JP4066809B2 - エアバッグ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、折り畳まれたエアバッグとエアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターとを収納させる有底の箱形状とされて、一端側を開口させて構成される板金製のケースと、ケースの開口を覆ってエアバッグの展開膨張時に開き可能とされる扉部を有する構成のエアバッグカバーと、を備える構成のエアバッグ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記構成のエアバッグ装置では、エアバッグカバーをケースに対して組み付ける閂部材は、ケースの底壁部側に固定される固定部と、固定部と略直交するように固定部から突出する複数の閂部と、を備える構成であった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、固定部は、ケースにおける底壁部と周壁部との交差部位付近で、屈曲されている構成であった。
【0004】
この従来のエアバッグ装置では、閂部材を利用してエアバッグカバーをケースに対して組み付けた際、閂部材の固定部における屈曲部位が、エアバッグカバーの組付片よりも外部側に、露出していた。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−67852公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、例えば、上記のような構成のエアバッグ装置を、車両における周辺機器が近接して配設されるような狭い部位に搭載させる場合、閂部材の固定部における屈曲部位が、エアバッグ装置の周辺に配設される部材に干渉する虞れがあった。
【0007】
また、閂部材の固定部における屈曲部位が露出しないように、例えば、エアバッグカバーの組付片に、屈曲部位を収納可能なように、周縁を切り欠いて構成される凹部を配設させることも考慮できるが、組付片における係止穴部から周縁までの距離が短く設定されたエアバッグカバーを使用する構成のエアバッグ装置の場合、組付片における凹部から係止穴部までの距離が短くなって、組付片の十分な組付強度を確保できない虞れもあった。すなわち、エアバッグの展開膨張時には、膨張するエアバッグが扉部を強く押圧しつつ、扉部の周囲に配設される破断予定部を破断させて、扉部を押し開くこととなるため、エアバッグカバーをケースに組み付ける組付片も、押圧される扉部に伴って、エアバッグの突出方向に沿って強く引っ張られるような態様となる。そのため、エアバッグカバーをケースに強固に組み付けるために、組付片における係止穴部から縁部までの距離を十分確保して、組付片の組付強度を確保する必要があった。
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、十分な組付強度を確保して、エアバッグカバーをケースに組み付けることができ、かつ、装置自体のコンパクト化を図ることも可能なエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るエアバッグ装置は、折り畳まれたエアバッグとエアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターとを収納させる有底の箱形状とされて、一端側を開口させて構成されるケースと、
ケースの開口を覆ってエアバッグの展開膨張時に開き可能とされる扉部を有する構成のエアバッグカバーと、
を備えるとともに
ケースが、一端側を開口された略四角筒形状の周壁部と、周壁部の他端側を塞ぐ底壁部と、を備えて構成され、
周壁部が、エアバッグカバーを組み付けるための係止突起を、備え、
エアバッグカバーが、周壁部の近傍に配設されるとともに、係止突起を使用してケースに組み付けられる組付片を備えて構成され、
組付片には、係止突起を挿通可能な係止穴部が形成され、
係止突起が、係止穴部への挿通時に、組付片から突出する突出部を備えて構成され、
ケースと別体に構成されて、突出部の係止穴部からの抜けを防止可能に、突出部と組付片との間に閂状に配設固定される閂部材により、係止突起が係止穴部周縁に組み付けられて、エアバッグカバーがケースに組み付けられる構成のエアバッグ装置において、
閂部材が、
ケースの底壁部側に固定される固定部と、
ケースの周壁部側であって突出部と組付片との間に配設されて、突出部の抜け止め防止用の帯状の閂部と、
