JP4065052B2 - 吊り下げ搬送装置におけるワークステーションへの接近装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、工場、倉庫等において多数の搬送物を搬送するために使用される吊り下げ搬送装置、いわゆるオーバーヘッドコンベヤに関し、特に、その搬送物を、トロリーとともに、ワークステーションまで昇降させるようにしたワークステーションへの接近装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
このような吊り下げ搬送装置には、図11に示すように、主ライン(1)の側方に複数のワークステーション(2)が設けられている。主ライン(1)では、搬送物支持用のキャリア(8)を吊支するトロリー(4)は、駆動装置(3)により回転させられるドライブシャフト(1a)により前進力を与えられて、ドライブシャフト(1a)上を前方に進むようになっている。
主ライン(1)からワークステーション(2)の分岐レール(5)への乗り移りは、トロリー(4)の頂部に設けた分離ホイール(6)が、分岐レール(5)に乗り上げて進行することによる。
分岐レール(5)の可動部(5a)を、作動機構(7)により回動させて下げると、トロリー(4)は作業位置へ降下するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような構成の従来のワークステーションでは、トロリー降下の上下ストロークは、せいぜい400〜500mmであり、搬送装置の主ラインとワークステーションとの垂直方向の位置関係の自由度が小さく、主ライン及びワークスーテーションの設置高さが制限されるという問題がある。
その結果、主ラインを低い位置に設置しなければならず、主ラインを走行するトロリーに吊支されたキャリアが人の通行の妨げとなったり、キャリアの移動軌跡上に棚やロッカー等の家具を設置できないという不便があった。
【0004】
本発明は、上述の問題点に鑑み、搬送装置の主ラインとワークステーションとの間のトロリーの降下量を充分に大きくすることができるようにすることにより、主ラインを、キャリアが人の通行の妨げとならない程度の高い位置に支持できるようにすることを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1) 搬送経路に沿って配設され、軸線まわりに回転駆動されるドライブシャフトと、該ドライブシャフトの回転方向に対して斜めの角度をもって当接する走行ホイールを介して、前記ドライブシャフトに懸架されたトロリーと、該トロリーに吊支された搬送物支持用キャリアとからなり、前記ドライブシャフトの回転により、前記トロリーが前記ドライブシャフトに沿って推進させられるようにした吊り下げ搬送装置におけるワークステーションへの接近装置であって、
前記走行ホイールから離間して前記トロリーの上部に分離ホイールを軸支し、かつ前記ドライブシャフトの上方に、前記分離ホイールと係合し、前記トロリーを前記ドライブシャフトへの懸架状態から開放する分岐レールを配設し、該分岐レールの一部分に、該分岐レールから分離可能なピッキングレールを連続させて配設し、かつ該ピッキングレールの中間部を、このピッキングレールを昇降させる昇降装置に軸支し、該昇降装置の下降に伴い前記ピッキングレールをその後部を高位に回動させるようにする。
【0006】
( 2 ) 上記(1) 項において、ピッキングレールの前部を、分岐レールと連続するその上昇位置においてトロリー前進方向に下がる傾斜をもたせる。
【0007】
( 3 ) 上記(1)または ( 2 )項において、ピッキングレールの後端部にトロリーの逆止装置を設ける。
【0008】
( 4 ) 上記(1)〜( 3 )項のいずれかにおいて、ピッキングレールの前端部にトロリーの払い出し装置を設ける。
【0009】
( 5 ) 上記(1)〜( 4 )項のいずれかにおいて、昇降装置を、上下ストローク調節可能な構造のものとする。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1に示す本発明に係る吊り下げ搬送装置の主ライン(1)には、その所々に図11について説明した駆動装置が設けられており、それによって、ドライブシャフト(1a)が回転駆動されるようになっている。
