JP4064539B2 - 航空機地上誘導システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、飛行場で行われる地上管制業務において、航空機の地上航行経路を自動的に決定し、誘導する航空機地上誘導システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
飛行場において、航空機は、旅客の乗降・貨物の積降しなどのための区域であるエプロンに停留され、特に航空機が旅客用の場合には、乗客の乗降する地点であるスポットに停留される。
【0003】
飛行場内の滑走路を除く走行区域における航空機の地上航行は、全て管制塔にいる管制官の指示にしたがう。
すなわち、例えば航空機が着陸した場合には、地上管制官は、滑走路からスポットまでの移動経路のうちどの経路で航空機を進ませるかを決定し、この決定経路を無線でパイロットに通知して誘導を行う。
【0004】
同様に、航空機が離陸する場合にも、地上管制官は、航空機がエプロンから離れて滑走路に進入するまでの経路を決定し、無線でパイロットに通知して誘導を行う。
【0005】
無線によって指示を受けたパイロットは、この管制官からの指示にしたがって地上の灯火及び標識、他の航空機との間隔に注意しながら指定されたエプロン又は滑走路位置まで航空機を航行させる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来の誘導方法を用いて航空機の誘導を行う場合には、地上管制官は、着陸する航空機に対して的確な指示を与える業務の他に、着陸後の航空機を滑走路からエプロンにまで誘導する業務、航空機を離陸させるためにエプロンを離れて滑走路にまで誘導する業務等を行う必要があり、多忙を極めることになる。
【0007】
特に、この従来の誘導方法を、航空機の運行量の多い飛行場において運用する場合や、視界の悪い状況下で正確な航空機の移動経路及び航空機の位置を把握しながら運用する場合には、管制官の負担が増大する。
【0008】
本発明は、以上のような実状に鑑みてなされたもので、滑走路とエプロンの間の経路を自動決定し、この決定された経路の誘導路灯のみを点灯させて航空機の誘導を行うことで、地上管制官の負担を軽減させ、パイロットに明確な誘導経路を示す航空機地上誘導システムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記に述べた目的を達成するための具体的手段を以下に説明する。
本発明は、飛行場における航空機の地上航行を誘導するための航空機地上誘導システムである。
【0012】
本発明の請求項1においては、複数の端末制御手段が、飛行場内に設置されている複数の誘導路灯のそれぞれに接続されており、アドレスを有しており、点灯命令又は消灯命令にしたがって自らに接続されている誘導路灯の灯火を制御する。
また、入力手段が航空機の停留区域を含む領域である共通エリアの周部と滑走路の間の経路、及びエプロンルートを決定するために必要な情報を入力する。
【0013】
また、誘導路ルート決定手段が、この入力手段に入力された情報に基づいて共通エリア周部と滑走路の間の経路を決定し、この経路上に存在する端末制御手段のアドレスを抽出する
さらに、エプロンルート決定手段が、航空機の停止位置であるスポットの割り当てを管理するスポット管理システムの有するスポット情報を入力し、入力手段から情報を入力し、スポット情報で示される位置と共通エリア周部の間の経路であるエプロンルートを決定し、このエプロンルート上に存在する端末制御手段のアドレスを抽出する
【0014】
そして、制御処理手段が、誘導路ルート決定手段及びエプロンルート決定手段で抽出されたアドレスを有する端末制御手段に対して点灯処理を実行し、その他の端末制御手段に対しては消去処理を実行する。
したがって、管制官が、共通エリアの周部と滑走路の間の経路、及びスポット情報で示される位置と共通エリア周部の間の経路であるエプロンルートを決定し、無線でその内容をパイロットに通知する必要がないため、この管制官の負担を軽減させることができる。
また、共通エリアの周部と滑走路の間の経路、及びスポット情報で示される位置と共通エリア周部の間の経路であるエプロンルートの誘導路を点灯させるため、パイロットに明確に経路を示すことができ、地上航行の安全性が向上する
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
本実施の形態においては、管制官が航空機を地上航行させるための条件を選択し、この選択結果から着陸後の航空機の地上航行経路又は離陸前の航空機の地上航行経路を自動的に決定し、決定された経路上の誘導路中心線灯のみを点灯させる航空機地上誘導システムについて説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態に係る航空機地上誘導システムの構成を示すブロック図である。
