JP4067547B2 - 機能性繊維および機能性糸並びに布帛材料 - Google Patents

機能性繊維および機能性糸並びに布帛材料 Download PDF

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本発明は、遠赤外線放射機能を付与した繊維に関し、詳しくは、遠赤外線放射物質を繊維に付着させて、保温性、脱臭性、抗菌性等を付与した機能性繊維に関する。なお、本発明において対象とする繊維は、短繊維からなるワタと、このワタからつくられる糸であり、本発明においては、この両者を総称して繊維という。
例えば寝具においては、快適な眠りを得るために、保温性、消臭性、抗菌性等の機能が求められており、このような機能を寝具に持たせるために、様々な機能を有する物質が利用されている。寝具に保温性を持たせるためには、遠赤外線を放射するセラミックス等を利用した詰めワタが使用されており、例えば、特許文献1には、遠赤外線放射セラミックスを繊維に練り込んだポリエステル綿を詰めワタとして使用した寝具が記載されている。また、特許文献2にも、遠赤外線放射能を有する合成繊維の詰めワタを使用した寝具が記載されている。
一方、セラミックス等を詰めワタの繊維に保持させる方法として、例えば特許文献3に記載の方法がある。この方法では、セラミックス液にアルカリ材、ネオゲン、非イオン界面活性剤及び水を混合した液に繊維を浸して所定値に加圧昇温し、膨潤した繊維にセラミックス微粒子を添加したのち、降圧降温して、繊維にセラミックスを添加している。
また、この種の詰めワタにおいては、遠赤外線を高く安定して放射する特性を有した詰めワタが望まれており、前述の特許文献2に記載の詰めワタにおいても概ね80%以上の遠赤外線放射率が実現されている。さらに、このような遠赤外線の放射機能を改良する目的で、様々なセラミックス等の遠赤外線放射物質を利用した布帛等の発明もなされている。ここで、遠赤外線の放射率(%)とは、対象物質と理想黒体とを同一温度にして、それぞれから放射される遠赤外線量を測定した理想黒体比(理想黒体の放射強度を100%とした場合の対象物質の放射強度の割合(%))である。また、本明細書でいう放射特性とは、放射率の高低と特定波長域における安定性を意味しており、良好な放射特性とは、遠赤外線を高く安定して放射する特性を意味する。
例えば特許文献4には、シリカを主成分とする特定組成の白色の無機材料Aと酸化鉄を主成分とする特定組成の黒色の無機材料Bと焼成ドロマイトの無機材料Cよりなる無機材料A主成分のセラミックスを樹脂バインダーにより布帛に塗布した布帛材料が記載されている。この布帛材料は、3種類の無機材料を組合せることにより、遠赤外線放射による保温特性が優れるものである。
また特許文献5には、酸化物換算値として珪素45%〜60%、アルミニウム15%〜30%、鉄5%〜20%、チタン0.5%〜3%、マグネシウム2%〜5%などに成分調整された原料粉末を、水分調整し、800℃〜1050℃の温度で焼成した多孔性の焼結体で、赤外線分光放射率が97%以上である機能性焼結体の粉末を、糊剤を用いて布材の少なくとも片面に付着させた機能性布体が記載されている。
特開2004−8229号公報 特開平10−229934号公報 特開平7−109668号公報 特開2002−348776号公報 特開2002−38370号公報
特許文献1および特許文献2に記載の寝具に使用されている詰めワタは、合成繊維にセラミックス等を練り込んだワタであり、合成繊維にセラミックス等を練り込むためには、合成繊維の原料にセラミックス等を混合して繊維を製造しなければならず、大掛かりな設備が必要となる。
また、特許文献2に記載の合成繊維寝具の詰めワタは、セラミックスとして酸化チタンが使用されているため、繊維に含有させると寝具全体の重量が重くなる。ここで、チタン(酸化チタン)の密度は4.54(4.26)g/cm3であり、例えば珪素(シリカ)の密度2.34(約2.5)g/cm3よりも重い。このため、就寝中に人体への負担が増大するという問題がある。
特許文献3に記載の繊維にセラミックスを添加する方法では、加圧昇温装置が必要となる。また、繊維をセラミックス液の混合液に浸す方法であるため、繊維に付着させる液量を調整することが困難である。また、繊維に付着させるセラミックスの種類については特に記載されておらず、繊維からの放射される遠赤外線の放射率については改良の余地があと推察される。
