JP4065165B2 - 無電解メッキの前処理方法及びそれを用いてなる無電解メッキ用基材 - Google Patents

無電解メッキの前処理方法及びそれを用いてなる無電解メッキ用基材 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基材の表面に無電解メッキ法により金属皮膜を形成した電磁波シールド材に適した導電性材料の製造方法に関するものである。更に詳しくは、基材と金属皮膜だけでなく、基材とパラジウム触媒の親和性を向上させることができる、無電解メッキの前処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電磁波シールド性シート材として、圧延金属箔や導電性物質を樹脂シート材に積層したものが知られている。しかし、圧延金属箔を樹脂シート材に積層したものは、圧延金属箔が屈曲耐久性に劣り、更に、接着剤を用いて圧延金属箔をシート材に積層するため風合いが硬くなるという問題がある。また、導電性物質を樹脂シート材に積層したものは抵抗値が高くなる傾向があり、また、シート材に積層する際にも導電性物質を接着用樹脂に混ぜて積層するため、やはり風合いが硬くなる。
これらの欠点を改善するものとして、繊維布帛や合成樹脂フィルム等に無電解メッキ処理などにより金属皮膜を形成したものが知られている。繊維布帛や合成樹脂フィルムに金属皮膜を形成させる手段としては、真空蒸着法、スパッタリング法、無電解メッキ法等があるが、金属付与のコストが安価であり、大きな導電性を有する金属皮膜が均一に形成されるという点で、無電解メッキ法が好ましく用いられている。このように得られる金属被覆繊維等から成る布帛は十分な電磁波シールド性を有するが、金属皮膜と基材の更なる密着性の向上が求められている。
【0003】
従来から、金属皮膜と基材との密着性を向上させる手段としては、例えば、基材に化学的もしくは物理的手法によりエッチング処理を行う方法がある。エッチングすることで基材表面に凹凸が生じ、金属皮膜のアンカー効果および接触面積の増加による密着性向上効果を期待したものであるが、多くの場合、その効果は小さく、また、エッチングにより基材の強度が低下する虞もある。その中でも、プラズマ処理によるエッチング加工は基材の強度劣化が比較的少なく、金属皮膜の密着性の向上をもたらすが、編織物など凹凸のある基材の場合、基材全体が均一にエッチングされにくく、更に、プラズマ処理の設備は非常に高価である。
【0004】
他の方法としては、基材および金属皮膜の両方に良好な親和性を有する樹脂を基材に付与する、所謂、プライマー処理が知られている。この処理方法は、設備投資負担および加工コストが小さく、かつ、工程も単純で加工バラツキが小さく高速度での連続加工が可能であり、更には、汚水を排出しない系も構築できる。この様な例として、特開昭52−44882号公報にポリブタジエン類の高分子を用いる手法が開示されている。
【0005】
また、無電解メッキを用いて均一な金属皮膜を形成するためには、繊維基材に均一にパラジウム等の触媒を付与する必要がある。そのためには高濃度の触媒液を用いることも一つの方法ではあるが、例えば、一般的に用いられるパラジウム触媒は高価であるために、むやみに高濃度のパラジウム触媒を用いることはできない。また更に、基材が繊維布帛などの場合、触媒液が繊維布帛の内部にまで浸透付着するため触媒の使用量が増大してしまうという問題が発生する。この問題を解決するため、低濃度の触媒を用いて基材表面に均一に触媒を付与する方法が検討されているか、そのためには基材と触媒の親和性を向上させることが必要になってくる。
その一つとして、基材をアルカリ脱脂し水洗したのちに、界面活性剤と、ポリN−ビニルイミダゾールなどの基材とパラジウム等の触媒の両方に良好な親和性を示す化合物を含む水溶液に浸漬し水洗する方法がある。しかし、この方法は、該化合物の基材への選択吸着性を利用しているために、基材に選択吸着性がない化合物は使用できないばかりか、選択吸着性を有する化合物であっても、処理浴の処理温度や処理時間や各成分濃度や妨害成分濃度を厳密に管理しなければ、触媒を均一に付与できない。当然、処理前の基材の厳密な汚染物質の除去は不可欠であるし、各工程間の成分混入を低減するために、特に、パラジウム等の触媒液への他成分混入による触媒液の性能低下が懸念されるため、各工程後の水洗洗浄が不可欠になる。さらには、工程が長いために、メッキ不良が生じた場合にも原因を特定しにくくなる虞がある。また、基材と金属皮膜との密着性向上を目的とした工程と同時処理ができず、全工程が複雑化することで工程管理が煩雑になり、ランニングコストおよび設備投資費が増加する問題もある。
