JP4065719B2 - 追記型光記録媒体及びその記録再生方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、追記型(WORM:Write Once Read Many )光記録媒体に係わり、特に青色レーザ波長でも高密度記録が可能な追記型光記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
超高密度の記録が可能となる青色レーザの開発は急速に進んでおり、それに対応した追記型光記録媒体の開発が行われている。
従来の追記型光記録媒体では、有機材料からなる記録層にレーザ光を照射し、主に有機材料の分解・変質による屈折率減少を生じさせることで記録ピットを形成させており、記録層に用いられる有機材料の光学定数や分解挙動が、良好な記録ピットを形成させるための重要な要素となっている。
従って、記録層に用いる有機材料としては、青色レーザ波長に対する光学的性質や分解挙動の適切な材料を選択する必要がある。
即ち、未記録時の反射率を高め、またレーザの照射によって有機材料が分解し大きな屈折率変化(減少)が生じるようにするため(これによって大きな変調度が得られる)、記録再生波長は大きな吸収帯の長波長側の裾に位置するように選択される(図1参照。図中の斜線領域は記録再生波長の範囲を示す)。
何故ならば、有機材料の大きな吸収帯の長波長側の裾は、適度に小さな吸収係数を有し且つ大きな屈折率が得られる波長領域となるためである。
【0003】
しかしながら、青色レーザ波長に対する光学的性質が従来並みの値を有する有機材料は未だ見出されていない。
これは、青色レーザ波長領域に吸収帯を持つ有機材料を得るためには、分子骨格を小さくするか又は共役系を短くする必要があるが、そうすると吸収係数の低下、即ち屈折率の低下を招くためである(吸収係数kと屈折率nは下記〔式1〕に示すKramers−Kronigの関係で結ばれており、ある任意の吸収帯の吸収係数が低下すると、その吸収帯の長波長側では屈折率が低下する)。
【数1】
Figure 0004065719
つまり、青色レーザ波長領域に吸収帯を持つ有機材料は多数存在し、吸収係数を制御することはある程度可能となるが、大きな屈折率を持たないため、大きな変調度を得ることができなくなる。
【0004】
青色レーザ対応の有機材料としては、例えば、特開2001−181524号、特開2001−158865号、特開2000−343824号、特開2000−343825号、特開2000−335110号各公報に記載がある。
しかし、これらの公報では、実施例を見ても溶液と薄膜のスペクトルを測定しているのみで、記録再生に関する記載はない。
特開平11−221964号、特開平11−334206号、特開2000−43423号各公報では、実施例に記録の記載があるものの、記録波長は488nmであり、また記録条件や記録密度に関する記載はなく、良好な記録ピットが形成できた旨の記載があるのみである。
【0005】
特開平11−58955号公報では、実施例に記録の記載があるものの、記録波長は430nmであり、また記録条件や記録密度に関する記載はなく、良好な変調度が得られた旨の記載があるのみである。
特開2001−39034号、特開2000−149320号、特開2000−113504号、特開2000−108513号、特開2000−222772号、特開2000−218940号、特開2000−222771号、特開2000−158818号、特開2000−280621号、特開2000−280620号各公報では、実施例に記録波長430nm、NA0.65での記録例があるが、最短ピットが0.4μmという低記録密度条件(DVDと同等の記録密度)である。
特開2001−146074号公報では、記録再生波長は405〜408nmであるが、記録密度に関する具体的な記載がなく、14T−EFM信号の記録という低記録密度条件である。
【0006】
また、従来のCD、DVD系光記録媒体と異なる層構成及び記録方法に関して、以下のような技術が公開されている。
特開平7−304258号公報には、基板/可飽和吸収色素含有層/反射層という層構成で、可飽和吸収色素の消衰係数(本発明でいう吸収係数)の変化により記録を行う技術が開示されている。
特開平8−83439号公報には、基板/金属蒸着層/光吸収層/保護シートという層構成で、光吸収層によって発生した熱によって、金属蒸着層を変色又は変形させることで記録を行う技術が開示されている。
特開平8−138245号公報には、基板/誘電体層/光吸収体を含む記録層/反射層という層構成で、記録層の膜厚を変えることにより溝部の深さを変えて記録を行う技術が開示されている。
【0007】
特開平8−297838号公報には、基板/光吸収体を含む記録層/金属反射層という層構成で、記録層の膜厚を10〜30%変化させることにより記録を行う技術が開示されている。
特開平9−198714号公報には、基板/有機色素を含有する記録層/金属反射層/保護層という層構成で、基板の溝幅を未記録部に対して20〜40%広くすることにより記録を行う技術が開示されている。
特許第2506374号公報には、基板/中間層/金属薄膜という層構成で、金属薄膜が変形しバブルを形成することにより記録を行う技術が開示されている。
特許第2591939号公報には、基板/光吸収層/記録補助層/光反射層という層構成で、記録補助層を凹状に変形させると共に、記録補助層の変形に沿って光反射層を凹状に変形させることで記録を行う技術が開示されている。
【0008】
特許第2591940号公報には、基板/光吸収層/多孔質な記録補助層/光反射層、或いは、基板/多孔質な記録補助層/光吸収層/光反射層という層構成で、記録補助層を凹状に変形させると共に、記録補助層の変形に沿って光反射層を凹状に変形させることで記録を行う技術が開示されている。
特許第2591941号公報には、基板/多孔質な光吸収層/光反射層という層構成で、光吸収層を凹状に変形させると共に、光吸収層の変形に沿って光反射層を凹状に変形させることで記録を行う技術が開示されている。
特許第2982925号公報には、基板/有機色素を含む記録層/記録補助層という層構成で、記録補助層と有機色素が相溶して、有機色素の吸収スペクトルを短波長側へシフトさせることで記録を行う技術が開示されている。
【0009】
特開平9−265660号公報には、基板上に反射層と記録層の機能を有する複合機能層、保護層を順次形成した層構成で、基板と複合機能層がバンプを形成することで記録を行う技術が開示されている。なお、複合機能層としては、ニッケル、クロム、チタン等の金属、又はそれらの合金との規定がある。
特開平10−134415号公報には、基板上に金属薄膜層、変形可能な緩衝層、反射層、保護層を順次形成した層構成で、基板と金属薄膜層を変形させ、同時にこの変形部での緩衝層膜厚を薄くさせることで記録を行う技術が開示されている。なお、金属薄膜層としては、ニッケル、クロム、チタン等の金属、又はそれらの合金との規定がある。また、緩衝層としては、変形し易く適当な流動性を持つ樹脂が用いられ、変形を促進させるために色素を含有させても良いとの記載がある。
【0010】
特開平11−306591号公報には、基板上に金属薄膜層、緩衝層、反射層を順次積層した層構成で、基板と金属薄膜層を変形させ、同時にこの変形部での緩衝層膜厚と光学定数とを変化させることで記録を行う技術が開示されている。なお、金属薄膜層としては、ニッケル、クロム、チタン等の金属、又はそれらの合金が好ましいとの記載がある。また、緩衝層は色素と有機高分子の混合物からなり、記録再生波長領域に大きな吸収帯を有する色素が用いられる。
特開平10−124926号公報には、基板上に金属記録層、バッファ層、反射層を順次積層した層構成で、基板と金属記録層を変形させ、同時にこの変形部でのバッファ層膜厚と光学定数とを変化させることで記録を行う技術が開示されている。なお、金属記録層としては、ニッケル、クロム、チタン等の金属、又はそれらの合金が好ましいとの記載がある。また、バッファ層は色素と樹脂の混合物からなり、記録再生波長領域に大きな吸収帯を有する色素が用いられる。
【0011】
以上のように、上記諸々の従来技術は、青色レーザ波長領域での追記型光記録媒体の実現を狙ったものではなく、青色レーザ波長領域で有効となる層構成や記録方法でもない。
特に、現在実用化されている青色半導体レーザの発振波長の中心である405nm近傍においては、従来の追記型光記録媒体の記録層に要求される光学定数と同程度の光学定数を有する有機材料が殆んど存在しない。
また、405nm近傍で記録条件を明確にし、DVDよりも高記録密度で記録された例はない。
更に、上記従来技術における多くの実施例では、従来と同じ光学特性と機能を持つ色素が要求され、そのような色素が使用されており、青色レーザ波長領域で、有機材料からなる追記型光記録媒体を容易に実現できる層構成や記録原理、記録方式についての有効な提案はない。
【0012】
一方、青色レーザ波長に対応した光記録媒体の提案は、特開2001−273672号公報に記載がある。
この光記録媒体は、基板上に屈折率変化を起こす有機材料層を設けたもので、この屈折率変化は減少であっても増加であってもよい。
記録によって有機材料層の屈折率を増加させるという記録原理は、本発明と同一であるが、本発明では有機材料層の上に、複素屈折率を特定した上引層を設け、高反射率化と高変調度化を図る点が異なる。
本発明と同様に、有機材料層に隣接して金属層を設けることも提案されているが、明細書中には金属としてAuとCuの記載しかなく(これらは有機材料層に対して低屈折率層である)、本発明で使用可能である上引層(これらは有機材料層に対して高屈折率層である)に当てはまらない。
【0013】
また、本発明では、有機材料層と上引層の界面の変形を利用し、高変調度化を図る点が、特開2001−273672号公報とは異なる。
また、従来の有機材料を用いた追記型光記録媒体では、変調度と反射率の確保の点から、記録再生波長に対し大きな屈折率と比較的小さな吸収係数(0.10程度)を持つ有機材料しか使用することができない。
即ち、有機材料は記録光に対して十分な吸収能を持たないため、有機材料の膜厚を薄膜化することが不可能であり、従って、深い溝を持った基板を使用する必要があった(有機材料は通常スピンコート法によって形成されるため、有機材料を深い溝に埋めて厚膜化していた)。そのため深い溝を有する基板の形成が非常に難しくなり、追記型光記録媒体としての品質を低下させる要因になっていた。更に、従来の追記型光記録媒体では、相変化型の光記録媒体に対して記録パワーマージンが狭いという問題がった(記録パワーの変動に対して記録再生特性が変動しやすい)。この記録パワーマージンが狭い原因も、有機材料の光吸収能不足を有機材料層の厚膜化で対処せざるを得ない点にある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、単純層構成で、安価に製造可能な青色レーザ波長に対応可能な追記型光記録媒体及びその記録再生方法、比較的高い反射率が得られる追記型光記録媒体及び記録再生方法、有機材料層の薄膜化が可能で、記録パワーマージンの広い追記型光記録媒体及びその記録再生方法、記録極性がHigh to Low(ハイ・トゥー・ロー)記録となる追記型光記録媒体及びその記録再生方法、基板溝深さが浅い、成形性に優れた基板の使用を可能とする追記型光記録媒体及びその記録再生方法、有機材料の選択の幅を拡大でき、表面記録、或いは高NAレンズによる記録に対応でき、高密度化が達成できる追記型光記録媒体及びその記録再生方法の提供を目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、次の1)〜22)の発明(以下、本発明1〜22という)によって解決される。
