図1は、この発明の第1実施例に係る内燃機関の吸入空気量制御装置の全体構成を示す概略図である。
同図において符合10は、図示しない車両に搭載された内燃機関(以下「エンジン」という)を示す。エンジン10は、例えば直列4気筒のDOHCエンジンからなる。
エンジン10の吸気管12の上流側にはスロットルバルブ14が配置される。スロットルバルブ14は、スロットルワイヤ16を介して車両(図示せず)の運転席フロアに設けられたアクセルペダル18に機械的に接続され、アクセルペダル18の踏み量に応じて開閉されてエンジン10の吸気を調量する。スロットルバルブ14の付近にはスロットルバルブ開度センサ20が設けられ、スロットルバルブ14の開度(以下「スロットル開度」という)θTHに応じた信号を出力してECU(電子制御ユニット)22に送出する。
ECU22は、エンジン10の各部の制御を行うための演算を行なうCPU22aと、エンジン10の各部の制御を行うためのプログラムおよび各種のデータ(テーブルなど)を格納するROM(EEPROM)22bと、CPU22aによる演算の作業領域を提供し、エンジン10の各部から送られてくるデータおよびエンジン10の各部に送り出す制御信号を一時記憶するRAM22cと、エンジン10の各部から送られてくるデータを受け入れる入力回路22dと、エンジン10の各部に制御信号を送る出力回路22eなどを備える。
スロットルバルブ14の下流のインテークマニホルド(図示せず)の直後の吸気ポート付近には、気筒(図示せず)ごとにインジェクタ(燃料噴射弁)24が設けられる。インジェクタ24は、図示しない燃料タンクから燃料ポンプおよび燃料供給管を介してガソリン燃料が圧送されると共に、ECU22からの制御信号によって開弁時間が制御される。
吸気管12には、スロットルバルブ14の上流側と下流側とを連通してスロットルバルブ14をバイパスするバイパス通路(2次空気通路)26が接続される。バイパス通路26の途中にはバイパス空気量を調整する2次空気量調整バルブ30(特許請求の範囲に記載した吸入空気量調整弁)が設けられる。
2次空気量調整バルブ30は、ロータリソレノイド32(アクチュエータ)と、その出力軸32aに固定された弁体34とを備えたロータリ式のバルブ(RACV;Rotary Air Control Valve)である。ロータリソレノイド32は、駆動回路36を介して車載バッテリ(図1で図示省略)に接続され、電力の供給を受ける。また、駆動回路36にはECU22が接続される。駆動回路36は、ECU22から送出された制御信号(パルス信号)に従って動作させられることにより、車載バッテリからロータリソレノイド32に供給される電流の方向と大きさを制御する。
弁体34は、ロータリソレノイド32の出力軸32aの回動軸線を中心に回動させられることで、バイパス通路26の流路面積を連続的に変化させ、エンジン10に供給される2次空気量を調整する。尚、2次空気量調整バルブ30は、ロータリソレノイド32が非通電のときの機械的な開度(初期位置)が50%(全開と全閉の中間位置)となるように設定される。
吸気管12のスロットルバルブ14の下流側には、吸気管圧力センサ40および吸気温センサ42が装着され、それぞれ吸気管内圧力(負荷)PBAおよび吸気温TAを示す電気信号を出力する。また、エシジン10のシリンダブロックの冷却水が充満した気筒周壁(図示せず)には、エンジン冷却水温センサ44が取り付けられ、エンジン冷却水温TWに応じた信号を出力する。
エンジン10のカム軸またはクランク軸(共に図示せず)の付近には、気筒判別センサ46が取り付けられ、特定の気筒が所定のクラシク角度位置に達したときに気筒判別信号CYLを出力する。エンジン10のクランク軸の付近には、さらにTDCセンサ48およびクランク角センサ50が取り付けられる。TDCセンサ48は各気筒のピストンのTDC位置に関連した所定のクランク角度位置でTDC信号を出力し、クランク角センサ50はTDC信号よりも周期の短いクランク角度(例えば30度)でCRK信号を出力する。CRK信号はECU22によってカウントされ、エンジン回転数NEが検出される。
エンジン10は排気管54を備え、排気管54の途中に設けられた排出ガス浄化装置である三元触媒56を介して燃焼ガスを外部に排出する。排気管54の途中に装着された広域空燃比センサ(以下「LAFセンサ」という)58は、リーンからリッチにわたる範囲において、排出ガス中の実空燃比に比例する出力を生じ、ECU22に送出する。
