JP4313048B2 - 追記型光記録媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、追記型(WORM:Write Once Read Many )光記録媒体に係わり、特に350〜500nm程度の青色レーザ波長領域の光でも高密度の記録が可能な追記型光記録媒体に関する。
【0002】
【従来技術】
◎青色レーザ対応の追記型光記録媒体について
超高密度の記録が可能となる青色レーザの開発は急速に進んでおり、それに対応した追記型光記録媒体の開発が行われている。
従来の追記型光記録媒体では、有機材料からなる記録層にレーザ光を照射し、主に有機材料の分解・変質による屈折率変化を生じさせることで記録ピットを形成させており、記録層に用いられる有機材料の光学定数や分解挙動が、良好な記録ピットを形成させるための重要な要素となっている。
従って、記録層に用いる有機材料としては、青色レーザ波長に対する光学的性質や分解挙動の適切な材料を選択する必要がある。即ち、未記録時の反射率を高め、またレーザの照射によって有機材料が分解し大きな屈折率変化が生じるようにするため(これによって大きな変調度が得られる)、記録再生波長は大きな吸収帯の長波長側の裾に位置するように選択される。
何故ならば、有機材料の大きな吸収帯の長波長側の裾は、適度な吸収係数を有し且つ大きな屈折率が得られる波長領域となるためである。
【0003】
しかしながら、青色レーザ波長に対する光学的性質が従来並みの値を有する有機材料は未だ見出されていない。これは、青色レーザ波長近傍に吸収帯を持つ有機材料を得るためには、分子骨格を小さくするか又は共役系を短くする必要があるが、そうすると吸収係数の低下、即ち屈折率の低下を招くためである。
つまり、青色レーザ波長近傍に吸収帯を持つ有機材料は多数存在し、吸収係数を制御することは可能となるが、大きな屈折率を持たないため、大きな変調度を得ることができなくなる。
青色レーザ対応の有機材料としては、例えば、特開2001−181524号、特開2001−158865号、特開2000−343824号、特開2000−343825号、特開2000−335110号各公報に記載がある。
しかし、これらの公報では、実施例を見ても溶液と薄膜のスペクトルを測定しているのみで、記録再生に関する記載はない。
特開平11−221964号、特開平11−334206号、特開2000−43423号各公報では、実施例に記録の記載があるものの、記録波長は488nmであり、また記録条件や記録密度に関する記載はなく、良好な記録ピットが形成できた旨の記載があるのみである。
【0004】
特開平11−58955号公報では、実施例に記録の記載があるものの、記録波長は430nmであり、また記録条件や記録密度に関する記載はなく、良好な変調度が得られた旨の記載があるのみである。
特開2001−39034号、特開2000−149320号、特開2000−113504号、特開2000−108513号、特開2000−222772号、特開2000−218940号、特開2000−222771号、特開2000−158818号、特開2000−280621号、特開2000−280620号各公報では、実施例に記録波長430nm、NA0.65での記録例があるが、最短ピットが0.4μmという低記録密度条件(DVDと同等の記録密度)である。
特開2001−146074号公報では、記録再生波長は405〜408nmであるが、記録密度に関する具体的な記載がなく、14T−EFM信号の記録という低記録密度条件である。
【0005】
また、従来のCD、DVD系光記録媒体と異なる層構成及び記録方法に関して、以下のような技術が公開されている。
特開平7−304258号公報には、基板/可飽和吸収色素含有層/反射層という層構成で、可飽和吸収色素の消衰係数(本発明でいう吸収係数)の変化により記録を行う技術が開示されている。
特開平8−83439号公報には、基板/金属蒸着層/光吸収層/保護シートという層構成で、光吸収層によって発生した熱によって、金属蒸着層を変色又は変形させることで記録を行う技術が開示されている。
特開平8−138245号公報には、基板/誘電体層/光吸収体を含む記録層/反射層という層構成で、記録層の膜厚を変えることにより溝部の深さを変えて記録を行う技術が開示されている。
特開平8−297838号公報には、基板/光吸収体を含む記録層/金属反射層という層構成で、記録層の膜厚を10〜30%変化させることにより記録を行う技術が開示されている。
【0006】
特開平9−198714号公報には、基板/有機色素を含有する記録層/金属反射層/保護層という層構成で、基板の溝幅を未記録部に対して20〜40%広くすることにより記録を行う技術が開示されている。
特許第2506374号公報には、基板/中間層/金属薄膜という層構成で、金属薄膜が変形しバブルを形成することにより記録を行う技術が開示されている。
特許第2591939号公報には、基板/光吸収層/記録補助層/光反射層という層構成で、記録補助層を凹状に変形させると共に、記録補助層の変形に沿って光反射層を凹状に変形させることで記録を行う技術が開示されている。
特許第2591940号公報には、基板/光吸収層/多孔質な記録補助層/光反射層、或いは、基板/多孔質な記録補助層/光吸収層/光反射層という層構成で、記録補助層を凹状に変形させると共に、記録補助層の変形に沿って光反射層を凹状に変形させることで記録を行う技術が開示されている。
特許第2591941号公報には、基板/多孔質な光吸収層/光反射層という層構成で、光吸収層を凹状に変形させると共に、光吸収層の変形に沿って光反射層を凹状に変形させることで記録を行う技術が開示されている。
【0007】
特許第2982925号公報には、基板/有機色素を含む記録層/記録補助層という層構成で、記録補助層と有機色素が相溶して、有機色素の吸収スペクトルを短波長側へシフトさせることで記録を行う技術が開示されている。
特開平9−265660号公報には、基板上に反射層と記録層の機能を有する複合機能層、保護層を順次形成した層構成で、基板と複合機能層がバンプを形成することで記録を行う技術が開示されている。なお、複合機能層としては、ニッケル、クロム、チタン等の金属、又はそれらの合金との規定がある。
特開平10−134415号公報には、基板上に金属薄膜層、変形可能な緩衝層、反射層、保護層を順次形成した層構成で、基板と金属薄膜層を変形させ、同時にこの変形部での緩衝層膜厚を薄くさせることで記録を行う技術が開示されている。なお、金属薄膜層としては、ニッケル、クロム、チタン等の金属、又はそれらの合金との規定がある。また、緩衝層としては、変形し易く適当な流動性を持つ樹脂が用いられ、変形を促進させるために色素を含有させても良いとの記載がある。
【0008】
特開平11−306591号公報には、基板上に金属薄膜層、緩衝層、反射層を順次積層した層構成で、基板と金属薄膜層を変形させ、同時にこの変形部での緩衝層膜厚と光学定数とを変化させることで記録を行う技術が開示されている。なお、金属薄膜層としては、ニッケル、クロム、チタン等の金属、又はそれらの合金が好ましいとの記載がある。また、緩衝層は色素と有機高分子の混合物からなり、記録再生波長近傍に大きな吸収帯を有する色素が用いられる。
特開平10−124926号公報には、基板上に金属記録層、バッファ層、反射層を順次積層した層構成で、基板と金属記録層を変形させ、同時にこの変形部でのバッファ層膜厚と光学定数とを変化させることで記録を行う技術が開示されている。なお、金属記録層としては、ニッケル、クロム、チタン等の金属、又はそれらの合金が好ましいとの記載がある。また、バッファ層は色素と樹脂の混合物からなり、記録再生波長近傍に大きな吸収帯を有する色素が用いられる。
【0009】
以上のように、上記諸々の従来技術は、青色レーザ波長領域での追記型光記録媒体の実現を狙ったものではなく、青色レーザ波長領域で有効となる層構成や記録方法ではない。
特に現在実用化されている青色半導体レーザの発振波長の中心である405nm近傍においては、従来の追記型光記録媒体の記録層に要求される光学定数と同程度の光学定数を有する有機材料が殆んど存在しない。また、405nm近傍で記録条件を明確にし、DVDよりも高記録密度で記録された例はない。
更に、上記従来技術における実施例の多くは、従来のディスク構成(図46参照)での実験であり、また、従来のディスク構成と異なる構成も提案されてはいるが、そこに用いられる色素は従来と同じ光学特性と機能が要求されており、青色レーザ波長領域で、有機材料からなる追記型光記録媒体を容易に実現できる層構成や記録原理、記録方式についての有効な提案はない。
【0010】
また、従来の有機材料を用いた追記型光記録媒体では、変調度と反射率の確保の点から、記録再生波長に対し大きな屈折率と比較的小さな吸収係数(0.05〜0.07程度)を持つ有機材料しか使用することができない。
即ち、有機材料は記録光に対して十分な吸収能を持たないため、有機材料の膜厚を薄膜化することが不可能であり、従って、深い溝を持った基板を使用する必要があった(有機材料は通常スピンコート法によって形成されるため、有機材料を深い溝に埋めて厚膜化していた)。そのため、深い溝を有する基板の形成が非常に難しくなり、追記型光記録媒体としての品質を低下させる要因になっていた。更に、従来の有機材料を用いた追記型光記録媒体では、記録再生波長近傍に有機材料の主吸収帯が存在するため、有機材料の光学定数の波長依存性が大きくなり(波長によって光学定数が大きく変動する)、レーザの個体差や環境温度の変化等による記録再生波長の変動に対し、記録感度、変調度、ジッタ、エラー率といったような記録特性や、反射率等が大きく変化するという問題があった。
【0011】
◎追記型光記録媒体における一般的な記録原理について
一般的に、追記型の光記録媒体においては、記録層に用いられた材料の光学定数変化(記録層材料の複素屈折率実部と膜厚)による記録モードと、基板や反射層等が変形する変形モードが存在し、これらによって記録マークが形成される。例えば、特許第2710040号、特許第2840643号に追記型光記録媒体における記録原理が記載されている。
しかし、これらの公報では、記載された記録原理(記録モード)が、再生信号にどのように寄与するのかについて具体的な説明及び実験結果が記載されていない。即ち、実施例において、請求項に挙げられた記録原理が主体となって記録が行われているという実証がなされていない。
多層構造の記録媒体で、記録モードを限定(特定)することは非常に困難であるにも拘わらず、SEMやAFMの観察によって、請求項に挙げられた記録原理で記録された旨の記載があるが、これは請求項に記載された記録原理が存在する可能性があること、及びその原理が再生信号に寄与する可能性があることしか証明できていない。
