JP4063236B2 - 弁とその製造方法及びそれを用いた発電プラント並びに弁用部材 - Google Patents

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Description

本発明は、高硬度及び高耐衝撃性を有する新規な弁とその製造方法及びそれを用いた火力発電プラント、原子力発電プラント並びに弁用部材に関する。
従来、各種の流体機械、化学プラント、火力プラントあるいは原子力プラントに使用される安全弁、玉型弁、仕切り弁、逆止弁、制御弁、逃し弁あるいはちょう型弁などには、弁座の表面にステライトと呼ばれるコバルト基合金が肉盛溶接されたものが使用されてきた。弁は、摩耗しにくいこと、焼き付きを生じにくいこと、又、かじりを生じにくいこと、エロージョンを生じにくいことも必要である。又、耐食性も高い方がよい。
しかし、近年、タービン発電設備等では循環水の水質調整のために循環水系統に過酸化水素水等の薬剤が注入されるようになり、薬剤の注入点より下流の溶存酸素量が増加し、その結果、弁の弁座面等にエロージョン、かじりによる損傷が発生している。これは弁の弁座部に肉盛されているコバルト基合金等の網目状クロム炭化物が選択的に腐食損傷するためである。高速流体中ではクロム炭化物の腐食損傷に続いて、鋳造組織の基地部(マトリックス)が脱落し、エロージョンが発生する場合がある。
また、原子力発電設備においても、炉水と接する摺動部及び炉内に冷却水を供給する系統設備の弁類に上述の事象が発生する可能性があり、これらの部位に肉盛されているコバルト基合金は、腐食・エロージョンによって系統中に混入し、さらにこれらの流出したコバルトが原子炉内で放射化し半減期の長いコバルト同位体となって系統設備の放射線量を増加させる可能性がある。
これらの問題点に対し、特許文献1では、クロム炭化物が粒径30μm以下の粒状又は塊状に微細化されているコバルト基合金を弁座面に形成することにより、腐食損傷等が生じにくくなり、弁の寿命延長が図れることが示されている。
特開2001−288521号公報
しかし、特許文献1の方法は、仕切り弁のような「すべり摩耗」を伴う弁では有効であるが、特に逆止弁や安全弁のような「衝撃摩耗」を伴う弁では必ずしも十分でなく、さらに高硬度及び高耐衝撃性の弁座が求められている。
本発明の目的は、より高硬度及び高耐衝撃性を有する弁とその製造方法及びそれを用いた発電プラント並びに弁用部材を提供することにある。
本発明は、粉末冶金法を用いて、粒状・塊状のクロム炭化物をより微細化し、最大粒径10μm以下、平均粒径5μm以下とし、より高硬度でしかも耐衝撃性を有する弁にある。
即ち、通常の溶解によって網目状に形成される巨大なクロム炭化物を、粉末冶金法によって微細な不連続の粒状又は塊状にすることにより、より大量のクロム炭化物を含有させても熱間塑性加工を施すことができることにより、より高硬度でしかも耐衝撃性を大幅に改善できる。特にクロム炭化物の最大粒径を10μm以下及び平均粒径を5μm以下、好ましくは0.5〜5μmとすることにより、高硬度・高靱性・高耐食性を同時に兼ね備えた弁座を得ることができる。
特に、コバルト基合金においては、クロム炭化物を金属ミクロ組織の基地中により微細に粒状・塊状に分散させるためには、真空溶解したインゴットを熱間プレス、熱間加工することによっても可能であるが、この方法では平均粒径を5μm以下とすることは困難である。また、硬さは主に炭素(C)含有量に依存するが、C含有量を高めたインゴットを熱間加工すると、加工中に割れが発生しやすくなり、健全な板、棒材を作製するのが困難であり、より靱性を高めることができない。
クロム炭化物の平均粒径を5μm以下にするためには、粉末冶金プロセスを用いるのが好ましいが、その粉末の粒径をより細粒に形成することによって得られる。すなわち、非酸化性ガスアトマイズ法により製造された多量のCr炭化物を含むコバルト基合金の粉末はその粒径を所望の大きさに形成し、静水圧焼結(HIP:Hot Isostatic Press)処理あるいは熱間押出し焼結でち密化する。この平均粒径が5μm以下のクロム炭化物を有するち密化後の合金部材は、より多量のクロム炭化物を含有させることができ、さらに熱間圧延、熱間鍛造又は熱間据え込み加工を行うことができるため、高硬度でしかも耐衝撃性及び靱性を一層向上させることができる。従って、C含有量を高めた合金粉末を用いても、割れが発生しにくく、健全な板、棒材を得ることができる。