特許文献4に記載の布帛材料においては、使用されるセラミックスは多種類選定されており、セラミックス原料が均一に混合されずに遠赤外線の放射特性が不安定になる恐れがある。また、セラミックスには酸化鉄等の重量の大きいものが使用されており、繊維製品全体に機能性布体を使用した場合には、その重量が大きくなり、人体への負担が増大することとなる。
特許文献5に記載の機能性布体においては、セラミックスの種類と混合割合について検討されて、混合したセラミックス焼結体自体の遠赤外線の分光放射率は、8μm以上の波長においては高く安定したものとなっているが、脱臭性や抗菌性については兼ね備えていないと推察される。また、酸化鉄や酸化チタン等、重量の大きいものが使用されており、特許文献2,4の場合と同様に、繊維製品全体に機能性布体を使用した場合にはその重量が大きくなり、人体への負担が増大する。
さらに、特許文献4に記載の布帛材料や特許文献5に記載の機能性布体は、遠赤外線放射機能を改良しているものの、他の機能、特に脱臭性や抗菌性の効果については不明であり、保温性の機能向上を追及すると、遠赤外線放射物質が優先的に使用されることになり、結果として他の機能を持つ物質の使用割合が減少して、脱臭性や抗菌性の効果は必ずしも良好ではないと推察される。
ここで、遠赤外線を放射するセラミックスについて、その物質毎の特性を図9に示す。図9は、物質単体の放射率を示す図であり、縦軸は放射率、横軸は波長である。多くのセラミックスは、波長8μm以下の遠赤外線の放射率は低くなって不安定であり、人間が暖かいと感じることのできる6μm〜12μmの波長域においては放射率は不安定となり、高効率に放射しないものが多い。全体として放射率の高いシリカは、5μm〜12μmの波長域では放射率は安定しているが、そのなかで9μm前後の波長域においては、放射率特性は不安定となる。また、酸化アルミニウム(アルミナ)の放射率は、8μm〜10μmの波長域では高効率に安定するが、それ以外の波長域においては低くなっている。更に、酸化鉄の放射率は、5μm〜15μmの波長域において安定しているが、そのピークはシリカや酸化アルミニウムよりも低い。このように、セラミックスの種類によって遠赤外線の放射特性は大きく異なることが知られている。
以上のように、セラミックス等の遠赤外線放射物質を繊維に付着させるには、その付着方法に問題があったり、素材の選定についての検討が充分でなかったりして、遠赤外線を必ずしも高く安定して放射させることができないという問題がある。更に、寝具等には、遠赤外線の放射特性以外の性質として匂い等の吸着性(脱臭性)や、抗菌性も併せ持つことが望ましく、遠赤外線の放射特性をより向上させようとすると、その反面、脱臭性や抗菌性等の機能は劣るかまたは改善されないという問題があり、さらには寝具等の軽量化を図れないという問題もある。
本発明の目的は、セラミックス等の遠赤外線放射物質を繊維に付着させて、人間が暖かいと感じる特定の波長域において遠赤外線を高く安定して放射させ、さらに脱臭性、抗菌性等を併せ持つ繊維および糸並びに布帛材料を提供することにある。
本発明の機能性繊維は、遠赤外線放射機能と脱臭性、抗菌性を付与した機能性繊維であって、繊維の一部または全部に遠赤外線を放射する無機物質のなかの1種以上からなるセラミックスと珪藻土とトルマリンとを含む微粉が付着していることを特徴とする。なお、本発明において繊維とは、短繊維(ステープル)からなるワタと、このワタからつくられる糸を指す。
遠赤外線を放射する無機物質のなかの1種以上からなるセラミックスと珪藻土とトルマリンとを含む微粉を繊維に付着させることにより、人間が暖かいと感じる6μm〜12μmの波長域において、遠赤外線を高く安定して放射する機能性繊維とすることができ、寝具や防寒衣料の詰めワタとして使用したときに保温性を高いものとすることができる。ワタは短繊維が3次元に絡んで嵩が大きな状態となっているものであり、空隙が多く、この短繊維に、セラミックスと珪藻土とトルマリンとを含む微紛をバインダー液に混合した液状混合物を付着させることにより、容易に機能性ワタとすることができる。また、このワタから糸をつくることで容易に機能性糸を得ることができる。この機能性糸は、短繊維の表面に付着している微紛が、糸の内部および表面に位置することとなり、全体に渡り保温性、脱臭性、抗菌性を備えた織物用糸等として好適に利用できる。
