JP4062709B2 - インクジェット記録装置、インクジェット記録装置の制御回路およびインクジェット記録装置の制御方法 - Google Patents
インクジェット記録装置、インクジェット記録装置の制御回路およびインクジェット記録装置の制御方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンティニュアス方式のインクジェット記録装置、インクジェット記録装置の制御回路およびインクジェット記録装置の制御方法に関し、具体的には電力供給停止時におけるインクジェット記録装置のインク漏れを防止するためのインクジェット記録装置、インクジェット記録装置の制御回路およびインクジェット記録装置の制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種の工業製品に対し、文字や図形など種々の印写パターンを形成するために、インクジェット式の記録装置が産業用、民生用に使用されている。インクジェット式記録装置は、印字対象物に対し離れた距離からインク粒を放射して印字する非接触印字方式なので、曲面上などにでも印字でき、例えば賞味期限、シリアルナンバー、型番などの表示を製造物上に非接触で印字する。中でも、必要時にのみインクを放出するオン・デマンド式のインクジェット記録装置に対して、常時インクを放出し続けるコンティニュアス式のインクジェット記録装置は、製造ラインなどで次々に搬送される製造物に対し高速に印字でき、効率的に連続使用できるメリットがあり、各分野で利用されている。
【0003】
コンティニュアス方式のインクジェット記録装置は、インク粒を噴射ノズルから常時連続的に噴射し、噴射されるインク粒を必要分だけ偏向させて印字対象物に印写し、所望の印写パターンを印字対象物上に形成する。このインクジェット記録装置は、印字可能な状態では常に噴射ノズルからインクを噴出する一方、印字に用いられないインクはガターによって回収され、再利用される。この様子を図1に基づいて説明する。図1はインクジェット記録装置のヘッド部の構成を示す模式図である。図1に示すヘッド部2は、矩形箱形をなすハウジング24の内部に噴射ノズル20と、ガター21と、帯電電極22と、偏向電極23を備える。
【0004】
[インクジェット記録装置のヘッド部2]
噴射ノズル20には給液管3aが接続され、給液管3aにはインク供給管30と溶剤供給管31とが、三方弁V14により切換え可能に接続されている。三方弁は三つの流路を分岐する弁であり、図1の例ではインク供給管30と溶剤供給管31のいずれかを給液管3aに切り替えて接続する。三方弁V14を切り替えてインク供給管30を給液管3aに接続すると、噴射ノズル20の内部に所定の圧力に加圧されたインクが導入される。このインクは、噴射ノズル20の一の周壁に貫通形成された噴射孔(ノズル)を経て所定の速度にて噴射される。また噴射の方向にはガター21が噴射ノズル20に対向するように配置され、ガター21には第1回収管32が接続されている。また噴射ノズル20には、立ち下げ動作時などヘッド部2の圧力を抜くためのリターン経路33が接続されている。
【0005】
噴射ノズル20の内部には、ピエゾ振動子等、高周波電圧の印加により振動する圧電振動子20aが、その振動片の先端を噴射孔に臨ませて配置してあり、この圧電振動子20aを上述のインク噴射中に振動させると、ヘッド部2から噴射されるインクは、その噴射経路の中途にて相互に分離せしめられ、所定の間隔にて並ぶインク粒となって進行する。帯電電極22および偏向電極23は、このようなインク粒の進行経路に沿って並設してあり、前者は前記インク粒への分離が生じる位置に配され、後者は分離が生じる位置の直後に配されている。
【0006】
帯電電極22には、夫々のインク粒への分離に同期して制御された電圧が印加されており、帯電電極22の配設位置を通過する各インク粒は、個々に異なる電荷を有して帯電せしめられる。また偏向電極23には、高圧の直流電圧が印加され、所定の強度の電界が形成されており、帯電電極22の作用により帯電せしめられたインク粒は、偏向電極23の配設位置を通過するとき、電界の作用により夫々の電荷に応じて偏向され、ハウジング24の端壁に形成された送出口25を経て送出され、該送出口25に対向する印字対象物Aに印写せしめられる。
【0007】
また噴射ノズル20から噴射されるインク粒の一部は、帯電電極22の通過時に帯電されず、電界の作用により偏向されることなく直進して、ガター21に捕捉されて第1回収管32に回収される。このようにして印字対象物Aの表面には、送出口25から送出されるインク粒により形成されるドットと、ガター21に捕捉されるインク粒の対応位置に形成される空白との組み合わせにより、文字、図形等の所望のパターンを形成することができる。
【0008】
[インクジェット記録装置]
さらに、図2にコンティニュアス式インクジェット記録装置の全体構成を示す。図2に示すインクジェット記録装置は、図1に示すヘッド部2に各種ポンプを介して複数のタンクが接続される。具体的には、インク供給管30は減圧弁、インクポンプP1を介して主インクタンクT1に接続される。また溶剤供給管31は減圧弁、切り替えバルブV12を介して溶剤ポンプP3に接続され、溶剤タンクT3に接続されている。さらに第1回収管32は、バルブV10、ガターポンプP4を介してバルブV3に接続される。さらにまた、リターン経路33は、逆止弁1を介して立ち下げ弁V6に接続されている。なおこの図では、運転を停止した状態を示しており、各バルブは閉弁している。
【0009】
インクジェット記録装置は通常、電源を投入し装置を起動するための立ち上げ動作時やシャットダウンするための立ち下げ動作時、あるいは任意の時点で、噴射ノズル20やガター、インク経路などに残留するインクを溶剤などで洗浄する機能を有している。これによって、極めて微小径の孔として形成されたインク噴射用の噴射孔にインクが固着して詰まる事態を防止する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述の通り、インクジェット記録装置は通常運転時には高い圧力が噴射ノズル20に印加されており、立ち下げ動作時に立ち下げ弁V6を開弁して噴射ノズル20の圧力を抜き、さらに三方弁V14を溶剤供給管31に切り替えバルブV12を開弁して溶剤を供給し、洗浄を行っている。
【0011】
しかしながら、突然の停電などで電力供給が予期せず断たれた場合、このようなたち下げ動作や洗浄を行うことができず、インク漏れが発生する。インク漏れが起こると、製造ラインを汚し、噴射孔つまりなどの原因となる。特に、運転再開時にノズルつまりが発生し易くなる。このような弊害を防止するためには、一旦インク漏れが起こると洗浄作業を行わなければならない。しかし、洗浄は製造ラインや印字対象物の他、インクジェット記録装置本体や噴射孔部分、インク経路など装置内部についても行う必要があり、大がかりで手間も時間もかかる煩雑な作業となる。停電の度に洗浄作業を行わねばならないとすれば、生産能率も著しく低下する。
【0012】
インク漏れが発生する原因は、インクポンプP1の運転が停止しても噴射ノズル20に暫く圧力が残留することにある。電力供給が停止されると、通常はすべてのポンプが停止し、すべての弁が閉鎖される。ポンプが停止するとインクの流れは停止され、主インクタンクT1からのインクの供給は絶たれる。またガターポンプP4も停止するので吸引力が失われる。しかし電力供給停止の直前まで噴射ノズル20にはインクポンプP1により高い圧力が印加されており、特にリターン経路33の比較的長い経路に加わっていた圧力は逃げ場を失い、噴射ノズル20に逆流する。その結果リターン経路33に残留する高い圧力のインクが噴射孔に集中して、インクは噴出され続けることになる。例えば噴射ノズル20の圧力は0.25メガパスカル、噴射孔の口径は65μm程度の場合、停電後もおよそ10分間インクが放出され続けることになる。
【0013】
このような事態を回避するために、図2に示すようにリターン経路33に逆止弁1を設け、この部分で逆流しないようにする方法が知られている。この方法は、逆止弁1を噴射ノズル20の極近い経路に入れることによって、内部圧力が残っても噴射孔にインクを向かわせないようにすることで漏れを少なくしている。逆止弁1には通常逆止め玉弁が用いられる。この弁は、弁座に対してスプリングで保持された玉を持っており、一方向にのみ流体を流すことができる。逆止弁1によって圧力が逆向きに作用することが防止され、インクの逆流を回避することができる。
【0014】
ただ、この方法では常に逆止弁がインクに接していることになり、噴射孔からインクが噴出していない休止状態時にインクが固着してしまうおそれがあった。インクが固化すると玉が弁座から離れ難くなり動作不良を起こす問題がある。特にインクジェット記録装置では必然的にインクを使用するため、インクの固化の問題を避けて通ることができず、物理的な接触で開閉動作を行う逆止弁は使用しないことが望ましい。
【0015】