を備えて構成され、
固定部には、ケースの底壁部側から周壁部側に向かって屈曲して延びるとともに、閂部と略平行とされる帯状の延設部が、形成され、
閂部は、延設部と略直交するように形成されて延設部と閂部とを連結する連結部を介して、延設部から左右方向にオフセットされるようにして、配設されていることを特徴とする。
【0010】
本発明のエアバッグ装置では、屈曲部位が形成される延設部と、係止穴部から突出した突出部と組付片との間に配設される閂部と、が、左右方向にオフセットされていることから、仮に、組付片に屈曲部位を収納するための凹部を形成する場合にも、凹部は、係止穴部から左右方向にオフセットされた位置に、形成されることとなる。そのため、係止穴部から組付片周縁までの実質的な距離を縮めることなく、凹部を形成することができて、組付片の強度低下を防止できることから、エアバッグカバーのケースへの十分な組付強度を確保することができる。
【0011】
また、このように、組付片に凹部を構成する場合には、閂部材における延設部の屈曲部位を、凹部内に収納させるような態様となって、閂部材が、組付片より外側に大きく突出しないことから、装置自体のコンパクト化も図ることができる。
【0012】
従って、本発明のエアバッグ装置では、十分な組付強度を確保して、エアバッグカバーをケースに組み付けることができ、かつ、装置自体のコンパクト化を図ることも可能である。
【0013】
また、上記構成のエアバッグ装置において、エアバッグ装置が、着座した乗員の膝の前方に配設されて、エアバッグの展開膨張時に、乗員の膝を保護可能な構成の膝保護用エアバッグ装置とされて、
係止突起が、周壁部における上下方向で対向するように配設される壁部であって下部側に配設される下壁部に形成され、
係止穴部が、組付片において、エアバッグカバーにおける扉部周縁に配設される一般部から露出した部位に、形成されている構成とすることが好ましい。
【0014】
エアバッグ装置を上記のような構成とすれば、車両搭載時において周縁に配設される車両の内装材等の湾曲形状に併せて、扉部が、下端側を車両前方側に位置させるように傾斜して構成される膝保護用エアバッグ装置に、本発明を適用する場合にも、係止穴部がエアバッグカバーの一般部から露出した部位に、形成されていることから、エアバッグカバーのケースへの組付時に、目視により、閂部材を利用した係止突起と係止穴部との組付状態を確認することができて、組付作業性を安定させることができる。
【0015】
さらに、上記構成のエアバッグ装置において、閂部が、1つの固定部に対して、複数個、配設されている構成とすれば、1つの固定部をケースに固定させるだけで、複数の閂部を固定できることから、閂部材のケースへの固定作業が容易となり、好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、実施形態では、本発明を適用可能なエアバッグ装置として、膝保護用エアバッグ装置Sを例に採り、説明する。
【0017】
膝保護用エアバッグ装置Sは、図1〜3・6に示すように、乗員としての運転者MDの膝Kを保護できるように、運転者MDの車両前方側であるステアリングコラム10の下方に配設されている。
【0018】
なお、本明細書における上下、左右、及び、前後は、膝保護用エアバッグ装置Sを車両に搭載させた際の車両の上下・左右・前後に対応するものである。
【0019】
ステアリングコラム10は、図1に示すように、ステアリングホイール8に連結されるコラム本体11と、ステアリングホイール8の下方のコラム本体11を覆うように配設されるコラムカバー15と、を備えて構成されている。コラム本体11は、メインシャフト12と、メインシャフト12の周囲を覆うコラムチューブ13と、を備えて構成されている。
【0020】
コラムカバー15は、略四角筒形状の合成樹脂製として、コラム本体11を覆うように、コラム本体11の軸方向に沿って配設されている。コラムカバー15におけるインストルメントパネル(以下「インパネ」と省略する)17から突出する部位の後面15aは、略長方形形状とし、車両前後方向で、後上がりの曲面状に形成されている。
【0021】
膝保護用エアバッグ装置Sは、折り畳まれたエアバッグ64、エアバッグ64に膨張用ガスを供給するインフレーター56、折り畳まれたエアバッグ64とインフレーター56とを収納するとともに車両後方側を開口させたケース20、及び、ケース20における開口21aの車両後方側を覆うエアバッグカバー44を、備えて構成されている。
