JP4066335B2 - 有機リン組成物およびそれを含有する難燃剤、難燃性樹脂組成物 - Google Patents

有機リン組成物およびそれを含有する難燃剤、難燃性樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハロゲンフリーでありながら、優れた難燃性を発現するとともに、耐熱性、耐湿性にも優れる有機リン組成物、該有機リン組成物を含有する難燃剤、該難燃剤を含有する難燃性樹脂組成物、該難燃性樹脂組成物から得られる電子部品材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂或いは熱硬化性樹脂などの合成樹脂を工業的に使用する場合、例えば、電気電子等の分野において利用する場合は、火災に対する安全性を確保するために、使用する樹脂に対し、UL−94V−0(米国アンダーライターズラボラトリー規格)に適合するような高度な難燃性が要求されることが多い。この要求を満たすため、例えば、樹脂製造時または樹脂成形品製造時などに難燃剤を添加する手法が広く採用されている。添加する難燃剤としては、例えば、有機ハロゲン化合物、有機リン化合物、ハロゲン含有有機リン化合物、有機窒素化合物、無機化合物などが知られており、ハロゲン系、リン系、無機系等多くのものが使用されている。これらのうち特に有機ハロゲン化合物、ハロゲン含有有機リン化合物が優れた難燃効果を発現することが知られている。
【0003】
しかし、これらのハロゲン含有化合物は樹脂成形時に熱分解してハロゲン化水素を発生することにより金属を腐食させる場合があり、更に樹脂自体も劣化或いは着色させるという問題もあった。一方、ヨーロッパを中心として環境問題の関心が高まるにつれて、ハロゲンを含有した樹脂成形品等は燃焼時にダイオキシンの発生源になる可能性がある等の理由から使用することが困難になってきている。
【0004】
ハロゲンを含まない難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウムなどの無機系難燃剤が用いられている。しかし、これらの無機系化合物は難燃効果が低いことから、十分な効果を得るために樹脂中に大量に添加する必要があり、この場合、大量添加によって樹脂自体の物性、例えば機械特性等が損なわれてしまうという問題があった。
【0005】
また、リン系難燃剤であるポリリン酸アンモニウムを樹脂に配合することも提案されているが、ポリリン酸アンモニウムは加水分解を受けやすい不安定な化合物であり、高温多湿条件下では樹脂組成物からポリリン酸アンモニウムが溶出あるいはブリードアウトするという問題があった。
【0006】
さらに、リン系難燃剤には、リン酸エステル構造を有する場合が多いが、リン酸エステル構造は吸湿性が高く耐熱性が低いため、それを配合した樹脂組成物の、耐熱性、耐湿性が低下するという問題があった。また、低揮発性で、かつ熱変形温度の低下を抑える新規難燃剤として、水酸基を含有する有機リン酸エステル類(例えば、特許文献1)が報告されているが、これもリン酸エステル構造をとっているため吸湿性が高く、更にエステル構造が加水分解等によって分解されやすく、配合した樹脂組成物の安定性が悪くなるという問題があった。
【0007】
以上のようにハロゲンフリーでありながら、積層板などの電子材料等に求められる高度の難燃性に加え、耐熱性、耐湿性も優れる難燃性組成物は得られていないのが現状である。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−165373号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ハロゲンフリーで、かつ優れた難燃性を発現するとともに、耐熱性、耐湿性にも優れる有機リン組成物、該有機リン組成物を含有する難燃剤、該難燃剤を含有する難燃性樹脂組成物、更には該難燃性樹脂組成物を用いて得られる電子部品材料を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、水酸基を有するホスフィンオキサイドおよび反応性二重結合を有するエポキシ化合物を含有あるいは反応させた有機リン組成物を用いることにより、所定の目的が達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち本発明の第1は、一般式(1):
【0012】
【化2】
Figure 0004066335
(式中、R1、R2若しくはR3は炭素数1〜20の有機基であって、R1、R2若しくはR3の少なくとも1種以上は水酸基を1以上含有する有機基である。なお、R1、R2、R3は同一であっても異なっていても良い。)で表される水酸基を有するホスフィンオキサイドおよび反応性二重結合を有するエポキシ化合物を含有してなる有機リン組成物に関する。