1) 少なくとも、記録再生波長に対して吸収スペクトルの最大吸収波長が長波長側に存在する有機材料層と、入射光から見て該有機材料層の奥側に隣接する該有機材料層よりも高屈折率の上引層を設けた構造を有し、該上引層は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上で且つ複素屈折率の虚部が0.5以上であるか、又は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上であり、記録再生波長が350〜500nmの範囲においてHigh to Lowの記録極性が実現可能である追記型光記録媒体。
2) 少なくとも、記録再生波長に対して吸収スペクトルの最大吸収波長が長波長側に存在し、記録再生波長で屈折率が最小となる有機材料層と、入射光から見て該有機材料層の奥側に隣接し該有機材料層よりも高屈折率の上引層を設けた構造を有し、該上引層は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上で且つ複素屈折率の虚部が0.5以上であるか、又は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上であり、記録再生波長が350〜500nmの範囲においてHigh to Lowの記録極性が実現可能である追記型光記録媒体。
3) 基板上に、記録再生波長に対して吸収スペクトルの最大吸収波長が長波長側に存在する有機材料層、該有機材料層よりも高屈折率の上引層、保護層が順次設けられた構造を有し、該上引層は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上で且つ複素屈折率の虚部が0.5以上であるか、又は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上であり、記録再生波長が350〜500nmの範囲においてHigh to Lowの記録極性が実現可能であり、記録再生が基板側から行われることを特徴する追記型光記録媒体。
4) 基板上に、記録再生波長に対して吸収スペクトルの最大吸収波長が長波長側に存在し、記録再生波長で屈折率が最小となる有機材料層、該有機材料層よりも高屈折率の上引層、保護層が順次設けられた構造を有し、該上引層は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上で且つ複素屈折率の虚部が0.5以上であるか、又は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上であり、記録再生波長が350〜500nmの範囲においてHigh to Lowの記録極性が実現可能であり、記録再生が基板側から行われることを特徴する追記型光記録媒体。
5) 基板上に、多重反射効果を最適化するエンハンス層、記録再生波長に対して吸収スペクトルの最大吸収波長が長波長側に存在する有機材料層、該有機材料層よりも高屈折率の上引層、保護層が順次設けられた構造を有し、該上引層は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上で且つ複素屈折率の虚部が0.5以上であるか、又は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上であり、記録再生波長が350〜500nmの範囲においてHigh to Lowの記録極性が実現可能であり、記録再生が基板側から行われることを特徴する追記型光記録媒体。
6) 基板上に、多重反射効果を最適化するエンハンス層、記録再生波長に対して吸収スペクトルの最大吸収波長が長波長側に存在し、記録再生波長で屈折率が最小となる有機材料層、該有機材料層よりも高屈折率の上引層、保護層が順次設けられた構造を有し、該上引層は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上で且つ複素屈折率の虚部が0.5以上であるか、又は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上であり、記録再生波長が350〜500nmの範囲においてHigh to Lowの記録極性が実現可能であり、記録再生が基板側から行われることを特徴する追記型光記録媒体。
7) 基板上に、有機材料層よりも高屈折率の上引層、記録再生波長に対して吸収スペクトルの最大吸収波長が長波長側に存在する有機材料層、カバー層が順次設けられた構造を有し、該上引層は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上で且つ複素屈折率の虚部が0.5以上であるか、又は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが 4.0以上であり、記録再生波長が350〜500nmの範囲においてHigh to Lowの記録極性が実現可能であり、記録再生がカバー層側から行われることを特徴する追記型光記録媒体。
8) 基板上に、有機材料層よりも高屈折率の上引層、記録再生波長に対して吸収スペクトルの最大吸収波長が長波長側に存在し、記録再生波長で屈折率が最小となる有機材料層、カバー層が順次設けられた構造を有し、該上引層は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上で且つ複素屈折率の虚部が0.5以上であるか、又は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上であり、記録再生波長が350〜500nmの範囲においてHigh to Lowの記録極性が実現可能であり、記録再生がカバー層側から行われることを特徴する追記型光記録媒体。
9) 基板上に、有機材料層よりも高屈折率の上引層、記録再生波長に対して吸収スペクトルの最大吸収波長が長波長側に存在する有機材料層、多重反射効果を最適化するエンハンス層、カバー層が順次設けられた構造を有し、該上引層は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上で且つ複素屈折率の虚部が0.5以上であるか、又は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上であり、記録再生波長が350〜500nmの範囲においてHigh to Lowの記録極性が実現可能であり、記録再生がカバー層側から行われることを特徴する追記型光記録媒体。
10) 基板上に、有機材料層よりも高屈折率の上引層、記録再生波長に対して吸収スペクトルの最大吸収波長が長波長側に存在し、記録再生波長で屈折率が最小となる有機材料層、多重反射効果を最適化するエンハンス層、カバー層が順次設けられた構造を有し、該上引層は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上で且つ複素屈折率の虚部が0.5以上であるか、又は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上であり、記録再生波長が350〜500nmの範囲においてHigh to Lowの記録極性が実現可能であり、記録再生がカバー層側から行われることを特徴する追記型光記録媒体。
11) 有機材料層よりも高屈折率の上引層が光吸収機能を有し、記録レーザ光を照射した際に、有機材料層の光吸収機能及び/又は該有機材料層よりも高屈折率の上引層の光吸収機能による発熱によって有機材料層中の有機材料が分解し、記録再生波長での屈折率が増加することで記録が行われることを特徴とする1)〜10)の何れかに記載の追記型光記録媒体。
12) 有機材料層よりも高屈折率の上引層が光吸収機能を有し、記録レーザ光を照射した際に、有機材料層の光吸収機能及び/又は該有機材料層よりも高屈折率の上引層の光吸収機能によって、記録再生波長よりも長波長側に存在する有機材料層の吸収帯の吸収係数が減少し、記録再生波長での屈折率が増加することで記録が行われることを特徴とする1)〜10)の何れかに記載の追記型光記録媒体。
13) 記録によって有機材料層よりも高屈折率の上引層が有機材料層側へ変形することを特徴とする1)〜10)の何れかに記載の追記型光記録媒体。
14) 有機材料層よりも高屈折率の上引層が有機材料層よりも高硬度を有する材料からなることを特徴とする1)〜10)の何れかに記載の追記型光記録媒体。
15) 有機材料層よりも高屈折率の上引層がSi又はGeを含有することを特徴とする1)〜10)の何れかに記載の追記型光記録媒体。
16) エンハンス層がSiO又はZnS−SiOを主成分とすることを特徴とする5)、6)、9)、10)の何れかに記載の追記型光記録媒体。
17) 350〜500nmの記録再生波長に対応する有機材料層及び該有機材料層よりも高屈折率の上引層を有することを特徴とする1)〜10)の何れかに記載の追記型光記録媒体。
18) 記録レーザ光の照射によって、有機材料層中の有機材料を分解させ、記録再生波長での屈折率を増加させることで情報の記録再生を行うことを特徴とする1)〜10)の何れかに記載の追記型光記録媒体の記録再生方法。
19) 記録レーザ光の照射によって、記録再生波長よりも長波長側に存在する有機材料層の吸収帯の吸収係数を減少させ、記録再生波長での屈折率を増加させることで情報の記録再生を行うことを特徴とする1)〜10)の何れかに記載の追記型光記録媒体の記録再生方法。
20) 記録レーザ光の照射によって、有機材料層中の有機材料を分解させて記録再生波長での屈折率を増加させ、かつ該有機材料層よりも高屈折率の上引層を有機材料層側へ変形させることで情報の記録再生を行うことを特徴とする1)〜10)の何れかに記載の追記型光記録媒体の記録再生方法。
21) 記録レーザ光の照射によって、記録再生波長よりも長波長側に存在する有機材料層の吸収帯の吸収係数を減少させて記録再生波長での屈折率を増加させ、かつ該有機材料層よりも高屈折率の上引層を有機材料層側へ変形させることで情報の記録再生を行うことを特徴とする1)〜10)の何れかに記載の追記型光記録媒体の記録再生方法。
22) 記録再生波長を350〜500nmとしたことを特徴とする18)〜21)の何れかに記載の記録再生方法。
【0016】
以下、上記本発明について詳しく説明する。
従来のように、有機材料の主吸収帯(最も大きな吸収係数を有する吸収帯)を記録再生波長に対して短波長側に位置させる場合(有機材料の最大吸収波長を記録再生波長に対して短波長側に位置させるとも言える)、例えば記録再生波長を400nm近傍と仮定すると、有機材料の主吸収帯(或いは最大吸収波長)は400nm以下に設定させる必要があり、これは有機材料の分子骨格、或いは共役系を小さくすることを意味する。
この有機材料の分子骨格、或いは共役系を小さくすることは、吸収係数と共に屈折率の低下を引き起こすため、記録によって大きな屈折率変化が生じなくなる(即ち変調度が低下する)。
また、有機材料の分子骨格、或いは共役系を小さくすることは、置換基の導入個所の減少を招き、溶解性を悪化させたり、凝集性や結晶性を高める恐れがある(その結果、スピンコーティングによって良好な膜を得ることができなくなり、また温湿度に対する安定性が低下する恐れがある)。
更には、ドナーやアクセプターの導入による波長制御が十分な効果を持たなくなる恐れもある。
【0017】
そこで、本発明では、