【0006】
これらの問題を解決するために、基材と金属皮膜の密着性の向上及び基材と触媒との親和性向上の2つの効果を単工程で実現させたプライマー処理として、例えば、特許第3253900号公報には、アミノ基、イミノ結合、アミド結合、ウレタン結合、尿素結合、第二アミンおよびメラミン構造の群より選ばれた一種の化学構造と造塩性官能基とを組み合わせて有する無電解メッキ用樹脂組成物が開示されている。しかしこの樹脂組成物を用いる方法は、金属被覆繊維の柔軟な風合いを著しく損ない、さらには樹脂が疎水性であるために、複雑な凹凸がある繊維布帛をパラジウム触媒液で処理する際に、空気が抜けきらずに触媒液が隅々まで浸透し難く、結果としてメッキがムラ付きするため好ましくない。
また、特開2001−107257号公報には、基材に親水基を有する樹脂ラテックス付与し乾燥硬化させプライマー層を形成し、触媒を含有する水溶性塩溶液に界面活性剤を加えてなる保護コロイド溶液を該プライマー層に接触させて触媒層を形成した後、無電解メッキにより金属メッキ層を形成することが記載されている。これは樹脂ラテックスを付与することにより機械的や化学的な手段を用いて表面粗化を行わなくても、触媒の保護コロイドと樹脂ラテックスの親水基のイオン的吸引力によって、触媒の吸着量増加を図るものであるが、一般的に触媒付与に使用されているパラジウム−スズコロイド触媒液は、液寿命が数ヶ月から一年程度であるのに対し、該特許に記載されているような界面活性剤を添加し保護コロイド化したパラジウム−スズコロイド触媒液の液寿命は数時間から数日であるため、生産コストおよび生産性から好ましくない。
また、界面活性剤としてパーフルオロアルキルスルホン酸塩などのフッ素系界面活性剤を用いたものは、その他の界面活性剤に比べ液寿命を低下させにくいことが知られているが、高価であり、更には、環境的に問題があるため好ましくない。
従って、パラジウム−スズコロイド液に界面活性剤を添加した、安定した触媒液を製造することは困難である。また、パラジウム−スズコロイド以外の触媒を使用する場合にも、保護コロイド化された触媒は、保護コロイド化されていない触媒に比較して親水性が著しく向上するために、基材に触媒を付与した後の水洗で脱落しやすくなるため、メッキムラが生じ易くなる問題があり、そのため、生産での原料ロスが大きくなりコスト的にも好ましくない。さらに、樹脂が有する親水基のみが、触媒液の浸透濡れ性に寄与するだけで、界面活性剤を基材に付与する一般的な方法と比較して、触媒層の形成性は低い。そのため、複雑な凹凸がある繊維布帛などを触媒液で処理する際に、触媒液が隅々まで浸透し難く、結果としてメッキがムラ付きする。触媒液の浸透性を向上させるために、樹脂ラテックスの親水基の割合を増加した場合、樹脂ラテックスと基材の密着性が得られにくくなるため好ましくない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、無電解メッキ法により金属被覆基材を製造する場合に、基材と触媒との親和性向上および基材と金属皮膜との親和性向上を目的とするもので、上述の無電解メッキ前表処理法の問題を解決するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(1)カチオン性高分子と電子供与性基を有する樹脂と界面活性剤とを含有する水性処理液を用いて、カチオン性高分子: 電子供与性基を有する樹脂:界面活性剤=1 00:10〜500:5〜200の割合で、カチオン性高分子と電子供与性基を有する樹脂と界面活性剤の合計で、基材重量に対し0.01〜5重量%付与することを特徴とする無電解メッキの前処理方法であって、該界面活性剤が非イオン系界面活性剤である無電解メッキの前処理方法である。