【0012】
また、従来の記録原理、他の記録原理に対して、実際どのような再生信号が発生し、どのようなメリットがあるのか全く記載がない(記載があっても、その理由の根拠、裏付けがない)。
記録原理を発明とした出願において、いくつかの公報では、実施の形態という形で実施例が記載されているが、記録原理は明確なものであっても、その記録原理と再生信号の関係は明瞭でないため、記録原理と再生信号の関係を明瞭化した具体的な実施例が必要であり、単に実施の形態という形で記載できるものではない。
また、殆んど全ての公報における実施例において、記録例(記録実験)では単一周期の信号を記録しており、異なる記録マーク長の記録がどうなるのかは全く不明である。即ち、ランダム信号が記録できて、綺麗なアイパターンが得られたという結果がない。
【0013】
例えば、記録レーザのビーム径よりも十分小さいマークが記録及び再生できるのか、記録極性はどうなるのか、記録波形はどうなるのかについては、最低限記載されるべき筈のものである。
光記録媒体の再生信号は、干渉効果と共に、回折効果によって得られるものであるから、例えば記録マークの高さ、或いは記録領域の深さ(光記録媒体の厚み方向)が記録マーク長に拘わらず一定であると仮定したとしても、記録マーク長によって、レーザ光のビーム径に対する記録マーク長の関係が変わるから、再生信号がどうように変化するか一概には言えない。
単一周期の信号が記録できたとしても、ランダムパターン信号が記録できる場合というのは多くない(逆に希と言っても過言ではない)。
また、記録の結果として変調度のみを記載している例も多いが、変調度のみでは光記録媒体として使用できるものであることを裏付ける結果とはならない。
以上のことについて具体例をもって説明する。
【0014】
案内溝を有するポリカーボネート基板上に、SiCを厚さ10nm設けた光記録媒体を作製した。
この光記録媒体に対して、パルステック工業製の光ディスク評価装置、DDU−1000(波長:405nm、NA:0.65)を用いて、基板側から6.0mWのレーザ光を照射して、ランド部(入射レーザ光側から見て、奥側にある溝位置)に、記録周波数65.4MHz、記録線速度6.0m/sで3T〜14Tマークをそれぞれ単独で記録した。
この時、再生信号(RFレベル)の記録マーク長(Mark Length)依存性を測定した結果を図3(a)〜(d)に示す。
図3(a)中、Unrecは未記録時の再生信号(RFレベル)、Topはマーク列を記録した時の最大再生信号レベル(即ちスペース部)、Bottomはマーク列を記録した時の最小再生信号レベル(即ちマーク部)、更にはMAは(Top−Bottom)/Topで計算される変調度を示した。
この図3(a)を見ると、変調度はやや小さいものの、CD−RやDVD−Rと同等な、再生信号(RFレベル)の記録マーク長(Mark Length)依存性を示すことが分る。
【0015】
しかし、この光記録媒体において、CD−RやDVD−Rと同様に、ランダムパターンが記録でき、マーク長に応じた再生信号が得られるかというと、そうはならない。
図3(b)には、3Tマークを連続して記録した場合の再生信号、4Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを示し、図3(c)には、6Tマークを連続して記録した場合の再生信号、8Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを示し、図3(d)には、3Tマークを連続して記録した場合の再生信号、14Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを示した。
この結果、図3(b)、図3(c)では、信号の乱れは別として、CD−RやDVD−Rと同様な、マーク長に応じた再生信号が得られているが、図3(d)では、CD−RやDVD−Rと同様な、マーク長に応じた再生信号は得られていない。即ち、14T信号では、マーク中央部のRFレベルが大きく上昇し、未記録時のRFレベルを超えている。
【0016】
CD−RやDVD−Rと同様に、スライスレベルによって再生信号のマーク長を判断するという再生方式では、図3(d)の14T信号を正しく再生できないことは明らかである〔例えば、本来14Tと判断されるはずが、(5Tマーク)−(4Tスペース)−(5Tマーク)というパターンとして判断されてしまう〕。つまり、単純に記録が行えたと言っても、実際に光記録媒体として使用できるという訳ではない〔見た目では、図3(a)のようにHigh to Low(ハイ・トゥー・ロー)の信号が得られても、マーク長記録が可能ということにはならない〕。
実際、記録が行える材料、層構成は非常に沢山あるが、光記録媒体として使用できるのは、本当にごく僅かである。
従って、従来技術として挙げられる公報中でも、記録が行えたという表現のみの実験結果、巨視的な変調度という値で記録の可否を判断している実験結果、或いは単一周期の記録の実験結果しか記載されていない公報では、発明の効果が本当にあるのかどうかを判断できない。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、次のような特性を有する追記型光記録媒体の提供を目的とする。
・単純層構成で、安価に製造可能である。
・記録再生波長に大きな制限がなく、記録特性の波長依存性が少ない。
・比較的高い反射率が得られる。
・変形を用いて記録再生を行う場合であっても、記録マーク長や記録パワーによって記録極性が変化せず一定である。
・変形を用いて記録再生を行う場合であっても、記録マーク部の再生波形が微分形状を示すことがない。
・変形を用いて記録再生を行う場合であっても、記録極性がHigh to Low記録となり易い。
・表面記録、或いは高NAレンズによる記録に対応でき高密度化が達成できる。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記課題は次の1)〜)の発明(以下、本発明1〜という)によって解決される。
1) 少なくとも記録層を有し、該記録層は、レーザ光に対する光吸収機能と、レーザ光の照射によって溶融又は分解することなく変形を起す変形機能を併せ持つものであり、該記録層と、該記録層に接するレーザ光入射側の隣接層との界面を主反射界面とし、レーザ光の照射による記録層の発熱によって、記録層自身がレーザ光の入射方向に変形することで記録マークが形成されると共に、記録極性がHigh to Lowであることを特徴とする追記型光記録媒体。
2) 少なくとも記録層を有し、該記録層は、レーザ光に対する光吸収機能と、レーザ光の照射によって溶融又は分解することなく変形を起す変形機能を併せ持つものであり、該記録層と、該記録層に接するレーザ光入射側の隣接層との界面を主反射界面とし、レーザ光の照射による記録層の発熱によって、記録層と、レーザ光の入射側から見て記録層の奥側に存在する層との界面近傍に、該奥側に存在する層を構成する材料の屈折率低下部、或いは空隙部を形成させ、記録層自身がレーザ光の入射方向に変形することで記録マークが形成されると共に、記録極性がHigh to Lowであることを特徴とする追記型光記録媒体。
3) 少なくとも記録層を有し、該記録層は、レーザ光に対する光吸収機能と、レーザ光の照射によって溶融又は分解することなく変形を起す変形機能を併せ持つものであり、該記録層と、該記録層に接するレーザ光入射側の隣接層との界面を主反射界面とし、レーザ光の照射による記録層の発熱によって、記録層中に、記録層を構成する材料の屈折率低下部、或いは空隙部を形成させ、記録層自身がレーザ光の入射方向に変形することで記録マークが形成されると共に、記録極性がHigh to Lowであることを特徴とする追記型光記録媒体。
) 記録層がSi及び/又はGeを含有することを特徴とする1)〜)の何れかに記載の追記型光記録媒体。
) 波長350〜500nmの青色レーザ光により記録マークが形成できることを特徴とする1)〜)の何れかに記載の追記型光記録媒体。
【0019】
以下、上記本発明について詳しく説明すると共に、本発明に係る記録再生の原理と再生信号の関係を明瞭にし、本発明の正当性と有効性を明確に示す。
本発明者は、記録極性のLow to High化、記録マーク長や記録パワーによる記録極性変化、或いは、再生信号波形の微分化が発生し易いのは、次のイ)、ロ)の場合であることを見出した。
イ) 変形する層と、変形する層のレーザ光入射側隣接層との界面に主反射界面があり、該主反射界面が入射レーザ光側(光源側)とは反対方向に変形する場合。
ロ) イ)の場合であって、特に、変形する層と、変形する層のレーザ光入射側隣接層界面近傍に、屈折率低下部、或いは空隙部が形成される場合。
即ち、変形する層と、変形が起る方向とは反対側に隣接する層の界面近傍には、互いの層の剥離、変形が起る方向とは反対側に隣接する層の体積膨張、或いは、変形が起こる方向とは反対側に隣接する層の溶融、分解・爆発等によって、空隙等の屈折率の低下部が形成され易く、これが、記録極性のLow to High化、記録マーク長や記録パワーによる記録極性変化、或いは、再生信号波形の微分化をもたらすことを見出したもので、この記録極性のLow to High化、記録マーク長や記録パワーによる記録極性変化、或いは、再生信号波形の微分化を防止するためには、レーザ光入射側から見て、主反射界面の奥側に空隙等の屈折率の低下部が発生するように主反射界面の変形方向を制御すること、或いは記録再生方向を制御することが非常に有効であることを見出した。
【0020】
従って、本発明では、変形する層(本発明で言う変形層、或いは記録層)を入射レーザ光側(光源側)に変形させる。
これにより、屈折率低下部、或いは空隙が、レーザ光入射側から見て、主反射界面(即ち変形界面)の奥側に形成されるようにすることができ、記録極性のLow to High化、記録マーク長や記録パワーによる記録極性変化、或いは再生信号波形の微分化を抑制・防止し、記録極性がHigh to Lowで統一でき、良好なマーク長記録・再生を実現させることができる。
なお、一般的にマーク長記録では、記録マークを再生した場合、図47(a)に示すような再生信号(RF信号)となるのに対し、図47(b)や(c)のように、記録マークの前後エッジ近傍や記録マークの中心近傍で変極点を持つような信号を、本発明では微分波形(微分波形化)と言う。
【0021】
本発明で言う「変形層と、該変形層と接する隣接層」とは、例えば基板上に変形層、上引層が順次設けられた光記録媒体構成の場合、基板又は上引層を指す(例えば上引層は空気層であってもよい)。
また、本発明で言う主反射界面とは、再生反射光に寄与する割合が最も高い反射界面を指す。従って、主反射界面は、最も反射係数の大きな界面となるのが一般的である。