・置換基の導入個所を十分確保し、溶解性、或いは凝集性や結晶性を容易に制御できるようにする
・ドナーやアクセプターの導入によって波長制御が容易に制御できるようにする・保存安定性を高める
・有機材料の選択幅を拡大する
・記録前後での屈折率変化を大きくする
という目標を実現させるため、有機材料の主吸収帯(最も大きな吸収係数を有する吸収帯)を記録再生波長に対して長波長側に存在させる(有機材料の最大吸収波長を記録再生波長に対して長波長側に存在させるとも言える)ことにした。
これによって、主吸収帯が比較的長波長域(400nm以上)にある有機材料を選択することができる。
【0018】
主吸収帯が比較的長波長域(400nm以上)にある有機材料は、その種類が多く、分子骨格も大きいため、高い複素屈折率実部領域と低い複素屈折率実部領域を得ることができる(従って、高い変調度を得ることが可能となる)。
また、分子骨格が大きくなるため、置換基導入、溶解性、凝集・結晶性、波長制御性、保存安定性等の問題が解消される。
そして本発明では、記録によって有機材料を分解させ(これによって主吸収帯の吸収係数が減少する)、或いは記録再生波長よりも長波長側に存在する有機材料層の吸収帯の吸収係数を減少させ(有機材料の分解だけでなく、凝集状態変化や構造変化による吸収係数の減少を含む)、記録再生波長における屈折率を増加させる。
この記録による屈折率の増加によって情報の記録再生を行う。
【0019】
以上の記録原理をKramers−Kronigの関係式で説明する。
まず、従来の記録原理をKramers−Kronigの関係式で説明すると、今記録再生波長λ=λとし、前記〔式1〕の積分範囲λをλより大きい領域と小さい領域に分けて考える(下記〔式2〕参照)。
従来の記録再生波長と有機材料の吸収帯の関係から(図1参照。図中の斜線領域は記録再生波長の範囲を示す)、記録再生波長λよりも長波長領域では、有機材料の吸収帯は存在しないため、〔式2〕中の大きいカッコ内の第一項の積分値はほぼゼロである。
一方、図1に示すように、従来の記録再生波長と有機材料の吸収帯の関係から、記録再生波長λの短波長側の領域には、大きな有機材料の吸収帯が存在するため、〔式2〕中の大きいカッコ内の第二項の積分値がλ近傍で符号がプラスの大きな値となる〔(λ −λ )>0。大きいカッコ内の第二項の積分においてλ近傍で分母が非常に小さくなる〕。従って、この領域で高屈折率が得られるのである。
なお、図にも示したように、記録再生波長λは、ある程度の幅を有しており、通常は幅±10nm程度である。
【0020】
【数2】
Figure 0004065719
従来の記録原理では、記録によって有機材料を分解させ、主吸収帯の吸収係数{〔式1〕〔式2〕におけるk(λ)}を低下させている。即ち、記録再生波長λにおける〔式2〕中の大きいカッコ内の第二項の積分値を低下させている。そして、これによって記録再生波長λで屈折率の低下が起き、記録再生を可能としている。
【0021】
次に、本発明に用いる記録原理をKramers−Kronigの関係式で説明する。
本発明で用いる記録再生波長と有機材料の吸収帯の関係から(図2参照。図中の斜線領域は記録再生波長の範囲を示す)、記録再生波長λよりも短波長領域では、有機材料の吸収帯が存在しても、一般的に、その吸収係数はあまり大きくないため、〔式2〕中の大きいカッコ内の第二項の積分値は小さな値である。
一方、本発明で用いる記録再生波長と有機材料の吸収帯の関係から(図2参照)、記録再生波長λの長波長側の領域には、大きな有機材料の吸収帯が存在するため、〔式2〕中の大きいカッコ内の第一項の積分値がλ近傍で符号がマイナスの大きな値となる〔(λ −λ )<0。大きいカッコ内の第一項の積分においてλ近傍で分母が非常に小さくなる〕。
従って、この領域で低屈折率が得られるのである。
本発明に用いる記録原理では、記録によって有機材料を分解するか、或いは凝集状態や構造等の変化を起こさせ、主吸収帯の吸収係数{〔式1〕、〔式2〕におけるk(λ)}を低下させている。即ち、記録再生波長λにおける〔式2〕中の大きいカッコ内の第一項の積分値を低下させている。
これによって記録再生波長λで屈折率の増加が起き、記録再生を可能としている。
【0022】
以上の記録再生原理は、例えば特開2001−273672号公報にも記載されている技術であるが、本発明では
・未記録時の反射率を高める
・記録極性がHigh to Low化する条件を拡大する
・記録パワーマージンを向上させる
・変調度を確保する
という目標を実現させるために、有機材料層に隣接して、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上であり、かつ複素屈折率の虚部が0.5以上である上引層、又は記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上である上引層を設ける構造とした。
なお、未記録時の反射率を高めることは、再生信号の品質を向上させ、また記録再生装置の負荷を低減する意味で重要である。
また、記録極性のHigh to Low化(記録によって反射率が低下する)は、従来の光記録媒体との互換性をとるために重要であり、また未記録時の反射率を高めるためにも重要である(記録極性をLow to High化することは、一般的に、変調度が小さくなり易く、また未記録時の反射率低下を招く恐れがある)。
【0023】
以下、入射光から見て有機材料層の奥側に隣接して設けた、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上であり、かつ複素屈折率の虚部が0.5以上である上引層、又は記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上である上引層の機能について説明する。
本発明では、有機材料の主吸収帯(最も大きな吸収係数を有する吸収帯)を記録再生波長に対して長波長側に存在させる(有機材料の最大吸収波長を記録再生波長に対して長波長側に存在させるとも言える)ため、一般的に、記録再生波長での有機材料の屈折率(複素屈折率の実部)は、0.8〜1.7程度となる。
従って、複素屈折率の実部nが2.5以上の上引層を設けることで、上引層がない場合に比べ(即ち有機材料層との界面は基板又はカバー層であり、両者の屈折率は1.5〜1.8程度である)、反射率を向上させることができる(反射係数が大きな値となるからである)。
【0024】
記録パワーマージンを広げるためには、有機材料層の膜厚を薄くすることで対処することができる。
何故ならば、有機材料層の膜厚が厚くなると、記録される領域が膜厚方向に広がり、より三次元的な記録マークとなるため、記録パワーによって記録マークの長さや幅に加えて、深さ方向の幅が変動することになるからである(有機材料層が薄い場合には、記録マークがより二次元的になり、記録パワーの変動による記録マークの深さ方向幅の変動の寄与を低減できる)。
しかし、有機材料層の膜厚を薄くすると、光吸収能が低下するため記録感度が低下し(高い記録パワーが必要となる)、変調度も低下してしまうという問題がある。
【0025】
これに対し、本発明では有機材料層に隣接して複素屈折率の虚部が0.5以上である上引層を設けたため(但し、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上である上引層を用いた場合はこの限りではない)、有機材料層の膜厚を薄くして有機材料層自身の光吸収能を低下させても、上引層の光吸収能を併用することが可能となり、適度な記録パワー範囲で有機材料層の屈折率を変化させることができる。即ち、複素屈折率の虚部が0.5以上である上引層を設けることによって、記録パワーマージンを、上引層がない場合に比べて拡大させることができる。
また、有機材料層を薄膜化できることによって、有機材料を用いた光記録媒体でありながら、トラッキング用に設けられる基板の溝の深さを大幅に浅くすることができ、溝の浅い基板は成形が容易であるため、従来の有機材料を用いた光記録媒体比べて、信号品質を大幅に高めることができる。
【0026】
また、本発明では複素屈折率の虚部が0.5以上である上引層を設けたため、上引層自身の温度が上昇して変形を起こさせることが可能である(但し、上引層の変形は、有機材料層の光吸収機能によっても誘発される)。
この上引層の変形を併用することで、有機材料層の膜厚を薄くしたことによる低変調度化を改善することができる。
なお、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上である上引層を用いた場合、記録再生波長における複素屈折率の虚部kが0.5以下となっても構わない。この場合でも、有機材料層の膜厚の薄膜化による光吸収能の低下を上引層で補償できない訳ではなく、例え、記録再生波長における複素屈折率の虚部kが0.5以下であっても、上引層自身の熱伝導率や隣接層の熱伝導率、更には上引層の膜厚を最適化することで、有機材料層の膜厚の薄膜化による光吸収能の低下を上引層で補償できる。
【0027】
一方、変形量が大きくなると、有機材料層の膜厚を厚膜化するのと同様に、記録パワーマージンが狭くなる可能性があるが、本発明では有機材料層の膜厚が薄く、また上引層を有機材料層側に変形させるようにするため、上引層の変形量は一定量に制限できる。その結果、変形量の増大による記録パワーマージンの悪化を抑制することができる。
なお、上引層を有機材料層側へ変形させることは、変形量の抑制及び変形量の拡大抑制のために非常に重要であるが、その手段としては、上引層として有機材料層よりも高硬度の層を設けさえすればよい。
但し、ここで言う高硬度とは、材料自身が高硬度である場合のみならず、膜厚の硬度への寄与により層全体が高硬度である場合も含む意味である。
従って、上引層上の層としては、樹脂材料からなるカバー層や紫外線硬化型樹脂等からなる保護層等で十分である。
【0028】
以上、本発明の、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上であり、かつ複素屈折率の虚部が0.5以上である上引層、又は記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上である上引層を設けることで、未記録時の反射率を高め、記録パワーマージンを向上させ、成形性が良好な浅溝基板が使用でき、更に変調度が十分確保できることを説明した。
なお、これらの複素屈折率の数値限定の理由(数値の意味)、及び、これらの数値限定を満足する上引層を設けることで、記録極性をHigh to Low化する条件が拡大でき、また記録による有機材料層の屈折率増加量が少なくても大きな変調度を発生させることが可能となることについては、後述の実施例で詳しく説明する。
【0029】
本発明は、記録再生波長の範囲が350〜500nm程度の場合に特に有用である。何故ならば、記録再生波長が500nmよりも長い場合には、その波長において十分屈折率の大きな材料が数多く存在し(図1に示すような従来の記録原理で十分記録再生が可能であり)、本発明に係る記録原理を採用するメリットが少なくなるからである。他方、記録再生波長が350nmよりも短い場合には、例えば有機材料層の主吸収帯を400nmよりも短波長側に位置させる必要があるが、前述した通り、400nmよりも短波長に吸収帯を持つ有機材料は、一般的にその吸収係数が小さくなるため、有機材料層の短波長側における屈折率が十分小さくならない(即ち、記録による屈折率増加量が低下する)からである。
