JP4066098B2 - 海水の淡水化方法 - Google Patents
海水の淡水化方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4066098B2 JP4066098B2 JP18624795A JP18624795A JP4066098B2 JP 4066098 B2 JP4066098 B2 JP 4066098B2 JP 18624795 A JP18624795 A JP 18624795A JP 18624795 A JP18624795 A JP 18624795A JP 4066098 B2 JP4066098 B2 JP 4066098B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- reverse osmosis
- osmosis membrane
- separation module
- membrane separation
- stage reverse
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02A—TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
- Y02A20/00—Water conservation; Efficient water supply; Efficient water use
- Y02A20/124—Water desalination
- Y02A20/131—Reverse-osmosis
Landscapes
- Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
Description
【産業上の利用分野】
本発明は逆浸透膜分離モジュ−ルで海水を淡水化して飲料水を得る海水の淡水化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の降雨量の低下、生活レベルの向上、産業の多様化等による水需要の増加に伴う水不足の被害は全国的に波及し、水資源の安定供給の方法として海水の淡水化が検討され、その中でも逆浸透膜による海水の淡水化が、省エネルギ−、省スペ−ス、低コスト等の有利性から最も有望視されている。
逆浸透膜分離モジュ−ルにより海水を淡水化するには、原水中に含まれる懸濁物質や有機物から膜を保護するために前処理することが必要である。例えば、砂ろか、塩素や凝集剤の添加、pH調整等が必要であり、pH調整においては、CaCO3がpH7以上では沈殿を生じて膜面にスケ−ルが生成するので、pHを7以下に抑えることが必要である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者等においては、逆浸透膜分離モジュ−ルを使用し、海水をそのpHを7に調整して脱塩したところ、透過水の水質はホウ素を除き水道法水質基準(1993年12月厚生省公示)を満足するが、ホウ素の含有量は0.2mmp以上であり、当該水質基準を満たし得ないことが判明した。現に、逆浸透膜分離モジュ−ルに、pH6.5の食塩濃度3.5%の水溶液を原液として温度25℃、操作圧力56kgf/cm2で1時間運転した後での食塩阻止率が99%以上のものを使用して海水(ホウ素含有量4.2ppm)を脱塩したところ、透過水のホウ素含有量は0.8ppmであった。
【0004】
そこで、本発明者等においては、ホウ素の含有量を0.2mmp以下に抑制すべく、鋭意検討した結果、上記透過水(pH5.7未満)をpH5.7以上、好ましくは6.5以上に調整のうえ更に逆浸透膜分離モジュ−ルで脱塩することが有効であることを知った。
上記CaCO3のスケ−ルの生成防止のためにpHをほぼ7以上に調整した原水を逆浸透膜分離モジュ−ルに通したときの透過水のpHは、通常5.7未満であり、このpH領域では、ホウ素はイオンに解離していない化合物として存在するが、このpHよりアリカリ側のもとでは、陰イオンに解離した状態で存在する。而るに、上記透過水をpH5.7以上に調整して更に逆浸透膜分離モジュ−ルで脱塩することがホウ素含有量の低減に有効な理由としては、ホウ素の非イオン化合物質に較べてホウ素イオンの方が、浸透圧差や透過係数が小である結果であると推定される。