平均粒径5μm以下の微細なクロム炭化物を有する合金部材は、炭素鋼又は低合金鋼又はステンレス鋼からなる弁座基材に拡散接合によって接合されることが望ましい。特に液相拡散接合によって接合されることが望ましい。又、液相拡散接合を行う場合には、珪素及びホウ素を含有するニッケル基合金からなるインサート材を、弁座基材と粒状又は塊状のクロム炭化物を有するCo基合金との間にはさんで接合を行うことが望ましい。
拡散接合以外の接合方法として、アーク溶接のように溶融させて接合する方法では、溶融によってクロム炭化物が網目状の連続した状態に戻ってしまうので不適当である。ろう付けによる方法は、コバルト基合金の溶融を伴わないが、接合部の強度が低いので不適当である。
即ち、本発明は、弁体と弁箱とを備え、互いに摺動する弁座表面に、基地中にクロム炭化物が分散したコバルト基合金部材が形成されている弁において、前記部材は静水圧加圧焼結又は熱間押出し焼結によって形成され、前記弁座に拡散接合されていることを特徴とする弁にある。溶解によって基地中に網目状に形成される巨大なクロム炭化物は、粉末にすることによって分断され、更に、熱間圧延、熱間鍛造又は熱間据え込み加工によって四方に分断される結果、部材全体で平均粒径が5μm以下の均一なクロム炭化物が得られる。
前記部材は、静水圧加圧焼結又は熱間押出し焼結後、熱間据え込み加工が施され、前記クロム炭化物の平均粒径が5μm以下であることが好ましい。
本発明のコバルト基合金部材は、質量でC 1.0〜3.5%、Si 2%以下、Cr 25〜35%、W 15%以下、Fe 3%以下、Ni 3%以下、Mo 6%以下を含み、残部がCo及び不可避不純物からなり、特に、コバルト基合金がC 1.2〜2.0%、Si 0.5〜2%、Cr 28〜32%、W 3〜8%、Fe 0.3〜1.5%、Ni 0.5〜3%、Mo 5%以下を含む合金が好ましい。
又、前記合金部材は、ビッカース硬さ(Hv)が400以上であること、Uノッチ衝撃値が5J/cm 以上であること、前記弁体及び前記弁箱が、炭素鋼、低合金鋼又はステンレス鋼よりなること、弁として逃がし安全弁(SRV:Safety Relief Valve)において好適である。
本発明は、弁体と弁箱とを備え、互いに摺動する弁座表面に、基地中にクロム炭化物が分散したコバルト基合金部材を形成する弁の製造方法において、前述の合金組成を有する合金部材を静水圧加圧焼結又は熱間押出し焼結によって形成し、次いで前記弁座に拡散接合することを特徴とする弁の製造方法にある。
又、本発明は、弁体と弁箱とを備え、互いに摺動する弁座表面に、基地中にクロム炭化物が分散したコバルト基合金部材、ニッケル基合金部材及び鉄基合金部材から選ばれた1種を形成する弁の製造方法において、前記部材を前述の合金組成を有するコバルト基合金よりなる合金粉末を静水圧加圧焼結又は熱間押出し焼結後、熱間圧延、熱間鍛造又は熱間据え込み加工によって形成し、次いで前記弁座に拡散接合することを特徴とする弁の製造方法にある。
前記静水圧加圧焼結又は熱間押出し焼結は、前記合金粉末を金属カプセルに充填封入し、静水圧加圧加熱又は熱間押出し加工であること、前記拡散接合は、前記部材と弁座との間に前記弁座、弁体及び弁箱の融点よりも低融点のインサート材を介在させて、該インサートの融点以上の温度で加熱保持する液相拡散接合であること、前記前記合金粉末を非酸化性ガスアトマイズ法により製造することが好ましい。
インサート材には、ホウ素(B)、珪素(Si)あるいはリン(P)等の融点降下元素を含むものを使用するのが望ましい。B、Si、P等の融点降下元素を被接合材中に拡散させることで、固相拡散接合に比較して接合時の加圧力を小さくでき、接合による変形を少なく抑えることができる。また、接合面の機械仕上げ精度もRmax10μm程度にでき、良好な接合面を得ることができる。