但し、記録再生波長が350nm以下の場合には本発明を適用できないということではなく、あくまで、高変調度を容易に達成するためには、350nm以上の記録再生波長が好ましいということである。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、添付した図面を参照しつつ詳しく説明する。
基板材料としては、熱的、機械的に優れた特性を有し、基板側から(基板を通して)記録再生が行われる場合には光透過特性も優れているものであれば、特別な制限はない。具体例としては、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、非晶質ポリオレフィン、セルロースアセテート、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられるが、ポリカーボネート、非晶質ポリオレフィンが好ましい。
基板の厚さは用途に応じて異なり、特に制限はない。
【0031】
上引層としては、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上であり、かつ複素屈折率の虚部が0.5以上であるか、又は記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上である材料を用いることが好ましく(詳しくは、後述の実施例で説明する)、かつ熱伝導率がAgやAuに比べて比較的低い材料が適している。
上記複素屈折率の条件は、未記録時の反射率を高め、膜厚の薄い有機材料層であってもHigh to Lowの信号が得られ、かつ記録による有機材料層の屈折率増加量が少なくても大きな変調度を発生させるために必要となる。
また、AgやAuに比べて比較的低い熱伝導率を有することは、効率よく(低記録パワーで)有機材料を分解、或いは凝集状態変化、結晶状態変化、構造変化等を起させるために必要である。
【0032】
更に、有機材料の分解、凝集状態変化、結晶状態変化、構造変化等を低記録パワーで生じさせるために、上引層の材料として、記録再生波長における吸収係数(複素屈折率の虚部)がある程度大きい(例えば0.5以上)ものを用いることが好ましい。
以上の点から、上引層には、Si又はGeを含有する材料、例えばSi、Ge、SiGe1−x、MgGe、MgSi、SiC等を用いることが好ましい。
その他、Nb、Ta、Be、V等の金属、或いはこれらの金属酸化物(例えばTa、Nb等)、AlSb、AlGa1−xAs、CdSe、GaSb、Hg1−xCdTe、Se、Te、ZnTe、ZnS、PbS、InP、GaP等の半導体等が上引層として使用可能である。
上引層の膜厚は、通常5〜150nm程度とする。5nmよりも薄いと上引層としての機能を発揮し難くなるし、150nmを越えると製造上の問題が生じるので好ましくない。
【0033】
エンハンス層は、変調度と反射率を高めるために、有機材料層の隣接層のうち、入射光側の層として挿入される。
エンハンス層には、記録再生波長に対して吸収係数が十分小さい材料を用いることが好ましい。
その具体例としては、Al、MgO、BeO、ZrO、UO、ThOなどの単純酸化物系の酸化物;SiO、2MgO・SiO、MgO・SiO、CaO・SiO、ZrO・SiO、3Al・2SiO、2MgO・2Al・5SiO、LiO・Al・4SiOなどのケイ酸塩系の酸化物;AlTiO、MgAl、Ca10(PO(OH)、BaTiO、LiNbO、PZT、PLZT(PbTiO−PbZrO系酸化物)、フェライトなどの複酸化物系の酸化物;Si、Si6−ZAl8−Z、AlN、BN、TiNなどの窒化物系の非酸化物;SiC、BC、TiC、WCなどの炭化物系の非酸化物;LaB、TiB、ZrBなどのホウ化物系の非酸化物;CdS、MoSなどの硫化物系の非酸化物;MoSiなどのケイ化物系の非酸化物;アモルファス炭素、黒鉛、ダイアモンド等の炭素系の非酸化物を挙げることができ、中でもSiO、又はZnS−SiOを主成分とするものが好ましい。
但し、ここで主成分とは、材料全体の50重量%以上を占めることを意味する。
エンハンス層の膜厚は、高反射率化(未記録時の反射率)と高変調度化が実現できるような膜厚に設定することが好ましく、通常は10〜200nm程度である。
更に、エンハンス層には、有機材料層を外部、或いはカバー層を接着する際の接着剤から保護する保護機能を持たせてもよいし(いわゆる保護層としても機能させる)、上引層の変形を抑制するための機能を持たせることも可能である。
【0034】
有機材料層に用いられる材料としては、色素が好ましい。
色素としては、ポリメチン系、ナフタロシアニン系、フタロシアニン系、スクアリリウム系、クロコニウム系、ピリリウム系、ナフトキノン系、アントラキノン(インダンスレン)系、キサンテン系、トリフェニルメタン系、アズレン系、テトラヒドロコリン系、フェナンスレン系、トリフェノチアジン系各色素、及び金属錯体化合物などが挙げられる。
これらの色素は、その主吸収帯の最大吸収波長が記録再生波長よりも長波長側にあればよく、記録光の照射によって分解を起し主吸収帯の吸収係数が減少するか、或いは記録光の照射によって凝集状態、結晶状態、構造が変化を起し主吸収帯の吸収係数が減少するものが好ましい。
本発明では、記録による屈折率変化を大きくするため(即ち変調度を高めるため)、有機材料層の吸収スペクトルの最大吸収波長が、記録再生波長に対して長波長側に位置するような有機材料を選択し、有機材料の吸収帯による異常分散によって屈折率が低下する波長領域、好ましくは屈折率が最小となる波長近傍を使用する(図2参照)。即ち、屈折率が最小となる波長近傍に記録再生波長が重なるようにする。
【0035】
色素層の形成は、蒸着、スパッタリング、CVD、溶剤塗布などの通常の手段によって行なうことができる。塗布法を用いる場合には、上記色素などを有機溶剤に溶解し、スプレー、ローラーコーティング、ディッピング、スピンコーティングなどの慣用のコーティング法で行なうことができる。
用いられる有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロルエタン、四塩化炭素、トリクロルエタンなどの脂肪族ハロゲン化炭素類;ベンゼン、キシレン、モノクロルベンゼン、ジクロルベンゼンなどの芳香族類;メトキシエタノール、エトキシエタノールなどのセロソルブ類;ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの炭化水素類などが挙げられる。
色素層の膜厚は、10nm〜10μm、好ましくは10〜200nmが適当である。
【0036】
カバー層は、高密度化を図るため高NAのレンズを用いる場合に必要となる。例えば高NA化すると、再生光が透過する部分の厚さを薄くする必要があるが、これは、高NA化に伴い、光学ピックアップの光軸に対してディスク面が垂直からズレる角度(いわゆるチルト角、光源の波長の逆数と対物レンズの開口数の積の2乗に比例する)により発生する収差の許容量が小さくなるためであり、このチルト角が基板の厚さによる収差の影響を受け易いためである。
従って、一般に基板の厚さを薄くしてチルト角に対する収差の影響をなるべく小さくするようにしている。
そこで、例えば基板上に凹凸を形成して記録層とし、その上に反射層を設け、更にその上に記録再生用の光を透過する光透過性のカバー層を設けて、カバー層側から再生光を照射することにより記録層の情報を再生することができるような構造の追記型光記録媒体や、基板上に反射層を設け、その上に記録層を形成し、更にその上に記録再生用の光に対し透過性を有するカバー層を設けて、カバー層側から再生光を照射することにより記録層の情報を再生することができるような構造の追記型光記録媒体が提案されている。
【0037】
このようにすれば、カバー層を薄型化していくことで対物レンズの高NA化に対応可能である。つまり、薄いカバー層を設け、このカバー層側から記録再生することで、更なる高記録密度化を図ることができる。
なお、このようなカバー層は、ポリカーボネートシートや紫外線硬化型樹脂により形成されるのが一般的である。
また、本発明で言うカバー層には、カバー層を接着するための層、或いはカバー層を接着する材料(層)から有機材料層を保護するための層も含むものとする(例えば、有機材料層上にカバー層を接着させる場合、その接着層材料が有機材料層を侵す物質を含む場合、接着層を形成させるためには有機材料層を保護する層が必要となる)。
【0038】
本発明の光記録媒体における情報の記録原理を、図3を参照しつつ説明する。光源として350〜500nmの波長のレーザを用いて、5〜15mW程度のパワーで光記録媒体に照射すると、有機材料層中の有機材料、又は有機材料層に隣接して設けられた上引層が光を吸収し、昇温して熱を放出する。
この熱は、有機材料層中の有機材料を分解したり、有機材料の凝集状態変化、結晶状態変化又は構造変化を引き起こす。
この分解や、凝集状態変化、結晶状態変化又は構造変化によって、記録再生波長に対して吸収スペクトルの最大吸収波長が長波長側に設定された有機材料層、或いは記録再生波長に対して吸収スペクトルの最大吸収波長が長波長側に存在し、記録再生波長で屈折率が最小となるように設定された有機材料層の屈折率を増加させる。
【0039】
また、上記の有機材料層の屈折率を増加させると共に、有機材料層中の有機材料、又は有機材料層に隣接して設けられた上引層の光吸収機能によって、上引層を変形させる。この上引層の変形は、上引層に隣接し有機材料層とは反対側に設けられた層によって、有機材料層側へ起るようにする。
これによって、上引層の変形量の制御が可能になると共に、記録極性をHigh to Low化させることが容易になる。
レーザ照射によって形成された記録ピット部では、この有機材料層の屈折率増加と、上引層の変形によって、未記録部との間に大きな反射率差が生じるため、再生レーザ光を照射することで明瞭に信号を検出することが可能となる。
【0040】
以下、図4〜図7の各構成の機能について説明する。
図4は、本発明3及び本発明4に係る追記型光記録媒体の層構成を示す図であり、基板上に、記録再生波長に対して吸収スペクトルの最大吸収波長が長波長側に存在する有機材料層、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上であり、かつ複素屈折率の虚部が0.5以上であるか、又は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上である上引層、保護層が順次設けられた構造を有し、通常、記録再生が基板側から行われる。
図5は、本発明5及び本発明6に係る追記型光記録媒体の層構成を示す図であり、基板上に、多重反射効果を最適化するエンハンス層、記録再生波長に対して吸収スペクトルの最大吸収波長が長波長側に存在する有機材料層、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上であり、かつ複素屈折率の虚部が0.5以上であるか、又は記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上である上引層、保護層が順次設けられた構造を有し、通常、記録再生が基板側から行われる。
【0041】
図6は、本発明7及び本発明8に係る追記型光記録媒体の層構成を示す図であり、基板上に、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上であり、かつ複素屈折率の虚部が0.5以上であるか、又は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上である上引層、記録再生波長に対して吸収スペクトルの最大吸収波長が長波長側に存在する有機材料層、カバー層が順次設けられた構造を有し、通常、記録再生がカバー層側から行われる。
