JP4064534B2 - 電子黒板装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子黒板装置に関し、詳細には、スクリーンへの付着力の強い画像描画をも適切に消去する電子黒板装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
会議等においては、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置やスキャナ等からの入力データに基づいて画像をスクリーン上に描画する画像描画機構を有するとともに、スクリーン上に画像描画機構や手書きで描かれた画像を消去する消去機構を備えた電子黒板装置が利用されるようになってきており、画像描画機構としては、電子黒板印字用ペンと同様のフェルトペンインクによる描画(実開平5−39065号公報、特開平9−99697号公報参照)、静電記録方式による描画(実開平5−70070号公報、特開平5−32093号公報参照)、インクジェット記録方式による描画(特開平8−156490号公報、特開平8−156491号公報参照)等の各種描画方法のものが従来から提案されている。
【0003】
このような電子黒板装置においては、パーソナルコンピュータ等により作成された文書、表及びグラフ等をインターフェイスを介して電子黒板装置に入力して、電子黒板装置の画像描画機構によりスクリーン上に描画させており、例えば、予め表やグラフのフォーマットを画像描画機構により作成して、会議で出された文字や数字等をパーソナルコンピュータ等を介して入力すると、当該入力された文字や数字をフォーマットされた表やグラフに組み込んでスクリーン上に描画する。
【0004】
そして、このような電子黒板装置を利用した会議においては、必要に応じて、スクリーン上に描かれた画像の全部あるいは一部を消去するが、このスクリーン上に描かれた画像の消去方法としては、従来の電子黒板装置は、通常の黒板消しによる消去機構(実開平5−39065号公報、実開平5−70070号公報、特開平5−241479号公報参照)、フェルト等を用いた消去機構(5−32093号公報参照)及び布やスポンジ等を用いた消去機構(特開平8−156490号公報参照)が一般的であり、ローラ型の消去機構も提案されている(特開平8−156491号公報参照)。
【0005】
また、従来、ブレードのエッジをスクリーンに当接して、スクリーン上の画像を消去する消去機構を備えた電子黒板装置が提案されている(特開平5−597号公報参照)。この電子黒板装置は、画像消去時にのみブレードをスクリーンに押し当てて画像の消去を行っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の電子黒板装置にあっては、電子黒板装置の利用性を向上させる上で、なお、改良の必要があった。
【0007】
すなわち、従来の電子黒板装置にあっては、スクリーン上に描かれた画像を消去する消去機構として、通常の黒板消しによる消去機構(実開平5−39065号公報、実開平5−70070号公報、特開平5−241479号公報参照)、フェルト等を用いた消去機構(5−32093号公報参照)及び布やスポンジ等を用いた消去機構(特開平8−156490号公報参照)が一般的であり、これらの画像方法では、画像の消去性が悪く、また、ブレードを用いた消去機構(特開平597号公報参照)も、単にブレードをスクリーン表面に押し当てるのみであるため、画像の消去性が悪いため、従来の電子黒板装置にあっては、画像描画機構によるスクリーン上への画像形成において、その画像形成物質のスクリーンへの付着力(定着性)を弱めて描くようにしている。
【0008】
ところが、画像のスクリーンへの付着力が弱いと、描画中あるいは描画後に、画像の一部が欠落して画像品質が悪化したり、画像形成物質が衣服等に付着して衣服等を汚し、電子黒板装置の利用性を向上させる上で改良の必要があった。このような問題を解決するために、画像描画機構による画像の付着力を高めると、従来の消去機構では、充分に描かれた画像を消去することができないという問題がある。
【0009】
また、電子黒板装置を利用した会議等においては、画像描画機構により作成した画像を残して、使用者により手書きで描かれた画像のみを黒板消し等で消去することが行われるが、このような場合、従来の電子黒板装置は、画像描画機構により描かれた画像と同じスクリーン上に使用者が手書きで画像を描くようになっていたため、手書きで描かれた画像を黒板消し等で消す際に、画像描画機構により描かれた画像も消され、電子黒板装置の利用性が悪いという問題があった。
【0010】
なお、本出願人は、先に、板面状に沿ってスライド移動可能な透明シートに記入された文字あるいは図形を読み取り可能なスキャナ部と、スキャナ部が読み取ったイメージを印刷するプリンタ部と、入力指示あるいはコピー指示を受けて処理する操作部と、予め作成された表示用画像を透明シートの後方から表示可能な表示部と、各部の作動を制御する制御部と、を備え、制御部で表示用画像と透明シートに記入された文字あるいは図形を合成して合成画像としてプリンタ部で印刷する電子黒板機器を提案している(特開平9−163053号公報参照)。
【0011】
ところが、この電子黒板機器は、表示部として、CRT(陰極線管:Cathode Ray Tube)あるいは液晶ディスプレイ等の電子ディスプレイを採用しており、電子黒板として機能させるためには、大型の表示部が必要であり、大型の電子ディスプレイを採用すると、価格が高くなり、改良の必要があった。
【0012】