この航空機地上誘導装置では、入力部1及びスポット管理システム2の情報から誘導路ルート決定処理部3及びエプロンルート決定処理部4が経路を決定し制御処理部5に通知する。また、制御処理部5からの点灯・消灯命令にしたがって端末制御器61〜6nが誘導路中心線灯71〜7nの点灯・消灯を制御する。さらに、制御処理部5が経路情報を表示部8に出力し経路表示を行う。
【0017】
なお、この本実施の形態に係る航空機地上誘導システムは、図2に示すような飛行場で使用されるものとし、少なくとも入力部1、スポット管理システム2、表示部8は管制塔に設置されていると考える。
【0018】
この図2は飛行場上面図であり、一端がA側、他端がB側とされている滑走路9が設けられている。
この飛行場には航空機の停留区域である3つのエプロンエリア10a〜10cが設けられている。エプロンエリア10a、10cはオープンスポット、エプロンエリア10bはターミナルビルとなっている。各エプロンエリア10a〜10cには、乗客の乗降用の少なくとも一つのスポットがある。
【0019】
共通エリア11は、エプロンエリア10a〜10cを含む領域であり、この共通エリア11と滑走路9の間には網状の誘導路12が設けられている。
以下に、図1の航空機地上誘導システムの各構成要素について詳細に説明する。
【0020】
入力部1は、航空機による地上航行の経路決定に必要とされる管制官からの情報を入力し、この入力した情報を誘導路ルート決定処理部2及びエプロンルート決定処理部3に出力する。
【0021】
なお、経路決定に必要な情報として扱われるものには、例えば滑走路使用方向の指定、到着エプロンエリアの指定、出発エプロンエリアの指定がある。
図3は、この入力部1における入力画面のレイアウト例を示す図である。
【0022】
入力すべき情報である滑走路使用方向とは、航空機が着陸又は離陸のために滑走路を移動する方向を示す情報である。例えば、図2の飛行場の滑走路8において航空機がA側からB側へ移動する場合には滑走路使用方向aが選択され、その逆の場合には滑走路使用方向bが選択される。この滑走路使用方向は一般的に風向きに依存し、風がA側からB側にふいている場合には滑走路使用方向はbが選択され、その逆の場合には滑走路使用方向はaが選択される。
【0023】
到着エプロンエリアは、着陸した航空機を複数のエプロンエリア10a〜10cのうちのどのエプロンエリアに停留させるかを示す情報である。
出発エプロンエリアは、エプロンエリア10a〜10cのうち離陸する航空機が停留しているエプロンエリアを示す情報である。
【0024】
すなわち、管制官は、航空機が着陸する場合には、この入力部1に、滑走路使用方向及び到着エプロンエリアを入力し、航空機が離陸する場合には、滑走路使用方向及び出発エプロンエリアを入力する。
【0025】
スポット管理システム2は、既成のシステムであって、航空機を停留させるスポットのスケジュール管理を行うシステムである。このスポット管理システム2は、空きスポットや、航空機格納済みのスポットを認識しており、これらに関する情報は、エプロンルート決定処理部4に出力される。
【0026】
誘導路ルート決定処理部3は、入力部1から入力された情報に基づいて、滑走路8と共通エリア11の間に存在する誘導路12の経路を決定する機能を有する。
【0027】
すなわち、この誘導路ルート決定処理部3は、滑走路使用方向及び到着エプロンエリア、又は滑走路使用方法及び出発エプロンエリアを入力する。そして、入力された情報に基づいて、誘導路12の経路を決定し、この決定した経路を示す情報を制御処理部5に出力する。この経路の決定方法としては、例えば各種の経路選択アルゴリズムが利用可能である。また、入力される情報と経路を予め関連付けしてパターン化しておき、実際に入力された情報からパターン化されている経路を選択する手法なども利用可能である。
【0028】
また、この誘導路ルート決定処理部3は、共通エリア11の周部も点灯すべき箇所であるとし、この共通エリア周部を示す情報も制御処理部5に通知する。
エプロンルート決定処理部4は、入力部1から情報を入力し、この情報から離陸前の航空機の経路決定を行うのか、着陸後の航空機の経路決定を行うのかを判断する。すなわち、到着エプロンエリアを含む情報を入力すれば着陸後の航空機の経路決定を行うと判断し、出発エプロンエリアを含む情報を入力すれば離陸前の航空機の経路決定を行うと判断する。
【0029】
判断の結果、実行する経路決定が着陸後に関するものであれば、スポット管理システム2からのスポット情報として空きスポット番号を含む情報を入力する。これに対し、実行する経路決定が離陸前に関するものであれば、誘導対象となる航空機が停留されているスポット番号を含む情報をスポット情報としてスポット管理システム2から入力する。
【0030】