さらに、珪藻土は後述するように多孔質であるため吸着機能が大で脱臭性を備え、選定するセラミックスによっては後述するように抗菌性を備えることができ、脱臭性と抗菌性を併せ持った機能性繊維とすることができ、寝具の詰めワタとして最適に利用することができる。
上記のセラミックスとしては、酸化亜鉛(ZnO)の粉砕物と酸化アルミニウム(アルミナ:Al23)の粉砕物とを主体とする混合物を焼結したものとすることが望ましい。これらの粉砕物を焼結することにより、多孔性の焼結体が得られ、空気との接触面積が大きくなって良好な遠赤外線の放射特性を得ることができると推察される。また、酸化亜鉛を使用することにより、良好な遠赤外線放射特性とともに優れた抗菌性を持つものとすることができる。
ここで、セラミックスと珪藻土とトルマリンとを含む微粉全体に含まれる珪藻土の質量割合を70%〜85%とすることが望ましく、75%〜80%とすることがより望ましい。このような割合とすることにより、珪藻土の主成分はシリカであるので、珪藻土の質量割合を上記のようにすることで、シリカの遠赤外線放射特性を充分に発揮させて6μm〜12μmの波長域において良好な放射特性とすることができる。また、珪藻土の吸着機能に基づく脱臭性をも充分に発揮させることができる。また、珪藻土は比重が小さいため、繊維に付着させたときの繊維の重量増を軽減することができる。
なお、前述のように繊維を短繊維からなるワタとすれば、本発明の機能性繊維は、この短繊維に微粉が付着した機能性短繊維を有している。そして機能性繊維を解して得られる機能性短繊維からは、機能性糸を製造することができる。さらに、この機能性糸から布帛材料を製造すれば、衣類や寝具等の材料となる。
本発明の最大の特徴は、繊維に対して、遠赤外線を放射する無機物質のなかの1種以上からなるセラミックスと珪藻土とトルマリンとを含む微粉を付着させたことにある。このような遠赤外線放射物質を組合せて繊維に付着させることにより、人間が暖かいと感じる6μm〜12μmの波長域において、遠赤外線を高く安定して放射することができ、併せて脱臭性と抗菌性を兼ね備えた機能性ワタ及び機能性糸を得ることができる。
以下、図1〜図3に基づいて本発明の第1の実施形態である機能性繊維について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の機能性繊維である機能性ワタ1を示す図、図2は図1のA部を拡大して示した概略図、図3は図2におけるA−A線断面図である。
図1〜図3に示すように、機能性ワタ1は、遠赤外線放射物質を微粉砕し、この微紛をワタ1aの短繊維2a(図3参照)に付着させた機能性短繊維2から構成されている。遠赤外線放射物質である微紛5として、セラミックス5aと珪藻土5bとトルマリン5cが使用されており、この微紛5をバインダー液4に混合して得た液状混合物をワタ2の表面全体に吹き付けて、短繊維2aに付着させている。
この時、ワタ1aの表面に吹き付けられた液状混合物は、ワタ1aの空隙に浸入して、ワタ1aの内部の短繊維2aに付着する。このため、ワタ1a全体に渡って微紛5であるセラミックス5aと珪藻土5bとトルマリン5cとが付着した機能性短繊維2を得ることができ、繊維全体に微紛5が付着した機能性繊維である機能性ワタ1となる。また、微紛5は種類数が少ないため、バインダー4中に均一に混合されて短繊維2aに塗布されることとなり、微紛5をバインダー4の乾燥後に均一に短繊維2aの表面に付着させることができる。
また、本実施形態の短繊維2aとして、ポリエステル繊維が使用されており、この短繊維2aの太さは1.5〜3デニール、繊維長が38mm〜51mmである。セラミックス、珪藻土、トルマリンの粒径は10μm〜20μmに調整して使用しているが、更に小さい粒径とすることもできる。
ここで、セラミックスとしては、酸化亜鉛(ZnO)の粉砕物と酸化アルミニウム(アルミナ:Al23)の粉砕物とを主体とする混合物を焼結したもの(焼結体)が使用されている。酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの焼結体は、これらを焼結しない場合に比べて、ぞれぞれの粒子が互いに接近して結合して結晶性が得られ、多孔性の焼結体となり、空気との接触面積が大きくなって遠赤外線を放射しやすい状態になり、良好な遠赤外線の放射特性を得ることができると推察される。ここで、焼結温度は1000℃〜1200℃が望ましく、本実施形態では約1050℃とした。焼結温度が1000℃未満では、焼結が進みにくく、1200℃を超えると部分溶融が進み、得られた結晶内部の気孔が消滅して放射特性が不良となる。