しかし、最も大きな反射係数を有する界面であっても、その反射界面より入射光側に複数の層が存在したり、或いはその反射界面よりも入射光側にある層の吸収係数(複素屈折率の虚部)が大きい場合など、この最も大きな反射係数を有する界面にまで十分な光が透過しない場合は、この限りでない。
そこで、再生反射光に寄与する割合が最も高い反射界面を主反射界面と言うことにする。
【0022】
例えば、複素屈折率の大きな変形層が、変形層よりも複素屈折率の小さな隣接層で挟まれている場合、この変形層と、どちらかの隣接層界面が主反射界面となるが、本発明で言う主反射界面とは、ポインティングベクトルの大きな方の界面を指すことになる。なお、ここでいうポインティングベクトルとは、ポインティングベクトルの時間平均値を示し、光の強さを示す値となる。
具体例として、基板上に有機材料層(複素屈折率を2.0−i0.1、膜厚を60nmと仮定)、Si層(複素屈折率を4.3−i2.0、膜厚を20nmと仮定)が積層された光記録媒体であって、記録再生が基板側から行われる場合を考えると、主反射界面はSi層のどちらかの隣接層界面にあることになる。
最も反射係数の大きな界面はSi層と空気層の界面、次いで反射係数が大きな界面は有機材料層とSi層の界面となるが、ポインティングベクトルを計算すると、図48のようになり(横軸の0〜60が有機材料層、60〜80がSi層)、ポインティングベクトルの大きな有機材料層とSi層の界面が本発明で言う主反射界面となる。
【0023】
また、別の具体例として、基板上に有機材料層(複素屈折率を2.0−i0.1、膜厚を60nmと仮定)、Si層(複素屈折率を4.3−i2.0、膜厚を20nmと仮定)が積層された光記録媒体であって、記録再生がSi層側から行われる場合を考えると、主反射界面はSi層のどちらかの隣接層界面にあることになる。
最も反射係数の大きな界面はSi層と空気層の界面、次いで反射係数が大きな界面は有機材料層とSi層の界面となるが、ポインティングベクトルを計算すると、図49のようになり(横軸の0〜20がSi層、20〜80が有機材料層)、ポインティングベクトルの大きなSi層と空気層の界面が本発明で言う主反射界面となる。
【0024】
本発明で言う変形とは、ある任意の追記型光記録媒体構成層を単純に変形させるもので、その変形界面が明瞭である変形を指す。
例えば従来のCD−RやDVD−Rのように、基板と有機材料層の界面は変形を起すが、記録によって基板や有機材料は溶融や分解を起し、例えば有機材料の基板への拡散等が起きるため、両者はその界面近傍で混合する可能性が高く、明瞭な界面を有しなくなる。この変形界面の不明瞭化は、記録コントラスト(変調度)の低下を招き易い。
そこで本発明では、変形界面を明瞭に保持させるようにする。
そのためには、変形する層(本発明で言う変形層、或いは記録層)は記録によって隣接層と混合しないことが好ましい。
変形する層(本発明で言う変形層、或いは記録層)の変形は、変形する層とは別に設けられた光吸収層の発熱によるものであっても、変形する層自身に光吸収機能があり、変形する層自身の発熱によるものであってもよい。
【0025】
本発明では、例えば、レーザ光に対する光吸収機能と、レーザ光の照射によって溶融又は分解することなく変形を起す変形機能を併せ持つ記録層に隣接して、有機材料層を設けた追記型光記録媒体を提供する。
この記録層に隣接して有機材料を設ける理由の1つは、有機材料層に、変形する層の変形量を制御する働きを持たせることができることにある。
これは例えば、基板上にレーザ光に対する光吸収機能と、レーザ光の照射によって溶融又は分解することなく変形を起す変形機能を併せ持つ記録層を設けた追記型光記録媒体では、記録層の変形が、記録層自身の光吸収機能による変形だけでなく、この記録層で発生した熱による基板の膨張に大きな影響を受けるためである。
【0026】
従って、基板と、レーザ光に対する光吸収機能と、レーザ光の照射によって溶融又は分解することなく変形を起す変形機能を併せ持つ記録層の間に有機材料層を設けることで、記録層を反基板側(記録層からみて基板と反対側)へ変形させる追記型光記録媒体の場合は、記録層の反基板側への変形に与える基板変形の影響を低下させることができる(本発明では、記録層等の変形層が主反射界面であって、この記録層等の変形層の変形特性が最も重要である)。
或いは、基板と、レーザ光に対する光吸収機能と、レーザ光の照射によって溶融又は分解することなく変形を起す変形機能を併せ持つ記録層の間に有機材料層を設けることで、記録層を基板側へ変形させる追記型光記録媒体の場合は、記録層の基板側への変形を阻害する基板変形の影響を低下させることができ、良好な変形を生じさせることができる(本発明では、記録層等の変形層が主反射界面であって、この記録層等の変形層の変形特性が最も重要である)。
【0027】
また、有機材料層には、記録層等の光吸収機能を有する層による熱によって、有機材料が分解・変質等を起し、その光学定数を変化させることで、記録再生特性を向上させる働きを持たせることが可能である。
なお、ここで言う光学定数変化とは、複素屈折率実部の減少又は増加、複素屈折率虚部の減少又は増加、有機材料層膜厚の減少又は増加、或いはこれらの組み合わせを指す。
また、ここで言う記録再生特性とは、未記録時の反射率、ジッタ、変調度、トラッキング特性等を指す。
更に有機材料層は、光吸収層や、レーザ光に対する光吸収機能と、レーザ光の照射によって溶融又は分解することなく変形を起す変形機能を併せ持つ記録層の光吸収機能を補う働きを持たせることも可能である。
【0028】
有機材料層に用いられる材料としては、例えば色素が好ましい。
色素としては、ポリメチン系、ナフタロシアニン系、フタロシアニン系、スクアリリウム系、クロコニウム系、ピリリウム系、ナフトキノン系、アントラキノン(インダンスレン)系、キサンテン系、トリフェニルメタン系、アズレン系、テトラヒドロコリン系、フェナンスレン系、トリフェノチアジン系各色素、及び金属錯体化合物などが挙げられる。
色素層の形成は、蒸着、スパッタリング、CVD、溶剤塗布などの通常の手段によって行なうことができる。塗布法を用いる場合には、上記色素などを有機溶剤に溶解し、スプレー、ローラーコーティング、ディッピング、スピンコーティングなどの慣用のコーティング法で塗布すればよい。
【0029】
用いられる有機溶剤としては、一般にメタノール、エタノール、イソプロパノールなどアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロルエタン、四塩化炭素、トリクロルエタンなどの脂肪族ハロゲン化炭素類;ベンゼン、キシレン、モノクロルベンゼン、ジクロルベンゼンなどの芳香族類;メトキシエタノール、エトキシエタノールなどのセロソルブ類;ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの炭化水素類などが挙げられる。
色素層の膜厚は、100Å〜10μm、好ましくは100〜2000Åが適当である。
なお、有機材料層として高分子を用いることも可能である。
【0030】
本発明で用いる変形層は、記録によって変形しさえすれば何ら制限はない。
但し、本発明では、変形層とその隣接層の界面を主反射界面とするため、隣接層との複素屈折率差の大きな材料を用いることが好ましい。
そのため、一般的に屈折率(複素屈折率実部)の小さな金属(例えば、Au、Ag、Al、Cr、Ni、Fe、Sn等)、或いは一般的に屈折率(複素屈折率実部)の大きな材料〔Si及び/又はGeを含有する材料(例えばSi、Ge、SiGe1−x、MgGe、MgSi、SiC等);Nb、Ta、Be、V等の金属、或いはこれらの金属酸化物(例えばTa、Nb等)〕;AlSb、AlGa1−xAs、CdSe、GaSb、Hg1−xCdTe、Se、Te、ZnTe、ZnS、PbS、InP、GaP等の半導体などを用いることができる。
【0031】
また、変形層と主反射界面を形成する変形層の隣接層が比較的低屈折率である場合(1.8程度以下)、例えばAl、MgO、BeO、ZrO、UO、ThOなどの単純酸化物系の酸化物;SiO、2MgO・SiO、MgO・SiO、CaO・SiO、ZrO・SiO、3Al・2SiO、2MgO・2Al・5SiO、LiO・Al・4SiOなどのケイ酸塩系の酸化物;AlTiO、MgAl、Ca10(PO(OH)、BaTiO、LiNbO、PZT、PLZT(PbTiO−PbZrO系酸化物)、フェライトなどの複酸化物系の酸化物;Si、Si6−ZAl8−Z、AlN、BN、TiNなどの窒化物系の非酸化物;SiC、BC、TiC、WCなどの炭化物系の非酸化物;LaB、TiB、ZrBなどのホウ化物系の非酸化物;CdS、MoSなどの硫化物系の非酸化物;MoSiなどのケイ化物系の非酸化物;アモルファス炭素、黒鉛、ダイアモンド等の炭素系の非酸化物、及びこれらの含有物を使用することができる。
【0032】
光吸収層としては、記録波長に対して比較的大きな吸収係数(ここで言う吸収係数は複素屈折率の虚部である。例えば0.2以上が好ましい)を有する材料であれば何ら制限はなく、Si及び/又はGeを含有する材料(例えばSi、Ge、SiGe1−x、MgGe、MgSi、SiC等);Nb、Ta、Be、V等の金属、或いはこれらの金属酸化物(例えばTa、Nb等);AlSb、AlGa1−xAs、CdSe、GaSb、Hg1−xCdTe、Se、Te、ZnTe、ZnS、PbS、InP、GaP等の半導体;Ag等に比べて熱伝導率の低いNi,Cr、Ti、Ta、Fe等の金属;Cu/Al、Ni/Fe等の合金などを用いることができる。
また、有機材料層に用いられる材料として前述した色素を利用することも可能である。
【0033】
レーザ光に対する光吸収機能と、レーザ光の照射によって溶融又は分解することなく変形を起す変形機能を併せ持つ記録層としては、Si及び/又はGeを含有する材料(例えばSi、Ge、SiGe1−x、MgGe、MgSi、SiC等);Nb、Ta、Be、V等の金属、或いはこれらの金属酸化物(例えばTa、Nb等);AlSb、AlGa1−xAs、CdSe、GaSb、Hg1−xCdTe、Se、Te、ZnTe、ZnS、PbS、InP、GaP等の半導体等;Ag等に比べて熱伝導率の低いNi、Cr、Ti、Ta、Fe等の金属;Cu/Al、Ni/Fe等の合金などを用いることができる。
【0034】
なお、本発明では「単純層構成で、安価に製造可能な追記型光記録媒体」を提供できるが、これは変形という最も単純な記録原理を用いるためである。
