JP4066495B2 - 車両用シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば乗用車の後列に適用されているリヤシートに係り、特に幅方向中央部にサイド着座部よりも上方へ膨出した凸形状のセンタ着座部を有する車両用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
図5は従来の乗用車の後側のフロア形状とリヤシートのシートクッションの分解斜視図である。また、図6は図5のD−D線断面図、図7は図5のE−E線断面図、図8は図5のF−F線断面図であり、それぞれシートカバーについては分解して示している。図示のように、車体フロア30の後部には、リヤシートを設置するためのシート取付部31が一段高く設けられ、そしてフロアトンネル35の延長線である車幅方向中央部には、凸形状のセンタ部33が設けられている。なお、フロアトンネル35及びセンタ部33はFR(フロントエンジン・リヤドライブ)車の場合にはプロペラシャフトの配置空間として、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)車の場合にはマフラーの配置空間として用いられるほか、フロアの剛性を高めている。
【0003】
このため、上記のような凸形状のセンタ部33を有するシート取付部31に設置されるシートクッション36のシートクッションパッド37の裏面には、シート取付部31のセンタ部33の凸形状に対応するセンタ凹部38を設定する一方、そのセンタ凹部38に対応して表面側を中高状に膨出することによってセンタ着座部39のクッション性を確保している。
【0004】
なお、シートクッションパッド37の表面を被覆するシートカバー42は、図6〜図8に示すように、その裏面側の所要部位に多数の吊り具43を有しており、それらの吊り具43をシートクッションパッド37に設けられたインサートワイヤー41に締結することによって取り付けられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、乗用車は多くの場合、5人乗りであり、リヤシートには3人が座ることができる。従って、上述した従来構造では、センタ着座部39を挟んだ左右のサイド着座部40に座る人のホールド性が得られるという長所を有するが、その反面、センタ着座部39への着座時には、臀部の納まりがすこぶる悪く、そのため、乗り心地が悪いという問題がある。
【0006】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、センタ着座部のクッション性を損なうことなく乗り心地を向上することが可能な車両用シートを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は次のように構成したものである。即ち、請求項1の発明は、サイド着座部よりも上方へ膨出した凸形状のセンタ着座部を備え、しかも車体フロアにおける車幅方向中央部には凸形状のセンタ部を有するシート取付部の上面に設置される車両用シートであって、前記シート取付部におけるセンタ部の上面に凹部を設定し、その上側にシートクッションが載置されており、該シートクッションのクッションパッドにおけるセンタ着座部の上面には最下面が前記サイド着座部の着座面よりも上方に位置する凹部が形成され、前記センタ着座部の凹部には前記シートクッションパッドよりも柔軟で該凹部の窪み全体を埋める曲面膨出形状のソフト層が設けられているものである。
【0008】
上記のように構成された請求項1の発明によれば、シート取付部のセンタ部に凹部を設けたことにより、センタ着座部のパッド厚を低下させることなく所定のクッション性を確保した上で、センタ着座部に着座したときの臀部の納まりを良化して乗り心地を向上することが可能となる。
また、シートクッションパッドのセンタ着座部は、サイド着座部に着座した人の側方規制部位として機能するので、人体のホールド性が確保される。
【0009】
また、センタ着座部に着座したときの臀部の納まりがより良化されることになるので、乗り心地がより向上される。
【0010】
また、ソフト層を設けたことでセンタ着座部への着座時における臀部の納まりを確保した上でクッション性を高めることができるので、座り心地がより向上し、しかも不使用時においては、センタ着座部の外形を見栄えの良い形状に保持することが可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて具体的に説明する。図1は本実施の形態に係る乗用車の後側のフロア形状とリヤシートのシートクッションを示す分解斜視図である。また、図2は図1のA−A線断面図、図3は図1のB−B線断面図、図3は図1のC−C線断面図であり、それぞれシートカバーについては分解して示している。なお、シートの構成品であるシートバックは図示を省略する。
図示のように、車体フロア20の後部には、リヤシート設置用のシート取付部1がフロント側よりも一段高く設定してあり、そのシート取付部1の左右両側上面が後方に向かってやや下り勾配のシート受け面2とされている。
【0012】
また、シート取付部1の車幅方向の中央部上面には、車体フロア20の中央部を前後に延在して設けられるフロアトンネル5の延長線としての凸形状のセンタ部3が設けられている。このセンタ部3は略方形状に膨出しており、その上面には略すり鉢状の凹部4が形成されている。ただし、凹部4の深さはセンタ部3の膨出量よりも浅く設定される。
【0013】
なお、フロアトンネル5及びセンタ部3は、FR(フロントエンジン・リヤドライブ)車の場合にはプロペラシャフトの配置空間として、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)車の場合にはマフラーの配置空間として用いられるほか、フロアの剛性を高めている。
【0014】
