JP4059593B2 - 内壁が樹脂で被装された押出用金属製チューブ容器 - Google Patents

内壁が樹脂で被装された押出用金属製チューブ容器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は内壁に樹脂被膜が被装された押出用金属製チューブ容器であって、金属層の穿孔又は破断によっても内容物を外界と接触しない様に保護し得る容器に関し、詳しくは前記チューブ容器とその内壁に被装された1種以上の樹脂層との組合せに関する。更に詳しくは、本発明は半ペースト状の薬剤、整髪剤、染毛剤、化粧料、食料、嗜好料又は接着剤、封止剤を、収容、運搬(輸送)及び保存する容器として好適な押出用金属製チューブ容器に関する。なお、本発明において「押出用」とは、「内容物を押出して用いる用途に供される」という意味である。
【0002】
【従来の技術】
従来から、半ペースト状内容物例えば、軟膏、練り歯磨き、染毛剤その他の上掲の高粘度物質を収容する容器として、押出用金属製チューブ容器が広く採用されている。この容器では、内容物を裾部端開口(尾端開口)から装填した後に、この裾部端開口を例えば、折締めシールする等によって内容物が外界の酸素、二酸化炭素及び/又は水分等に触れない様に内容物を保管する。
【0003】
この様な押出用金属製チューブ容器は保形性、保存性、輸送性及び携帯性等に優れることに加えて、内容物押出後の外気の吸込みが少なく、内容物と外気との接触を最小限に抑えられるという利点を備えている。例えば、実開昭59−16850号公報では、上記の様な押出用金属製チューブ容器を構成する基材として一般に、アルミニウム又はアルミニウム合金等の軽金属材料が採用され、場合によっては錫等の金属材料が採用されている。そして、内壁には腐食性の内容物も収容できる様に、耐食性を備えた塗膜(被膜)層が形成(被装)されている。耐食性を備えた塗膜として対金属接着性の熱硬化性樹脂の塗膜層を形成させるには従来は、液状の熱硬化性樹脂例えば、エポキシ樹脂又はエポキシ−フェノール樹脂等を被装されるべき基体表面に噴霧し、その後に焼付けることが行われていた。
【0004】
上記の内面樹脂コート金属製チューブ容器の改良として、金属製チューブの内側に樹脂製チューブを内嵌した二重チューブも既に用いられている。しかし、この種の二重チューブは樹脂チューブを内嵌する為の工程数増加に起因するコスト増大、内嵌された樹脂チューブに起因する内容物の絞出しにくさに起因する内容物のチューブ内残留性増大という問題があった。また、別の問題点として、内容物が保存中に分解してガス状物を発生する場合例えば、内容物が過酸化水素等である場合に分解によって発生する酸素ガスに起因する樹脂チューブの内圧上昇が遂に破裂を来す虞も伴っていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
処で、この種の容器内に、内容物として保存の時間経過に伴ってガスを発生する染毛剤等が充填されている場合は、充填後に裾部(裾部端)を封止(シール)する際に後日発生するガス(内部ガス)を取除く為のガス通路を確保して、このガス通路から内部ガスを脱気した後に、裾部端開口を折締め等によって機械的にシールする方策が行われている。
【0006】
この為には、脱気通路が後日の必要に応じて自然開通する様なシール処理を施す必要があることから、塗膜層として十分な厚さの樹脂被層を被装することが必要である。しかし、塗膜層にそれに足りる厚さを確保することは困難であった。しかも、内部ガスを発生する種類の内容物の場合には、シール後においても依然として内圧増大を来たし、遂にはこの裾部端(尾端)のシール(封止)を押し破ろうとする。その結果、裾部端のシールが十分な耐久性を備えていない場合には、ここが破壊されて内容液の洩出しを生じてしまうという問題もあった。
【0007】
本発明はこの様な実情に鑑み、押出用金属製チューブ容器の裾部端開口を内部ガスの洩出しによって内圧増大を回避する様にシールし得る押出用金属製チューブ容器を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために開発された本発明に係る押出用金属チューブ容器は下記の各種構成要件で規定されることによって所期の効果を達成する:
(1)金属製チューブの内壁に1種以上の樹脂層が被装されている押出用金属製チューブであって、該金属製チューブの内壁に被装された樹脂製表皮層が金属層の内壁に接着し得る熱可塑性樹脂層だけであって、金属層と該樹脂層との層間が少なくとも部分的に接着されていると共に、熱可塑性樹脂層の尾端域が増厚され、該熱可塑性樹脂層が増厚に重層された尾端域を熱封止せずに折締めシールすることにより該熱可塑性樹脂層が内容物を外界に対して保護する押出用金属チューブ容器又は該金属層の内壁が少なくとも部分的に対金属接着性の熱硬化性樹脂で被装され、その熱硬化性樹脂層の表面上に該熱硬化性樹脂層には接着し難い熱可塑性樹脂層が、該熱可塑性樹脂層の尾端域が増厚になるように重層され、該熱可塑性樹脂層が増厚に重層された尾端域を熱封止せずに折締めシールすることにより内容物を外界に対して保護する押出用金属チューブ容器。
(2)該金属製チューブの裾部折締め後にも、裾部の内壁に被装されている1種以上の樹脂層が対向する樹脂層との間で層間融着を生じない手段で封止されていることによって、該封止部から内部ガスが洩出し得る前記(1)に記載の押出用金属製チューブ容器。
