JP2006131743A - 熱硬化性樹脂組成物及びそれを用いたプリプレグ、金属張積層板、プリント配線板 - Google Patents
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Abstract
【課題】 誘電特性、耐熱性、耐湿性、耐電食性及び銅箔との接着性、耐薬品性、並びに非ハロゲン難燃剤による難燃性の全てに関して優れる熱硬化性樹脂組成物、及びその使用、例えば、プリプレグ、積層板及びプリント配線板等を提供する。
【解決手段】 (A)(a)1分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物を、水酸基/シアナト基比0.01〜0.3の範囲で、かつ(a)1分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物のモノマーの転化率が20〜70%となるように反応させて得られるフェノール変性シアネートエステルオリゴマーと;(B)1分子中に2個以上のエポキシ基を含有するエポキシ樹脂と;(C)難燃剤として2置換ホスフィン酸の金属塩とホスファゼン化合物と;を含む熱硬化性樹脂組成物、及びそれを用いて得られるプリプレグ、それを用いて得られる金属張り積層板並びにプリント配線板である。
【選択図】 なし
【解決手段】 (A)(a)1分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物を、水酸基/シアナト基比0.01〜0.3の範囲で、かつ(a)1分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物のモノマーの転化率が20〜70%となるように反応させて得られるフェノール変性シアネートエステルオリゴマーと;(B)1分子中に2個以上のエポキシ基を含有するエポキシ樹脂と;(C)難燃剤として2置換ホスフィン酸の金属塩とホスファゼン化合物と;を含む熱硬化性樹脂組成物、及びそれを用いて得られるプリプレグ、それを用いて得られる金属張り積層板並びにプリント配線板である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、熱硬化性樹脂組成物及びそれを用いたプリプレグ、金属張積層板、プリント配線板に関する。
電子機器用のプリント配線板として、主にエポキシ樹脂を用いた積層板が広く使用されている。しかしながら、電子機器における実装密度の増大に伴うパターンの細密化、表面実装方式の定着並びに信号伝播速度の高速化と取り扱う信号の高周波化に伴い、プリント配線板材料の低誘電損失化、さらに耐熱性及び耐電食性の向上が強く要望されている。また、近年の環境問題に対する意識の高まりを受けて、ハロゲン系の難燃剤を使用せず、非ハロゲン系(ハロゲンフリー)であって、かつ良好な難燃性を有する材料も強く要望されている。
エポキシ樹脂を硬化剤とし、スチレンと無水マレイン酸からなる共重合樹脂を使用する樹脂組成物又は積層板の事例としては、例えば、可撓性付与のために、反応性エポキシ希釈剤とアクリロニトリル−ブタジエン共重合体とを必須とする、可撓性エポキシ樹脂、スチレンと無水マレイン酸からなる共重合樹脂等による可撓性プリント配線板が知られている(特許文献1)。
また、エポキシ樹脂、芳香族ビニル化合物及び無水マレイン酸から得られる酸価が280以上の共重合樹脂、並びにジシアンアミドを含有するエポキシ樹脂化合物が知られている(特許文献2)。
さらに、臭素化されたエポキシ樹脂、スチレンと無水マレイン酸の共重合樹脂(エポキシ樹脂硬化剤)、スチレン系化合物、及び溶剤を含むプリプレグ、電気用積層板材料が知られている(特許文献3)。
エポキシ樹脂、芳香族ビニル化合物と無水マレイン酸の共重合樹脂、フェノール化合物を含むプリプレグ、電気用積層板材料が知られている(特許文献4及び5)。
エポキシ樹脂、カルボン酸無水物型エポキシ樹脂用架橋剤、アリル網目形成化合物を含む樹脂組成物、積層板、プリント配線板が知られている(特許文献6)。
しかしながら、これらのプリント配線板用材料は、いずれも、パターンの細密化、信号の高周波化等に伴い要求されている性能が不充分である。すなわち、低誘電損失性、高耐熱性、高耐湿性、銅箔との高接着性等における性能が不充分である。加えて、これらのプリント配線板材料は、ハロゲン系難燃剤を使用している。
その他の検討要因として、近年のパターンの細密化傾向に伴って、スルーホールの穴径はより小さくなり、穴壁間も狭められていることが挙げられる。このような設計環境において、プリント配線板を構成する導電体である金属、特に絶縁材料上部又は絶縁材料内部で配線、回路パターン又は電極等を構成する金属は、高湿環境下における電位差の作用によって絶縁材料上又は絶縁材料内を移行しやすい(金属マイグレーション(電食))。そのため、プリント配線板の絶縁信頼性が満足できるものではない。さらに、スルーホールのドリル加工時等に微少なクラックが発生しやすく、この微少クラックから金属マイグレーションが発生することも問題になると考えられている。
本発明の目的は、上記の問題を踏まえ、誘電特性、耐熱性、耐湿性、耐電食性及び銅箔との接着性、耐薬品性、並びに非ハロゲン難燃剤による難燃性の全ての特性において優れる熱硬化性樹脂組成物、及びその使用、例えば、プリプレグ、積層板及びプリント配線板等を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため、ハロゲンフリーで、高い耐熱性、接着性、絶縁信頼性、耐燃性を有し、かつ優れた誘電特性と低い吸水率を併せ持つ熱硬化性樹脂組成物及びこれを用いたプリプレグ、金属張積層板、プリント配線板を提供することを目的に鋭意検討し、本発明を達成したものである。
本発明は、(A)(a)1分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物を、
(b)式(I):
(b)式(I):
(式中、R1、R2は、互いに独立して、水素原子又はメチル基を示し、nは、1〜2の整数を表す)
で表されるフェノール化合物、及び式(II):
で表されるフェノール化合物、及び式(II):
(式中、R3は、互いに独立して、水素原子又はメチル基を示し、R4は、メチル、エチル、又は基:
から選ばれるアルキル基であり、nは、1〜2の整数を表す)
