JP4062675B2 - 横型押しボタンスイッチとその実装方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は携帯電話等の移動体通信機器、ポータブルおよび車載のオーディオ装置、カメラ、ファクシミリ、VTR等に使用される横型押しボタンスイッチに関する。
【0002】
【従来の技術】
主題の横型押しボタンスイッチを、以下、簡単のためスイッチと略称する。図6はスイッチ1とこれを搭載する機器の回路基板5を示し、スイッチ1は長手寸法が4、5mm程度の小さなものである。同図(A)はスイッチ1と回路基板5の関係を示す分解斜視図、同図(B)は(A)のスイッチ1を右手前から見た側面図である。
【0003】
図8にスイッチ1の概略断面図を示す。これは図6の回路基板5の面に平行な断面である。プラスチックの筐体2の中に接点ばね8を収容してあり、接点ばね8は図のように湾曲した形状の板ばねであったり、あるいは皿ばねであったりして、湾曲部の頂点に押しボタン3の端面の凸部3aを当ててある。図示は省くが、筐体2には金属の導電体をインサート成型してあり、導電体は図8の筐体2の内部空間の天井において、接点ばねが天井に接する外周部や、接点ばねの頂点に向き合う天井の中心部に固定接点として配置されており、外周部の固定接点は、常時、接点ばね8に接触し、中央部の固定接点は普段は接点ばね8から離れている。
【0004】
押しボタンが押されると接点ばね8の湾曲が反転して、接点ばね8の頂点部が天井の中央部の固定接点に接触し、天井の外周と中央部の固定接点が接点ばね8を介して導通する。このような動作をする押しボタンスイッチや接点ばねの具体例については、例えば出願人らが以前に出願した特開平11−144559号公報などを参照されたい。筐体2にインサートされて固定接点を形成している金属の導電体の他端が、図6のスイッチ1に見るように、筐体2の表面に露出して端子電極4になっている。
【0005】
図6にてスイッチ1の筐体2は、平板状の上部2aと、それより小面積で上部2aの下面につながっている下部2bからなり、側面から見ると図6(B)のように上部2aと下部2bに段差を生じて逆L字状をなしている。正面図は省くが、正面の形状は図6(A)から分かるようにT字形である。端子電極4の一部は上部2aの下面に露出し、押しボタン3は筐体2の横向き正面に配置してある。回路基板5には、スイッチ1の端子電極4に向き合うように銅箔など金属導電体の接続パッド6が設けてあり、また回路基板5にはスイッチ1の筐体2の下部2bが納まるよう、切り欠き5aが設けてある。
【0006】
図7はスイッチ1を回路基板5に実装した状態で、(A)は斜視図、(B)は右手前から見た側面図で、回路基板5の一部を断面で示してある。スイッチ1の端子電極4が回路基板1の接続パッド6にかぶさるので、この箇所を図7(B)のように半田7で接合して、スイッチ1を回路基板5に固定する。これでスイッチ1の押しボタン3が回路基板5の端部に位置することになる。
【0007】
図6の分解斜視図に見るように、スイッチ1の筐体2の上部2aと下部2bに段差を付けて、回路基板5に切り欠き5aを設けることにより、図7の実装状態では筐体2の下部が回路基板5の切り欠きに納まって、実装品の高さの増加が防がれる。スイッチ1の筐体の各面が段差のない方形であると、実装品では回路基板の厚さとスイッチの高さがそのまま加算されて、機器の薄型化を妨げる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような従来のスイッチ1と回路基板5の構造は、実装品の高さの増加を防ぐのに有効であるが、それには図6のようにスイッチ1の筐体2に段差を設けて、正面からはT字形、側面からは逆L字型になるように製作せねばならず、プラスチックに導電体をインサートしてこのような複雑な形状にするには、精密で高価な金型が必要になる。
【0009】
