JP4065375B2 - モータ駆動装置及びモータ駆動方法 - Google Patents

モータ駆動装置及びモータ駆動方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4065375B2
JP4065375B2 JP2001354799A JP2001354799A JP4065375B2 JP 4065375 B2 JP4065375 B2 JP 4065375B2 JP 2001354799 A JP2001354799 A JP 2001354799A JP 2001354799 A JP2001354799 A JP 2001354799A JP 4065375 B2 JP4065375 B2 JP 4065375B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
voltage
value
motor
current
axis current
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001354799A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003164179A (ja
Inventor
吉朗 土山
貴史 福榮
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp, Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Panasonic Corp
Priority to JP2001354799A priority Critical patent/JP4065375B2/ja
Publication of JP2003164179A publication Critical patent/JP2003164179A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4065375B2 publication Critical patent/JP4065375B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、単相交流電源を入力として、モータ、特に永久磁石回転子を有する同期モータを可変速駆動する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
図8に従来の、単相交流電源を用いて冷凍空調機器の圧縮機などを可変速駆動する駆動装置の構成を示す。従来の駆動装置は、整流回路3を用いて商用電源1から入力した交流電圧を整流し、整流後の電圧を三相ブリッジ回路4により所望の周波数、電圧の交流電圧に変換することによりモータ2を可変速駆動する。特に、従来の駆動装置では、整流回路3による整流後の電圧脈動を低減するため、大きな静電容量の平滑コンデンサ16を設けており、これにより電圧脈動のほとんど無い直流に変換している。また、駆動装置には、入力力率を改善するためのチョークコイル18が接続されている。電流センサ5u、5v、5wはモータ2の可変速駆動制御、特に回転位置センサ無しで駆動を実現するためのものである。
【0003】
上記のように一般的に駆動装置において力率改善のためのチョークコイル18や電圧脈動低減のための平滑コンデンサ16が設けられているが、これらのデバイスは装置の大型化を招くという弊害がある。
【0004】
チョークコイル及び平滑コンデンサを小型化(小容量化)もしくは削除する方法が考案されている。例えば、高橋および芳賀による「PMモータの高速弱め界磁を用いたダイオード整流回路の高力率化」(電気学会研究会 SPC−00−64(IEA−00−39))、あるいは「IPMモータの弱め界磁を利用した高力率インバータ制御法」(平成13年電気学会全国大会 4−009)に開示された方法がある。
【0005】
これらの方法は、入力交流電圧の電圧が低い期間にのみ、モータに対し大きな弱め界磁制御を行なうものであり、チョークコイルを省略し平滑コンデンサも非常に少容量のものを用いることができる。なお、上記の文献及び以降の説明において、モータの動作の説明では、固定座標軸U、V、W以外に、永久磁石によるトルクを発生できる電流の回転座標軸をq軸と、それに対して90°進んだ回転座標軸をd軸とした回転座標軸を用いている。