また、酸化亜鉛を使用することにより、良好な放射特性とともに優れた抗菌性を持つものとすることができる。ここで、バインダー4としては合成樹脂または天然樹脂を使用することができるが、前述の機能性を発揮させるために、ワタ2への強固な接着性を持つものを使用している。
また、機能性ワタ1において厚みが大きい場合、ワタの内部まで浸透させないで表面付近にのみ微紛5を付着させることもできる。このように、各機能を保つことができれば、必要最低限の量の微紛5を繊維の一部に付着させた機能性繊維とすることもできる。
微紛5である珪藻土5b、セラミックス5a、トルマリン5cをバインダー液に混合するとき、珪藻土5b:セラミックス5a:トルマリン5c:バインダー液の重量比は、5〜20:0.75〜3:0.75〜3:74〜93.5が望ましい。この微紛5を含むバインダー液を、ワタ1aに吹き付け加工器で塗布して機能性ワタ1を得ることができる。
更に、微紛5中における最適な割合として、珪藻土5b,セラミックス5a,トルマリン5cの質量の合計を100%とすると、珪藻土5bを70%〜85%、セラミックス5aが7.5%〜15%、トルマリン5cが7.5%〜15%であり、更に好ましくは、珪藻土5bを75%〜80%、セラミックス5aが10%〜12.5%、トルマリン5cが10%〜12.5%である。このような割合とすることにより、珪藻土5bの主成分であるシリカの特性である遠赤外線放射特性,吸着機能による脱臭性を充分に発揮させることができるとともに、珪藻土は比重が小さいため、繊維に付着させたときの繊維の重量増を軽減することができる。従って、良好な放射特性,脱臭性,抗菌性を併せ持ち、且つ、軽量な機能性ワタ1とすることができる。
ここで、珪藻土5bの混合割合が85%を超えると、他の2種類の混合割合が減少し、珪藻土5bの主体であるシリカ(SiO2)の不安定となる波長9μm付近を安定なものとすることができない。珪藻土5bの混合割合が70%未満となると、珪藻土5bの特性を充分に活かすことができず、汗や汗の成分であるアンモニア等の脱臭性が劣る。更に、遠赤外線放射物質の重量が増え、人体にとって負担となり不快なものとなる。また、酸化鉄等の他の物質の使用割合が増えることにより、肌触りが悪くなる場合もある。珪藻土5bの特性を更に活かすために、珪藻土5bの混合割合を75%以上とすることがより好ましい。
セラミックス5aの混合割合が15%を超えると、他の2種類の使用量が減少するため脱臭性等が劣り、セラミックス5aの混合割合が7.5%未満であれば、抗菌性が劣る。
トルマリン5cの混合割合が15%を超えると、他の2種類の使用量が減少するため脱臭性が劣り、トルマリン5cの混合割合が7.5%未満であれば、遠赤外線の放射特性が高く安定したものとすることができず、更に、トルマリン5cにはマイナスイオン放射特性もあるため、副次的な効果が得られなくなる。
珪藻土の大きさは様々であるが、本実施形態の珪藻土5bとしては、20μm〜100μmのものを微粉砕して使用している。この珪藻土5bの主成分は前述の通りシリカであり、表面には無数の孔が存在して多孔質(ポーラス状)であるため、この孔が吸着機能を持ち脱臭性として有効である。更に、一旦孔に吸着した物質が再度放出される性質(呼吸性)があり、長期間に渡って脱臭性を維持することができる。この脱臭性は、脱臭と吸湿が可能となるため、機能性ワタ1を使用した寝具等は、匂いや汗を吸着して脱臭することができるため、使用者は快適に使用することができる。
更に、天然の珪藻土は、単細胞生物が海底や湖底に堆積してできたものであり、珪藻土には、わずかながら生物由来の有機物が含まれ、また、匂いの元となる気体が吸着されている。本実施形態では珪藻土を高温で加熱(焼成)して、これらの不純物を除去した珪藻土を使用している。ここで、珪藻土の焼成温度は、500℃〜1000℃が好ましく、700℃〜900℃がより好ましい。焼成温度が500℃未満であれば不純物が除去されにくくなり、1000℃を超えると、珪藻土の粒子同士が反応して互いに結合(焼結)し始め、粒子の表面積が低下して後述する珪藻土の微細な孔が失われるため、珪藻土の吸着機能による脱臭性が劣るとともに、遠赤外線の放射特性を良好なものとすることができない。