「記録再生波長に大きな制限がなく、記録特性の波長依存性が少ない追記型光記録媒体」を提供できる理由は、例えばレーザ光に対する光吸収機能と、レーザ光の照射によって溶融又は分解することなく変形を起す変形機能を併せ持つ記録層を用いる場合、このような記録層の材料としては、SiC、Si、Ge等のSi及び/又はGe含有物が好ましく用いられるが、これらの材料の複素屈折率は、従来の追記型光記録媒体に用いられる有機材料のような大きな波長依存性を持たないためである。
従って、本発明の追記型光記録媒体は、350〜500nm程度の青色レーザ波長領域の光でも容易に記録が可能であり、原理的には、更に短波長の光でも記録が可能である。
【0035】
「比較的高い反射率が得られる追記型光記録媒体」を提供できる理由は、光吸収層、変形層、或いはレーザ光に対する光吸収機能と、レーザ光の照射によって溶融又は分解することなく変形を起す変形機能を併せ持つ記録層には、SiC、Si、Ge等のSi及び/又はGe含有物が好ましく用いられ、これらの材料は青色レーザ波長領域以下で大きな複素屈折率を有するためである(この光吸収層、変形層、或いはレーザ光に対する光吸収機能と、レーザ光の照射によって溶融又は分解することなく変形を起す変形機能を併せ持つ記録層と、これらの隣接層との界面の反射係数が高められる)。
「表面記録、或いは高NAレンズによる記録に対応でき、高密度化が達成できる追記型光記録媒体」を提供できる理由は、本発明の記録媒体の構成、及び記録原理上、記録再生方向に制限がないためである(また記録再生方向が何れであっても、それに合わせた層構成が容易に実現できる)。
【0036】
本発明の実施の形態例は、図34〜図45に示す通りである。なお、図中の矢印は記録再生光の入射方向を示すものである。
図34は、基板上に光吸収層、変形層が順次積層された例である。
図35は、図34の追記型光記録媒体であって、変形層と、該変形層の光吸収層側と反対側の隣接層との界面が主反射界面である場合の記録例(変形例)を示すものであり、光吸収層の発熱によって変形層をレーザ光の入射方向に変形させる。
この時、変形層と光吸収層の界面には、変形層材料の体積膨張による屈折率低下部や空隙、変形層と光吸収層の剥離による空隙、或いは光吸収層の体積変化による空隙や屈折率低下部等が形成される。
なお、本発明では、空隙は屈折率低下部に相当すると考えることができる。
【0037】
図36は、図34の追記型光記録媒体であって、変形層と光吸収層との界面が主反射界面である場合の記録例(変形例)を示すものであり、光吸収層の発熱によって変形層をレーザ光の入射方向に変形させる。
この時、変形層の、光吸収層とは反対側の層(反対層)との界面に、変形層材料の体積膨張による屈折率低下部や空隙、変形層と反対層の剥離による空隙、或いは反対層の体積変化による空隙や屈折率低下部等が形成される。
【0038】
図37は、基板上に変形層、光吸収層が順次積層された例である。
図38は、図37の追記型光記録媒体であって、変形層と光吸収層との界面が主反射界面である場合の記録例(変形例)を示すものであり、光吸収層の発熱によって変形層をレーザ光の入射方向に変形させる。
この時、変形層と基板の界面には、変形層材料の体積膨張による屈折率低下部や空隙、変形層と基板の剥離による空隙、或いは基板の体積変化による空隙や屈折率低下部等が形成される。
なお、図38では、変形層の変形によって、変形層とは反対側の光吸収層の隣接層界面も変形するように描かれているが、この界面は変形しなくてもよい。
【0039】
図39は、図37の追記型光記録媒体であって、変形層と基板との界面が主反射界面である場合の記録例(変形例)を示すものであり、光吸収層の発熱によって変形層をレーザ光の入射方向に変形させる。
この時、変形層と光吸収層との界面に、変形層材料の体積膨張による屈折率低下部や空隙、変形層と光吸収層の剥離による空隙、或いは光吸収層の体積変化による空隙や屈折率低下部等が形成される。
【0040】
図40は、基板上に、レーザ光に対する光吸収機能と、レーザ光の照射によって溶融又は分解することなく変形を起す変形機能を併せ持つ記録層が積層された例である。
図41は、図40の追記型光記録媒体であって、記録層と、該記録層の基板側と反対側の隣接層との界面が主反射界面である場合の記録例(変形例)を示すものであり、記録層の発熱によって記録層自身をレーザ光の入射方向に変形させる。
この時、記録層と基板の界面には、記録層材料の体積膨張による屈折率低下部や空隙、記録層と基板の剥離による空隙、或いは基板の体積変化による空隙や屈折率低下部等が形成される。
【0041】
図42は、図40の追記型光記録媒体であって、記録層と基板との界面が主反射界面である場合の記録例(変形例)を示すものであり、記録層の発熱によって記録層自身をレーザ光の入射方向に変形させる。
この時、記録層の、基板とは反対側の層(反対層)との界面に、記録層材料の体積膨張による屈折率低下部や空隙、記録層と反対層の剥離による空隙、或いは反対層の体積変化による空隙や屈折率低下部等が形成される。
【0042】
図43は、基板上に有機材料層、レーザ光に対する光吸収機能と、レーザ光の照射によって溶融又は分解することなく変形を起す変形機能を併せ持つ記録層が順次積層された例である。
図44は、図43の追記型光記録媒体であって、記録層と、該記録層の有機材料層側と反対側の隣接層との界面が主反射界面である場合の記録例(変形例)を示すものであり、記録層の発熱によって記録層をレーザ光の入射方向に変形させる。
この時、記録層と有機材料層の界面には、記録層材料の体積膨張による屈折率低下部や空隙、記録層と有機材料層の剥離による空隙、或いは有機材料層の体積変化による空隙や屈折率低下部等が形成される。
【0043】
図45は、図43の追記型光記録媒体であって、記録層と有機材料層との界面が主反射界面である場合の記録例(変形例)を示すものであり、記録層の発熱によって記録層をレーザ光の入射方向に変形させる。
この時、記録層の、有機材料層とは反対側の層(反対層)との界面に、記録層材料の体積膨張による屈折率低下部や空隙、記録層と反対層の剥離による空隙、或いは反対層の体積変化による空隙や屈折率低下部等が形成される。
なお、図44〜図45では、記録層の変形が生じた部分の有機材料層は光学定数変化を起していてもよい。
以上の図34〜図45では、本発明が有効となる最小限の層構成例を挙げたものであり、実際には、図34〜図45の層構成に加えて、下引層、上引層、保護層、接着層、カバー層等が設けられていてもよい。
【0044】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、図1(a)〜図8(a)及び図26(a)〜図31(a)中の、Unrecは未記録時の再生信号(RFレベル)、Topはマーク列を記録した時の最大再生信号レベル(即ちスペース部)、Bottomはマーク列を記録した時の最小再生信号レベル、MAは(Top−Bottom)/Topで計算される変調度を示す。
◎まず、参考例1〜8により、従来の記録再生方法では、変形による記録原理を主とする光記録媒体に対し、ランダムパターンを記録再生できない可能性が高いことを示す。
【0045】
参考例1
溝深さ55nmの案内溝を有するポリカーボネート基板上に、厚さ10nmのSiC(光吸収層)を設けた光記録媒体を作製した。
この光記録媒体に対して、パルステック工業製の光ディスク評価装置、DDU−1000(波長:405nm、NA:0.65)を用いて、基板側から5.0mWのレーザ光を照射して、グルーブ部(入射レーザ光側から見て、手前側にある溝位置)に、記録周波数65.4MHz、記録線速度6.0m/secで3T〜14Tマークをそれぞれ単独で記録した。
この時、再生信号(RFレベル)の記録マーク長(Mark Length)依存性を測定した結果を図1(a)に示す。
図1(a)の結果から、記録マーク長によらず、High to Low記録が行えている可能性があることが確認できる。
また、図1(b)には、3Tマークを連続して記録した場合の再生信号、4Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを、図1(c)には、6Tマークを連続して記録した場合の再生信号、8Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを、図1(d)には、3Tマークを連続して記録した場合の再生信号、14Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを示す。
これらの結果から、3T、4T、6T、8T、14Tとも、マーク長記録が可能な再生信号波形を示すことが分る。
【0046】
参考例2
記録パワーを6.0mWとした点以外は参考例1と全く同様の実験を行った。
再生信号(RFレベル)の記録マーク長(Mark Length)依存性を測定した結果を図2(a)に示す。
図2(a)の結果から、記録マーク長によって記録極性が変化、即ち、短マークではHigh to Low記録であるが、長マークではHigh to Low記録とLow to High記録が混在したような信号が発生し、マーク長記録が困難となることが分る。
また、図2(b)には、3Tマークを連続して記録した場合の再生信号、4Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを、図2(c)には、6Tマークを連続して記録した場合の再生信号、8Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを、図2(d)には、3Tマークを連続して記録した場合の再生信号、14Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを示す。
これらの結果から、3T、4Tは、マーク長記録が可能な再生信号波形を示すが、6T、8T、14Tはマーク中央部のRFレベルが大きく上昇した再生信号波形を示し〔6T、8Tでは、再生信号の周期が本来の再生信号の倍に見える。これは図1(c)と比べるとよく分る〕、マーク長記録が困難となることが分る。
【0047】
参考例3
6.0mWのレーザ光を照射し、ランド部(入射レーザ光側から見て奥側にある溝位置)に記録した点以外は参考例1と全く同様の実験を行った。
再生信号(RFレベル)の記録マーク長(Mark Length)依存性を測定した結果を図3(a)に示す。
図3(a)の結果から、記録マーク長によって記録極性が変化すること、即ち、短マークではHigh to Low記録であるが、長マークではHigh to Low記録と、僅かにLow to High記録が混在したような信号が発生する傾向が見られ、マーク長記録が困難となる可能性があることが分る。