また、(2)カチオン性高分子がアミノ化合物、または、アンモニウム塩化合物であることを特徴とする(1)記載の無電解メッキ前処理方法である。
また、(3)電子供与性基を有する樹脂の分子量が100〜10000の範囲であることを特徴とする(1)乃至(2)記載の無電解メッキの前処理方法である。
また、(4)基材が合成繊維から成ることを特徴とする(1)乃至(3)記載の無電解メッキ前処理方法である。
また、(5)合成繊維がポリエステル繊維である(4)記載の無電解メッキの前処理方法である。
また、(6)(1)乃至(5)記載のいずれかの方法で製造された無電解メッキ用基材である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、触媒を付与する以前の基材に、カチオン性高分子と電子供与性基を有する樹脂および界面活性剤を同浴にて付与することにより触媒の基材への親和性を向上させ、均一で密着性の高い金属皮膜を形成させるものである。
基材を上述の3種を含む水性処理液で処理した基材を用いることにより、触媒付与時に、基材と触媒液との界面で拡散していた触媒が基材へ効率的に吸着される。これは、基材に付与されたカチオン性樹脂が触媒を非水分散性の物質へと化学変化させることで吸着速度および吸着力が向上すると推定される。
本発明におけるカチオン性高分子とは、分子内にカチオン性を示す化学構造を有する高分子である。このような作用を示すカチオン性高分子としては、アリルアミンやアリルジメチルアミンやN−ビニルイミダゾールのようなアミノ化合物やアミノ化合物類似化合物がモノマーである高分子およびそれらを四級化したもの、もしくは、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドのようにアンモニウム塩化合物がモノマーである化合物、さらには、ポリアクリル酸など、反応基を多数有するポリマーに、アミノ化合物やアンモニウム塩化合物を反応させた高分子も同様の効果を有する。また、イミダゾール化合物等のアミノ化合物類似構造を有している化学構造であっても良い。
また、本発明においては、カチオン性高分子を電子供与性基を有する樹脂で強固に固着させるため、従来技術のように樹脂の基材に対する選択吸着性を考慮する必要がなく、多様なカチオン性高分子から選定できる。
また、上述のカチオン性高分子と非カチオン性高分子との共重合体であっても構わないが、カチオン性高分子の割合が著しく小さいと触媒との良好な親和性が得られ難くなるため好ましくない。
これらカチオン性高分子は、上述のようにアミノ化合物系と4級アンモニウム塩系に大別されるが、アミノ化合物系カチオン高分子は反応性に富むN−H結合があるために、触媒との親和性が優れている。また、4級アンモニウム塩系高分子は、pHや樹脂および界面活性剤に影響され難く、安定してカチオン性を示すので好ましい。本発明に用いるカチオン性高分子はこれらを考慮して適宜に選ぶことができる。
【0010】
本発明における界面活性剤は、繊維布帛のような複雑な形状を有する基材の隅々まで触媒液を均一に浸透させるために使用するもので、電子供与性基を有する樹脂の親水性を向上させるものである。この場合に使用される界面活性剤は、カチオン系界面活性剤及び/または非イオン系界面活性剤が使用できる。しかし、一般にカチオン系界面活性剤より非イオン系界面活性剤の方が浸透性が大きく好ましい。アニオン系界面活性剤はカチオン性高分子との凝集が懸念されるため好ましくない。
この様な界面活性剤の浸透性を測定する方法としては、キャンバスディスク方法があり、25℃かつ界面活性剤濃度0.1重量%水溶液を用いた試験法において100秒以下、好ましくは30秒以下であると電子供与性基を有する樹脂に良好な浸透性を付与しやすく好ましい。
このような非イオン系界面活性剤としては、高級アルコールのエチレンオキサイド付加化合物やアルキルフェノールのエチレンオキサイド付加化合物でHLBが8乃至15である非イオン系界面活性剤が好ましく用いられる。その中でもノニルフェニルエーテルのエチレンオキサイド10モル付加化合物は上記キャンバスディスク法で17秒と非常に良好な浸透性を有するので更に好ましいが、これらに限定するものではない。