このような主ライン(1)の搬送経路の途中の上方から分岐レール(5)が分岐されて、ワークステーション(2)に達し、ここから再び主ライン(1)上に戻っている。
【0011】
図3は、このような主ライン(1)、さらに分岐レール(5)上を搬送される、搬送物支持用のキャリア(8)を吊支したトロリー(4)を示す。
トロリー(4)は、図4に詳細に示すように、樹脂成型またはアルミダイキャスト製の部材であり、その中間に走行ホイール(9)付きの懸架部(4a)を備え、下部は、搬送物支持用のキャリア(8)を吊り下げる吊り下げ部(4b)と一体になっており、上部には分離ホイール(6)が軸支されている。
【0012】
走行ホイール(9)は、ドライブシャフト(1a)の軸線に斜交して配設されており、ドライブシャフト(1a)の回転に伴って回転されることにより、トロリー(4)を前進させる。
【0013】
図2は、本発明を実施した吊り下げ搬送装置のワークステーション(2)を側面から見た図で、この図は、前述の従来例を示す図11に対応する。
【0014】
トロリー(4)の上部の分離ホイール(6)が、分岐レール(5)に乗り上げることにより、このトロリーは、主ライン(1)から分離されることは従来と変わりない。分岐レール(5)は、図2に示すように緩やかな下り勾配をなしており、これによってトロリー(4)は前進し続けることができる。
【0015】
図6及び図7に示すように、ワークステーション(2)の直上の部分では、分岐レール(5)が途切れており、ここにピッキングレール(10)が、その両端を分岐レール(5)に接して配設されている。
具体的には、ピッキングレール(10)の両端には、図7に示すような突出部(10a)が形成されており、これらの突出部(10a)が、分岐レール(5)の端部に形成された下方に開口する凹溝に嵌合することにより、ピッキングレール(10)の各端部の上面と分岐レール(5)の端部の上面とが整合するようにしている。
【0016】
ピッキングレール(10)の後端には、逆止装置(11)が配設されており、その上端部が枢支されて前下方に自重により傾斜する腕(11a)は、分岐レール(5)を前進してくるトロリー(4)の進入は許容するが、戻りを妨げる。
【0017】
ピッキングレール(10)は、その中間を枢軸(12)により昇降装置(13)の昇降部材(14)に傾動可能に支持されている。
昇降部材(14)は、図5に示すように、垂直方向に延びる案内部材(15)を抱いてこれに沿って延びる縦長部分(14a)と、その下部から側方に延びピッキングレール(10)を軸支する水平部分(14b)とからなり、三角形の補強材(14c)により補強されている。
【0018】
下方のワークステーション(2)まで延びる昇降装置(13)は、図5に示す調節可能な作動ストロークLのエアシリンダ(16)を下部に備え、昇降装置(13)の上部に一端を固定されたチェーン(17)が、エアシリンダ(16)のロッド先端のスプロケット(18)を巡って上方に折り返し、上部の2つのスプロケット(18)を巡って昇降部材(14)の上端に接続されている。
【0019】
図7及び図8に示すように、案内部材(15)には、ピッキングレール(10)とほぼ同じ方向に延びる上下1対の固定バー(19)(20)が上下に配設されている。
これらの固定バー(19)(20)は、ピッキングレール(10)の先端部付近の下面に溶接された作動バー(21)に当接して、ピッキングレール(10)を、前述の枢軸(12)を中心として傾動させるためのものである。
【0020】
図7及び図8に示すように、ピッキングレール(10)の前端部には、払い出し装置(22)が取り付けられている。
一方、案内部材(15)の上部のピッキングレール前端側には、ピン状の作動バー(23)が固定されており、これが、ピッキングレール(10)の上昇時に払い出し装置(22)に衝突するようになっている。
【0021】
払い出し装置(22)の構造と作動バー(23)との関係を図9及び図10を参照してさらに述べる。
これらの図から明らかなように、払い出し装置(22)では、そのブラケット(24)が、ピッキングレール(10)に固着されており、フック(25)がブラケット(24)に軸着されている。この軸着部からは、フック(25)と一体で、これとは反対側に延びる係止片(26)が延出しており、その下方に折り曲げた先端がロック部材(27)の段部(27a)に係合しうるようになっている。