で表されるフェノール化合物から選ばれる少なくとも1種類を含むフェノール化合物と、水酸基/シアナト基比0.01〜0.3の範囲で、かつ(a)1分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物のモノマーの転化率が20〜70%となるように反応させて得られるフェノール変性シアネートエステルオリゴマーと、
(B)1分子中に2個以上のエポキシ基を含有するエポキシ樹脂と、
(C)難燃剤として2置換ホスフィン酸の金属塩とホスファゼン化合物と、を含む熱硬化性樹脂組成物に関する。水酸基/シアナト基比は、誘電特性、吸湿時の耐熱性、ワニス作製時のワニス粘度を考慮したものである。
で表されるフェノール化合物から選ばれる少なくとも1種類を含むフェノール化合物と、水酸基/シアナト基比0.01〜0.3の範囲で、かつ(a)1分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物のモノマーの転化率が20〜70%となるように反応させて得られるフェノール変性シアネートエステルオリゴマーと、
(B)1分子中に2個以上のエポキシ基を含有するエポキシ樹脂と、
(C)難燃剤として2置換ホスフィン酸の金属塩とホスファゼン化合物と、を含む熱硬化性樹脂組成物に関する。水酸基/シアナト基比は、誘電特性、吸湿時の耐熱性、ワニス作製時のワニス粘度を考慮したものである。
本発明の熱硬化性樹脂組成物に用いる(a)1分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物は、特に限定されるものではないが、式(III):
(式中、R5は、ハロゲンで置換されていてもよい炭素数1〜3個のアルキレン基、基:
を表し、R6及びR7は、水素原子又は炭素数1〜3個のアルキル基を示す)
で表されるシアネート化合物が挙げられる。
で表されるシアネート化合物が挙げられる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物に用いる(a)1分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物の具体例としては、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−シアナトフェニル)メタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、α,α’−ビス(4−シアナトフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、フェノールとジシクロペンタジエン共重合物のシアネートエステル化物等が挙げられ、これらを1種類又は2種類以上混合して用いることができる。
本発明における(b)フェノール化合物において、式(I)及び式(II)で表されるフェノール化合物について、次の具体例が挙げられる。式(I)のフェノール化合物の具体例としては、p−(α−クミル)フェノール、モノ(又はトリ)(α−メチルベンジル)フェノールが挙げられる。
また、式(II)のフェノール化合物の具体例としては、p−tert−ブチルフェノール、2,4(又は2,6)ジ−tert−ブチルフェノール、p−tert−アミノフェノール及びp−tert−オクチルフェノールが挙げられる。
また、式(I)及び式(II)フェノール化合物を1種類で使用することができ、あるいは2種類以上を混合して使用することができる。
さらに、本発明の目的の範囲内において、誘電特性や吸湿時の耐熱性をさらに向上させるために、(a)シアネート化合物と(b)フェノール化合物を反応させて(A)フェノール変性シアネートエステルオリゴマー組成物を得た後、(b)フェノール化合物を、原料とした(a)シアネート化合物のシアナト基1当量に対して、そのフェノール性水酸基が0〜0.29当量の範囲で追加配合することができる。フェノール変性シアネートエステルオリゴマー組成物とする際の(a)シアネート化合物のシアナト基1当量に対する(b)フェノール化合物のフェノール性水酸基比を、0.005〜0.03当量の範囲で配合し、追加配合時に(a)シアネート化合物のシアナト基1当量に対する(b)フェノール化合物のフェノール性水酸基比を、0.03〜0.10の範囲で配合することが好ましい。
本発明で用いられる(A)(a)1分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物と、(b)式(I)で表されるフェノール化合物及び式(II)で表されるフェノール化合物から選ばれる少なくとも1種類を含むフェノール化合物と、を反応させて得られるフェノール変性シアネートエステルオリゴマーは、シアネート化合物の単独オリゴマーと、この単独オリゴマーよりも架橋点が少ない変性オリゴマーとの混合オリゴマーである。
これは、(a)分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物は、単独での環化反応によりトリアジン環を形成するシアネートエステルオリゴマー(主にシアネート化合物の3、5、7、9及び11量体を含む単独オリゴマー)を形成する。また、(a)分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物のシアナト基に、(b)式(I)及び式(II)で表されるフェノール化合物のフェノール性水酸基が付加し、イミドカーボネート化変性オリゴマーを形成する。そして、このイミドカーボネート化変性オリゴマー及び式(I)及び式(II)で表されるフェノール化合物から選ばれる少なくとも1種類を含むフェノール化合物の1種以上が、上記トリアジン環を構成する構造内に導入されることによって、すなわちトリアジン環から伸びる3つの鎖のうち1つ又は2つが1価フェノール化合物に由来する分子に置き換わったことにより形成される変性オリゴマーである。よって、シアネート化合物の単独オリゴマーと、フェノール変性の変性オリゴマーとの混合オリゴマーが得られるのである。
これは、(a)分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物は、単独での環化反応によりトリアジン環を形成するシアネートエステルオリゴマー(主にシアネート化合物の3、5、7、9及び11量体を含む単独オリゴマー)を形成する。また、(a)分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物のシアナト基に、(b)式(I)及び式(II)で表されるフェノール化合物のフェノール性水酸基が付加し、イミドカーボネート化変性オリゴマーを形成する。そして、このイミドカーボネート化変性オリゴマー及び式(I)及び式(II)で表されるフェノール化合物から選ばれる少なくとも1種類を含むフェノール化合物の1種以上が、上記トリアジン環を構成する構造内に導入されることによって、すなわちトリアジン環から伸びる3つの鎖のうち1つ又は2つが1価フェノール化合物に由来する分子に置き換わったことにより形成される変性オリゴマーである。よって、シアネート化合物の単独オリゴマーと、フェノール変性の変性オリゴマーとの混合オリゴマーが得られるのである。
