2.5
(3)セタノール 1.5
(4)モノラウリン酸イソプロピレングリコール 2.5
(5)流動パラフイン 8.0
(6)ミリスチン酸イソプロピル 7.0
(7)パラオキシ安息香酸プロピル 0.1
(8)精製水 47.3
(9)トリエタノールアミン 1.2
(10)ソルビトール 3.0
(11)パラオキシ安息香酸メチル 0.2
(12)酸化チタン 8.0
(13)カオリン 5.0
(14)実施例1〜2で得たいずれかの固溶体 3.0
(15)ベントナイト 1.0
(16)ベンガラ 2.5
(17)黄酸化鉄 2.0
(18)黒酸化鉄 0.2
【0029】
調製方法:
イ.(12)〜(14)と(16)〜(18)をよく混合した。
ロ.80℃の(8)に、(15)を加えてよく膨潤させた。次に、(9)〜(11)を加えて溶解させた。このものにイの混合物を加え80℃で溶解した(水相)。
ハ.(1)〜(7)を80℃で溶解した(油相)。
ニ.(水相)に(油相)を加えて乳化した。その後冷却し35℃まで撹拌冷却した。
上記のようにして得られたクリームファンデーションは、いずれも透明感があり、延びもよく、紫外線遮断効果、経時安定性も優れていた。
【0030】
参考例5
フラスコに実施例1で得られた白色の超微粒子酸化亜鉛固溶酸化セリウム150gとイソプロピルアルコール150gを添加して、混合しながら70℃まで加熱した。これにメチルハイドロジェンポリシロキサン(信越化学工業社製)3gを加えて1時間混合後、減圧加熱してイソプロピルアルコールを除去した後、シリコーン処理白色超微粒子亜鉛固溶酸化セリウム(以下、シリコーン処理固溶体と記す)152gを得た。
【0031】
参考例6
参考例5で得られたシリコーン処理固溶体を用いて、下記組成と調製方法によりパウダーファンデーションを製造した。
組成:
(1)シリコーン処理タルク 20.0重量%
(2)シリコーン処理マイカ 残量
(3)シリコーン処理酸化チタン 12.0
(4)シリコーン処理ベンガラ 1.0
(5)シリコーン処理黄酸化鉄 3.0
(6)シリコーン処理黒酸化鉄 0.1
(7)シリコーン処理固溶体 20.0
(8)シリコーン処理酸化亜鉛 1.0
(9)スクワラン 5.0
(10)トリ2−エチルヘキシル酸グリセリル 2.0
(11)白色ワセリン 1.0
(12)防腐剤 適量
(13)香料 適量
【0032】
調製方法:
イ.(1)〜(8)をヘンシェルミキサーで混合した。
ロ.イに加熱混合した(9)〜(11)を加え混合後、(12)、(13)を 加えた。
ハ.ロを粉砕した後、プレス成型してパウダーファンデーションを得た。
【0033】
比較例1
参考例6において、(7)を市販の高純度酸化セリウム粒子(平均粒径10μm)に置き換えたものを比較例1として同様に調製した。
比較例1は、化粧膜に白浮きを生じるため、自然な仕上がり感を得ることができなかった。それに対して、本発明に係わる実施例6は、透明感があり、仕上がりが良好で、紫外線遮断効果、経時安定性も優れたものであった。
【0034】
参考例7
実施例1で得られた白色超微粒子酸化亜鉛固溶酸化セリウムを用いて、下記組成と調製方法により白粉を製造した。
組成:
(1)白色超微粒子酸化亜鉛固溶酸化セリウム 50.0重量%
(2)タルク 30.0
(3)セリサイト 6.0
(4)カオリン 残量
(5)酸化チタン ・ 3.0
(6)ミリスチン酸亜鉛 2.0
(7)ベンガラ 0.2
(8)黄酸化鉄 0.8
(9)スクワラン 2.0
(10)メトキシケイ皮酸オクチル 2.0
(11)防腐剤 適量
(12)香料 適量
【0035】
調製方法:
イ.(1)〜(8)を混合した。
ロ.(9)〜(12)を混合し、これをイに添加して均一に混合した。
ハ.ロを粉砕した後、プレス成型して白粉を得た。
【0036】
比較例2
参考例7において、(1)を微粒子酸化チタンに置き換えたものを比較例2として同様に調製した。
比較例2は、化粧膜に青白さや白浮きを生じるため、自然な仕上がり感を得ることができなかった。それに対して、本発明に係わる参考例7は、透明感があり、仕上がりが良好で、紫外線遮断効果、経時安定性にも優れたものであった。
【0037】
【発明の効果】
酸化セリウムにZn2+を固溶させてなる本発明の酸化亜鉛固溶酸化セリウムは、酸化セリウムに酸化亜鉛を固溶させたので、触媒活性が低減しており、且つ可視領域の透明性が高く、紫外−A及びB領域の紫外線を遮断する効果が優れている。そして、この酸化亜鉛固溶酸化セリウムを配合した樹脂組成物や化粧品は透明性がよく、紫外線遮断効果が優れている。また従来の酸化セリウムを配合した樹脂や化粧品は、酸化セリウムの触媒活性により樹脂や化粧品中の油脂等の配合物の酸化が促進され酸化劣化され易かったが、本発明の酸化亜鉛固溶酸化セリウムは触媒活性が低減されているので、かかる欠点が少なく経時安定性に優れている。また、酸化亜鉛固溶酸化セリウムを酸化物で被覆して複合体にすることによって触媒活性を更に低下させ、また分散性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の酸化亜鉛固溶酸化セリウムの光透過率を示したグラフ
【図2】 本発明の酸化亜鉛固溶酸化セリウムの触媒活性を示したグラフ
【図3】 本発明の酸化亜鉛固溶酸化セリウムを含有させた軟質ポリ塩化ビニルシートの光透過率を示したグラフ
【符号の説明】
図1、図2において、試料1は無添加のもの、試料2は市販の高純度酸化セリウ・のCe4+とZn2+がモル比で7:3である酸化亜鉛固溶酸化セリウム、試料4はCe4+とFe2+がモル比で98:2である酸化鉄固溶酸化セリウム。図3において、試料aは無添加のもの、試料bは酸化亜鉛固溶酸化セリウム0.5重量%配合のシート、試料cは酸化亜鉛固溶酸化セリウム1.0重量%配合のシートである。
Claims (1)
- 白色度をL * a * b * 系で評価した時に、L * 値が80以上、a * 値が絶対値で4以下、b * 値が絶対値で10以下の白色度を有する酸化亜鉛固溶酸化セリウムの製造方法であって、温度60℃以下、pH5以上の条件下で、セリウム塩水溶液と、Zn 2+ の金属塩の水溶液と、アルカリとを反応させて水酸化セリウムと金属水酸化物の固溶体を生成させた後、温度60℃以下の条件下で酸化剤を加え、且つ酸化剤滴下終了時における液の温度を60℃以下、pHを8未満にすることを特徴とする酸化亜鉛固溶酸化セリウムの製造方法。
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