【0013】
本発明の第2は、前記一般式(1)で表される水酸基を有するホスフィンオキサイドに、反応性二重結合を有するエポキシ化合物を反応させて得られる化合物を含有することを特徴とする有機リン組成物に関する。
【0014】
好ましい実施態様は、前記反応性二重結合が、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、ビニル基から選ばれる1種以上であることを特徴とする前記いずれかに記載の有機リン組成物に関する。
【0015】
本発明の第3は、前記いずれかに記載の有機リン組成物を含有する難燃剤に関する。
【0016】
本発明の第4は、熱可塑性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂、並びに前記の難燃剤を含有してなる難燃性樹脂組成物に関する。
【0017】
好ましい実施態様は、前記熱可塑性樹脂がポリカーボネート、フッ素樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂から選ばれる1種以上であり、更に熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂から選ばれる1種以上であることを特徴とする前記の難燃性樹脂組成物に関する。
【0018】
本発明の第5は、前記の難燃性樹脂組成物を用いて得られる電子部品材料に関する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0020】
本発明における水酸基を有するホスフィンオキサイドとは、一般式(1):
【0021】
【化3】
Figure 0004066335
(式中、R1、R2若しくはR3は炭素数1〜20の有機基であって、R1、R2若しくはR3の少なくとも1種以上は水酸基を1以上含有する有機基である。なお、R1、R2、R3は同一であっても異なっていても良い。)で示されることを特徴とする。
【0022】
一般式(1)におけるホスフィンオキサイド構造は、全てがP−C結合であることより、P−O−C結合を有するリン酸エステル類に比べて、耐湿性、耐熱性、更には耐加水分解性が向上する。このため、ホスフィンオキサイドを含有する組成物を難燃剤として用いた樹脂組成物あるいは樹脂成形品は、例えば、耐湿性、耐熱性、安定性等の各種物性を損ないにくい。
【0023】
前記一般式(1)におけるR1、R2、R3は、炭素数が1〜20の有機基であり、更にR1、R2、R3の何れか1種以上の有機基中に水酸基を少なくとも1以上含有していれば特に制限されるものではないが、炭素数は1〜10であるのがより好ましく、更には炭素数が2〜6であるのが特に好ましい。炭素数が20を越えると、化合物中のリン含有率が低下して難燃性が低下する場合がある。
【0024】
一般式(1)で表されるホスフィンオキサイド化合物の具体例としては、例えば、ジメチルヒドロキシメチルホスフィンオキサイド、ジメチルヒドロキシエチルホスフィンオキサイド、ジエチルヒドロキシプロピルホスフィンオキサイド、エチルビス(ヒドロキシエチル)ホスフィンオキサイド、エチルビス(ヒドロキシプロピル)ホスフィンオキサイド、トリスヒドロキシメチルホスフィンオキサイド、トリスヒドロキシエチルホスフィンオキサイド、トリスヒドロキシプロピルホスフィンオキサイド、トリスヒドロキシブチルホスフィンオキサイド、トリスヒドロキシペンチルホスフィンオキサイド、トリスヒドロキシヘキシルホスフィンオキサイド、n−ブチル−ビス(3−ヒドロキシプロピル)ホスフィンオキサイドなどが挙げられる。なかでも、化合物中のリン含有率、反応性、入手の容易さ、ブリードアウトを抑制できる分子量の観点から、トリスヒドロキシプロピルホスフィンオキサイド、トリスヒドロキシブチルホスフィンオキサイド、n−ブチル−ビス(3−ヒドロキシプロピル)ホスフィンオキサイドが好ましく、特にn−ブチル−ビス(3−ヒドロキシプロピル)ホスフィンオキサイドが好ましい。
【0025】
本発明においては、上記水酸基を有するホスフィンオキサイドに反応性二重結合を有するエポキシ化合物を混合あるいは反応させて、有機リン組成物を調製する。
【0026】
ここで反応性二重結合とは、紫外線、可視光線若しくは電子線の照射、化学的硬化剤の使用、又は加熱等の手段により反応する官能基のことを意味する。上記反応性二重結合を有する基としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、ビニル基を含む官能基が好適に例示され得る。
【0027】