【0022】
ケース20は、図1〜3に示すように、板金製として、ステアリングコラム10の下部側に配設されている。そして、ケース20は、それぞれ別体に形成されるケース本体21と支持部材25とを備えて構成されている。ケース本体21と支持部材25とは、支持部材25の後述する固着部30をケース本体21の後述する周壁部22に溶接固定させることにより、一体化されている。
【0023】
ケース本体21は、車両後方側を開口させた略四角筒形状の周壁部22と、周壁部22の車両前方側を塞ぐ底壁部23と、を備えて構成されている。また、ケース本体21は、周壁部22の軸方向を略水平方向として配設されるとともに、周壁部22における開口面を、下部側を車両前方側に位置させるように、傾斜させて構成されている。すなわち、実施形態では、周壁部22の上下方向で対向する上壁部22aと下壁部22bにおいて、上壁部22aの前後方向における幅寸法を、下壁部22bの前後方向における幅寸法より大きく設定して、周壁部22における上壁部22a側が下壁部22b側よりも車両後方側に突出するような態様としている。周壁部22の左右方向の一側面には、インフレーター56の後述する本体57の端部を挿通可能な挿通孔22cが、形成されている(図3参照)。また、底壁部23には、インフレーター56の後述するボルト58cを挿通させるための挿通孔23aが、形成されている。
【0024】
支持部材25は、エアバッグ64の展開膨張時において、エアバッグカバー44の一般部45を介在させて、展開膨張したエアバッグ64の車両前方側を支持可能とするもので、本体部26と、ケース20を車両のボディ1側に取付固定する取付部36と、エアバッグカバー44を組み付ける係止爪部31・係止突起34と、を備えて構成されている。
【0025】
本体部26は、ケース本体21の開口21a周縁から延びて略長方形板状とされるもので、ケース本体21の開口21aと対応する位置に、ケース本体21の周壁部22における開口21a周縁部位を挿通可能とされる嵌挿穴27を備えて構成されている。そして、嵌挿穴27周縁には、車両前方側に突出するように配設されて、周壁部22における開口21a近傍部位の外周面に固着されることとなる固着部30が、配設されている。この固着部30は、実施形態の場合、嵌挿穴27周縁に、略全周にわたって配設されている。なお、実施形態では、固着部30における左右両側に配設される部位30c・30dは、先端付近で周壁部22に固着されることとなり、元部側の部位30eと周壁部22との間に隙間を設けるように、形成されている。そして、この元部側の部位30eと周壁部22との間に、エアバッグカバー44における後述する左・右側壁部49・50が、配設されることとなる(図3参照)。また、本体部26における嵌挿穴27の上方側近傍となる部位には、表裏を貫通するように、略長方形形状に開口した複数(実施形態では4個)の貫通孔28が、形成されている。これらの貫通孔28は、エアバッグカバー44の後述する組付片47を挿通させるためのもので、本体部26において、組付片47を組み付ける係止爪部31近傍となる位置に、形成されている。
【0026】
係止爪部31は、固着部30において、周壁部22の上壁部22a側となる部位30aから延設されて、配設されている。この係止爪部31は、左右方向に沿って複数個(実施形態では4個)配設されている。各係止爪部31は、係止軸部31aと係止片部31bとを備えて構成されている。係止軸部31aは、固着部30の上壁部22a側となる部位30aから上方に突出して、エアバッグカバー44の組付片48に形成される係止穴部48aに挿通可能とされている。係止片部31bは、係止軸部31aの先端から車両前方側に向かって屈曲して配設されて、係止穴部48a周縁に係止可能な構成とされている。
【0027】
係止突起34は、固着部30において、周壁部22の下壁部22b側となる部位30bから延設されて、配設されている。係止突起34は、左右方向に沿って複数個(実施形態では4個)配設されており、それぞれ、固着部30の下壁部22b側となる部位30bから下方に突出するように、形成されている。各係止突起34は、エアバッグカバー44の組付片48に形成される係止穴部48aに挿通可能とされるもので、支持部材25と別体とされる閂部材38により、係止穴部48a周縁に組み付けられる構成である。また、各係止突起34は、組み付け時に、組付片48から下方に突出する突出部34aを備えており、突出部34aには、前後方向に貫通して閂部材38の後述する閂部41を挿入させる挿入孔34bが、形成されている。また、実施形態の場合、図4・5に示すように、右側に配設される2つの係止突起34Aは、左側に配設される2つの係止突起34Bよりも、車両後方側にオフセットされて、配設されている。