【0011】
本発明においては、カチオン性高分子と界面活性剤を、基材へ電子供与性基を有する樹脂で強固に担持するために、該樹脂は基材への接着性や成膜性に優れていることが好ましい。さらに本発明では、樹脂が電子供与性を有する基を有しているので、金属皮膜と基材との密着性が向上する。密着性が向上する理由としては次のように推測できる。電子供与性基はメッキ微粒子の表面に存する配位不飽和である金属原子に電子供与して配位結合を形成することが予想され、そのため、メッキ反応中の水素脆化や液撹拌によるメッキ微粒子の脱落や浮きを防止し、メッキ微粒子同士の隙間及び金属皮膜との隙間を出来るだけ小さくすると共に、メッキ処理後にも、基材と金属皮膜との結合を強固にする効果があると考えられる。
また、該樹脂は界面活性剤と併用することから、容易に水へ分散もしくは乳化が可能である樹脂である必要がある。この様な電子供与性基を有する樹脂としては、例えば、ベンゼン環、カルボニル構造、オレフィン、エーテル構造などを有するウレタン系樹脂とアクリル酸エステル系樹脂が挙げられる。このうち、ポリエステル系及びポリエーテル系ウレタン樹脂は安価かつ、十分な電子供与性の化学構造を有しているため金属皮膜と基材との密着性向上が期待でき好ましく用いられる。
カルボン酸塩やスルホン酸塩といったアニオン性の構造を有する樹脂では、金属皮膜と基材との密着性向上には効果があると思われるものの、カチオン性高分子と凝集してしまうために、本発明においては好ましくない。
また、本発明で用いる電子供与性基を有する樹脂の分子量は100〜10000の範囲であることが好ましい。分子量が100未満であると基材と電子供与性基を有する樹脂との接着性が得られ難くなる虞があり、分子量が10000より大きいと、基材の柔軟な風合いを損なう虞がある。分子量が100〜3000の電子供与性基を有する樹脂を使用する際には、例えば、ブロック化イソシアネート基を有するいわゆる自己反応型の樹脂を使用するか、もしくは架橋剤を併用することが好ましい。これらの電子供与性基を有する樹脂の中でも、特に、分子量100〜500と極低分子量かつブロック化イソシアネート基を複数個有するウレタン系樹脂を使用すると、複雑な3次元網目構造を形成し、メッキ皮膜へのアンカー効果が得られるマイクロポーラス(微細孔)が得られると考えられ、更に好ましい効果を発現する。
【0012】
本発明に使用される触媒としては、無電解メッキ反応に対して触媒活性を有するものが好ましく、金、銀、ニッケル、銅、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、または白金などが挙げられる。この中でも、パラジウム−スズコロイド触媒は、他触媒と比較して良好なメッキ速度が得られること、メッキ被膜が均一に成長しやすいこと、触媒付与後の酸化による触媒活性低下が著しく小さいこと、触媒液の安定性に非常に優れていること、更には、固体物質への吸着力が強固であり、製造コストの負荷が小さいため好ましく用いられるが、これに限定されるものではない。
【0013】
基材に触媒を付与する方法は、例えば、触媒にパラジウムを用いる場合は、基材をパラジウム−スズコロイド溶液で処理した後に、ホウフッ化水素酸、塩酸もしくは硫酸などで酸処理する一般的な手法を用いれば良い。
【0014】
本発明においては、カチオン性高分子と電子供与性基を有する樹脂と界面活性剤とを混合して同時に基材に付与するが、その付与量はカチオン性高分子と電子供与性基を有する樹脂と界面活性剤の合計で、基材重量に対し、0.01〜5%の範囲で付与する。より好ましくは0.1〜2%である。0.01%未満であると基材と金属皮膜および触媒との親和性向上が期待できず、5%より大きいと基材の柔軟性が損なわれる虞がある。電子供与性基を有する樹脂とカチオン性高分子と界面活性剤との混合比率は、例えば、ポリアリルアミンやポリアリルジメチルアミンやポリN−ビニルイミダゾールやポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドなどのカチオン性構造に富む高分子を使用する場合、カチオン性高分子:電子供与性基を有する樹脂:界面活性剤=100:10〜500:5〜200である。電子供与性樹脂がこの比率より小さいと基材と金属皮膜との親和性が悪くなる虞があり、大きいと基材とパラジウム等の触媒との親和性が悪くなる虞がある。また、界面活性剤の割合がこの比率より小さいと処理後の基材に良好な親水性が得られず、触媒を均一に付与し難くなり、多くなると、金属皮膜と基材との密着性が低下する傾向がある。