図7は、本発明9及び本発明10に係る追記型光記録媒体の層構成を示す図であり、基板上に、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上であり、かつ複素屈折率の虚部が0.5以上であるか、又は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上である上引層、記録再生波長に対して吸収スペクトルの最大吸収波長が長波長側に存在する有機材料層、多重反射効果を最適化するエンハンス層、カバー層が順次設けられた構造を有し、通常、記録再生がカバー層側から行われる。
【0042】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
初めに、本発明における上引層として、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上であり、かつ複素屈折率の虚部が0.5以上であるか、又は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上であると規定したことの妥当性を明らかにする。
なお、以下の実施例では、記録による有機材料層の複素屈折率の実部の増加量を0.4程度と想定しているが、これは実際に種々の有機材料で複素屈折率変化を評価した結果得られた平均的な値である。
【0043】
また、実施例1〜13に係る図8〜図20の横軸は上引層の複素屈折率実部(ULn)、縦軸は上引層の複素屈折率虚部(ULk)、等高線は変調度を表す。変調度は[(未記録時の反射率)−(記録後の反射率)]/(未記録時の反射率)で表される値である。
同じく図8〜図20には、本発明で規定した、複素屈折率実部(2.5以上)と複素屈折率虚部(0.5以上)の範囲を明確にするために、白線を記した(2本の白線によって4分割された領域のうち、右上の領域が本発明で規定する上引層の複素屈折率範囲である)。
同じく図8〜図20には、記録によって変調度が殆ど発生しないか、或いは記録極性がLow to High化(記録によって反射率が上昇する)する領域に「LH」の文字を記した。
また、実施例14〜25及び比較例1〜2に係る図21〜図34の横軸は有機材料層の複素屈折率実部(Dye n)、縦軸は有機材料層の膜厚(単位nm)、等高線は変調度を表す。
【0044】
実施例1
本発明の、基板/有機材料層/上引層/保護層(通常、記録再生は基板側から行われる)、又は、カバー層/有機材料層/上引層/基板(通常、記録再生はカバー層側から行われる)という構成において、下記の条件下で変調度が上引層の複素屈折率によってどのように変化するかを計算した。結果を図8に示す。
<計算条件>
未記録時の有機材料層の複素屈折率:1.0−i0.20
記録後の有機材料層の複素屈折率 :1.4−i0.20
有機材料層の膜厚 :50nm
上引層の膜厚 :10nm
図8の結果から、本実施例の条件下では、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上であり、かつ複素屈折率の虚部が0.5以上である複素屈折率範囲の上引層、又は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上である複素屈折率範囲の上引層を用いることで、記録極性がHigh to Low化でき、比較的高い変調度が発生することを確認できた。
【0045】
実施例2
未記録時の有機材料層の複素屈折率を1.2−i0.20、記録後の有機材料層の複素屈折率を1.6−i0.20とした点以外は、実施例1と同様な計算を行った。結果を図9に示す。
図9の結果から、本実施例の条件下では、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上であり、かつ複素屈折率の虚部が0.5以上である複素屈折率範囲の上引層を用いることで、記録極性がHigh to Low化でき、比較的高い変調度が発生することが確認できた。
また、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上である複素屈折率範囲の上引層を用いることで、より確実に記録極性がHigh to Low化できることが確認できた。
【0046】
実施例3
未記録時の有機材料層の複素屈折率を1.4−i0.20、記録後の有機材料層の複素屈折率を1.8−i0.20とした点以外は、実施例1と同様な計算を行った。結果を図10に示す。
図10の結果から、本実施例の条件下では、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上であり、かつ複素屈折率の虚部が0.5以上である複素屈折率範囲の上引層を用いることで、記録極性がHigh to Low化でき、比較的高い変調度が発生することが確認できた。
また、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上である複素屈折率範囲の上引層を用いることで、より確実に記録極性がHigh to Low化できることが確認できた。
【0047】
実施例4
未記録時の有機材料層の複素屈折率を1.4−i0.20、記録後の有機材料層の複素屈折率を1.8−i0.10とした点以外は、実施例1と同様な計算を行った。結果を図11に示す。
図11の結果から、本実施例の条件下では、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上であり、かつ複素屈折率の虚部が0.5以上である複素屈折率範囲の上引層を用いることで、記録極性がHigh to Low化でき、比較的高い変調度が発生することが確認できた。
また、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上である複素屈折率範囲の上引層を用いることで、より確実に記録極性がHigh to Low化できることが確認できた。
【0048】
以上、実施例1〜4の結果からは、高変調度が得られる領域が、本発明で規定する上引層の複素屈折率範囲以外、例えば上引層の複素屈折率実部が2.5よりも小さい領域にも存在することが分る。
しかし、この上引層の複素屈折率実部が2.5よりも小さい領域では、未記録時の有機材料層の複素屈折率実部によって、記録極性がHigh to Low化できる上引層の複素屈折率虚部範囲が大きく変動することが分る。
即ち、未記録時の有機材料層の複素屈折率実部が1.0の場合(図8参照)、上引層の複素屈折率実部が約2.5より小さい領域では、ほぼ上引層の複素屈折率虚部によらず記録極性がHigh to Lowとなるが、未記録時の有機材料層の複素屈折率実部が1.4の場合(図10参照)には、上引層の複素屈折率実部が約2.5より小さい領域では、上引層の複素屈折率虚部が非常に大きな値を持たないと記録極性がHigh to Lowとならないのである。
【0049】
これに対し、本発明の上引層の複素屈折率規定範囲、即ち複素屈折率の実部nが2.5以上であり、かつ複素屈折率の虚部が0.5以上である範囲では、ほぼ未記録時の有機材料層の複素屈折率実部に依存せず、記録極性をHigh toLowとすることが可能であることが分る。
なお、図8〜図11では、上引層の複素屈折率の実部nが2.5以上であり、かつ複素屈折率の虚部が0.5以上である範囲であっても、一部の境界領域で記録極性がHigh to Lowとなっていない領域が存在するが、これは本実施例では作為的に厳しい条件を課した場合の例を示したことによるものであって、有機材料層の膜厚、未記録時の有機材料層の複素屈折率、記録後の有機材料層の複素屈折率等を適当な範囲に選べば、本発明の上引層の複素屈折率規定範囲が有効であることは明らかである。
また、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上である複素屈折率範囲の上引層を用いることによって、より確実に記録極性がHigh to Low化できることが確認できた。
【0050】
実施例5
計算条件を下記のように変更した(有機材料層の膜厚を50nmから60nmに変更した)点以外は、実施例1と同様にして計算した。結果を図12に示す。
<計算条件>
未記録時の有機材料層の複素屈折率:1.0−i0.20
記録後の有機材料層の複素屈折率 :1.4−i0.20
有機材料層の膜厚 :60nm
上引層の膜厚 :10nm
図12の結果から、本実施例の条件下では、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上であり、かつ複素屈折率の虚部が0.5以上である複素屈折率範囲、又は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上である複素屈折率範囲の上引層を用いることで、記録極性がHigh to Low化でき、比較的高い変調度が発生することが確認できた。
【0051】
実施例6
未記録時の有機材料層の複素屈折率を1.2−i0.20、記録後の有機材料層の複素屈折率を1.6−i0.20とした点以外は、実施例5と同様な計算を行った。結果を図13に示す。
図13の結果から、本実施例の条件下では、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上であり、かつ複素屈折率の虚部が0.5以上である複素屈折率範囲、又は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上である複素屈折率範囲の上引層を用いることで、記録極性がHigh to Low化でき、比較的高い変調度が発生することが確認できた。
【0052】
実施例7
未記録時の有機材料層の複素屈折率を1.4−i0.20、記録後の有機材料層の複素屈折率を1.8−i0.20とした点以外は、実施例5と同様な計算を行った。結果を図14に示す。
図14の結果から、本実施例の条件下では、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上であり、かつ複素屈折率の虚部が0.5以上である複素屈折率範囲の上引層を用いることで、記録極性がHigh to Low化でき、比較的高い変調度が発生することが確認できた。
また、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上である複素屈折率範囲の上引層を用いることで、より確実に記録極性がHigh to Low化できることが確認できた。
【0053】
以上、実施例5〜7の結果からは、高変調度が得られる領域が、本発明で規定する上引層の複素屈折率範囲以外、例えば上引層の複素屈折率実部が2.5よりも小さい領域にも存在することが分る。
しかし、この上引層の複素屈折率実部が2.5よりも小さい領域では、未記録時の有機材料層の複素屈折率実部によって、記録極性がHigh to Low化できる上引層の複素屈折率虚部範囲が大きく変動することが分る。
即ち、未記録時の有機材料層の複素屈折率実部が1.0の場合(図12参照)、上引層の複素屈折率実部が約2.5より小さい領域では、ほぼ上引層の複素屈折率虚部によらず記録極性がHigh to Lowとなるが、未記録時の有機材料層の複素屈折率実部が1.4の場合(図14参照)には、上引層の複素屈折率実部が約2.5より小さい領域では、上引層の複素屈折率虚部が非常に大きな値を持たないと記録極性がHigh to Lowとならないのである。
【0054】