反応性二重結合を有するエポキシ化合物は、エポキシ基と前記反応性二重結合を同一分子内に有するものであれば特に限定されないが、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、グリシジルビニルエーテル等を具体的に例示することができる。中でも、安価で容易に入手でき、また良好な反応性を有する点から、メタクリル酸グリシジルが特に好ましい。
【0028】
本発明においては、前記ホスフィンオキサイドに反応性二重結合を有するエポキシ化合物を単に混合することでも目的の有機リン組成物を得ることができるが、前記ホスフィンオキサイドに反応性二重結合を有するエポキシ化合物を反応させた方が、得られる有機リン組成物により良好な硬化性を付与できるだけでなく、合成樹脂への親和性付与、ブリードアウトを抑制できる分子量の達成、耐加水分解性の付与、更には耐熱分解性も付与することができるため、より好ましい。
【0029】
更に、前記ホスフィンオキサイドに反応性二重結合を有するエポキシ化合物を反応させて得られた反応性二重結合を有する有機リン系化合物を含有する組成物を難燃剤として用い、例えば、熱硬化性樹脂、或いは光硬化性樹脂等と配合した場合、熱硬化或いは光硬化させることにより、前記反応性二重結合を有する有機リン系化合物が、熱硬化性樹脂或いは光硬化性樹脂と共重合するため、当該樹脂の難燃性及び耐熱性を向上すると同時に、有機リン系化合物がブリードアウトすることを防止することもできる。
【0030】
前記ホスフィンオキサイドに反応性二重結合を有するエポキシ化合物を反応させる方法としては、例えば、前記ホスフィンオキサイドと反応性二重結合を有するエポキシ化合物を不活性溶媒中、触媒の存在下で反応させることが例示され、目的とする有機リン化合物若しくはこれを含有する組成物を得ることができる。
【0031】
具体的には、水酸基を有するホスフィンオキサイドと反応性二重結合を有するエポキシ化合物の使用割合は、反応性、生成物中のリン含有率、経済性の点から、ホスフィンオキサイドの水酸基(a)と反応性二重結合を有するエポキシ化合物のエポキシ基(b)の当量比が、b/a=3.0〜0.1となるように添加して反応させることが好ましく、更にはb/a=2.0〜0.5であることがより好ましく、特にはb/a=1.2〜0.8であることが最も好ましい。b/a<0.1となると反応が進行しにくくなり、また反応が完全に進行しても、生成物に良好な硬化性を付与することができない場合がある。また、逆にb/a>3.0となると、生成物中のリン含有率が低下して、難燃性が低下する場合がある。精製作業を行うこともできるが、経済的に好ましくない。
【0032】
上記反応に用いられる触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジンなどが例示され得る。これらは1種又は2種以上混合して用いることができる。上記触媒の使用量は、ホスフィンオキサイドの水酸基(a)と触媒(c)のモル比が0.01≦c/a≦0.5となるように添加して反応させることが好ましく、更には0.03≦c/a≦0.2であることがより好ましく、特には0.05≦c/a≦0.1であることが最も好ましい。触媒の添加量がc/a<0.01であると、反応が効果的に進行しない可能性があり、また逆にc/a>0.5であると、得られる生成物の物性が低下する恐れがある。
【0033】
上記反応に用いられる溶媒は、エポキシ基と反応せず、かつ水酸基を有するホスフィンオキサイドおよび反応性二重結合を有するエポキシ化合物を溶解するものであれば、特に限定されない。例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトン等が使用可能である。これらを単独で、または混合物として使用することができる。ただし、後に溶媒の除去を行う場合は、水酸基を有するホスフィンオキサイドおよび反応性二重結合を有するエポキシ化合物を溶解可能で、なるべく沸点の低いものを選択する方が、工程上有利である。
【0034】
上記反応温度は、エポキシ基と水酸基が反応する、40℃以上130℃以下の温度で行うことが好ましい。特に反応性二重結合が熱により架橋或いは重合等の反応を起こさない程度の温度で反応させることが望ましい。具体的に、より好ましくは40℃以上100℃以下、さらに好ましくは、50℃以上80℃以下である。反応時間は、適宜選択できるが、一般的には1時間程度から20時間程度である。
【0035】
上記反応により得られる化合物は、その目的に応じ、反応終了後の溶液状態のままで用いても良いし、エバポレーション若しくは乾燥等により溶媒を除去して用いてもよい。未反応のホスフィンオキサイドおよび反応性二重結合を有するエポキシ化合物が残存していても構わないが、所望により公知の精製手段等を用いて精製を行ってもよい。以上により、水酸基を有するホスフィンオキサイドに反応性二重結合を有するエポキシ化合物を反応させた有機リン化合物、更にはそれを含有する有機リン組成物を製造することができる。