【0028】
閂部材38は、板金製とされて、ケース20の底壁部23側に固定される固定部39と、係止突起34の挿入孔34bに挿入されて突出部34aの抜け止め防止用の閂部41と、を備えている。固定部39は、ケース底壁部23に沿って、上下方向に沿うように、形成されている。また、固定部39には、インフレーター56のボルト58cを挿通させるための取付孔39aが、形成されている。
【0029】
また、固定部39には、ケース周壁部22側(閂部41側)に向かって屈曲して延びる延設部39bが、形成されている。この延設部39bは、帯状とされて、閂部41と略平行となるように、前後方向に沿って配設されている。実施形態の場合、延設部39bは、固定部39における左右両端付近となる2箇所に、配設されている。そして、延設部39bは、エアバッグカバー44の組付片48における前端付近が配設される部位付近で、ケース周壁部22に沿うように、車両後方側に向かって屈曲されている。実施形態の場合、この屈曲部位39cは、エアバッグカバー44の組付片48に形成される後述する凹部48bに、嵌め込まれることとなる。
【0030】
そして、延設部39bの車両後端側には、長手方向の中央付近で延設部39bと略直交するように配設されるとともに、両端を、それぞれ、閂部41・41と連結される連結部40が、連結されている。すなわち、閂部41は、連結部40を介して、延設部39bから左右方向にオフセットされるようにして、配設されている。実施形態の場合、1つの延設部39bに対して、2つの閂部41・41が、連結されている。すなわち、実施形態の場合、閂部41は、4箇所に、配設されている。また、実施形態の場合、右側に配設される連結部40Aは、左側に配設される連結部40Bより、車両後方側に、オフセットされて配設されている。すなわち、実施形態の場合、連結部40Aに連結されて右側に配設される閂部41A・41Aは、連結部40Bに連結される左側の閂部41B・41Bより車両後方側に、オフセットされることとなる。
【0031】
各閂部41は、車両前後方向に沿って配設される帯状とされて、各係止突起34の突出部34aに形成される挿入孔34bに挿入可能とされている。すなわち、閂部材38は、各閂部41を、各挿入孔34bに挿入させて、各係止突起34における突出部34aの頂部の裏面と組付片48の下面との間に閂状に配設固定させることにより、各係止突起34の係止穴部48aからの抜けを防止する構成である。そして、閂部材38は、インフレーター56をケース20に固定させるためのボルト58c及びナット59を使用して、インフレーター56とともにケース20に固定されることとなる。
【0032】
取付部36は、実施形態の場合、本体部26の周縁における四隅に、形成されている。各取付部36には、ケース20をボディ1側にボルト止めするための取付孔36aが、形成され、各取付部36を取り付けるボディ1側には、図6に示すように、ブラケット4・5・6が、配設されている。上部側の取付部36A・36Aを取り付けるブラケット4・4は、ボディ1側のインパネリインフォースメント2に連結されている。そして、下部側の取付部36B・36Cを取り付けるブラケット5・6は、ボディ1側の図示しないセンターブレースやフロントボディピラーに、それぞれ、連結されている。なお、実施形態の場合、取付部36Bは、本体部26と別体に形成されて、端部を溶接固定させることにより、本体部26と一体化されている構成である(図4参照)。
【0033】
エアバッグカバー44は、ポリオレフィン系等の熱可塑性エラストマーから形成されて、ケース20における開口21aの車両後方側を覆い可能なように構成され、ケース20に組み付けられている。また、エアバッグカバー44は、アッパパネル17aとロアパネル17bとからなるインパネ17におけるロアパネル17b側に、配設されており、ケース20の開口21a付近に配設される扉配設部46と、扉配設部46の周囲に配設される一般部45と、を備えて構成されている。
【0034】