また、図3(b)には、3Tマークを連続して記録した場合の再生信号、4Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを、図3(c)には、6Tマークを連続して記録した場合の再生信号、8Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを、図3(d)には、3Tマークを連続して記録した場合の再生信号、14Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを示す。
これらの結果から、3T、4T、6T、8Tは、マーク長記録が可能な再生信号波形を示すが、14Tはマーク中央部のRFレベルが大きく上昇した再生信号波形を示し、マーク長記録が困難となることが分る。
【0048】
参考例4
7.0mWのレーザ光を照射し、ランド部(入射レーザ光側から見て、奥側にある溝位置)に記録した点以外は参考例1と全く同様の実験を行った。
再生信号(RFレベル)の記録マーク長(Mark Length)依存性を測定した結果を図4(a)に示す。
図4(a)の結果から、記録マーク長によって記録極性が変化、即ち、短マークではHigh to Low記録であるが、長マークではHigh to Low記録とLow to High記録が混在したような信号が発生し、マーク長記録が困難となることが分る。
また、図4(b)には、3Tマークを連続して記録した場合の再生信号、4Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを、図4(c)には、6Tマークを連続して記録した場合の再生信号、8Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを、図4(d)には、3Tマークを連続して記録した場合の再生信号、14Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを示す。
これらの結果から、3T、4Tは、マーク長記録が可能な再生信号波形を示すが、6T、8T、14Tはマーク中央部のRFレベルが大きく上昇した再生信号波形を示し〔6Tでは、再生信号の周期が本来の再生信号の倍に見える。これは図1(c)と比べるとよく分る〕、マーク長記録が困難となることが分る。
【0049】
参考例5
溝深さ55nmの案内溝を有するポリカーボネート基板上に、厚さ20nmのSi(光吸収層)を設けた光記録媒体を作製した。
この光記録媒体に対して、パルステック工業製の光ディスク評価装置、DDU−1000(波長:405nm、NA:0.65)を用いて、基板側から5.0mWのレーザ光を照射して、グルーブ部(入射レーザ光側から見て、手前側にある溝位置)に、記録周波数65.4MHz、記録線速度6.0m/secで3T〜14Tマークをそれぞれ単独で記録した。
この時、再生信号(RFレベル)の記録マーク長(Mark Length)依存性を測定した結果を図5(a)に示す。
また、図5(b)には、3Tマークを連続して記録した場合の再生信号、4Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを、図5(c)には、6Tマークを連続して記録した場合の再生信号、8Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを、図5(d)には、3Tマークを連続して記録した場合の再生信号、14Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを示す。
これらの結果から、3Tマークを除いて、記録マーク長によらず、Low to High記録となり、従来との極性の互換性がなくなると共に、有機材料層の複素屈折率変化でHigh to Low記録となる記録原理(例えば吸収係数の増加)と併用できないことが確認できる。
【0050】
参考例6
記録パワーを6.0mWとした点以外は参考例5と全く同様の実験を行った。
再生信号(RFレベル)の記録マーク長(Mark Length)依存性を測定した結果を図6(a)に示す。
また、図6(b)には、3Tマークを連続して記録した場合の再生信号、4Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを、図6(c)には、6Tマークを連続して記録した場合の再生信号、8Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを、図6(d)には、3Tマークを連続して記録した場合の再生信号、14Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを示す。
これらの結果から、3Tマークを除いて、記録マーク長によらず、Low to High記録となり、従来との極性の互換性がなくなると共に、有機材料層の複素屈折率変化でHigh to Low記録となる記録原理(例えば吸収係数の増加)と併用できないことが確認できる。
【0051】
参考例7
5.0mWのレーザ光を照射し、ランド部(入射レーザ光側から見て、奥側にある溝位置)に記録した点以外は参考例5と全く同様の実験を行った。
再生信号(RFレベル)の記録マーク長(Mark Length)依存性を測定した結果を図7(a)に示す。
また、図7(b)には、3Tマークを連続して記録した場合の再生信号、4Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを、図7(c)には、6Tマークを連続して記録した場合の再生信号、8Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを、図7(d)には、3Tマークを連続して記録した場合の再生信号、14Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを示す。
これらの結果から、3Tマークを除いて、記録マーク長によらず、Low to High記録となり、従来との極性の互換性がなくなると共に、有機材料層の複素屈折率変化でHigh to Low記録となる記録原理(例えば吸収係数の増加)と併用できないことが確認できる。
【0052】
参考例8
6.0mWのレーザ光を照射し、ランド部(入射レーザ光側から見て、奥側にある溝位置)に記録した点以外は参考例5と全く同様の実験を行った。
再生信号(RFレベル)の記録マーク長(Mark Length)依存性を測定した結果を図8(a)に示す。
また、図8(b)には、3Tマークを連続して記録した場合の再生信号、4Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを、図8(c)には、6Tマークを連続して記録した場合の再生信号、8Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを、図8(d)には、3Tマークを連続して記録した場合の再生信号、14Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを示す。
これらの結果から、3Tマークを除いて、記録マーク長によらず、Low to High記録となり、従来との極性の互換性がなくなると共に、有機材料層の複素屈折率変化でHigh to Low記録となる記録原理(例えば吸収係数の増加)と併用できないことが確認できる。
【0053】
以上、参考例1〜8の結果から、基板上に光吸収層を設けたような単純層構成で、従来のように基板側から記録再生する方式では、マーク長による記録再生が困難である場合が多く、また記録極性がLow to High化する場合が多いことが確かめられた。
【0054】
◎次に、実施例1において、基板上に光吸収層を設けたような単純層構成であっても、マーク長による記録再生が可能であり、記録極性がHigh to Lowとなる条件を検討する。
【0055】
実施例1
基板/光吸収層Si(厚さ20nm)という層構成で、約3T(0.7λ)と約8T(2.0λ)のマーク長を有する記録マーク(但し、3Tマークの幅は0.7λ、8Tマークの幅は0.8λ、マークの高さ方向の大きさは0.125λとした)を、次に示す記録位置、記録マーク変形方向、再生方向の条件を変えて再生した場合に、どのような再生信号が得られるかについて計算した。
Figure 0004313048
計算上、ここでは、Pitとはレーザ光の入射方向とは逆に変形した記録マークを、Bumpとはレーザ光の入射方向に変形した記録マークを指す(図9参照)。なお、基板溝形状は(A、B、C、D、ζ)=(0.2λ、0.8λ、1.0λ、1.8525λ、0.1375λ)とした。
【0056】
計算の結果は図10〜図17に示す通りであり、図10はランド部にPitが形成された記録部を基板側から再生した場合の結果、図11はランド部にBumpが形成された記録部を基板側から再生した場合の結果、図12はグルーブ部にPitが形成された記録部を基板側から再生した場合の結果、図13はグルーブ部にBumpが形成された記録部を基板側から再生した場合の結果、図14はランド部にPitが形成された記録部をSi側から再生した場合の結果、図15はランド部にBumpが形成された記録部をSi側から再生した場合の結果、図16はグルーブ部にPitが形成された記録部をSi側から再生した場合の結果、図17はグルーブ部にBumpが形成された記録部をSi側から再生した場合の結果である。
なお、図10〜図17の横軸は再生レーザ光の位置、縦軸は再生信号のレベルを示す(再生反射光は4分割素子で検出するが、縦軸はその4分割素子の和信号[Sum Signal]を示す)。
【0057】
この結果から、一般的には、基板からの記録ではPitが形成され、空気層側からの記録ではBumpが形成されると考えられるので、基板からの記録再生でのBump条件(図11、図13)、及び空気層側からの記録再生でのPit条件(図14、図16)での計算結果を一般的でないとして除外して考えると、基板側からの記録再生では、記録位置によって記録極性が変わるが、空気層側からの記録再生では記録極性が一定(High to Low)であることが分る。同様に、基板からの記録再生でのBump、及び空気層側からの記録再生でのPit条件での計算結果を非一般的であるとして除外して考えると、基板側からの記録再生では、ランド部への記録において微分波形化が起こることが分った(図10参照)。
【0058】
ところで、この実施例1の計算結果は、例えば図5〜図8の現象(実際の測定では、ランド部のみならず、グルーブ部でもLow to High化と微分波形化が起きている現象)を説明できない。
そこで鋭意検討の結果、記録マークの中央部で、RFレベルが上昇するような再生信号波形が観測されることは、SiCやSiの光吸収層の内部に発生する空隙等の屈折率低下部、或いはSiCやSiの光吸収層と基板の間に発生する空隙、或いは基板の膨張部に発生する空隙等の屈折率低下部に原因があると考えた。
また、Low to High記録となる場合であっても、短マークはHigh to Low記録となる場合が多いことから、短マークでは、干渉効果よりも回折効果の影響が大きいと考えられる。
【0059】
従って、反射光の大部分を、変形した界面(主反射界面)で反射された反射光とし、主反射界面よりも入射レーザ光に対して手前側に空隙等の屈折率低下部を位置させないような構成にすれば、変形部の干渉効果の影響を小さくして、変形による回折効果の影響を高めることができると考えた。
そうすれば、長マークでも、変形による回折効果によって反射光の大部分が作られるため、常にマーク長記録が可能で、High to Low記録が行えると考えた。
上記のような考えを実現するために、本発明者は、例えば、基板上に光吸収層を設けた光記録媒体であって、基板と光吸収層の間に空隙が発生する可能性のある光記録媒体に対し、光吸収層側から再生することが非常に有効であることを見出した。
【0060】
◎そこで次に、基板上に光吸収層を設けた光記録媒体であって、基板と光吸収層の間に空隙が発生する可能性のある光記録媒体に対し、光吸収層側から再生することによって、マーク長記録が可能で、High to Low記録が行える可能性があることをシミュレーションによって明らかにする。
【0061】
実施例2
基板/光吸収層SiC(厚さ10nm)、又は基板/光吸収層Si(厚さ20nm)という層構成で、約8T(2.0λ)のマーク長を有する記録マーク(但し、マークの幅は0.8525λ、マークの高さ方向の大きさは0.30λとした)を、次に示す記録位置、空隙の有り無し、再生方向の条件を変えて再生した場合に、どのような再生信号が得られるかについて計算した。
Figure 0004313048
基板溝形状は、基板側からの再生の場合(A、B、C、D、ζ)=(0.2λ、1.0525λ、1.2525λ、1.8525λ、0.1375λ)とし、反基板側からの再生の場合(A、B、C、D、ζ)=(0.2λ、0.8λ、1.0λ、1.8525λ、0.1375λ)とした。
【0062】
計算の結果は図18〜図25に示す通りで、図18〜図21は基板上にSiを設けた場合、図22〜図25は基板上にSiCを設けた場合の結果である。
図18はランド部にPitが形成された記録部を基板側から再生した場合の結果、図19はグルーブ部にPitが形成された記録部を基板側から再生した場合の結果、図20はランド部にBumpが形成された記録部をSi側から再生した場合の結果、図21はグルーブ部にBumpが形成された記録部をSi側から再生した場合の結果、図22はランド部にPitが形成された記録部を基板側から再生した場合の結果、図23はグルーブ部にPitが形成された記録部を基板側から再生した場合の結果、図24はランド部にBumpが形成された記録部をSiC側から再生した場合の結果、図25はグルーブ部にBumpが形成された記録部をSiC側から再生した場合の結果である。
なお、図18〜図25の横軸は再生レーザ光の位置、縦軸は再生信号のレベルを示す(再生反射光は4分割素子で検出するが、縦軸はその4分割素子の和信号[Sum Signal]を示す)。
【0063】
以上のシミュレーション結果から、実際に観測された再生信号が発生するためには、SiCやSiの光吸収層と基板の間に空隙(屈折率低下部)が発生する必要があることが分った。即ち、実際の記録において、SiCやSiの光吸収層と基板の間に空隙(屈折率低下部)が発生する可能性があることが裏付けられた。
なお、本実施例2では、光吸収層と基板の間に空隙が発生する(剥離する)として計算を行ったが、光吸収層の内部に空隙等の屈折率低下部が発生する場合、或いは基板中に空隙等の屈折率低下部が発生する場合も同様な計算結果となる。従って、実際の記録において、SiCやSiからなる光吸収層と基板の間、光吸収層中、或いは基板中に、空隙(屈折率低下部)が発生する可能性があることが裏付けられた。
また、基板側からの再生では(図18、図19、図22、図23)、空隙の有り無しで再生信号波形が大きく変わることが分り、空隙が存在すると記録極性のLow to High化と微分波形化が起き易いが、光吸収層側からの再生では(図20、図21、図24、図25)、空隙の有り無しで再生信号波形は大きく変わらず、微分波形化がなく、記録極性がHigh to Lowの信号が得られることが分った。
【0064】
◎上記シミュレーション結果を基に、本発明の光記録媒体によれば、マーク長記録が可能で、High to Low記録が行えることを、次の実施例3〜8により実際に証明する。
【0065】
実施例3
溝深さ55nmの案内溝を有するポリカーボネート基板上に、厚さ10nmのSiCからなる光吸収層(変形機能を併せ持つ記録層)を設けた光記録媒体を作製した。
この光記録媒体に対して、パルステック工業製の光ディスク評価装置、DDU−1000(波長:405nm、NA:0.65)を用いて、SiC側から8.0mWのレーザ光を照射し、ランド部(入射レーザ光側から見て、手前側にある溝位置)に、記録周波数65.4MHz、記録線速度6.0m/secで3T〜14Tマークをそれぞれ単独で記録した。
この時、再生信号(RFレベル)の記録マーク長(Mark Length)依存性を測定した結果を図26(a)に示す。
図26(a)の結果から、記録マーク長によらず、High to Low記録が行えている可能性があることが確認できる。
また、図26(b)には、3Tマークを連続して記録した場合の再生信号、4Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを、図26(c)には、6Tマークを連続して記録した場合の再生信号、8Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを、図26(d)には、3Tマークを連続して記録した場合の再生信号、14Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを示す。
この結果から、3T、4T、6T、8T、14Tとも、マーク長記録が可能な再生信号波形を示すことが分る。
【0066】
実施例4
記録パワーを9.0mWとした点以外は実施例3と全く同様の実験を行った。
再生信号(RFレベル)の記録マーク長(Mark Length)依存性を測定した結果を図27(a)に示す。
図27(a)の結果から、記録マーク長によらず、High to Low記録が行えている可能性があることが確認できる。
また、図27(b)には、3Tマークを連続して記録した場合の再生信号、4Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを、図27(c)には、6Tマークを連続して記録した場合の再生信号、8Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを、図27(d)には、3Tマークを連続して記録した場合の再生信号、14Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを示す。
この結果から、3T、4T、6T、8T、14Tとも、マーク長記録が可能な再生信号波形を示すことが分る。
【0067】
実施例5
7.0mWのレーザ光を照射して、グルーブ部(入射レーザ光側から見て、奥側にある溝位置)に記録した点以外は実施例3と全く同様の実験を行った。
再生信号(RFレベル)の記録マーク長(Mark Length)依存性を測定した結果を図28(a)に示す。
図28(a)の結果から、記録マーク長によらず、High to Low記録が行えている可能性があることが確認できる。
また、図28(b)には、3Tマークを連続して記録した場合の再生信号、4Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを、図28(c)には、6Tマークを連続して記録した場合の再生信号、8Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを、図28(d)には、3Tマークを連続して記録した場合の再生信号、14Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを示す。
この結果から、3T、4T、6T、8T、14Tとも、マーク長記録が可能な再生信号波形を示すことが分る。
【0068】
実施例6
8.0mWのレーザ光を照射して、グルーブ部(入射レーザ光側から見て、奥側にある溝位置)に記録した点以外は実施例3と全く同様の実験を行った。
再生信号(RFレベル)の記録マーク長(Mark Length)依存性を測定した結果を図29(a)に示す。
図29(a)の結果から、記録マーク長によらず、High to Low記録が行えている可能性があることが確認できる。
また、図29(d)には、3Tマークを連続して記録した場合の再生信号、14Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを示す。
この結果から、最短及び最長マークとも、マーク長記録が可能な再生信号波形を示すことが分る。
【0069】
実施例7
溝深さ55nmの案内溝を有するポリカーボネート基板上に、厚さ20nmのSi(光吸収層、即ち変形機能を併せ持つ記録層)を設けた光記録媒体を作製した。
この光記録媒体に対して、パルステック工業製の光ディスク評価装置、DDU−1000(波長:405nm、NA:0.65)を用いて、Si側から6.0mWのレーザ光を照射し、ランド部(入射レーザ光側から見て、手前側にある溝位置)に、記録周波数65.4MHz、記録線速度6.0m/secで3T〜14Tマークをそれぞれ単独で記録した。
この時、再生信号(RFレベル)の記録マーク長(Mark Length)依存性を測定した結果を図30(a)に示す。
図30(a)の結果から、記録マーク長によらず、High to Low記録が行えている可能性があることが確認できる。
また、図30(b)には、3Tマークを連続して記録した場合の再生信号、4Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを、図30(c)には、6Tマークを連続して記録した場合の再生信号、8Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを、図30(d)には、3Tマークを連続して記録した場合の再生信号、14Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを示す。
この結果から、3T、4T、6T、8T、14Tとも、マーク長記録が可能な再生信号波形を示すことが分る。
【0070】
実施例8
記録パワーを7.0mWとした点以外は実施例7と全く同様の実験を行った。
再生信号(RFレベル)の記録マーク長(Mark Length)依存性を測定した結果を図31(a)に示す。
図31(a)の結果から、記録マーク長によらず、High to Low記録が行えている可能性があることが確認できる。
また、図31(b)には、3Tマークを連続して記録した場合の再生信号、4Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを、図31(c)には、6Tマークを連続して記録した場合の再生信号、8Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを、図31(d)には、3Tマークを連続して記録した場合の再生信号、14Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを示す。
この結果から、3T、4T、6T、8T、14Tとも、マーク長記録が可能な再生信号波形を示すことが分る。
【0071】
以上、実施例3〜実施例8に示したように、基板上に光吸収層を設けただけの単純な光記録媒体であって、基板と光吸収層の間、或いは光吸収層自身や基板の内部に空隙が発生する可能性のある光記録媒体に対し、光吸収層側から再生することによって、マーク長記録が可能で、High to Low記録が行える可能性があることが実験によって証明された。
【0072】
◎最後に、実施例9〜10により本発明の追記型光記録媒体の特性を明確にする。
【0073】
実施例9
溝深さ55nmの案内溝を有するポリカーボネート基板上に、下記〔化1〕と〔化2〕のCo金属錯体からなる色素層を厚さ約60nm、更にその上にSiC(光吸収機能と変形機能を併せ持つ記録層)を厚さ10nm設けた光記録媒体を作製した。
この光記録媒体に対して、パルステック工業製の光ディスク評価装置、DDU−1000(波長:405nm、NA:0.65)を用いて、SiC側から9.0mWのレーザ光を照射して、ランド部(入射レーザ光側から見て、手前側にある溝位置)に、記録周波数65.4MHz、記録線速度6.0m/secで8−16変調の信号を記録した。
その結果、変調度が約70%で、記録極性がHigh to Lowであり、図32に示すような、非常に明瞭なアイパターンが得られ、ジッタ(σ/Tw)は8.5%であった。
【0074】
【化1】
Figure 0004313048
【化2】
Figure 0004313048
【0075】
実施例10
溝深さ55nmの案内溝を有するポリカーボネート基板上に、上記〔化1〕で示される色素層を厚さ約40nm、更にその上にSiC(光吸収機能と変形機能を併せ持つ記録層)を厚さ10nm設けた光記録媒体を作製した。
この光記録媒体に対して、パルステック工業製の光ディスク評価装置、DDU−1000(波長:405nm、NA:0.65)を用いて、SiC側からレーザ光を照射して、ランド部(入射レーザ光側から見て、手前側にある溝位置)に、記録周波数65.4MHz、記録線速度6.0m/secで8−16変調の信号を記録パワーを変化させて記録した。
その結果、記録極性がHigh to Lowであり、図33に示すような良好なジッタと変調度が得られた。
【0076】
【発明の効果】
本発明1〜によれば、次のような特性を有する追記型光記録媒体を提供できる。
・単純層構成で、安価に製造可能である。
・記録再生波長に大きな制限がなく、記録特性の波長依存性が少ない。
・比較的高い反射率が得られる。
・変形を用いて記録再生を行う追記型光記録媒体であるが、記録マーク長や記録パワーによって記録極性が変化せず一定である。
・変形を用いて記録再生を行う追記型光記録媒体であるが、記録マーク部の再生波形が微分形状を示すことがない。
・変形を用いて記録再生を行う追記型光記録媒体であるが、記録極性がHigh to Low記録となり易い。
・表面記録、或いは高NAレンズによる記録に対応でき高密度化が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例1の記録結果を示す図。
(a) 記録マーク長と再生信号(RFレベル)及び変調度の関係を示す。
(b) 3Tマーク、4Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び、未記録時の再生信号レベルを示す。
(c) 6Tマーク、8Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び、未記録時の再生信号レベルを示す。
(d) 3Tマーク、14Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを示す。
【図2】参考例2の記録結果を示す図。
(a) 記録マーク長と再生信号(RFレベル)及び変調度の関係を示す。
(b) 3Tマーク、4Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び、未記録時の再生信号レベルを示す。
(c) 6Tマーク、8Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び、未記録時の再生信号レベルを示す。
(d) 3Tマーク、14Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを示す。
【図3】参考例3の記録結果を示す図。
(a) 記録マーク長と再生信号(RFレベル)及び変調度の関係を示す。
(b) 3Tマーク、4Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び、未記録時の再生信号レベルを示す。
(c) 6Tマーク、8Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び、未記録時の再生信号レベルを示す。
(d) 3Tマーク、14Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを示す。
【図4】参考例4の記録結果を示す図。
(a) 記録マーク長と再生信号(RFレベル)及び変調度の関係を示す。
(b) 3Tマーク、4Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び、未記録時の再生信号レベルを示す。
(c) 6Tマーク、8Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び、未記録時の再生信号レベルを示す。
(d) 3Tマーク、14Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを示す。
【図5】参考例5の記録結果を示す図。
(a) 記録マーク長と再生信号(RFレベル)及び変調度の関係を示す。
(b) 3Tマーク、4Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び、未記録時の再生信号レベルを示す。
(c) 6Tマーク、8Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び、未記録時の再生信号レベルを示す。
(d) 3Tマーク、14Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを示す。
【図6】参考例6の記録結果を示す図。
(a) 記録マーク長と再生信号(RFレベル)及び変調度の関係を示す。
(b) 3Tマーク、4Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び、未記録時の再生信号レベルを示す。
(c) 6Tマーク、8Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び、未記録時の再生信号レベルを示す。
(d) 3Tマーク、14Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを示す。
【図7】参考例7の記録結果を示す図。
(a) 記録マーク長と再生信号(RFレベル)及び変調度の関係を示す。
(b) 3Tマーク、4Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び、未記録時の再生信号レベルを示す。
(c) 6Tマーク、8Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び、未記録時の再生信号レベルを示す。
(d) 3Tマーク、14Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを示す。
【図8】参考例8の記録結果を示す図。
(a) 記録マーク長と再生信号(RFレベル)及び変調度の関係を示す。
(b) 3Tマーク、4Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び、未記録時の再生信号レベルを示す。
(c) 6Tマーク、8Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び、未記録時の再生信号レベルを示す。
(d) 3Tマーク、14Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを示す。
【図9】溝パラメータの説明図。
(a) 変形した記録マークを説明するための図(From Sub)。
(b) 変形した記録マークを説明するための図(From Air)。
【図10】実施例1の、ランド部にPitが形成された記録部を基板側から再生した場合の計算結果を示す図。
【図11】実施例1の、ランド部にBumpが形成された記録部を基板側から再生した場合の計算結果を示す図。
【図12】実施例1の、グルーブ部にPitが形成された記録部を基板側から再生した場合の計算結果を示す図。
【図13】実施例1の、グルーブ部にBumpが形成された記録部を基板側から再生した場合の計算結果を示す図。
【図14】実施例1の、ランド部にPitが形成された記録部をSi側から再生した場合の計算結果を示す図。
【図15】実施例1の、ランド部にBumpが形成された記録部をSi側から再生した場合の計算結果を示す図。
【図16】実施例1の、グルーブ部にPitが形成された記録部をSi側から再生した場合の計算結果を示す図。
【図17】実施例1の、グルーブ部にBumpが形成された記録部をSi側から再生した場合の計算結果を示す図。
【図18】実施例2の、基板上にSiを設けた場合であって、ランド部にPitが形成された記録部を基板側から再生した場合の計算結果を示す図。
【図19】実施例2の、基板上にSiを設けた場合であって、グルーブ部にPitが形成された記録部を基板側から再生した場合の計算結果を示す図。
【図20】実施例2の、基板上にSiを設けた場合であって、ランド部にBumpが形成された記録部をSi側から再生した場合の計算結果を示す図。
【図21】実施例2の、基板上にSiを設けた場合であって、グルーブ部にBumpが形成された記録部をSi側から再生した場合の計算結果を示す図。
【図22】実施例2の、基板上にSiCを設けた場合であって、ランド部にPitが形成された記録部を基板側から再生した場合の計算結果を示す図。
【図23】実施例2の、基板上にSiCを設けた場合であって、グルーブ部にPitが形成された記録部を基板側から再生した場合の計算結果を示す図。
【図24】実施例2の、基板上にSiCを設けた場合であって、ランド部にBumpが形成された記録部をSiC側から再生した場合の計算結果を示す図。
【図25】実施例2の、基板上にSiCを設けた場合であって、グルーブ部にBumpが形成された記録部をSiC側から再生した場合の計算結果を示す図。
【図26】実施例3の記録結果を示す図。
(a) 記録マーク長と再生信号(RFレベル)及び変調度の関係を示す。
(b) 3Tマーク、4Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び、未記録時の再生信号レベルを示す。
(c) 6Tマーク、8Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び、未記録時の再生信号レベルを示す。
(d) 3Tマーク、14Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを示す。
【図27】実施例4の記録結果を示す図。
(a) 記録マーク長と再生信号(RFレベル)及び変調度の関係を示す。
(b) 3Tマーク、4Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び、未記録時の再生信号レベルを示す。
(c) 6Tマーク、8Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び、未記録時の再生信号レベルを示す。
(d) 3Tマーク、14Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを示す。
【図28】実施例5の記録結果を示す図。
(a) 記録マーク長と再生信号(RFレベル)及び変調度の関係を示す。
(b) 3Tマーク、4Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び、未記録時の再生信号レベルを示す。
(c) 6Tマーク、8Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び、未記録時の再生信号レベルを示す。
(d) 3Tマーク、14Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを示す。
【図29】実施例6の記録結果を示す図。
(a) 記録マーク長と再生信号(RFレベル)及び変調度の関係を示す。
(d) 3Tマーク、14Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを示す。
【図30】実施例7の記録結果を示す図。
(a) 記録マーク長と再生信号(RFレベル)及び変調度の関係を示す。
(b) 3Tマーク、4Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び、未記録時の再生信号レベルを示す。
(c) 6Tマーク、8Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び、未記録時の再生信号レベルを示す。
(d) 3Tマーク、14Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを示す。
【図31】実施例8の記録結果を示す図。
(a) 記録マーク長と再生信号(RFレベル)及び変調度の関係を示す。
(b) 3Tマーク、4Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び、未記録時の再生信号レベルを示す。
(c) 6Tマーク、8Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び、未記録時の再生信号レベルを示す。
(d) 3Tマーク、14Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを示す。
【図32】実施例9のアイパターンを示す図。
【図33】実施例10のジッタと変調度を示す図。
【図34】基板上に光吸収層と変形層を有する本発明の実施の形態例を示す図。
【図35】図34の追記型光記録媒体であって、変形層と、該変形層の光吸収層側と反対側の隣接層との界面が主反射界面である場合の記録例(変形例)を示す図。
【図36】図34の追記型光記録媒体であって、変形層と光吸収層との界面が主反射界面である場合の記録例(変形例)を示す図。
【図37】基板上に変形層と光吸収層を有する本発明の実施の形態例を示す図。
【図38】図37の追記型光記録媒体であって、変形層と光吸収層との界面が主反射界面である場合の記録例(変形例)を示す図。
【図39】図37の追記型光記録媒体であって、変形層と基板との界面が主反射界面である場合の記録例(変形例)を示す図。
【図40】基板上に記録層を有する本発明の実施の形態例を示す図。
【図41】図40の追記型光記録媒体であって、記録層と、該記録層の基板側と反対側の隣接層との界面が主反射界面である場合の記録例(変形例)を示す図。
【図42】図40の追記型光記録媒体であって、記録層と基板との界面が主反射界面である場合の記録例(変形例)を示す図。
【図43】基板上に有機材料層と記録層を有する本発明の実施の形態例を示す図。
【図44】図40の追記型光記録媒体であって、記録層と、該記録層の有機材料層と反対側の隣接層との界面が主反射界面である場合の記録例(変形例)を示す図。
【図45】図40の追記型光記録媒体であって、記録層と有機材料層との界面が主反射界面である場合の記録例(変形例)を示す図。
【図46】従来のディスクの層構成を示す図。
【図47】マーク長記録の記録マークを再生した場合の再生信号の波形を説明する図。
(a) 一般的な場合
(b) 記録マークの前後エッジ近傍で変極点を持つ微分波形
(c) 記録マークの中心近傍で変極点を持つ微分波形
【図48】基板上に有機材料層、Si層が積層された光記録媒体であって、記録再生が基板側から行われる場合の、ポインティングベクトルの計算結果を示す図。
【図49】基板上に有機材料層、Si層が積層された光記録媒体であって、記録再生がSi層側から行われる場合の、ポインティングベクトルの計算結果を示す図。
【符号の説明】
Mark Length マーク長
T 基準クロック
RF Lebel(V) RF(再生信号)レベル(ボルト)
Modulated amplitude 変調度
Unrec 未記録時の再生信号(RF)レベル
Top マーク列を記録した時の最大再生信号レベル(即ちスペース部)
Bottom マーク列を記録した時の最小再生信号レベル(即ちマーク部)
MA (Top−Bottom)/Topで計算される変調度
Time0.5(μs/div) 時間(1メモリ0.5マイクロ秒)
Sum Signal 和信号(再生信号)
Beam Position(μm) ビーム位置(マーク中心からのビーム
中心のズレ量(マイクロメートル)
A 基準点から隣接するランド又はグルーブの近い方の端部までの幅
B 基準点から隣接するランド又はグルーブの遠い方の端部までの幅
C 基準点から次のグルーブ又はランドの近い方の端部までの幅
D 基準点から次のグルーブ又はランドの遠い方の端部までの幅
ζ グルーブ底部からランド上面までの高さ
Pit レーザ光の入射方向とは逆に変形した記録マーク
Bump レーザ光の入射方向に変形した記録マーク
From Sub 基板側から
From Air 反基板側から
σ/Tw ジッタ
Z position 層方向の位置(有機材料層とSi層の厚さを示す)
Y ポインティングベクトル(ポインティングベクトルの時間平均値)

Claims (5)

  1. 少なくとも記録層を有し、該記録層は、レーザ光に対する光吸収機能と、レーザ光の照射によって溶融又は分解することなく変形を起す変形機能を併せ持つものであり、該記録層と、該記録層に接するレーザ光入射側の隣接層との界面を主反射界面とし、レーザ光の照射による記録層の発熱によって、記録層自身がレーザ光の入射方向に変形することで記録マークが形成されると共に、記録極性がHigh to Lowであることを特徴とする追記型光記録媒体。
  2. 少なくとも記録層を有し、該記録層は、レーザ光に対する光吸収機能と、レーザ光の照射によって溶融又は分解することなく変形を起す変形機能を併せ持つものであり、該記録層と、該記録層に接するレーザ光入射側の隣接層との界面を主反射界面とし、レーザ光の照射による記録層の発熱によって、記録層と、レーザ光の入射側から見て記録層の奥側に存在する層との界面近傍に、該奥側に存在する層を構成する材料の屈折率低下部、或いは空隙部を形成させ、記録層自身がレーザ光の入射方向に変形することで記録マークが形成されると共に、記録極性がHigh to Lowであることを特徴とする追記型光記録媒体。
  3. 少なくとも記録層を有し、該記録層は、レーザ光に対する光吸収機能と、レーザ光の照射によって溶融又は分解することなく変形を起す変形機能を併せ持つものであり、該記録層と、該記録層に接するレーザ光入射側の隣接層との界面を主反射界面とし、レーザ光の照射による記録層の発熱によって、記録層中に、記録層を構成する材料の屈折率低下部、或いは空隙部を形成させ、記録層自身がレーザ光の入射方向に変形することで記録マークが形成されると共に、記録極性がHigh to Lowであることを特徴とする追記型光記録媒体。
  4. 記録層がSi及び/又はGeを含有することを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の追記型光記録媒体。
  5. 波長350〜500nmの青色レーザ光により記録マークが形成できることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の追記型光記録媒体。
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