【0022】
ロック部材(27)は、その先端が段部(27a)に向かって斜めに切った斜切部(27b)を有し、下端はピン(28)によりブラケット(24)に枢着されている。この斜切部(27b)が後述するように作動バー(23)に当接し、ロック部材(27)が回動する関係にある。
ロック部材(27)の中間部と、フック(25)の軸部分から垂下する垂下片(25a)の下端との間には、引張りコイルばね(29)の各端部が係止され、ロック部材(27)及びフック(25)は、それぞれ図9における時計回り方向に付勢されている。
【0023】
次に本発明の吊り下げ搬送装置の作動を説明する。
図1に示す分岐レール(5)に分離ホイール(6)が、乗り上げて、主ライン(1)から外れたトロリー(4)は、分岐レール(5)の緩やかな勾配を重力により移動され続け、図2及び図6に示す逆止装置(11)を越えて、ピッキングレール(10)の後端部における登り勾配となる手前で一旦停止する(図6の上部及び図7に示す状態)。
【0024】
この時、トロリー(4)を検出する任意の検出装置または手動により、昇降装置(13)のエアシリンダ(16)(図5)を作動させ、チェーン(17)を介して昇降部材(14)を下降させる。
【0025】
この下降により、昇降部材(14)が図2及び図6に示す下限位置付近に達すると、図8に示すように、そこに設けられている固定バー(20)に、ピッキングレール(10)の前端部付近の下部に溶接されている作動バー(21)が当接し、その結果、図6(上部)及び図7に示す姿勢にあったピッキングレール(10)が、枢軸(12)を中心として回動して、ピッキングレール(10)は、進行方向に向かって下がる下り勾配となる。
このため、逆止装置(11)を通過したところで一端停止していたトロリー(4)は前進し、払い出し装置(22)のフック(25)に係合して止まる。この状態を、図2及び図6のワークステーション(2)にあるトロリー(4)により示している。
【0026】
ワークステーション(2)における作業終了後、手動によりエアシリンダ(16)を逆作動させると、昇降部材(14)、従ってピッキングレール(10)は上昇し、図7に示すように固定バー(19)にピッキングレール(10)の作動バー(21)が衝突し、ピッキングレール(10)は登り勾配の姿勢となり、その際払い出し装置(22)のロック部材(27)の斜切部(27b)が作動バー(23)に当接し、その後、図10に示すように、ロック部材(27)が反時計方向に回動させられて、係止片(26)を外し、さらに係止片(26)が押し下げられて、フック(25)が上方に回動させられる。
これにより、停止していたトロリー(4)が払い出されて分岐レール(5)の合流側に進行する。
作動バー(23)との衝突から再下降により、ピッキングレール(10)が図10に示す高さ位置から図9に示す高さ位置に戻ると、フック(25)及びロック部材(27)は、引張りコイルばね(29)の付勢力により、それぞれ元の位置に復旧する。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、トロリーの昇降ストロークを大きくとることができ、吊り下げ搬送装置の主ラインを充分上方に離して配設できるので、キャリアが人の通行を妨げたり、床上に設置した家具等に当たったりすることがなく、また、床面上で例えばフォークリフト等が、搬送装置に接触する心配なく自由に動き回ることができる。
また、搬送装置が、充分上方に位置するため、モータ等の騒音を低減させることができる。
【0028】
さらに、ピッキングレールの中間部を昇降装置に軸支し、該昇降装置の下降に伴い前記ピッキングレールをその後部を高位に回動させるようにしてあるので、下降位置においてトロリーをピッキングレールの前部に重力により前進させることができる。
【0029】
請求項2記載の発明のように、ピッキングレールの前部を、分岐レールと連続するその上昇位置において、トロリーの前進方向に下がる傾斜をもたせると、ピッキングレールをその上昇位置に戻した時、トロリーを重力により払い出すことができる。
【0030】
請求項3記載の発明のように、ピッキングレールの後端部に、トロリーの逆止装置を設けると、一旦ピッキングレールに乗り上げたトロリーが、万一にも前の分岐レールに戻ったり、ピッキングレールから落下したりすることがない。