扉配設部46における下部側を除いた周囲には、扉配設部46に隣接して、ロアパネル17bが、配設されている。扉配設部46の下部側には、後述する扉部53と連続的に形成される一般部45の庇部45aが、配設されている。実施形態の場合、扉配設部46とロアパネル17bとは、車両後方側の面を略面一とするように、配設されている(図3参照)。そして、扉配設部46は、扉部53と、扉部53の周縁近傍となる部位に配設される上・下・左・右側壁部47・48・49・50と、を備えて構成されている。
【0035】
扉部53は、ケース20の開口21aより僅かに大きく形成されて、開口21aを覆う略長方形板状とされている、扉部53は、実施形態の場合、上方に開く上扉部53Aと、下方に開く下扉部53Bと、の2枚の扉部から構成されている。すなわち、扉部53は、上端及び下端に、上・下扉部53A・53Bが開く際の回転中心となるヒンジ部52を配設させるとともに、上・下扉部53A・53Bの周囲における車両後方側から見て略H字形状となる部位に、薄肉の破断予定部51を配設させて、構成されている。
【0036】
上側壁部47、下側壁部48、左側壁部49、及び、右側壁部50は、それぞれ、ケース本体21における周壁部22の外周側に隣接して、車両前方側に突出するように、配設されている。また、上側壁部47、下側壁部48、左側壁部49、及び、右側壁部50は、それぞれ、周壁部22と略平行となるように、配設されている。そして、上壁部22a近傍に配設される上側壁部47と、下壁部22b近傍に配設される下側壁部48と、が、エアバッグカバー44をケース20に組み付ける組付片とされることとなる。なお、実施形態の場合、上側・下側壁部47・48は、それぞれ、支持部材25における固着部30a・30bの外周側に配設され、左側・右側壁部49・50は、それぞれ、ケース本体21における周壁部22と、支持部材25における固着部30c・30dの元部側の部位30eと、の間に配設されている(図2・3参照)。
【0037】
組付片としての上側壁部47は、係止爪部31にあわせて、左右方向に沿って、複数個(実施形態では4個)配設されており、それぞれ、係止爪部31を係止させるための略長方形状に開口した係止穴部47aを備えている。また、各上側壁部47は、左右方向の幅寸法を、支持部材25の本体部26に配設される貫通孔28に、挿通可能な寸法に設定されている。
【0038】
組付片としての下側壁部48は、略長方形板状として、係止突起34を係止させるための複数(実施形態では4個)の略長方形状に開口した係止穴部48aを、備えて構成されている。そして、実施形態の場合、係止突起34(34A・34B)の配置位置にあわせて、右側に配設される2つの係止穴部48aaは、左側に配設される2つの係止穴部48abより、車両後方側に、オフセットされて配設されている。また、各係止穴部48aa・48abは、扉配設部46の下部側に配設される一般部45の庇部45aから露出するように、形成されている。そして、下側壁部48の前縁において、係止穴部48aa・48aa間と、係止穴部48ab・48ab間と、なる部位には、それぞれ、縁部48cを車両後方側へ切り欠くようにして、凹部48bが、形成されている。この凹部48bは、閂部材38における延設部39bの屈曲部位39cを、それぞれ、収納させるものである。また、実施形態の場合、下側壁部48は、各係止穴部48aa・48ab周縁から縁部48cまでの距離を略同一とするように、縁部48cにおける右側半分の部位を、車両後方側へ切り欠いた構成とされている(図4参照)。
【0039】
一般部45は、図2・3に示すように、庇部45aを除いて、扉配設部46の周囲に配設されるロアパネル17bに干渉しないように、扉配設部46から、ロアパネル17bの肉厚分車両前方側に凹ませるようにして、形成されている。庇部45aは、下扉部53Bの下端側から、車両前方側に向かって突出するように、下扉部53Bと連続的に、形成されている。また、庇部45aは、下縁側を、左側が車両前方側に向かって突出するように、傾斜させて形成されている(図5参照)。この庇部45aは、アンダーカバー18(図1・2参照)と共同して、扉部53付近の車内側の下方から見た際の意匠性を良好とするために、配設されている。すなわち、アンダーカバー18は、実施形態の場合、図示しないが、庇部45aの突出形状にあわせて、後縁側を、右側が車両後方側に向かって突出するように、傾斜させて形成されることとなる。なお、ロアパネル17bと一般部45とは、図示しない所定箇所において、クリップ等により固定されている。
【0040】