【0006】
図9はq軸電流Iqを一定のままでd軸電流Idを増加していったときのモータの端子電圧Vaの変化を示した図である。同図に示すように、d軸電流Idが小さい範囲では、d軸電流Idの増加に伴ってモータの端子電圧Vaは小さくなっていく特性を有している。この特性を利用した制御では、回転位置センサにより得られた回転子の位相情報θに基いて電流、電圧をd―q軸上に変換して制御を行う。ここで、d軸、q軸電流Id、Iqの設定値Id*、Iq*は設定速度ω*と、現在の速度ωと、現在の直流部の電圧Vdcとから算出する。
【0007】
図10は、制御回路7bのトルク制御に関する回路ブロックの構成を示した図である。比較回路110は速度指令ω*と実際の速度ωとを比較する。ブロック158はその比較結果に基いて速度に対する補償演算を行う。乗算器159により補償演算結果に対して直流電圧Vdcの2乗が乗算され、q軸の電流指令Iq*が得られる。また、q軸電流はトルク特性と似た特性を有しているので、回転速度が略一定であれば図のようにq軸電流指令Iq*を与えることで、入力電力に合致したモータ出力を得るようになる。この結果は、入力力率がほぼ1になることも示している。一方、d軸電流Idは、ブロック151により、回転速度ωと、直流電圧Vdcと、q軸電流Iqと、モータに関する種々のパラメータ(Φ、Ld,Lq、R)とから以下の計算式で算出される。
【数1】
Figure 0004065375
上記の計算式は、下記の電圧方程式を解いて、さらに、抵抗Rによる影響と電流の微分による影響を省略して求めたIdをId*として得たものである。
【数2】
Figure 0004065375
Figure 0004065375
【0008】
このようにして得られたq軸電流とd軸電流の設定値Iq*、Id*を用いることにより、一定の回転速度のもとで、直流電圧に沿ったモータ端子電圧を発生させることができ、かつ、入力電圧の2乗に略比例したトルクが発生するので、入力力率もほぼ1にすることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように図10に示した構成では、モータの電圧方程式を電流の微分を省略した式を用いている。この省略した部分による電圧の誤差は、電源周期にて電流を変化する場合に電源電圧に対して無視できない大きさになるので、制御が不安定になる。そのため、モータの電圧方程式を高精度に解く方法も考えられるが、式が複雑であり実時間の演算には不適である。また、モータのパラメータは同じ値となるように設計されたものであってもバラツキがあり、また、温度などの使用環境によっても変化するので、やはり制御が不安定になる。このため、電源周期に追従でき、かつ、安定した弱め界磁制御を行う方法が必要である。
【0010】
また、図10で示した構成では、モータの端子電圧がその瞬時の電源電圧と等しくなるように制御されるが、この方法では、電源電圧が充分高いときには不都合を生じる。以下に図11を参照してこの不都合を説明する。
【0011】
図11(a)に示す直流部分の電圧Vdcは電源電圧の絶対値となり、その波形は正弦波の絶対値の波形である。回転数が一定であるとすると、入力力率がほぼ1であるためには、図11(b)に示すようにトルク波形は電力波形と同じである電力周波数の正弦波波形になる。しかしながら、直流電圧Vdcが充分高いところでは、モータの端子電圧はモータの誘起電圧とほぼ等しいはずであり、直流電圧Vdcは、これよりも高い電圧になっている。このため、端子電圧を逆に上昇させるべく、図11(c)に示すようにd軸電流をさらに増加させる必要があり、モータ2への電流が増加し、損失も増加するという問題がある。
【0012】
また、図11に示すように、d軸電流の増加が不適切の場合、直流電圧Vdcが低下してゼロになる付近ではモータ2が発電機として動作し、回生ブレーキがかかるため、安定したモータ駆動ができないという問題がある。
【0013】