本発明における(A)フェノール変性シアネートエステルオリゴマーは、(、結晶性、特にワニス化時の結晶性と、含浸性によるプリプレグ表面の平滑性及びゲル化時間(ポットライフ)とのバランスを考慮すると、(a)分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物のモノマーの転化率を20〜70%となるように反応させることが好ましい。さらには、モノマーの転化率45〜65%が、ワニスの取り扱い性、ガラス基材等への含浸性、積層板の耐湿耐熱性や誘電特性等が良好となり、より好ましい。
さらに、本発明における(A)フェノール変性シアネートエステルオリゴマーは、数平均分子量が、結晶性、特にワニス化時の結晶性と、含浸性によるプリプレグ表面の平滑性及びゲル化時間(ポットライフ)とのバランスを考慮すると、380〜2500となるように反応させて得ることが好ましい。(A)フェノール変性シアネートエステルオリゴマーの数平均分子量が、400〜1600とすることがより好ましい。
本発明において用いる(B)1分子中に2個以上のエポキシ基を含有するエポキシ樹脂は、式(IV):
で表されるジシクロペンタジエン骨格を含有するジシクロペンタジエン−フェノール重付加物から誘導されるエポキシ樹脂、式(V):
で表されるビフェニルアラルキルノボラック型エポキシ樹脂から選ばれる1種以上することが好ましい。また、これらと他の1分子中に2個以上のエポキシ基を有する。他のエポキシ樹脂を併用してもよい。その配合量は、特に限定されるものではないが、Tg(ガラス転移温度)の低下や、吸水率の上昇、耐燃性を考慮すると、(B)1分子中に2個以上のエポキシ基を含有するエポキシ樹脂の全配合量の20重量%以下とすることが好ましい。
また、上記式(IV)〜(VI)で表されるエポキシ樹脂の少なくとも1種以上と併用する1分子中に2個以上のエポキシ基を有する他のエポキシ樹脂は、特に限定されるものではないが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾール型エポキシ樹脂、フェノールサリチルアルデヒドノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
本発明に用いる(B)1分子中に2個以上のエポキシ基を含有するエポキシ樹脂の配合量は、(A)フェノール変性シアネートエステルオリゴマー100重量部に対して、吸湿時の耐熱性と誘電特性及びTg(ガラス転移温度)とのバランスを考慮すると、(B)1分子中に2個以上のエポキシ基を含有するエポキシ樹脂が25〜300重量部とすることが好ましい。
本発明に用いる(C)難燃剤の2置換ホスフィン酸の金属塩は、一般式(X):
(式中、R11及びR12は、それぞれ独立して、炭素数1〜5個の1価の脂肪族炭化水素基、又は1価の芳香族炭化水素基であり、Mは、Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Ge、Sn、Sb、Bi、Zn、Ti、Zr、Mn、Fe、Ceから選ばれる金属であり、そしてzは、Mの原子価に相当する整数である)で示される。
一般式(X)のMは、化合物中のリン含有量を増大できること、耐湿性の点からAl又はNaが好ましく、低誘電特性の点からAlが特に好ましい。また、上記R11及びR12は化合物中のリン含有量を増大できることから、炭素数1〜5個の1価の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、メチル基、エチル基又はプロピル基であることが特に好ましい。(C)難燃剤の2置換ホスフィン酸の金属塩として、ジメチルホスフィン酸アルミニウムが特に好ましい。
本発明に用いられる(C)難燃剤のホスファゼン化合物は、一般式(XI):
(式中、R12及びR13は、互いに独立して、炭素数1〜5個の1価の脂肪族炭化水素基、又は1価の芳香族炭化水素基であり、qは、自然数である)で示される直鎖状ホスファゼン化合物、又は一般式(XII):
(式中、R14及びR15は、互いに独立して、炭素数1〜5個の1価の脂肪族炭化水素基、又は1価の芳香族炭化水素基でありrは、3〜8、好ましくは3又は4の整数である)で示される環状ホスファゼン化合物である。
本発明に用いられる(C)難燃剤の配合量は、(A)フェノール変性シアネートエステルオリゴマー100重量部に対して、難燃効果と耐熱性とのバランスを考慮すると、10〜150重量部とすることが好ましい。
本発明においては、(D)式(VII):
(式中、R8は、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜5個の炭化水素であり、R9は、それぞれ独立してハロゲン原子、炭素数1〜5個の脂肪族炭化水素基、又は芳香族炭化水素基であり、xは、0〜3の整数であり、mは、自然数である)で示されるモノマー単位と、式(VIII):
で示されるモノマー単位と、を含む共重合樹脂をさらに含むことができる。この共重合樹脂として、スチレンと無水マレイン酸の共重合体が挙げることができる。
式(VII)のモノマー単位としては、スチレン、1−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジメチルスチレン、クロルスチレン及びブロムスチレン等が挙げられ、これらを1種又は2種以上の混合した化合物として用いることができる。さらには、上記モノマー単位以外に各種の重合可能な成分と共重合させてもよい。
各種の重合可能な成分の例として、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソブチレン、アクリロニトリル、塩化ビニル及びフルオロエチレン等のビニル化合物、メチルメタクリレートのようなメタクリレート及びメチルアクリレートのようなアクリレート等のメタクリロイル基又はアクリロイル基を有する化合物等が挙げられる。