エンジン10が搭載される車両のドライブシャフト付近には、車速センサ60が配置され、車両の走行速度を示す出力を生じてECU22に送る。車速センサ60の出力はECU22によってカウントされ、車速VPが検出される。また、エンジンルーム(図示せず)の適宜位置には大気圧センサ62が設けられ、大気圧PAに応じた信号を出力する。
また、車両の運転席(図示せず)付近には、イグニッションスイッチ64が設けられる。イグニッションスイッチ64は、順にオフ、アクセサリー、オンおよびスタートの公知の4つのポジションを有し、運転者によって選択されたポジションに応じて各電気機器への電力の供給および遮断を行う。具体的には、オフポジションが選択されると、ECU22や各種センサ、アクチュエータなどへの一切の電力供給が遮断される。また、アクセサリーポジションが選択されると、ラジオなどの一部の補機類に電力供給が開始され、オンポジションが選択されると、セルモータを除くECU22や各種センサ、アクチュエータなどへの電力供給が開始される。そして、オンポジションを通過してスタートポジションが選択されると、セルモータが動作してクランキングが開始され、エンジン10が始動される。
上記した各種センサの出力は、ECU22の入力回路22dに入力される。入力回路22dは、入力信号波形を整形して電圧レベルを所定レベルに修正し、アナログ信号値をデジタル信号値に変換する。CPU22aは、変換されたデジタル信号を処理すると共に、ROM22bに格納されているプログラムに従って演算を実行し、出力回路22eを介して駆動回路36に制御信号(パルス信号)を送出してロータリソレノイド32への通電を制御して2次空気量調整バルブ30の開度を調整し、エンジン10に供給される2次空気量を調整する。また、CPU22aは、同様にROM22bに格納されているプログラムに従って演算を実行し、インジェクタ24、イグナイタおよびその他のアクチュエータ(共に図示せず)に制御信号を送る。
次いで、上記した駆動回路36について詳説する。図2は、駆動回路36の回路図である。
図2に示すように、駆動回路36は、第1のディレイ部36aと、第2のディレイ部36bとを備える。第1のディレイ部36aの一端はECU22の出力回路22eに接続される一方、他端は第1のFET(電界効果トランジスタ)36cと第2のFET36dのゲート側に接続される。
また、第2のディレイ部36bは、その一端がノット(NOT)ゲート36eを介して出力回路22eに接続される一方、その他端が第3のFET36fと第4のFET36gのゲート側に接続される。尚、第1から第4のFET36c,36d,36f,36gのドレイン側は、車載バッテリ70に接続される。
ECU22の出力回路22eは、制御信号(パルス信号)を第1のディレイ部36aと第2のディレイ部36bに出力する。ECU22が出力するパルス信号のデューティ比は、2次空気量調整バルブ30の開閉方向と開度に応じて決定される。以下、ECU22が出力するパルス信号のデューティ比を「出力パルスデューティ比DOUTR」という。
第1のディレイ部36aは、入力したパルス信号を所定時間遅延させて第1のFET36cと第2のFET36dのゲート側に出力する。また、第2のディレイ部36bは、ノットゲート36eで反転されたパルス信号を入力し、所定時間遅延させて第3のFET36fと第4のFET36gのゲート側に出力する。
第1から第4のFET36c,36d,36f,36gは、ゲート側に入力されるパルス信号がオン出力のときにドレイン電流が流れる一方、ゲート側に入力されるパルス信号がオフ出力のときはドレイン電流が流れない。
従って、ECU22の出力パルスがオン出力のとき、第1のFET36cと第2のFET36dにドレイン電流が流れ、よってロータリソレノイド32のコイル32bにそのプラス側からマイナス側へと流れる電流が供給される。他方、第3のFET36fと第4のFET36gのゲート側に入力されるパルス信号はノットゲート36eで反転されていることから、ECU22の出力パルスがオフ出力のときに第3のFET36fと第4のFET36gにドレイン電流が流れ、よってコイル32bにそのマイナス側からプラス側へと流れる電流が供給される。即ち、出力パルスデューティ比DOUTRに応じ、コイル32bにプラス側からマイナス側へと電流が流れる時間と、マイナス側からプラス側へと電流が流れる時間が決定される。尚、この実施例にあっては、コイル32bにプラス側からマイナス側へと流れる電流が供給されるとき、2次空気量調整バルブ30が開弁方向に駆動され、コイル32bにマイナス側からプラス側へと電流が流れる電流が供給されるとき、2次空気量調整バルブ30が閉弁方向に駆動されるものとする。