次に、本発明の第1の実施形態である機能性繊維である機能性糸について図4を用いて説明する。図4(a)は、本発明の機能性糸11の断面を示す模式図である。機能性糸11は、機能性ワタ1を解して得た機能性短繊維2を紡績したものであり、機能性糸11の内部に渡って微紛5が含有されている。機能性糸11は、機能性ワタ1の機能性短繊維2を解して、短繊維から糸をつくる通常の方法によりつくることができ、回旋機等を用いて解された一本一本の機能性短繊維2を長さ方向に平行に揃えてから、太いロープ状にまとめ、これを引き伸ばして細くして、捻りをかけて機能性糸11となる。
一方、図4(b)は、微紛25を付着させた従来の機能性糸21の断面を示す模式図であり、従来の機能性糸21は、短繊維22aからつくられた糸20に、目的の物質を含む微紛25をバインダー液と混合して、その混合物を吹き付けたものである。従来の機能性糸21は、表面にしか微紛25を付着させることができず、糸20の内部にまで微紛25を付着させることができないのに対し、本発明の機能性糸21は、機能性短繊維2からつくられているため、短繊維2aの表面に付着している微紛5が、糸の内部および表面に位置することとなる。機能性糸21の内部に渡って微紛5を付着させることができる。従って、全体に渡り保温性、脱臭性、抗菌性を備えた織物用糸等として好適に利用できる。
次に、本発明の第2の実施形態の機能性繊維である機能性糸について説明する。図5は、本発明の第2の機能性短繊維12の断面を示す模式図である。機能性短繊維12は、機能性短繊維2と同様に微紛15である珪藻土15b、セラミックス15a、トルマリン15cをバインダー液と混合してワタに付着させて得られたものであり、粒径が略1μmの微紛15を使用している。このように短繊維2aに対して付着させる微紛15を小さくすれば、より均一に短繊維2aに付着させることができる。
また、図6(a)は、本発明の機能性糸31の断面を示す模式図であり、機能性糸31は、機能性糸11と同様に、機能性短繊維12からつくられたものである。このため、図4(a)と同様に、機能性糸31の内部に渡って微紛15が含有されている。また、微紛15の粒径が第1の実施形態よりも小さいことから、より安定して微紛15を付着させた機能性糸31とすることができる。
一方、図6(b)は、微紛45を付着させた従来の機能性糸41の断面を示す模式図であり、図4(b)と同様に短繊維42aからつくられた糸40に、目的の物質を含む微紛45をバインダー液と混合して、その混合物を吹き付けたものである。従来の機能性糸41は、表面にしか微紛45を付着させることができず、糸40の内部にまで微紛45を付着させることができないのに対し、本発明の機能性糸31は、機能性短繊維12からつくられているため、短繊維2aの表面に付着している微紛15が、糸の内部および表面に位置することとなる。このように、機能性糸31の内部に渡って均一に微紛15を付着させることができる。
本発明の第1の実施形態の機能性繊維である機能性ワタ1の遠赤外線の放射特性について試験を行った。測定に際しては、日本電子(株)製遠赤外線分光放射計(JIE−E500)を使用し、ヒーター温度70℃にて、波長域3.5μm〜25μmにおいて放射率を連続計測し、試験波長域における積分放射率と放射曲線を得た。試験区1として、使用した珪藻土+セラミックス+トルマリンの合計:バインダー液を重量比で26:74とし、珪藻土,セラミックス,トルマリンの割合として、重量割合で珪藻土77%、セラミックス11.5%、トルマリン11.5%として試験を行った。試験区2は、試験区1の状態からトルマリンを除いた区、対照区は遠赤外線放射物質を使用しない区とした。ここで、微粉の原料毎の特性をみるために、試験区3(珪藻土のみ)、試験区4(セラミックスのみ)、試験区5(トルマリンのみ)を設けて試験を行った。なお、試験区3〜5で使用する各原料の重量は同一とした。測定結果を表1、図7に示した。
Figure 0004067547
対照区の積分放射率は47.7%と低いのに対し、試験区1では81.7%、試験区2では79.9%であり、珪藻土,セラミックス,トルマリンを付着させることにより放射特性を良好にすることができた。特に、6μm以上の波長域においては高く安定し、特に試験1においては、放射率は80%以上と高く安定した。また、トルマリンを含む試験1とトルマリンを含まない試験2とを比較すると、試験区1は試験区2よりも約2%高く、トルマリンの効果が確認された。
なお、試験区3〜5においては、積分放射率は62〜71%であり、原料単独による効果は小さかった。従って、珪藻土,セラミックス,トルマリンの3種を使用することによって遠赤外線の放射特性への相乗効果が確認された。
ここで、積分放射率とは、測定した波長域における放射率の平均値である。
良好な放射特性を有するセラミックス等は、素材単体では80%以上の放射率を示すものがあるものの、加工品については、例えば、付着層の厚さや、使用量により放射率が不安定となって低くなることが知られている。本発明の機能性ワタ1においては、概ね80%以上の放射率が安定して得られ、付着量も充分であり、好適な製造条件を提供することができた。
ここで、機能性ワタ1に使用した珪藻土,セラミックスの放射特性について図9を用いて説明する。図9は一般的なセラミックスの放射特性を示す図である。図9に示すように、珪藻土については、主成分はシリカ(SiO2)であり、前述のようにシリカの放射特性は8μm〜10μmの波長域において、特に9μm付近で不安定であり、放射率が低くなる。これに対し、セラミックスの主体である(ZnO)と酸化アルミニウム(アルミナ:Al23)は8μm〜10μmの波長域において、高く安定したものとなっており、これらの焼結体も同様に高く安定していると推察され、この範囲におけるシリカの不安定性を補うことが可能となると考えられる。トルマリンの放射特性については、先述の試験区2によって確認されたことから、珪藻土とセラミックスとトルマリンを使用することにより、良好な放射特性とすることができる。
ここで、珪藻土,セラミックス,トルマリンを含むバインダー液の塗布(付着)量は、目的に応じて調整することが可能であり、塗布量が多ければ、内部に浸透して付着層が厚くなって、付着量も多くなり、遠赤外線の放射特性は更に高めることができる。バインダー液と混合する微紛量においても、任意に調整することができる。
本発明の機能性糸11の放射特性について試験を行った。試験を行うために、この機能性糸11から衣料を想定した布地(布帛材料)を製造し、この布地の放射特性について調べた。試験方法として、日本電子(株)製遠赤外線分光放射計(JIE−E500)を使用し、ヒーター温度100℃にて、3.5μm〜25μmの波長域において衣服の放射率を連続計測した。ここで、機能性糸11に付着させる珪藻土,セラミックス,トルマリンとバインダー液の混合条件として、表2の試験区を設けて行った。ここで、珪藻土,セラミックス,トルマリンを含まない対照区は表1の対照区のデータを用いた。
Figure 0004067547
表2に示すように、対照区の積分放射率は47.7%であるのに対し、珪藻土,セラミックス,トルマリンを含んだ試験区1では、78.2%と高かった。また、珪藻土,セラミックス,トルマリンの混合量を試験区1の半量とした試験区2では、積分放射率は72.9%であり、試験区1よりも劣るものの、対照区よりも高い結果となった。
次に、図8は、表2の試験区1,2における3.5μm〜25μmの波長域における放射特性を示している。対照区と比べて、試験区1においては、約6μm以上の波長域において、放射率が高まり安定したものとなっている。また、試験区2においても同様に、試験区1の放射率よりは低いものの、対照区よりも放射率を高く安定なものとすることができる。
以上のことから、機能性ワタ1より製造した機能性糸11を用いて作られた布地は、放射特性が良好となり、保温性が高められることが示された。
さらに、表2の試験区1、試験区2において、アンモニアガスの吸着(脱臭)試験を行った。試験方法は、前述の機能性糸11より作成した衣服を10cm四方に型取り、10Lサンプリングバッグに密閉し、このサンプリングバッグ内のアンモニアガス濃度を約20ppmに調整した。このサンプリングバッグ内にアンモニア検知管を挿入し、この直後(0分後)〜60分後までのサンプリングバッグ内のアンモニア濃度を適宜測定した(表3)。なお、サンプルを入れないブランク区(BL)を設け、対照区として、珪藻土,セラミックス,トルマリンを付着させていない糸より作成した10cm四方の布地を使用した区を設けた。