式(VIII)のモノマー単位としては、各種水酸基含有化合物、アミノ基含有化合物、シアネート基含有化合物及びエポキシ基含有化合物を導入することができる。
本発明において用いられる、上記(D)における式(VII)のモノマー単位と、式(VIII)のモノマー単位と、を含む共重合樹脂の配合量は、(A)フェノール変性シアネートエステルオリゴマー100重量部に対して、配合効果とガラス転移温度(Tg)及び耐湿耐熱性とのバランスを考慮すると、10〜200重量部とすることが好ましい。
本発明において、場合により(E)硬化促進剤を用いることができる。(E)硬化促進剤としては、(a)分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物と、(b)式(I)のフェノール化合物及び式(II)のフェノール化合物から選ばれるフェノール化合物との反応を促進させる触媒機能を有する化合物と、(B)分子中に2個以上のエポキシ基を含有するエポキシ樹脂のグリシジル基の硬化反応を促進させる触媒機能を有する化合物と、をさらに含むことが好ましい。
(E)硬化促進剤において、(a)分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物と、(b)式(I)のフェノール化合物及び式(II)のフェノール化合物から選ばれるフェノール化合物との反応を促進させる触媒機能を有する化合物は、(A)フェノール変性シアネートエステルオリゴマーを合成する際に、その一部又は全部を配合しても、合成後に配合してもよい。具体的には、(E)硬化促進剤としての、このような触媒機能を有する化合物として、鉄、銅、亜鉛、コバルト、ニッケル、マンガン、スズの有機金属塩及び有機金属錯体等が挙げられる。その配合量は(A)フェノール変性シアネートエステルオリゴマー100重量部に対して、0.01〜3重量部配合することが好ましい。
また、(E)硬化促進剤において、(B)分子中に2個以上のエポキシ基を含有するエポキシ樹脂のグリシジル基の硬化反応を促進させる触媒機能を有する化合物としては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、イミダゾール類化合物、有機リン化合物、第二級アミン、第三級アミン、第四級アンモニウム塩等が挙げられるが、グリシジル基の硬化反応を促進する触媒機能としてはイミダゾール化合物がもっとも好ましい。
特に、式(IX):
(式中、R10は、炭素数1〜11個のアルキル基又はベンゼン環を表す)で表したイミダゾール類化合物が特に好ましい。
その配合量は、(B)エポキシ樹脂100重量部に対して、触媒効果とワニスやプリプレグの保存安定性とのバランスを考慮すると、0.05〜3重量部配合することが好ましい。そして両者の硬化促進剤を併用する場合、その合計は、(A)フェノール変性シアネートエステルオリゴマー100重量部に対して、触媒効果とワニスやプリプレグの保存安定性とのバランスを考慮すると、0.1〜5重量部とすることが好ましい。
本発明の樹脂組成物において、場合により(F)酸化防止剤を用いることができる。(F)酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤及び硫黄有機化合物系酸化防止剤からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
フェノール系酸化防止剤の具体例としては、ピロガロール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等のモノフェノール系や2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のビスフェノール系及び1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−〔メチレン−3−(3’−5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン等の高分子型フェノール系が挙げられる。フェノール系酸化防止剤の中でも、特にビスフェノール系酸化防止剤が効果の点で好ましい。
硫黄有機化合物系酸化防止剤の具体例としては、ジウラリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等がある。
これらの酸化防止剤は何種類かを併用してもよい。
本発明の(F)酸化防止剤は、(A)フェノール変性シアネートエステルオリゴマー100重量部に対して、絶縁特性を考慮すると、0.1〜20重量部配合することが好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物においては、本発明の目的の範囲内において、所望により充填剤、並びに酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、可塑剤、カップリング剤、顔料、染料、着色剤のようなその他の添加剤を配合することができる。充填剤としては、通常、無機充填剤が好適に用いられ、具体的には溶融シリカ、ガラス、アルミナ、ジルコン、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニア、チタン酸カリウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等が粉末又は球形化したビーズとして用いられる。また、ウィスカー、単結晶繊維、ガラス繊維、無機系及び有機系の中空フィラー等も配合することができる。
本発明の樹脂組成物をワニス化する場合、溶剤は特に限定されない。ケトン系、芳香族炭化水素系、エステル系、アミド系、アルコール系等が用いられる。具体的には、ケトン系溶剤として、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が、芳香族炭化水素系としては、トルエン、キシレン等が、エステル系溶剤としてはメトキシエチルアセテート、エトキシエチルアセテート、ブトキシエチルアセテート、酢酸エチル等が、アミド系溶剤としてはN−メチルピロリドン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が、アルコール系溶剤としてはメタノール、エタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等が挙げられる。これらの溶剤は1種又は2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の樹脂組成物は、加熱硬化させることにより、誘電特性、耐熱性、絶縁信頼性、耐電食性、難燃性に優れ、かつ、低吸水率である金属張り積層板及びプリント配線板の製造に供せられる。すなわち、本発明の熱硬化性樹脂組成物を溶媒に溶解してワニス化し、ガラス布等の基材に含浸して乾燥することによって、まずプリプレグを作製する。ついでこのプリプレグを任意枚数積層し、その片面若しくは上下に金属箔を重ねて加熱、加圧成型することにより、金属張り積層板を作製し、さらにパターン化によりプリント配線板とすることができる。