【0036】
上記により得た有機リン組成物に、必要に応じて、公知の各種添加剤、例えば無機系若しくはリン系等の難燃剤、重合開始剤、光反応開始剤、光塩基発生剤、ラジカル開始剤、増感剤、フッ素樹脂、ドリップ防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、着色剤、熱安定剤などを配合することができる。中でも、反応性二重結合基、或いはエポキシ基を硬化させるために、重合開始剤、光反応開始剤、光塩基発生剤、ラジカル開始剤、増感剤から選ばれる1種以上を添加することが特に好ましい。
【0037】
更に、本発明では、上記有機リン組成物を含有する難燃剤として用いることができる。本発明の有機リン組成物を含有する難燃剤を、熱可塑性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂に配合した難燃性樹脂組成物、およびそれから得られる成形物等は、優れた難燃効果を発揮する。
【0038】
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ABS(アクリルニトリル―ブタジエン−スチレン)樹脂などのスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリメタクリレート樹脂、ポリアクリレート樹脂、フッ素樹脂(フッ素を含有する高分子を意味する。)、又は熱可塑性ポリイミド樹脂(三井化学社「AURUM」、GE社「ULTEM」等に代表される熱可塑性を有するポリイミド樹脂を意味する。)などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、公知のものが使用可能であり、例えば、単独重合体或いは共重合体であっても良く、また上記樹脂を混合物として用いても良い。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリル樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられ、公知のものが使用できる。中でも、耐熱性、耐湿性の点から、熱可塑性樹脂はポリカーボネート、フッ素樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂から選ばれる1種以上であり、更に熱硬化性樹脂はエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂から選ばれる1種以上であることが好ましい。
【0039】
上記樹脂に対する本発明の難燃剤の配合量は、難燃効果およびコスト等の兼ね合いから、樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部程度であることが好ましく、更には1〜30重量部であることがより好ましい。
【0040】
本発明の有機リン組成物を含有する難燃剤および上記で例示した樹脂を含む難燃性樹脂組成物、更にそれから得られる成形物は、例えば、押出成形等の公知の方法で、その目的等に応じて適宜、配合或いは成形することにより得られる。このようにして得た難燃性樹脂組成物及びその成形物は、UL−94垂直燃焼試験法で評価した場合の燃焼性がV−2,更にはV−1,特にはV−0を達成できるものであることが好ましい。
【0041】
本発明の難燃性樹脂組成物は、安全なプラスチック材料として、例えば、プリント配線板、電気回路基板に用いられる銅張積層板、電気部品に用いられる封止材、成形材、注型材、若しくは電気絶縁材料などの電子部品材料に有用である。
【0042】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
【0043】
使用原料は以下の市販品を使用した。n−ブチル−ビス(3−ヒドロキシプロピル)ホスフィンオキサイド(日本化学工業製)、メタクリル酸グリシジル(和光純薬社製)、NK−オリゴ EA−1010(新中村化学製:構造は下記(化4)で表される。なお、分子量は448である。)、トリエチルアミン(和光純薬社製)、テトラヒドロフラン(和光純薬社製)、ヘキサン(和光純薬社製)、塩化メチレン(和光純薬社製)、(2,2' −ビス(4―ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート)−3,3',4,4' −テトラカルボン酸二無水物(黒金化成製:以下、ESDAとも言う。)、ビス[4―(3―アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン(和歌山精化製:以下、BAPS−Mとも言う。)、シリコンジアミンKF−8010(信越化学製)、 [ビス(4―アミノ―3―カルボキシ)フェニル]メタン(和歌山精化製:以下、MBAAとも言う。)、N,N'―ジメチルホルムアミド(和光純薬社製)。