また、ポリアクリル酸など反応基を多数有するポリマーに、アミノ化合物やアンモニウム塩化合物を反応させた高分子を使用するときにも同様の効果を有すると述べたが、アミノ化合物やアンモニウム塩化合物の分子量が大きくなるにつれて、そのカチオン性構造がカチオン性高分子の分子量に対して減少するため、それに比例して、電子供与性基を有する樹脂および界面活性剤に対するカチオン性高分子の割合を増加させなければならない。その際、あまりにもカチオン性高分子の分子量に対してカチオン性構造に乏しい高分子を使用すると、カチオン性高分子と電子供与性基を有する樹脂及び界面活性剤の総付与量が著しく増加し、前記総付与量固形分対基材重量比が5%以下を維持できず、基材の柔軟な風合いが損なわれるため好ましくない。
また、電子供与性基を有する樹脂とカチオン性高分子と界面活性剤との混合物は、界面活性剤を使用することから有機溶剤を使用したものより水溶性、または水分散性であるものを使用するほうが好ましい。その場合の付与法としては、パディング等の方法を用いることができるが、その他、例えば、刷け塗り法やプリント法を用いることもできる。
【0015】
また、本発明においてカチオン性高分子と電子供与性基を有する樹脂及び界面活性剤を含む水性処理液の安定性を高めるために、酢酸、希塩酸、リン酸、アンモニア、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、モノエタノールアミン、及び、トリエタノールアミンなどをpH調整剤として用いることも可能である。
【0016】
本発明における基材には特に限定はないが、耐久性、加工性の点から合成繊維から成る繊維布帛が用いられる。合成繊維の中でも、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系繊維からなる布帛は耐久性および加工性が良く、好ましく用いられる。
カチオン性高分子と電子供与性基を有する樹脂等付与前の基材を、精練などの洗浄処理をした後に、ヒートセットなどの熱処理により形態を安定化させ、さらにエッチング処理を行う。その後、本発明の処理を行うことにより、均一で密着性の良い金属皮膜を形成することの出来る無電解メッキ用基材となる。精練、ヒートセット、エッチングの各処理は、公知の技術により行えばよい。
【0017】
本発明記載の基材に対する無電解メッキ処理は公知の条件で行えば良く、また、付与する金属は銅、ニッケル、コバルト、金、銀などが挙げられ、特に限定はされないが、高い導電性を低コストで得られることから、銅の無電解メッキが好ましく、更に電気メッキを併用することにより、メッキ厚を大きくしたり、異種の金属皮膜を積層することも可能である。
【0018】
【実施例】
以下に本発明の実施例を説明する。
【評価方法】
(1)触媒吸着量
パラジウム触媒を付与した基材を濃硝酸溶液に24時間浸漬し、濃硝酸溶液に抽出されたパラジウムを原子吸光分析(日立製作所製 日立偏光ゼーマン原子吸光光度計 Z−8230)により測定し、算出した。
(2)金属皮膜密着性
JIS−H−3430に準じて行い、接着テープへの金属皮膜の移行量を観察した。
○ 金属の移行がほとんどない
× 金属の移行が多い
(3)メッキ状態
顕微鏡にて拡大し目視にてメッキの析出状況を判定した。
良好 メッキの析出ムラのない状態。
不良 メッキの析出ムラが確認できる状態。
【0019】
【実施例1】