好適なインサート材は、量で、Si 1〜8%、B 1〜5%を含むニッケル基合金からなるもの、又は、Si 1〜8%、B 1〜5%及びCr 5〜20%を含むニッケル基合金からなるものである。更に好適には、量で、Si 3.5〜5.5%及びB 2.0〜4.0%を含むニッケル基合金、Cr6〜15%、Si 3.5〜5.5%及びB 2.0〜4.0%を含むニッケル基合金、及びP 10〜14%を含むニッケル基合金から選ばれた合金が好ましい。弁座の基材には、炭素鋼、低合金鋼またはステンレス鋼を用いることができる。
水蒸気及び高温水が循環する循環系統を有する火力発電プラント又は原子力発電プラントにおいて、前記循環系統内に配置された弁が、前述に記載の弁によって構成される。
本発明は、弁体と弁箱が互いに摺動する弁座表面に形成される弁用部材において、クロム炭化物が分散した前述の組成を有するコバルト基合金部材からなり、前記部材は据え込み熱間押出し焼結又は熱間静水圧加圧焼結が施されていることを特徴とする弁用部材にある。
本発明によれば、より高硬度及び高耐衝撃性を有する弁とその製造方法及びそれを用いた発電プラント並びに弁用部材を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体的な実施例によって説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
図1は、本発明に係る仕切り弁の断面図であり、図2は(a)が仕切り弁の弁体の拡大断面図、(b)が弁体の(a)の側面図、図3が弁箱の弁体への接触部近傍の拡大図である。仕切り弁は、弁体5と弁箱3を有し、両者の摺動面に弁座1a、1bを有する。弁体5は円盤状で、仕切り弁の形状に沿って上が下よりやや厚い傾斜した形状を有し、弁座1aは、図2(a)に示す弁座シート4aに図2(b)に示すコバルト基合金リング10aが弁体5の本体より1mm程度突出した状態で構成されている。弁箱3の弁座1bは、弁座シート4bとコバルト基合金リング10bとから構成され、弁体5が接触する部分で弁体5に添って傾斜した形状を有する。
本実施例では、溶存酸素雰囲気下で使用される仕切り弁を以下の方法によって製造した。化学組成が量で、C 1.34%−Si 1.1%−Cr 30.3%−W 4.6%−Fe 0.6%−Ni 1.1%−Mo 0.1%を含むコバルト基合金の合金粉末をArガスアトマイズ法により形成した。この合金粉末はほぼ球形であり、粉末粒径:70〜250meshの大きさに選別して、炭素鋼製のカプセルに充填し、真空脱気後に、950℃で1時間、2000気圧の加圧下の静水圧加圧焼結(HIP)処理を行い、直径125mm、長さ110mmの円柱形状を得た。更に、HIP処理後に据込み熱間鍛造を行い、長さを110mmから40mmまで据込む熱間加工して、クロム炭化物の平均粒径が5μm以下であるコバルト基合金の円盤を得た。このコバルト基合金から削り出した厚さ5mmのコバルト基合金リング10aを、弁体5側の弁座シート4aにインサート材を間に挟んで押付けた。また、コバルト基合金から削り出した厚さ5mmのコバルト基合金リング10bを、弁箱3側の弁座シート4bにインサート材を間に挟んで押付けた。そして、下記に示す条件で液相拡散接合を行った。
弁座シート(基材)4a及び4bはいずれも、SCPH2(S25C相当)の鋳物である。インサート材は、量で、Si 4.5とB 3.2%を含み、残部がNiからなるニッケル基合金よりなり、厚さは約40μmの箔である。インサート材の固相線温度は約980℃、液相線温度は約1040℃である。液相拡散接合は、接合温度:1070℃、保持時間:1時間、真空度:2×10−4Torr、加圧力:80g/cmの条件で行った。インサート材には、融点降下元素であるSi、Bが含有されているため、その融点は被接合材よりも低い。しかし、接合温度での保持中にSiやBは被接合材中に拡散してインサート材の融点が上昇するために、接合中にインサート材の凝固が進行する。
接合後に、接合界面の断面観察を実施したところ、ボイド等の接合欠陥は認められず、良好な接合状態を示していた。本実施例による仕切り弁は、弁座の表面が最大粒径10μm以下で平均粒径5μm以下の粒状又は塊状のクロム炭化物が分散したコバルト基合金によって構成されているため、溶存酸素による腐食発生を受け難い。また鋳造組織の基地部の脱落が抑制されるために、弁座の腐食、エロージョンの進行が抑止され、耐漏洩性能の低下が防止される。
なお、本実施例では粒径が70〜250mesh(63〜210μm)のコバルト基合金粉末を用いたが、合金粉末の粒径が細かいほど、最終的に得られるコバルト基合金の基地中に分散するクロム炭化物の平均粒径も細かくなる。平均粒径5μm以下のクロム炭化物を得るためには60meshよりも細かいコバルト合金粉末を用いるのが適当である。又、250mesh以下の粉末においては取り扱いが困難になる。
本発明の粉末冶金法によるHIP処理と据込み熱間鍛造とにより作製した最大粒径が10μm以下で平均粒径5μm以下のクロム炭化物を分散させたコバルト基合金の硬さ及び衝撃値を従来の溶接肉盛材及び比較材のコバルト基合金インゴットの熱間加工材とを比較して評価した。
従来の溶接肉盛材は、化学組成が量で、C 1.2%−Si 1.4%−Cr 30.9%−W 5.0%−Fe 2.3%−Ni 2.5%−Mo 0.2%を含むコバルト基合金をSCPH2基材上にガス肉盛溶接して作製した。また、比較材は、化学組成が量で、C 1.0%−Si 0.6%−Cr 29.7%−W3.9%−Fe 2.7%−Ni 2.6%を含むコバルト合金を真空溶解して得たインゴットを熱間加工することにより作製した。インゴットは肉盛材と同様、網目状のクロム炭化物を有し、このクロム炭化物は熱間加工により分断され粒状・塊状となるが、クロム炭化物の粒径は高々最大30μm以下と大きく、本発明の最大粒径10μm以下で平均粒径5μm以下に微細化することはできなかった。
表1は、本発明材、従来の溶接肉盛材及び比較材のコバルト基合金インゴットの熱間加工材のビッカース硬さ(Hv)及び衝撃値を示すものである。硬さは本発明材がHv455で、従来肉盛材のHv425及びインゴットを熱間加工した比較材のHv385よりも硬いにもかかわらず、ノッチなしの衝撃値は本発明材が最も大きく、またUノッチ試験片(JIS Z2202)の値が肉盛材よりも大きく比較材と同等であり、本発明材が高硬度で耐衝撃性に優れていることが確認された。
なお、硬さは主にC含有量に依存するものであるが、本発明材と同じC量の1.34%の真空溶解インゴットを作製し熱間加工を試みたところ、加工中に割れが発生して健全な板、棒材を作製するのが困難であった。
Figure 0004063236
図4に示す治具(SUS316L製)を用いて応力腐食割れ試験を行った。3種の弁座材について、高温水中での応力腐食割れ試験を実施した。3種の弁座材として、40mm×10mm×0.6mmtの板状試験片10を切り出して、試験片10の表面にグラファイトウール12による人工隙間と曲げ半径100mmによる約0.3%の曲げひずみを付与して、温度288℃、圧力85気圧、溶存酸素約8ppmの高温水中に500時間浸漬した。試験後に試験片長手中央方向で切断し、割れが開口する程度の曲げを加えてから断面の光学顕微鏡観察を行った。
その結果、本発明材では割れの発生が認められなかったのに対し、従来の肉盛材では最大で580μm、又比較材では最大で540μm程度の割れが発生し、粉末冶金法で作製した微細なクロム炭化物を有する本発明材は耐応力腐食割れ性にも優れていることが確認された。
又、高温水中での長時間浸漬試験あるいはストラウス試験(JIS G0575)において、本発明材の耐食性が優れていることが確認された。
更に、本実施例では、前述の本発明で作製した仕切り弁から液相拡散接合部を切り出して、弁座材コバルト基合金と弁基材SCPH2との間の接合せん断強度を評価した。その結果、せん断試験による試験片の破断はSCPH2内部で生じており、液相拡散接合部のせん断強度はSCPH2のせん断強度よりも高いことが確認された。
なお、接合部の金属ミクロ組織観察及び成分分析を行った結果、インサート材側に弁座、弁体及び弁箱の材料に含まれる合金元素が拡散しているのが確認された。特に、耐食性向上に有効なクロムが弁座側からインサート材側に拡散侵入しており、接合部の耐食性が確保された。
以上のように、本実施例によれば、クロム炭化物が平均粒径5μm以下の粒状又は塊状に均一に分断されているので、弁の弁座の耐衝撃性・耐食性・耐エロージョン性に優れた各種弁類を提供できる。
更に、平均粒径が5μm以下の粒状又は塊状のクロム炭化物を有するコバルト基合金によって弁座の表面が形成されることにより、循環水系統に過酸化水素水等の薬剤が注入され溶存酸素量が増加しても、腐食損傷が生じにくくなる。また、弁体と弁箱との摺動部の耐エロージョン性や摩擦抵抗増加が抑制され、弁座面の荒れによる耐漏洩性能低下も抑制され、これらの効果により保守性も向上される。
本実施例の弁類は、タービン、ポンプ、送風機等の流体機械、内燃機関、化学プラント、火力プラント又は原子力プラントに使用することができる。本実施例が適用される弁の種類は、特に限定されるものではないが、逆止弁、安全弁等のような衝撃摩耗を伴う弁に好適である。
図5は、原子炉の一次冷却材が循環する配管系統を有するABWR原子力発電プラントの概略図である。一次冷却材が循環する配管系統には、図示を省略したが多くの弁が使用されており、これらの弁に実施例1に記載の本発明の弁が適用される。図5の原子力発電プラントにおいて、一次冷却材は、原子炉圧力容器14で熱せられ、高温高圧蒸気となって主蒸気管15を通って、高圧夕一ビン18へ導入される。次いで、高圧タービン18からの排出した蒸気は低圧夕一ビン19に導入され、発電機20を駆動する。高圧タービン18及び低圧夕一ビン19からの排出蒸気は、主蒸気復水器26を経た後、本発明の弁を多数有する給水系6により給水ポンプ30、高圧給水加熱器31を経て給水管9を通って原子炉圧力容器14に復水する。図3には他、冷却材浄化系熱交換器5、給水加熱器7、再循環系配管8、主復水器10、ほう酸スプレ系のSLCタンク11、SLCポンプ12、燃料格納容器13、給水管16、湿分分析器17、主変圧器21、排気筒22、オフガス処理系23、空気抽出器24、低圧復水ポンプ25、復水貯蔵槽27、復水ろ過装置28、復水脱塩装置29、制御棒駆動系32、熱交換器33、38、ろ過脱塩器34、原子炉隔離時冷却系35、高圧復水ポンプ36を示している。
以上、本実施例によれば、クロム炭化物が平均粒径5μm以下の粒状又は塊状に均一に分断されているので、弁の弁座として高硬度で高靱性、耐衝撃性、耐食性、耐エロージョン性に優れた各種弁類を提供でき、特に、原子力発電プラント内に配備される弁を、本実施例の弁で構成することにより、弁の寿命を延ばすことができる。
又、クロム炭化物を有する共晶炭化物が平均粒径が5μm以下の粒状又は塊状に微細に分断されているので、循環水系統に過酸化水素水等の薬剤が注入され溶存酸素量が増加しても、流体中の溶存酸素による共晶炭化物の腐食損傷が生じにくくなり、このため、弁体と弁箱との摺動部の弁座面での耐エロージョン性や摩擦抵抗増加が抑制され、弁座面の荒れによる耐漏洩性能低下も抑制される。これらの効果により保守性も向上される。
本発明に係る仕切り弁の断面図。 本発明に係る仕切り弁の弁体の断面図と側面図。 本発明に係る仕切り弁の弁箱の弁体との接触部近傍の断面図。 応力腐食割れ試験方法を示す断面図。 ABWR原子力発電プラントの概略図。
符号の説明
1a…弁体側の弁座、1b…弁箱側の弁座、3…弁箱、4a、4b…弁座シート、5…弁体、10…試験片、10a、10b…コバルト基合金リング、11…試験治具、12…グラファイトウール。

Claims (16)

  1. 弁体と弁箱とを備え、互いに摺動する弁座表面に、基地中にクロム炭化物が分散したコバルト基合金部材が形成されている弁において、前記コバルト基合金部材は質量でC 1.0〜3.5%、Si 2%以下、Cr 25〜35%、W 15%以下、Fe 3%以下、Ni 3%以下、Mo 6%以下を含み、残部がCo及び不可避不純物からなり、前記合金部材は静水圧加圧焼結又は熱間押出し焼結によって形成され、前記弁座に拡散接合されていることを特徴とする弁。
  2. 請求項1において、前記合金部材は、前記静水圧加圧焼結又は熱間押出し焼結後、熱間圧延、熱間鍛造及び熱間据え込み加工のいずれかが施され、前記クロム炭化物の平均粒径が5μm以下であることを特徴とする弁。