また、スイッチ1を回路基板5に固定する方法は、端子電極4を接続パッド6に半田付けするだけなので固定力が弱く、押しボタン操作の繰り返しでぐらついたり、剥がれたりする恐れがある。また、回路部品の実装時に、スイッチ1を回路基板に位置決めするのに、筐体2の下部2bを回路基板5の切り欠き5aにはめても、切り欠き5aは正面が開放されていて前後への拘束が不十分であり、位置精度が出にくい、などの問題があった。本発明はこれらの問題を解決し、製造簡単で実装品の厚さを増さず、良好な位置精度で堅固に実装できる横型押しボタンスッチを実現するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明ではスイッチの構造として、従来のように導電体をインサートしたプラスチックの成型品の筐体を用いて、接点ばね等の部品を収容するのでなく、スペーサや基板など、板状あるいはシート状の部品を積層するだけで本体を構成する。押しボタンを覆う上蓋はプラスチックの成型品であるが、これは若干凹凸を設けた皿状であって、従来のようなT字形と逆L字形を組み合わせた複雑な形状でないし、導電体のインサートもなくて高価な金型は不要である。また、上記の基板は、辺の一つに沿って座ぐりして段差をつけるが、これも切削によって簡単にできる。
【0011】
このように部品を積層したものを帯状の金属側で取り巻いて補強する。金属側の下端には下向きに複数の凸部を設けておく。一方、回路基板のスイッチ取り付け部には従来と同様に切り欠きを設け、スイッチを乗せた時、前記スイッチの基板の一辺に沿って設けた段差分だけ沈むようにするとともに、スイッチ本体に巻き付けた金属側下端の凸部がはまる溝を回路基板に設ける。また、金属側の下端が乗る回路基板面には、取り付け補強パッドを複数個設けて、金属側下端をこれに半田付けする。これにより位置決め精度と固定力が向上する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。図1は本発明のスイッチ11の概略構造を示す図で、これを取り付ける回路基板に平行な平面での断面図である。基板12と、スペーサ13と、この図では下側になっている上蓋14を積層、接合して本体を形成しており、スペーサ13は周辺部を残して中央部に大きな穴があり、上蓋14も内側を窪ませてあって、これらが作る本体内部の空間に、接点ばね8と押しボタン3を収容している。そして帯状の金属側15で積層体を取り巻いて補強する。
【0013】
金属側15は概略C字形で、押しボタン3側にはこれを通す穴が開いている。スイッチ11の背面側(図1では上面)の端部を曲げて基板12を押さえているが、組み立て前には金属側15の両側の端部は真っ直ぐで、互いに平行になっている。組み立ての際は、上蓋14の前面(図の下面)に設けた凸部14aを金属側15の位置決め穴にはめながら金属側をスイッチ本体にあてがい、スイッチ11の背面側(図の上面)で金属側15の左右の端部を内側に曲げて、基板12を押さえて固定する。
【0014】
スイッチ各部の材質は、例えば基板12がガラス入りエポキシ板、スペーサ13がポリイミド樹脂のシート材、上蓋14がプラスチック成型品、金属側15が軟鋼、などである。
【0015】
図2に、本発明のスイッチ11と回路基板5の分解斜視図を示す。この図では、上蓋14に設けた位置決め用の凸部14aが金属側15の位置決め穴から出っ張った部分を、熱かしめしてある。そして金属側15の両側の下端には凸部15aが設けてある。また、回路基板5には、従来同様スイッチ11の本体下部が納まる切り欠き5aがあるが、さらに金属側15の凸部15aがはまる溝5bを設けてある。もちろん、この溝5bは穴であってもよい。また、回路基板5の上面には、従来からの接続パッド6の他、取り付け補強パッド16を数カ所、新たに設けてある。
【0016】
図3はスイッチ11の背面を見た斜視図である。基板12の外側面には導電パターン17が設けてある。導電パターン17は端子電極17aやスルーホール17bを形成しており、スルーホール17bを通じて基板12の内側面(スペーサ13側)の図示してないスイッチ用の固定接点に接続している。基板12の外側面の下辺に沿って、寸法a×bで座ぐりして段差を設けてある。
【0017】
図4は、スイッチ11を回路基板5に実装した状態である。本体の下部を回路基板5の切り欠き5aに納め、図3の基板12の外側下部の段差を回路基板5の上面に当てる。これによりスイッチ11は図3の寸法aだけ回路基板5に沈み込むから、実装厚さが押さえられる。金属側15の下端の凸部15aが回路基板5の溝5bにはまって位置決めされる。
【0018】
図5は背面側から見た実装状態である。スイッチ11の端子電極17aが回路基板5の接続パッド6に乗っている箇所と、金属側15の下端が取り付け補強パッド16に乗っている箇所をそれぞれ半田付けして、スイッチ11を回路基板5に固定する。この構造によれば、金属側15の凸部15aを溝5bにはめるので、従来よりも位置決め精度が上がるとともに、押しボタン操作から受ける力を支える作用もある。また端子電極17aと接続パッド6だけでなく、金属側15下端と補強パッド16も半田付けするので、固定力が従来よりはるかに増加する。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では横型押しボタンスイッチの本体を、従来のように導電体をインサート成型した複雑な形状の筐体でなく、板状部品の積層構造で形成し、本体に段差をつけることも基板の座ぐりで容易に行えるので、複雑で高価な金型が不要になって製造費が低減する。また、実装時に金属側の凸部を回路基板の溝にはめることによって、位置決め精度が上がるとともに、押しボタンの操作力を形状的に受け止める。さらに端子電極を基板の接続パッドに半田付けするのに加えて、金属側も複数箇所で回路基板に半田付けするので、実装の固定力が大幅に増加する。こうして、廉価で性能と信頼性に優れた横型押しボタンスイッチが実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスイッチの概略断面図である。
【図2】本発明のスイッチとこれを実装する回路基板の分解斜視図である。
【図3】本発明のスイッチの背面斜視図である。
【図4】本発明のスイッチを回路基板に実装した状況の斜視図である。
【図5】本発明のスイッチを回路基板に実装した状況の背面斜視図である。
【図6】(A)は従来のスイッチとこれを実装する回路基板の分解斜視図、(B)は従来のスイッチの側面図である。
【図7】従来のスイッチを回路基板に実装した状況で(A)は斜視図、(B)は側面図である。
【図8】従来のスイッチの概略断面図である。
【符号の説明】
1、11 スイッチ
2 筐体
3 押しボタン
4 端子電極
5 回路基板
6 接続パッド
7 半田
8 接点ばね
12 基板
13 スペーサ
14 上蓋
15 金属側
16 取り付け補強パッド
17 導電パターン

Claims (3)

  1. 両面に固定接点と端子電極を形成してこれらをスルーホールで接続した基板と、中央部に穴開けしたスペーサと、上蓋とを、前記端子電極を外側にするように積層して、内部に生じた空間に押しボタン、接点ばね等を収容した積層体を本体とし、
    積層面を垂直にして本体を置いた状態で、概略C字形の金属側の離れた箇所が端子電極面に来るように、金属側を水平面内で本体に巻き、
    基板の端子電極面の下辺を所定の幅と深さで除去することにより本体に段差を形成し、
    金属側の下端に複数の位置決め用の凸部を設けたことを特徴とする横型押しボタンスイッチ。
  2. 請求項1に記載の横型押しボタンスイッチにおいて、
    金属側の中央部に押しボタンの通る穴または切り欠きを設けるとともにその両側に位置決め穴を設け、
    また上蓋に凸部を設け、
    前記金属側の位置決め穴と前記上蓋の凸部のはめ合いにより、金属側を本体に対し位置決めすることを特徴とする横型押しボタンスイッチ。
  3. 請求項1に記載の横型押しボタンスイッチの実装方法であって、
    横型押しボタンスイッチを実装する回路基板に切り欠きと、複数の溝または穴と、複数の接続パッドおよび取り付け補強パッドを設け、
    横型押しボタンスイッチ本体に設けた段差を回路基板上面に当てて、段差より下の本体部分を回路基板の前記切り欠きに収容するとともに、金属側の下端の凸部を回路基板の前記溝または穴にはめて位置決めして、横型押しボタンスイッチを回路基板に乗せ、
    端子電極を接続パッドに半田付けするとともに、金属側の下端を取り付け補強パッドに半田付けして固定することを特徴とする横型押しボタンスイッチの実装方法。
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