JP4064299B2 - 電動ピンセット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、微小部品を把持するピンセットの改良に関し、詳しくは、変位拡大機構を有する簡易な電動ピンセットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
発明者は、先に国際公開番号WO99/30877号公報にて、きわめて単純機構に成るグリッパーを提案した。かかるグリッパーは、フィンガーに長柱の座屈現象を応用することにより、特別の変位拡大機構を有することなく、わずかな並進移動量がフィンガー先端において、10数倍に拡大された曲げ変位量に変換される特徴を有するものである。
かかるグリッパーによれば、微小部品のソフトな把持ができ、小形軽量のために、ロボットハンドに適するものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、発明者は鋭意研究、検討を重ねた結果、所定の開放・閉成(把持)動作により被対象物を把持する用途に上記グリッパーを適用しようとすると、把持部材の開放量及び閉成量を適当な値に設定する必要がある。このため、把持部材の他端部における往復の並進変位量が所定値になるようにモータの正方向の回転角度、逆方向の回転角度を調整しなければならず煩雑であることを見出した。
【0004】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、並進変位量の拡大機能を有する把持部材を有し、簡易な構成で該把持部材の所定の開放、閉成ができる電動ピンセットを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る電動ピンセットは、軸を有するモータと、該モータを収納するケース部と、該ケース部に一端部が連結固定され、他端部が往復の並進変位量に基づいて先端の開閉量を拡大すると共に、被対象物を開放及び把持する把持部材と、前記モータを回転及び停止させるスイッチ手段と、前記ケース部に収納され、前記軸に連結されると共に、前記モータの一方向の回転を、前記把持部材の他端部に対して、所定の往復方向の並進変位量に変換する変換機構とを備え、前記変換機構は、前記軸に連結されると共に、第1の平面と該第1の平面端から斜めに形成された第1の斜面とから成る第1の揚程部を有する第1のカム輪郭を備えた第1のカム部材と、前記他端部に連結され、前記第1のカム部材の一方向の回転を前記並進変位量に変換すると共に、前記第1の平面に対応する第2の平面、前記第1の斜面と同一の傾きが形成された第2の斜面を有する第2のカム輪郭を備えた第2のカム部材と、を有することを特徴とするものである。
かかる電動ピンセットによれば、変換機構がモータの一方向の回転を、把持部材の他端部に対して、所定の往復並進変位量に変換し、スイッチ手段がモータを回転・停止する。すなわち、変換機構は把持部材の開閉量が一定になるように把持部材の他端部の並進変位量が所定の値にする。
しかも、変換機構を構成する第1のカム部材が第1の平面と該第1の平面端から斜めに形成された第1の斜面とから成る第1の揚程部により形成され、第2のカム部材が前記第1の平面に対応する第2の平面、前記第1の斜面と同一の傾きが形成された第2の斜面とを有する。
したがって、第1及び第2のカム部材のカム輪郭が斜面と平面とより形成できるので、第1及び第2のカム輪郭の製作が容易であるという効果がある。
【0006】
他の発明に係る電動ピンセットは、軸を有するモータと、該モータを収納するケース部と、該ケース部に一端部が連結固定され、他端部が往復の並進変位量に基づいて先端の開閉量を拡大すると共に、被対象物を開放及び把持する把持部材と、前記モータを回転及び停止させるスイッチ手段と、前記ケース部に収納され、前記軸に連結されると共に、前記モータの一方向の回転を、前記把持部材の他端部に対して、所定の往復方向の並進変位量に変換する変換機構とを備え、前記変換機構は、前記軸に連結されると共に、第3の平面と前記軸に対して偏心された位置に設けられた第3の半球部とから成る第3の揚程部を有する第3のカム輪郭を備えた第3のカム部材と、前記他端部に連結され、前記第3のカム部材の一方向に対する回転を前記並進変位量に変換すると共に、前記第4の平面と前記軸に対して偏心された位置に設けられた第4の半球部を有する第4のカム輪郭を備えた第4のカム部材と、を備えたことを特徴とするものである。