さらに別の方法として、停電時にも立ち下げ動作を正常に完了できるように、無停電電源をインクジェット記録装置に接続することも考えられる。この方法は、突然の停電が生じても無停電電源からインクジェット記録装置に一定時間電力が供給されるため、この間にインクを停止させ、あるいは立ち下げ動作を行えばよい。しかしながらこの方法では無停電電源を別途用意する必要があるため、その分の費用がかかり、またシステム自体が大型化するという弊害がある。また無停電電源とインクジェット記録装置との間で停電信号のやりとりや所定時間内での立ち下げ、洗浄の指示といった制御を行う必要があり、制御が煩雑になるという欠点もある。
【0016】
本発明はこのような弊害を防止するために開発されたものである。本発明の重要な目的は、簡単な構成により安価に停電対策を実現してインク漏れを防止できるインクジェット記録装置、インクジェット記録装置の制御回路およびインクジェット記録装置の制御方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明のインクジェット記録装置は、印字対象物にインクを噴射して印字を行うコンティニュアス式のインクジェット記録装置である。第1発明に係るインクジェット記録装置は、インクを噴射する噴射ノズルと、前記噴射ノズルから噴射されるインクを蓄える主インクタンクと、前記主インクタンクから前記噴射ノズルにインクを供給する経路であるインク供給経路と、前記噴射ノズルに対向して配置されるガターと、前記ガターから前記主インクタンクにインクを回収する経路である回収経路と、前記主インクタンクからインクを循環させる経路である循環経路と、インクの噴出を止めるために前記噴射ノズルへのインクの供給を停止するインクジェット記録装置の立ち下げ時に、前記噴射ノズルからインクを回収するために前記噴射ノズルと後記循環ポンプとを接続するリターン経路と、インクジェット記録装置の通常運転時には前記主インクタンク内のインクを吸引することで前記循環経路を用いてインクを循環させ、インクジェット記録装置の立ち下げ時には前記噴射ノズル内のインクを前記リターン経路を通して回収するために、前記循環経路及びリターン経路上に設けられる循環ポンプと、前記リターン経路において前記循環ポンプの吸引側と前記噴射ノズルとの間に設けられ、インクジェット記録装置の通常運転時は閉弁し、インクジェット記録装置の立ち下げ時に開弁する第1の弁と、前記循環経路において前記循環ポンプの吸引側と前記主インクタンクとの間に設けられ、インクジェット記録装置の通常運転時は開弁し、インクジェット記録装置の立ち下げ時に閉弁する第2の弁と、インクジェット記録装置への電力供給が停止されることにより前記循環ポンプの運転が停止した時に、前記第1の弁と少なくとも前記第2の弁を一定時間開弁し、前記噴射ノズルと主 インクタンクとを一定時間導通させる弁接続手段を有することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の他のインクジェット記録装置は、インクを噴射する噴射ノズルと、前記噴射ノズルから噴射されるインクを蓄える主インクタンクと、前記主インクタンクから前記噴射ノズルにインクを供給する経路であるインク供給経路と、前記噴射ノズルに対向して配置されるガターと、前記ガターから前記主インクタンクにインクを回収する経路である回収経路と、前記主インクタンクからインクを循環させる経路である循環経路と、インクの噴出を止めるために前記噴射ノズルへのインクの供給を停止するインクジェット記録装置の立ち下げ時に、前記噴射ノズルからインクを回収するために前記噴射ノズルと前記循環経路とを接続するリターン経路と、インクジェット記録装置の通常運転時には前記主インクタンク内のインクを吸引することで前記循環経路を用いてインクを循環させ、インクジェット記録装置の立ち下げ時には前記噴射ノズル内のインクを前記リターン経路を通して回収するために、前記循環経路及びリターン経路上であって、前記循環経路と前記リターン経路との接続位置を前記主インクタンクからのインクを吸引する側に位置するように設けられる循環ポンプと、前記リターン経路に設けられ、前記インクジェット記録装置の通常運転時は閉弁し、前記インクジェット記録装置の立ち下げ時に開弁する第1の弁と、前記循環経路において、前記リターン経路と前記循環経路との接続位置と前記主インクタンクとの間の前記循環ポンプの吸引側に設けられ、インクジェット記録装置の通常運転時は開弁し、インクジェット記録装置の立ち下げ時に閉弁する第2の弁と、インクジェット記録装置への電力供給が停止されることにより前記循環ポンプの運転が停止した時に、前記第1の弁と少なくとも前記第2の弁を一定時間開弁し、前記噴射ノズルと前記主インクタンクとを一定時間導通させる弁接続手段を有することを特徴とする。前記弁接続手段は、前記リターン経路を前記循環経路と一定時間接続することで、前記リターン経路内の圧力を減圧するよう構成することが好ましい。
【0019】
さらに、本発明の他のインクジェット記録装置は、インクを噴射する噴射ノズルと、前記噴射ノズルから噴射されるインクを蓄える主インクタンクと、前記主インクタンクから前記噴射ノズルにインクを供給する経路であるインク供給経路と、前記噴射ノズルに対向して配置されるガターと、前記ガターから前記主インクタンクにインクを回収する経路である回収経路と、前記主インクタンクからインクを循環させる経路である循環経路と、インクの噴出を止めるために前記噴射ノズルへのインクの供給を停止するインクジェット記録装置の立ち下げ時に、前記噴射ノズルからインクを回収するために前記噴射ノズルと後記循環ポンプとを接続するリターン経路と、インクジェット記録装置の通常運転時には前記主インクタンク内のインクを吸引することで前記循環経路を用いてインクを循環させ、インクジェット記録装置の立ち下げ時には前記噴射ノズル内のインクを前記リターン経路を通して回収するために、前記循環経路及びリターン経路上に設けられる循環ポンプと、前記リターン経路において前記循環ポンプの吸引側と前記噴射ノズルとの間に設けられ、インクジェット記録装置の通常運転時は閉弁し、インクジェット記録装置の立ち下げ時に開弁する第1の弁と、補給用のインクを蓄える補充インクタンクと、前記補充インクタンクから主インクタンクにインクを補給する経路であり、前記補充インクタンクと前記循環ポンプの吸引側とを接続するインク補給経路と、前記インク補給経路に設けられた第3の弁と、インクジェット記録装置への電力供給が停止されることにより前記循環ポンプの運転が停止した時に、前記第1の弁と少なくとも前記第3の弁を開弁し、前記噴射ノズルと主インクタンクとを一定時間導通させる弁接続手段を有することを特徴とする。この弁接続手段は、前記リターン経路を前記インク補給経路と一定時間接続することで、前記リターン経路内の圧力を減圧するよう構成することが好ましい。
【0020】
さらにまた、本発明の他のインクジェット記録装置は、インクを噴射する噴射ノズルと、前記噴射ノズルから噴射されるインクを蓄える主インクタンクと、前記主インクタンクから前記噴射ノズルにインクを供給する経路であるインク供給経路と、前記噴射ノズルに対向して配置されるガターと、前記ガターから前記主インクタンクにインクを回収する経路である回収経路と、前記主インクタンクからインクを循環させる経路である循環経路と、インクの噴出を止めるために前記噴射ノズルへのインクの供給を停止するインクジェット記録装置の立ち下げ時に、前記噴射ノズルからインクを回収するために前記噴射ノズルと後記循環ポンプとを接続するリターン経路と、インクジェット記録装置の通常運転時には前記主インクタンク内のインクを吸引することで前記循環経路を用いてインクを循環させ、インクジェット記録装置の立ち下げ時には前記噴射ノズル内のインクを前記リターン経路を通して回収するために、前記循環経路及びリターン経路上に設けられる循環ポンプと、前記リターン経路において前記循環ポンプの吸引側と前記噴射ノズルとの間に設けられ、インクジェット記録装置の通常運転時は閉弁し、インクジェット記録装置の立ち下げ時に開弁する第1の弁と、洗浄用の溶剤を蓄える溶剤タンクと、前記溶剤タンクから溶剤を前記噴射ノズルに供給する経路である溶剤経路と、洗浄時に回収されるインクおよび溶剤を蓄えるリザーブタンクと、前記リザーブタンクと前記循環ポンプの吸引側を接続するリザーブタンク経路と、前記リザーブタンク経路に設けられた第4の弁と、インクジェット記録装置への電力供給が停止されることにより前記循環ポンプの運転が停止した時に、前記第1の弁と少なくとも前記第4の弁を開弁し、前記噴射ノズルと主インクタンクとを一定時間導通させる弁接続手段を有することを特徴とする。この弁接続手段は、前記リターン経路を前記リザーブタンク経路と一定時間接続することで、前記リターン経路内の圧力を減圧するよう構成してなることが好ましい。