本発明のプリプレグは、例えば、本発明の熱硬化性樹脂組成物を、基材に含浸又は塗工し、次いで加熱等により半硬化(Bステージ化)させて、本発明のプリプレグを製造することができる。本発明の基材として、各種の電気絶縁材料用積層板に用いられている周知のものを使用することができる。その材質の例としては、Eガラス、Dガラス、Sガラス及びQガラス等の無機物繊維、ポリイミド、ポリエステル及びポリテトラフルオロエチレン等の有機繊維、並びにそれらの混合物等が挙げられる。これらの基材は、例えば、織布、不織布、ロービンク、チョップドストランドマット及びサーフェシングマット等の形状を有するが、材質及び形状は、目的とする成形物の用途や性能により選択され、必要に応じて単独又は2種類以上の材質及び形状を組み合わせることができる。基材の厚さは、特に制限されず、例えば、約0.03〜0.5mmを使用することができ、シランカップリング剤等で表面処理したもの又は機械的に開繊処理を施したものが、耐熱性や耐湿性、加工性の面から好適である。基材に対する樹脂組成物の付着量が、乾燥後のプリプレグの樹脂含有率で、20〜90重量%となるように、基材に含浸又は塗工した後、通常、100〜200℃の温度で1〜30分加熱乾燥し、半硬化(Bステージ化)させて、本発明のプリプレグを得ることができる。
本発明の積層板は、例えば本発明のプリプレグを、1〜20枚重ね、その片面又は両面に銅又はアルミニウム等の金属箔を配置した構成で積層成形することにより製造することができる。金属箔は、電気絶縁材料用途に用いるものであれば特に制限されない。また、成形条件は、例えば、電気絶縁材料用積層板及び多層板の手法が適用でき、例えば多段プレス、多段真空プレス、連続成形、オートクレーブ成形機等を使用し、温度100〜250℃、圧力2〜100kg/cm2、加熱時間0.1〜5時間の範囲で成形することができる。また、本発明のプリプレグと内層用配線板とを組合せ、積層成形して、多層板を製造することもできる。
以下、具体例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではないことは明らかである。
合成例1:成分(A):フェノール変性シアネートエステルオリゴマーの調製(A−1)
温度計、冷却管、撹拌装置を備えた3リットル容の反応容器にトルエン652.5g、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(Arocy B−10、旭チバ株式会社製商品名)1500g、p−(α−クミル)フェノール(東京化成工業株式会社製商品名)22.5gを配合し、液温を120℃に保った後で反応促進剤としてナフテン酸亜鉛(和光純薬工業株式会社製商品名)0.3g添加して4時間加熱反応(反応濃度:70重量%)させてシアネート化合物モノマーの転化率が約55%となるようなフェノール変性シアネートエステルオリゴマーを合成した。シアネート化合物モノマーの転化率は、液体クロマトグラフィー(機種:ポンプ;日立製作所(株)製L−6200、RI検出機;L−3300、カラム:東ソー(株)製TSKgel−G4000H、G2000H、溶媒:テトラヒドロフラン(THF)、濃度:1%)で確認した。また、この時のフェノール変性シアネートエステルオリゴマーの数平均分子量(Mn)は1430であった。
温度計、冷却管、撹拌装置を備えた3リットル容の反応容器にトルエン652.5g、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(Arocy B−10、旭チバ株式会社製商品名)1500g、p−(α−クミル)フェノール(東京化成工業株式会社製商品名)22.5gを配合し、液温を120℃に保った後で反応促進剤としてナフテン酸亜鉛(和光純薬工業株式会社製商品名)0.3g添加して4時間加熱反応(反応濃度:70重量%)させてシアネート化合物モノマーの転化率が約55%となるようなフェノール変性シアネートエステルオリゴマーを合成した。シアネート化合物モノマーの転化率は、液体クロマトグラフィー(機種:ポンプ;日立製作所(株)製L−6200、RI検出機;L−3300、カラム:東ソー(株)製TSKgel−G4000H、G2000H、溶媒:テトラヒドロフラン(THF)、濃度:1%)で確認した。また、この時のフェノール変性シアネートエステルオリゴマーの数平均分子量(Mn)は1430であった。
比較合成例1:比較成分(A):フェノール変性シアネートエステルオリゴマーの調製(A−2)
温度計、冷却管、撹拌装置を備えた3リットル容の反応容器にトルエン652.5g、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(Arocy B−10、旭チバ株式会社製商品名)1500g、p−(α−クミル)フェノール(東京化成工業株式会社製商品名)22.5gを配合し、液温を120℃に保った後で反応促進剤としてナフテン酸亜鉛(和光純薬工業株式会社製商品名)0.3g添加して1時間加熱反応(反応濃度:70重量%)させてシアネート化合物モノマーの転化率が約15%となるようなフェノール変性シアネートエステルオリゴマーを合成した。シアネート化合物モノマーの転化率は、液体クロマトグラフィー(機種:ポンプ;日立製作所(株)製L−6200、RI検出機;L−3300、カラム:東ソー(株)製TSKgel−G4000H、G2000H、溶媒:THF、濃度:1%)で確認した。また、この時のフェノール変性シアネートエステルオリゴマーの数平均分子量(Mn)は250であった。