(3)該金属製チューブの内壁において、裾部から口頚部に隣接する範囲に亙って対金属接着性の熱硬化性樹脂層が被装されていると共に、該金属チューブの口頚部内部を該熱硬化性樹脂層に接着し難いと共に該金属層には接着可能な熱可塑性樹脂層が被装することによって、該金属製チューブの内壁に固定されている前記(1)〜(2)に記載の押出用金属製チューブ容器。
(4)該金属製チューブの内壁において、裾部から肩部に隣接する範囲に亙って対金属接着性の熱硬化性樹脂層が被装されていることに加えて、該金属製チューブの肩部及び口頚部内壁を該熱硬化性樹脂層に接着し難いと共に該金属層には接着可能な熱可塑性樹脂層が被装されることによって、該金属製チューブの内壁に固定されている前記(1)〜(3)の何れかに記載の押出用金属製チューブ容器。
(5)押出用金属製チューブ容器であって、前記金属製チューブを形成する金属がアルミニウム、錫及び亜鉛で構成される群から選ばれる1以上の金属又はアルミニウム合金、錫合金及び亜鉛合金で構成される群から選ばれる1種以上の合金であり、その金属製チューブの裾部内壁から少なくとも胴部内壁に亙って被装される対金属接着性の熱硬化性樹脂として、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂及びウレタン樹脂から選ばれる1種以上の樹脂層が位置し、その表面に更に形成される熱可塑性樹脂として、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル樹脂及びエチレン−プロピレン系熱可塑性エラストマーからなる群から選ばれる1種以上の樹脂層が少なくとも口頚部内壁から胴部内壁に亙って形成されている前記(1)〜(4)の何れかに記載の押出用金属チューブ容器。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適態様例について説明する。なお、本明細書における「上下、左右、前後、前奥」等は説明の便宜上の表現である。
図1で統括される本発明の好適態様を説明する。図1は本発明に用いられる押出用金属製チューブ容器(単に「チューブ容器」と略称することがある)の好適実施態様例を示す模式的縦断面図である。この押出用金属製チューブ容器10では、筒状の胴部7aは薄肉の金属箔通常は、アルミニウム箔で形成され、胴部7aの上端に位置する口頚部7nの外壁7nxには、キャップ(不図示)を冠装螺合する為のネジ山7mが賦形されている。また、口頚部7n上端の上端開口8には、胴部7aと通常は同一金属製例えば、アルミニウム製キャップ又は樹脂製のキャップが冠装されることによって、この上端開口8が閉塞されている。この上端開口8の閉塞態様は開口の形状(型式)である2種類の仕様即ち、ニップル仕様又はメンブラン仕様の何れかにそれぞれ対応する様に選定される。
【0010】
他方、チューブ容器10の内壁において、裾部11の端部即ち、裾部端11zに位置する開口(裾部端開口;尾端開口)11vは依然として開放状態にある。なお、本発明の明細書において「内層」又は「表皮層」とは、例えばチューブ容器10において内容物に近付く側又はこの容器の長軸に近付く側の意味であり、また、「上下」、「左右」、「前奥」又は「前後」等は説明の便宜上の表現である。
【0011】
図1(A)に示された本発明の好適態様は、チューブ容器10において、その胴部7aの内壁7aiが熱可塑性樹脂からなる単一種の樹脂層12によって被装された態様であり、図1(B)に示された本発明の別異好適態様は、チューブ容器10の内壁を被装する樹脂層が複合(重層)樹脂層12であって、対金属接着性の熱硬化性樹脂からなる熱硬化性樹脂層12b(「樹脂基層12b」ともいう)の表面に熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂層12p(樹脂保護層12pともいう)が重層されている態様である。
【0012】
上記図1(A)における熱可塑性樹脂層12が金属層表面に十分強固に接着し得るものである場合を例にして説明する。この例では、図1(A)における熱可塑性樹脂層12が上記の樹脂基層12bと樹脂保護層12pとを兼ねるものであって、少なくともチューブ容器10の口頚部内壁7in、肩部7sの内壁7si及び胴部内壁い7aiの1個所以上から選ばれる少なくとも1以上に強固に固定されていれば足りる。寧ろ、熱可塑性樹脂層12は胴部内壁7aiに対して、全体的には固定されていない(部分的に遊離した状態にある)ことが好ましい。即ち、この胴部内壁7aiには熱可塑性樹脂層(熱可塑性樹脂筒又は熱可塑性樹脂袋を形成)12には部分的にしか固定されず、大局的に遊離していることが使い勝手の上では却って好ましい。その理由は胴部7aがそれに印加される外力によって裂断又は破断等を生じた場合にも、内蔵される熱可塑性樹脂層12が裂断又は破断等に同伴され難く、依然として内容物を外界から実質的に絶縁状態で保護すると期待されることにある。
【0013】
図1(A)に示された各種態様における胴部内壁7aiに対する熱可塑性樹脂層12の固定態様は口頚部内壁7ni及び肩部内壁7siに固定された態様を始め、種々採用され得る。例えば、熱可塑性樹脂層12が胴部内壁7aiを形成する金属層に十分な接着性を備えている場合には、熱可塑性樹脂層12を胴部内壁7aiの所定個所には接着しない「接着阻止域」を形成させる為に、「接着阻止剤」として胴部内壁7aiには十分に接着するが、熱可塑性樹脂には殆ど接着しない物質を塗布又はその物質で形成された貼付け膜等を貼付ける等の手当によって金属層からその個所を遊離させる態様を例示できる。ここで接着阻止剤を例えば、塗布するか又は接着阻止剤で形成された貼付け膜(接着阻止膜;接着阻止層;略称「AIL」)等を貼付ける態様としては、小区画(スポット)、条帯(ベルト又はゾーン)又はそれらの組合せ等の形態で適宜個所に適宜範囲及び形状で被装(塗布又は貼付け等)する態様を挙げることができる。前記の接着阻止剤としては例えば、シリコンワックス(オルガノポリシロキサン類)等の撥油性物質からなるワックス状物又はグリース状物が実用的である。
【0014】
上掲の固定態様中でも実用性あるものは胴部内壁7aiにその母線と略直交する様に複数条のシリコンワックス等の条帯を形成させる「虎縞型」(TST)態様及び胴部7aの長軸Xを中心とする螺旋状にシリコンワックス等の条帯を被装する「螺縞型」(CST)態様等が実際の塗布操作の上で容易である。
なお、上例の「接着阻止条帯」の 配置即ち、位置、幅及び相互の間隔等は適宜に選択
され得るが、比較的広幅の接着阻止条帯を胴部内壁7ai上に比較的間隔を置いて設ける態様で通常は足り、 胴部7a長約200mmの内壁7aiにおいて、幅40mmの条帯3本を肩部7sに近い位置及び胴部7aの略中段位置にそれぞれ付設すれば、「虎縞型」(TST)としては十分である。ここで、胴部7aの中段以降及びそれに続く裾部11においては、熱可塑性樹脂層12が胴部内壁7aiから遊離状態にあることが本発明の効果発現に重要である。即ち、この区域は内容物の絞出しに伴って胴部7aが圧接又は激しい折曲げ等からなる変形を受けて破断又は裂断等に至り易い区域である。処が、熱可塑性樹脂層12が胴部7aから遊離状態にあれば、胴部7aに破断又は裂断等が生じても、胴部内壁7aiから遊離状態にある熱可塑性樹脂層12で形成された内筒又は内袋とも言えるものには破断又は裂断等の影響が及びにくいことの寄与で、内容物は胴部7aの破断等とは絶縁状態で依然として熱可 塑性樹脂層12で形成された袋状物中に保護される。
【0015】
上述の図1(A)に代表される各態様は、何れも、胴部7aの内壁7aiを形成する金属層に熱可塑性樹脂が十分な接着性を備えている場合を例として説明されている。しかし、逆に、熱可塑性樹脂が金属層に対しては殆ど接着性を備えていない場合であっても、金属層及び熱可塑性樹脂層12の双方に対して十分な接着性を備えている材料からなる接着付与層(略称「ASL」)を上述の接着阻止域形成に用いられた種々の形態例えば、小区画(スポット)、条帯(ベルト又はゾーン)又はそれらの組合せ等と同様な形態で適宜被装できる。それらの中でも、「虎縞型」(TST)及び/又は「螺縞型」(CST)で金属層表面の上述の様な適宜個所に被装し、それぞれの個所を覆う様に連続層の熱可塑性樹脂層12を被装する態様も勿論、本発明の好適態様として図1(A)に代表される種々の態様に包含されるものである。即ち、この態様であっても、上記の本発明の構成に包含され、本発明の効果を発現し得るからである。
【0016】
上記の接着付与層(ASL)は金属面と熱可塑性樹脂層12との間に留まらず、場合によっては、図1(B)のように樹脂保護層12pと樹脂基層12bとの間においても用いられ得る。上掲の接着阻止層(AIL)及び接着付与層(ASL)は何れもそれぞれ、接着性を全く消失させる(非着)目的及び強固な接着を実現する(固着)目的に限らず、それらを適度の強さに調節する目的、それらの作用を所望の区域に限定して発現させる目的等でも用いられ得る。
【0017】
上記の図1(A)に代表的に例示される好適態様において用いられ得る接着阻止剤として、例示のシリコンワックス等に代えて、熱硬化性樹脂を用いることもできる。その理由は対金属接着性の熱硬化性樹脂が熱可塑性樹脂例えば、ポリオレフィン(樹脂)に対しては接着性を示さず、逆に、一般に金属層に対しては十分な接着性を示す樹脂であることに求められる。
【0018】
これらの各態様では、この樹脂保護層12pを形成する熱可塑性樹脂層が、対金属接着性の熱硬化性樹脂からなる樹脂基層12bには「殆ど接着性を示さない」ものであることを好適に利用する。尤も、「殆ど接着性を示さない」という意味は「仮着」することをも排除するものではない。即ち、静置状態においては両層が密に重層を形成しているが、大きな外力の印加によって容易に剥離される程度に層間が密接していても、ここで言う「仮着」していることに含まれる。
【0019】
図1(B)に代表的に示された本発明の別異好適態様例は、樹脂基層(ここでは接着阻止層として作用)12bとして、対金属接着性の熱硬化性樹脂からなる樹脂基層12bを押出用金属製チューブ容器10の胴部内壁7aiにおいて、少なくともその裾部内壁11iから肩部内壁7siに亙る範囲(口頚部を除く)に前記の「螺縞型」に被装した表面に、対金属接着性の(金属層に対して十分な接着性を備えた)樹脂保護層12pを連続層として被装した態様を示す。この樹脂基層12bの平均層厚は通常3〜10μm、好ましくは5〜8μm程度に設定されれば殆どの場合には十分である。
【0020】
本発明の1実施例である図1(A)に代表的に示された好適態様では、アルミニウム製等の金属製チューブ容器10の胴部内壁7ai側に、金属層に対して接着性を備えた熱可塑性樹脂からなる樹脂層12を直接に被装しているが、別異の実施例である図1(B)に代表的に示されている好適態様では、チューブ容器10において胴部7aの内壁7aiに、先ず対金属接着性の熱硬化性樹脂層からなる樹脂基層12bを形成させ、その硬化後にその表面に、この樹脂基層12bに対して接着性し難い熱可塑性樹脂層からなる樹脂保護層12pを形成させることによって、チューブ容器の金属層が破断又は裂断等を生じた場合にも、依然として内容物を外界とは絶縁状態で十分に保護し得る複合(重層)樹脂層12を作成することもできる。
【0021】
上述の各態様は、金属製の胴部内壁7aiに対して熱可塑性樹脂が十分な接着性を備えている場合を例として説明されている。しかし、逆に、熱可塑性樹脂が金属層に対しては殆ど接着性を備えていない場合であっても、金属層及び熱可塑性樹脂層12の双方に対して十分な接着性を備えている媒介材料(接着付与剤)からなる接着条帯を金属層表面の上述の様な適宜個所に被装し、それぞれの個所を覆う様に連続層の熱可塑性樹脂層12を被装する態様も勿論、本発明の図1(A)及び図1(B)の態様に包含されるものである。即ち、これらの態様であっても、本発明の効果を発現し得るからである。この図1(A)及び図1(B)の態様における接着条帯を形成するものは熱可塑性樹脂に対して十分な接着性を備えている限り、熱硬化性樹脂であっても勿論差支えない。本発明において、熱可塑性樹脂として多用されている樹脂の中でポリオレフィン(樹脂)が用いられる場合には、その対金属接着性は一般に要求水準に足りない。このポリオレフィン(樹脂)は例えば、ポリエチレン(樹脂)、ポリプロピレン(樹脂)、エチレン−プロピレン共重合樹脂、プロピレン−エチレン共重合樹脂、これらの2種以上の組成物(混合物)等の形で用いられ得るが、これらは一般に対金属接着性に欠ける。
【0022】
上記の対金属接着性に乏しいか又は欠ける熱可塑性樹脂層に接着性を付与する接着付与剤としては、不飽和有機酸及びその誘導体を挙げることができ、例えばマレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メザコン酸、テトラヒドロフタル酸又はノルボルネンジカルボン酸並びに酸誘導体としては、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物、メザコン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物又はノルボルネンジカルボン酸無水物等を挙げることができる。これらの中でも最も好ましいものはマレイン酸無水物である。
【0023】
<裾部増厚>
図1で統括される本発明の好適態様において、図1 ( )で代表的に示された態様例(表1中の分類番号「(3)-1〜(3)-4」)は金属製チューブ10の胴部内壁7aiが熱可塑性樹脂からなる単一種の樹脂層12によって被装された態様であり、図1 ( )で代表的に示された態様例(表1中の分類番号「(4)-1〜(4)-4」)は金属製チューブ10の胴部内壁7aiに被装された樹脂層12が複合(重合)樹脂層であって、熱硬化性樹脂からなる樹脂基層12bの表面に熱可塑性樹脂からなる樹脂保護層12pが重層されている態様のそれぞれにおいて、樹脂保護層12pが裾部内壁11iから裾部端11zまで増厚された態様である。
【0024】
図1(B)に示された本発明の好適態様(分類番号「(4)-1〜(4)-4」)では、この押出用金属製チューブ容器10内壁における裾部端開口11v付近の区域即ち、裾部内壁11i区域で樹脂保護層12pの厚さが他の区域即ち、胴部内壁 ai おける対金属接着性の樹脂基層12bに被装された区域の熱可塑性樹脂層12の層厚に比して十分に厚く形成されている(増厚)。
【0025】
図1(A)に示された本発明のチューブの詳しい構成は後掲の表1(分類番号「(3)-1〜(3)-4」)に、その変形態様と共に記載されている。
この裾部増厚の意義はこの部分が層間融合封止例えば、ヒートシール(熱封止)されずとも外気の進入を通常は阻止し得ると共に、保存によって内容物から発生したガス及び/又は蒸気等に起因する圧力(内圧)が所定の値を超えた際には、その圧力によって流通路が開かれて発生気体を洩出させ、内圧の復元後には流通路が自然閉塞し得る状態を形成させることにある。
【0026】
ここで、増厚された樹脂保護層12pの被覆区域は標準寸法のチューブ(長さ200mm×外径25mm)を例に取れば、その裾部内壁11iから肩部内壁7si側へ通常15〜30mm遡るまでの区域内で足り、本発明の実施例では略20mmの区域に設定されている。胴部内壁7aiにおける樹脂保護層12pの層厚が通常20〜200μmの場合であれば、前記増厚区域内における熱可塑性樹脂(保護)層の平均総括層厚範囲は例えば、上限600μm以下、好ましくは10〜300μmに設定されれば、多くの場合には十分である。付言すれば、この増厚区域は図1に示されている様に、後刻裾部11の折締めシールに供される区域である。この裾部(増厚部)11の平均層厚範囲(樹脂基層12bの層厚+樹脂保護層12pの層厚)は平均胴部(樹脂)層厚20〜200μmの通常1.5〜30倍に選ばれれば、殆どの目的には充分に所期の効果が奏される。
【0027】
この様に、十分に厚い樹脂単独層(基層と保護層とを兼ねる)12又は樹脂保護層12pを形成させる手段としては例えば、熱可塑性樹脂の粉体塗料を用いる静電塗装が好適である。この様な塗装手段を採用することによって、従来から一般的に行われていた溶剤型塗料による塗装に比べて、十分に厚い塗装膜を格段に短時間(高速)で形成させることができると共に、揮発した有機溶剤を外気中へ漏らさない為に必要なクローズドシステムを組まなくても済む。このクローズドシステムは一般に大規模の施設であって、小資本による小規模実施には受容れ困難という問題を伴う。
【0028】
本発明の好適実施態様においては、裾部内壁11iから口頚部内壁7ni側へ伸びる特定区域内に被装される樹脂層厚を部分的に厚くする(部分的増厚)ことによって例えば、この区域から脱気を行なって折締めシールした後には、外気の侵入に対しては確実なシール効果を期待することができると共に、チューブ容器10内部で発生したガス及び/又は蒸気等がこの区域から、排出(洩出)されることを期待することができる。
【0029】
また、上記の裾部増厚を採用することによって、特別なシール工程を増やさずとも、例えばチューブ容器10の胴部内壁7aiに樹脂層12を形成させる作業と同時に、それに続けて又はそれとは別途に、裾部(尾端)11の折締めシールを行なうことができる。
なお、本発明の1実施例である図1 ( )(分類番号(3)-1)では、アルミニウム製等の金属製チューブ容器10の胴部内壁7ai側に、金属層に対して充分な接着性を備えた(対金属接着性の)熱可塑性樹脂からなる樹脂層12を直接に被装させている。なお、図1(A)(分類番号(3)-1)では、裾部内壁11iに位置する熱可塑性樹脂層12が増厚されている限り、その大部分の表面で胴部内壁7aiに接着している態様も本発明の範囲に属し、更に、その全面で接着している態様も本発明の範囲の外縁域に位置する。
【0030】
図1 ( )に代表的に示されている別異の好適例(分類番号(4)-1)では、チューブ容器10において胴部内壁7aiに、先ず対金属接着性の熱硬化性樹脂層からなる樹脂基層12bを形成させ、その硬化後にその表面に、この樹脂基層12bに対して接着し難い熱可塑性樹脂層からなる樹脂保護層12pを形成させることによって、胴部7aの破断又は裂断時にも、それとは絶縁状態で、依然として内容物を保護し得る複合(重層)樹脂層12を作成することもできる。
【0031】
図1 ( )に代表的に示された本発明のチューブ容器10の詳しい構成は後掲の表1に、その変形態様と共に記載されている。
上述の図1 ( )で代表的に示された好適態様例(分類番号「(4)-1、(4)-3及び(4)-4」)は金属製の胴部内壁7aiに熱可塑性樹脂が十分な接着性を備えている場合を例として説明されている。しかし、逆に、熱可塑性樹脂が金属層に対しては殆ど接着性を備えていない場合(分類番号(4)-2)あっても、金属層及び熱可塑性樹脂層12の双方に対して十分な接着性を備えている媒介材料からなる接着付与層(ASL)を接着条帯等の形態で金属製胴部内壁7ai表面の上述の様な適宜個所に被装し、それぞれの個所を覆う様に連続層の熱可塑性樹脂層12を被装する態様も勿論、本発明の図1 ( ) 及び図1 ( )の態様に包含されるものである。即ち、これらの態様であっても、上記の本発明の構成に包含され、本発明の効果を発現し得るからである。この図1 ( ) 及び図1 ( )の態様における接着条帯を形成するものは熱可塑性樹脂層に対して十分な接着性を備えた熱硬化性樹脂であっても勿論差支えない。
【0032】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
<口頚部及び/又は肩部内壁固定>
図2で統括される本発明の好適態様において、図2 ( ) 及び図2 ( )は更に別異の実施態様を示す例である。ここで、図2 ( ) 及び図2 ( )に代表的に示された各態様は複合(重層)樹脂被層12であって、金属層の表面の特定域が必ず対金属接着性の熱硬化性樹脂層からなる樹脂基層12bで被装されると共に、その表面に当該熱硬化性樹脂層12bには接着し難い熱可塑性樹脂からなる樹脂保護層12pが被装されている態様の改良である。
【0042】
図2(A)に代表的に示された態様は対金属接着性の熱硬化性樹脂からなる樹脂基層12bが金属製チューブ容器10の胴部内壁7aiにおける裾部内壁11iから肩部内壁7siを経て口頚部内 壁7niの下端までを金属層に対して十分な強度で接着する形態で被装して樹脂基層12bを形成し、この樹脂基層12bの表面上にそれとは接着し難い熱可塑性樹脂からなる樹脂保護層12pが重層され、この樹脂保護層12pはそれに留まらずに口頚部内壁7niをも被装して、その内壁7niに強固に接着固定されている態様である。図2(A)の態様においては、樹脂保護層12pはチューブ容器10の口頚部内壁7niに対する十分に大きな接着力だけで固定され、熱硬化性樹脂層12bには仮着しているに過ぎない。
【0043】
図2(B)に代表的に示された態様は樹脂基層である対金属接着性の熱硬化性樹脂層からなる樹脂基層12bが金属製チューブ10の胴部内壁7aiにおいて裾部内壁11iから肩部内壁7siの下端に接するまでを被装し、その表面上にそれには接着し難い熱可塑性樹脂層からなる樹脂保護層12pが重層され、この樹脂保護層12pはそれに留まらずに肩部内壁7siを被装しながら口頚部内壁7niをも被装し、それらの内壁に接着固定されている態様である。
【0044】
図2 ( ) の態様においては、熱可塑性樹脂層からなる樹脂保護層12pはチューブ容器10の肩部内壁7siに対する十分に大きな接着力及び口頚部内壁7niに対する同様な接着力の併用だけで固定され、樹脂基層12bには仮着しているに過ぎない。
【0045】
図2 ( ) 及び図2 ( )の被層方式によれば、樹脂保護層12pで形成された内筒又は内袋はチューブ容器10に印加され得る種々の機械的外力によって樹脂基層12b表面から部分的に剥離し得る寄与で、容器10に印加される外力による折曲げ、捻り、突抜き、破断等による影響の大部分を直接には蒙らずに済む。その結果、この内筒又は内袋は全体的には健在で内容物を外界と接触しない様に保護すると共に、それが外界へ不時に洩出す等の事態の殆どを阻止することが期待され得る。付言すれば、チューブ容器10の肩部7s及び口頚部7nは上記の機械的外力による変形が最も生じにくい部位であると期待できる。
【0046】
上述の態様は胴部7aを形成する金属層の内壁7aiに熱可塑性樹脂層12が十分な接着性を備えている場合を例として説明されている。しかし、逆に、熱可塑性樹脂層12が金属層に対しては殆ど接着性を備えていない場合であっても、金属層及び熱可塑性樹脂層12の双方に対して十分な接着性を備えている材料からなる接着付与層(ASL)を例えば、接着条帯等の形態で金属層表面の上述の様な適宜個所に被装し、それぞれの個所を連続層の熱可塑性樹脂層で覆う様に被装する態様も勿論、本発明の図2 ( ) 及び図2 ( )の態様に包含されるものである。即ち、この態様であっても、上記の本発明の構成に包含され、本発明の効果を発現し得るからである。
【0047】
更に図2 ( ) 及び図2 ( )の各態様には、熱可塑性樹脂からなる樹脂保護層12pがチューブ容器10の肩部内壁7siだけに強く接着して固定されている態様(不図示)も包含される。
【0048】
【0049】
図2(A)で代表的に例示された各態様(表2中の分類番号「(9)-1〜(9)-4」)によれば、熱可塑性樹脂製の内筒(内袋)が口頚部内壁7niとの間の充分な接着力によって固定されると共に、裾部11における折締めだけのシール(非層間融合封止)によって、内容物から発生する(内部)ガスをチューブ容器10外へ洩出によって排出させる効果即ち、チューブ容器10の内圧増加に起因する破裂 を効果的に防止する効果を享受できる。
【0050】
図2 ( )に示された本発明のチューブの詳しい構成は後掲の表2に、その変形態様と共に記載されている。
図2(B)で代表的に例示された各態様(表2中の分類番号「(10)-1〜(10)-4」;ここで、(10)は丸印内に「10」が記入された表記に代わるものである。()内に2桁の数字が記入される場合も同様である)によれば、熱可塑性樹脂製の内筒(内袋)が口頚部内壁7ni及び肩部内壁7si双方に対する接着力によって一層安定的に固定されると共に、チューブ容器10の裾部11における折締めだけのシール(非層間融合封止)によって、内部ガスをチューブ容器10外へ洩出によって排出させて、チューブ容器10の内圧増加に起因する破裂を効果的に防止する効果を享受できる。
【0051】
なお、金属製チューブ容器10における胴部内壁7aiに対金属接着性の熱硬化性樹脂からなる樹脂基層12bと熱可塑性樹脂からなる樹脂保護層12pとからなる複合(重層)樹脂層12を形成させる場合に、樹脂基層12bの表面上に樹脂保護層12pを単純に被装すると、両層の層間接着性不足に起因して樹脂保護層12pが脱離(剥離)する。
【0052】
この脱離を防止する対策として、熱硬化性樹脂からなる樹脂基層12bを押出用金属製チューブ容器10の用途に応じて、その胴部内壁7ai上の必要な部分にのみ被装(コーティング;コート)し、形成された対金属接着性の樹脂基層12bの上を覆う様に熱可塑性樹脂からなる樹脂保護層12pからなる内袋状容器を被装することもできる。ここで、樹脂保護層12pは部分的ではなく、連続層からなる内袋状容器を形成する様に形成される。
この様に、金属製チューブ容器10の胴部内壁7aiにその長軸Xに略直交する方向で部分的に対金属接着性の熱硬化性樹脂被からなる樹脂保護層12pを被装すれば、樹脂保護層12pが樹脂基層12bには接着し難い場合にも、樹脂保護層12pが胴部内壁7aiには直接に接着する部分が必要程度に残されている寄与で、樹脂保護層12pが完全脱落又は浮上がる(遊離)現象等を防止することができるが、この部分的接着は図2の態様で望まれる状態である。
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
なお、チューブ本体7の胴部内壁7aiに樹脂基層12bと樹脂保護層12pとからなる複合(重層)樹脂層12を形成させる場合に、樹脂基層12bの表面上に樹脂保護層12pを被装すると、両層の層間接着性不足を来す場合が生じ得る。
この層間接着性不足対策として、対金属接着性の熱硬化性樹脂を押出用金属製チューブ容器10の用途に応じて、その内壁上の必要な部分にのみ被装(コーティング;コート)し、形成された樹脂基層12bの上にそれらを覆う様に熱可塑性樹脂被からなる内袋状容器を被装することもできる。この熱可塑性樹脂としては、熱硬化性樹脂に対しては接着し難いが、金属層に対しては充分な強度で接着し得るものを選び、しかも、この熱可塑性樹脂からなる樹脂保護層12pは部分的ではなく、連続して内袋状容器を形成する。この様に、金属製チューブ容器10の内壁に部分的に対金属接着性の熱硬化性樹脂からなる樹脂基層12bを被装すれば、樹脂保護層12pが樹脂基層12bには接着し難い場合にも、この樹脂保護層12pが金属製チューブ本体7には直接に接着する部分を適度に有する寄与で、樹脂保護層12pの完全脱落又は浮上がり(遊離)等を防止することができる。
【0059】
<粉体被装及びその装置の説明>
以下、本発明の好適実施態様例で好適に使用される静電粉体塗装(粉体被装)装置について説明する。
図3に示されている様に、未被装処理の素材金属製チューブ7の胴部7aは回転可能なチューブ支承機構であるチューブホルダー25によってその口頚部外壁を略全周に亙って把持され、この胴部7aは前記チューブホルダー25を介して接地される。
【0060】
更に、前記チューブの胴部7a内には電界形成用電極21が長軸X方向に任意の位置を占め得る様に挿入され、これに静電粉体塗装に必要 な電位差(電圧)が印加される。
従ってこの静電粉体塗装装置では、電位差の印加によって上記電極21から素材金属製チューブ7の胴部内壁7aiに向かって 強力な電界が形成されることになる。この状態で前記チューブホルダー25を原動機(不図示)例えば電気モーターからの駆動力によって所定速度で回転させな がら、粉体塗料噴出ノズル22を介して粉体塗料を前記チューブ内壁へ噴出させれば、噴出された粉体塗料は直ちに胴部内壁7aiに静電的に吸引されて均一に付着する。ここで、付着されなかった塗料粉末は噴出方向に対する下流側に位置する吸引回収機構(不図示)によって回収される。回収された粉体塗料は逆電位の電極又は接地電極等への接近によって、その帯電が中和された後に、静電粉体塗料として再使用に供され得る。
【0061】
前記チューブ内壁に静電的に吸着された粉体塗料から塗膜を形成させるには、これを所定温度に設定された加熱炉中又は熱風炉中等に所定時間滞留させることが有用である。ここで加熱炉又は熱風炉中の平均温度は用いられる粉体塗料を溶融させるか又は焼付けるに充分な温度に設定されることを要する。
この図3に示されている様な好適例として、静電粉体塗装装置を用いることによって、ピンホール等の欠陥(欠損)を含まない均一な樹脂被層を十分な層厚で短時間内に形成させて、本発明の押出用金属製チューブ容器を製造することができる。
【0062】
なお、前述の各種態様において、金属製チューブ10の胴部内壁7aiに対して熱可塑性樹脂層12が充分な接着性を備えている場合に、その層間接着を調整する為に胴部内壁7aiの所定の個所に接着阻止層(AIL)を被装する目的又は金属製チューブ10の胴部内壁7aiに対して熱可塑性樹脂層12が殆ど接着性を備えていない場合に、層間接着力を付与する為に胴部内壁7aiの所定の個所に接着付与層(ASL)を被装する目的があれば、素材金属製 チューブ7を静電粉体塗装装置中へ導入するに先立って、当該金属製チューブ7の胴部内壁7ai等に接着阻止層(AIL)及び/又は接着付与層(ASL)を予備被装することが前提となる。
【0063】
この予備被装を行なう方法又は手段として、スプレー塗装法(スプレー塗装装置)、ロールコーター(グラビアコーター等)又は刷毛塗り塗装法等を適宜選択することができる。これらの中でも生産性等の見地から優れているものはスプレー塗装法(スプレー塗装装置)及びロールコーター(グラビアコーター等)である。
また、予備被装に用いられる接着阻止層(AIL)及び/又は接着付与層(ASL)を形成する樹脂が熱硬化性樹脂である場合には、先ず熱硬化性樹脂層を予備被装後に加熱又はその他の硬化手段によって硬化させた時点、硬化させながら又は硬化後に改めて、上記の静電粉体塗装に供される方 式が常用される。作業時間短縮の目的では、熱硬化性樹脂をプレポリマーの形態で予備被装し、硬化所要時間を短縮する方策も採用できる。
【0064】
【発明の効果】
以上で説明されている様に、本発明に係る押出用金属製チューブ容器は下掲の諸効果を奏する:
(1)金属製チューブ容器の口頚部、肩部及び胴部の一部分から選ばれる少なくとも何れかの内壁に対して接着性の熱可塑性樹脂が被装され、他の部分においては熱可塑性樹脂層が遊離した態様はチューブ容器に生じた亀裂、裂断又は破断による影響を受けにくいことから、内容物を依然として外界と接触させずに温存できる;
(2)金属製チューブ容器の口頚部、肩部及び胴部の一部分から選ばれる少なくとも何れかの内壁に対金属接着性の熱硬化性樹脂が樹脂基層として被装され、その上に樹脂基層には接着し難い熱可塑性樹脂が連続層形態で保護層を形成した態様はチューブ容器に生じた亀裂、裂断又は破断による影響を受けにくいことから、内容物を依然として外界と接触させずに温存できる;
(3)金属製チューブ容器の内壁に部分的に熱可塑性樹脂層が接着状態で被装されると共に、樹脂層の裾部端付近が特に厚く形成された態様は裾部が折締めシールされただけでも外気の侵入を阻止し、後日発生する内部ガスによる内圧上昇もシールからの洩出しによって解消することができる;
(4)押出用金属製チューブ容器の内壁に被装された対金属接着性の熱硬化性樹脂からなる樹脂基層の上に被装された熱可塑性樹脂層が樹脂基層とは接着し難く、その裾部端付近が十分に厚く形成された態様は裾部が折締めシールされただけでも外気の侵入を阻止し、後日発生する内部ガスによる内圧上昇もシールからの洩出しによって解消することができる。具体的には、この金属チューブ容器は薬剤、整髪剤、染毛剤、化粧料、食料又は嗜好料等の収容に有用である;
( )金属製チューブ容器の口頚部及び肩部から選ばれる少なくとも何れかの内壁に、金属層に対して接着性の熱硬化性樹脂が樹脂基層として被装され、その上に樹脂基層には接着し難く、金属層には接着性の熱可塑性樹脂が連続層形態で保護層を形成した態様はチューブ容器の胴部内壁から遊離していることから、チューブ容器に生じた亀裂、裂断又は破断等による影響を受けにくいことから、内容物を依然として外界と接触させずに温存できる。
【0065】
【表1】
Figure 0004059593
【0066】
【表2】
Figure 0004059593
【0067】
【図面の簡単な説明】
図1図1で統括される態様は本発明の好適実施態様を例示する押出用金属製チューブ容器において、その胴部内壁に被装された樹脂層が裾部端に向けて増厚された態様の模式的縦断面図である。図1(A)は胴部内壁に熱可塑性樹脂層だけが被装された態様を示し、図1(B)は胴部内壁の任意個所に熱硬化性樹脂の樹脂基層が被装され、その表面上に熱可塑性樹脂の連続層が被装されている態様である。
図2図2で統括される態様は本発明の好適実施態様を例示する押出用金属製チューブ容器の模式的縦断面図であって、容器の胴部内壁に樹脂層が被装されると共に、裾部増厚を例示する。図2(A)は熱硬化性樹脂からなる樹脂基層が容器の胴部内壁を口頚部下端まで被装し、その表面上に熱可塑性樹脂層がチューブ容器の胴部内壁を殆ど被装すると共に、その裾部内壁において樹脂層が増厚された態様を示し、図2(B)はチューブの金属層に被装された熱硬化性樹脂層が胴部内壁の略肩部下端まで被装され、その表面に熱可塑性樹脂層が胴部内壁を殆ど被装すると共に、その裾部内壁において裾部端向けに樹脂層が増厚された態様を示す。
【図3】図3は本発明の各好適実施態様で好適に使用される静電粉体塗装方法を実施する為に好適な静電粉体塗装装置の1例を示す模式的縦断面図である。
【符号の説明】
7 素材金属製チューブ(容器としては未完成)
8 口頚部の上端開口
10 押出用金属製チューブ容器
11 押出用金属製チューブ容器の裾部
12 単一樹脂層、複合(重層)樹脂層
21 電界形成用電極
22 粉体塗料噴出ノズル
25 チューブホルダー
7a 胴部(肩部から裾部端までを言い、口頚部を除く)
7m キャップを冠装螺合する為のネジ山
7n 口頚部
7s 肩部
11i 裾部内壁
11v 裾部端開口
11z 裾部端(尾端)
12b 熱硬化性樹脂からなる樹脂基層
12p 熱可塑性樹脂からなる樹脂保護層
7ai 胴部内壁
7nx 口頚部外壁
7si 肩部内壁
AIL 接着阻止層
ASL 接着付与層
CST 螺縞型
TST 虎縞型

Claims (5)

  1. 金属製チューブの内壁に1種以上の樹脂層が被装されている押出用金属製チューブであって、
    該金属製チューブの内壁に被装された樹脂製表皮層が金属層の内壁に接着し得る熱可塑性樹脂層だけであって、金属層と該樹脂層との層間が少なくとも部分的に接着されていると共に、該熱可塑性樹脂層の尾端域が増厚され、該熱可塑性樹脂層が増厚に重層された尾端域を熱封止せずに折締めシールすることにより該熱可塑性樹脂層が内容物を外界に対して保護する押出用金属チューブ容器又は、
    該金属層の内壁が少なくとも部分的に対金属接着性の熱硬化性樹脂で被装され、その熱硬化性樹脂層の表面上に該熱硬化性樹脂層には接着し難い熱可塑性樹脂層が、該熱可塑性樹脂層の尾端域が増厚になるように重層され、該熱可塑性樹脂層が増厚に重層された尾端域を熱封止せずに折締めシールすることにより内容物を外界に対して保護する押出用金属チューブ容器。
  2. 該金属製チューブの裾部折締め後にも、裾部の内壁に被装されている1種以上の樹脂層が対向する樹脂層との間で層間融着を生じない手段で封止されていることによって、該封止部から内部ガスが洩出し得る請求項1に記載の押出用金属製チューブ容器。
  3. 該金属製チューブの内壁において、裾部から口頚部に隣接する範囲に亙って対金属接着性の熱硬化性樹脂層が被装されていると共に、該金属チューブの口頚部内部を該熱硬化性樹脂層に接着し難いと共に該金属層には接着可能な熱可塑性樹脂層が被装することによって、該金属製チューブの内壁に固定されている請求項1または2に記載の押出用金属製チューブ容器。
  4. 該金属製チューブの内壁において、裾部から肩部に隣接する範囲に亙って対金属接着性の熱硬化性樹脂層が被装されていることに加えて、該金属製チューブの肩部及び口頚部内壁を該熱硬化性樹脂層に接着し難いと共に該金属層には接着可能な熱可塑性樹脂層が被装されることによって、該金属製チューブの内壁に固定されている請求項1〜3の何れかに記載の押出用金属製チューブ容器。
  5. 押出用金属製チューブ容器であって、前記金属製チューブを形成する金属がアルミニウム、錫及び亜鉛で構成される群から選ばれる1以上の金属又はアルミニウム合金、錫合金及び亜鉛合金で構成される群から選ばれる1種以上の合金であり、その金属製チューブの裾部内壁から少なくとも胴部内壁に亙って被装される対金属接着性の熱硬化性樹脂として、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂及びウレタン樹脂から選ばれる1種以上の樹脂層が位置し、その表面に更に形成される熱可塑性樹脂として、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル樹脂及びエチレン−プロピレン系熱可塑性エラストマーからなる群から選ばれる1種以上の樹脂層が少なくとも口頚部内壁から胴部内壁に亙って形成されている請求項1〜4の何れかに記載の押出用金属チューブ容器。
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