【0005】
本発明の目的は、上記の知見に基づき、海水を逆浸透膜分離モジュ−ルによりホウ素を含めて水道法水質基準(1993年12月厚生省公示)を満たす水質で淡水化できる海水の淡水化方法を提供することにある。
本発明の更なる目的は、海水を逆浸透膜分離モジュ−ルによりホウ素を含めて水道法水質基準(1993年12月厚生省公示)を満たす水質で、しかも充分に低電力コストにて淡水化できる海水の淡水化方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る海水の淡水化方法は、海水を第1段目の逆浸透膜分離モジュ−ルに供給し、更にその透過水を第2段目の逆浸透膜分離モジュ−ルに供給して淡水化する方法において、第1段目逆浸透膜分離モジュ−ルに、pH6.5の食塩濃度3.5%の水溶液を原液として温度25℃、操作圧力56 kgf/cm 2 で1時間運転した後での食塩阻止率が99%以上のものを使用して第1段目の逆浸透膜分離モジュ−ルでホウ素以外は水道水基準(1993年12月厚生省公示)を満たすように脱塩し、第1段目逆浸透膜分離モジュ−ルの透過水のpHを8〜11に調整することを特徴とする。
請求項2に係る海水の淡水化方法は、請求項1の海水の淡水化方法において、第2段目逆浸透膜分離モジュ−ルに、透過流束が0.10 m 3 /m 2 ・ (kgf/cm 2 ) ・ day 以上であり、かつpH6.5の食塩濃度0.05%の水溶液を原液として温度25℃、操作圧力7.5 kgf/cm 2 で30分運転した後での食塩阻止率が99%以上のものを使用することを特徴とする。
請求項3に係る海水の淡水化方法は、海水を第1段目の逆浸透膜分離モジュ−ルに供給し、更にその透過水を第2段目の逆浸透膜分離モジュ−ルに供給し、第1段目の逆浸透膜分離モジュ−ルでホウ素以外は水道水基準(1993年12月厚生省公示)を満たすように脱塩し、第1段目逆浸透膜分離モジュ−ルの透過水のpHを8〜11に調整する海水の淡水化方法であり、第1段目逆浸透膜分離モジュ−ルに、pH6.5の食塩濃度3.5%の水溶液を原液として温度25℃、操作圧力56 kgf/cm 2 で1時間運転した後での食塩阻止率が99%以上のものを使用し、第2段目逆浸透膜分離モジュ−ルに、透過流束が0.10 m 3 /m 2 ・ (kgf/cm 2 ) ・ day 以上であり、かつpH6.5の食塩濃度0.05%の水溶液を原液として温度25℃、操作圧力7.5 kgf/cm 2 で30分運転した後での食塩阻止率が99%以上のものを使用することを特徴とする。
請求項4に係る海水の淡水化方法は、請求項1〜3何れかの海水の淡水化方法において、第2段目逆浸透膜分離モジュ−ルの逆浸透膜に、架橋芳香族ポリアミドスキン層と多孔 質支持体とからなる複合膜を使用することを特徴とする。
請求項5に係る海水の淡水化方法は、請求項4の海水の淡水化方法において、架橋芳香族ポリアミドスキン層の平均表面粗さを55nm以上とすることを特徴とする。
請求項6に係る海水の淡水化方法は、請求項1〜5何れかのの海水の淡水化方法において、第2段目逆浸透膜分離モジュ−ルの操作圧力を第1段目逆浸透膜分離モジュ−ルの操作圧力よりも低くし、その第2段目逆浸透膜分離モジュ−ルの操作圧力を1〜10 kgf/cm 2 とすることを特徴とする。
【0007】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明において使用する海水淡水化装置の一例を示している。
図1において、1は海水タンクを、2は海水の前処理槽を、31は第1段目送液ポンプを、41は第1段目逆浸透膜分離モジュ−ルを、411は第1段目非透過水排出管を、412は第1段目透過水流出管をそれぞれ示している。
5は中間タンク例えば、パイプヘッダ−を、32は第2段目送液ポンプを、42は第2段目逆浸透膜分離モジュ−ルを、422は第2段目透過水流出管を、420は第2段目非透過水配管をそれぞれ示し、第2段目非透過水の一部が第1段目送液ポンプ31の入口側にリタ−ン管420’によりリタ−ンされ、残部は第2段目非透過水排出管421より排出され、第2段目透過水が第2段目透過水流出管422より飲料水として取り出されていく。6はアルカル液タンクを、7は第1段目逆浸透膜分離モジュ−ル41の透過側にアリカリ液を注入するためのポンプをそれぞれ示している。