【0044】
【化4】
Figure 0004066335
【0045】
また、NMR(核磁気共鳴スペクトル)は、Varian社製Geminiを使用し、25℃で測定した。
【0046】
(実施例1)
[水酸基を有するホスフィンオキサイドとメタクリロイル基を有するエポキシ化合物の反応]
還流管をとりつけた三つ口フラスコにn−ブチル−ビス(3−ヒドロキシプロピル)ホスフィンオキサイド23.7g (106.6mmol)、テトラヒドロフラン50.0gを入れ、完全に溶解させた。さらにメタクリル酸グリシジル33.4g (234.8mmol)、トリエチルアミン 1.2g (11.7mmol)を窒素雰囲気下で撹拌を続けながら添加し、70℃に加熱して撹拌を8時間行った。反応溶液を濃縮後、ヘキサンに投入し、デカンテーションして生成物を分離した(この操作により、未反応のメタクリル酸グリシジルは除去された)。一晩、真空乾燥して、メタクリロイル基を有する有機リン化合物を含有する組成物を得た。上記有機リン化合物の構造は下記(化5)で表される。
【0047】
【化5】
Figure 0004066335
【0048】
生成物の1H NMRスペクトルを測定した結果、メタクリロイル基由来のアルケンの2つのシグナル(5.7と6.0ppm)とn−ブチル−ビス(3−ヒドロキシプロピル)ホスフィンオキサイド由来のメチル基のシグナル(0.8ppm)の積分値の比較から、反応率(ホスフィンオキサイドへのメタクリロイル基の導入)は約61%であり、未反応のホスフィンオキサイドは約39%含有されることが確認された。
【0049】
(実施例2)
[水酸基を有するホスフィンオキサイドとアクリロイル基を有するエポキシ化合物の反応]
還流管をとりつけた三つ口フラスコにn−ブチル−ビス(3−ヒドロキシプロピル)ホスフィンオキサイド23.7g (106.6mmol)、テトラヒドロフラン50.0gを入れ、完全に溶解させた。さらにNK−オリゴ EA−1010を105.05g (234.5mmol)、トリエチルアミン1.2g (11.7mmol)を窒素雰囲気下で撹拌を続けながら添加し、70℃に加熱して撹拌を8時間行った。反応溶液を濃縮後、トルエンに投入し、デカンテーションして生成物を分離した。一晩、真空乾燥して、アクリロイル基を有する有機リン化合物を含有する組成物を得た。上記有機リン化合物の構造は下記(化6)で表される。
【0050】
【化6】
Figure 0004066335
【0051】
実施例1と同様に反応率を測定した結果、反応率は約100%であった。
【0052】
[難燃性試験]
(実施例3)
市販の芳香族ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、ユーピロンS−2000N)70重量部を含有するポリカーボネート樹脂の塩化メチレン溶液100重量部に実施例1で得られた反応生成物を30重量部加え、均一に溶解させて樹脂ワニスを得た。この樹脂ワニスをクラフト紙(厚さ1mm、縦150mm、横100mm)に含浸させたのち、80℃で20分間予備乾燥し、予備乾燥した含浸クラフト紙を8枚重ね合せ、加熱プレスにより180℃、100kg/cm2の条件下に3分間プレスし、積層板を作製した。
【0053】
得られた樹脂量55重量%の積層板を、さらに180℃で3時間加熱処理したのち、UL−94所定の方法により難燃性を評価した。その結果、難燃性はUL−94V−0相当であった。また、その積層板の耐熱性及び耐湿性はともに優れたものであった。
【0054】
(実施例4)
市販のエポキシ樹脂:クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量200、軟化点67℃)70重量部を含有するエポキシ樹脂のテトラヒドロフラン溶液100重量部に実施例1で得られた反応生成物を30重量部加え、均一に溶解させて樹脂ワニスを得た。この樹脂ワニスをクラフト紙(厚さ1mm、縦150mm、横100mm)に含浸させたのち、80℃で20分間予備乾燥し、予備乾燥した含浸クラフト紙を8枚重ね合せ、加熱プレスにより180℃、100kg/cm2の条件下に3分間プレスし、積層板を作製した。
【0055】
得られた樹脂量55重量%の積層板を、さらに180℃で3時間加熱処理したのち、UL−94所定の方法により難燃性を評価した。その結果、難燃性はUL−94V−0相当であった。また、その積層板の耐熱性及び耐湿性はともに優れたものであった。
【0056】
(実施例5)