本発明は上記の課題を解決するものであり、整流回路に大型コンデンサやチョークコイルを必要とせず、中間直流電圧が大きく低下する瞬間も回生ブレーキが動作することなく、効率よくモータを可変速駆動する方法を提供することを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るモータ駆動装置は、単相交流電圧を整流して中間直流電圧Vdcを得て、該中間直流電圧を任意の周波数と電圧の疑似三相交流電圧に変換し、該疑似三相交流電圧を用いてモータを駆動する駆動装置である。その駆動装置は、中間直流電圧Vdcに応じたモータのトルク電流に相当するq軸電流Iqと、q軸に直交する座標軸上のd軸電流Idとを用いてモータの電流制御を行ない、モータの回転数と負荷状態とから求められる基本進角値βを用いてd軸電流の設定値Id*の候補値Id1*を算出する手段と、単相交流電源の半周期前の時点で用いたd軸電流設定値を微少に増加させる修正手段と、q軸電流の設定値Iq*と、d軸電流の設定値の候補値Id1*と、モータパラメータと、現在の回転数とからモータの端子電圧の予想値Vaを算出する手段と、モータの端子電圧の予想値Vaと現在の中間直流電圧Vdcとを比較する比較手段と、その比較結果にしたがい、端子電圧の予想値Vaが現在の中間直流電圧Vdcよりも低い場合には、d軸電流の設定値の候補Id1*を選択し、端子電圧予想値Vaが中間直流電圧Vdcよりも高い場合には、修正手段からの出力を選択する選択手段とを備える。選択手段により選択された値が、d軸電流設定値Id*としてモータ電流制御に使用される。
これにより、入力電圧が充分高い瞬間には、効率のよい状態でモータ駆動を実現できるので、駆動効率の低下を招くことなく、高入力力率で可変速駆動することが可能になる。
【0015】
モータ駆動装置は、q軸電流の設定値Iq*を中間直流電圧値Vdcの二乗に比例するように設定する手段をさらに備えてもよい。これにより、入力力率が1となる入力電力波形と同等の出力になり、チョークコイルなどの入力力率改善手段が不要になる。
【0016】
または、モータ駆動装置は、q軸電流の設定値Iq*を中間直流電圧値Vdcに比例するように設定する手段をさらに備えてもよい。これにより、平均トルクに対する最大トルクの比率が低く抑えられ、高い力率のもとで、最大電流が抑えられる。
【0017】
モータ駆動装置は、q軸電流の設定値Iq*を中間直流電圧値Vdcの二乗に比例するように設定する第1の設定手段と、q軸電流の設定値Iq*を中間直流電圧値Vdcに比例するように設定する第2の設定手段と、モータ電流と負荷状態の関係に基いて第1の設定手段及び第2の設定手段のいずれかを選択する第2の選択手段とをさらに備えてもよい。
さらに、第2の選択手段は、回転数が所定値よりも小さい場合に、モータ電流が所定値以下になる負荷状態では、第1の設定手段を選択し、モータ電流が所定値より大きくなる負荷状態では、第2の設定手段を選択するのが好ましい。これにより、モータトルクが大きい負荷状態ではインバータのピーク電流が抑えられ、モータ回転数の高い負荷状態では入力力率が1に近づき、同一単相商用電源からの電力が大きくとれる。
【0018】
本発明に係るモータ駆動方法は、単相交流電圧を整流して中間直流電圧Vdcを得て、該中間直流電圧を任意の周波数と電圧の疑似三相交流電圧に変換し、該疑似三相交流電圧を用いてモータを駆動する駆動方法である。その駆動方法は、中間直流電圧Vdcに応じたモータのトルク電流に相当するq軸電流Iqと、q軸に直交する座標軸上のd軸電流Idとを用いてモータの電流制御を行ない、モータの回転数と負荷状態とから求められる基本進角値βを用いてd軸電流の設定値Id*の候補値Id1*を算出し、単相交流電源の半周期前の時点で用いたd軸電流設定値を所定量だけ増加させ、q軸電流の設定値Iq*と、d軸電流の設定値の候補値Id1*と、モータパラメータと、現在の回転数とからモータの端子電圧の予想値Vaを算出し、モータの端子電圧の予想値Vaと現在の中間直流電圧Vdcとを比較し、その比較結果にしたがい、端子電圧の予想値Vaが現在の中間直流電圧Vdcよりも低い場合には、d軸電流の設定値の候補Id1*を選択し、端子電圧予想値Vaが中間直流電圧Vdcよりも高い場合には、所定量だけ増加させた値を選択し、その選択された値をd軸電流設定値Id*としてモータ電流制御に使用する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照して本発明に係るモータ駆動装置及び方法を開示する。
【0020】
(実施の形態1)
図1は本発明に係るモータ駆動装置の全体構成を示すブロック図である。モータ駆動装置は、単相交流電源1から入力した電圧を三相交流電圧に変換してモータ2を可変速駆動する装置である。モータ駆動装置は、ダイオードブリッジで構成される整流回路3と、小型(小容量)の平滑コンデンサ6と、複数の電力用スイッチング素子からなる三相PWMインバータ回路4と、三相PWMインバータ回路4の各スイッチング素子を制御する制御回路7とからなる。さらに、モータ駆動装置は、モータ2の各相巻線の電流を検出する電流センサ5u、5v、5wを有する。また、モータ2には回転子の回転速度ω及び回転位相θを検出する回転センサ9が取りつけられている。