そこで、請求項1記載の発明は、本体筐体に形成された表示窓部分を中心に所定方向に所定量移動可能に配設され画像描画手段により画像の描かれるスクリーンの表面を、当該表示窓部分で覆う状態で、当該スクリーン上に描かれた画像を視認可能であるとともに所定の手書き描画手段により手書きで画像を描画可能な透明部材で形成された透明黒板を配設することにより、スクリーン上に画像描画手段により描かれた画像に応じて手書き描画手段により透明黒板上に画像を描く際に、両方の画像形成物質が混じり合ったり、画像描画手段により描かれた画像が変形されたり、消されたり、さらには、手書き描画手段に画像描画手段の画像形成物質が付着したり、手書き描画手段の画像形成物質が画像描画手段を汚染したりすることを防止するとともに、画像描画手段により描かれた画像と手書き描画手段により描かれた画像を個別に消去して、一方の画像を消去する際に他方の画像が不用意に消去されることを防止し、画像品質を向上させるとともに、利用性を向上させることのできる電子黒板装置を提供することを目的としている。
【0013】
さらに、請求項記載の発明は、スクリーン上の画像を消去する画像消去手段を、螺旋形状の刃を有するローラ状の刃物部材を有し、画像の消去時に、当該刃物部材をスクリーンに接触させるとともに、当該スクリーンとの接触位置で当該スクリーンの移動速度とは異なる速度で当該刃物部材を回動駆動させて、スクリーン上に描かれた画像の画像形成物質を除去することにより、スクリーンとの定着性を極端に低下させることなく、スクリーンとの画像形成物質の付着力の大きい静電記録方式やソリッドインクジェット方式等の画像描画手段でスクリーン上に描かれた画像の画像形成物質を適切かつ確実に除去し、画像品質の良好な画像を得ることのできる電子黒板装置を提供することを目的としている。
【0019】
請求項記載の発明は、スクリーンとベルト状の透明黒板とが重なり合った部分の透明黒板側に画像取込手段を配置し、少なくとも画像取り込み時に、スクリーンとベルト状の透明黒板が画像取込手段方向に等速度で移動して当該スクリーン上及び当該ベルト状の透明黒板上に描かれた画像を画像取込手段で取り込むことにより、画像取込手段を移動させる機構を設けることなく、スクリーン上に描かれた画像と透明黒板上に描かれた画像とを合成した画像を適切に取り込んで、電子ファイル化してパーソナルコンピュータ等に出力したり、記録紙に記録出力し、利用性をより一層向上させることのできる安価な電子黒板装置を提供することを目的としている。
【0020】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明の電子黒板装置は、本体筐体に形成された表示窓部分を中心に移動可能に配設されたスクリーンと、スクリーン上に画像形成物質により画像を描画する画像描画手段と、螺旋形状の刃を有するローラ状の刃物部材を有し、前記画像の消去時に、前記刃物部材を前記スクリーンに接触させるとともに、前記スクリーンとの接触位置で前記スクリーンの移動速度とは異なる速度で前記刃物部材を回動駆動させて、前記スクリーン上に描かれた前記画像の前記画像形成物質を除去する画像消去手段と、前記スクリーンの表面を覆う状態で前記スクリーン上に前記画像描画手段により描画された画像を視認可能であるとともに手書きで画像を描画可能な透明部材により形成された透明黒板と、を備えることにより、上記目的を達成している。
【0021】
上記構成によれば、本体筐体に形成された表示窓部分を中心に所定方向に所定量移動可能に配設され画像描画手段により画像の描かれるスクリーンの表面を、当該表示窓部分で覆う状態で、当該スクリーン上に描かれた画像を視認可能であるとともに所定の手書き描画手段により手書きで画像を描画可能な透明部材で形成された透明黒板を配設しているので、スクリーン上に画像描画手段により描かれた画像に応じて手書き描画手段により透明黒板上に画像を描く際に、両方の画像形成物質が混じり合ったり、画像描画手段により描かれた画像が変形されたり、消されたり、さらには、手書き描画手段に画像描画手段の画像形成物質が付着したり、手書き描画手段の画像形成物質が画像描画手段を汚染したりすることを防止することができるとともに、画像描画手段により描かれた画像と手書き描画手段により描かれた画像を個別に消去して、一方の画像を消去する際に他方の画像が不用意に消去されることを防止することができ、画像品質を向上させることができるとともに、利用性を向上させることができる。
【0022】
さらに、請求項1の前記画像消去手段は、螺旋形状の刃を有するローラ状の刃物部材を有し、前記画像の消去時に、当該刃物部材を前記スクリーンに接触させるとともに、当該スクリーンとの接触位置で当該スクリーンの移動速度とは異なる速度で当該刃物部材を回動駆動させて、前記スクリーン上に描かれた前記画像の前記画像形成物質を除去するものである
【0023】
上記構成によれば、スクリーン上の画像を消去する画像消去手段を、螺旋形状の刃を有するローラ状の刃物部材を有し、画像の消去時に、当該刃物部材をスクリーンに接触させるとともに、当該スクリーンとの接触位置で当該スクリーンの移動速度とは異なる速度で当該刃物部材を回動駆動させて、スクリーン上に描かれた画像の画像形成物質を除去しているので、スクリーンとの定着性を極端に低下させることなく、スクリーンとの画像形成物質の付着力の大きい静電記録方式やソリッドインクジェット方式等の画像描画手段でスクリーン上に描かれた画像の画像形成物質を適切かつ確実に除去することができ、画像品質の良好な画像を得ることができる。
【0034】
また、請求項2記載の発明の電子黒板装置は、本体筐体に形成された表示窓部分を中心に移動可能に配設されたスクリーンと、該スクリーン上に画像形成物質により画像を描画する画像描画手段と、前記スクリーンの表面を覆う状態で前記スクリーン上に前記画像描画手段により描画された画像を視認可能であるとともに手書きで画像を描画可能な透明部材により形成されたベルト状の透明黒板と、前記スクリーンと前記透明黒板とが重なり合った部分の前記透明黒板側に配置され、画像取り込み時に、等速度で移動する前記スクリーンと前記透明黒板から該スクリーン上及び透明黒板上に描かれた画像を取り込む画像取込手段と、を備えるにより、上記目的を達成している。