55.6デシテックス24フィラメントのポリエステル繊維糸を経密度160本/インチ、緯密度95本/インチで平織りに製織したものを、精練、ヒートセット後、アルカリ加水分解により50g/mの基材を得た。次に、該基材をパディング法によりカチオン性高分子と電子供与性基を有する樹脂と界面活性剤とを含有する水性処理液で処理し、その後170℃で2分の熱処理を行い、分子量が3000乃至5000であるポリアルキレンテレフタレート系ウレタン樹脂を100mg/mとポリアリルアミン100mg/mとノニルフェノールのエチレンオキサイド10モル付加化合物を50mg/mを付与した。付与されたカチオン性高分子と電子供与性樹脂と界面活性剤の比率は2:2:1であった。また、総付与量は基材重量の0.5%であった。引き続き、パラジウム濃度60mg/Lであるパラジウム−スズコロイド溶液に20℃で1分間浸漬した後に水洗し、続いてホウフッ化水素酸濃度0.8%である水溶液に40℃で2分間処理し、水洗し、次に硫酸銅7.5g/L、37%ホルマリン30ml/L、ロッシェル塩85g/Lからなる無電解銅メッキ液に10分間浸漬後水洗し金属被覆布帛を得た。評価結果を表1に示す。
【0020】
【実施例2】
55.6デシテックス24フィラメントのポリエステル繊維を経密度160本/インチ、緯密度95本/インチで平織りに製織したものを、精練、ヒートセット後、アルカリ加水分解により50g/mの基材を得た。次に、該基材をパディング法によりカチオン性高分子と電子供与性基を有する樹脂と界面活性剤とを含有する水性処理液で処理し、その後170℃で2分の熱処理を行い、分子量が3000〜5000であるポリアルキレンテレフタレート系ウレタン樹脂を100mg/mとポリN−ビニルイミダゾール100mg/mとノニルフェノールのエチレンオキサイド10モル付加化合物を50mg/mを付与した。付与されたカチオン性高分子と電子供与性樹脂と界面活性剤の比率は2:2:1であった。また、総付与量は基材重量の0.5%であった。引き続き、パラジウム濃度60mg/Lであるパラジウム−スズコロイド溶液に20℃で1分間浸漬した後に水洗し、続いてホウフッ化水素酸濃度0.8%である水溶液に40℃で2分間処理し、水洗し、次に硫酸銅7.5g/L、37%ホルマリン30ml/L、ロッシェル塩85g/Lからなる無電解銅メッキ液に10分間浸漬後水洗した。評価結果を表1に示す。
【0021】
【比較例1】
55.6デシテックス24フィラメントのポリエステル繊維を経密度160本/インチ、緯密度95本/インチで平織りに製織したものを、精練、ヒートセット後、アルカリ加水分解により50g/mの基材を得た。次に、該基材をパディング法によりカチオン性高分子と電子供与性基を有する樹脂とを含有する水性処理液で処理し、その後170℃で2分の熱処理を行い、分子量が3000乃至5000であるポリアルキレンテレフタレート系ウレタン樹脂を100mg/mとポリアリルアミン100mg/mを付与した。引き続き、パラジウム濃度60mg/Lであるパラジウム−スズコロイド溶液に20℃で1分間浸漬した後に水洗し、続いてホウフッ化水素酸濃度0.8%である水溶液に40℃で2分間処理し、水洗し、次に硫酸銅7.5g/L、37%ホルマリン30ml/L、ロッシェル塩85g/Lからなる無電解銅メッキ液に10分間浸漬後水洗し金属被覆布帛を得た。評価結果を表1に示す。
【0022】
【比較例2】
55.6デシテックス24フィラメントのポリエステル繊維を経密度160本/インチ、緯密度95本/インチで平織りに製織したものを、精練、ヒートセット後、アルカリ加水分解により50g/mの基材を得た。次に、該基材をパディング法により電子供与性基を有する樹脂と界面活性剤とを含有する水性処理液で処理し、その後170℃で2分の熱処理で分子量が3000乃至5000であるポリアルキレンテレフタレート系ウレタン樹脂を100mg/mとノニルフェノールのエチレンオキサイド10モル付加化合物を50mg/mを付与した。引き続き、パラジウム濃度60mg/Lであるパラジウム−スズコロイド溶液に20℃で1分間浸漬した後に水洗し、続いてホウフッ化水素酸濃度0.8%である水溶液に40℃で2分間処理し、水洗し、次に硫酸銅7.5g/L、37%ホルマリン30ml/L、ロッシェル塩85g/Lからなる無電解銅メッキ液に10分間浸漬後水洗し金属被覆布帛を得た。評価結果を表1に示す。
【0023】
【比較例3】