【0031】
請求項4記載の発明のように、ピッキングレールの前端部に、トロリーの払い出し装置を設けると、ピッキングレールがその上昇位置に戻るまでに万一にもトロリーが外れ落ちることがない。
【0032】
請求項5記載の発明のように、昇降装置を、上下ストローク調節可能な構造のものとすると、搬送装置及びワークステーションの設置高さを自由に選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る吊り下げ搬送装置のワークステーション付近の平面図である。
【図2】 同じく、側面図である。
【図3】 ドライブシャフトに懸架したトロリーを斜め上方から見た斜視図である。
【図4】 ドライブシャフトに懸架したトロリーの上部を前方から見た斜視図である。
【図5】 ワークステーションにおける昇降装置とトロリーとを正面から見た図である。
【図6】 ワークステーションにおける昇降装置とトロリーとを側面から見た図である。
【図7】 ピッキングレールが上昇位置にある昇降装置の拡大側面図である。
【図8】 ピッキングレールが下降位置にある昇降装置の拡大側面図である。
【図9】 ピッキングレールの後端部の払い出し装置のフックが掛かった状態の拡大側面図である。
【図10】 ピッキングレールの後端部の払い出し装置のフックが外れた状態の拡大側面図である。
【図11】 従来の吊り下げ搬送装置のワークステーション付近の側面図である。
【符号の説明】
(1)主ライン
(1a)ドライブシャフト
(2)ワークステーション
(3)駆動装置
(4)トロリー
(4a)懸架部
(4b)吊り下げ部
(5)分岐レール
(5a)可動部
(6)分離ホイール
(7)作動機構
(8)キャリア
(9)走行ホイール
(10)ピッキングレール
(10a)突出部
(11)逆止装置
(11a)腕
(12)枢軸
(13)昇降装置
(14)昇降部材
(14a)縦長部分
(14b)水平部分
(14c)補強材
(15)案内部材
(16)エアシリンダ
(17)チェーン
(18)スプロケット
(19)(20)固定バー
(21)作動バー
(22)払い出し装置
(23)作動バー
(24)ブラケット
(25)フック
(25a)垂下片
(26)係止片
(27)ロック部材
(27a)段部
(27b)斜切部
(28)ピン
(29)コイルばね
Claims (5)
- 搬送経路に沿って配設され、軸線まわりに回転駆動されるドライブシャフトと、該ドライブシャフトの回転方向に対して斜めの角度をもって当接する走行ホイールを介して、前記ドライブシャフトに懸架されたトロリーと、該トロリーに吊支された搬送物支持用キャリアとからなり、前記ドライブシャフトの回転により、前記トロリーが前記ドライブシャフトに沿って推進させられるようにした吊り下げ搬送装置におけるワークステーションへの接近装置であって、
前記走行ホイールから離間して前記トロリーの上部に分離ホイールを軸支し、かつ前記ドライブシャフトの上方に、前記分離ホイールと係合し、前記トロリーを前記ドライブシャフトへの懸架状態から開放する分岐レールを配設し、該分岐レールの一部分に、該分岐レールから分離可能なピッキングレールを連続させて配設し、かつ該ピッキングレールの中間部を、このピッキングレールを昇降させる昇降装置に軸支し、該昇降装置の下降に伴い前記ピッキングレールをその後部を高位に回動させるようにしたことを特徴とする吊り下げ搬送装置におけるワークステーションへの接近装置。 - ピッキングレールの前部を、分岐レールと連続するその上昇位置においてトロリーの前進方向に下がる傾斜をもたせた請求項1記載の吊り下げ搬送装置におけるワークステーションへの接近装置。
- ピッキングレールの後端部に、トロリーの逆止装置を設けた請求項1または2のいずれかに記載の吊り下げ搬送装置におけるワークステーションへの接近装置。
- ピッキングレールの前端部に、トロリーの払い出し装置を設けた請求項1〜3のいずれかに記載の吊り下げ搬送装置におけるワークステーションへの接近装置。
- 昇降装置を、上下ストローク調節可能な構造のものとした請求項1〜4のいずれかに記載の吊り下げ搬送装置におけるワークステーションへの接近装置。
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