温度計、冷却管、撹拌装置を備えた3リットル容の反応容器にトルエン652.5g、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(Arocy B−10、旭チバ株式会社製商品名)1500g、p−(α−クミル)フェノール(東京化成工業株式会社製商品名)22.5gを配合し、液温を120℃に保った後で反応促進剤としてナフテン酸亜鉛(和光純薬工業株式会社製商品名)0.3g添加して1時間加熱反応(反応濃度:70重量%)させてシアネート化合物モノマーの転化率が約15%となるようなフェノール変性シアネートエステルオリゴマーを合成した。シアネート化合物モノマーの転化率は、液体クロマトグラフィー(機種:ポンプ;日立製作所(株)製L−6200、RI検出機;L−3300、カラム:東ソー(株)製TSKgel−G4000H、G2000H、溶媒:THF、濃度:1%)で確認した。また、この時のフェノール変性シアネートエステルオリゴマーの数平均分子量(Mn)は250であった。
実施例1
成分(A)として、合成例1で得られたフェノール変性シアネートエステルオリゴマー(A−1)100重量部、成分(B)としてジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(HP−7200L、大日本インキ化学工業株式会社製商品名)100重量部、成分(C)としてポリジフェノキシホスファゼン45重量部及びジメチルホスフィン酸アルミニウム90重量部、成分(D)としてEF−40(サートマー社製商品名)50重量部、成分(F)としてピロガロール5重量部を配合し、メチルエチルケトンに溶解後、成分(E)としてナフテン酸亜鉛0.02重量部と2−メチルイミダゾールトリメリテート0.50重量部を配合し、不揮発分70%のワニスを得た。
表1に、配合比を示す。
成分(A)として、合成例1で得られたフェノール変性シアネートエステルオリゴマー(A−1)100重量部、成分(B)としてジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(HP−7200L、大日本インキ化学工業株式会社製商品名)100重量部、成分(C)としてポリジフェノキシホスファゼン45重量部及びジメチルホスフィン酸アルミニウム90重量部、成分(D)としてEF−40(サートマー社製商品名)50重量部、成分(F)としてピロガロール5重量部を配合し、メチルエチルケトンに溶解後、成分(E)としてナフテン酸亜鉛0.02重量部と2−メチルイミダゾールトリメリテート0.50重量部を配合し、不揮発分70%のワニスを得た。
表1に、配合比を示す。
実施例2
成分(A)として、合成例1で得られたフェノール変性シアネートエステルオリゴマー(A−1)100重量部、成分(B)としてビフェニル型エポキシ樹脂(YX4000、ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名)100重量部、成分(C)としてポリジフェノキシホスファゼン30重量部とジメチルホスフィン酸アルミニウム50重量部、成分(D)としてEF−40(サートマー社製商品名)100重量部、成分(F)として4,4−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)5重量部を配合し、メチルエチルケトンに溶解後、成分(E)としてナフテン酸亜鉛0.02重量部と2−メチルイミダゾールトリメリテート0.50重量部を配合し、不揮発分70%のワニスを得た。
成分(A)として、合成例1で得られたフェノール変性シアネートエステルオリゴマー(A−1)100重量部、成分(B)としてビフェニル型エポキシ樹脂(YX4000、ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名)100重量部、成分(C)としてポリジフェノキシホスファゼン30重量部とジメチルホスフィン酸アルミニウム50重量部、成分(D)としてEF−40(サートマー社製商品名)100重量部、成分(F)として4,4−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)5重量部を配合し、メチルエチルケトンに溶解後、成分(E)としてナフテン酸亜鉛0.02重量部と2−メチルイミダゾールトリメリテート0.50重量部を配合し、不揮発分70%のワニスを得た。
実施例3
成分(A)として、合成例1で得られたフェノール変性シアネートエステルオリゴマー(A−1)100重量部、成分(B)としてビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC−3000H、日本化薬株式会社製商品名)100重量部、成分(C)としてポリジフェノキシホスファゼン30重量部とジメチルホスフィン酸アルミニウム70重量部、成分(D)としてSMA1000(サートマー社製商品名)50重量部、成分(F)として4,4−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)2重量部を配合し、メチルエチルケトンに溶解後、成分(E)としてナフテン酸亜鉛0.02重量部と2−メチルイミダゾールトリメリテート0.50重量部を配合し、不揮発分70%のワニスを得た。
成分(A)として、合成例1で得られたフェノール変性シアネートエステルオリゴマー(A−1)100重量部、成分(B)としてビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC−3000H、日本化薬株式会社製商品名)100重量部、成分(C)としてポリジフェノキシホスファゼン30重量部とジメチルホスフィン酸アルミニウム70重量部、成分(D)としてSMA1000(サートマー社製商品名)50重量部、成分(F)として4,4−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)2重量部を配合し、メチルエチルケトンに溶解後、成分(E)としてナフテン酸亜鉛0.02重量部と2−メチルイミダゾールトリメリテート0.50重量部を配合し、不揮発分70%のワニスを得た。
実施例4
成分(A)として、合成例1で得られたフェノール変性シアネートエステルオリゴマー(A−1)100重量部、成分(B)としてビフェニル型エポキシ樹脂(YX4000、ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名)50重量部、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC−3000H、日本化薬株式会社製商品名)50重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DER331L、ダウ・ケミカル株式会社製商品名)10重量部、成分(C)としてポリジフェノキシホスファゼン45重量部とジメチルホスフィン酸アルミニウム70重量部、成分(D)としてSMA1000(サートマー社製商品名)100重量部、成分(F)として4,4−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)3重量部を配合し、メチルエチルケトンに溶解後、成分(E)としてナフテン酸亜鉛0.02重量部と2−メチルイミダゾールトリメリテート0.50重量部を表1に従って配合し、不揮発分70%のワニスを得た。