インフレーター56は、図1〜3に示すように、軸方向を車両の左右方向に沿って配設されるシリンダタイプとして構成され、略円柱状の本体57とディフューザー58とを備えて構成されている。本体57の一端側には、複数のガス吐出口57aが、配設されている。そして、本体57における他端側に、作動信号入力用のリード線61を結線させたコネクタ60が、接続されることとなる。ディフューザー58は、本体57を覆い可能な略円筒状の板金製の保持筒部58aと、保持筒部58aから突出する複数(実施形態では2本)のボルト58cと、を備えて構成されている。保持筒部58aは、本体57のガス吐出口57aから吐出される膨張用ガスを流出可能な複数のガス流出口58bを、車両搭載状態の保持筒部58aにおける車両後方側の面に、開口させて構成されている。
【0041】
なお、このインフレーター56には、車両に搭載されたエアバッグ作動回路が、車両の前面衝突を検知した際、ステアリングホイール8に搭載された図示しないエアバッグ装置とともに、リード線61を介して、作動信号が入力されることとなる。
【0042】
エアバッグ64は、可撓性を有したポリエステルやポリアミド糸等からなる織布から形成されて、展開膨張完了時の形状を、図1・5の二点鎖線に示すように、略長方形板状とするとともに、乗員としての運転者MDの両膝KL・KRを保護可能な左右方向の幅寸法を備える形状とされている。また、展開膨張完了時のエアバッグ64における下端側の部位には、図3に示すように、2つの挿通孔64a・64aと、1つの挿通孔64bと、が、形成されている。挿通孔64a・64aは、インフレーター56の各ボルト58cを挿通させるものであり、挿通孔64bは、インフレーター56の本体57を挿通させるものである。そして、エアバッグ64は、挿通孔64bからインフレーター56の本体57を突出させて、各挿通孔64aの周縁を、保持筒部58aとケース本体21の底壁部23とに挟持されて、ケース本体21に取り付けられている。
【0043】
次に、このエアバッグ装置Sの組み立てについて説明をする。まず、ケース20を製造する。実施形態の場合、ケース本体21と支持部材25とを、それぞれ、別体として形成し、その後、支持部材25の固着部30を、ケース本体21の周壁部22における開口近傍部位に、溶接固定することにより、ケース20を製造している。
【0044】
その後、挿通孔64aからボルト58cを突出させ、挿通孔64bから本体57の端部を突出させるように、エアバッグ64内に、インフレーター56を収納させて、エアバッグ64を折り畳む。次に、折り崩れ防止用の破断可能な図示しないラッピングフィルムにより、エアバッグ64をくるむ。このとき、挿通孔64a・64bから突出したインフレーター56のボルト58cや本体57の端部は、ラッピングフィルムから突出させておく。
【0045】
次いで、インフレーター56の各ボルト58cを挿通孔23aから突出させるとともに、インフレーター本体57の端部を挿通孔22cから突出させるようにして、インフレーター56を、折り畳まれたエアバッグ64とともに、ケース本体21内に収納させる。
【0046】
そして、エアバッグカバー44を、ケース20に組み付ける。このとき、まず、エアバッグカバー44の各上側壁部47(組付片)を、支持部材25に形成される各貫通孔28に挿入させ、上側壁部47に形成される係止穴部47aに、各係止爪部31を挿入させて、係止片部31bを係止穴部47a周縁に係止させる。その後、エアバッグカバー44における貫通孔28近傍となる部位を回転中心として、エアバッグカバー44自体を回転させるように移動させ、下側壁部48(組付片)に形成される各係止穴部48aに、それぞれ、係止突起34を挿入させる。そして、ケース22の前方側から、各閂部41を、下側壁部48から突出している各突出部34aの挿入孔34bに挿入させるとともに、固定部39の各取付孔39aに各ボルト58cを挿通させるようにして、閂部材38を配置させ、閂部材38から突出している各ボルト58cにナット59を螺合させれば、エアバッグカバー44をケース20に組み付けることができて、エアバッグ組付体SAを形成することができる。
【0047】
そして、支持部材25の各取付部36をブラケット4・5・6に固定させることにより、エアバッグ組付体SAをボディ1側に取付固定し、同時に、リード線61を結線させたコネクタ60を、インフレーター56の本体57に接続させる。その後、インパネ17やアンダーカバー18(図1・2参照)を取り付ければ、エアバッグ装置Sを車両に搭載することができる。
【0048】