そして、このエプロンルート決定処理部2は、共通エリア周部とスポットとの間の経路であるエプロンルートをスポット番号から決定し、この決定されたエプロンルートを示す情報を制御処理部5に出力する。なお、ここでは、予め各スポット番号にエプロンルートが関連付けされているものとする。
【0031】
図4は、共通エリアにおけるスポットとエプロンルートの関係を示す概念図であり、エプロンエリア10bに関するものを例として示している。
先に述べたように、エプロンルート13は、共通エリア周部14とスポット15との間を結ぶ経路であり、スポット15が指定されれば自動的にエプロンルート13は決定される。
【0032】
制御処理部5は、誘導路ルート決定処理部3から誘導路12の経路に関する情報及び共通エリア周部を指定する情報を入力し、またエプロンルート決定処理部4からエプロンルートを示す情報を入力する。そして、この入力した情報で示される位置の誘導路中心線灯を点灯させ、他の誘導路中心灯を消灯させるために、点灯すべき誘導路中心線灯に接続されている端末制御器に点灯命令を出力し、他の端末制御器に消灯命令を出力する。
【0033】
また、この制御処理部5は、誘導路中心線灯を点灯させる位置の指定図を表示部8に出力する。
端末制御器61〜6nは、飛行場内に設置されている誘導路中心線灯71〜7nの各灯器に接続されており、制御処理部5から入力される点灯命令・消灯命令にしたがって自らに接続されている誘導路中心線灯71〜7nの灯火を制御する。
【0034】
誘導路中心線灯71〜7nは、共通エリア11や誘導路12に設置されているライトである。
表示部8は、当該航空機地上誘導システムから管制官に提供されるデータを表示する。この表示データとしては、例えば飛行場の誘導状況などがある。
【0035】
上記の構成を持つ航空機地上誘導システムの動作を以下において説明する。なお、ここでは着陸後の航空機の誘導及び離陸前の航空機の誘導の双方が実行される場合について述べる。
【0036】
この航空機地上誘導システムにおいては、まず管制官によって、滑走路使用方向がaであるかbであるかが選択され、また着陸した航空機の到着エプロンエリアが選択され、さらに出発する航空機が現在駐機している出発エプロンエリアが選択される。ここでは、管制官によって、滑走路使用方向a、到着エプロンエリア10a、出発エプロンエリア10cが選択されたとし、その旨が入力部1に入力される。
【0037】
この選択結果に関する情報は、誘導路ルート決定処理部3及びエプロンルート決定処理部4に出力される。
誘導路ルート決定処理部3においては、選択情報に基づいて着陸後の航空機の経路及び離陸前の航空機の経路の双方が決定される。そして、この両経路上に存在する端末制御器のアドレスが抽出され、制御処理部5に出力される。
【0038】
また、この誘導路ルート決定処理部3においては、共通エリア周部に存在する端末制御器のアドレスも抽出され、制御処理部5に出力される。
一方、エプロンルート決定処理部4には、スポット管理システム2から離陸前航空機の格納されているスポット番号及び着陸後航空機を格納する空きスポット番号が入力され、また入力部1の選択結果に関する情報が入力される。そして、この各スポット番号から離陸前のエプロンルート及び着陸後のエプロンルートが決定され、この両エプロンルート上に存在する端末制御器のアドレスが抽出され、制御処理部5に出力される。
【0039】
制御処理部5においては、誘導路ルート決定処理部3及びエプロンルート決定処理部4から入力されるアドレスを有する端末制御器に対して点灯処理が実行され、点灯命令が出力される。また、その他の端末制御器に対しては消灯処理が実行され、消灯命令が出力される。
【0040】
飛行場内には多数の誘導路中心線灯71〜7nが設けられているが、この各誘導路中心線灯71〜7nのうち点灯命令を入力した端末制御器に接続されているもののみが点灯される。これに対し、消灯命令を入力した端末制御器に接続されているものは消灯される。
【0041】
パイロットは、この点灯されている誘導路中心線灯に沿って航空機を地上航行させる。
さらに、制御処理部5からは、飛行場における誘導路中心線灯71〜7nの点灯位置に関する情報が表示部8に出力されており、これにより表示部8に図5に示すような経路が表示される。
【0042】
この図5は、表示部8における出力画面レイアウトの例を示す図であり、管制官は、この表示部8の表示内容により経路を確認することができる。
以上説明したように、本実施の形態に係る航空機地上誘導システムにおいては、航空機が着陸した場合には、滑走路から共通エリア周部までの経路及び共通エリア周部からスポットまでの経路が自動的に決定される。同様に、航空機が離陸する場合には、スポットから共通エリア周部までの経路及び共通エリア周部から滑走路までの経路が自動的に決定される。
【0043】
したがって、管制官自身が状況を判断して航空機の地上航行経路を選択する必要がない。