成分(A)として、合成例1で得られたフェノール変性シアネートエステルオリゴマー(A−1)100重量部、成分(B)としてビフェニル型エポキシ樹脂(YX4000、ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名)50重量部、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC−3000H、日本化薬株式会社製商品名)50重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DER331L、ダウ・ケミカル株式会社製商品名)10重量部、成分(C)としてポリジフェノキシホスファゼン45重量部とジメチルホスフィン酸アルミニウム70重量部、成分(D)としてSMA1000(サートマー社製商品名)100重量部、成分(F)として4,4−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)3重量部を配合し、メチルエチルケトンに溶解後、成分(E)としてナフテン酸亜鉛0.02重量部と2−メチルイミダゾールトリメリテート0.50重量部を表1に従って配合し、不揮発分70%のワニスを得た。
比較例1
成分(A)として、実施例1の(A−1)100重量部に代えて、フェノール変性シアネート化合物ではあるが、その水酸基/シアナト基比が1であり、モノマーの転化率が0%であるので本発明の範囲外である、比較成分(B−30)2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(Arocy B−30、旭チバ株式会社製商品名)100重量部を用いた以外は、実施例1と同様に配合して、不揮発分70%のワニスを得た。
成分(A)として、実施例1の(A−1)100重量部に代えて、フェノール変性シアネート化合物ではあるが、その水酸基/シアナト基比が1であり、モノマーの転化率が0%であるので本発明の範囲外である、比較成分(B−30)2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(Arocy B−30、旭チバ株式会社製商品名)100重量部を用いた以外は、実施例1と同様に配合して、不揮発分70%のワニスを得た。
比較例2
成分(A)として、実施例2の(A−1)100重量部に代えて、比較成分(B−30)2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(Arocy B−30、旭チバ株式会社製商品名)100重量部を用いた以外は、実施例2と同様に配合して、不揮発分70%のワニスを得た。
成分(A)として、実施例2の(A−1)100重量部に代えて、比較成分(B−30)2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(Arocy B−30、旭チバ株式会社製商品名)100重量部を用いた以外は、実施例2と同様に配合して、不揮発分70%のワニスを得た。
比較例3
成分(A)として、実施例3の(A−1)100重量部に代えて、比較成分(B−30)2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(Arocy B−30、旭チバ株式会社製商品名)100重量部を用いた以外は、実施例3と同様に配合して、不揮発分70%のワニスを得た。
成分(A)として、実施例3の(A−1)100重量部に代えて、比較成分(B−30)2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(Arocy B−30、旭チバ株式会社製商品名)100重量部を用いた以外は、実施例3と同様に配合して、不揮発分70%のワニスを得た。
比較例4
成分(A)として、実施例4の(A−1)100重量部に代えて、比較成分(B−30)2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(Arocy B−30、旭チバ株式会社製商品名)100重量部を用いた以外は、実施例4と同様に配合して、不揮発分70%のワニスを得た。
成分(A)として、実施例4の(A−1)100重量部に代えて、比較成分(B−30)2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(Arocy B−30、旭チバ株式会社製商品名)100重量部を用いた以外は、実施例4と同様に配合して、不揮発分70%のワニスを得た。
比較例5
成分(A)として、実施例1の(A−1)100重量部に代えて、比較成分(A)比較合成例1で得られたフェノール変性シアネートエステルオリゴマー(A−2)100重量部を用いた以外は、実施例1と同様に配合して、不揮発分70%のワニスを得た。
成分(A)として、実施例1の(A−1)100重量部に代えて、比較成分(A)比較合成例1で得られたフェノール変性シアネートエステルオリゴマー(A−2)100重量部を用いた以外は、実施例1と同様に配合して、不揮発分70%のワニスを得た。
実施例1〜4及び比較例1〜5のワニスを、0.2mm厚のガラス布(坪量210g/m2)に含浸し、160℃で5分間乾燥して、試料とするプリプレグを得た。このプリプレグ4枚に、それぞれの上下を厚み18μmの銅箔を積層し、230℃、2.45MPaの条件で2時間プレス成形し、銅張積層板を作製した。次いで、銅張積層板の銅をエッチングにより除去した後、積層板の試験片を得た。
評価は、誘電特性、ガラス転移温度(Tg)、はんだ耐熱性、吸水率、外層ピール強度、耐電食性、耐燃性を評価した。なお、評価方法は、下記のようにして行った。
(1)ワニス外観:配合後のワニスの外観を目視評価した。評価基準は、樹脂の析出のないものを○、析出したものを×とした。
(2)誘電特性:1GHzの誘電特性をトリプレート構造直線線路共振器法により測定した。
(3)ガラス転移温度(Tg):熱機械分析法(TMA法)により測定した。