これに対し、本発明の上引層の複素屈折率規定範囲、即ち複素屈折率の実部nが2.5以上であり、かつ複素屈折率の虚部が0.5以上である範囲では、ほぼ未記録時の有機材料層の複素屈折率実部に依存せず、記録極性をHigh toLowとすることが可能であることが分る。
なお、図12〜図14では、上引層の複素屈折率の実部nが2.5以上であり、かつ複素屈折率の虚部が0.5以上の範囲であっても、一部の境界領域で記録極性がHigh to Lowとなっていない領域が存在するが、これは、本実施例では作為的に厳しい条件を課した場合の例を示したことによるものであって、有機材料層の膜厚、未記録時の有機材料層の複素屈折率、記録後の有機材料層の複素屈折率等を適当な範囲に選べば、本発明の上引層の複素屈折率規定範囲が有効であることは明らかである。
また、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上である複素屈折率範囲の上引層を用いることによって、より確実に記録極性がHigh to Low化できることが確認できた。
【0055】
実施例8
計算条件を下記のように変更した(有機材料層の膜厚を50nmから40nmに変更した)点以外は、実施例1と同様にして計算した。結果を図15に示す。
<計算条件>
未記録時の有機材料層の複素屈折率:1.0−i0.20
記録後の有機材料層の複素屈折率 :1.4−i0.20
有機材料層の膜厚 :40nm
上引層の膜厚 :10nm
図15の結果から、本実施例の条件下では、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上であり、かつ複素屈折率の虚部が0.5以上である複素屈折率範囲、又は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上である複素屈折率範囲の上引層を用いることで、記録極性がHigh to Low化でき、比較的高い変調度が発生することが確認できた。
【0056】
実施例9
未記録時の有機材料層の複素屈折率を1.2−i0.20、記録後の有機材料層の複素屈折率を1.6−i0.20とした点以外は、実施例8と同様な計算を行った。結果を図16に示す。
図16の結果から、本実施例の条件下では、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上であり、かつ複素屈折率の虚部が0.5以上である複素屈折率範囲の上引層を用いることで、記録極性がHigh to Low化でき、比較的高い変調度が発生することが確認できた。
また、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上である複素屈折率範囲の上引層を用いることで、より確実に記録極性がHigh to Low化できることが確認できた。
【0057】
実施例10
未記録時の有機材料層の複素屈折率を1.4−i0.20、記録後の有機材料層の複素屈折率を1.8−i0.20とした点以外は、実施例8と同様な計算を行った。結果を図17に示す。
図17の結果から、本実施例の条件下では、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上であり、かつ複素屈折率の虚部が0.5以上である複素屈折率範囲の上引層を用いることで、記録極性がHigh to Low化でき、比較的高い変調度が発生することが確認できた。
また、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上である複素屈折率範囲の上引層を用いることで、より確実に記録極性がHigh to Low化できることが確認できた。
【0058】
実施例11
未記録時の有機材料層の複素屈折率を1.4−i0.20、記録後の有機材料層の複素屈折率を1.8−i0.10とした点以外は、実施例8と同様な計算を行った。結果を図18に示す。
図18の結果から、本実施例の条件下では、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上であり、かつ複素屈折率の虚部が0.5以上である複素屈折率範囲の上引層を用いることで、記録極性がHigh to Low化でき、比較的高い変調度が発生することが確認できた。
また、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上である複素屈折率範囲の上引層を用いることで、より確実に記録極性がHigh to Low化できることが確認できた。
【0059】
実施例12
未記録時の有機材料層の複素屈折率を1.0−i0.20、記録後の有機材料層の複素屈折率を1.3−i0.20とした点以外は、実施例8と同様な計算を行った。結果を図19に示す。
図19の結果から、本実施例の条件下では、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上であり、かつ複素屈折率の虚部が0.5以上である複素屈折率範囲の上引層、又は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上である複素屈折率範囲の上引層を用いることで、記録極性がHigh to Low化でき、比較的高い変調度が発生することが確認できた。
【0060】
実施例13
未記録時の有機材料層の複素屈折率を0.8−i0.20、記録後の有機材料層の複素屈折率を1.2−i0.10とした点以外は、実施例8と同様な計算を行った。結果を図20に示す。
図20の結果から、本実施例の条件下では、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上であり、かつ複素屈折率の虚部が0.5以上である複素屈折率範囲の上引層、又は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上である複素屈折率範囲の上引層を用いることで、記録極性がHigh to Low化でき、比較的高い変調度が発生することが確認できた。
【0061】
以上、実施例8〜13の結果からは、高変調度が得られる領域が、本発明で規定する上引層の複素屈折率範囲以外、例えば上引層の複素屈折率実部が2.5よりも小さい領域にも存在することが分る。
しかし、この上引層の複素屈折率実部が2.5よりも小さい領域では、未記録時の有機材料層の複素屈折率実部によって、記録極性がHigh to Low化できる上引層の複素屈折率虚部範囲が大きく変動することが分る。
即ち、未記録時の有機材料層の複素屈折率実部が1.0の場合(図15参照)、上引層の複素屈折率実部が約2.5より小さい領域では、ほぼ上引層の複素屈折率虚部によらず記録極性がHigh to Lowとなるが、未記録時の有機材料層の複素屈折率実部が1.4の場合(図17参照)には、上引層の複素屈折率実部が約2.5より小さい領域では、上引層の複素屈折率虚部が非常に大きな値を持たないと記録極性がHigh to Lowとならないのである。
【0062】
これに対し、本発明の上引層の複素屈折率規定範囲、即ち複素屈折率の実部nが2.5以上であり、かつ複素屈折率の虚部が0.5以上である範囲では、ほぼ未記録時の有機材料層の複素屈折率実部に依存せず、記録極性をHigh toLowとすることが可能であることが分る。
なお、図15〜図20では、上引層の複素屈折率の実部nが2.5以上であり、かつ複素屈折率の虚部が0.5以上の範囲であっても、一部の境界領域で記録極性がHigh to Lowとなっていない領域が存在するが、これは、本実施例では作為的に厳しい条件を課した場合の例を示したことによるものであって、有機材料層の膜厚、未記録時の有機材料層の複素屈折率、記録後の有機材料層の複素屈折率等を適当な範囲に選べば、本発明の上引層の複素屈折率規定範囲は有効であることは明らかである。
また、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上である複素屈折率範囲の上引層を用いることによって、より確実に記録極性がHigh to Low化できることが確認できた。
【0063】
実施例14
本発明の、基板/有機材料層/上引層/保護層という構成において(通常、記録再生は基板側から行われる)、有機材料層の複素屈折率虚部を0.20、上引層をSi(膜厚5nm。Siの405nmにおける複素屈折率は、おおよそ4.30−i2.0である)とした場合、有機材料層の複素屈折率実部と有機材料層の膜厚を変化させた時の反射率がどうなるかを計算した。結果を図21に示す。図21の結果から、本発明で規定する複素屈折率範囲にあるSiを上引層として用いることで、記録によって有機材料層の複素屈折率実部が増加すると、有機材料層の膜厚が約50nm以上の領域で、未記録時の反射率が高く、記録極性がHigh to Lowであり、比較的高い変調度が発生することが確認できた。
【0064】
実施例15
上引層の膜厚を10nmとした点以外は、実施例14と同様な計算を行った。
結果を図22に示す。
図22の結果から、本発明で規定する複素屈折率範囲にあるSiを上引層として用いることで、記録によって有機材料層の複素屈折率実部が増加すると、有機材料層の膜厚が約40nm以上の領域で、未記録時の反射率が高く、記録極性がHigh to Lowであり、比較的高い変調度が発生することが確認できた。
【0065】
実施例16
上引層の膜厚を20nmとした点以外は、実施例14と同様な計算を行った。
結果を図23に示す。
図23の結果から、本発明で規定する複素屈折率範囲にあるSiを上引層として用いることで、記録によって有機材料層の複素屈折率実部が増加すると、有機材料層の膜厚が約30nm以上の領域で、未記録時の反射率が高く、記録極性がHigh to Lowであり、比較的高い変調度が発生することが確認できた。
【0066】
実施例17
本発明の、基板/エンハンス層/有機材料層/上引層/保護層という構成において(通常、記録再生は基板側から行われる)、有機材料層の複素屈折率虚部を0.20、エンハンス層をZnS−SiO(膜厚100nm。ZnS−SiOの405nmにおける複素屈折率は、おおよそ2.30−i0.006である)、上引層をSi(膜厚10nm。Siの405nmにおける複素屈折率は、おおよそ4.30−i2.0である)とした場合、有機材料層の複素屈折率実部と有機材料層の膜厚を変化させた時の反射率がどうなるかを計算した。結果を図24に示す。
図24の結果から、本発明で規定する複素屈折率範囲にあるSiを上引層として用い、更に上引層と反対側の有機材料層の隣接層にエンハンス層を設けることで、記録によって有機材料層の複素屈折率実部が増加すると、有機材料層の膜厚が約30nm以上の領域で、未記録時の反射率が高く、記録極性がHigh to Lowであり、比較的高い変調度が発生することが確認できた。
また、実施例15(エンハンス層がない点以外は本実施例と同じ層構成の場合)の結果である図22と比較すると、明らかにエンハンス層を用いることで、未記録時の反射率が高く、記録極性がHigh to Lowであり、比較的高い変調度が発生する有機材料層の膜厚範囲を広げることがでることが分る(より有機材料層の薄膜化が可能となる)。
【0067】
実施例18
エンハンス層の膜厚を50nmとした点以外は、実施例17と同様な計算を行った。結果を図25に示す。
図25の結果から、本発明で規定する複素屈折率範囲にあるSiを上引層として用い、更に上引層と反対側の有機材料層の隣接層にエンハンス層を設けることで、記録によって有機材料層の複素屈折率実部が増加すると、有機材料層の膜厚が約30nm以上の領域で、未記録時の反射率が高く、記録極性がHigh to Lowであり、比較的高い変調度が発生することが確認できた。