【0035】
上記構成によれば、スクリーンとベルト状の透明黒板とが重なり合った部分の透明黒板側に画像取込手段を配置し、少なくとも画像取り込み時に、スクリーンとベルト状の透明黒板が画像取込手段方向に等速度で移動して当該スクリーン上及び当該ベルト状の透明黒板上に描かれた画像を画像取込手段で取り込んでいるので、画像取込手段を移動させる機構を設けることなく、スクリーン上に描かれた画像と透明黒板上に描かれた画像とを合成した画像を適切に取り込んで、電子ファイル化してパーソナルコンピュータ等に出力したり、記録紙に記録出力することができ、利用性をより一層向上させることができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0037】
図1〜図6は、本発明の電子黒板装置の第1の実施の形態を示す図であり、図1は、本発明の電子黒板装置の第1の実施の形態を適用した電子黒板装置1の正面図である。
【0038】
本実施の形態は、画像表示用の窓部にパネル状の透明黒板を配設し、画像消去機構に螺旋状の刃を有した刃物部材を採用したものである。
【0039】
図1において、電子黒板装置1は、本体筐体2に窓部2aが形成され、当該窓部2aにスクリーン3が面する状態で配設されている。本体筐体2には、コピー機構部4及び操作パネル5等が設けられているとともに、コピー機構部4でコピー記録された記録紙を排出するコピー排出口4aが設けられている。
【0040】
操作パネル5は、電子黒板装置1を利用した各種操作を行うボタン5aを備えており、ボタン5aの操作により電子黒板装置1に各種動作を行わせる。
【0041】
本体筐体2の窓部2aには、図1のA−A矢視断面図である図2に示すように、透明黒板6が窓部2aを密閉する状態で配設されており、透明黒板6は、透明なパネル状のガラス、板状の樹脂あるいはフィルム材等で形成されている。透明黒板6は、透明な部材で形成されているため、後述するように、スクリーン3上に描かれる画像を透明黒板6を通して、鮮明に視認することができ、透明黒板6の外側表面には、電子黒板印字用ペンを使用して手書きにより画像を描くことが可能となっている。この透明黒板6をガラスで形成する場合、ガラス表面を熱硬化樹脂あるいはエポキシ樹脂等でハードコーティングすると、傷や破損等に対する強度を向上させることができ、このようにガラスで透明黒板6を形成すると、平面を平滑にすることができるため、透明黒板6に手書きで描かれる画像の品質を向上させることができる。また、透明黒板6は、樹脂の板材あるいはフィルム材で形成する場合、ガラスで形成する場合と同様に表面にハードコーティングを行ったり、樹脂を多層膜化して形成し、このように樹脂の板材あるいはフィルム材で形成すると、ガラスで形成する場合に比較して、安価に形成することができるとともに、重量を低減化し、また、破損等に対する強度を向上させることができる。なお、透明黒板6に使用する樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル系樹脂、ポリカーボネイト、ポリオレフィン系樹脂、4フッ化エチレン(PTFE)、4フッ化エチレンコポリマー(ETFE)及びフッ化ビニリデン(PVDF)等が適している。
【0042】
そして、電子黒板装置1の本体筐体2内には、図2に示すように、上記スクリーン3、スクリーン3の張り渡された駆動ローラ10、2個の従動ローラ11、12とテンションローラ13、画像消去機構(画像消去手段)14、画像描画機構(画像描画手段)15、制御部16及びスクリーン支持部材(付勢部材)17等が収納されており、電子黒板装置1は、図示しないが、パーソナルコンピュータ等が接続されてパーソナルコンピュータ等からの画像データの入力されるインターフェイスや外部プリンタに接続されて当該外部プリンタに画像データを出力するインターフェイス等を備えている。この外部プリンタとしては、感熱プリンタ、レーザープリンタあるいはインク噴射プリンタ等従来から知られている方式のプリンタを接続して、利用することができる。
【0043】
スクリーン3は、4面分の画像、すなわち、窓部2aの大きさ4面分の画像を同時に形成することのできる長さを有して、リング状に形成されており、上述のように、駆動ローラ10、従動ローラ11、12及びテンションローラ13に張り渡されている。駆動ローラ10は、図示しないモータ等により回転駆動されて、その回転方向に応じてスクリーン3を上方向及び下方向に移動(搬送)させ、従動ローラ11、12は、駆動ローラ10の回転により移動されるスクリーン3に応じて回転して、スクリーン3を案内する。テンションローラ13は、図示しないテンショナーによって図2中上方向に所定の力を付与して、スクリーン3に所定のテンションを付与する。なお、本実施の形態の電子黒板装置1では、用いていないが、スクリーン3の偏りを防止するために、トラッキングローラを設けてもよい。
【0044】
画像描画機構15は、駆動ローラ10部分でスクリーン3の表面に近接して配設されており、例えば、ホットメルトインクを使用したインク噴射プリント方式によりスクリーン3上に画像を描画する。画像描画機構15としては、インク噴射プリント方式に限るものではなく、従来から用いられている種々の方式のものを用いることができる。
【0045】