市販のエポキシ樹脂:クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量200、軟化点67℃)70重量部を含有するエポキシ樹脂のテトラヒドロフラン溶液100重量部に実施例2で得られた反応生成物を30重量部加え、均一に溶解させて樹脂ワニスを得た。この樹脂ワニスをクラフト紙(厚さ1mm、縦150mm、横100mm)に含浸させたのち、80℃で20分間予備乾燥し、予備乾燥した含浸クラフト紙を8枚重ね合せ、加熱プレスにより180℃、100kg/cm2の条件下に3分間プレスし、積層板を作製した。
【0057】
得られた樹脂量55重量%の積層板を、さらに180℃で3時間加熱処理したのち、UL−94所定の方法により難燃性を評価した。その結果、難燃性はUL−94V−0相当であった。また、その積層板の耐熱性及び耐湿性はともに優れたものであった。
【0058】
(実施例6)
[熱可塑性ポリイミド樹脂の合成]
攪拌機を設置した500mlのセパラブルフラスコにESDA17.3g(0.030mol)、DMF30gを入れて、攪拌機で攪拌して溶解させた。次に、MBAA5.15g(0.018mol)をDMF9gに溶解して加え、1時間激しく攪拌した。さらに、BAPS−Mを1.29g(0.003mol)を加え、1時間程度攪拌した。最後に、シリコンジアミンKF−8010を7.47g(0.009mol)加えて、1時間激しく攪拌した。このようにして得たポリアミド溶液をフッ素樹脂によりコートしたバットにとり、真空オーブンで、200℃、5000Paの圧力で2時間減圧乾燥し、26.39gの熱可塑性ポリイミドを得た。
【0059】
[難燃性試験]
上記により合成した熱可塑性ポリイミド樹脂70重量部を含有するポリイミド樹脂のテトラヒドロフラン溶液100重量部に実施例1で得られた反応生成物を30重量部加え、均一に溶解させて樹脂ワニスを得た。この樹脂ワニスをクラフト紙(厚さ1mm、縦150mm、横100mm)に含浸させたのち、80℃で20分間予備乾燥し、予備乾燥した含浸クラフト紙を8枚重ね合せ、加熱プレスにより180℃、100kg/cm2の条件下に3分間プレスし、積層板を作製した。
【0060】
得られた樹脂量55重量%の積層板を、さらに180℃で3時間加熱処理したのち、UL−94所定の方法により難燃性を評価した。その結果、難燃性はUL−94V−0相当であった。また、その積層板の耐熱性及び耐湿性はともに優れたものであった。
【0061】
【発明の効果】
本発明の有機リン組成物は、ハロゲンフリーでありながら優れた難燃性を発現することができ、更に耐熱性、耐湿性にも優れる。また、本発明の有機リン組成物を含有する難燃剤を配合した樹脂組成物は、優れた難燃性を有し、機械特性、熱的特性等の他の物性を損なうことがなく、更に難燃剤のブリードアウトによる外観劣化、難燃性の低下、ベトツキ等がないことより実用的に優れた性能を有する。従って、本発明の有機リン組成物を含有する難燃性樹脂組成物を、プリント配線板、電気回路基板に用いられる銅張積層板、電気部品に用いられる封止材、成形材、注型材、電気絶縁材料等に用いた場合、有効に難燃化することができる。

Claims (7)

  1. 一般式(1):
    Figure 0004066335
    (式中、R1、R2若しくはR3は炭素数1〜20の有機基であって、R1、R2若しくはR3の少なくとも1種以上は水酸基を1以上含有する有機基である。なお、R1、R2、R3は同一であっても異なっていても良い。)で表される水酸基を有するホスフィンオキサイドおよび反応性二重結合を有するエポキシ化合物を含有してなる有機リン組成物。
  2. 前記一般式(1)で表される水酸基を有するホスフィンオキサイドに、反応性二重結合を有するエポキシ化合物を反応させて得られる化合物を含有することを特徴とする有機リン組成物。
  3. 前記反応性二重結合が、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、ビニル基から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜2に記載の有機リン組成物。
  4. 請求項1〜3に記載の有機リン組成物を含有する難燃剤。
  5. 熱可塑性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂、並びに請求項4に記載の難燃剤を含有してなる難燃性樹脂組成物。
  6. 前記熱可塑性樹脂がポリカーボネート、フッ素樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂から選ばれる1種以上であり、更に熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項5記載の難燃性樹脂組成物。
  7. 請求項5〜6に記載の難燃性樹脂組成物を用いて得られる電子部品材料。
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