Figure 0004067547
注 単位はppm。NDは検出限界未満であり1ppm未満。
表3に示すように、試験区1,2において、測定開始後からアンモニア濃度の急激な減衰が確認でき、試験開始15分後に1/3以下となり、試験区1においては1時間後にアンモニアガスを検出できなかった。対照区においてもアンモニアガスは減少しているものの、その速度は遅く、両試験区におけるアンモニア吸着力による脱臭効果が確認された。更に、珪藻土,セラミックス,トルマリンの使用量が多い試験区1の方が、これらの使用量が少ない試験区2よりも、脱臭性が高いことが確認された。
また、機能性糸11は、軽量な珪藻土を使用しているため、機能性を持った軽量な衣料の材料とすることができる。また、短繊維2aはポリエステル繊維に限定するものではなく、その他の化学繊維や、綿・羊毛等の天然繊維を利用することもでき、機能性糸11は、衣料をはじめカーペット等の他の産業にも利用可能である。
さらに、本発明の機能性糸11(表2の試験区1の混合条件で製造)を原料として布帛材料(布地)を製造し、この布帛材料によりマットを製造した。そして布団上にこのマットを敷き、この上に長期間入院している患者が寝た結果、使用後約1ヶ月半から、患者の床擦れ現象が改善された。床擦れ現象とは、長く病気で床についていて、体の一部が圧迫されることで血流が悪くなり、床に当たる体の部分が擦れて爛れる現象である。本発明の布帛材料により作られたマットを使用したことにより、これに含まれる珪藻土が多孔質であることから、患者の体の汗等の水分を吸着させて外部に放出させることができる。これにより、床に当たる体の部分を乾燥させることが可能となり、この部分の酸欠を抑制することができると推察される。従って、患者の細胞が壊死することを防止することができ、さらに、機能性糸11の前述した種々の作用も重なって細胞が活性化されると推察される。なお、本発明の布帛材料は、マットのみならず布団等の寝具に適用しても効果が期待できる。
本発明の機能性繊維である機能性ワタおよび機能性糸は、保温性、脱臭性、抗菌性等を併せ持った寝具、衣料等に広く利用することができる。
本発明の第1の実施形態の機能性繊維である機能性ワタを示す図である。 図1のA部を拡大して示した概略図である。 図2におけるA−A線断面図である。 本発明の第1の実施形態の機能性繊維である機能性糸を説明する図であり、(a)は本発明の機能性糸の断面を示す模式図、(b)は従来の機能性糸の断面を示す模式図である。 本発明の第2の機能性短繊維の断面を示す模式図である。 本発明の第2の実施形態である機能性糸を説明する図であり、(a)は本発明の機能性糸の断面を示す模式図、(b)は従来の機能性糸の断面を示す模式図である。 本発明の機能性ワタの放射特性を示す図である。 本発明の機能性糸からつくられた布地の放射特性を示す図である。 一般的なセラミックスの遠赤外線放射特性を示す図である。
符号の説明
1 機能性ワタ
1a ワタ
2,12 機能性短繊維
2a,22a,42a 短繊維
4 バインダー
5,15,25,45 微紛
5a,15a セラミックス
5b,15b 珪藻土
5c,15c トルマリン
11,31 機能性糸
20,40 糸
21,41 従来の機能性糸

Claims (5)

  1. 遠赤外線放射機能と脱臭性、抗菌性を付与した機能性繊維であって、繊維の一部または全部に遠赤外線を放射する無機物質のなかの1種以上からなるセラミックスと珪藻土とトルマリンとを含む微粉が付着しており、前記微粉全体に含まれる珪藻土の質量割合は70%〜85%であることを特徴とする機能性繊維。
  2. 前記セラミックスは、酸化亜鉛の粉砕物と酸化アルミニウムの粉砕物とを主体とする混合物を焼結したものである請求項1記載の機能性繊維。
  3. 前記繊維は、短繊維からなるワタであり、該短繊維に前記微粉が付着した機能性短繊維を有している請求項1または2に記載の機能性繊維。
  4. 請求項記載の機能性繊維を解して得られる機能性短繊維から製造されることを特徴とする機能性糸。
  5. 請求項記載の機能性糸により製造されていることを特徴とする布帛材料。
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