ここで、出力パルスデューティ比DOUTRが50%のときは、電流がプラス側からマイナス側へと流れる時間とマイナス側からプラス側へと流れる時間が等しくなることから、コイル32bに供給される電流は図3に示す如く実質的に零となる。このため、2次空気量調整バルブ30は初期位置に戻され、その機械的な開度は50%(全開と全閉の中間位置)とされる。
尚、図3に示す如く、出力パルスデューティ比DOUTRが50%であっても、FETの特性上、正確にはコイル32bに微量の電流が流れる。しかしながら、かかる電流は、車載バッテリ70の容量と比較した場合、零と見做すことができる程度の微電流である。従って、この明細書においては、出力パルスデューティ比DOUTRが50%であるとき、ロータリソレノイド32は非通電であるものとした。
一方、出力パルスデューティ比DOUTRが50%を上回るときは、電流がプラス側からマイナス側へと流れる時間が、マイナス側からプラス側へと流れる時間を上回ることから、2次空気量調整バルブ30は開弁方向に駆動される。即ち、出力パルスデューティ比DOUTRが50%を超えて大きくなるに従ってプラス側からマイナス側へと流れる電流が大きくなり、よって2次空気量調整バルブ30の開度が大きくなって吸入空気量が増加させられる。より詳しくは、図3に示すように、出力パルスデューティ比DOUTRが95%のときに2次空気量調整バルブ30の開度が全開とされ、吸入空気量(2次空気量)が最大とされる。
また、出力パルスデューティ比DOUTRが50%を下回るときは、電流がプラス側からマイナス側へと流れる時間が、マイナス側からプラス側へと流れる時間を下回ることから、2次空気量調整バルブ30は閉弁方向に駆動される。即ち、出力パルスデューティ比DOUTRが50%を下回って小さくなるに従ってマイナス側からプラス側へと流れる電流が大きくなり、よって2次空気量調整バルブ30の開度が小さくなって吸入空気量が減少させられる。より詳しくは、図3に示すように、出力パルスデューティ比DOUTRが5%のときに2次空気量調整バルブ30の開度は全閉とされ、吸入空気量(2次空気量)が最小とされる。
このように、この実施例にあっては、ECU22が出力するパルス信号のデューティ比DOUTRを5%から95%の間で変化させることにより、ロータリソレノイド32の通電(車載バッテリ70から供給される電流の方向と大きさ)を制御して2次空気量調整バルブ30の開度を調整し、よってエンジン10の吸入空気量(2次空気量)を調整することができる。
尚、第1から第4のFET36c,36d,36f,36gのゲート側に供給されるパルス信号を第1のディレイ部36aと第2のディレイ部36bで所定時間遅延させたのは、ECU22の出力パルスがデューティ比50%以下からそれ以上の値に切り換えられたとき(あるいはその逆のとき)、貫通電流が発生する(4個全てのFETにドレイン電流が流れる)のを防止するためである。
続いて、この実施例に係る内燃機関の吸入空気量制御装置の動作について説明する。
図4は、その動作を示すフローチャートである。図示のプログラムは、イグニッションスイッチ64がオンされた(ECU22への電力供給が開始されるオンポジションが選択された)とき、CPU22aにおいて例えば5[msec]ごとに実行(ループ)される。
以下説明すると、先ず、S10において、フラグF.STのビットが1にセットされているか否かを判断する。フラグF.STのビットは後述するステップで設定され、そのビット(初期値0)が1にセットされているときは今回のプログラムループがイグニッションスイッチ64がオンされてから2回目以降のプログラムループであることを示す一方、0にリセットされているときは、今回のプログラムループが初回のプログラムループであることを示す。
初回のプログラムループではS10で否定されてS12に進み、イニシャライズ処理を行う。具体的には、第1の通電停止タイマTRAOFF1(ダウンカウンタ。特許請求の範囲に記載した第1の計時手段)に所定時間#TRAOFF1(特許請求の範囲に記載した第1の所定時間。例えば10[sec])をセットすると共に、クリーニング処理実行タイマTRAINI(ダウンカウンタ)に所定時間#TRAINI(例えば80[msec])をセットする。次いでS14に進み、フラグF.STのビットを1にセットする。これにより、次回以降のプログラムループではS10で肯定され、S12およびS14の処理がスキップされる。