【0021】
同駆動装置において、電力は、単相交流電源1から入力され、整流回路3により整流された後、後段のパルスの影響を除去する小型の平滑コンデンサ6を経由し、三相PWMインバータ回路4を経てモータ2へと送られる。制御回路7は、電流センサ5u、5v、5wにより検出されたモータ2の巻線の三相の相電流を参照しながら、平滑コンデンサ6の両端電圧である直流電圧Vdcを検出し、設定回転数(回転数指令値)ω*に対する状況を判断して、三相PWMインバータ回路4に対する、疑似三相交流電力発生のためのパルス幅変調(PWM)指令を出力する。本駆動装置は、従来の駆動装置と異なり、入力力率改善のリアクトルを有しておらず、また、平滑コンデンサ6は十分な平滑を行えないほどの少容量のものを使用している。なお、モータ2の電流検出のための電流センサは必ずしも各相毎に設ける必要はなく、2相分の電流センサのみを設けてもよい。これは、3つの電流値の合計は常に0になることから、2つの相の電流が判れば、残りの一相の電流値を演算により求めることができるからである。
【0022】
図2は、制御回路7の詳細な構成を示したブロック図である。制御回路7はモータ2に取りつけられた回転センサ9から回転位相情報θや回転速度情報ωを入力する。回転位相情報θは座標変換回路21、22に送られる。また回転速度情報ωは、トルク制御ブロック20に送られる。トルク制御ブロック20の詳細は後述する。モータ2の制御情報として、さらにモータ2の相電流を電流センサ5u、5v、5wにて検出する。電流センサ5u、5v、5wにて検出されたモータ相電流情報は座標変換回路21に送られて、現在の回転位相情報θを用いて回転座標軸d軸とq軸での電流値Id、Iqに変換される。得られたd軸電流とq軸電流は比較回路24、25に送られて、d軸電流に対する設定値であるd軸電流設定値Id*、q軸電流に対する設定値である電流設定値Iq*と比較され、それぞれの電流に対する電流誤差情報を得る。電流誤差情報は、制御特性改善のための補償回路23に送られて、電圧設定値Vd*、Vq*に変換される。d軸q軸での電圧設定値Vd*、Vq*は座標変換回路22に送られ、回転位相情報θを用いて、U、V、W軸での電圧値Vu*、Vv*、Vw*に変換される。電圧値Vu*、Vv*、Vw*は三相PWMインバータ回路4に送られ、PWM変調によって各相の駆動電圧に変換される。なお、d軸およびq軸の電流の設定値Id*、Iq*は、回転センサ9から得られた回転速度情報ω、中間直流部分の電圧Vdc、設定回転数ω*及びモータ2のパラメータを用いてトルク制御ブロック20で演算を行って算出する。
【0023】
図3は、トルク制御ブロック20の詳細な構成を示すブロック図である。
比較回路110により、回転数指令ω*と回転速度ωとが比較され誤差信号が得られる。この誤差信号は乗算器9において、制御安定のための補償回路108を経由して、直流電圧Vdcの二乗(|Vdc|2)を係数として与える係数回路106からの出力と乗算される。これにより、直流電圧の二乗の波形が速度の誤差信号に応じて振幅調整される。その結果としてq軸電流設定値Iq*を得る。さらに、q軸電流設定値Iq*はブロック107において係数tan(β)が乗算されてd軸電流の設定値の候補値Id1*が得られる。候補値Id1*は選択回路104へ送られる。なお、βは基本進角設定値であり、電源電圧が十分高い場合に個々の回転状態に応じてモータの効率が最適となるように決定される値である。基本進角設定値βは回転数と負荷状態とから求められる。なお、負荷状態はIqから求められる。つまり、基本進角設定値βは駆動中に回転数、電流値にしたがい予め実験により求めておいた値を使用することができる。
【0024】
ブロック101は、モータ定数記憶部105からのモータ定数と、現在の回転速度ωと、q軸電流設定値Iq*と、d軸電流設定値の候補値Id1*とを用いて、モータの特性式から、モータ端子の予想電圧値Vaを算出する。算出された端子電圧Vaは、比較回路111において現在の直流電圧Vdcと比較され、選択回路104の制御信号および補正量出力回路103に送られる。
【0025】