一方、シート取付部1上面に載置されるリヤシートクッション6は、シートクッションパッド7と、そのシートクッションパッド7の表面を被覆するシートカバー16とから構成されている。シートクッションパッド7はウレタンフォームのモールド品であり、その下面がシート取付部1の上面形状に対応した形状に形成されている。即ち、シートクッションパッド7の下面には、シート取付部1のシート受け面2に対応する座面8と、センタ部3の凸形状に対応するセンタ凹部9がそれぞれ形成されるとともに、センタ凹部9にはすり鉢状の凹部4に対応する凸部10が形成されている。
【0015】
また、シートクッションパッド7の上面側は、人体のホールド性を得るために左右両縁部と後縁部が着座面よりやや高く形成され、車幅方向中央部には左右のサイド着座部11よりも高い凸形状のセンタ着座部12が形成され、そのセンタ着座部12の上面には凹部13が設けてある。
この凹部13は後方に向かって下り勾配面とされ、その凹部13内には、クッションパッド7よりも柔軟なソフト層としてのソフトウレタン14が設けられている。ソフトウレタン14は凹部13の窪み全体を埋めてセンタ着座部12の外形を整えるための成形品であり、シートカバー16をシートクッションパッド7に被せる前の段階で、予め凹部13側に嵌め込んだり、又はシートカバー16の裏面に取り付けられる。
【0016】
シートカバー16はその周縁部及び天板部に適数の吊り具17を備えており、シートクッション7の表面に被せた状態で、先ず天板部の吊り具16をクッションパッド7内のインサートワイヤ15に締結後、端末の吊り具17をインサートワイヤ15に締結することによって取り付けられる。
この場合、ソフトウレタン14はシートカバー16によってその上面を押さえつけられて固定される。従って、ソフトウレタン14を予め凹部13にセットしてから、シートカバー16のシートクッションパッド7に対する包装作業を行うときは、ソフトウレタン14が位置ずれしないように、前もって凹部13に対して、例えば接着剤等で仮止めすることが望ましい。
【0017】
上記のように構成されるリヤシートクッション6は、車内フロア20のシート取付部1の上面に載置してセットされる。このとき、シートクッションパッド7の中央下面の凸部10をシート取付部1の凹部4に嵌め込むことによって簡単に位置決めできるため、シート取付部1へのリヤシートクッション6のセット性が向上されることになり、取付作業の効率アップにつながる。
【0018】
そして、本実施の形態においては、シートクッションパッド7のセンタ着座部12の上面に凹部13を設けたことにより、着座時における臀部の納まりが良くなり、乗り心地が向上される。
このとき、単にシートクッションパッド7に凹部13を設けただけでは、中央部のパッド厚が薄くなってクッション性が損なわれることになる。しかるに、本実施の形態のように、シート取付部1におけるセンタ部3の頂面に凹部4を設け、その凹部4にシートクッションパッド7下面のセンタ凹部9に設けた凸部10を嵌め込むようにしたことによって、センタ着座部12のパッド厚の薄肉化を防いで所定のクッション性を確保し、延いては乗り心地の向上につながる。
【0019】
また、本実施の形態においては、センタ着座部12の両側部は、所謂土手形状を保持するため、左右のサイド着座部11に着座する人のホールド性を確保することができ、従来と同様の良好な座り心地を得ることができる。
しかも、凹部13には柔軟なソフト層としてソフトウレタン14を設けてあるため、不使用時にあっては、センタ着座部12の外形を、例えば曲面膨出形状や平坦面等の見栄えのよい形状に保持し、着座時にはシートクッションパッド7との2層構造によって良好なクッション性を発揮して座り心地をより向上することが可能となる。
【0020】
なお、上述した実施の形態では、乗用車のリヤシートの場合で説明したが、車体フロア20のシート取付部1において、凸形状のセンタ部3が存在するようなフロア形状を有する自動車であれば、適用することが可能である。また、センタ着座部12の凹部13に充填されるソフトウレタン14を省略した形態で実施することも可能である。
また、本実施の形態では、ソフトウレタン14を別体成形品としたが、可能ならば、シートクッションパッド7の成形時に一体成形としても差し支えない。
【0021】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、センタ着座部とサイド着座部とを備えた車両用シートにおいて、センタ着座部のクッション性を損なうことなく、センタ着座部に着座した場合における臀部の納まりを良化して乗り心地を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】乗用車の後側のフロア形状とリヤシートのシートクッションを示す分解斜視図である。
【図2】図1のA−A線断面図であり、シートカバーは分離状態で示す。
【図3】図1のB−B線断面図であり、シートカバーは分離状態で示す。
【図4】図1のC−C線断面図であり、シートカバーは分離状態で示す。
【図5】従来の乗用車の後側のフロア形状とリヤシートのシートクッションを示す分解斜視図である。
【図6】図5のD−D線断面図であり、シートカバーは分離状態で示す。
【図7】図5のE−E線断面図であり、シートカバーは分離状態で示す。
【図8】図5のF−F線断面図であり、シートカバーは分離状態で示す。
【符号の説明】
1…シート取付部
3…センタ部
4…凹部
6…シートクッション
7…シートクッションパッド
9…センタ凹部
10…凸部
11…サイド着座部
12…センタ着座部
13…凹部
14…ソフトウレタン
16…シートカバー
Claims (1)
- サイド着座部よりも上方へ膨出した凸形状のセンタ着座部を備え、しかも車体フロアにおける車幅方向中央部には凸形状のセンタ部を有するシート取付部の上面に設置される車両用シートであって、前記シート取付部におけるセンタ部の上面に凹部を設定し、その上側にシートクッションが載置されており、該シートクッションのクッションパッドにおけるセンタ着座部の上面には最下面が前記サイド着座部の着座面よりも上方に位置する凹部が形成され、前記センタ着座部の凹部には前記シートクッションパッドよりも柔軟で該凹部の窪み全体を埋める曲面膨出形状のソフト層が設けられている車両用シート。
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