次いでS16に進み、フラグF.TDCEXISTのビットが1にセットされているか否か判断する。フラグF.TDCEXISTのビットは図示しないルーチンで設定され、そのビット(初期値0)が1にセットされているときはTDCセンサ48によって最初のTDC信号が出力された(即ち、イグニッションスイッチ64のスタートポジションが選択されてクランキングが開始し、クランクシャフトの回転が検出された)ことを示す一方、そのビットが0にリセットされているときはTDC信号が未だ出力されていない(即ち、クランキングが開始されていない)ことを示す。
S16で否定されるときはS18に進み、第1の通電停止タイマTRAOFF1の値が零に達したか否か、即ち、イグニッションスイッチ64がオンされてからの経過時間がS12でセットした所定時間#TRAOFF1に達したか否か判断する。S18で否定されるときは、次いでS20に進んでクリーニング処理実行タイマTRAINIの値が零に達したか否か判断する。
S20で否定されるときはS22に進み、クリーニング処理実行タイマTRAINIの値が所定時間#TRAINIの2分の1(即ち、40[msec])未満になったか否か判断する。S22で否定されるとき次いでS24に進み、前記した出力パルスデューティ比DOUTR(ECU22が出力するパルス信号のデューティ比)を5%に設定する。即ち、2次空気量調整バルブ30の開度を全閉にする。
一方、S22で肯定されるときは、S26に進んで出力パルスデューティ比DOUTRを95%に設定する。即ち、2次空気量調整バルブ30の開度を全開にする。
このように、イグニッションスイッチ64がオンされてからクランキングが開始されるまでの短時間に2次空気量調整バルブ30の開度を大きく変化させる(全閉から全開にする、あるいはその逆でも良い。また、それらの動作を繰り返し行っても良い)ことにより、2次空気量調整バルブ30に付着した粉塵を除去する(振り払う)ことができる。かかるクリーニング処理を実行することで、2次空気量調整バルブ30の開閉動作が円滑に行われるようになり、エンジン10の始動性およびアイドル運転の安定性を向上させることができる。
図4フローチャートの説明を続けると、S20で肯定されるとき、即ち、イグニッションスイッチ64がオンされてから所定時間#TRAINIが経過したと判断されたときは、次いでS28に進み、通常制御デューティ比DOUTRNMLを算出する。具体的には、冷却水温TWなどに基づいて目標アイドル回転数を算出し、算出された目標アイドル回転数と検出されたエンジン回転数NEの偏差を算出する。そして、かかる偏差を解消するのに必要な吸入空気量(2次空気量)を算出し、その算出値に基づいて2次空気量調整バルブ30の開度、即ち、通常制御デューティ比DOUTRNMLを算出する。尚、通常制御デューティ比DOUTRNMLを算出する際、車載バッテリ70の電圧値に基づく電圧補正なども行うが、この発明の要旨とは直接の関係を有しないため、より詳しい説明は省略する。
次いでS30に進み、出力パルスデューティ比DOUTRを、上記のようにして算出した通常制御デューティ比DOUTRNMLに設定する。
このように、この実施例にあっては、クランキングが開始される前にクリーニング処理を実行すると共に、クリーニング処理が終了した後、さらに、2次空気量調整バルブ30の開度を各種センサの出力値に基づいて調整する通常の制御動作に移行するようにした。これにより、クランキング開始時にエンジン10の始動に必要な空気量を速やかに供給することができ、よってエンジン10の始動性を向上させることができる。
他方、S18で肯定されるとき、即ち、イグニッションスイッチ64がオンされてからクランキングが開始されることなく所定時間#TRAOFF1が経過したと判断されたときは、次いでS32に進み、出力パルスデューティ比DOUTRを50%に設定する。即ち、ロータリソレノイド32への通電を停止し、2次空気量調整バルブ30の機械的な開度を50%(初期位置)にする。
このように、イグニッションスイッチ64がオンされてからの経過時間を第1の通電停止タイマTRAOFF1で計測し、かかる経過時間が所定時間#TRAOFF1を超えるまでの間にクランキングが開始されない(エンジン10の駆動が検出されない。具体的には、クランクシャフトの回転を示すTDC信号が出力されない)場合、2次空気量調整バルブ30を開閉させるロータリソレノイド32への通電を停止するようにしたので、不要な電力が消費されるのを防止することができる。