エアバッグ装置Sの車両への搭載後、リード線61を経て、インフレーター56の本体57に作動信号が入力されれば、インフレーター56のガス吐出口57aから膨張用ガスが吐出され、膨張用ガスが、ディフューザー58のガス流出口58bを経て、エアバッグ64内に流入することとなる。そして、エアバッグ64は、膨張して、図示しないラッピングフィルムを破断するとともに、エアバッグカバー44の扉部53を押圧し、破断予定部51を破断させることとなる。そして、扉部53A・53Bが、ヒンジ部52を回転中心として上下に開くこととなり、エアバッグ64が、図1・6の二点鎖線で示すごとく、コラムカバー15の後面15aに沿うように、上方へ向かって大きく突出しつつ、展開膨張することとなる。
【0049】
そして、実施形態のエアバッグ装置Sでは、屈曲部位39cが形成される延設部39bと、係止穴部48aから突出した突出部34aと下側壁部48との間に配設される閂部41と、が、オフセットされていることから、屈曲部位39cを収納するための凹部48bは、係止穴部48aからオフセットされた位置に、形成されることとなる(図4参照)。そのため、係止穴部48a周縁から下側壁部48の前縁48cまでの実質的な距離を縮めることなく、凹部48bを形成することができて、下側壁部48の強度低下を防止できることから、エアバッグカバー44のケース20への十分な組付強度を確保することができる。
【0050】
また、このように、下側壁部48(組付片)に凹部48bを構成する場合には、閂部材38における延設部39bの屈曲部位39cを、凹部48b内に収納させるような態様となって、閂部材38が、下側壁部48より前方側に大きく突出しないことから、装置自体のコンパクト化も図ることができる。特に、実施形態のエアバッグ装置Sの場合、車両搭載時のエアバッグ装置Sの周囲に他の周辺機器が近接して配設されるため、エアバッグ装置Sの収納スペースが小さく、インフレーター56のリード線61も、下側壁部48近傍に配設されることとなるが、屈曲部位39cが、凹部48bに嵌め込まれて、周縁を露出させていないことから、この屈曲部位39c周縁とリード線51が干渉する虞れも生じない。
【0051】
従って、実施形態のエアバッグ装置Sでは、十分な組付強度を確保して、エアバッグカバー44をケース20に組み付けることができ、かつ、装置自体のコンパクト化を図ることも可能である。
【0052】
また、実施形態のエアバッグ装置Sでは、下側壁部48に形成される係止穴部48aが、扉部53周縁に配設される一般部45の庇部45aから露出するように、形成されている。そのため、エアバッグカバー44のケース20への組付時に、目視により、閂部材38を利用した係止突起34と係止穴部48aとの組付状態を確認することができて、組付作業性を安定させることができる。
【0053】
特に、実施形態の場合、車両への組付時において、エアバッグ装置Sの周囲のスペースを確保するために、閂部材38において、右側に配設される連結部40A及び閂部41Aを、左側に配設される連結部40B及び閂部41Bよりも、車両後方側にオフセットさせている。そのため、閂部41Aを挿入させる係止突起34A、及び、係止突起34Aを係止させる係止穴部48aaも、車両後方側にオフセットされることとなる。その結果、係止穴部48aa・48abを露出させるために、実施形態では、庇部45aが、下縁側を、右側が車両後方側に向かって傾斜するように、右側部位を切り欠かれたような形状とされている。また、実施形態のエアバッグ装置Sでは、車両搭載時のスペース確保のため、閂部材38において左右に配設される連結部40A・40Bを、前後方向においてオフセットさせていることから、例えば、右ハンドル車用のエアバッグ組付体と左ハンドル車用のエアバッグ組付体等、全体の形状が左右対称形とされるエアバッグ組付体を、組み立てる際において、閂部材の誤組付を防ぐことができる。
【0054】
さらに、上記構成のエアバッグ装置では、閂部41が、固定部39に対して、4個、配設されている構成である。そのため、固定部39を固定させるだけで4個の閂部41を組み付けることができることから、固定部に対して1つの閂部が配設されている閂部材を複数個組み付ける場合に比して、閂部材38のケース20への固定作業が容易となり、好ましい。
【0055】
なお、実施形態では、エアバッグ装置として、ステアリングコラム10の下方に配設されて運転者MDの膝Kを保護するための膝保護用エアバッグ装置Sを例に採り説明しているが、上記構成の膝保護用エアバッグ装置を、助手席に着座した乗員の膝を保護するために、助手席の前方に配設させてもよい。また、本発明を適用可能なエアバッグ装置は、膝保護用エアバッグ装置に限られるものではなく、例えば、助手席の前方に配設される助手席用エアバッグ装置等に、本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である膝保護用エアバッグ装置の使用状態を示す車両前後方向の概略拡大断面図である。