(4)はんだ耐熱性:50mm×50mmにカットした試験片をプレッシャークッカーにより121℃、0.22MPaの条件で5h吸湿処理した後、260℃のはんだ浴に20秒間浸漬し試験片の状態を目視により観察した。評価基準は、ふくれ、ミーズリングのないものを○、ミーズリングの発生したものを△、フクレの発生したものを×とした。
(5)吸水率:50mm×50mmにカットした試験片をプレッシャークッカーにより121℃、0.22MPaの条件で5h吸湿処理し、吸湿処理前後の重量差より吸水率を算出した。
(6)銅箔引き剥がし強さ:エッチングにより1cm幅の銅ラインを形成し90℃方向の銅箔ピール強度をオートグラフにより測定した。
(7)耐電食性:スルーホール穴壁間隔を350μmとしたテストパターンを用いて、各試料について400穴の絶縁抵抗を経時的に測定した。測定条件は、85℃/85%RH雰囲気中100V印加して行い、導通破壊が発生するまでの時間を測定した。
(8)難燃性:UL94垂直試験法に準拠して評価した。
評価結果を表1に示した。
(2)誘電特性:1GHzの誘電特性をトリプレート構造直線線路共振器法により測定した。
(3)ガラス転移温度(Tg):熱機械分析法(TMA法)により測定した。
(4)はんだ耐熱性:50mm×50mmにカットした試験片をプレッシャークッカーにより121℃、0.22MPaの条件で5h吸湿処理した後、260℃のはんだ浴に20秒間浸漬し試験片の状態を目視により観察した。評価基準は、ふくれ、ミーズリングのないものを○、ミーズリングの発生したものを△、フクレの発生したものを×とした。
(5)吸水率:50mm×50mmにカットした試験片をプレッシャークッカーにより121℃、0.22MPaの条件で5h吸湿処理し、吸湿処理前後の重量差より吸水率を算出した。
(6)銅箔引き剥がし強さ:エッチングにより1cm幅の銅ラインを形成し90℃方向の銅箔ピール強度をオートグラフにより測定した。
(7)耐電食性:スルーホール穴壁間隔を350μmとしたテストパターンを用いて、各試料について400穴の絶縁抵抗を経時的に測定した。測定条件は、85℃/85%RH雰囲気中100V印加して行い、導通破壊が発生するまでの時間を測定した。
(8)難燃性:UL94垂直試験法に準拠して評価した。
評価結果を表1に示した。
表1から明らかなように、本発明の特定のフェノール変性シアネートエステルオリゴマーを用いた実施例1〜4で得られた積層板は、誘電特性、耐湿耐熱性、接着性(銅箔引き剥がし強さ)、耐電食性、耐燃性の特性において全てに優れている。
一方、本発明の範囲に含まれないフェノール変性シアネート化合物を用いた比較例1〜5で得られた積層板は、誘電特性、耐湿耐熱性、接着性、耐電食性、耐燃性の全ての特性において優れるものはない。
本発明の組成物を基材に含浸又は塗工して得たプリプレグ、及びプリプレグを積層成形することにより製造した積層板は、プリント配線板を製造するための材料として有用である。
本発明のプリント配線板は、誘電特性に優れることから高速情報処理機器、ハロゲン化合物を含まずに優れた耐燃性を示すことから環境対応型電子機器等、各種の電子機器回路形成に有用である。
Claims (13)
- (A)(a)1分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物を、
(b)式(I):
(式中、R1、R2は、互いに独立して、水素原子又はメチル基を示し、nは、1〜2の整数を表す)
で表されるフェノール化合物、及び式(II):
(式中、R3は、互いに独立して、水素原子又はメチル基を示し、R4は、メチル、エチル、又は基:
から選ばれるアルキル基であり、nは、1〜2の整数を表す)
で表されるフェノール化合物から選ばれる少なくとも1種類を含むフェノール化合物と、水酸基/シアナト基比0.01〜0.3の範囲で、かつ(a)1分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物のモノマーの転化率が20〜70%となるように反応させて得られるフェノール変性シアネートエステルオリゴマーと、
(B)1分子中に2個以上のエポキシ基を含有するエポキシ樹脂と、
(C)難燃剤として2置換ホスフィン酸の金属塩とホスファゼン化合物と、を含む熱硬化性樹脂組成物。 - (A)フェノール変性シアネートエステルオリゴマーが、(a)1分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物のモノマー転化率45〜65%となるように反応させて得られるフェノール変性シアネートエステルオリゴマー組成物である、請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物。
- (A)フェノール変性シアネートエステルオリゴマーの数平均分子量が380〜2500である、請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- (A)フェノール変性シアネートエステルオリゴマーの数平均分子量が400〜1600である、請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- (E)硬化促進剤として、鉄、銅、亜鉛、コバルト、ニッケル、マンガン、スズの有機金属塩及び有機金属錯体からなる群より選ばれる1種以上と、イミダゾール類化合物と、をさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- (F)酸化防止剤として、フェノール系酸化防止剤及び硫黄有機化合物系酸化防止剤からなる群より選ばれる1種以上をさらに含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- (A)100重量部に対して、(B)25〜300重量部、(C)10〜150重量部、(D)10〜200重量部、(E)0.1〜5重量部、(F)0.1〜20重量部を含む請求項10記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物をワニス化し、基材に含浸、乾燥して得られるプリプレグ。
- 請求項12に記載のプリプレグを1枚又は複数枚重ね、さらにその上下面又は片面に金属箔を積層し、加熱加圧して得られる金属張積層板及びこれを用いたプリント配線板。
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