  3. 請求項1又は2において、前記合金部材は、ビッカース硬さ(Hv)が400以上であることを特徴とする弁。
  4. 請求項1〜3のいずれかにおいて、前記合金部材は、Uノッチ衝撃値が5J/cm 以上であることを特徴とする弁。
  5. 請求項1〜4のいずれかにおいて、前記弁体及び前記弁箱が、炭素鋼、低合金鋼及びステンレス鋼のいずれかよりなることを特徴とする弁。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の弁からなることを特徴とする逃がし安全弁。
  7. 弁体と弁箱とを備え、互いに摺動する弁座表面に、基地中にクロム炭化物が分散したコバルト基合金部材を形成する弁の製造方法において、前記コバルト基合金部材は質量でC 1.0〜3.5%、Si 2%以下、Cr 25〜35%、W 15%以下、Fe 3%以下、Ni 3%以下、Mo 6%以下を含み、残部がCo及び不可避不純物からなり、前記合金部材を前記コバルト基合金よりなる合金粉末を用いて静水圧加圧焼結又は熱間押出し焼結によって形成し、次いで前記弁座に拡散接合することを特徴とする弁の製造方法
  8. 弁体と弁箱とを備え、互いに摺動する弁座表面に、基地中にクロム炭化物が分散したコバルト基合金部材を形成する弁の製造方法において、前記コバルト基合金が質量でC 1.0〜3.5%、Si 2%以下、Cr 25〜35%、W 15%以下、Fe 3%以下、Ni 3%以下、Mo 6%以下を含み、残部がCo及び不可避不純物からなり、前記合金部材を前記コバルト基合金よりなる合金粉末を用いて静水圧加圧焼結又は熱間押出し焼結後、熱間圧延、熱間鍛造及び熱間据え込み加工のいずれかによって形成し、次いで前記弁座に拡散接合することを特徴とする弁の製造方法。
  9. 請求項7又は8において、前記静水圧加圧焼結又は熱間押出し焼結は、前記合金粉末を金属カプセルに充填封入し、静水圧加圧加熱又は熱間押出し加工であることを特徴とする弁の製造方法。
  10. 請求項7〜9のいずれかにおいて、前記拡散接合は、前記合金部材と弁座との間に前記弁座、弁体及び弁箱の融点よりも低融点のインサート材を介在させて、該インサートの融点以上の温度で加熱保持する液相拡散接合であることを特徴とする弁の製造方法。
  11. 請求項7〜10のいずれかにおいて、前記合金粉末を非酸化性ガスアトマイズ法により製造することを特徴とする弁の製造方法。
  12. 請求項10又は11において、前記インサート材は、質量で、Si 3.5〜5.5%及びB 2.0〜4.0%を含むニッケル基合金、Cr 6〜15%、Si 3.5〜5.5%及びB 2.0〜4.0%を含むニッケル基合金、及びP 10〜14%を含むニッケル基合金から選ばれた1つからなることを特徴とする弁の製造方法。
  13. 水蒸気及び高温水が循環する循環系統を有する火力発電プラントにおいて、前記循環系統内に配置された弁が、請求項1〜6のいずれかに記載の弁によって構成されていることを特徴とする火力発電プラント
  14. 水蒸気及び高温水が循環する循環系統を有する原子力発電プラントにおいて、前記循環系統内に配置された弁が、請求項1〜のいずれかに記載の弁によって構成されていることを特徴とする原子力発電プラント。
  15. 弁体と弁箱が互いに摺動する弁座表面に、基地中にクロム炭化物が分散したコバルト基合金部材が拡散接合によって形成される弁用部材において、前記コバルト基合金部材は、質量でC 1.0〜3.5%、Si 2%以下、Cr 25〜35%、W 15%以下、Fe 3%以下、Ni 3%以下、Mo 6%以下を含み、残部がCo及び不可避不純物からなる合金粉末を用いて静水圧加圧焼結又は熱間押出し焼結によって形成されていることを特徴とする弁用部材
  16. 請求項15において、前記合金部材は前記焼結後、熱間圧延、熱間鍛造及び熱間据え込み加工のいずれかが施され、前記クロム炭化物の平均粒径が5μm以下であることを特徴とする弁用部材。
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