【図2】実施形態である膝保護用エアバッグ装置の車両前後方向の概略拡大断面図である。
【図3】図2のIII−III部位の概略断面図である。
【図4】同実施形態で使用するケースと、エアバッグカバーと、閂部材と、の分解背面側斜視図である。
【図5】同実施形態の膝保護用エアバッグ装置におけるエアバッグ組付体の部分拡大底面図である。
【図6】同実施形態の膝保護用エアバッグ装置の使用状態を示す車両後方側から見た概略正面図である。
【符号の説明】
20…ケース、
21…ケース本体、
21a…開口、
22…周壁部、
22b…下壁部、
23…底壁部、
25…支持部材、
34…係止突起、
34a…突出部、
34b…挿入孔、
38…閂部材、
39…固定部、
39b…延設部、
39c…屈曲部位、
40…連結部、
41…閂部、
44…エアバッグカバー、
45…一般部、
45a…庇部、
48…下側壁部(組付片)、
48a…係止穴部、
48b…凹部、
53(53A・53B)…扉部、
56…インフレーター、
64…エアバッグ、
MD…運転者、
K(KL・KR)…膝、
S…膝保護用エアバッグ装置。
Claims (4)
- 折り畳まれたエアバッグと該エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターとを収納させる有底の箱形状とされて、一端側を開口させて構成されるケースと、
該ケースの開口を覆って前記エアバッグの展開膨張時に開き可能とされる扉部を有する構成のエアバッグカバーと、
を備えるとともに
前記ケースが、一端側を開口された略四角筒形状の周壁部と、該周壁部の他端側を塞ぐ底壁部と、を備えて構成され、
前記周壁部が、前記エアバッグカバーを組み付けるための係止突起を、備え、
前記エアバッグカバーが、前記周壁部の近傍に配設されるとともに、前記係止突起を使用して前記ケースに組み付けられる組付片を備えて構成され、
該組付片には、前記係止突起を挿通可能な係止穴部が形成され、
前記係止突起が、前記係止穴部への挿通時に、前記組付片から突出する突出部を備えて構成され、
前記ケースと別体に構成されて、前記突出部の前記係止穴部からの抜けを防止可能に、前記突出部と前記組付片との間に閂状に配設固定される閂部材により、前記係止突起が前記係止穴部周縁に組み付けられて、前記エアバッグカバーが前記ケースに組み付けられる構成のエアバッグ装置において、
前記閂部材が、
前記ケースの底壁部側に固定される固定部と、
前記ケースの周壁部側であって前記突出部と前記組付片との間に配設されて、前記突出部の抜け止め防止用の帯状の閂部と、
を備えて構成され、
前記固定部には、前記ケースの底壁部側から前記周壁部側に向かって屈曲して延びるとともに、前記閂部と略平行とされる帯状の延設部が、形成され、
前記閂部は、前記延設部と略直交するように形成されて前記延設部と前記閂部とを連結する連結部を介して、前記延設部から左右方向にオフセットされるようにして、配設されていることを特徴とするエアバッグ装置。 - 前記エアバッグカバーの組付片に、縁部を切り欠くようにして、前記延設部における屈曲部位を収納可能な凹部が、形成されていることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置。
- 前記エアバッグ装置が、着座した乗員の膝の前方に配設されて、前記エアバッグの展開膨張時に、乗員の膝を保護可能な構成の膝保護用エアバッグ装置とされて、
前記係止突起が、前記周壁部における上下方向で対向するように配設される壁部であって下部側に配設される下壁部に形成され、
前記係止穴部が、前記組付片において、前記エアバッグカバーにおける扉部周縁に配設される一般部から露出した部位に、形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のエアバッグ装置。 - 前記閂部が、1つの前記固定部に対して、複数個、配設されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエアバッグ装置。
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