【0008】
上記装置を用いて本発明により海水を淡水化するには、海水タンク1内の海水を前処理槽2で前処理したうえで、第1段目送液ポンプ31により所定の圧力で第1段目逆浸透膜分離モジュ−ル41に供給し、海水中の塩の通過の阻止により塩の濃縮された非透過水を第1段目非透過水排出管411から排出し、透過側に所定の除去率で塩を除去した透過水を発生させていく。前処理槽2は、第1段目逆浸透膜分離モジュ−ル41の膜面を懸濁物質や有機物の付着、汚染から保護するために使用され、それらの懸濁物質や有機物等を除去するための手段、例えば、砂ろか、精密濾過、塩素や凝集剤の添加、CaCO3の沈殿防止のためのpH調整(弱酸性)等を用いることができる。
【0009】
上記第1段目逆浸透膜分離モジュ−ル41の第1段目透過水は一旦中間タンク5に貯えると共にポンプ7によりアリカリ液、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等を注入してその透過水のpH(5.7未満)を8〜11(11以上では、膜の劣化が問題となる)のアリカリ側に調整し、このpH調整透過水を送液ポンプ32により所定の圧力で第2段目逆浸透膜分離モジュ−ル42に供給し、塩の濃縮された第2段目非透過水の一部を第1段目ライン側にリタ−ンさせると共に第2段目非透過水の残部を第2段目非透過水排出管421から排出していく。第2段目逆浸透膜分離モジュ−ル42により更に脱塩された第2段目透過水は飲料水として使用していく。
【0010】
上記において、第1段目逆浸透膜分離モジュ−ル41による脱塩で、ホウ素以外については水道法水質基準を満たす透過水を得ることができる。第1段目逆浸透膜分離モジュ−ル41への供給原水は、CaCO3の沈殿防止のために弱酸性にされており、ホウ素は非イオン状態で存在している。第1段目逆浸透膜分離モジュ−ル41への供給海水中のホウ素含有量は、通常4.0〜5.0ppm程度であり、第1段目透過水中のホウ素含有量は、0.8ppm以上であって、水道法水質基準の0.2ppm以下を満たし得ない。しかし、第1段目透過水のpHを充分にアルカリ性にしており、ホウ素が陰イオン状態で存在し、通常、逆浸透膜分離モジュ−ルのこのホウ素イオンに対する阻止率は非イオン化ホウ素に較べて大であって、第2段目逆浸透膜分離モジュ−ル42による更なる脱塩でホウ素の含有量を0.2ppm以下にできる。
【0011】
上記において、第2段目逆浸透膜分離モジュ−ル42の透過水量で一度の飲料水使用量を賄えるように中間タンク5から第2段目逆浸透膜分離モジュ−ル42への安定な原水の連続供給を保証する必要があり、中間タンク5は、かかる条件を満たし得る容量に設定してある。この場合、その飲料水の使用は間歇的であり、従って、第2段目液送ポンプ32の駆動も間歇的になされ、この第2段目逆浸透膜分離モジュ−ル42の運転停止中にも第1段目逆浸透膜分離モジュ−ル41を運転して中間タンク5内の液面を所定のレベルに保持しておくことが望まれる(このため、中間タンク内に上限液面スイッチ及び下限液面スイッチを設け、下限液面スイッチで第1段目液送ポンプを駆動、上限液面スイッチで第1段目液送ポンプを停止とすることができる)。
【0012】
上記において、第2段目逆浸透膜分離モジュ−ルの透過水を貯水タンクに貯水し、これを適時飲料水として使用することもでき、この場合、中間タンクは省略することも可能である。
上記において、第2段目逆浸透膜分離モジュ−ルの非透過水は全て排出し、第1段目ラインへのリタ−ン量を0にすることもできる。
上記第2段目液送ポンプを省略し、図2に示すように、第1段目逆浸透膜分離モジュ−ル41のみならず第2段目逆浸透膜分離モジュ−ル42の操作圧力をも第1段目液送ポンプ31で発生させることもでき、この場合、第1段目逆浸透膜分離モジュ−ルはその透過側においても加圧されるので、透過側もこの加圧力に対処できる耐圧構造とされる。なお、図2において、図1と同一符号は同一の構成要素を示している