また、この航空機地上誘導システムでは、この自動決定された経路上に存在する誘導路中心線灯のみが点灯される。
【0044】
このため、パイロットは、点灯している誘導路中央線灯に沿って走行すれば自然とスポット又は滑走路に到達することができる。また、管制官は特に無線等でパイロットに経路を指示しなくてもよい。
【0045】
したがって、パイロット及び管制官の負担を軽減させることができるとともに、航空機の地上航行の安全性を向上させることができる。
本発明は、経路を光によって示すため、特に視界の悪い状況下で有用である。
【0046】
【発明の効果】
以上詳記したように本発明の航空機地上誘導システムにおいては、共通エリアの周部と滑走路の間の経路、及びスポット情報で示される位置と共通エリア周部の間の経路であるエプロンルートが自動的に決定される。
また、自動的に決定された共通エリアの周部と滑走路の間の経路、及びスポット情報で示される位置と共通エリア周部の間の経路であるエプロンルートに存在する誘導路灯が点灯されることで、航空機の誘導が行われる。
【0047】
したがって、本発明を適用することで、管制官が地上航行経路の決定する必要がなく、また飛行場内の航空機に対して指示を行う必要がない。
ゆえに、管制官の負担を軽減させることができる。
【0048】
さらに、本発明を適用すると、航空機のパイロットは誘導路灯に沿って運転すれば移動先に到達することができる。
したがって、管制官の指示にしたがって運転する場合よりもパイロットが運転に集中することができる。
【0049】
ゆえに、航空機の地上航行の安全性を向上させることができる。
加えて、本発明によって自動的に決定された地上航行経路を管制官に対して表示することにより、管制官が現在の経路がどのように運用されているかを認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る航空機地上誘導システムの構成を示すブロック図。
【図2】同実施の形態に係る航空機地上誘導システムが適用される飛行場の例を示す上面図。
【図3】同実施の形態に係る航空機地上誘導システムの入力部における画面レイアウト例を示す図。
【図4】共通エリアにおけるスポットとエプロンルートの関係を示す概念図。
【図5】同実施の形態に係る航空機地上誘導システムの表示部における画面レイアウト例を示す図。
【符号の説明】
1…入力部
2…スポット管理システム
3…誘導路ルート決定処理部
4…エプロンルート決定処理部
5…制御処理部
61〜6n…端末制御器
71〜7n…誘導路中心線灯
8…表示部
9…滑走路
10a〜10c…エプロンエリア
11…共通エリア
12…誘導路
13…エプロンルート
14…共通エリア周部
15…スポット

Claims (2)

  1. 飛行場における航空機の地上航行を誘導するための航空機地上誘導システムであって、
    前記飛行場内に設置されている複数の誘導路灯のそれぞれに接続されており、アドレスを有しており、点灯命令又は消灯命令にしたがって自らに接続されている誘導路灯の灯火を制御する複数の端末制御手段と、
    航空機の停留区域を含む領域である共通エリアの周部と滑走路の間の経路、及びエプロンルートを決定するために必要な情報を入力する入力手段と、
    当該入力手段に入力された情報に基づいて、前記共通エリアの周部と滑走路の間の経路を決定し、この経路上に存在する端末制御手段のアドレスを抽出する誘導路ルート決定手段と、
    航空機の停止位置であるスポットの割り当てを管理するスポット管理システムの有するスポット情報を入力し、前記入力手段から情報を入力し、前記スポット情報で示される位置と前記共通エリア周部の間の経路であるエプロンルートを決定し、このエプロンルート上に存在する端末制御手段のアドレスを抽出するエプロンルート決定手段と、
    前記誘導路ルート決定手段及び前記エプロンルート決定手段で抽出されたアドレスを有する端末制御手段に対して点灯処理を実行し、その他の端末制御手段に対しては消去処理を実行する制御処理手段
    を具備したことを特徴とする航空機地上誘導システム。
  2. 請求項1記載の航空機地上誘導システムにおいて
    前記入力手段は、滑走路使用方向の指定、到着エプロンエリアの指定、出発エプロンエリアの指定のうちのいずれかを入力し、
    前記エプロンエリア決定手段は、前記入力手段から入力した情報から、離陸前の航空機の経路決定を行うのか、着陸後の航空機の経路決定を行うのかを判断し、経路決定が着陸後に関するものであれば前記スポット管理システムからのスポット情報として空きスポット番号を含む情報を入力し、経路決定が離陸前に関するものであれば前記航空機が停留されているスポット番号を含む情報を入力する
    ことを特徴とする航空機地上誘導システム。
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