画像消去機構14は、図3に示すように、駆動ローラ10部分でスクリーン3の表面に近接する状態で配設されており、箱状のケース20内に、刃物部材21と刃先クリーニング部材22が収納されているとともに、ケース20の下端部に回収容器23が着脱可能に取り付けられている。刃物部材21は、図示しない保持機構により回転可能に支持されているとともに、スクリーン3に離接可能に保持された状態で配設されており、スクリーン3上の画像を消去するときに、保持機構によりスクリーン3に接触位置に移動されるとともに、図示しないモータ等によりスクリーン3の移動速度と異なる速度でスクリーン3の移動方向に回転駆動されて、スクリーン3上に描かれた画像の画像形成物質24を除去して、画像を消去する。なお、刃物部材21の回転方向は、スクリーン3の移動方向とは、逆方向であってもよく、この場合には、スクリーン3の移動速度と同じ回転速度であってもよいし、異なる回転速度であってもよい。
【0046】
刃先クリーニング部材22は、刃物部材21に常時接触する状態、あるいは、適時に接触する状態で配設され、刃物部材21が回転されることにより、刃物部材21に接触して、刃物部材21に付着した画像形成物質24を除去する。刃先クリーニング部材22としては、例えば、樹脂製ブラシ、金属製ブラシ、あるいは、ナイロンブラシ等を使用することができる。
【0047】
この刃先クリーニング部材22は、円筒形に形成されて、モータ等により、刃物部材21の回転に従動する方向に所定速度で回転駆動されてもよいし、刃物部材21の回転とは逆方向に回転駆動されてもよく、また、モータ等により回転することなく、その回転に所定の負荷を与えて、刃物部材21の回転に伴って回転するようにしてもよい。
【0048】
上記刃物部材21は、図4及び図4のB−B矢視断面図である図5に示すように、シャフト30の取り付けられた円筒状の芯金31の外周面に螺旋形状にバネ材(刃)32が配設されており、バネ材32は、芯金31の外周面に螺旋形状に巻き付けられて、溶接で芯金31に固定された後、耐久性を向上させるために、焼き入れ処理が行われ、さらに、刃先の研磨処理が施されている。
【0049】
コピー機構部4は、スクリーン3及び透明黒板6上に描かれた窓部2aの画像を取り込んで、記録紙に当該画像をコピー記録し、画像を記録した記録紙をコピー排出口4aから排出する。このコピー機構部4は、通常のスキャナや電子黒板等で使用されるCCD(Charge Coupled Device )等の光学センサを備え、図1に示したように、窓部2aの上部を待機位置として待機して、画像読取時に、窓部2aの幅方向両側に上下方向に配設された図示しない一対のアーム軸に沿って上下方向に移動して、スクリーン3と透明黒板6上に描かれた画像を合成した合成画像を読み取る。なお、コピー機構部4は、アーム軸が窓部2aの縦方向両側に幅方向に配設されていて、待機時には、透明黒板6への手書きにより画像を描く際に支障のないように、窓部2aから外れた位置に待機し、画像読取時に、幅方向に移動して、スクリーン3及び透明黒板6上の画像を読み取ってもよい。ただし、図1に示したように、アーム軸を窓部2aの幅方向両側に上下方向に配設して、待機時にコピー機構部4を電子黒板装置1の本体筐体2の上部を待機位置として当該待機位置に位置させるようにすると、透明黒板6上に電子黒板印字用ペンで描かれた画像が消去されたときの塵による汚染を防止することができる。
【0050】
上記制御部16は、電子黒板装置1の各部を制御して、電子黒板装置1としての処理を行う。
【0051】
スクリーン支持部材17は、図示しない可動機構(付勢解除手段)に取り付けられており、通常は、可動機構によりスクリーン3を透明黒板6の裏面側(スクリーン3側)に密接され、スクリーン3の搬送時に、可動機構によりスクリーン3を透明黒板6から離れた位置に保持される。スクリーン支持部材17は、少なくとも、スクリーン3側の表面が、スクリーン3に傷等をつけることなく、スクリーン3を透明黒板6に密接させるために、例えば、表面が柔軟なフェルト等で形成されているが、透明黒板6が柔軟性を有するフィルム材等で形成されている場合には、所定の適度な硬度を有する芯部材のスクリーン3側の表面にフェルト等の柔軟な部材を配設する。このようにすると、スクリーン支持部材17は、透明黒板6が柔軟性を有する部材で形成されている場合に、透明黒板6に手書きにより画像が描かれる際に、下敷きの役目を果たし、手書きによる画像を描きやすくすることができる。
【0052】
次に、本実施の形態の作用を説明する。電子黒板装置1は、画像描画機構15で画像の描かれるスクリーン3の表面側に手書きで画像の描かれるパネル状の透明黒板7を配設したものである。
【0053】
すなわち、電子黒板装置1は、会議等で使用される際、画像描画機構15を使用して、スクリーン3上に画像を描き、スクリーン3上に描かれた画像を画像消去機構14により適宜消去することができるとともに、窓部2aに配設された透明黒板6上に手書きにより画像を描くことができる。
【0054】
この電子黒板装置1による画像の描画処理及び画像消去処理は、図6に示す手順により行われる。すなわち、画像描画機構15を利用して画像の描画を行う場合、パーソナルコンピュータ等からインターフェイスを介して画像データの入力を行う(ステップS1)。この画像データの電子黒板装置1への入力は、例えば、パーソナルコンピュータ等から画像を通常のプリンタに記録出力させる場合と同様の操作で行うことができ、例えば、電子黒板装置1用のプリンタドライバを組み込んだパーソナルコンピュータのアプリケーションソフトから電子黒板装置1を指定して、文書、表あるいはグラフ等の画像データのプリントアウト操作を行うことにより電子黒板装置1に画像データを入力することができる。
【0055】
電子黒板装置1は、画像データが入力されると、制御部16の内部メモリに当該画像データを記憶した後、まず、駆動ローラ10をモータにより回転駆動させて、スクリーン3のうち当該入力された画像データを描画する画面領域分を画像消去機構14により消去する消去処理を行う(ステップS2)。ただし、電子黒板装置1は、以前に描画された画像に当該入力された画像データの画像を重ね書きする場合には、この消去処理を省略する。