上記第1段目及び第2段目の逆浸透膜分離モジュ−ルには、スパイラル型、中空糸型、チュ−ブラ−型、フレ−ム&プレ−ト型等を使用できる。
第1段目逆浸透膜分離モジュ−ルの膜材質としては、アセチルセルロ−ス、ポリビニルアルコ−ル、ポリアミド等を使用でき、特に、トリハロメタンやトリブロモメタン等の有機物の阻止機能が高いポリアミドを使用することが好ましい。スパイラル型、チュ−ブラ−型、フレ−ム&プレ−ト型等に使用する膜には、逆浸透膜のスキン層と多孔性支持体とからなる複合膜が使用される。
【0013】
上記において、逆浸透膜分離モジュ−ルには数台のモジュ−ルユニットを直列または並列に接続し、これらのユニット群の供給側を一括して原水供給管に接続し、透過側を一括して透過水流出管に接続したものも使用できる。
また本発明は、上記第2段目逆浸透膜分離モジュ−ルの後段に逆浸透膜分離モジュ−ルを接続して2段以上の多段で実施することもできる。
【0014】
膜理論で知られている通り、水(溶媒)に一の溶質(塩)が溶けている溶液が逆浸透分離膜で分離されるときの水の透過流束Jw、溶質の透過流束Jsは次式で把握でき、水と溶質とを分離する性能はの塩除去率Rで把握できる。
Jw=Lp(Δp−σΔπ)
Js=wΔπ+(1−σ)CsJw
ただし、Lp及びwは水透過係数及び塩透過係数、Δpは原水と透過水との圧力差、Δπは浸透圧差、Csは塩の膜中濃度(両膜面に臨む箇所での平均濃度)、σは反射係数である。
R=(1−Cf/Cp)×100%
ただし、Cpは供給液の溶質の濃度、Cfは透過水の溶質の濃度である。
上式から、水の透過流束Jwを大きくすれば、、溶質の透過流束Jsも大となり、塩の除去率Rが低下することが明らかであり、本発明において第2段目逆浸透膜分離モジュ−ルには、飲料水としての流量を賄えるように、第1段目よりも塩除去率が低いが、透過流束の大きいものを使用することができる。
【0015】
第1段目逆浸透膜分離モジュ−ルには、例えば、pH6.5の食塩濃度3.5%の水溶液を原液として温度25℃、操作圧力56kgf/cm2で1時間運転した後での食塩阻止率が99%以上のものを使用し、第2段目逆浸透膜分離モジュ−ルには、透過流束が0.10m3/m2・(kgf/cm2)・day以上であり、かつpH6.5の食塩濃度0.05%の水溶液を原液として温度25℃、操作圧力7.5kgf/cm2で30分運転した後での食塩阻止率が99%以上のものを使用することが好ましい。特に、第2段目逆浸透膜分離モジュ−ルには、逆浸透膜の表面を粗面化しその表面積の増大により透過流束を高くしたものをしてあり、架橋全芳香族ポリアミドのスキン層とこれを支持する微多孔質支持体(例えば、ポリスルホン)とを有し、ポリアミドスキン層表面を平均粗さ55nm以上の凹凸面した複合逆浸透膜を使用することが好ましい。このスキン層の厚みは、通常、0.1〜1.5μm以下であり、微多孔質支持体の厚みは、通常50〜250μmである。
なお、上記の平均粗さRaは次式によって定義され、原子力間顕微鏡、摩擦力顕微鏡、トンネル顕微鏡、走査電子顕微鏡、透過電子顕微鏡等により測定できる。
【0016】
【数1】
ここで、a,bは指定面(長方形)の2辺の長さ、Sは指定面の面積、f(x,y)は指定面内での高さ、Zoは次式で与えられる指定面の高さの平均値である。
【数2】
【0017】
【作用】
第1段目逆浸透膜分離モジュ−ル41への供給海水中のホウ素含有量は、通常4.0〜5.0ppm程度であり、第1段目逆浸透膜分離モジュ−ル41として、通常の高圧操作のもの(pH6.5の食塩濃度3.5%の水溶液を原液として温度25℃、操作圧力56kgf/cm 2で1時間運転した後での食塩阻止率が99%以上であり、ホウ素以外についての水道法水質基準を充足させ得る)を使用する以上、第1段目逆浸透膜分離モジュ−ル41の透過水中のホウ素含有量が、0.8ppm以上となって、水道法水質基準のホウ素含有量0.2ppm以下を満たし得ない。
【0018】
しかし、第2段目膜分離モジュ−ル42として、前式において、塩(ホウ素)の透過係数wや膜中濃度Csの低い逆浸透分離膜モジュ−ルを使用すれば、ホウ素の透過流束Jsを低くでき、ホウ素含有量を0.2ppm以下にすることが可能となる。
【0019】