また、実施例15(エンハンス層がない点以外は本実施例と同じ層構成の場合)の結果である図22と比較すると、明らかにエンハンス層を用いることで、未記録時の反射率が高く、記録極性がHigh to Lowであり、比較的高い変調度が発生する有機材料層の膜厚範囲を広げることができ(より有機材料層の薄膜化が可能となる)、また、記録による有機材料層の複素屈折率実部の変化量が小さくても高い変調度が発生することが分る(反射率を表す等高線の間隔が密になっている)。
【0068】
実施例19
エンハンス層の膜厚を25nmとした点以外は、実施例17と同様な計算を行った。結果を図26に示す。
図26の結果から、本発明で規定する複素屈折率範囲にあるSiを上引層として用い、更に上引層と反対側の有機材料層の隣接層にエンハンス層を設けることで、記録によって有機材料層の複素屈折率実部が増加すると、有機材料層の膜厚が約40nm以上の領域で、未記録時の反射率が高く、記録極性がHigh to Lowであり、比較的高い変調度が発生することが確認できた。
また、実施例15(エンハンス層がない点以外は本実施例と同じ層構成の場合)の結果である図22と比較すると、明らかにエンハンス層を用いることで、未記録時の反射率が高く、記録極性がHigh to Lowであり、比較的高い変調度が発生する有機材料層の膜厚範囲を広げることができ(より有機材料層の薄膜化が可能となる)、また、記録による有機材料層の複素屈折率実部の変化量が小さくても高い変調度が発生することが分る(反射率を表す等高線の間隔が密になっている)。
【0069】
以上、実施例17〜19の結果から、エンハンス層の効果を確認することができたが、実施例17〜19での計算条件下では、エンハンス層の膜厚は約50nmとすることが好ましいことが分る。
【0070】
実施例20
本発明の、カバー層/有機材料層/上引層/基板という構成において(通常、記録再生はカバー層側から行われる)、有機材料層の複素屈折率虚部を0.20、上引層をSi(膜厚5nm。Siの405nmにおける複素屈折率は、おおよそ4.30−i2.0である)とした場合、有機材料層の複素屈折率実部と有機材料層の膜厚を変化させた時の反射率がどうなるかを計算した。結果を図27に示す。
図27の結果から、本発明で規定する複素屈折率範囲にあるSiを上引層として用いることで、記録によって有機材料層の複素屈折率実部が増加すると、有機材料層の膜厚が約50nm以上の領域で、未記録時の反射率が高く、記録極性がHigh to Lowであり、比較的高い変調度が発生することが確認できた。
【0071】
実施例21
上引層の膜厚を10nmとした点以外は、実施例20と同様な計算を行った。結果を図28に示す。
図28の結果から、本発明で規定する複素屈折率範囲にあるSiを上引層として用いることで、記録によって有機材料層の複素屈折率実部が増加すると、有機材料層の膜厚が約40nm以上の領域で、未記録時の反射率が高く、記録極性がHigh to Lowであり、比較的高い変調度が発生することが確認できた。
【0072】
実施例22
上引層の膜厚を20nmとした点以外は、実施例20と同様な計算を行った。結果を図29に示す。
図29の結果から、本発明で規定する複素屈折率範囲にあるSiを上引層として用いることで、記録によって有機材料層の複素屈折率実部が増加すると、有機材料層の膜厚が約30nm以上の領域で、未記録時の反射率が高く、記録極性がHigh to Lowであり、比較的高い変調度が発生することが確認できた。
【0073】
実施例23
本発明の、カバー層/エンハンス層/有機材料層/上引層/基板という構成において(通常、記録再生はカバー層側から行われる)、有機材料層の複素屈折率虚部を0.20、エンハンス層をZnS−SiO(膜厚100nm。ZnS−SiOの405nmにおける複素屈折率は、おおよそ2.30−i0.006である)、上引層をSi(膜厚10nm。Siの405nmにおける複素屈折率は、おおよそ4.30−i2.0である)とした場合、有機材料層の複素屈折率実部と有機材料層の膜厚を変化させた時の反射率がどうなるかを計算した。結果を図30に示す。
図30の結果から、本発明で規定する複素屈折率範囲にあるSiを上引層として用い、更に上引層と反対側の有機材料層の隣接層にエンハンス層を設けることで、記録によって有機材料層の複素屈折率実部が増加すると、有機材料層の膜厚が約40nm以上の領域で、未記録時の反射率が高く、記録極性がHigh to Lowであり、比較的高い変調度が発生することが確認できた。
また、実施例21(エンハンス層がない点以外は本実施例と同じ層構成の場合)の結果である図28と比較すると、明らかにエンハンス層を用いることで、未記録時の反射率が高く、記録極性がHigh to Lowであり、比較的高い変調度が発生する有機材料層の膜厚範囲を広げることができることが分る(より有機材料層の薄膜化が可能となる)。
【0074】
実施例24
エンハンス層の膜厚を50nmとした点以外は、実施例23と同様な計算を行った。結果を図31に示す。
図31の結果から、本発明で規定する複素屈折率範囲にあるSiを上引層として用い、更に上引層と反対側の有機材料層の隣接層にエンハンス層を設けることで、記録によって有機材料層の複素屈折率実部が増加すると、有機材料層の膜厚が約30nm以上の領域で、未記録時の反射率が高く、記録極性がHigh to Lowであり、比較的高い変調度が発生することが確認できた。
また、実施例21(エンハンス層がない点以外は本実施例と同じ層構成の場合)の結果である図28と比較すると、明らかにエンハンス層を用いることで、未記録時の反射率が高く、記録極性がHigh to Lowであり、比較的高い変調度が発生する有機材料層の膜厚範囲を広げることができ(より有機材料層の薄膜化が可能となる)、また、記録による有機材料層の複素屈折率実部の変化量が小さくても高い変調度が発生することが分る(反射率を表す等高線の間隔が密になっている)。
【0075】
実施例25
エンハンス層の膜厚を25nmとした点以外は、実施例23と同様な計算を行った。結果を図32に示す。
図32の結果から、本発明で規定する複素屈折率範囲にあるSiを上引層として用い、更に上引層と反対側の有機材料層の隣接層にエンハンス層を設けることで、記録によって有機材料層の複素屈折率実部が増加すると、有機材料層の膜厚が約40nm以上の領域で、未記録時の反射率が高く、記録極性がHigh to Lowであり、比較的高い変調度が発生することが確認できた。
また、実施例21(エンハンス層がない点以外は本実施例と同じ層構成の場合)の結果である図28と比較すると、明らかにエンハンス層を用いることで、未記録時の反射率が高く、記録極性がHigh to Lowであり、比較的高い変調度が発生する有機材料層の膜厚範囲を広げることができ(より有機材料層の薄膜化が可能となる)、また、記録による有機材料層の複素屈折率実部の変化量が小さくても高い変調度が発生することが分る(反射率を表す等高線の間隔が密になっている)。
【0076】
以上、実施例23〜25の結果から、エンハンス層の効果を確認することができたが、実施例23〜25での計算条件下では、エンハンス層の膜厚は約50nmとすることが好ましいことが分る。
【0077】
比較例1
特開2001−273672号公報に記載されている、カバー層/有機材料層/基板という構成において(通常、記録再生はカバー層側から行われる)、有機材料層の複素屈折率虚部を0.20とした場合、有機材料層の複素屈折率実部と有機材料層の膜厚を変化させた時の反射率がどうなるかを計算した。
結果を図33に示す。
この結果を本発明と比べると(図27〜図29参照)、この比較例1の層構成では、記録極性がHigh to Lowとなる有機材料層の複素屈折率実部の範囲が非常に狭く、また、記録極性をHigh to Low化するためには、未記録時の有機材料層の複素屈折率実部を1.0よりも小さくする必要があり、有機材料の選択に大きな制限が加わることが分る。
【0078】
比較例2
特開2001−273672号公報に記載されている、カバー層/エンハンス層/有機材料層/基板という構成において(通常、記録再生はカバー層側から行われる)、有機材料層の複素屈折率虚部を0.20、エンハンス層をSi(膜厚150nm。Siの405nmにおける複素屈折率は、おおよそ2.00−i0.006である)とした場合、有機材料層の複素屈折率実部と有機材料層の膜厚を変化させた時の反射率がどうなるかを計算した。
結果を図34に示す。
この結果を本発明と比べると(図30〜図32参照)、本発明の方が、より未記録時の反射率を高めることができ、より小さな有機材料層の屈折率実部変化で高い変調度が得られることが明らかである。
【0079】
【発明の効果】
本発明1〜22によれば、次のような特性を有する追記型光記録媒体及びその記録再生方法を提供できる。
・単純層構成で、安価に製造可能であり青色レーザ波長に対応可能な追記型光記録媒体 及びその記録再生方法。
・比較的高い反射率が得られる追記型光記録媒体及びその記録再生方法。
・有機材料層の薄膜化が可能で、記録パワーマージンの広い追記型光記録媒体及びその 記録再生方法。
・記録極性がHigh to Low記録となる追記型光記録媒体及びその記録再生方 法。
・基板溝深さが浅い、成形性に優れた基板の使用を可能とする追記型光記録媒体及びそ の記録再生方法。
・有機材料の選択の幅が拡大した追記型光記録媒体及びその記録再生方法。
・表面記録、或いは高NAレンズによる記録に対応でき、高密度化が達成できる追記型 光記録媒体及びその記録再生方法。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の追記型光記録媒体における有機材料の吸収帯と記録再生波長との関係を示す図。
【図2】本発明の追記型光記録媒体における有機材料の吸収帯と記録再生波長との関係を示す図。
【図3】本発明の追記型光記録媒体における情報の記録原理を説明するための図。
【図4】本発明3及び本発明4に係る追記型光記録媒体の層構成を示す図。
【図5】本発明5及び本発明6に係る追記型光記録媒体の層構成を示す図。
【図6】本発明7及び本発明8に係る追記型光記録媒体の層構成を示す図。
【図7】本発明9及び本発明10に係る追記型光記録媒体の層構成を示す図。
【図8】実施例1の計算結果を示す図。
【図9】実施例2の計算結果を示す図。
【図10】実施例3の計算結果を示す図。
【図11】実施例4の計算結果を示す図。
【図12】実施例5の計算結果を示す図。
【図13】実施例6の計算結果を示す図。
【図14】実施例7の計算結果を示す図。
【図15】実施例8の計算結果を示す図。
【図16】実施例9の計算結果を示す図。
【図17】実施例10の計算結果を示す図。
【図18】実施例11の計算結果を示す図。
【図19】実施例12の計算結果を示す図。
【図20】実施例13の計算結果を示す図。
【図21】実施例14の計算結果を示す図。
【図22】実施例15の計算結果を示す図。
【図23】実施例16の計算結果を示す図。
【図24】実施例17の計算結果を示す図。
【図25】実施例18の計算結果を示す図。
【図26】実施例19の計算結果を示す図。
【図27】実施例20の計算結果を示す図。
【図28】実施例21の計算結果を示す図。
【図29】実施例22の計算結果を示す図。
【図30】実施例23の計算結果を示す図。
【図31】実施例24の計算結果を示す図。
【図32】実施例25の計算結果を示す図。
【図33】比較例1の計算結果を示す図。