補正量出力回路103は比較回路111の出力に基き、出力する値を変化させる。すなわち、補正量出力回路103は、比較回路111の出力が正のとき(Va>Vdcのとき)は、補正量として微少量+δを加算回路112に出力し、比較回路111の出力が負のとき(Va≦Vdcのとき)はゼロを加算回路112に出力する。加算回路112は、遅延回路102による一電力周期前のd軸電流設定値Id*を、補正量出力回路103からの出力により修正する。ここで、一電力周期とは、電源周波数の2倍の周波数での周期(例えば、電源周波数が50Hzであれば100Hzでの周期)である。修正された一電力周期前のd軸電流設定値は選択回路104に送られる。選択回路104は、比較回路111からの出力にしたがい、d軸電流設定値の候補値Id1*又は修正された一電力周期前のd軸電流設定値のいずれかを選択する。選択された値はd軸電流の設定値Id*として実際に使用される。
【0026】
つまり、図3の回路においては、直流部分の電圧Vdcが十分高いとき(Va<Vdcのとき)には、基本進角設定値βを用いた駆動になり、一方、電圧Vdcが不足しているとき(Va≧Vdcのとき)には、d軸電流を増加して端子電圧を下げ、モータ2にブレーキがかからないような駆動になる。
【0027】
図4は、上記の制御による電圧、電流波形の変化を示した図である。図4(a)は直流電圧Vdcの波形を示しているが、平滑コンデンサ6の容量が小さいことから、この波形は電源電圧の絶対値の波形となっている。図4(b)に示す波形は、モータのトルクを示し、電源電圧の絶対値の二乗の波形であり、電源電圧の二倍の周波数を持つ正弦波である。したがって、図4(c)に示すように、q軸電流の指令値Iq*も同じく二倍の周波数の正弦波になっている。また、d軸電流は微少修正が収束すれば、凹型の波形になる。
【0028】
以上のように、本実施形態の駆動装置によれば、モータ端子電圧Vaと直流電圧との関係に基いてd軸電流設定値Id*を適宜調整し、直流電圧Vdcが小さくなる領域においてd軸電流設定値Idが大きくなるようにd軸電流設定値Id*を制御する(図4(c)参照)。これにより、平滑コンデンサ6の容量が小さく、直流電圧Vdcが大きく低下したときでも、モータ2に制動がかからず、滑らかな運転が可能となる。
【0029】
(実施の形態2)
本実施形態では、モータ駆動装置のトルク制御ブロックの別の例を示す。
図5に、本実施形態のトルク制御ブロックの構成を示す。実施の形態1のトルク制御ブロック20は、トルクが中間直流電圧Vdcの二乗に比例するように制御を行なっていたが、本実施形態のトルク制御ブロック20bは、トルクを中間直流電圧Vdcに比例するように制御を行なう。このため、トルク制御ブロック20bは図3の直流電圧の二乗係数回路106の代わりに、直流電圧Vdcの絶対値(|Vdc|)を係数として与える係数回路116を備えている。
【0030】
図6は、本実施形態のトルク制御ブロック20bによる制御を行なったときの電流波形を示した図である。図6の(a)は直流電圧Vdcの波形であり、正弦波の絶対値の波形である。図6の(b)はトルクの波形であり、正弦波の絶対値の波形である。図6の(c)に示すように、q軸電流の指令値Iq*も同じ波形になっている。また、d軸電流は微少修正が収束すれば、凹型の波形になる。
【0031】
図6の(b)においてトルクの平均値を示したが、トルクが大きいところが平坦であるため、平均値は振幅の中心よりも上にある。このことは、平均トルクに対して最大トルクはさほど大きいものを必要としないことを示している。したがって、本実施形態の構成によれば、平均負荷トルクが大きい場合でも、最大瞬間トルクをさほど大きくせずに対応可能となる。最大瞬間トルクはモータ電流の最大瞬間電流に対応するので、三相PWMインバータ回路の電流容量を下げることができる。
【0032】
(実施の形態3)
図7にトルク制御ブロックのさらに別の構成を示す。
本実施形態のトルク制御ブロック20cは、前述の実施の形態のトルク制御ブロック20、20bとほぼ同様の構成を有しているが、係数回路106、116を切り替えて使用する構成となっている点が異なる。
【0033】
すなわち、本例のトルク制御ブロック20cは、係数回路106および係数回路116と、係数回路106および係数回路116のいずれを使用するかを判断する判断回路118と、判断回路118の判断結果にしたがい係数回路106および係数回路116のいずれかを選択する切替え回路117とを備えている。