【0056】
次に、電子黒板装置1は、画像描画機構15を駆動させて、上記画像消去処理で消去されたスクリーン3の画面領域に、この画像消去処理と平行して、上記入力された画像データに基づいてスクリーン3上に画像を描画(自動画像描画)する(ステップS3)。このようにしてスクリーン3上に描画された画像は、会議の資料等として利用される。
【0057】
この会議で、電子黒板装置1の使用者は、必要に応じて、手書きにより画像を描くが、この手書きによる画像は、透明黒板6上に描かれる(ステップS4)。したがって、スクリーン3上に描かれた画像のインクと手書きにより描かれた画像のインクが混ざり合ったり、スクリーン3上に描かれた画像を手書きの電子黒板印字用ペンで崩してしまうことがなく、画像品質を向上させることができる。また、電子黒板装置1の使用者は、手書きにより描かれた画像を黒板消しにより手作業により消去する(ステップS4)。この場合にも、手書きによる画像は、透明黒板6上に描かれているため、スクリーン3上に画像描画機構15により描かれた画像を消してしまうことを防止することができ、画像品質を向上させることができる。
【0058】
電子黒板装置1は、上記画像データの入力処理、画像描画処理、画像消去処理及びスクリーン3の移動処理を操作パネル5のボタン5a操作に応じて、順次行い、必要に応じて、当該スクリーン3上及び透明黒板6上に描画された画像をコピー機構部4により取り込んで、記録紙に記録し、あるいは、インターフェイスに接続された外部プリンタに出力して、当該外部プリンタにより画像を記録出力する(ステップS5)。
【0059】
そして、会議が終了すると、操作パネル5のボタン5aの操作により画像の消去が指示操作されると、電子黒板装置1は、画像消去機構14を駆動させて、スクリーン3上の全ての画像を画像消去機構14により消去し(ステップS2)、処理を終了する。
【0060】
上記画像消去機構14は、上述のように、ケース20内に、刃物部材21と刃先クリーニング部材22が収納されているとともに、ケース20の下端部に回収容器23が取り付けられており、電子黒板装置1は、画像の消去時、スクリーン3を所定の搬送速度で移動させつつ、画像消去機構14が、刃物部材21をスクリーン3の搬送速度と異なる速度でスクリーン3の搬送方向と同じ方向に回転駆動させるとともに、駆動ローラ10部分でスクリーン3表面に接触する。したがって、画像消去機構14は、回転する刃物部材21によりスクリーン3表面に描かれた画像の画像形成物質24を確実に削り取ることができ、スクリーン3の画像を確実に消去して、スクリーン3を清浄にすることができる。
【0061】
また、刃物部材21には、常時あるいは適時に刃先クリーニング部材22が接触して、刃物部材21は、刃先クリーニング部材22により刃物部材21に付着している画像形成物質24が除去されてクリーニングされ、刃物部材21からスクリーン3に画像形成物質24が再付着するのが防止される。したがって、画像消去機構14は、スクリーン3をより一層清浄にすることができる。
【0062】
さらに、消去機能部14は、ケース20内に、刃物部材21と刃先クリーニング部材22が収納されているとともに、ケース20の下端部に回収容器23が着脱可能に取り付けられているため、スクリーン3から除去された画像形成物質24が飛散することを防止することができるとともに、削り取った画像形成物質24を回収容器23に収容して、回収容器23をケース20から取り外すことにより、簡単に処理することができる。
【0063】
図7は、本発明の本発明の電子黒板装置の第2の実施の形態を示す図であり、図7は、本発明の電子黒板装置の第2の実施の形態を適用した電子黒板装置40の画像消去機構部分の側面断面図である。
【0064】
本実施の形態は、透明黒板を樹脂等によりベルト状(フィルム状)に形成して、スクリーンとは独立して移動可能に配設したものである。
【0065】
なお、本実施の形態は、上記第1の実施の形態と同様の電子黒板装置に適用したものであり、本実施の形態の説明においては、上記第1の実施の形態と同様の構成部分には、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0066】
図7において、電子黒板装置40は、所定長さ(例えば、4面分)のベルト状のスクリーン41が、巻き取りローラ42、43に巻き付けられ、支持ローラ44、45により窓部2aで安定した状態で位置するように支持される、いわゆるウエブ構成に形成されている。スクリーン41は、図示しない駆動モータにより巻き取りローラ42、43が回転駆動されることにより、巻き取りローラ42と巻き取りローラ43の一方に巻き取られて、上方向あるいは下方向に所定の移動速度で搬送される。
【0067】
スクリーン41には、支持ローラ44部分に配設された画像描画機構15により画像が描画がされ、支持ローラ44部分に配設された画像消去機構14により画像描画機構15により描かれた画像が消去される。
【0068】
電子黒板装置40は、このスクリーン41よりも窓部2a側に位置する状態で、透明黒板46が配設されており、透明黒板46は、所定長さ(例えば、4面分)のベルト状(フィルム状)に形成されて、巻き取りローラ47、48に巻き付けられるとともに、支持ローラ49、50により窓部2aで安定した状態で位置するように支持される、いわゆるウエブ構成に形成されている。透明黒板46は、上記スクリーン41を搬送する駆動モータとは異なる図示しない駆動モータにより巻き取りローラ47、48が回転駆動されることにより、巻き取りローラ47と巻き取りローラ48の一方に巻き取られて、上方向あるいは下方向に所定の移動速度で搬送される。したがって、スクリーン41と透明黒板46は、独立して個別に搬送される。