さらにまた、本発明の他のインクジェット記録装置は、インクを噴射する噴射ノズルと、前記噴射ノズルから噴射されるインクを蓄える主インクタンクと、前記主インクタンクから前記噴射ノズルにインクを供給する経路であるインク供給経路と、前記噴射ノズルに対向して配置されるガターと、前記ガターから前記主インクタンクにインクを回収する経路である回収経路と、前記主インクタンクからインクを循環させる経路である循環経路と、インクの噴出を止めるために前記噴射ノズルへのインクの供給を停止するインクジェット記録装置の立ち下げ時に、前記噴射ノズルからインクを回収するために前記噴射ノズルと後記循環ポンプとを接続するリターン経路と、インクジェット記録装置の通常運転時には前記主インクタンク内のインクを吸引することで前記循環経路を用いてインクを循環させ、インクジェット記録装置の立ち下げ時には前記噴射ノズル内のインクを前記リターン経路を通して回収するために、前記循環経路及びリターン経路上に設けられる循環ポンプと、前記リターン経路において前記循環ポンプの吸引側と前記噴射ノズルとの間に設けられ、インクジェット記録装置の通常運転時は閉弁し、インクジェット記録装置の立ち下げ時に開弁する第1の弁と、前記循環経路において前記循環ポンプの吸引側と前記主インクタンクとの間に設けられ、インクジェット記録装置の通常運転時は開弁し、インクジェット記録装置の立ち下げ時に閉弁する第2の弁と、補給用のインクを蓄える補充インクタンクと、前記補充インクタンクから主インクタンクにインクを補給する経路であり、前記補充インクタンクと前記循環ポンプの吸引側とを接続するインク補給経路と、前記インク補給経路に設けられた第3の弁と、インクジェット記録装置への電力供給が停止されることにより前記循環ポンプの運転が停止した時に、前記第1の弁、第2の弁、第3の弁を一定時間開弁し、前記噴射ノズルと主インクタンクと補充インクタンクとを一定時間導通させる弁接続手段を有することを特徴とする。この弁接続手段は、前記リターン経路を前記循環経路及びインク供給経路と一定時間接続することで、前記リターン経路内の圧力を減圧するよう構成してなることが好ましい。
さらにまた、本発明の他のインクジェット記録装置は、インクを噴射する噴射ノズルと、前記噴射ノズルから噴射されるインクを蓄える主インクタンクと、前記主インクタンクから前記噴射ノズルにインクを供給する経路であるインク供給経路と、前記噴射ノズルに対向して配置されるガターと、前記ガターから前記主インクタンクにインクを回収する経路である回収経路と、前記主インクタンクからインクを循環させる経路である循環経路と、インクの噴出を止めるために前記噴射ノズルへのインクの供給を停止するインクジェット記録装置の立ち下げ時に、前記噴射ノズルからインクを回収するために前記噴射ノズル と後記循環ポンプとを接続するリターン経路と、インクジェット記録装置の通常運転時には前記主インクタンク内のインクを吸引することで前記循環経路を用いてインクを循環させ、インクジェット記録装置の立ち下げ時には前記噴射ノズル内のインクを前記リターン経路を通して回収するために、前記循環経路及びリターン経路上に設けられる循環ポンプと、前記リターン経路において前記循環ポンプの吸引側と前記噴射ノズルとの間に設けられ、インクジェット記録装置の通常運転時は閉弁し、インクジェット記録装置の立ち下げ時に開弁する第1の弁と、前記循環経路において前記循環ポンプの吸引側と前記主インクタンクとの間に設けられ、インクジェット記録装置の通常運転時は開弁し、インクジェット記録装置の立ち下げ時に閉弁する第2の弁と、洗浄用の溶剤を蓄える溶剤タンクと、前記溶剤タンクから溶剤を前記噴射ノズルに供給する経路である溶剤経路と、洗浄時に回収されるインクおよび溶剤を蓄えるリザーブタンクと、前記リザーブタンクと前記循環ポンプの吸引側を接続するリザーブタンク経路と、前記リザーブタンク経路に設けられた第4の弁と、インクジェット記録装置への電力供給が停止されることにより前記循環ポンプの運転が停止した時に、前記第1の弁、第2の弁、第4の弁を一定時間開弁し、前記噴射ノズルと主インクタンクとリザーブタンクとを一定時間導通させる弁接続手段を有することを特徴とする。この弁接続手段は、前記リターン経路を前記循環経路及びリザーブタンク経路と一定時間接続することで、前記リターン経路内の圧力を減圧するよう構成してなることが好ましい。
さらにまた、本発明の他のインクジェット記録装置は、インクを噴射する噴射ノズルと、前記噴射ノズルから噴射されるインクを蓄える主インクタンクと、前記主インクタンクから前記噴射ノズルにインクを供給する経路であるインク供給経路と、前記噴射ノズルに対向して配置されるガターと、前記ガターから前記主インクタンクにインクを回収する経路である回収経路と、前記主インクタンクからインクを循環させる経路である循環経路と、インクの噴出を止めるために前記噴射ノズルへのインクの供給を停止するインクジェット記録装置の立ち下げ時に、前記噴射ノズルからインクを回収するために前記噴射ノズルと後記循環ポンプとを接続するリターン経路と、インクジェット記録装置の通常運転時には前記主インクタンク内のインクを吸引することで前記循環経路を用いてインクを循環させ、インクジェット記録装置の立ち下げ時には前記噴射ノズル内のインクを前記リターン経路を通して回収するために、前記循環経路及びリターン経路上に設けられる循環ポンプと、前記リターン経路において前記循環ポンプの吸引側と前記噴射ノズルとの間に設けられ、インクジェット記録装置の通常運転時は閉弁し、インクジェット記録装置の立ち下げ時に開弁する第1の弁と、補給用のインクを蓄える補充インクタンクと、前記補充インクタンクから主インクタンクにインクを補給する経路であり、前記補充インクタンクと前記循環ポンプの吸引側とを接続するインク補給経路と、前記インク補給経路に設けられた第3の弁と、洗浄用の溶剤を蓄える溶剤タンクと、前記溶剤タンクから溶剤を前記噴射ノズルに供給する経路である溶剤経路と、洗浄時に回収されるインクおよび溶剤を蓄えるリザーブタンクと、前記リザーブタンクと前記循環ポンプの吸引側を接続するリザーブタンク経路と、前記リザーブタンク経路に設けられた第4の弁と、インクジェット記録装置への電力供給が停止されることにより前記循環ポンプの運転が停止した時に、前記第1の弁、第3の弁、第4の弁を開弁し、前記噴射ノズルと補充インクタンクとリザーブタンクとを一定時間導通させる弁接続手段を有することを特徴とする。この弁接続手段は、前記リターン経路を前記インク補給経路及びリザーブタンク経路と一定時間接続することで、前記リターン経路内の圧力を減圧するよう構成してなることが好ましい。
【0021】
さらにまた、本発明の他のインクジェット記録装置は、前記第1の弁と、第2の弁、第3の弁、第4の弁の内少なくともいずれかが各々の一方の開口部を共通にする連結弁であることを特徴とする。
さらにまた、本発明の他のインクジェット記録装置は、前記弁接続手段により開閉を制御される弁が電磁弁であって、前記弁接続手段が、前記電磁弁を開閉させるソレノイドと、通常運転時において前記ソレノイドへの通電を制御する弁コントロールポートと、一端 を充電経路と放電経路のいずれかに切り替え可能に接続されたコンデンサと、インクジェット記録装置への電力供給の停止を検出して、コンデンサを充電経路から放電経路に切り替えるためのスイッチと、前記スイッチの切替によって、インクジェット記録装置への電力供給が停止されても、前記電磁弁を一定時間開弁させる機能をON/OFFさせるための充電コントロールポートとを備え、前記コンデンサの放電経路側が、前記ソレノイドと接続されており、通常運転時には前記弁コントロールポートのON/OFFを切り替えることによって前記ソレノイドの通電により前記電磁弁を開閉すると共に、前記充電コントロールポートをONすることによって、前記スイッチがコンデンサを充電経路側に切り替え、ON期間中に前記コンデンサを充電しておき、インクジェット記録装置への電力供給が停止された時、前記スイッチがコンデンサの充電経路から放電経路に切り替え、前記コンデンサに蓄えられた電荷により前記ソレノイドのON状態を一定時間継続し、電磁弁を一定時間開弁するよう構成されてなることを特徴とする。
【0022】
また、本発明のインクジェット記録装置の制御回路は、インクを噴射する噴射ノズルと、前記噴射ノズルから噴射されるインクを蓄える主インクタンクと、前記主インクタンクから前記噴射ノズルにインクを供給する経路であるインク供給経路と、前記噴射ノズルに対向して配置されるガターと、前記ガターから前記主インクタンクにインクを回収する経路である回収経路と、前記主インクタンクからインクを循環させる経路である循環経路と、インクの噴出を止めるために前記噴射ノズルへのインクの供給を停止するインクジェット記録装置の立ち下げ時に、前記噴射ノズルからインクを回収するために前記噴射ノズルと後記循環ポンプとを接続するリターン経路と、インクジェット記録装置の通常運転時には前記主インクタンク内のインクを吸引することで前記循環経路を用いてインクを循環させ、インクジェット記録装置の立ち下げ時には前記噴射ノズル内のインクを前記リターン経路を通して回収するために、前記循環経路及びリターン経路上に設けられる循環ポンプと、前記リターン経路において前記循環ポンプの吸引側と前記噴射ノズルとの間に設けられ、インクジェット記録装置の通常運転時は閉弁し、インクジェット記録装置の立ち下げ時に開弁する第1の弁と、前記循環経路において前記循環ポンプの吸引側と前記主インクタンクとの間に設けられ、インクジェット記録装置の通常運転時は開弁し、インクジェット記録装置の立ち下げ時に閉弁する第2の弁とを備える印字対象物にインクを噴射して印字を行うコンティニュアス式のインクジェット記録装置の制御回路に関するものである。このインクジェット記録装置の制御回路は、インクジェット記録装置への電力供給が停止されることにより前記循環ポンプの運転が停止した時に、前記第1の弁と少なくとも前記第2の弁を一定時間開弁し、前記噴射ノズルと主インクタンクとを一定時間導通させる弁接続手段を有することを特徴とする。
【0023】