【0034】
判断回路118は、回転数ωとq軸電流設定値Iq*とに基いて、使用する係数回路を決定する。すなわち、回転数ωとq軸電流設定値Iq*の積は負荷に相当することから、判断回路118は回転数ωとq軸電流設定値Iq*とから負荷状態を判断し、選択する係数回路を決定する。
【0035】
選択回路117は判断回路118の決定にしたがい、係数回路106と係数回路116のいずれかを選択する。判断回路118は、回転数ωが所定値より小さく、かつ、q軸電流設定値が所定値より大きい場合は、係数回路116の出力を、それ以外の場合は、係数回路106の出力を用いるように決定する。つまり、大きなトルクを必要とする場合には係数回路116の出力を選択し、大きな電力を必要とする場合には係数回路106の出力を選択するように切替えられる。
【0036】
このように、係数回路を切替えることにより、回転数と負荷トルクの状態によらず、同じブリッジ回路の電流容量で、より大きな出力が得られるようになる。
【0037】
【発明の効果】
本発明の駆動装置によれば、電源電圧が十分高い期間は、適正進角制御により高効率駆動が実現する。また、電源電圧が低い期間では、モータ端子電圧が電源電圧に等しくなるまでd軸電流が徐々に増加されていく。電源電圧は、日本国内では50Hzもしくは60Hzであり、電源電圧不足期間はその2倍の周波数で出現するので、100Hzもしくは120Hzを基底とした繰り返し制御を実現することができる。これにより、大容量の平滑コンデンサがなく、中間直流電圧の低下する期間を有する場合でも、効率がよく、モータの制動を発生させることのない駆動を実現することができる。
【0038】
上記駆動装置において、q軸電流の設定を中間直流電圧(Vdc)の波形の二乗に比例させてもよい。平滑コンデンサ容量を無視すると、中間直流電圧は|sin(ωt)|の波形であるので、この二乗は瞬時電力特性と一致する。したがって、中間直流電圧の二乗に比例するようにトルクを発生させ、回転数もほぼ一定であるとすると、出力パワーはトルクと回転数の積であるので、入力電力と瞬時瞬時で一致し、入力力率を1にすることができる。
【0039】
上記駆動装置において、q軸電流の設定を中間直流電圧(Vdc)の波形に比例させてもよい。中間直流電圧Vdcは、|sin(ωt)|の波形であり、その平均値は、「4/π」となり、「1」よりも大きく、Vdcの二乗に比例する場合に比べて瞬時電流を増加させずに大きな電力が出せるという効果を奏する。
【0040】
さらに、上記駆動装置において、q軸電流の設定パターンを回転とモータ電流に応じて切り替えることにより、最大電流を増加させずに、回転数が低くても負荷が大きい場合でも、大きな電力を出せることになるという効果を奏する。
【0041】
本発明の駆動方法によっても、上記駆動装置と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のモータ駆動装置の全体構成を示すブロック図
【図2】 モータ駆動装置の制御回路の構成を示すブロック図
【図3】 モータ駆動装置の制御回路内のトルク制御ブロックの構成を示すブロック図
【図4】 本発明のモータ駆動装置における電圧及び電流波形図
【図5】 実施の形態2のモータ駆動装置の制御回路内のトルク制御ブロックの構成を示すブロック図
【図6】 実施の形態2のモータ駆動装置における電圧及び電流波形図
【図7】 実施の形態3のモータ駆動装置の制御回路内のトルク制御ブロックの構成を示すブロック図
【図8】 従来の駆動装置の全体構成を示すブロック図
【図9】 従来のd軸電流Idと端子電圧Vaとの関連を示す特性図
【図10】 従来のモータ駆動装置の制御回路内のトルク制御ブロックの構成を示すブロック図
【図11】 従来のモータ駆動装置における電圧及び電流波形図
【符号の説明】
1…………… 単相電源
2…………… IPMモータ
3…………… 整流回路
4…………… 三相PWMインバータ回路
5u,5v、5w…………… 電流センサ
6…………… 平滑コンデンサ
7…………… 制御回路
8…………… 入力電圧異常検出回路
9…………… 回転センサ
20、20b、20c………… トルク制御ブロック
102………… 遅延回路
103………… 補正量出力回路
104、117………… 切替回路
106………… 二乗係数回路
116………… 絶対値係数回路
118………… 判断回路