【図34】比較例2の計算結果を示す図。
【符号の説明】
ULn 上引層の複素屈折率実部
ULk 上引層の複素屈折率虚部
LH 記録によって変調度が殆ど発生しないか、或いは記録極性がLow to High化(記録によって反射率が上昇する)する領域
Dye n 有機材料層の複素屈折率実部
Dye thickness 有機材料層の膜厚(nm)

Claims (22)

  1. 少なくとも、記録再生波長に対して吸収スペクトルの最大吸収波長が長波長側に存在する有機材料層と、入射光から見て該有機材料層の奥側に隣接する該有機材料層よりも高屈折率の上引層を設けた構造を有し、該上引層は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上で且つ複素屈折率の虚部が0.5以上であるか、又は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上であり、記録再生波長が350〜500nmの範囲においてHigh to Lowの記録極性が実現可能である追記型光記録媒体。
  2. 少なくとも、記録再生波長に対して吸収スペクトルの最大吸収波長が長波長側に存在し、記録再生波長で屈折率が最小となる有機材料層と、入射光から見て該有機材料層の奥側に隣接し該有機材料層よりも高屈折率の上引層を設けた構造を有し、該上引層は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上で且つ複素屈折率の虚部が0.5以上であるか、又は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上であり、記録再生波長が350〜500nmの範囲においてHigh to Lowの記録極性が実現可能である追記型光記録媒体。
  3. 基板上に、記録再生波長に対して吸収スペクトルの最大吸収波長が長波長側に存在する有機材料層、該有機材料層よりも高屈折率の上引層、保護層が順次設けられた構造を有し、該上引層は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上で且つ複素屈折率の虚部が0.5以上であるか、又は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上であり、記録再生波長が350〜500nmの範囲においてHigh to Lowの記録極性が実現可能であり、記録再生が基板側から行われることを特徴する追記型光記録媒体。
  4. 基板上に、記録再生波長に対して吸収スペクトルの最大吸収波長が長波長側に存在し、記録再生波長で屈折率が最小となる有機材料層、該有機材料層よりも高屈折率の上引層、保護層が順次設けられた構造を有し、該上引層は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上で且つ複素屈折率の虚部が0.5以上であるか、又は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上であり、記録再生波長が350〜500nmの範囲においてHigh to Lowの記録極性が実現可能であり、記録再生が基板側から行われることを特徴する追記型光記録媒体。
  5. 基板上に、多重反射効果を最適化するエンハンス層、記録再生波長に対して吸収スペクトルの最大吸収波長が長波長側に存在する有機材料層、該有機材料層よりも高屈折率の上引層、保護層が順次設けられた構造を有し、該上引層は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上で且つ複素屈折率の虚部が0.5以上であるか、又は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上であり、記録再生波長が350〜500nmの範囲においてHigh to Lowの記録極性が実現可能であり、記録再生が基板側から行われることを特徴する追記型光記録媒体。
  6. 基板上に、多重反射効果を最適化するエンハンス層、記録再生波長に対して吸収スペクトルの最大吸収波長が長波長側に存在し、記録再生波長で屈折率が最小となる有機材料層、該有機材料層よりも高屈折率の上引層、保護層が順次設けられた構造を有し、該上引層は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上で且つ複素屈折率の虚部が0.5以上であるか、又は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上であり、記録再生波長が350〜500nmの範囲においてHigh to Lowの記録極性が実現可能であり、記録再生が基板側から行われることを特徴する追記型光記録媒体。
  7. 基板上に、有機材料層よりも高屈折率の上引層、記録再生波長に対して吸収スペクトルの最大吸収波長が長波長側に存在する有機材料層、カバー層が順次設けられた構造を有し、該上引層は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上で且つ複素屈折率の虚部が0.5以上であるか、又は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上であり、記録再生波長が350〜500nmの範囲においてHigh to Lowの記録極性が実現可能であり、記録再生がカバー層側から行われることを特徴する追記型光記録媒体。
  8. 基板上に、有機材料層よりも高屈折率の上引層、記録再生波長に対して吸収スペクトルの最大吸収波長が長波長側に存在し、記録再生波長で屈折率が最小となる有機材料層、カバー層が順次設けられた構造を有し、該上引層は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上で且つ複素屈折率の虚部が0.5以上であるか、又は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上であり、記録再生波長が350〜500nmの範囲においてHigh to Lowの記録極性が実現可能であり、記録再生がカバー層側から行われることを特徴する追記型光記録媒体。
  9. 基板上に、有機材料層よりも高屈折率の上引層、記録再生波長に対して吸収スペクトルの最大吸収波長が長波長側に存在する有機材料層、多重反射効果を最適化するエンハンス層、カバー層が順次設けられた構造を有し、該上引層は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上で且つ複素屈折率の虚部が0.5以上であるか、又は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上であり、記録再生波長が350〜500nmの範囲においてHigh to Lowの記録極性が実現可能であり、記録再生がカバー層側から行われることを特徴する追記型光記録媒体。
  10. 基板上に、有機材料層よりも高屈折率の上引層、記録再生波長に対して吸収スペクトルの最大吸収波長が長波長側に存在し、記録再生波長で屈折率が最小となる有機材料層、多重反射効果を最適化するエンハンス層、カバー層が順次設けられた構造を有し、該上引層は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが2.5以上で且つ複素屈折率の虚部が0.5以上であるか、又は、記録再生波長における複素屈折率の実部nが4.0以上であり、記録再生波長が350〜500nmの範囲においてHigh to Lowの記録極性が実現可能であり、記録再生がカバー層側から行われることを特徴する追記型光記録媒体。
  11. 有機材料層よりも高屈折率の上引層が光吸収機能を有し、記録レーザ光を照射した際に、有機材料層の光吸収機能及び/又は該有機材料層よりも高屈折率の上引層の光吸収機能による発熱によって有機材料層中の有機材料が分解し、記録再生波長での屈折率が増加することで記録が行われることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の追記型光記録媒体。
  12. 有機材料層よりも高屈折率の上引層が光吸収機能を有し、記録レーザ光を照射した際に、有機材料層の光吸収機能及び/又は該有機材料層よりも高屈折率の上引層の光吸収機能によって、記録再生波長よりも長波長側に存在する有機材料層の吸収帯の吸収係数が減少し、記録再生波長での屈折率が増加することで記録が行われることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の追記型光記録媒体。
  13. 記録によって有機材料層よりも高屈折率の上引層が有機材料層側へ変形することを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の追記型光記録媒体。
  14. 有機材料層よりも高屈折率の上引層が有機材料層よりも高硬度を有する材料からなることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の追記型光記録媒体。
  15. 有機材料層よりも高屈折率の上引層がSi又はGeを含有することを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の追記型光記録媒体。
  16. エンハンス層がSiO又はZnS−SiOを主成分とすることを特徴とする請求項5、6、9、10の何れかに記載の追記型光記録媒体。
  17. 350〜500nmの記録再生波長に対応する有機材料層及び該有機材料層よりも高屈折率の上引層を有することを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の追記型光記録媒体。
  18. 記録レーザ光の照射によって、有機材料層中の有機材料を分解させ、記録再生波長での屈折率を増加させることで情報の記録再生を行うことを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の追記型光記録媒体の記録再生方法。
  19. 記録レーザ光の照射によって、記録再生波長よりも長波長側に存在する有機材料層の吸収帯の吸収係数を減少させ、記録再生波長での屈折率を増加させることで情報の記録再生を行うことを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の追記型光記録媒体の記録再生方法。
  20. 記録レーザ光の照射によって、有機材料層中の有機材料を分解させて記録再生波長での屈折率を増加させ、かつ該有機材料層よりも高屈折率の上引層を有機材料層側へ変形させることで情報の記録再生を行うことを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の追記型光記録媒体の記録再生方法。
  21. 記録レーザ光の照射によって、記録再生波長よりも長波長側に存在する有機材料層の吸収帯の吸収係数を減少させて記録再生波長での屈折率を増加させ、かつ該有機材料層よりも高屈折率の上引層を有機材料層側へ変形させることで情報の記録再生を行うことを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の追記型光記録媒体の記録再生方法。
  22. 記録再生波長を350〜500nmとしたことを特徴とする請求項18〜21の何れかに記載の記録再生方法。
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