【0069】
スクリーン41の窓部2aの裏面側(窓部2aと反対側)には、スクリーン支持部材(付勢部材)51が配設されており、スクリーン支持部材51は、図示しない可動機構(付勢解除手段)に取り付けられている。可動機構は、通常は、スクリーン41を透明黒板46の裏面側(スクリーン41側)に密接させ、スクリーン41の移動時(搬送時)及び透明黒板46の移動時(搬送時)には、スクリーン41を透明黒板46から離れた位置に保持する。スクリーン支持部材51は、所定の剛性を有するウレタン等により形成され、透明黒板46に手書きにより画像が描かれる際に、下敷きの役目を果たして、手書きによる画像を描きやすくなっているとともに、スクリーン41側の表面がわずかに凸状に形成され、スクリーン41と透明黒板46との密着性を向上させている。
【0070】
画像消去機構14、画像描画機構15及び制御部16は、上記第1の実施の形態と同様であるが、制御部16は、スクリーン41の搬送機構が第1の実施の形態の電子黒板装置1と異なるため当該搬送機構の制御を行うようになっているとともに、透明黒板46がベルト状に形成されていて、この透明黒板46を搬送させる搬送機構の制御を行うようになっている。
【0071】
本実施の形態の電子黒板装置40は、透明黒板46をベルト状(フィルム状)に形成して、搬送機構により搬送するようになっている。
【0072】
すなわち、電子黒板装置40の使用者は、パーソナルコンピュータ等のアプリケーションソフトから電子黒板装置40を指定して、文書、表あるいはグラフ等の画像データのプリントアウト操作を行うことにより電子黒板装置40に画像データを入力する。電子黒板装置40は、画像データが入力されると、制御部16が当該画像データに基づいて、巻き取りローラ43を駆動させつつ、画像描画機構15によりスクリーン41に画像を描画し、スクリーン41に描画した画像を窓部2aの位置に位置させる。このとき、透明黒板46が透明部材で形成されているため、スクリーン41上に描かれた画像を透明黒板46を通して、視認することができるとともに、スクリーン41がスクリーン支持部材51により透明黒板46に密接されているため、スクリーン41上に描かれた画像を鮮明に視認することができる。
【0073】
また、電子黒板装置40の使用者は、必要に応じて、手書きにより画像を描くが、この手書き画像を透明黒板46上に描く。したがって、スクリーン41上に描かれた画像のインクと手書きにより描かれた画像のインクが混ざり合ったり、スクリーン41上に描かれた画像を手書きの電子黒板印字用ペンで崩してしまうことがなく、画像品質を向上させることができる。また、電子黒板装置40の使用者は、手書きにより描かれた画像を黒板消しにより手作業により消去するが、この場合にも、手書きによる画像は、透明黒板46上に描かれているため、スクリーン41上に画像描画機構15により描かれた画像を消してしまうことを防止することができ、画像品質を向上させることができる。
【0074】
そして、電子黒板装置40の使用者は、必要に応じて、操作パネル5のボタン5aを操作して、巻き取りローラ47、48を駆動させて、スクリーン41とは独立して、透明黒板46のみを巻き取らせ、透明黒板46上に描いた画像を移動させ、さらに、手書きにより透明黒板46上に画像を描く。
【0075】
電子黒板装置40の使用者は、このような操作を必要に応じて、行うことにより、スクリーン41上に描かれた画像に透明黒板46上に描かれた異なる画像を重ね合わせて、会議の説明に利用したり、また、必要に応じて、コピー機構4によりスクリーン41上の画像と透明黒板46上の重なった画像を読み取らせて、記録紙に記録出力させることができる。したがって、スクリーン41上の複数の画像と透明黒板46上の複数の画像を、窓部2a位置で適宜組み合わせた状態で重ね合わせて視認することができ、電子黒板装置40の利用性をより一層向上させることができる。
〈実験例1〉
第1の実施の形態の電子黒板装置1を使用して、画像描画及び画像消去の実験を行った。電子黒板装置1の各部の実験条件は、以下の通りである。
【0076】
Figure 0004064534
上記条件の下に、画像描画機構15によりスクリーン3に所定の画像を描画させた後、画像消去機構14により当該画像の消去を行ったところ、スクリーン3は、全て処理前の状態に匹敵する状態が再現された。
【0077】
再度、同様の画像描画を画像描画機構15によりスクリーン3に行ったところ、スクリーン3の表面の凹凸に起因すると考えられる画像の劣化が多少見られたものの、ほとんど最初の処理前の画像と同様の画像を得ることができた。
【0078】
さらに、スクリーン3上の画像を画像消去機構14により消去した後、画像描画機構15による画像の描画と画像消去機構14による画像の消去を、5回繰り返し行ったところ、2回目以降に形成された画像は、上記2回目に形成した画像と全く同様の画像品質であり、また、2回目以降に画像消去機構14により消去されたスクリーン3の状態は、1回目の画像消去により画像が消去されたときのスクリーン3の状態と全く同様の画像消去品質であった。
【0079】
また、パーソナルコンピュータにより一般的な表の外枠の画像イメージを画像描画機構15に入力して、スクリーン3に画像描画を行った後、当該スクリーン3上に描かれた表に合わせて、透明黒板6上に市販の水性フェルトペンを使用して手書きにより文字、数値等を書き込んだところ、良好な画像品質で透明黒板6に手書きすることができた。
【0080】
さらに、透明黒板6上に書き込んだ画像とスクリーン3上に描かれた画像とは、スクリーン支持部材17によりスクリーン3と透明黒板6が密接されているため、違和感のない良好な視認性を得ることができた。
【0081】