一方、イグニッションスイッチ64がオンされてから所定時間#TRAOFF1が経過するまでにエンジン10のクランキングが開始されたときは、S16で肯定されてS34に進み、フラグF.MEOFのビットが1にセットされているか否か判断する。フラグF.MEOFのビットは、図示しないルーチンにおいて最新のTDC信号が出力されてからの経過時間が所定時間を超えたときに1にセットされる。即ち、フラグF.MEOFのビットは、TDC信号の出力が途絶え、エンジン10がストールしたと考えられるときに1にセットされる一方、エンジン10の運転が継続されているときは0にリセットされる。
S34で否定されてエンジン10の運転が継続されていると判断されるときは、S36に進み、第2の通電停止タイマTRAOFF2(ダウンカウンタ。特許請求の範囲に記載した第2の計時手段)に所定時間#TRAOFF2(特許請求の範囲に記載した第2の所定時間。例えば10[sec])をセットすると共に、S28およびS30に進み、前記した通常の制御動作を実行する。
他方、S34で肯定されてエンジン10がストールしていると判断されるときは、S38に進み、第2の通電停止タイマTRAOFF2の値が零に達したか否か判断する。第2の通電停止タイマTRAOFF2は、エンジン10のストールが検出されてS34で肯定されるまではプログラムループ毎にS36で所定時間#TRAOFF2がセットされていたことから、S38の処理は、エンジン10がストールしてからの経過時間が所定時間#TRAOFF2に達したか否か判断することに相当する。
S38で否定されるときはS28とS30に進んで通常の制御動作を継続する一方、S38で肯定されてエンジン10のストールが所定時間#TRAOFF2を超えて継続されていると判断されたときは、S32に進んで出力パルスデューティ比DOUTRを50%に設定し、ロータリソレノイド32への通電を停止して2次空気量調整バルブ30の機械的な開度を50%(初期位置)にする。
このように、エンジン10がストールしてからの経過時間を第2の通電停止タイマTRAOFF2で計測し、かかる経過時間が所定時間#TRAOFF2を超えるまでの間にクランキングが開始されない(エンジン10の駆動が検出されない。具体的には、クランクシャフトの回転を示すTDC信号が再度出力されない)場合、2次空気量調整バルブ30を開閉させるロータリソレノイド32への通電を停止するようにしたので、不要な電力が消費されるのを防止することができる。
また、エンジン10がストールしてからの経過時間が所定時間#TRAOFF2を超えるまでは通常の制御が継続されることから、運転者がストール後にエンジン10を再始動させる際、それに必要な空気量を速やかに供給することができ、よってエンジン10の再始動時の始動性を向上させることができる。
このように、この実施例に係る内燃機関の吸入空気量制御装置にあっては、イグニッションスイッチ64がオンされたときに2次空気量調整バルブ30を開閉させるロータリソレノイド32への通電を開始する一方、イグニッションスイッチ64がオンされてからの経過時間を第1の通電停止タイマTRAOFF1で計測し、計測された経過時間が所定時間#TRAOFF1を超えるまでの間にTDC信号が出力されないとき(即ち、クランクシャフトの回転が検出されないとき)、ロータリソレノイド32への通電を停止するように構成したので、クランキング開始時にエンジン10の始動に必要な空気量を速やかに供給することができ、よってエンジン10の始動性を向上させることができると共に、クランキングが開始されなかったときの不要な電力の消費を防止することができる。
また、TDC信号の出力が途絶えてエンジン10がストールしたことが検出されてからの経過時間を第2の通電停止タイマTRAOFF2で計測し、計測された経過時間が所定時間#TRAOFF2を超えるまでの間にTDC信号が再度出力されないとき、ロータリソレノイド32への通電を停止するように構成したので、上記した効果に加え、エンジン10がストールして再始動されなかったときに不要な電力が消費されるのを防止することができる。また、ストール後、所定時間#TRAOFF2が経過するまではロータリソレノイド32への通電を継続する(通常の制御を継続する)ようにしたので、エンジン10を再始動するためのクランキングが開始された際、始動に必要な空気量を速やかに供給することができ、よってエンジン10の始動性を向上させることができる。
また、エンジン10の駆動を、クランクシャフトの回転を示すTDCセンサ48の出力(TDC信号)に基づいて検出するようにしたので、エンジン10の駆動(具体的には、エンジン10が始動したか、あるいは停止しているか)を精度良く検出することができ、上記した効果をより一層効果的に得ることができる。