さらに、本発明のインクジェット記録装置の制御方法は、インクを噴射する噴射ノズルと、前記噴射ノズルから噴射されるインクを蓄える主インクタンクと、前記主インクタンクから前記噴射ノズルにインクを供給する経路であるインク供給経路と、前記噴射ノズルに対向して配置されるガターと、前記ガターから前記主インクタンクにインクを回収する経路である回収経路と、前記主インクタンクからインクを循環させる経路である循環経路と、インクの噴出を止めるために前記噴射ノズルへのインクの供給を停止するインクジェット記録装置の立ち下げ時に、前記噴射ノズルからインクを回収するために前記噴射ノズルと後記循環ポンプとを接続するリターン経路と、インクジェット記録装置の通常運転時には前記主インクタンク内のインクを吸引することで前記循環経路を用いてインクを循環させ、インクジェット記録装置の立ち下げ時には前記噴射ノズル内のインクを前記リターン経路を通して回収するために、前記循環経路及びリターン経路上に設けられる循環ポンプと、前記リターン経路において前記循環ポンプの吸引側と前記噴射ノズルとの間に設けられ、インクジェット記録装置の通常運転時は閉弁し、インクジェット記録装置の立ち下げ時に開弁する第1の弁と、前記循環経路において前記循環ポンプの吸引側と前記主インクタンクとの間に設けられ、インクジェット記録装置の通常運転時は開弁し、インクジェ ット記録装置の立ち下げ時に閉弁する第2の弁とを備える印字対象物にインクを噴射して印字を行うコンティニュアス式のインクジェット記録装置の制御方法に関するものである。このインクジェット記録装置の制御方法は、インクジェット記録装置への電力供給が停止されることにより前記循環ポンプの運転が停止した時に、前記第1の弁と少なくとも前記第2の弁を一定時間開弁し、前記噴射ノズルと主インクタンクとを一定時間導通させることを特徴とする。
【0024】
本発明では、停電時に電磁弁を数秒間開弁するのみで、噴射ノズル内部に残留する圧力を短時間で低下させ、噴射孔から噴出していたインクをわずかな時間内に停止させることでインク漏れを少なくすることができる。
【0025】
インクジェット記録装置の噴射ノズル20には、噴射ノズル20にインクを供給するインク供給経路と、噴射ノズル20からインクを抜くリターン経路が存在する。印字可能な状態では、インク供給経路から一定圧力でインクが供給されて、噴射ノズル20からインクが噴出される。その際、リターン経路はインク圧力を保つために中途の立ち下げ弁V6で流れが遮られている。インクの噴出を止めるときには、リターン経路の立ち下げ弁V6を開弁して噴射ノズル20近辺の圧力を低下させ、インク供給経路からのインクの供給を停止する。このようにリターン経路によって、インクの供給、停止をスムーズに行うことができる。
【0026】
しかし、停電など不測の事態により電力供給が停止された場合には、インク供給経路からのインク供給も停止されるが、リターン経路の内部には高い圧力が残留しており、このためインクの噴出は停電後も長時間停止されない。本発明はこのリターン経路中の内部圧力を強制的に低下させてインクの噴出を抑止するものである。リターン経路に設けられた立ち下げ弁V6の先には、噴射ノズル20からインクを抜くための循環ポンプP2が接続されている。そのため、立ち下げ弁V6を停電時に開弁しただけでは、循環ポンプP2によって圧力の低下が妨げられてしまい、インクの噴出は停止しない。停電時に循環ポンプP2も数秒間稼働させれば圧力は低下されるが、循環ポンプP2を回転させるためには大きな電力が必要で、そのために非常用電源などを付加せねばならなず、コスト高となり装置も大型化する。
【0027】
そこで、本発明では立ち下げ弁V6と出口が連結されている主インクタンク弁V5や補充インクタンク弁V8、リザーブタンク弁V9など他のバルブも停電時に開弁する。これによって残留圧力は循環ポンプP2を通ることなく立ち下げ弁V6から主インクタンク弁V5を通じてインクタンクへと、または補充インクタンク弁V8を通じて補充インクタンクへと、あるいはリザーブタンク弁V9を通じてリザーブタンクへと抜けることになる。これらのタンクは加圧されておらずほぼ一気圧であるため、即座に圧力は低下して噴射ノズル20からのインク噴出が停止する。ここで、主インクタンク弁V5などは停電時のためだけに特別に設けた弁でなく、通常のインクの循環に必要不可欠な弁であるため、本発明は既存の設備を利用して停電時のインク漏れを実現することができ、コスト上昇を抑えることができる。
【0028】
また、停電時に数秒間だけバルブを開弁するための手段は、安価な電子回路部品だけで実現することが可能である。このため、本発明のインクジェット記録装置、インクジェット記録装置の制御回路およびインクジェット記録装置の制御方法は、従来技術に比して極めて安価に停電時のインク漏れ防止を実現できる。
【0029】
さらに、本発明のインクジェット記録装置、インクジェット記録装置の制御回路およびインクジェット記録装置の制御方法は、従来のように逆止弁を使用しないため、インクの固着に起因する動作不良を防止できるというメリットも享受できる。バルブに電磁弁を使用すると電気的に弁が開閉されるため、インクが噴出していない休止状態時にインクが固着して動作不良を生じるおそれが逆止弁に比べて遙かに少なく、安定した動作が見込まれメンテナンスも容易となる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するためのインクジェット記録装置、インクジェット記録装置の制御回路およびインクジェット記録装置の制御方法を例示するものであって、本発明はインクジェット記録装置、インクジェット記録装置の制御回路およびインクジェット記録装置の制御方法を以下のものに特定しない。
【0031】
なおこの明細書は、特許請求の範囲に示される部材を実施の形態の部材に特定するものでは決してない。また各図面が示す部材の大きさや位置関係などは、説明を明確にするため誇張していることがある。
【0032】
図3に、本発明の一実施例に係るインクジェット記録装置の構成を示す。インクジェット記録装置は、主としてラベルの印字など産業用途に使用されるものである。この図に示すインクジェット記録装置は、ヘッド部2と、これに接続されたインク供給管や各種経路、タンク、ポンプで構成される。なお図3の説明において、図1の従来例と同一の部分、または対応する部分には同一の番号を付しており、詳細な説明は適宜省略する。
【0033】
[ヘッド部2]
ヘッド部2は、インクジェット記録装置の本体と連結チューブで連結して、インクジェット記録装置本体と別の位置に配置することができるよう構成されている。ヘッド部2は、インクを噴射する噴射ノズル20を備える。図3において、ヘッド部2に設けられる噴射ノズル20のインクおよび溶剤が流入する入口側にフィルタ41a、41bを設ける。フィルタ41aは、インクの異物除去用のフィルタであり、フィルタ41bは、溶剤の異物除去用のフィルタである。各フィルタ41a、41bの出口側は、それぞれ別個の配管で三方弁43のポートに連結されている。本明細書で使用する三方弁などの弁(バルブ)は電磁弁であり、電気的に流量を制御できる。ただ、電磁弁以外の弁をバルブに使用することもできる。三方弁43のポートを切り替えることにより、印字対象物に印字する際には、インク供給管30、フィルタ41aを通して噴射ノズル20にインクを供給する。また、インクジェット記録装置の立ち下げ時には、溶剤供給管31を通してヘッド部2に溶剤を供給する。このように、バルブ43がヘッド部2に対するインクと溶剤の供給経路を切り替える。
【0034】
溶剤は、フィルタ41bを通して噴射ノズル20に供給される。この際に、供給された溶剤により、ヘッド部2に設けられているバルブ43の出口側から噴射ノズル20までのインク供給経路、および噴射ノズル20に残留しているインクが洗浄される。溶剤としてはメチルエチルケトン(MEK)を使用する。また、噴射ノズル20にはピエゾ電極を設け(図示せず)、例えば数10kHzの高周波で振動子を振動させて、インクポンプP1の圧力で噴出されるインクを粒子化させている。
【0035】
[インクジェット記録装置本体]
インクジェット記録装置本体の内部には、印字用のインクを貯留する主インクタンクT1および補充インクタンクT2と、インクの溶剤を貯留する溶剤タンクT3と、立ち下げ動作時にヘッド部2の洗浄に用いられた溶剤を回収、貯留するためのリザーブタンクT4が備えられている。
【0036】
主インクタンクT1には、第1供給管10aと、第3供給管10cと、ヘッド部2にインクを送給するための送給管11とが接続されている。第1供給管10aは、バルブV11を介して第2供給管10bに接続されている。また第3供給管10cは、バルブV1を介して第2供給管10bに接続されている。第2供給管10bの中途には循環ポンプP2が設けられる。さらに送給管11の中途には、インクポンプP1およびフィルタF1が介装される。主インクタンクT1の内部に貯留されたインクは、インクポンプP1の動作により送出され、フィルタF1により塵埃等の異物を除去されて送給管11内に送り出される。
【0037】
補充インクタンクT2は、ユーザがインクを補充するために設けられている。補充インクタンクT2には、主インクタンクT1に補充用のインクを送給するためのインク補充管13が接続されている。このインク補充管13は、補充インクタンク弁V8を介して第2供給管10bに接続されている。補充インクタンクT2内に貯留された補充用のインクは、バルブV1を開弁し循環ポンプP2を動作させた状態において、補充インクタンク弁V8を開放することにより、インク補充管13および第2供給管10b、第3供給管10cを経て主インクタンクT1内に供給される。主インクタンクT1へのインクの供給は、例えばインクジェット記録装置が継続運転され主インクタンクT1内のインクが減少したとき、減少分を補充して主インクタンクT1内のインク貯留量を適正に保つために行われる。
【0038】
循環ポンプP2は、上記のようにインクの補充に利用される他、通常運転時にインクを循環させる働きもある。通常運転時に主インクタンク弁V5を開弁し、主インクタンクT1から循環ポンプP2によりインクを循環させてインクの固化を防止する。また主インクタンクT1に備えられた粘度計50にインクを送出し、インクの粘度を測定してインクの粘度を一定に保つよう制御することもできる。粘度計50へのインク送出は、バルブV11を所定時間開弁して第1供給管10aと第2供給管10bを接続させ、循環ポンプP2により主インクタンクT1からインクを粘度計50に供給して行われる。
【0039】
溶剤タンクT3には、その内部に貯留された溶剤送給管14が接続されている。この溶剤送給管14は、溶剤ポンプP3、フィルタ、切り替えバルブV12、減圧弁、およびフィルタを介して三方弁V14に接続されている。溶剤タンクT3内に貯留された溶剤は、切り替えバルブV12を開弁して溶剤ポンプP3動作させて溶剤送給管14から噴射ノズル20に導入されて、ノズルの洗浄を行う。
【0040】
リザーブタンクT4には、溶剤回収のための戻し管17が接続されている。この戻し管17は、バルブV1に並設されたバルブV3を介して第2回収管15に接続されている。また第2回収管15はガターポンプP4、フィルタ、バルブV10を介して第1回収管32と接続されており、リザーブタンクT4はバルブV3が開弁されたときこれらと連通する。
【0041】
第2回収管15は、ヘッド部2内部の噴射ノズル20から噴出されるインクまたは溶剤を回収するために設けられている。第2回収管15に回収されたインクは、バルブV1を開弁し、ガターポンプP4を動作させることにより、第1回収管32、第2回収管15を経て主インクタンクT1に回収される。一方、立ち下げ動作時にヘッド部2の洗浄に使用されたインク混じりの溶剤を回収する際は、バルブV1を閉弁し、代わりにバルブV3を開弁して戻し管17を介してリザーブタンクT4に回収し、主インクタンクT1に溶剤が混入してインクが希釈される事態を防止している。
【0042】
なおバルブV1、V3の配設位置には、さらにバルブV4が並設されている。バルブV4が開放されたとき、第2回収管15はインクジェット記録装置本体の外部に連なるインク排液管4に連通される。
【0043】
[ヘッド部2]
本発明の実施例に係るインクジェット記録装置のヘッド部2の構成は、図1に示す従来のヘッド部2とほぼ同様の構造である。このヘッド部2は、インクまたは溶剤を一方向に噴射する噴射ノズル20と、噴射ノズル20による噴射の経路にほぼ対向するよう配置された回収用のガター21と、噴射ノズル20からガター21に至る噴射経路に沿って並設された帯電電極22および偏向電極23とを、箱形のハウジング24の内部に備えている。
【0044】
噴射ノズル20には、インクの供給路としてのインク供給管30と、溶剤の供給路としての溶剤供給管31とが、三方弁V14と共通の給液管3aとを介して接続されている。また噴射ノズル20には、インクジェット記録装置の立ち下げ時に内部圧力を抜くためのリターン経路が接続されている。
【0045】
噴射ノズル20の内部には、高周波電圧の印加により振動する圧電振動子20aが配置される。噴射ノズル20から噴射されるインクは、振動の作用により噴射経路の中途にて相互に分離し、所定の間隔にて並ぶインク粒となって飛翔する。一部のインク粒は、帯電電極22と偏向電極23との作用により偏向され、ハウジング24の外部に送出されてパターン形成に用いられる。また残りのインク粒は、偏向されることなく直進してガター21に捕捉される。このインクは、インクジェット記録装置本体内部のガターポンプP4の動作により第1回収管32に吸引され、バルブV10、フィルタ、ガターポンプP4および第2回収管15を介して、開弁されたバルブV1を通じて主インクタンクT1に戻される。
【0046】
このときガターポンプP4には、ガター21に捕捉されたインクと共に空気が吸引されるが、この空気は図3に示す排気管12を通じてインクジェット記録装置本体の外気に排出される。排気のため、主インクタンクT1の上部には空気チューブ18が接続され、またリザーブタンクT4の上部には空気チューブ19が接続されている。空気チューブ18と空気チューブ19は排気管12に接続され、外部に対して開口している。これらのタンク内の空気は、排気管12を経てインクジェット記録装置本体の外部に排出される。なおリザーブタンクT4から排気される空気に含まれる溶剤成分は、空気チューブ19の内部を通流する間に、周辺との熱交換により凝縮して液化し、リザーブタンクT4内に滴下して回収されることとなり、溶剤成分を除去された清浄な空気のみが排気管12を経て外気に排出される。
【0047】
ガター21は、噴射ノズル20から噴射されるインクまたは溶剤を捕捉する筒形の部材である。ガター21には、捕捉されたインクまたは溶剤を回収するための第1回収管32が接続されている。
【0048】
ヘッド部2とインクジェット記録装置本体とを連結する連結チューブは、柔軟性を有する樹脂材料からなる中空のチューブで構成される。インク供給管30、溶剤供給管31、第1回収管32およびリターン経路は、連結チューブの内側を通してインクジェット記録装置本体の内部に延長されている。
【0049】
図3に示すインクジェット記録装置は、以下のようにして印字を行う。
(1)インクポンプP1を動作させ、インクを主インクタンクT1からインク供給管30に搬送する。このとき、バルブV2は閉弁している。インクはフィルタ、減圧弁を通過してヘッド部2に到達する、ヘッド部2では三方弁V14がインク供給管30を供給管3aに接続しており、インクは噴射ノズル20に供給される。
【0050】
(2)噴射ノズル20に供給されたインクは放出されてインク粒となり、帯電電極22間を通過することにより帯電される。帯電されたインク粒は、偏向電極23が作る電界の作用によりインク粒それぞれの電荷に応じて偏向され、所望の方向に軌道を変更して外部に放出される。そして印字対象物Aの所望の位置まで飛翔し、付着して印字される。
【0051】
(3)一方、外部に放出されないインク粒は、ガター21により回収され再利用される。インクジェット記録装置の運転中はガターポンプP4が動作しており、またバルブV10、V1は開弁している。よってガターポンプP4によってインクは第1回収管32から吸引され、バルブV10、ガターポンプP4、バルブV1を経由して主インクタンクT1に回収される。
【0052】
インクジェット記録装置を長期間使用しない場合は、所定のインク洗浄処理を行って噴射孔を洗浄している。例えばインクジェット記録装置の動作を停止する立ち下げ時や動作を開始する立ち上げ時、あるいはユーザの指定する任意の時間などに洗浄動作を行う。洗浄動作は、インク供給経路を閉じた上で噴射孔洗浄用の溶剤を流して経路や噴射孔を洗浄し、残留インクや溶剤を回収後、ポンプの圧力を抜くものである。通常、立ち下げ動作に行う洗浄は、噴射孔がインクで詰まらないよう噴射孔を十分に洗浄するため数分程度の時間を要する。
【0053】
[洗浄動作]
洗浄のパターンには洗浄時間の違いなど様々な方法あるが、一例として立ち下げ動作時における洗浄を説明する。
(1)循環ポンプP2を運転させたままバルブV6を開弁し、リターン経路を通じてインクを回収すると共に噴射ノズル20内部を減圧する。
【0054】
(2)溶剤ポンプP3を駆動させ切り替えバルブV12を開弁する。さらに三方弁V14を切り替えてインク供給管30と給液管3aとの接続を遮断し、溶剤供給管31を給液管3aに接続する。するとインクの供給が停止され、溶剤が噴射ノズル20に供給されて洗浄が行われる。
【0055】
(3)このときバルブV1を閉弁し、代わりにバルブV3を開弁する。これによってガターポンプP4で回収される溶剤とインクはリザーブタンクT4に回収される。溶剤の混入したインクをリザーブタンクT4に回収することにより、主インクタンクT1に溶剤が混入して粘度が低下することを防止する。
【0056】
(4)所定時間洗浄を行った後、管内の圧力を落としてから三方弁V14を閉弁して溶剤の供給を遮断し、すべてのポンプの運転を停止しバルブを閉弁して電源を落とす。なおポンプは同一のモータで駆動させていると、同時に停止させることができる。
【0057】
[弁接続手段]
次に、弁接続手段を構成する回路の一例を図4に基づいて説明する。この図に示す開弁回路51は、コンデンサC1、C2、ダイオードD1、D2、D3、トランジスタTr1、Tr2、抵抗R0、R1、R2、およびスイッチSWで構成され、充電コントロールポートCCおよび弁コントロールポートVCを備える。この開弁回路51は、弁コントロールポートVCをHigh、Lowに切り替えることによってバルブを開閉し、一方充電コントロールポートCCをHighとすることによって電源ON期間中コンデンサC1、C2を充電し、停電時にはこのコンデンサC1、C2に蓄えられた電荷によりバルブを一定時間開弁する。弁コントロールポートVCおよび充電コントロールポートCCは、CPUなどの制御回路(図示せず)によってHigh、Lowを制御する。
【0058】
開弁回路51は、停電時に一定時間開弁したい各バルブ毎に設ける。例えば本発明の実施例1に係るインクジェット記録装置では、図3において主インクタンク弁V5、立ち下げ弁V6に開弁回路51をそれぞれ設ける。また本発明の実施例2に係るインクジェット記録装置では、図3において立ち下げ弁V6、補充インクタンク弁V8に、実施例3に係るインクジェット記録装置では立ち下げ弁V6、リザーブタンク弁V9に、それぞれ図4の開弁回路51を設けている。
【0059】
図4に示す開弁回路51の動作原理を以下説明する。
(1)通常の状態でスイッチSWはaの位置にある。したがってこの状態ではコンデンサC1、C2は充電されない。充電コントロールポートCCをHighにすることによって、スイッチSWはbの位置に切り替わる。すると、VdからダイオードD1、抵抗R0を介してコンデンサC1、C2は充電される。すなわち、充電コントロールポートCCをHighとすることによって開弁回路51が機能するため、通常はインクジェット記録装置を運転している間、充電コントロールポートCCは常にHighとする。
【0060】
(2)弁コントロールポートVCは、通常動作時においてバルブの開閉を制御する。弁コントロールポートVCをHighとすると、トランジスタTr1がONになるため、VdからダイオードD1、トランジスタTr1が通電し、その間に接続されたソレノイドSによって電磁弁であるバルブが作動し開弁する。逆に弁コントロールポートVCをLowとすることによって、トランジスタTr1がOFFとなってバルブは閉弁される。
【0061】
(3)一方停電などによって電力供給が停止されると、充電コントロールポートCCがLowとなり、トランジスタTr2がOFFとなってスイッチSWはbからaの位置に戻る。また弁コントロールポートVCもLowとなるため、バルブは閉弁される。
【0062】
(4)ここで、スイッチSWがaの位置に切り替わることにより、コンデンサC1、C2に充電されていた電荷がダイオードD2を介して放電されるため、トランジスタTr1がONとなり、ソレノイドSが通電されバルブが開弁される。
【0063】
(5)放電が継続してコンデンサC1、C2の電荷が減少すると、トランジスタTr1のゲート・ソース間電圧が降下してOFFとなり、バルブが閉弁される。このように停電後のバルブの開弁時間は、コンデンサC1、C2の静電容量によって決定される。上述のように噴射ノズル20内部の圧力が十分降下する時間となるようにコンデンサC1、C2の容量を決定する。
【0064】
以上のように、スイッチSWで停電を検出するとともに、コンデンサC1、C2によって所定時間電力を供給する開弁回路51は、極めて単純な構成であり、既存の弁コントロールポートVCの回路に付加して実現できるため、安価に構成することができるというメリットがある。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のインクジェット記録装置、インクジェット記録装置の制御回路およびインクジェット記録装置の制御方法は、予期しない停電などにより電力供給が断たれた場合にもインク漏れを防止することができる。それは、本発明のインクジェット記録装置、インクジェット記録装置の制御回路およびインクジェット記録装置の制御方法が、噴射ノズル内部に残留する圧力を抜くために、圧力の低いいずれかのタンクと繋がる経路と導通させるという簡単でかつ極めて効果的な手法を採用しているからである。
特に、経路に設けられたバルブを一定時間開弁して導通させるという既存のバルブの操作のみで残留圧力を低下させて、インク漏れを最小限に押さえることができる。また既存の構成を利用することと併せて、これを操作する手段を付加するのみで実現できるため、安価に構成できるというメリットもある。これによって天災や不慮の事故などで停電が発生してもインクの漏れが少ないため、インクジェット記録装置や印字対象物を汚すこともなくなり、またインクの固化によるトラブルも回避できるので、ユーザは安心して使用できる。さらに逆止弁のような特別な部材を使用しないため、インクの固化による動作不良や故障のおそれも少なく、またメンテナンスも簡単になるというメリットも享受できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 コンティニュアス式インクジェット記録装置のヘッド部の構成を示す模式図である。
【図2】 従来のコンティニュアス式インクジェット記録装置の構成を示す模式図である。
【図3】 本発明の一実施例に係るインクジェット記録装置の構成を示す模式図である。
【図4】 弁接続手段の一例である開弁回路の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
1・・・逆止弁
2・・・ヘッド部
3a・・・給液管
4・・・インク排液管
10a・・・第1供給管
10b・・・第2供給管
10c・・・第3供給管
11・・・送給管
12・・・排気管
13・・・インク補充管
14・・・溶剤送給管
15・・・第2回収管
17・・・戻し管
18・・・空気チューブ
19・・・空気チューブ
20・・・噴射ノズル
20a・・・圧電振動子
21・・・ガター
22・・・帯電電極
23・・・偏向電極
24・・・ハウジング
25・・・送出口
30・・・インク供給管
31・・・溶剤供給管
32・・・第1回収管
33・・・リターン経路
41a、41b・・・フィルタ
50・・・粘度計
51・・・開弁回路
A・・・印字対象物
P1・・・インクポンプ
P2・・・循環ポンプ
P3・・・溶剤ポンプ
P4・・・ガターポンプ
T1・・・主インクタンク
T2・・・補充インクタンク
T3・・・溶剤タンク
T4・・・リザーブタンク
V1、V2、V3、V4、V10、V11・・・バルブ
V5・・・主インクタンク弁
V6・・・立ち下げ弁
V8・・・補充インクタンク弁
V9・・・リザーブタンク弁
V12・・・切り替えバルブ
V14・・・三方弁
F1・・・フィルタ
C1、C2・・・コンデンサ
D1、D2、D3・・・ダイオード
Tr1、Tr2・・・トランジスタ
R0、R1、R2・・・抵抗
SW・・・スイッチ
CC・・・充電コントロールポート
VC・・・弁コントロールポート
S・・・ソレノイド
Claims (17)
- 印字対象物にインクを噴射して印字を行うコンティニュアス式のインクジェット記録装置であって、
インクを噴射する噴射ノズルと、
前記噴射ノズルから噴射されるインクを蓄える主インクタンクと、
前記主インクタンクから前記噴射ノズルにインクを供給する経路であるインク供給経路と、
前記噴射ノズルに対向して配置されるガターと、
前記ガターから前記主インクタンクにインクを回収する経路である回収経路と、
前記主インクタンクからインクを循環させる経路である循環経路と、
インクの噴出を止めるために前記噴射ノズルへのインクの供給を停止するインクジェット記録装置の立ち下げ時に、前記噴射ノズルからインクを回収するために前記噴射ノズルと後記循環ポンプとを接続するリターン経路と、
インクジェット記録装置の通常運転時には前記主インクタンク内のインクを吸引することで前記循環経路を用いてインクを循環させ、インクジェット記録装置の立ち下げ時には前記噴射ノズル内のインクを前記リターン経路を通して回収するために、前記循環経路及びリターン経路上に設けられる循環ポンプと、
前記リターン経路において前記循環ポンプの吸引側と前記噴射ノズルとの間に設けられ、インクジェット記録装置の通常運転時は閉弁し、インクジェット記録装置の立ち下げ時に開弁する第1の弁と、
前記循環経路において前記循環ポンプの吸引側と前記主インクタンクとの間に設けられ、インクジェット記録装置の通常運転時は開弁し、インクジェット記録装置の立ち下げ時に閉弁する第2の弁と、
インクジェット記録装置への電力供給が停止されることにより前記循環ポンプの運転が停止した時に、前記第1の弁と少なくとも前記第2の弁を一定時間開弁し、前記噴射ノズルと主インクタンクとを一定時間導通させる弁接続手段を有することを特徴とするインクジェット記録装置。 - 印字対象物にインクを噴射して印字を行うコンティニュアス式のインクジェット記録装置であって、
インクを噴射する噴射ノズルと、
前記噴射ノズルから噴射されるインクを蓄える主インクタンクと、
前記主インクタンクから前記噴射ノズルにインクを供給する経路であるインク供給経路と、
前記噴射ノズルに対向して配置されるガターと、
前記ガターから前記主インクタンクにインクを回収する経路である回収経路と、
前記主インクタンクからインクを循環させる経路である循環経路と、
インクの噴出を止めるために前記噴射ノズルへのインクの供給を停止するインクジェット記録装置の立ち下げ時に、前記噴射ノズルからインクを回収するために前記噴射ノズルと前記循環経路とを接続するリターン経路と、
インクジェット記録装置の通常運転時には前記主インクタンク内のインクを吸引することで前記循環経路を用いてインクを循環させ、インクジェット記録装置の立ち下げ時には前記噴射ノズル内のインクを前記リターン経路を通して回収するために、前記循環経路及びリターン経路上であって、前記循環経路と前記リターン経路との接続位置を前記主インクタンクからのインクを吸引する側に位置するように設けられる循環ポンプと、
前記リターン経路に設けられ、前記インクジェット記録装置の通常運転時は閉弁し、前記インクジェット記録装置の立ち下げ時に開弁する第1の弁と、
前記循環経路において、前記リターン経路と前記循環経路との接続位置と前記主インク タンクとの間の前記循環ポンプの吸引側に設けられ、インクジェット記録装置の通常運転時は開弁し、インクジェット記録装置の立ち下げ時に閉弁する第2の弁と、
インクジェット記録装置への電力供給が停止されることにより前記循環ポンプの運転が停止した時に、前記第1の弁と少なくとも前記第2の弁を一定時間開弁し、前記噴射ノズルと前記主インクタンクとを一定時間導通させる弁接続手段を有することを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記弁接続手段が、前記リターン経路を前記循環経路と一定時間接続することで、前記リターン経路内の圧力を減圧するよう構成してなることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
- 印字対象物にインクを噴射して印字を行うコンティニュアス式のインクジェット記録装置であって、
インクを噴射する噴射ノズルと、
前記噴射ノズルから噴射されるインクを蓄える主インクタンクと、
前記主インクタンクから前記噴射ノズルにインクを供給する経路であるインク供給経路と、
前記噴射ノズルに対向して配置されるガターと、
前記ガターから前記主インクタンクにインクを回収する経路である回収経路と、
前記主インクタンクからインクを循環させる経路である循環経路と、
インクの噴出を止めるために前記噴射ノズルへのインクの供給を停止するインクジェット記録装置の立ち下げ時に、前記噴射ノズルからインクを回収するために前記噴射ノズルと後記循環ポンプとを接続するリターン経路と、
インクジェット記録装置の通常運転時には前記主インクタンク内のインクを吸引することで前記循環経路を用いてインクを循環させ、インクジェット記録装置の立ち下げ時には前記噴射ノズル内のインクを前記リターン経路を通して回収するために、前記循環経路及びリターン経路上に設けられる循環ポンプと、
前記リターン経路において前記循環ポンプの吸引側と前記噴射ノズルとの間に設けられ、インクジェット記録装置の通常運転時は閉弁し、インクジェット記録装置の立ち下げ時に開弁する第1の弁と、
補給用のインクを蓄える補充インクタンクと、
前記補充インクタンクから主インクタンクにインクを補給する経路であり、前記補充インクタンクと前記循環ポンプの吸引側とを接続するインク補給経路と、
前記インク補給経路に設けられた第3の弁と、
インクジェット記録装置への電力供給が停止されることにより前記循環ポンプの運転が停止した時に、前記第1の弁と少なくとも前記第3の弁を開弁し、前記噴射ノズルと主インクタンクとを一定時間導通させる弁接続手段を有することを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記弁接続手段が、前記リターン経路を前記インク補給経路と一定時間接続することで、前記リターン経路内の圧力を減圧するよう構成してなることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
- 印字対象物にインクを噴射して印字を行うコンティニュアス式のインクジェット記録装置であって、
インクを噴射する噴射ノズルと、
前記噴射ノズルから噴射されるインクを蓄える主インクタンクと、
前記主インクタンクから前記噴射ノズルにインクを供給する経路であるインク供給経路と、
前記噴射ノズルに対向して配置されるガターと、
前記ガターから前記主インクタンクにインクを回収する経路である回収経路と、
前記主インクタンクからインクを循環させる経路である循環経路と、
インクの噴出を止めるために前記噴射ノズルへのインクの供給を停止するインクジェット記録装置の立ち下げ時に、前記噴射ノズルからインクを回収するために前記噴射ノズルと後記循環ポンプとを接続するリターン経路と、
インクジェット記録装置の通常運転時には前記主インクタンク内のインクを吸引することで前記循環経路を用いてインクを循環させ、インクジェット記録装置の立ち下げ時には前記噴射ノズル内のインクを前記リターン経路を通して回収するために、前記循環経路及びリターン経路上に設けられる循環ポンプと、
前記リターン経路において前記循環ポンプの吸引側と前記噴射ノズルとの間に設けられ、インクジェット記録装置の通常運転時は閉弁し、インクジェット記録装置の立ち下げ時に開弁する第1の弁と、
洗浄用の溶剤を蓄える溶剤タンクと、
前記溶剤タンクから溶剤を前記噴射ノズルに供給する経路である溶剤経路と、
洗浄時に回収されるインクおよび溶剤を蓄えるリザーブタンクと、
前記リザーブタンクと前記循環ポンプの吸引側を接続するリザーブタンク経路と、
前記リザーブタンク経路に設けられた第4の弁と、
インクジェット記録装置への電力供給が停止されることにより前記循環ポンプの運転が停止した時に、前記第1の弁と少なくとも前記第4の弁を開弁し、前記噴射ノズルと主インクタンクとを一定時間導通させる弁接続手段を有することを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記弁接続手段が、前記リターン経路を前記リザーブタンク経路と一定時間接続することで、前記リターン経路内の圧力を減圧するよう構成してなることを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録装置。
- 印字対象物にインクを噴射して印字を行うコンティニュアス式のインクジェット記録装置であって、
インクを噴射する噴射ノズルと、
前記噴射ノズルから噴射されるインクを蓄える主インクタンクと、
前記主インクタンクから前記噴射ノズルにインクを供給する経路であるインク供給経路と、
前記噴射ノズルに対向して配置されるガターと、
前記ガターから前記主インクタンクにインクを回収する経路である回収経路と、
前記主インクタンクからインクを循環させる経路である循環経路と、
インクの噴出を止めるために前記噴射ノズルへのインクの供給を停止するインクジェット記録装置の立ち下げ時に、前記噴射ノズルからインクを回収するために前記噴射ノズルと後記循環ポンプとを接続するリターン経路と、
インクジェット記録装置の通常運転時には前記主インクタンク内のインクを吸引することで前記循環経路を用いてインクを循環させ、インクジェット記録装置の立ち下げ時には前記噴射ノズル内のインクを前記リターン経路を通して回収するために、前記循環経路及びリターン経路上に設けられる循環ポンプと、
前記リターン経路において前記循環ポンプの吸引側と前記噴射ノズルとの間に設けられ、インクジェット記録装置の通常運転時は閉弁し、インクジェット記録装置の立ち下げ時に開弁する第1の弁と、
前記循環経路において前記循環ポンプの吸引側と前記主インクタンクとの間に設けられ、インクジェット記録装置の通常運転時は開弁し、インクジェット記録装置の立ち下げ時に閉弁する第2の弁と、
補給用のインクを蓄える補充インクタンクと、
前記補充インクタンクから主インクタンクにインクを補給する経路であり、前記補充インクタンクと前記循環ポンプの吸引側とを接続するインク補給経路と、
前記インク補給経路に設けられた第3の弁と、
インクジェット記録装置への電力供給が停止されることにより前記循環ポンプの運転が停止した時に、前記第1の弁、第2の弁、第3の弁を一定時間開弁し、前記噴射ノズルと主インクタンクと補充インクタンクとを一定時間導通させる弁接続手段を有することを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記弁接続手段が、前記リターン経路を前記循環経路及びインク供給経路と一定時間接続することで、前記リターン経路内の圧力を減圧するよう構成してなることを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録装置。
- 印字対象物にインクを噴射して印字を行うコンティニュアス式のインクジェット記録装置であって、
インクを噴射する噴射ノズルと、
前記噴射ノズルから噴射されるインクを蓄える主インクタンクと、
前記主インクタンクから前記噴射ノズルにインクを供給する経路であるインク供給経路と、
前記噴射ノズルに対向して配置されるガターと、
前記ガターから前記主インクタンクにインクを回収する経路である回収経路と、
前記主インクタンクからインクを循環させる経路である循環経路と、
インクの噴出を止めるために前記噴射ノズルへのインクの供給を停止するインクジェット記録装置の立ち下げ時に、前記噴射ノズルからインクを回収するために前記噴射ノズルと後記循環ポンプとを接続するリターン経路と、
インクジェット記録装置の通常運転時には前記主インクタンク内のインクを吸引することで前記循環経路を用いてインクを循環させ、インクジェット記録装置の立ち下げ時には前記噴射ノズル内のインクを前記リターン経路を通して回収するために、前記循環経路及びリターン経路上に設けられる循環ポンプと、
前記リターン経路において前記循環ポンプの吸引側と前記噴射ノズルとの間に設けられ、インクジェット記録装置の通常運転時は閉弁し、インクジェット記録装置の立ち下げ時に開弁する第1の弁と、
前記循環経路において前記循環ポンプの吸引側と前記主インクタンクとの間に設けられ、インクジェット記録装置の通常運転時は開弁し、インクジェット記録装置の立ち下げ時に閉弁する第2の弁と、
洗浄用の溶剤を蓄える溶剤タンクと、
前記溶剤タンクから溶剤を前記噴射ノズルに供給する経路である溶剤経路と、
洗浄時に回収されるインクおよび溶剤を蓄えるリザーブタンクと、
前記リザーブタンクと前記循環ポンプの吸引側を接続するリザーブタンク経路と、
前記リザーブタンク経路に設けられた第4の弁と、
インクジェット記録装置への電力供給が停止されることにより前記循環ポンプの運転が停止した時に、前記第1の弁、第2の弁、第4の弁を一定時間開弁し、前記噴射ノズルと主インクタンクとリザーブタンクとを一定時間導通させる弁接続手段を有することを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記弁接続手段が、前記リターン経路を前記循環経路及びリザーブタンク経路と一定時間接続することで、前記リターン経路内の圧力を減圧するよう構成してなることを特徴とする請求項10に記載のインクジェット記録装置。
- 印字対象物にインクを噴射して印字を行うコンティニュアス式のインクジェット記録装置であって、
インクを噴射する噴射ノズルと、
前記噴射ノズルから噴射されるインクを蓄える主インクタンクと、
前記主インクタンクから前記噴射ノズルにインクを供給する経路であるインク供給経路と、
前記噴射ノズルに対向して配置されるガターと、
前記ガターから前記主インクタンクにインクを回収する経路である回収経路と、
前記主インクタンクからインクを循環させる経路である循環経路と、
インクの噴出を止めるために前記噴射ノズルへのインクの供給を停止するインクジェット記録装置の立ち下げ時に、前記噴射ノズルからインクを回収するために前記噴射ノズルと後記循環ポンプとを接続するリターン経路と、
インクジェット記録装置の通常運転時には前記主インクタンク内のインクを吸引するこ とで前記循環経路を用いてインクを循環させ、インクジェット記録装置の立ち下げ時には前記噴射ノズル内のインクを前記リターン経路を通して回収するために、前記循環経路及びリターン経路上に設けられる循環ポンプと、
前記リターン経路において前記循環ポンプの吸引側と前記噴射ノズルとの間に設けられ、インクジェット記録装置の通常運転時は閉弁し、インクジェット記録装置の立ち下げ時に開弁する第1の弁と、
補給用のインクを蓄える補充インクタンクと、
前記補充インクタンクから主インクタンクにインクを補給する経路であり、前記補充インクタンクと前記循環ポンプの吸引側とを接続するインク補給経路と、
前記インク補給経路に設けられた第3の弁と、
洗浄用の溶剤を蓄える溶剤タンクと、
前記溶剤タンクから溶剤を前記噴射ノズルに供給する経路である溶剤経路と、
洗浄時に回収されるインクおよび溶剤を蓄えるリザーブタンクと、
前記リザーブタンクと前記循環ポンプの吸引側を接続するリザーブタンク経路と、
前記リザーブタンク経路に設けられた第4の弁と、
インクジェット記録装置への電力供給が停止されることにより前記循環ポンプの運転が停止した時に、前記第1の弁、第3の弁、第4の弁を開弁し、前記噴射ノズルと補充インクタンクとリザーブタンクとを一定時間導通させる弁接続手段を有することを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記弁接続手段が、前記リターン経路を前記インク補給経路及びリザーブタンク経路と一定時間接続することで、前記リターン経路内の圧力を減圧するよう構成してなることを特徴とする請求項12に記載のインクジェット記録装置。
- 前記第1の弁と、第2の弁、第3の弁、第4の弁の内少なくともいずれかが各々の一方の開口部を共通にする連結弁であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
- 前記弁接続手段により開閉を制御される弁が電磁弁であって、
前記弁接続手段が、
前記電磁弁を開閉させるソレノイドと、
通常運転時において前記ソレノイドへの通電を制御する弁コントロールポートと、
一端を充電経路と放電経路のいずれかに切り替え可能に接続されたコンデンサと、
インクジェット記録装置への電力供給の停止を検出して、コンデンサを充電経路から放電経路に切り替えるためのスイッチと、
前記スイッチの切替によって、インクジェット記録装置への電力供給が停止されても、前記電磁弁を一定時間開弁させる機能をON/OFFさせるための充電コントロールポートと、
を備え、
前記コンデンサの放電経路側が、前記ソレノイドと接続されており、
通常運転時には前記弁コントロールポートのON/OFFを切り替えることによって前記ソレノイドの通電により前記電磁弁を開閉すると共に、前記充電コントロールポートをONすることによって、前記スイッチがコンデンサを充電経路側に切り替え、ON期間中に前記コンデンサを充電しておき、
インクジェット記録装置への電力供給が停止された時、前記スイッチがコンデンサの充電経路から放電経路に切り替え、前記コンデンサに蓄えられた電荷により前記ソレノイドのON状態を一定時間継続し、電磁弁を一定時間開弁するよう構成されてなることを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載のインクジェット記録装置。 - インクを噴射する噴射ノズルと、
前記噴射ノズルから噴射されるインクを蓄える主インクタンクと、
前記主インクタンクから前記噴射ノズルにインクを供給する経路であるインク供給経路と、
前記噴射ノズルに対向して配置されるガターと、
前記ガターから前記主インクタンクにインクを回収する経路である回収経路と、
前記主インクタンクからインクを循環させる経路である循環経路と、
インクの噴出を止めるために前記噴射ノズルへのインクの供給を停止するインクジェット記録装置の立ち下げ時に、前記噴射ノズルからインクを回収するために前記噴射ノズルと後記循環ポンプとを接続するリターン経路と、
インクジェット記録装置の通常運転時には前記主インクタンク内のインクを吸引することで前記循環経路を用いてインクを循環させ、インクジェット記録装置の立ち下げ時には前記噴射ノズル内のインクを前記リターン経路を通して回収するために、前記循環経路及びリターン経路上に設けられる循環ポンプと、
前記リターン経路において前記循環ポンプの吸引側と前記噴射ノズルとの間に設けられ、インクジェット記録装置の通常運転時は閉弁し、インクジェット記録装置の立ち下げ時に開弁する第1の弁と、
前記循環経路において前記循環ポンプの吸引側と前記主インクタンクとの間に設けられ、インクジェット記録装置の通常運転時は開弁し、インクジェット記録装置の立ち下げ時に閉弁する第2の弁と、
を備える印字対象物にインクを噴射して印字を行うコンティニュアス式のインクジェット記録装置の制御回路であって、
インクジェット記録装置への電力供給が停止されることにより前記循環ポンプの運転が停止した時に、前記第1の弁と少なくとも前記第2の弁を一定時間開弁し、前記噴射ノズルと主インクタンクとを一定時間導通させる弁接続手段を有することを特徴とするインクジェット記録装置の制御回路。 - インクを噴射する噴射ノズルと、
前記噴射ノズルから噴射されるインクを蓄える主インクタンクと、
前記主インクタンクから前記噴射ノズルにインクを供給する経路であるインク供給経路と、
前記噴射ノズルに対向して配置されるガターと、
前記ガターから前記主インクタンクにインクを回収する経路である回収経路と、
前記主インクタンクからインクを循環させる経路である循環経路と、
インクの噴出を止めるために前記噴射ノズルへのインクの供給を停止するインクジェット記録装置の立ち下げ時に、前記噴射ノズルからインクを回収するために前記噴射ノズルと後記循環ポンプとを接続するリターン経路と、
インクジェット記録装置の通常運転時には前記主インクタンク内のインクを吸引することで前記循環経路を用いてインクを循環させ、インクジェット記録装置の立ち下げ時には前記噴射ノズル内のインクを前記リターン経路を通して回収するために、前記循環経路及びリターン経路上に設けられる循環ポンプと、
前記リターン経路において前記循環ポンプの吸引側と前記噴射ノズルとの間に設けられ、インクジェット記録装置の通常運転時は閉弁し、インクジェット記録装置の立ち下げ時に開弁する第1の弁と、
前記循環経路において前記循環ポンプの吸引側と前記主インクタンクとの間に設けられ、インクジェット記録装置の通常運転時は開弁し、インクジェット記録装置の立ち下げ時に閉弁する第2の弁と、
を備える印字対象物にインクを噴射して印字を行うコンティニュアス式のインクジェット記録装置の制御方法であって、
インクジェット記録装置への電力供給が停止されることにより前記循環ポンプの運転が停止した時に、前記第1の弁と少なくとも前記第2の弁を一定時間開弁し、前記噴射ノズルと主インクタンクとを一定時間導通させることを特徴とするインクジェット記録装置の制御方法。
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