かかる電動ピンセットによれば、変換機構がモータの一方向の回転を、把持部材の他端部に対して、所定の往復並進変位量に変換し、スイッチ手段がモータを回転・停止する。すなわち、変換機構は把持部材の開閉量が一定になるように把持部材の他端部の並進変位量が所定の値にする。
しかも、変換機構を構成する第3のカム部材がモータの軸に連結されると共に、該軸に対して偏心された位置に設けられた第3の山状部と有する第3のカム輪郭を形成し、第4のカム部材が第4の平面と前記軸に対して偏心された位置に設けられた第4の山状部とを有する第4のカム輪郭を形成している。
したがって、第3及び第4のカム部材が平面と山状部とより形成できるので、カム曲線の設計が容易となる効果がある。
【0007】
他の発明に係る電動グリッパーは、第3及び第4の山状部が半球部である、ことを特徴とするものである。
かかる電動グリッパーによれば、第3及び第4のカム輪郭の製作が容易であるという効果がある。
【0008】
他の発明に係る電動グリッパーは、ケース部に収納されると共に、第1又は第3のカム部材を押すことにより、第1のカム輪郭と第2のカム輪郭とが接触するか又は、第3のカム輪郭と第4のカム輪郭とが接触する第1の弾性部材を、備えたことを特徴とするものである。
かかる電動ピンセットによれば、第1の弾性部材により第1のカム部材と第2のカム部材とを押圧するので、モータの回転による第1のカム部材の動作を第2のカム部材に確実に伝達することができるという効果がある。
【0009】
他の発明に係る電動グリッパーは、ケース部に収納されると共に、第2又は第4のカム部材を押す第2の弾性部材を備えたことを特徴とするものである。
かかる電動ピンセットによれば、第1の弾性部材によってモータの軸に加わるスラスト力を、第2の弾性部材によって減少できるという効果がある。
【0010】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
本発明の一実施の形態となる電動ピンセットを図1乃至図7によって説明する。図1は電動ピンセットの全体構成を示す断面図、図2はフィンガーユニットの斜視図、図3は直動駆動機構を構成するカム機構の概略図,図4はカムの詳細図、図5はカム機構の詳細図、図6はフィンガーホルダの詳細図、図7はカム曲線図である。
【0011】
図1において、電動ピンセットは、一端部13zと他端部13gとを有する把持部材としての把持フィンガー13を有すると共に、フィンガーユニット10と、把持フィンガー13の共有部(他端部)13gに連結されると共に、該共有部13gを並進変位させるモータ52を有する駆動部50と、モータ52の軸52aにおける一方向、すなわち、正転又は逆転のうちいずれか一つとなる一定方向の回転を、把持フィンガー13の共有部13gに対して、所定の往復方向の並進変位に変換し、往路と復路との並進変位量を同一の大きさに変換させる変換機構30と、把持フィンガー13の共有部13gを変換機構30の端部に固定される止めネジ15と、駆動部50、変換機構30を収納させると共に、フィンガーユニット10を固定するケース部60とから成っている。
【0012】
フィンガーユニット10は、図2に示すように把持部材としての把持フィンガー13と、フィンガーベース11とから成り、把持フィンガー13は、中央部には穴13eを中央に有する他端部としての共有部13gを有し、V字片13vの外側片には、中央にスリット13sを有しており、並進変位に基づいて共有部13gが引っ張られたり、戻されたりして先端13xが(第2図の水平方向に)拡大変位することにより開閉動作する、略V形状の二つのV字片13vを有するように形成されており、V字片13vにより被対象物を把持したり解放したりするように構成されている。
【0013】
フィンガーベース11は、平座金状で、中央に穿設された穴11eを有し、外周に二つの突起片11tが設けられており、把持フィンガー13のV字片13vの端部、すなわち、把持フィンガー13の一端部を挟持しながら係合される二つの切り欠き11cが設けられている。突起片11tには、スリット11sが設けられて、該スリット11sと連続する円弧状のスリット11gにより、突起片11tの側面が押圧挟持されるとスリット11sを開く向きに復原ばね力が作用する。このため突起片11tの側面を挟持してフィンガーホルダ62の溝に挿入して、上記挟持を解放することでばね力により突起片11tが復原して該溝に係合されるように形成されている。
なお、スリット11gがスリット11sの左右円周状に所定の長さに形成されているが、突起片11tに押圧復原ばね力が作用すれば、どちらか一方のみでも良い。
【0014】
変換機構30は、モータ52の軸52aに連結されると共に、第1のカム部材としてのカム33と第2のカム部材としてのカムフォロワ35から成っている。カム33は、図3に段付き軸の端面に第1のカム輪郭33rと、軸心部には、モータ52の軸52aに嵌合される同形状の回り止め穴33wが形成されている。カム輪郭33rは、図4にその詳細を示すように、軸に対してカムの側面図で角度θtだけ傾いて形成された第1の斜面としての傾斜面部33iと、傾斜面部33iの終端を、軸中心からhの距離を始端として外周面まで平面に形成されると共に、モータ52の軸52aに対して直交し、平面視が略半円柱状(略かまぼこ状)の第1の平面としての平面部33sとが形成されている。別言すれば、平面部33sは、軸中心から角度θcで、カム輪郭33rの外周面と交わる二点を結んだ線により平面部の始端が形成されている。
一方、カムフォロワ35は、三つの段付き円柱部35a、35b、35cから成り、円柱部35aには、貫通された孔35dに平行ピン37が嵌合されており、平行ピン37の先端部が所定の長さ孔35dから突出し、突出された先端部がフィンガーホルダ62の溝62uに嵌合されている。
さらに、円柱部35cには一端部にネジ穴35eが形成され、他端面に第1のカム輪郭33rと接触する第2のカム輪郭35rが形成されており、第2のカム輪郭35rは、第1のカム輪郭33rと同様なモータ52の軸52aに対して直交すると共に、第2の平面としての平面部35sと、第1の傾斜面部33iと同一の傾斜を有する第2の斜面としての第2の傾斜部35iとが形成されている。
【0015】
図5において、この図はカム33とカムフォロワ35が組み合わされ、第1のカム輪郭33rと第2のカム輪郭35rが接触した状態を示しており、カムフォロワ35の揚程はカム33とカムフォロワ35の平面部33s、35s間の距離Sとなる。すなわち、第1及び第2の傾斜面部33i、35iの始端と終端との並進変位方向の長さが並進変位量と一致するように形成されている。
このようにして構成されたカム33とカムフォロワ35とによるカム曲線の計算結果を図7に示す。かかる計算に用いた初期定数は、カム33およびカムフォロワ35の第1及び第2のカム輪郭33r、35rの半径=3mm、接触半径h=2.5mm、並進変位量S=0.3mmとすると、広がり角θc=67.2°、傾斜角θt=3.4°になる。
図7に示すように、カム曲線は正弦曲線の一部が水平にカットされた特性を示している。並進変位量S=0.3mmのところに見られる一定揚程の領域は、平面部33s、35sに対応している。
ここで、例えば、長さ20mmの把持フィンガーに4mm程度の開閉量を与えるためには、中央共有部13gの並進変位は0.3mm程度で十分である。
【0016】
カム33およびカムフォロワ35の外周には、第1、第2の弾性部材としての第1、第2のコイルばね21、22が嵌合されている。第1のコイルばね21はカムフォロワ35の円柱部35aとフィンガーホルダ62の円筒状中空部62a端との間に、第2のコイルばね22は、カム33の段付き部とモータケース66との間にともに圧縮状態で装着されている。そして第1のコイルばね21の圧縮力が第2のコイルバネ22よりも大きいものを選定している。カム33とカムフォロワ35とを確実に接触させるためである。
【0017】
駆動部50は、モータ52とその駆動源となる電池53から成る。モータ52には、遊星歯車機構による減速機付きモータで、該減速機付きモータを用いているのは、第一に回転速度を適当な値に減速して把持フィンガー13の共有部13gにおける並進変位量の移動速度を調整して把持フィンガー13の開閉速度を適切にするためである。第二に、把持フィンガー13が被対象物を把持した状態で、モータ52の電源がスイッチ57によって遮断されても、モータ52の回転を停止状態に維持することにより把持フィンガー13が閉成から開放することを防ぐためである。
【0018】
スイッチ手段としてのスイッチ57は、ケース部60に固定されると共に、直流電源の電池53をモータ52に接続及び開放することによりモータ52を回転及び停止させるもので、モータ52には、電池53の極性が同一のままで、モータ52を一定方向に回転及び、停止するように構成されている。
【0019】
ケース部60は、変換機構30を収納すると共に、フィンガーユニット10のフィンガーベース11を固定するフィンガーホルダ62と、モータ52、電池53を収納するケース64と、モータ52の端部を固定すると共に、フィンガーホルダ62の端部を固定するモータ受け66とを備えている。フィンガーホルダ62とモータ受け66およびモータ受け66とケース64はそれぞれネジ結合されている。
【0020】
フィンガーホルダ62は、図6に詳細を示すように、円柱状の中空部62a、中央にカムフォロワ35の円柱部35cが挿入される穴62eが穿設されており、中空部62aには、カムフォロワ35の平行ピン37を摺動させる溝62uがカムフォロワ35の並進変位方向に沿って並進変位量よりも長く形成されている。ここで、カムフォロワ35の平行ピン37がフィンガーホルダ62の溝62uを摺動しながら移動するのは、カム33の回転によるカムフォロワ35の回転を防止するためである。一方、フィンガーホルダ62の先端円筒部には,直径方向に複数組のスリット67が施されている。図6の場合、直径方向に3組のスリットを例示している。このスリット67の幅は、フィンガーベース11の突起片11tのそれよりもわずかに狭く形成されている。したがって該スリット67の一組にフィンガーベース11の突起片11tが係合されると、フィンガーベース11は所定のばね力でスリット67に固定される。フィンガーベース11をいずれのスリット67に係合するかは、スイッチ57の位置との関連で選定される。上述フィンガーユニット10は、フィンガーベース11が装着された後、把持フィンガー13の共有部が止めネジ15でカムフォロワ35のネジ穴35eに固定される。
【0021】
また、第1、第2のコイルばね21,22は、両者の和の圧縮ばね力がカムフォロワ35の円柱部35aを矢印A方向に押すことによりカム33の輪郭33rとカムフォロワ35のカム輪郭35rとが常に接触するように構成されている。これは、モータ52の回転によるカム33の動作を確実にカムフォロワ35に伝達するためである。
第2のコイルばね22は、モータ52に作用する推力を、押圧部材と成る第1のコイルばね21の圧縮力から減じることによりモータ52の軸52aにスラスト方向の力が加わることを減少して、該軸52aの負担を軽減している。
【0022】
上記のように構成された電動ピンセットの動作を図1乃至図7によって説明する。まず作業者がスイッチ57を押すと、電池53の電圧がモータ52に印加されてモータ52が回転を開始する。これにともなってカム33も同一方向に回転し、カムフォロワ35を並進移動させる。そしてカムに対するカムフォロワ35の位置が、図3の上図の状態に至ると、把持フィンガー13の共有部13gが矢印A方向に引っ張られて把持フィンガー13は最大変位量閉成して被対象物を把持する。このとき把持フィンガー13はそのばね復原力により開き戻ろうとするが、モータ52の軸に連結された減速機歯車の摩擦力のために逆回転は阻止される。この結果、把持フィンガー13のV字片13Vの閉成状態が保持され、被対象物を把持し続ける。一方,作業者がスイッチ57を再び押すと,モータはさらに回転してカムフォロワ35の平行ピン37が矢印B方向に距離S変位され図3の下図の状態に至る。この結果把持フィンガー13の共有部13gが戻されて被対象物は解放される。
【0023】
本実施例による電動ピンセットでは、カム33のカム輪郭33rとカムフォロワ35のカム輪郭35rとの接触面がきわめて単純で同様な線形斜面に形成されている。このためカム曲線の設計が容易であるばかりでなく、カム形状の製作が容易となるものである。
【0024】
実施の形態2.
本発明の他の実施の形態を図8乃至図10によって説明する。図8は、他の実施の形態を示す電動ピンセットに用いる変換機構の動作及び構成を示し、カム輪郭どうしが当接した状態の動作説明図(a)、カムフォロワの並進変位の移動が最大の状態による動作説明図及び正面図(b)である。図9は、図8に示す電動ピンセットに用いるカムの左側面図(a)、正面図(b)、図10は、図8に示す電動ピンセットに用いた変換機構のカム曲線図である。
【0025】
本実施の形態2は、実施の形態1と変換機構、すなわちカム及びカムフォロワのみの構成が異なるので、異なる点を中心に説明する。図8及び図9において、変換機構130は、モータ52の軸52aに連結されると共に、第3のカム部材としてのカム133と第4のカム部材としてのカムフォロワ135から成っている。カム133は、段付き軸の端面に第3のカム輪郭133rを有しており、第3のカム輪郭133rは、モータ52の軸52aに対して直交した第3の平面133sと、第3の平面133sと軸52a対してecだけ偏心された位置に設けられた断面が山状の第3の山状部として半径Rcの第3の半球部133qとから成る第3の揚程部を有している。
そして、カム133は、カム輪郭113rの反対方向の端面にモータ52の軸52aに嵌合されて連結される軸52aと同形状の回り止め穴133wが形成されている。
【0026】
一方、カムフォロワ135は、カム133の一方向に対する回転を並進変位量に変換すると共に、三つの段付き円柱部135a、135b、135cから成っている。円柱部135aには、貫通された孔135dに平行ピン37が嵌合されており、平行ピン37の先端部が所定の長さ孔135dから突出し、突出された先端部がフィンガーホルダ62の溝62uに嵌合されている。
さらに、円柱部135cには一端部にネジ穴135eが形成され、他端面に第3のカム輪郭133rと接触する第4のカム輪郭135rが形成されており、第4のカム輪郭35rは、第3のカム輪郭133rと同様な形状をしている。すなわち、第4のカム輪郭35rは、第4の平面135sと、軸52aに対してecだけ偏心された位置に設けられた半径Rcの第4の半球部135qとから成る第4の揚程部を有している。
ここで、第3の半球部133q、第4の半球部135qにすると、カム133、135の先端面に鋼球を埋め込むことによりカム輪郭133r、135rを形成できるので、製作が容易である。
【0027】
このようにして構成されたカム133とカムフォロワ135とによるカム曲線の計算結果を図10に示す。かかる計算に用いた初期定数は、カム33およびカムフォロワ35の第1及び第2のカム輪郭133r、135rの半径=3mm、軸52aに対して偏心ec=0.65mmに設けられた第3、第4の半球部133q、135qの半径=1.5mm、並進変位量S=0.3mmとしている。図10に示すように、カム曲線は略正弦曲線の特性を示している。
【0028】
上記のように構成された電動ピンセットの動作を図1、図8乃至図10によって説明するが、本実施の形態2は、実施の形態1とほぼ同様な動作をするので、概略説明する。まず作業者がスイッチ57を押すと、モータ52が回転を開始する。これにともなってカム133も同一方向に回転し、カムフォロワ135を並進移動させる。そしてカム133に対するカムフォロワ135の位置が、図8(a)の状態に至ると、把持フィンガー13の共有部13gが矢印A方向に引っ張られて把持フィンガー13は最大変位量閉成して被対象物を把持する。
一方、作業者がスイッチ57を再び押すと,モータ52はさらに回転してカムフォロワ35の平行ピン37が矢印B方向に距離S変位され図8(b)の状態に至る。この結果把持フィンガー13の共有部13gが戻されて被対象物は解放される。
【0029】
本実施例による電動ピンセットでは、カム133のカム輪郭133rとカムフォロワ135のカム輪郭135rとの接触面がきわめて単純で同様な形状である。このためカム曲線の設計が容易であると共に、カム形状の製作が容易となるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態による電動ピンセットの全体を示す断面図である。
【図2】 図1に示す電動ピンセットに用いるフィンガーユニットの斜視図である。
【図3】 図1に示す電動ピンセットに用いる変換機構の動作を示し、カム輪郭どうしが当接した状態の動作説明図(a)、カムフォロワの並進変位の移動が最大の状態による動作説明図(b)である。
【図4】 図1に示す電動ピンセットに用いるカムの左側面図(a)、正面図(b)である。
【図5】 図1に示す電動ピンセットに用いる変換機構の部分拡大正面図である。
【図6】 図1に示す電動ピンセットに用いるフィンガーホルダの左側面図(a)、正面図(b)、右側面図(c)である。
【図7】 図1に示す電動ピンセットに用いた変換機構のカム曲線図である。
【図8】 他の実施の形態を示す電動ピンセットに用いる変換機構の動作及び構成を示し、カム輪郭どうしが当接した状態の動作説明図(a)、カムフォロワの並進変位の移動が最大の状態による動作説明図及び正面図(b)である。
【図9】 図8に示す電動ピンセットに用いるカムの左側面図(a)、正面図(b)である。
【図10】 図8に示す電動ピンセットに用いた変換機構のカム曲線図である。
【符号の説明】
13 把持フィンガー(把持部材)、13g 把持フィンガーの他端部(共有部)、13z 把持フィンガー一端部、30 変換機構、33 カム(第1のカム部材)、33i 傾斜面部(第1の斜面)、33s 平面部(第1の平面)、35 カムフォロワ(第2のカム部材)、35i 傾斜面部(第2の斜面)、35s 平面部(第2の平面)、52 モータ、52a 軸、57 スイッチ(スィッチ手段)、133 カム(第3のカム部材)、133i 傾斜面部(第3の斜面)、133s 平面部(第3の平面)、135 カムフォロワ(第4のカム部材)、135i 傾斜面部(第4の斜面)、135s 平面部(第4の平面)。
Claims (2)
- 軸を有するモータと、
該モータを収納するケース部と、
V形状の二つのV字片よりなる形状で一端部と他端部と先端とを有し、前記ケース部に一端部が連結固定され、中央部となる他端部が往復の並進変位量に基づいて先端の開閉量を拡大すると共に、被対象物を開放及び把持する把持部材と、
前記モータを回転及び停止させるスイッチ手段と、
前記モータの軸に連結され、軸に直交する第1の平面及び該第1の平面の端から直径方向に前記第1の平面に対して所定の角度に傾斜して形成された第1の斜面のみから成る第1のカム輪郭を有する第1のカム部材、
および前記第1の平面に対応して軸に直交して形成された第2の平面及び該第2の平面の端から直径方向に前記第2の平面に対して前記第1の斜面と同一の傾きに形成された第2の斜面のみから成り前記第1のカム輪郭に対向する第2のカム輪郭を有し、前記他端部に連結され、前記第1のカム部材の一方向の回転を前記他端部が引っ張られたり、戻されたりする所定の往復方向の並進変位量に変換する第2のカム部材、
および前記第1のカム部材又は前記第2のカム部材を押すことにより前記第1のカム輪郭の第1の平面及び第1の斜面と前記第2のカム輪郭の第2の平面及び第2の斜面とを接触させる弾性部材を有し、
前記ケース部に収納され、前記モータの軸に連結されると共に、前記モータの一方向の回転を、前記把持部材が開放又は把持するように、並進変位量に変換する変換機構と
を備えたことを特徴とする電動ピンセット。 - 軸を有するモータと、
該モータを収納するケース部と、
V形状の二つのV字片よりなる形状で一端部と他端部と先端とを有し、前記ケース部に一端部が連結固定され、中央部となる他端部が往復の並進変位量に基づいて先端の開閉量を拡大すると共に、被対象物を開放及び把持する把持部材と、
前記モータを回転及び停止させるスイッチ手段と、
前記モータの軸に対して偏心された位置に設けられた半球状の第3の山状部で成る第3のカム輪郭を有し、前記モータの軸に連結される第3のカム部材、
および前記モータの軸に対して偏心された位置に設けられた半球状の第4の山状部で成り前記第3のカム輪郭に対向する第4のカム輪郭を有し、前記他端部に連結され、前記第3のカム部材の一方向の回転を前記他端部が引っ張られたり、戻されたりする所定の往復方向の並進変位量に変換する第4のカム部材、
および前記第3のカム部材又は前記第4のカム部材を押すことにより前記第3のカム輪郭の第3の山状部と前記第4のカム輪郭の第4の山状部とを接触させる弾性部材を有し、
前記ケース部に収納され、前記モータの軸に連結されると共に、前記モータの一方向の回転を、前記把持部材が開放又は把持するように、並進変位量に変換する変換機構と
を備えたことを特徴とする電動ピンセット。
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