また、スクリーン3を搬送させる動作を行わせたところ、スクリーン支持部材17がスクリーン3と透明黒板6とを離すため、スクリーン3を良好に搬送させることができた。
【0082】
さらに、上記スクリーン3に描いた表と当該表に合わせて透明黒板6に描いた文字や数値をコピー機構4により読み取らせて、コピー出力を行わせたところ、良好なコピー画像を得ることができた。
〈比較実験例1〉
上記実験例1の電子黒板装置1の透明黒板6を取り外し、その他の条件を実験例1と同様の条件として、画像描画機構15によりスクリーン3上に画像描画を行った後、スクリーン3上に直接実験例1と同じフェルトペンにより手書きで画像を描いた。
【0083】
実験の結果、スクリーン上3に画像描画機構15により描かれた表の画像形成物質であるホットメルトインクがフェルトペンにより伸ばされて、画像品質が悪化した。
【0084】
また、フェルトペンにも、ホットメルトインクが付着して、手書きの画像自体の画像品質も悪化した。
【0085】
さらに、黒板消しによりスクリーン3を擦過したところ、フェルトペンによる画像だけでなく、画像描画機構15により描いた画像のホットメルトインクの成分も一部除去され、画像が悪化した。
【0086】
この実験結果から、スクリーン3の表面側に透明黒板6を設けて、画像描画機構15による画像と手書きによる画像とをスクリーン3と透明黒板6とに区別して描くことが画像品質を向上させる上で、効果的であることを確認することができた。
〈比較実験例2〉
上記実験例1の電子黒板装置1のスクリーン支持部材17を取り外し、その他の条件を実験例1と同様の条件として、画像描画機構15によるスクリーン3上への画像描画と透明黒板6への手書きによる画像描画を行った。
【0087】
スクリーン3と透明黒板6との間の一部に多少隙間が発生し、当該隙間の発生した部分において、スクリーン3上に描かれた画像の視認性が多少悪化した。また、この状態でコピー機構4によりスクリーン3上の画像と透明黒板6上の画像を読み取らせて、コピー出力させたところ、スクリーン3と透明黒板6との間に隙間の発生していた部分で画像品質に劣化が見られた。
【0088】
この実験結果から、スクリーン支持部材17でスクリーン3を透明部材6に密接させることが、画像の視認性及びコピー画像の画像品質を向上させる上で、効果的であることが判明した。
〈比較実験例3〉
上記実験例1の電子黒板装置1を使用して、スクリーン支持部材17によるスクリーン3の透明部材6への押圧を解除することなく、スクリーン3を搬送させる実験を行った。
【0089】
実験の結果、スクリーン3と透明黒板6との摩擦により、スクリーン3上に画像を形成しているホットメルトインクが伸ばされて、画像品質が劣化するとともに、透明黒板6のスクリーン3側の面にホットメルトインクが付着して、透明黒板6に汚れが発生した。
【0090】
また、スクリーン支持部材17によるスクリーン3の透明黒板6への押圧力を強めたところ、スクリーン3を駆動するモータに過負荷がかかり、モータが停止する不具合が発生した。
【0091】
この比較実験結果から、スクリーン3を搬送させる動作を行わせたところ、スクリーン支持部材17によるスクリーン3の透明黒板6への押しつけを解除するか、所定圧力以下に低下させることが、画像品質を向上させる上で、また、電子黒板装置1を適切に動作させる上で、効果的であることが判明した。
〈実験例2〉
上記第2の実施の形態の電子黒板装置40を使用し、画像描画及び画像消去の実験を行った。電子黒板装置1の各部の実験条件は、以下の通りである。
【0092】
Figure 0004064534
上記条件の下に、画像描画機構15によりスクリーン41に所定の画像を描画させた後、画像消去機構14により当該画像の消去を行ったところ、スクリーン3は、全て処理前の状態に匹敵する状態が再現された。
【0093】
再度、同様の画像描画を画像描画機構15によりスクリーン41に行ったところ、スクリーン41の表面の凹凸に起因すると考えられる画像の劣化が多少見られたものの、ほとんど最初の処理前の画像と同様の画像を得ることができた。
【0094】
さらに、スクリーン41上の画像を画像消去機構14により消去した後、画像描画機構15による画像の描画と画像消去機構14による画像の消去を、5回繰り返し行ったところ、2回目以降に形成された画像は、上記2回目に形成した画像と全く同様の画像品質であり、また、2回目以降に画像消去機構14により消去されたスクリーン41の状態は、1回目の画像消去により画像が消去されたときのスクリーン41の状態と全く同様の画像消去品質であった。
【0095】
また、パーソナルコンピュータにより一般的な表の外枠の画像イメージを画像描画機構15に入力して、スクリーン41に画像描画を行った後、当該スクリーン41上に描かれた表に合わせて、透明黒板46上に市販の水性フェルトペンを使用して手書きにより文字、数値等を書き込んだところ、良好な画像品質で透明黒板46に手書きすることができた。
【0096】
さらに、透明黒板46上に書き込んだ画像とスクリーン41上に描かれた画像とは、スクリーン支持部材51によりスクリーン41と透明黒板46が密接されているため、違和感のない良好な視認性を得ることができた。
【0097】
また、スクリーン41と透明黒板46を搬送させた際、スクリーン支持部材51がスクリーン41と透明黒板46とを離すため、スクリーン41と透明黒板46の双方を良好に搬送させることができた。
【0098】
さらに、透明黒板46を停止させた状態で、スクリーン41のみを搬送させる場合及びスクリーン41を停止させた状態で、透明黒板46のみを搬送させる場合にも、スクリーン支持部材51がスクリーン41と透明黒板46を離すため、適切に搬送させることができた。
【0099】
さらに、上記スクリーン41に描いた表と当該表に合わせて透明黒板46に描いた文字や数値をコピー機構4により読み取らせて、コピー出力を行わせたところ、良好なコピー画像を得ることができた。
【0100】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記のものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0101】
【発明の効果】
請求項1記載の発明の電子黒板装置によれば、本体筐体に形成された表示窓部分を中心に所定方向に所定量移動可能に配設され画像描画手段により画像の描かれるスクリーンの表面を、当該表示窓部分で覆う状態で、当該スクリーン上に描かれた画像を視認可能であるとともに所定の手書き描画手段により手書きで画像を描画可能な透明部材で形成された透明黒板を配設しているので、スクリーン上に画像描画手段により描かれた画像に応じて手書き描画手段により透明黒板上に画像を描く際に、両方の画像形成物質が混じり合ったり、画像描画手段により描かれた画像が変形されたり、消されたり、さらには、手書き描画手段に画像描画手段の画像形成物質が付着したり、手書き描画手段の画像形成物質が画像描画手段を汚染したりすることを防止することができるとともに、画像描画手段により描かれた画像と手書き描画手段により描かれた画像を個別に消去して、一方の画像を消去する際に他方の画像が不用意に消去されることを防止することができ、画像品質を向上させることができるとともに、利用性を向上させることができる。
【0102】
さらに、請求項記載の発明の電子黒板装置によれば、スクリーン上の画像を消去する画像消去手段を、螺旋形状の刃を有するローラ状の刃物部材を有し、画像の消去時に、当該刃物部材をスクリーンに接触させるとともに、当該スクリーンとの接触位置で当該スクリーンの移動速度とは異なる速度で当該刃物部材を回動駆動させて、スクリーン上に描かれた画像の画像形成物質を除去しているので、スクリーンとの定着性を極端に低下させることなく、スクリーンとの画像形成物質の付着力の大きい静電記録方式やソリッドインクジェット方式等の画像描画手段でスクリーン上に描かれた画像の画像形成物質を適切かつ確実に除去することができ、画像品質の良好な画像を得ることができる。
【0108】
請求項記載の発明の電子黒板装置によれば、スクリーンとベルト状の透明黒板とが重なり合った部分の透明黒板側に画像取込手段を配置し、少なくとも画像取り込み時に、スクリーンとベルト状の透明黒板が画像取込手段方向に等速度で移動して当該スクリーン上及び当該ベルト状の透明黒板上に描かれた画像を画像取込手段で取り込んでいるので、画像取込手段を移動させる機構を設けることなく、スクリーン上に描かれた画像と透明黒板上に描かれた画像とを合成した画像を適切に取り込んで、電子ファイル化してパーソナルコンピュータ等に出力したり、記録紙に記録出力することができ、利用性をより一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子黒板装置の第1の実施の形態を適用した電子黒板装置の正面図。
【図2】図1の電子黒板装置のA−A矢視断面図。
【図3】図2の電子黒板装置の画像消去機構部分の拡大正面断面図。
【図4】図3の画像消去機構の刃物部材の拡大正面図。
【図5】図4の刃物部材のB−B矢視断面図。
【図6】図1の電子黒板装置による画像描画処理及び画像消去処理の手順を示す図。
【図7】本発明の電子黒板装置の第2の実施の形態を適用した電子黒板装置の側面断面図。
【符号の説明】
1 電子黒板装置
2 本体筐体
2a 窓部
3 スクリーン
4 コピー機構部
4a コピー排出口
5 操作パネル
5a ボタン
6 透明黒板
10 駆動ローラ
11、12 従動ローラ
13 テンションローラ
14 画像消去機構
15 画像描画機構
16 制御部
17 スクリーン支持部材
20 ケース
21 刃物部材
22 刃先クリーニング部材
23 回収容器
24 画像形成物質
30 シャフト
31 芯金
32 バネ材
40 電子黒板装置
41 スクリーン
42、43 巻き取りローラ
44、45 支持ローラ
46 透明黒板
47、48 巻き取りローラ
49、50 支持ローラ
51 スクリーン支持部材

Claims (2)

  1. 本体筐体に形成された表示窓部分を中心に移動可能に配設されたスクリーンと、
    スクリーン上に画像形成物質により画像を描画する画像描画手段と、
    螺旋形状の刃を有するローラ状の刃物部材を有し、前記画像の消去時に、前記刃物部材を前記スクリーンに接触させるとともに、前記スクリーンとの接触位置で前記スクリーンの移動速度とは異なる速度で前記刃物部材を回動駆動させて、前記スクリーン上に描かれた前記画像の前記画像形成物質を除去する画像消去手段と、
    記スクリーンの表面を覆う状態で前記スクリーン上に前記画像描画手段により描画された画像を視認可能であるとともに手書きで画像を描画可能な透明部材により形成された透明黒板と、
    を備えることを特徴とする電子黒板装置。
  2. 本体筐体に形成された表示窓部分を中心に移動可能に配設されたスクリーンと、
    該スクリーン上に画像形成物質により画像を描画する画像描画手段と、
    前記スクリーンの表面を覆う状態で前記スクリーン上に前記画像描画手段により描画された画像を視認可能であるとともに手書きで画像を描画可能な透明部材により形成されたベルト状の透明黒板と、
    前記スクリーンと前記透明黒板とが重なり合った部分の前記透明黒板側に配置され、画像取り込み時に、等速度で移動する前記スクリーンと前記透明黒板から該スクリーン上及び透明黒板上に描かれた画像を取り込む画像取込手段と、
    を備えることを特徴とする電子黒板装置。
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