Claims (10)

  1. 単相交流電圧を整流して中間直流電圧Vdcを得て、該中間直流電圧を任意の周波数と電圧の疑似三相交流電圧に変換し、該疑似三相交流電圧を用いてモータを駆動する駆動装置であって、
    該駆動装置は、前記中間直流電圧Vdcに応じたモータのトルク電流に相当するq軸電流Iqと、q軸に直交する座標軸上のd軸電流Idとを用いてモータの電流制御を行ない、
    モータの回転数と負荷状態とから求められる基本進角値βを用いてd軸電流の設定値Id*の候補値Id1*を算出する手段と、
    前記単相交流電源の半周期前の時点で用いたd軸電流設定値を所定量だけ増加させる修正手段と、
    q軸電流の設定値Iq*と、d軸電流の設定値の候補値Id1*と、モータパラメータと、現在の回転数とからモータの端子電圧の予想値Vaを算出する手段と、
    モータの端子電圧の予想値Vaと現在の中間直流電圧Vdcとを比較する比較手段と、
    該比較結果にしたがい、端子電圧の予想値Vaが現在の中間直流電圧Vdcよりも低い場合には、前記d軸電流の設定値の候補Id1*を選択し、端子電圧予想値Vaが中間直流電圧Vdcよりも高い場合には、前記修正手段からの出力を選択する選択手段とを備え、
    該選択手段により選択された値がd軸電流設定値Id*として前記モータ電流制御に使用されることを特徴とするモータ駆動装置。
  2. q軸電流の設定値Iq*を中間直流電圧値Vdcの二乗に比例するように設定する手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載のモータ駆動装置。
  3. q軸電流の設定値Iq*を中間直流電圧値Vdcに比例するように設定する手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載のモータ駆動装置。
  4. q軸電流の設定値Iq*を中間直流電圧値Vdcの二乗に比例するように設定する第1の設定手段と、
    q軸電流の設定値Iq*を中間直流電圧値Vdcに比例するように設定する第2の設定手段と、
    モータ電流と負荷状態の関係に基いて第1の設定手段及び第2の設定手段のいずれかを選択する第2の選択手段と
    をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載のモータ駆動装置。
  5. 前記第2の選択手段は、回転数が所定値よりも小さい場合に、モータ電流が所定値以下になる負荷状態では、第1の設定手段を選択し、モータ電流が所定値より大きくなる負荷状態では、第2の設定手段を選択することを特徴とする請求項4記載のモータ駆動装置。
  6. 単相交流電圧を整流して中間直流電圧Vdcを得て、該中間直流電圧を任意の周波数と電圧の疑似三相交流電圧に変換し、該疑似三相交流電圧を用いてモータを駆動する駆動方法において、
    該駆動方法は、前記中間直流電圧Vdcに応じたモータのトルク電流に相当するq軸電流Iqと、q軸に直交する座標軸上のd軸電流Idとを用いてモータの電流制御を行なう方法であって、
    モータの回転数と負荷状態とから求められる基本進角値βを用いてd軸電流の設定値Id*の候補値Id1*を算出し、
    前記単相交流電源の半周期前の時点で用いたd軸電流設定値を所定量だけ増加させ、
    q軸電流の設定値Iq*と、d軸電流の設定値の候補値Id1*と、モータパラメータと、現在の回転数とからモータの端子電圧の予想値Vaを算出し、
    モータの端子電圧の予想値Vaと現在の中間直流電圧Vdcとを比較し、
    該比較結果にしたがい、端子電圧の予想値Vaが現在の中間直流電圧Vdcよりも低い場合には、前記d軸電流の設定値の候補Id1*を選択し、端子電圧予想値Vaが中間直流電圧Vdcよりも高い場合には、前記所定量だけ増加させた設定値を選択し、
    該選択された値がd軸電流設定値Id*として前記モータ電流制御に使用する
    ことを特徴とするモータ駆動方法。
  7. さらに、q軸電流の設定値Iq*を中間直流電圧値Vdcの二乗に比例するように設定することを特徴とする、請求項6記載のモータ駆動方法。
  8. さらに、q軸電流の設定値Iq*は中間直流電圧値Vdcに比例するように設定することを特徴とする、請求項6記載のモータ駆動方法。
  9. さらに、モータ電流と負荷状態の関係に基き、q軸電流の設定値Iq*を、中間直流電圧値Vdcの二乗または中間直流電圧値Vdcのいずれかに比例するように設定することを特徴とする、請求項6記載のモータ駆動方法。
  10. 回転数が所定値よりも小さい場合において、モータ電流が所定値以下になる負荷状態では、q軸電流の設定値Iq*は中間直流電圧値Vdcの二乗に比例するように設定され、モータ電流が所定値より大きくなる負荷状態では、q軸電流の設定値Iq*は中間直流電圧値Vdcに比例するように設定されることを特徴とする、請求項9記載のモータ駆動方法。
JP2001354799A 2001-11-20 2001-11-20 モータ駆動装置及びモータ駆動方法 Expired - Fee Related JP4065375B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001354799A JP4065375B2 (ja) 2001-11-20 2001-11-20 モータ駆動装置及びモータ駆動方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001354799A JP4065375B2 (ja) 2001-11-20 2001-11-20 モータ駆動装置及びモータ駆動方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003164179A JP2003164179A (ja) 2003-06-06
JP4065375B2 true JP4065375B2 (ja) 2008-03-26