以上の如く、この発明の第1実施例にあっては、内燃機関(エンジン10)に供給される吸入空気量を調整する吸入空気量調整弁(2次空気量調整バルブ30)と、前記吸入空気量調整弁(30)を開閉させるアクチュエータ(ロータリソレノイド32)と、前記アクチュエータ(32)への通電を制御する制御手段(ECU22)とを備えた内燃機関の吸入空気量制御装置において、イグニッションスイッチ(64)がオンされてからの経過時間を計測する第1の計時手段(ECU22、第1の通電停止タイマTRAOFF1、図4フローチャートのS12,S18)と、前記内燃機関(10)のクランキングの開始を検出するクランキング開始検出手段(TDCセンサ48)とを備えると共に、前記制御手段(22)は、前記イグニッションスイッチ(64)がオンされたときに前記アクチュエータ(32)への通電を開始する(図4フローチャートのS10からS30)一方、前記第1の計時手段で計測された経過時間が第1の所定時間(#TRAOFF1)を超えるまでの間に前記内燃機関(10)のクランキングの開始が検出されないとき、前記アクチュエータへの通電を停止する(図4フローチャートのS16,S18およびS32)ように構成した。
また、内燃機関(エンジン10)に供給される吸入空気量を調整する吸入空気量調整弁(2次空気量調整バルブ30)と、前記吸入空気量調整弁(30)を開閉させるアクチュエータ(ロータリソレノイド32)と、前記アクチュエータ(32)への通電を制御する制御手段(ECU22)とを備えた内燃機関の吸入空気量制御装置において、前記内燃機関(10)のクランキングの開始を検出するクランキング開始検出手段(TDCセンサ48)と、前記内燃機関(10)のストールを検出するストール検出手段(ECU22、図4フローチャートのS34)と、前記内燃機関(10)のストールが検出されてからの経過時間を計測する第2の計時手段(ECU22、第2の通電停止タイマTRAOFF2、図4フローチャートのS34,S36)とを備えると共に、前記制御手段は、イグニッションスイッチ(64)がオンされたときに前記アクチュエータ(32)への通電を開始する(図4フローチャートのS10からS30)一方、前記第2の計時手段で計測された経過時間が第2の所定時間(#TRAOFF2)を超えるまでの間に前記内燃機関(10)のクランキングの開始が検出されないとき、前記アクチュエータ(32)への通電を停止する(図4フローチャートのS34,S38およびS32)ように構成した。
また、前記クランキング開始検出手段が、前記内燃機関(10)のクランクシャフトの回転(具体的には、それを表すTDC信号)を検出する回転検出手段(TDCセンサ48)からなるように構成した。
尚、上記において、第1の所定時間#TRAOFF1と第2の所定時間#TRAOFF2を同じ値に設定したが、値を相違させても良い。
また、イグニッションスイッチ64がオンされてからの経過時間を計測するタイマ(第1の通電停止タイマTRAOFF1)とエンジン10がストールしてからの経過時間を計測するタイマ(第2の通電停止タイマTRAOFF2)を別々に設けたが、エンジン10のクランキングが開始してS16で肯定された後は、ECU22への電力供給が遮断されるまでS18からS26の処理に進むことはない、即ち、第1の通電停止タイマTRAOFF1による計時と第2の通電停止タイマTRAOFF2による計時が同時に必要とされることはないので、イグニッションスイッチ64がオンされてからの経過時間とエンジン10がストールしてからの経過時間を1つのタイマで計測するようにしても良い。
また、2次空気量調整バルブ30を開閉させるアクチュエータをロータリソレノイド32としたが、パルスモータなど、他のアクチュエータを用いても良い。
また、エンジン10の駆動をクランクシャフトの回転(TDCセンサ48の出力)に基づいて検出するようにしたが、エンジン10のカムシャフトの回転やピストンの位置を検出し、それらの値に基づいてエンジン10の駆動を検出するようにしても良い。
また、スロットルバルブ14とアクセルペダル18をワイヤー16で機械的に接続し、エンジン10の始動時およびアイドル運転時の吸入空気量をバイパス通路26に配置された2次空気量調整バルブ30で調整するようにしたが、この発明は、スロットルバルブとアクセルペダルの機械的な接続を絶ち、アクチュエータでスロットルバルブを開閉するDBW方式を採用する装置にも妥当するものである。その場合、上記したロータリソレノイド32に代え、スロットルバルブを駆動するアクチュエータへの通電を制御するのは言うまでもない。