55.6デシテックス24フィラメントのポリエステル繊維を経密度160本/インチ、緯密度95本/インチで平織りに製織したものを、精練、ヒートセット後、アルカリ加水分解により50g/mの基材を得た。次に、該基材をパディング法により電子供与性基を有する樹脂を含有する水性処理液で処理し、その後170℃で2分の熱処理を行い、分子量が3000乃至5000であるポリアルキレンテレフタレート系ウレタン樹脂を100mg/m付与した。引き続き、パラジウム濃度60mg/Lであるパラジウム−スズコロイド溶液に20℃で1分間浸漬した後に水洗し、続いてホウフッ化水素酸濃度0.8%である水溶液に40℃で2分間処理し、水洗し、次に硫酸銅7.5g/L、37%ホルマリン30ml/L、ロッシェル塩85g/Lからなる無電解銅メッキ液に10分間浸漬後水洗した。評価結果を表1に示す。
【0024】
【比較例4】
55.6デシテックス24フィラメントのポリエステル繊維を経密度160本/インチ、緯密度95本/インチで平織りに製織したものを、精練、ヒートセット後、アルカリ加水分解により50g/mの布帛を得た。引き続き、パラジウム濃度60mg/Lであるパラジウム−スズコロイド溶液に20℃で1分間浸漬した後に水洗し、続いてホウフッ化水素酸濃度0.8%である水溶液に40℃で2分間処理し、水洗し、次に硫酸銅7.5g/L、37%ホルマリン30ml/L、ロッシェル塩85g/Lからなる無電解銅メッキ液に10分間浸漬後水洗した。評価結果を表1に示す。
【0025】
【比較例5】
55.6デシテックス24フィラメントのポリエステル繊維糸を経密度160本/インチ、緯密度95本/インチで平織りに製織したものを、精練、ヒートセット後、アルカリ加水分解により50g/mの基材を得た。次に、該基材をパディング法によりカチオン性高分子と電子供与性基を有する樹脂と界面活性剤とを含有する水性処理液で処理し、その後170℃で2分の熱処理を行い、分子量が3000乃至5000であるポリアルキレンテレフタレート系ウレタン樹脂を100mg/mとポリアリルアミン100mg/mとノニルフェノールのエチレンオキサイド10モル付加化合物を300mg/mを付与した。付与されたカチオン性高分子と電子供与性樹脂と界面活性剤の比率は1:1:3であった。また、総付与量は基材重量の1.0%であった。引き続き、パラジウム濃度60mg/Lであるパラジウム−スズコロイド溶液に20℃で1分間浸漬した後に水洗し、続いてホウフッ化水素酸濃度0.8%である水溶液に40℃で2分間処理し、水洗し、次に硫酸銅7.5g/L、37%ホルマリン30ml/L、ロッシェル塩85g/Lからなる無電解銅メッキ液に10分間浸漬後水洗し金属被覆布帛を得た。評価結果を表1に示す。
【0026】
【発明の効果】
本発明により得られる金属被覆導電性材料は、本発明の手法を用いない金属被覆導電性材料に比べ、触媒の吸着特性に優れるため、均一な金属皮膜を、単純な工程で安定的に形成することが出来る。
【0027】
【表1】
Figure 0004065165

Claims (6)

  1. カチオン性高分子と電子供与性基を有する樹脂と界面活性剤とを含有する水性処理液を用いて、カチオン性高分子:電子供与性基を有する樹脂:界面活性剤=100:10〜500:5〜200の割合で、カチオン性高分子と電子供与性基を有する樹脂と界面活性剤の合計で、基材重量に対し0.01〜5重量%付与することを特徴とする無電解メッキの前処理方法であって、該界面活性剤が非イオン系界面活性剤である無電解メッキの前処理方法
  2. カチオン性高分子がアミノ化合物、及び/または、アンモニウム塩化合物であることを特徴とする請求項1記載の無電解メッキ前処理方法。
  3. 電子供与性基を有する樹脂の分子量が100〜10000の範囲であることを特徴とする請求項1乃至2記載の無電解メッキの前処理方法。
  4. 基材が合成繊維から成ることを特徴とする請求項1乃至3記載の無電解メッキ前処理方法。
  5. 合成繊維がポリエステル繊維である請求項4記載の無電解メッキの前処理方法。
  6. 請求項1乃至5記載のいずれかの方法で製造された無電解メッキ用基材。
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