Family

ID=19166599

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001354799A Expired - Fee Related JP4065375B2 (ja) 2001-11-20 2001-11-20 モータ駆動装置及びモータ駆動方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4065375B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111200385A (zh) * 2020-02-24 2020-05-26 珠海格力电器股份有限公司 压缩机的控制方法

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FI116647B (fi) * 2004-06-17 2006-01-13 Vacon Oyj Vaihtosuuntaajan pulssinleveysmodulaattorin ohjaus
JP4657301B2 (ja) * 2006-03-15 2011-03-23 三菱電機株式会社 電動機駆動装置及び圧縮機駆動装置
JP4065901B1 (ja) 2006-08-29 2008-03-26 三菱電機株式会社 交流電動機のベクトル制御装置
AU2006347701B2 (en) 2006-08-31 2010-11-18 Mitsubishi Electric Corporation Electric motor driving device, and compressor driving device
JP5636663B2 (ja) * 2009-10-19 2014-12-10 株式会社リコー モータ駆動制御装置及び画像形成装置
RU2543503C1 (ru) * 2011-01-18 2015-03-10 Дайкин Индастриз, Лтд. Устройство преобразования мощности
US8880250B2 (en) * 2011-02-28 2014-11-04 Deere & Company DC bus voltage control
JP6567815B2 (ja) * 2014-11-26 2019-08-28 日本電産サンキョー株式会社 ブラシレスモータの制御方法
WO2016056471A1 (ja) * 2014-10-07 2016-04-14 日本電産サンキョー株式会社 チューブラモータ、ブラシレスモータの制御方法、ブレーキ付きモータ
CN106559026B (zh) * 2016-11-30 2019-02-05 广东美的制冷设备有限公司 一种电机驱动系统的控制方法、控制装置和变频空调器
WO2019065859A1 (ja) * 2017-09-29 2019-04-04 ダイキン工業株式会社 電力変換装置
JP6739577B1 (ja) * 2019-04-08 2020-08-12 三菱電機株式会社 モータ制御装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111200385A (zh) * 2020-02-24 2020-05-26 珠海格力电器股份有限公司 压缩机的控制方法
CN111200385B (zh) * 2020-02-24 2021-08-24 珠海格力电器股份有限公司 压缩机的控制方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003164179A (ja) 2003-06-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU2012208179B2 (en) Power conversion apparatus
JP3627683B2 (ja) モーター制御装置
JP3971979B2 (ja) 空気調和装置
RU2462806C1 (ru) Устройство преобразования электроэнергии
EP2034605B1 (en) Electric motor driving device, and compressor driving device
JP5304937B2 (ja) 電力変換装置
JP2003134898A (ja) 同期発電機のセンサレス制御装置と制御方法
JP4065375B2 (ja) モータ駆動装置及びモータ駆動方法
WO2013105187A1 (ja) インバータ制御装置
JP4718041B2 (ja) インバータ制御方法およびその装置
JP2003348875A (ja) 電動機駆動装置
JP4116595B2 (ja) モータ制御装置
JP6369517B2 (ja) 電力変換器の制御装置
JPH09294388A (ja) モータのベクトル制御方法およびベクトル制御インバータ装置
WO2013105173A1 (ja) インバータ制御装置
JP2002247876A (ja) インバータ装置、圧縮機制御装置、冷凍・空調装置の制御装置、モータの制御方法、圧縮機、冷凍・空調装置
JP5813934B2 (ja) 電力変換装置
JP2012120409A (ja) モータ駆動装置
JP3490600B2 (ja) 電力変換装置のパルス幅変調方法
AU2020371391B2 (en) Power conversion device
JP4120868B2 (ja) 交流電動機の制御装置
JP4446688B2 (ja) 多相電流供給回路及びその制御方法
WO2022172505A1 (ja) 電動機駆動装置
JP4061517B2 (ja) 交流電動機の可変速制御装置
JP4168698B2 (ja) 誘導機の制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041104

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070626

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20071204

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080104

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110111

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110111

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120111

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130111

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140111

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees