JP4067187B2 - 光ファイバー用クランプ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、光ファイバー用クランプに関するものであり、更に詳細には、光通信機器に光ファイバーを接続する際に、配線盤などの取り付け面上に配線する際に使用する光ファイバー用クランプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバー1の一般的構造は、図8に示すとおり、中心に光を通すコア1a、該コア1aの周囲を取り巻くクラッド1b、及び外皮1cからなり、クラッド1bは、コア1aの光屈折率が小さい素材を使用し、クラッド1b側に入射する光をコア1a内に反射させるようにしており、また、コア1a及びクラッド1bには一般にシリカなどの光学ガラスが使用され、また外皮1cには、1層又は複数層の軟質樹脂又はゴム、例えばシリコーンゴム、ポリエチレン、ポリウレタンなどが使用され、クラッド3の直径が一般に100〜150μm、外皮1cの直径が0.8〜0.9mm程度であることは周知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、光ファイバー、特にガラス系の光ファイバーは、電線のように自由に屈曲させることができないため、一定の曲率以上に曲げることができない。そこで、光通信機器の周囲には複数の光ファイバーが緩いカーブを描いて乱雑に配置されるという問題がある。
【0004】
そこで、配線盤上の光ファイバーの配線が乱雑にならないように、従来から図9(A)に示すような弾性材で作られたクランプ2が使用されている。クランプ2は、開環状に形成され、且つ配線盤などの取り付け面(図示せず)に固定可能に形成した保持部2aと、先端の取り付けた球部2bとの間がいすかの嘴状に湾曲した係合部2cを形成したものであり、例えば、開環状態の保持部2aに、光ファイバー1を配置し、図9(B)に示すように、係合部2cを互いに絡ませて保持部2aの開環部を閉じて使用する。
【0005】
前記したように光ファイバー1は1mm以下の細い線であり、操作性などの理由で把持させることが困難なためルーズに保持され、光ファイバーを固定できないという問題がある。
本発明は、以上説明した問題に着目して成されたものであり、構造が簡単で、複数の光ファイバーを保持することができ、しかも配線盤に光ファイバーを配線する際の操作性に優れた光ファイバー用クランプを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成するための本発明の光ファイバー用クランプは、光ファイバー(1)を取付け面に固定する光ファイバー用クランプ(3)であって、前記光ファイバー用クランプ(3)は、対向する側面を貫通する切込み(4a)を有するブロック状の弾性体からなる把持部(4)と、該把持部(4)の他の対向する側面及び底面を外側から保持すると共に、前記光ファイバー用クランプ同士(3 1 、3 2 )を連結する連結部(6)と、前記取付け面への取付け部(7)とを備えるコ字状の枠(5)とから構成され、前記連結部(6)は、前記枠(5)の一方の側壁の少なくとも一部から外側へ突出し底面に平行な断面がそれぞれ略T字状及び略L字状である2つの係合部(6 1 a、6 1 e)からなると共に、該略T字状の係合部(6 1 a)の一方の端部(6 1 c)を、先端が徐々に内側へ向かう傾斜面を外面に形成しつつ該略L字状の係合部(6 1 e)までの中間位置手前まで延在した第1の連結部(6 1 )と、前記枠の他方の側壁から外側へ突出し、該第1の連結部(6 1 )を該側壁に平行に延びる仮想軸の周りに180°回転した形状を有する第2の連結部(6 2 )とからなり、一方の前記光ファイバー用クランプ(3 1 )における第1の連結部(6 1 )の傾斜面と、他方の前記光ファイバー用クランプ(3 2 )における第2の連結部(6 2 )の傾斜面とを押しつけ合わせて前記T字状の係合部(6 1 a、6 2 a)の他方の端部(6 1 d、6 2 d)を梃子の作用により外側へ移行させつつ、該傾斜面に沿って該光ファイバー用クランプ同士(3 1 、3 2 )を互いに反対方向へ移動させて該端部(6 1 d、6 2 d)を前記略L字状の係合部(6 2 e、6 1 e)に係合させるようにしたものである。
【0007】
前記弾性体には特に限定はないが、例えば合成ゴムなどのゴム弾性材、ポリエチレンその他の軟質樹脂などの発泡体を使用することができる。発泡体を使用すると、材料の選定の外、発泡密度、スリットの幅などを調整することにより、光ファイバーを挿入する際の作業性及び、挿入した後の把持力などの調整に有利である。
【0008】
前記把持部に枠を取り付け、該枠を、前記スリットに光ファイバーの挿入を妨げないように形成し、該枠に前記取付け部を設けることができる。なお、前記スリットに光ファイバーの挿入を妨げない手段としては、例えば3方が開放されたコ字状の枠を形成するとよい。このようにすると、複数のクランプを互いに連結させたり、前記把持力の補強、前記取り付け部の形成などに役立てることができる。
【0009】
本発明クランプを配線盤などに取り付け手段には特に限定はないが、機械的手段、接着手段、粘着手段などを用いることができる。そして、前記枠を使用する場合には,ネジ止め用スクリュータップなどの手段を採用することができる。前記枠に連結部を設け、別のクランプと連結可能に形成することができる
【0010】
【発明の実施の形態】
以下添付の図面を参照し、一実施の形態を示すことにより本発明を具体的に説明する。
本実施の形態のクランプ(光ファイバー用クランプ)3は、図1に示すとおり、把持部4及び枠5からなり、前記把持部4は、シリコーンゴム、ポリエチレン、ポリウレタンなどの発泡体から成り、把持部4を横断して所定深さに達する切り込みからなるスリット4aを設け、且つ上端部をVカット4bとし、光ファイバー1の挿入を容易にした。また前記枠5は、光ファイバー1のスリット4aへの挿通の邪魔にならないようにコ字状に形成した。
【0011】
本実施の形態の把持部4は、図2(A),(B)に示すように左右2つのブロックで形成し、外見上はスリット4aが下端部に達するように見えるが、実質的には、両側の側面4dを横断し、且つ下端部に設けたスクリュータップ(図3参照)からなる取付け部7を嵌入する円筒状窪み4cまでの切り込みからなるものである。該把持部4の使用材料、発泡密度、形状及び大きさ、及びスリット4aの幅などを調整することにより、光ファイバー1の挿入の際の作業性と、配線条件から生じる光ファイバーの反力に抗することができる把持力を得ることができる。
【0012】
枠5は、例えばPBT(ポリブチルテレフタレート)、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)などの樹脂による射出成形体であり、図3(A),(B)に示すとおり、内側面縦方向にフィン5aを設け、把持部4を枠5に押し込み状に挿入して係合させ、把持部4が枠5から容易に脱出しないようにした。
【0013】
本実施の形態の取付け部7は、枠5の底部5bの内側に向けて突出させてスクリュータップにより形成し、配線基板側からネジ止めしたり、把持部4のスリット4aの間からネジを差し込み固定するようにした。なお、底部5bを平坦に形成し、粘着手段により取り付け面に固定することもできる。なお図3(A),(B)に示す符号7aは補強用リブである。
【0014】
本実施の形態の連結部6は、複数のクランプ3を連結できるようにしたものであり、図3(A),(B)、図4及び図5に示すとおり、枠5の両側壁5cの外側縦方向にフィン状のガイド6aを突出し、これに係合部6c,6dを、また前記同様フィン状に突出させたガイド6bに係合部6eを、それぞれ取り付けたものである。
【0015】
連結部6の連結の仕方を図6によって説明する。図6において、サフィックス1及び2によって、それぞれ連結する2つのクランプを識別する。図6において、係合部61cと係合部62cとが先端部イを突き合わせ状に弾性係合するものである。即ち、図6にΔで表した部分は、枠5の幅方向中心線より僅かに突出した部分であり、したがって互いに連結部6の関係部分が弾性変形することにより突き合わせ状に係合させる。
【0016】
また、係合部61dは係合部62eと、係合部61eは係合部62dとそれぞれ噛み合わせ状に係合し、クランプ31,2 の連結方向に離脱することを防止すると共に、ガイド6aに深さδ(図5,6)の窪みロ(図5参照)を設け、係合部61c及び係合部62cの先端部が、窪みロに嵌入させてガイド6a,6bの長手方向の離脱を防止した。
【0017】
以上のように連結部6を形成したために、クランプ31 のガイド6aとクランプ32 のガイド6bとを滑らせて連結させるには、係合部61c,62cによってガイド6aが僅かに弾性変形する必要があり、ある程度力を入れて押し込むするようにする必要がある
【0018】
以上の説明したように形成した本実施の形態のクランプ3の使用状態の一例を図7によって説明る。図7は、光通信機器8に光ファイバー挿入端子8a〜8dに、光ファイバー導入口Aから導入した光ファイバー1d〜1gを配線する場合について示したものである。図7に示すよう、予め光ファイバー1d〜1gの配線経路にクランプ31,2 を配置・固定し、それぞれのスリット41a,42aに、光ファイバー1d〜1gを挿入・把持させることにより、配線経路が無理なく配線することができる。なお図7に示す符号1hは光ファイバーの先端部に取り付けたコネクター、1jは光ファイバーコードである。
【0019】
これに対し、図9で示した従来のクランプ2のように光ファイバーを把持することなく取り付けた場合には、単に光ファイバーの通過点をルーズに規定するのみであるから、配線経路が光ファイバーの弾性などに依存したものとなり、単に配線が乱雑になるばかりでなく、施工が適当でないと応力集中箇所が発生し、例えば光ファイバーの破断などが起こるおそれを生じる。
【0020】
前記実施の形態の変形として、把持部4を1つのブロック体によって形成し、スリット4aを把持部4の中間まで形成することもできる。
別の実施の形態として、把持部4のみによってクランプ3としたものである。即ち、図2(A),(B)に示した把持部4と同様形状の弾性材ブロック(例えばシリコーンゴム発泡体)を用い、所定深さまでスリット4aを形成し、底部4e(図2(B))に粘着剤を塗布したものである。このように形成したクランプ3も、前記実施の形態のクランプと同様に光ファイバー1を好適に保持させることができる。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の光ファイバー用クランプは、単にスリットに挿入するのみで光ファイバーを装着することができ、したがって取り外しも容易であり、また装着した光ファイバーを把持・固定できるので、無理のない配線計画であれば、計画に一致させた経路で配線することができる。また、配線盤などの取り付け面への固定、クランプ相互の連結が容易に行えるなどの効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態による光ファイバー用クランプの概要及び使用方法を説明するための斜視図である。
【図2】(A)は図1に示す把持部2の平面図であり、(B)は一部破断して示した側面図である。
【図3】(A)は図1に示した枠の平面図であり、(B)は一部破断して示した側面図である。
【図4】図3のIV−IV線矢視図である。
【図5】図3のV−V線矢視断面図である。
【図6】図3、図4に示す連結部の使用状態を示す断面図である。
【図7】図1に示すクランプを用いた光ファイバーの配線の様子の一例を示す斜視図である。
【図8】従来から使用される光ファイバーの構造の概要を一部破断して示した斜視図である。
【図9】従来から使用される光ファイバー用クランプの一例であって、(A)は使用前の状態を示す斜視図であり、(B)は使用中の状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 光ファイバー 1d 光ファイバー
1e 光ファイバー 1f 光ファイバー
1g 光ファイバー 3 クランプ
1 クランプ 32 クランプ
4 把持部 4a スリット
41a スリット 42a スリット
5 枠 5a フィン
5b 底部 5c 側壁
6 連結部 6a ガイド
6b ガイド 6c
6d 係合部 6e 係合部
61c 係合部 61d 係合部
62e 係合部 62c 係合部
62d 係合部 61e 係合部
7 取付け部 8 光通信機器

Claims (3)

  1. 光ファイバー(1)を取付け面に固定する光ファイバー用クランプ(3)であって、
    前記光ファイバー用クランプ(3)は、
    対向する側面を貫通する切込み(4a)を有するブロック状の弾性体からなる把持部(4)と、
    該把持部(4)の他の対向する側面及び底面を外側から保持すると共に、前記光ファイバー用クランプ同士(3 1 、3 2 )を連結する連結部(6)と、前記取付け面への取付け部(7)とを備えるコ字状の枠(5)と、
    から構成され、
    前記連結部(6)は、
    前記枠(5)の一方の側壁の少なくとも一部から外側へ突出し底面に平行な断面がそれぞれ略T字状及び略L字状である2つの係合部(6 1 a、6 1 e)からなると共に、該略T字状の係合部(6 1 a)の一方の端部(6 1 c)を、先端が徐々に内側へ向かう傾斜面を外面に形成しつつ該略L字状の係合部(6 1 e)までの中間位置手前まで延在した第1の連結部(6 1 )と、
    前記枠の他方の側壁から外側へ突出し、該第1の連結部(6 1 )を該側壁に平行に延びる仮想軸の周りに180°回転した形状を有する第2の連結部(6 2 )と、
    からなり、
    一方の前記光ファイバー用クランプ(3 1 )における第1の連結部(6 1 )の傾斜面と、他方の前記光ファイバー用クランプ(3 2 )における第2の連結部(6 2 )の傾斜面とを押しつけ合わせて前記T字状の係合部(6 1 a、6 2 a)の他方の端部(6 1 d、6 2 d)を梃子の作用により外側へ移行させつつ、該傾斜面に沿って該光ファイバー用クランプ同士(3 1 、3 2 )を互いに反対方向へ移動させて該端部(6 1 d、6 2 d)を前記略L字状の係合部(6 2 e、6 1 e)に係合させる光ファイバー用クランプ。
  2. 前記弾性体がゴム弾性体又は樹脂エラストマーからなる発泡体である請求項1記載の光ファイバー用クランプ。
  3. 前記取付け部(7)が、前記枠の底面から内側へ向けて形成されたネジ止め用スクリュータップからなる機械的手段、又は該底面に塗布された粘性体からなる粘着手段である請求項1又は2に記載の光ファイバー用クランプ
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