特に、第1段目逆浸透膜分離モジュ−ル41の透過水のpHを5.7〜11にすれば、ホウ素が陰イオン状態で存在する。而るに、上記の式 において、浸透圧差Δπ×塩透過係数wや膜中濃度Csがホウ素イオンと非イオンホウ素化合物とでは異なり、ホウ素イオンの透過流束が非イオンホウ素化合物率の透過流束よりも高くなって、第2段目逆浸透膜分離モジュ−ル42の透過水中のホウ素含有量をより一層に少なくでき、容易に0.2ppm以下にできる。
【0020】
そして第2段目逆浸透膜分離モジュ−ル42の逆浸透膜のスキン層表面積をその平均粗さを大きくすることにより広くし、塩阻止率の低下を抑制しつつ透過流束を充分に高くできる〔0.10m3/m2・(kgf/cm2)・day以上〕から、飲料水としての流量を充分に賄い得る。
従って、水道法水質基準をホウ素についても満たし得る飲料水を海水を水源として供給できる。
【0021】
【実施例】
〔参考例〕
図1に示す海水淡水化装置を使用した。第1段目逆浸透分離膜モジュ−ルには、pH6.5の食塩濃度3.5%の水溶液を原液として温度25℃、操作圧力56kgf/cm で1時間運転した後での食塩阻止率が99.6%であるスパイラル型逆浸透分離膜モジュ−ル〔日東電工(株)製NTR−70SWC−S4〕を用い、第2段目逆浸透分離膜モジュ−ルには、pH6.5の食塩濃度0.05%の水溶液を原液として温度25℃、操作圧力7.5kgf/cm2で30分運転した後での食塩阻止率が99.5%であり、純水の透過流束が0.13m3/m2・(kgf/cm2)・dayであるスパイラル型逆浸透分離膜モジュ−ル〔日東電工(株)製ES10-D4、スキン層が架橋芳香族ポリアミド層でその平均表面粗さが80nmの複合膜を使用〕を用いた。
前処理した海水(pH7,ホウ素含有量4.2ppm)を第1段目逆浸透分離膜モジュ−ルで操作圧力56kgf/cm2にて脱塩し、その透過水(pH5.7未満)のpHを水酸化ナトリウム水溶液の注入により7.0に調整し、更に第2段目逆浸透分離膜モジュ−ルで操作圧力7.5kgf/cm2にて脱塩した。
第1段目逆浸透分離膜モジュ−ルの透過水のホウ素含有量は0.8ppmであり、水道法水質基準0.2ppm以下を満たしていなかったが、他の塩については、全て水道法水質基準を満たしていた。これに対し、第2段目逆浸透分離膜モジュ−ルの透過水のホウ素含有量は0.19ppmであり、水道法水質基準を満たしていた。勿論、他の塩に対する水質基準も全て満たしていた。
【0022】
〔実施例1〕
参考例に対し、第1段目逆浸透分離膜モジュ−ルの透過水のpHを8.0に調整した以外、参考例に同じとした。
第2段目逆浸透分離膜モジュ−ルの透過水のホウ素含有量は0.18ppmであり、水道法水質基準を満たしていた。他の塩に対する水質基準も全て満たしていた。
〔実施例2〕
参考例に対し、第1段目逆浸透分離膜モジュ−ルの透過水のpHを9.0に調整した以外、参考例に同じとした。
第2段目逆浸透分離膜モジュ−ルの透過水のホウ素含有量は0.14ppmであり、水道法水質基準を満たしていた。他の塩に対する水質基準も全て満たしていた。
〔実施例3〕
参考例に対し、第1段目逆浸透分離膜モジュ−ルの透過水のpHを10.0に調整した以外、参考例に同じとした。
第2段目逆浸透分離膜モジュ−ルの透過水のホウ素含有量は0.03ppmであり、水道法水質基準を満たしていた。他の塩に対する水質基準も全て満たしていた。
〔実施例4〕
参考例に対し、第1段目逆浸透分離膜モジュ−ルの透過水のpHを11.0に調整した以外、参考例に同じとした。
第2段目逆浸透分離膜モジュ−ルの透過水のホウ素含有量は0.02ppmであり、水道法水質基準を満たしていた。他の塩に対する水質基準も全て満たしていた。
【0023】
〔実施例5〕
参考例に対し、第2段目逆浸透分離膜モジュ−ルとして、pH6.5の食塩濃度0.05%の水溶液を原液として温度25℃、操作圧力7.5kgf/cm で30分運転した後での食塩阻止率が93%であり、純水の透過流束が0.12m3/m2・(kgf/cm2)・dayであるスパイラル型逆浸透分離膜モジュ−ル〔日東電工(株)製NTR−729H第1段目−S4、スキン層が架橋芳香族ポリアミド層でその平均表面粗さが30nmの複合膜を使用〕を用い、かつ、第1段目逆浸透分離膜モジュ−ルの透過水のpHを9.5に調整した以外、参考例に同じとした。
第2段目逆浸透分離膜モジュ−ルの透過水のホウ素含有量は0.19ppmであり、水道法水質基準を満たしていた。他の塩に対する水質基準も全て満たしていた。
〔比較例〕
実施例5に対し、第1段目逆浸透分離膜モジュ−ルの透過水のpHを調整せずに5.7未満のままとした以外、実施例5に同じとした。
第2段目逆浸透分離膜モジュ−ルの透過水のホウ素含有量は0.4ppmであり、水道法水質基準を満たしていなかった。他の塩については、全て水道法水質基準を満たしていた。
〔実施例6〕
実施例2に対し、第2段目逆浸透分離膜モジュ−ルの操作圧力を3.0kgf/cm 2とした以外、実施例2に同じとした。
第2段目逆浸透分離膜モジュ−ルの透過水のホウ素含有量は0.18ppmであり、水道法水質基準を満たしていた。他の塩についても、全て水道法水質基準を満たしていた。
【0024】
上記実施例から明らかなように、海水を第1段目逆浸透膜分離モジュ−ルで脱塩し、その透過水をpH8以上にして第2段目逆浸透膜分離モジュ−ルで脱塩することにより、ホウ素を含めて水道法水質基準を全て満たす水質の飲料水を得ることができる。
実施例5と比較例との対比から明らかなように、第2段目逆浸透膜分離モジュ−ルの阻止率が多少低くても、第1段目逆浸透膜分離モジュ−ルの透過水を充分に強いアルカリ性(pH9以上)にすれば、ホウ素を含めて水道法水質基準を満たす水質の飲料水を得ることができる。
【0025】
更に、実施例6から明らかなように、第2段目逆浸透膜分離モジュ−ルを超低圧で操作するにもかかわらず、ホウ素を含めて水道法水質基準を満たす水質の飲料水を得ることができ、第2段目逆浸透膜分離モジュ−ルの低圧操作のために、電力コストの顕著な低減を図ることができる(透過水1m を製造するのに要する電力料金は、第1段目逆浸透膜分離モジュ−ルの操作圧力が56kgf/cm2であって、第2段目逆浸透膜分離モジュ−ルの操作圧力が15kgf/cm2の場合に対し、特に、第2段目逆浸透膜分離モジュ−ルの操作圧力が7.5kgf/cm2の場合は85%に低減され、第2段目逆浸透膜分離モジュ−ルの操作圧力が3kgf/cm2の場合は80%に低減される)
【0026】
【発明の効果】
本発明に係る海水の淡水化方法によれば、ホウ素を含めて水道法水質基準を満たす水質の用水を海水から充分な流量で、しかも低電力コストにて得ることができ、渇水期であっても良質の飲料水を安定に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明において使用する海水淡水化装置の一例を示す説明図である。
【図2】 本発明において使用する海水淡水化装置の別例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 海水貯水タンク
2 前処理槽
31 第1段目送液ポンプ
32 第2段目送液ポンプ
41 第1段目逆浸透膜分離モジュ−ル
42 第2段目逆浸透膜分離モジュ−ル
6 アルカリ液タンク
7 ポンプ
Claims (6)
- 海水を第1段目の逆浸透膜分離モジュ−ルに供給し、更にその透過水を第2段目の逆浸透膜分離モジュ−ルに供給して淡水化する方法において、第1段目逆浸透膜分離モジュ−ルに、pH6.5の食塩濃度3.5%の水溶液を原液として温度25℃、操作圧力56 kgf/cm 2 で1時間運転した後での食塩阻止率が99%以上のものを使用して第1段目の逆浸透膜分離モジュ−ルでホウ素以外は水道水基準(1993年12月厚生省公示)を満たすように脱塩し、第1段目逆浸透膜分離モジュ−ルの透過水のpHを8〜11に調整することを特徴とする海水の淡水化方法。
- 第2段目逆浸透膜分離モジュ−ルに、透過流束が0.10m3/m2・(kgf/cm2 )・day以上であり、かつpH6.5の食塩濃度0.05%の水溶液を原液として温度25℃、操作圧力7.5kgf/cm2で30分運転した後での食塩阻止率が99%以上のものを使用する請求項1記載の海水の淡水化方法。
- 海水を第1段目の逆浸透膜分離モジュ−ルに供給し、更にその透過水を第2段目の逆浸透膜分離モジュ−ルに供給し、第1段目の逆浸透膜分離モジュ−ルでホウ素以外は水道水基準(1993年12月厚生省公示)を満たすように脱塩し、第1段目逆浸透膜分離モジュ−ルの透過水のpHを8〜11に調整する海水の淡水化方法であり、第1段目逆浸透膜分離モジュ−ルに、pH6.5の食塩濃度3.5%の水溶液を原液として温度25℃、操作圧力56kgf/cm2で1時間運転した後での食塩阻止率が99%以上のものを使用し、第2段目逆浸透膜分離モジュ−ルに、透過流束が0.10m3/m2・(kgf/cm2)・day以上であり、かつpH6.5の食塩濃度0.05%の水溶液を原液として温度25℃、操作圧力7.5kgf/cm2で30分運転した後での食塩阻止率が99%以上のものを使用することを特徴とする海水の淡水化方法。
- 第2段目逆浸透膜分離モジュ−ルの逆浸透膜に、架橋芳香族ポリアミドスキン層と多孔質支持体とからなる複合膜を使用する請求項1〜3何れか記載の海水の淡水化方法。
- 架橋芳香族ポリアミドスキン層の平均表面粗さを55nm以上とする請求項4記載の海水の淡水化方法。
- 第2段目逆浸透膜分離モジュ−ルの操作圧力を第1段目逆浸透膜分離モジュ−ルの操作圧力よりも低くし、その第2段目逆浸透膜分離モジュ−ルの操作圧力を1〜10kgf/cm2とする請求項1〜5何れか記載の海水の淡水化方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18624795A JP4066098B2 (ja) | 1995-06-29 | 1995-06-29 | 海水の淡水化方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18624795A JP4066098B2 (ja) | 1995-06-29 | 1995-06-29 | 海水の淡水化方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0910766A JPH0910766A (ja) | 1997-01-14 |
JP4066098B2 true JP4066098B2 (ja) | 2008-03-26 |
Family
ID=16184933
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18624795A Expired - Fee Related JP4066098B2 (ja) | 1995-06-29 | 1995-06-29 | 海水の淡水化方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4066098B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3593765B2 (ja) * | 1994-12-02 | 2004-11-24 | 東レ株式会社 | 海水の逆浸透膜分離装置および分離方法 |
JP3951200B2 (ja) * | 1997-10-31 | 2007-08-01 | 栗田工業株式会社 | 純水製造装置 |
US7368058B2 (en) | 2002-01-22 | 2008-05-06 | Toray Industries, Inc. | Method of generating fresh water and fresh-water generator |
US7279097B2 (en) * | 2003-06-18 | 2007-10-09 | Toray Industries, Inc. | Composite semipermeable membrane, and production process thereof |
CN114509549A (zh) * | 2022-02-07 | 2022-05-17 | 西安西热水务环保有限公司 | 一种海水淡化产水中硼的连续检测系统及方法 |
-
1995
- 1995-06-29 JP JP18624795A patent/JP4066098B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0910766A (ja) | 1997-01-14 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5501798A (en) | Microfiltration enhanced reverse osmosis for water treatment | |
US6270671B1 (en) | Method and apparatus for microfiltration | |
JP5549589B2 (ja) | 造水システム | |
JP5575015B2 (ja) | 淡水製造システム | |
US20060157409A1 (en) | Optimal high recovery, energy efficient dual fully integrated nanofiltration seawater reverse osmosis desalination process and equipment | |
JP4903113B2 (ja) | 水処理システム及びその運転方法 | |
JP2006187719A (ja) | 淡水製造装置の運転方法および淡水製造装置 | |
WO2020179594A1 (ja) | Zero Liquid Dischargeシステム | |
US20110315612A1 (en) | Desalination apparatus and method of cleaning the same | |
JP2008100220A (ja) | 造水方法 | |
US20180297866A1 (en) | Water treatment system and water treatment method | |
JP3593765B2 (ja) | 海水の逆浸透膜分離装置および分離方法 | |
JPWO2014115769A1 (ja) | 淡水製造装置の運転方法 | |
JP2000093751A (ja) | 逆浸透分離装置及び逆浸透分離方法 | |
JP4066098B2 (ja) | 海水の淡水化方法 | |
JPH09248429A (ja) | 分離方法およびその装置 | |
JP4187316B2 (ja) | 逆浸透膜分離装置および逆浸透膜分離方法 | |
JPH07299454A (ja) | 膜処理装置 | |
JP2001269543A (ja) | 膜分離装置および高濃度溶液の分離方法 | |
JPH10305216A (ja) | 逆浸透膜分離装置および高濃度溶液の分離方法 | |
JP3838689B2 (ja) | 水処理システム | |
Maddah | Simulating fouling impact on the permeate flux in high-pressure membranes | |
Singh | Brine recovery at industrial RO plants: Conceptual process design studies | |
JP2001269544A (ja) | 膜分離装置および高濃度溶液の分離方法 | |
Curcio et al. | Membranes for desalination |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20040713 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20040818 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070829 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20071116 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20071225 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110118 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140118 Year of fee payment: 6 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |