JP4063838B2 - 半導体発光素子の転位密度低減方法 - Google Patents

半導体発光素子の転位密度低減方法 Download PDF

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Description

本発明は、半導体発光素子の転位密度低減方法に関し、詳しくはフォトダイオードなどとして好適に用いることのできるIII族窒化物を用いた半導体発光素子の転位密度低減方法に関する。
III族窒化物膜は、半導体発光素子を構成する半導体膜として用いられており、近年においては、特に緑色光から青色光用の高輝度光源、さらには、紫外光及び白色光用の光源としても期待されている。
近年においては、このようなIII族窒化物膜を形成する基板として、所定の基材上にエピタキシャル成長により形成した下地膜を具える、いわゆるエピタキシャル基板が頻繁に用いられている。そして、このエピタキシャル基板上に、単層のIII族窒化物膜あるいは複数のIII族窒化物膜が積層されてなる所定のIII族窒化物層群を、MOCVD法などを用いて形成することにより、目的とする半導体発光素子を得ている。
図1は、従来のいわゆるPIN型の半導体発光素子の一例を示す構成図である。
図1に示す半導体発光素子10においては、主としてサファイア単結晶からなる基板1上において、GaNからなるバッファ層2、Siドープのn−GaNからなる下地層3、Siドープのn−AlGaNからなるn型導電層4、InGaNからなる多重量子井戸(MQW)構造の発光層5、Mgドープのp−AlGaNからなるp型クラッド層6、Mgドープのp−GaNからなるp型導電層7がこの順に形成されている。図1に示す半導体発光素子10においては、n型導電層4からp型導電層7までが発光素子構造を構成する。
n型導電層4の一部は露出しており、この露出した部分にAl/Tiなどのn型電極8が形成されるとともに、p型導電層7上にはAu/Niなどのp型電極9が形成されている。
そして、n型電極8及びp型電極9間に所定の電圧を印加することにより、発光層5内でキャリアの再結合が生じ、所定の波長の光を発光する。なお、前記波長は、発光層の構造及び組成などによって決定される。
図1に示す半導体発光素子10において、バッファ層2は、基板1と下地層3との格子定数差を補完して、基板1上方に形成されるべき下地層3などのエピタキシャル成長を可能とすべく、緩衝層としての作用を果たすものである。したがって、通常はその結晶性を無視して500〜700℃の低温において、アモルファス状に形成される。
この結果、バッファ層2中には比較的多量の転位が含有されてしまい、この転位の一部が貫通転位として下地層3、n型導電層4、発光層5、p型クラッド層6、及びp型導電層7中に伝搬する。結果としてこれらの層中にも1010/cmを超える量の転位が含まれていまい、結晶品質が劣化してしまっていた。特に、短波長用の半導体発光素子、すなわちn型導電層3及び発光層4がAlをより多く含む場合において上記傾向は顕著になる。
このような高転位で低結晶品質の層から半導体発光素子を構成すると、発光層の転位に起因していわゆる非発光再結合が起こり、発光効率が減少するという問題があった。
本発明は、転位密度を低減し、高い発光効率を有する半導体発光素子を提供することを目的とする。
上記目的を達成すべく、本発明は、
C面サファイア基板上に、窒化物半導体からなる表面粗さ(Ra)が2Å以下である下地層と、前記下地層と接触するn型導電層を少なくとも具えている窒化物半導体層群を含む発光素子構造とを順次に具える半導体発光素子の転位密度低減方法であって、
前記下地層は成長初期からMOCVD法により1100℃〜1150℃の温度でエピタキシャル成長させた窒化物半導体AlNを転位密度10 11 /cm から8×10 /cm で形成する工程と、
前記発光素子構造を構成する前記窒化物半導体層群の前記n型導電層を、前記下地層を構成する前記窒化物半導体よりも少ないAl含有量原子%に設定する工程とを具え、
前記下地層と前記窒化物半導体層群の前記n型導電層とのAl組成差に起因して、前記下地層からの貫通転位を前記窒化物半導体層群内で低減させ、前記窒化物半導体層群の転位密度を前記下地層の転位密度よりも小さく、かつ1×1010/cm から5×10 /cm とすることを特徴とする、半導体発光素子の転位密度低減方法に関する。
本発明者らは、上記目的を達成するべく鋭意検討を実施した。上述した発光効率の劣化は、半導体発光素子を構成する各層の低結晶品質に基づく高転位の結果として生じるものであることから、本発明者らは、半導体発光素子を構成する各層の転位量を減らして結晶品質を向上させることを試みた。
上述したように、半導体発光素子を構成する各層中における転位は、低結晶品質のバッファ層に起因するものである。図1に示す従来の半導体発光素子においては、基板1としてはサファイア単結晶が用いられ、下地層3としてはn−GaNが用いられていたため、下地層3上にIII族窒化物であるn−AlGaNからなるn型導電層4を形成すると、下地層3内に存在する転位がn型導電層4内にも伝播してしまうという問題があった。特に、n型導電層4を構成するn−AlGaN中のAl含有量が増大すると、クラックを発生させてしまう場合もあった。これは、n型導電層4がAlを含むことによってその格子定数が縮小されるため、このn型導電層4内に引張応力が発生することに起因する。
そこで、バッファ層のみならず、下地層についても種々検討を行った。図1に示す従来の半導体発光素子においては、その構成から明らかなように、発光層などはGaを主とした窒化物半導体から構成されている。したがって、これら各層に対する下地層についてもGa系を主とした、例えばGaNから構成することが当然と考えられていた。その結果、基板との格子不整合が生じ、これを緩和するために低温形成のバッファ層が必要とされていた。
しかしながら、本発明者らは、当然と思われていた下地層の組成に着目し、この組成を変化させることを試みた。その結果、Alを主とする窒化物半導体から構成することにより、前記下地層を成長初期から1100℃〜1150℃の高温度でバッファ層が存在しない場合においても、サファイアなどの基板上に大きな格子定数差を補完してエピタキシャル成長することができることを見出した。また、前記下地層を1100℃〜1150℃の高温度で形成しているので、前記下地層は高い結晶品質を有するようになり、前記下地層上に形成された導電層及び発光層の結晶品質も改善され、それらの転位量が低減されることを見出した。結果として、半導体発光素子を構成する各層中に転位量が低減され、高い転位量に基づく非発光再結合を効果的に抑制することができる。
さらに、本発明の方法においては、前記下地層のAl含有量に対して、前記窒化物半導体層群のAl含有量を少なくしている。したがって、前記下地層と前記窒化物半導体層群との界面では、前記下地層内を伝播してきた転位が前記下地層と前記窒化物半導体層群とのAl組成差に起因して前記窒化物半導体層群内に伝播しなくなる。したがって、上記下地層自体の転位密度低減との相乗効果により、前記半導体発光素子を構成する各層中の転位量をより低減することができ、非発光再結合を効果的に抑制することができるようになる。
また、上述した高結晶品質の下地層は、放熱特性に優れている。このため、上述した転位密度低減効果との相乗効果によって、半導体発光素子の発光効率を向上させることができ、高輝度発光が可能となる。
以上説明したように、本発明の半導体発光素子の転位低減方法によれば、その下地層を高結晶品質とするとともに、前記下地層と前記半導体発光素子の機能層としての窒化物半導体層群との間にAl組成差を設けるようにしている。したがって、前記下地層による高結晶品質の効果と、前記下地層及び前記窒化物半導体層群の界面におけるAl組成差に起因した転位伝播抑制効果との相乗効果によって、前記窒化物半導体層群の結晶品質を改善し、低転位化することができる。
この結果、本発明の半導体発光素子は、低転位密度の窒化物半導体層群から構成される発光素子構造を有するようになるため、実際の使用において、発光効率を向上させることができる。
以下、本発明のその他の特徴及び利点などについて、発明を実施するための最良の形態に基づいて説明する。
図2は、本発明の半導体発光素子の一例を示す構成図である。図2に示す半導体発光素子20は、基板11上において、下地層13、n型導電層14、発光層15、p型クラッド層16、及びp型導電層17を順次具えている。そして、図1に示す従来の半導体発光素子10と同様に、n型導電層14の一部は露出しており、この露出したn型導電層14上には、例えばAl/Tiからなるn型電極18が形成され、p型導電層15上には例えばAu/Niからなるp型電極19が形成されて、いわゆるPIN型の半導体発光素子を構成している。
図2において、n型導電層14、発光層15、p型クラッド層16、及びp型導電層17は半導体発光素子における窒化物半導体層群を構成し、この窒化物半導体層群と、n型電極18及びp型電極19とから発光素子構造が構成される。なお、p型クラッド層16は必要に応じて省略することもできる。
下地層13は、本発明にしたがって、Alを含む窒化物半導体から構成されていることが必要であり、成長初期から1100℃〜1150℃の高温度で形成することが必要である。この場合においても、下地層13がAlを含むことに起因して、基板11との格子定数差を補完して、自らエピタキシャル成長されることができるとともに、その結果、下地層13上においてn型導電層14、発光層15、p型クラッド層16及びp型導電層17をもエピタキシャル成長させることができる。
なお、下地層13、並びにn型導電層14からp型導電層17における上記エピタキシャル成長は、公知の成膜手法によって実現することができ、例えばMOCVD法によって実現することができる。
このとき、下地層13は、例えば転位密度を1011/cm 2 以下にまで低減することができ、さらには1010/cm以下にまで低減することができる。
また、下地層13は、上述した高温度でのMOCVD法などによる形成工程により、表面粗さ(Ra)を2Å以下にまで低減させる。したがって、下地層13上に形成すべきn型導電層14からp型導電層17の転位密度を含めた結晶品質は、下地層13の良好な表面粗さ(Ra)に基づいて、さらに向上されたものとなる。
また、窒化物半導体層群を構成するn型導電層14、発光層15、p型クラッド層16及びp型導電層17は、下地層13よりも少ない含有量でAlを含むことが必要である。これは、下地層13とn型導電層14との間のAl組成差に起因して貫通転位の割合が減少し、n型導電層14、発光層15、p型クラッド層16及びp型導電層17中の転位密度を低減することができ、これによって、n型導電層14などの結晶品質が向上するためである。
上述した効果は、下地層13を構成する前記窒化物半導体におけるAlの含有量が多いほど顕著になる。具体的には、前記窒化物半導体がその構成III族元素の総てに対して50原子%以上のAlを含有している場合に顕著になり、さらにはAlNから構成されている場合により顕著になる。
このように、下地層13を上述した高Al含有量の窒化物半導体から構成することによって、下地層13自身の高結晶化との相乗効果により、下地層13上に形成されたn型導電層14、発光層15、及びp型導電層17の転位密度がさらに低減されて、高結晶品質化を達成することができるようになる。
例えば、下地層13がAlNから構成され、下地層13上に直接的に形成されたn型導電層14がGaを比較的多く含有するAlGaNなどから構成される場合などにおいては、下地層13とn型導電層14との間の組成差が増大するために、下地層13の転位量に比較してn型導電層14の転位量をより低減することができる。
特に、窒化物半導体層群のGa含有量がその構成III族元素の総てに対して80%以上である場合には、前記窒化物半導体層群を構成するn型導電層14、発光層15、p型クラッド層16及びp型導電層17の転位密度を1010/cm以下、さらには10/cm以下にまで簡易に低減することができる。なお、現状においては1×10/cm以下まで低減することができる。また、前記Ga含有量は前記窒化物半導体層群の全体における平均組成である。
なお、n型導電層14からp型導電層17までの低転位密度化は、上述したようにして転転位密度化が達成された下地層13上に上述したような界面におけるAl組成差を保持した状態で単にエピタキシャル成長させることによって得ることができる。
また、上述したような特性を満足する下地層13は放熱特性にも優れているため、高結晶品質と高放熱特性との相乗効果によって、半導体発光素子20の発光効率は一層向上し、高輝度発光が可能となる。
基板11は、サファイア単結晶、ZnO単結晶、LiAlO単結晶、LiGaO単結晶、MgAl単結晶、MgO単結晶などの酸化物単結晶、Si単結晶、SiC単結晶などのIV族あるいはIV−IV族単結晶、GaAs単結晶、AlN単結晶、GaN単結晶、及びAlGaN単結晶などのIII−V族単結晶、ZrBなどのホウ化物単結晶などの、公知の基板材料から構成することができる。しかしながら、好ましくはC面サファイア基板を用いる。
なお、図2に示す本発明の半導体発光素子においては、発光層15下側の導電層をn型とし、上側の導電層をp型としているが、両者を逆転させて形成することもできる。また、発光層15は単一の窒化物半導体層から構成することもできるが、多重量子井戸構造などのような多層膜から構成することもできる。
図3は、本発明の半導体発光素子のその他の例を示す構成図である。図3に示す半導体発光素子30は、基板21上において、下地層23、n型導電層24、発光層25、及びp型導電層27を順次具えている。そして、n型導電層24の一部は露出しており、この露出したn型導電層24上には、例えばAl/Tiからなるn型電極28が形成され、p型導電層27上には例えばAu/Niからなるp型電極29が形成されて、いわゆるリッジ型のレーザダイオードを構成している。
図3において、n型導電層24、発光層25、及びp型導電層27は半導体発光素子における窒化物半導体層群を構成し、この窒化物半導体層群と、n型電極28及びp型電極29とから発光素子構造が構成される。
下地層23は、本発明にしたがって、Alを含む窒化物半導体から構成されていることが必要であり、成長初期から1100℃〜1150℃の高温度で形成することが必要である。この場合においても、下地層23がAlを含むことに起因して、基板21との格子定数差を補完して、自らエピタキシャル成長されることができるとともに、その結果、下地層23上においてn型導電層24、発光層25、及びp型導電層27をもエピタキシャル成長させることができる。
なお、下地層23、並びにn型導電層24からp型導電層27における上記エピタキシャル成長は、公知の成膜手法によって実現することができ、例えばMOCVD法によって実現することができる。
このとき、下地層23は、例えば転位密度を1011/cm 2 以下にまで低減することができ、さらには1010/cm以下にまで低減することができる。
また、下地層13は、上述した高温度でのMOCVD法などによる形成工程により、表面粗さ(Ra)を2Å以下にまで低減させる。したがって、下地層13上に形成すべきn型導電層14からp型導電層17の転位密度を含めた結晶品質は、下地層13の良好な表面粗さ(Ra)に基づいて、さらに向上されたものとなる。
また、窒化物半導体層群を構成するn型導電層24、発光層25、及びp型導電層27は、下地層23よりも少ない含有量でAlを含むことが必要である。これは、下地層23とn型導電層24との間のAl組成差に起因して貫通転位の割合が減少し、n型導電層24、発光層25、及びp型導電層27中の転位密度を低減することができ、これによって、n型導電層24などの結晶品質が向上するためである。
上述した効果は、下地層23を構成する前記窒化物半導体におけるAlの含有量が多いほど顕著になる。具体的には、前記窒化物半導体がその構成III族元素の総てに対して50原子%以上のAlを含有している場合に顕著になり、さらにはAlNから構成されている場合により顕著になる。
このように、下地層23を上述した高Al含有量の窒化物半導体から構成することによって、下地層23自身の高結晶化との相乗効果により、下地層23上に形成されたn型導電層24、発光層25、及びp型導電層27の転位密度がさらに低減されて、高結晶品質化を達成することができるようになる。
例えば、下地層23がAlNから構成され、下地層23上に直接的に形成されたn型導電層24がGaを比較的多く含有するAlGaNなどから構成される場合などにおいては、下地層23とn型導電層24との間の組成差が増大するために、下地層23の転位量に比較してn型導電層24の転位量をより低減することができる。
特に、窒化物半導体層群のGa含有量がその構成III族元素の総てに対して80%以上である場合には、前記窒化物半導体層群を構成するn型導電層24、発光層25、及びp型導電層27の転位密度を1010/cm以下、さらには10/cm以下にまで簡易に低減することができる。なお、現状においては1×10/cm以下まで低減することができる。また、前記Ga含有量は前記窒化物半導体層群の全体における平均組成である。
なお、n型導電層24からp型導電層27までの低転位密度化は、上述したようにして転転位密度化が達成された下地層23上に上述したような界面におけるAl組成差を保持した状態で単にエピタキシャル成長させることによって得ることができる。
また、上述したような特性を満足する下地層23は放熱特性にも優れているため、高結晶品質と高放熱特性との相乗効果によって、半導体発光素子30の発光効率は一層向上し、高輝度発光が可能となる。
基板11は、サファイア単結晶、ZnO単結晶、LiAlO単結晶、LiGaO単結晶、MgAl単結晶、MgO単結晶などの酸化物単結晶、Si単結晶、SiC単結晶などのIV族あるいはIV−IV族単結晶、GaAs単結晶、AlN単結晶、GaN単結晶、及びAlGaN単結晶などのIII−V族単結晶、ZrBなどのホウ化物単結晶などの、公知の基板材料から構成することができる。しかしながら、好ましくはC面サファイア基板を用いる。
なお、図3に示す本発明の半導体発光素子においては、発光層25下側の導電層をn型とし、上側の導電層をp型としているが、両者を逆転させて形成することもできる。また、発光層25は単一の窒化物半導体層から構成することもできるが、多重量子井戸構造などのような多層膜から構成することもできる。
(実施例1)
本実施例においては、図2に示すPIN型の半導体発光素子を作製した。基板11として2インチ径の厚さ500μmのC面サファイア単結晶を用い、これをMOCVD装置の中に設置した。MOCVD装置には、ガス系としてH2、N2、TMA、TMG、Cp2Mg、NH3、SiH4が取り付けてある。圧力を100Torrに設定した後、H2を平均流速1m/secで流しながら、基板11を1150℃まで昇温した。
その後、TMAとNHとを、所定量供給して、下地層13としてのAlN層を厚さ1μmまで成長させた。この際、成膜速度を0.3μm/hrとなるように、TMA及びNHの供給量を設定した。このAlN層中の転位密度をTEMによって観察したところ、8×10/cmであった。AlNの(002)面のX線ロッキングカーブを測定したところ、その半値幅は100秒以下であり、表面粗さ(Ra)は2Å以下と良好な結晶品質を有することが確認された。
次いで、基板温度を1120℃に設定した後、圧力を常圧にし、TMA、NH、SiHを全ガス平均流速1m/secで流して、n型導電層14としてSiをドープしたn−GaN層を厚さ3μm成長させた。原料供給量は成膜速度が3μm/hrとなるように設定した。なお、SiHは、キャリア濃度が5×1017/cmとなるように供給した。
次いで、各原料ガスの供給を停止し、キャリアガスを窒素に変更した後、基板温度を700℃とした。前記n−GaN層上に、TMI、TMG、NHを全ガス流速1m/secで流して、発光層15としてのi−InGaN層をMQW構造として形成した。その後、TMIをTMAに切り替えると共にCp2Mgをキャリア濃度が2×1017/cmとなるようにして供給し、p型クラッド層16としてのp−AlGaN層を厚さ20nmに成長させた。その後、TMAを停止して基板温度を100度に上昇した後TMG、NH、Cp2Mgを供給し、p型導電層17としてのMgをドープしたp−GaN層を厚さ0.2μmに形成した。
n−GaN層、i−InGaN層及びp−GaN層の転位密度をTEMによって観察したところ、それぞれ5×10/cm、5×10/cm及び5×10/cmであった。
さらに、これらの各層を部分的にエッチング除去することによって、n型導電層14を構成するn−GaN層の一部を露出させ、この露出部分に対してAl/Tiからなるn型電極18を形成した。また、p型導電層17を構成するp−GaN層上にAu/Niからなるp型電極19を形成した。
(比較例1)
本比較例においては、図1に示すPIN型の半導体発光素子を作製した。基板1としてのサファイア単結晶基板を用い、実施例と同様のMOCVD装置内に設置した。基板1を600℃に加熱した後、TMG及びNHを供給してバッファ層2としてのGaN層を厚さ0.03μmに形成した。
その後、一旦、TMG及びNHの供給を中断し、基板温度を1120℃に設定して、TMG、NH、及びSiHを供給し、下地層3としてのn−GaN層を、成膜速度3μm/hrで厚さ3μmに形成した。次いで、実施例と同様にして、n型導電層4からp型導電層7までを形成し、さらにAl/Tiのn型電極8、Au/Niのp型電極9を形成することによって、半導体発光素子10を作製した。
n型導電層4、発光層5、及びp型導電層7を構成するn−GaN層、i−InGaN層、及びp−GaN層中における転位密度をTEM観察によって測定したところ、それぞれ2×1010/cm、2×1010/cm及び2×10/cmであった。
図4は、上記実施例1及び比較例1で作製した半導体発光素子の発光特性を示すグラフである。図4においては、半導体発光素子への注入電流と発光出力との関係を示している。図4から明らかなように、所定の注入電流に対しては、実施例1で得た半導体発光素子の方が比較例1で得た半導体発光素子よりも大きな発光出力を示すことが分かる。
また、実施例1において得た半導体発光素子においては、注入電流の増大に伴って発光出力も増大し、高注入電流領域では高い発光出力を示すことが分かる。一方、比較例1において得た半導体発光素子においては、高注入電力領域において素子が破壊し、これに伴って発光出力が劣化することが分かる。
(実施例2)
本実施例においては、図3に示すリッジ型のレーザダイオードを簡略化したものを作製した。具体的には、発光層25、p型導電層27、n型電極28及びp型電極29を形成することなく、下地層23を発光層として機能させ、所定の励起光を用いることにより誘導放出を実施した。
基板21として2インチ径の厚さ500μmのC面サファイア単結晶を用い、これをMOCVD装置の中に設置した。MOCVD装置には、ガス系としてH2、N2、TMA、TMG、Cp2Mg、NH3、SiH4が取り付けてある。圧力を100Torrに設定した後、H2を平均流速1m/secで流しながら、基板21を1150℃まで昇温した。
その後、TMAとNHとを、所定量供給して、下地層23としてのAlN層を厚さ1μmまで成長させた。この際、成膜速度を0.3μm/hrとなるように、TMA及びNH3の供給量を設定した。このAlN層中の転位密度をTEMによって観察したところ、8×10/cmであった。AlNの(002)面のX線ロッキングカーブを測定したところ、その半値幅は100秒以下であり、表面粗さ(Ra)は2Å以下と良好な結晶品質を有することが確認された。
次いで、基板温度を1120℃に設定した後、圧力を常圧にし、TMG、NH、SiHを全ガス平均流速1m/secで流して、n型導電層24としてSiをドープしたn−GaN層を厚さ3μm成長させた。原料供給量は成膜速度が3μm/hrとなるように設定した。なお、SiHは、キャリア濃度が1.1×1017/cmとなるように供給した。
その後、上述のようにして作製したアセンブリを3000μmの長さで劈開し、幅500μmのリッジ型のレーザダイオードを作製した。前記n−GaN層の転位密度をTEMによって観察したところ、5×10/cmであった。
(比較例2)
本比較例においては、実施例2同様に、リッジ型のレーザダイオードを作製した。但し、基板21を600℃に加熱し、TMG及びNHを供給することにより、基板21上にバッファ層してのGaN層を厚さ0.03μmに設けた。このとき、前記バッファ層上に形成したn−GaN層の転位密度をTEMによって観察したところ、2×1010/cmであった。
実施例2及び比較例2で得たレーザダイオードの誘導放出光出力と励起光強度との関係を調べたところ、図5に示すような結果が得られた。本発明に従って得た実施例2で示すレーザダイオードにおいては、0.5MW/cmの励起光強度で誘導放出が生じるのに対し、比較例2で示すような低温バッファ層を有するレーザダイオードにおいては、0.6MW/cmの励起光強度で誘導放出が生じることが確認された。すなわち、本発明に従って得た実施例2におけるレーザダイオードにおいては、誘導放出の生じるしきい値が低減されており、励起効率の大きいことが確認された。
以上、実施例及び比較例から明らかなように、本発明に従って作製された半導体発光素子においては、下地層の高結晶品質に起因して各層の結晶品質も改善され、転位量が低減されている効果と、AlN下地層の放熱特性の向上効果との相乗効果によって発光効率及び励起効率が向上し、高輝度発光が実現されていることが分かる。したがって、実施例に示す半導体発光素子は、比較例に示す半導体発光素子と比較して、高い効率の半導体発光素子であり、高輝度発光可能であることが確認された。
以上、具体例を挙げながら、本発明を発明の実施の形態に即して詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。
例えば、基板に窒化処理を加えたり、III族原料による基板の前処理などを行なうこともできる。また、下地層の組成を連続的に変化させたり、成膜条件を段階に分けて変化させたりすることも可能である。さらに、導電層や発光層などの結晶性をさらに向上させる目的で、下地層と導電層との間などにバッファ層やひずみ超格子などの多層積層構造を温度、流量、圧力、原料供給量、及び添加ガスなどの成長条件を変化させることにより、挿入することもできる。また、発光層下方のn層側にn−AlGaNクラッドを挿入しても良い。各層の成膜については、同一の成膜装置で行う必要はなく、別の装置を使用しても良い。
また、上記下地層は、Ge、Si、Mg、Zn、Be、P、及びBなどの添加元素を含有することもできる。さらに、意識的に添加した元素に限らず、成膜条件などに依存して必然的に取り込まれる微量元素、並びに原料、反応管材質に含まれる微量不純物を含むこともできる。
また、本発明の半導体発光素子は、上述したPIN型の半導体発光素子のみならず、あらゆる型の半導体発光素子に対して用いることができる。
従来の半導体発光素子の一例を示す構成図である。 本発明の半導体発光素子の一例を示す構成図である。 本発明の半導体発光素子の他の例を示す構成図である。 半導体発光素子の発光特性を示すグラフである。 リッジ型のGaN膜からの誘導放出出力と励起光強度との関係を示すグラフである。
符号の説明
1,11,21 基板、2 バッファ層、3,13,23 下地層、4,14,24 n型導電層、5,15,25 発光層、6,16 p型クラッド層、7,17,27 p型導電層、8,18,28 n型電極、9、19,29 p型電極、10,20,30 半導体発光素子

Claims (3)

  1. C面サファイア基板上に、窒化物半導体からなる表面粗さ(Ra)が2Å以下である下地層と、前記下地層と接触するn型導電層を少なくとも具えている窒化物半導体層群を含む発光素子構造とを順次に具える半導体発光素子の転位密度低減方法であって、
    前記下地層は成長初期からMOCVD法により1100℃〜1150℃の温度でエピタキシャル成長させた窒化物半導体AlNを転位密度10 11 /cm から8×10 /cm で形成する工程と、
    前記発光素子構造を構成する前記窒化物半導体層群の前記n型導電層を、前記下地層を構成する前記窒化物半導体よりも少ないAl含有量原子%に設定する工程とを具え、
    前記下地層と前記窒化物半導体層群の前記n型導電層とのAl組成差に起因して、前記下地層からの貫通転位を前記窒化物半導体層群内で低減させ、前記窒化物半導体層群の転位密度を前記下地層の転位密度よりも小さく、かつ1×1010/cm から5×10 /cm とすることを特徴とする、半導体発光素子の転位密度低減方法。
  2. 前記発光素子構造を構成する前記窒化物半導体層群の、全III族元素に対するGa含有量が80%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の半導体発光素子の転位密度低減方法。
  3. 前記窒化物半導体層群を、常圧で成長させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の半導体発光素子の転位密度低減方法。
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