JP4059439B2 - 建物外部開口用半外付けサッシの枠組み構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、店舗やビル外壁などのサッシの枠組み構造に関する。特に、半外付け(一部が外壁面より突出する)の鉄骨枠に取付ける嵌め殺しサッシに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のサッシの枠組み構造としては、特許第3185826号(例えば、特許文献1)に示されたものがある。
これは、上枠と左右の縦枠の横断面は同形に形成され、上枠と下枠の各々の両端面が左右の縦枠に当接して結合され、縦枠の中空部の端部開口を遮蔽するキャップが縦枠の上部及び下部に取付けられたものである。
【特許文献1】
特許第3185826号公報(4頁、図1及び2)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この枠組み構造における遮蔽キャップと左右縦枠との固定は、該キャップに設けられた嵌合片や嵌合突起と左右縦枠の形成されている中空部との嵌合関係のみである。そのため、キャップと左右縦枠との結合状態は弱く、気水密性の観点から問題がある。
また、遮蔽キャップに取付けられた立ち上がり片により、建物の躯体に取付けられるものの、上下枠及び左右縦枠に設けられた躯体取付け片と一体となって躯体にビス等で固定されることはない。そのため、キャップの立ち上がり片を躯体に打ち付ける際に、キャップが左右縦枠の中空部の小口面(両端面)からずれてしまい、上記と同様に、気水密性に問題が生じる虞がある。
さらに、別の問題として、上下枠及び左右縦枠により形成されるコーナー部における枠材相互の固定は、2ヶ所ビス固定しなければならず、枠組み作業に多大な手間がかかるという問題がある。
そこで、本発明の主たる課題は、枠組み作業を容易にするとともに、左右縦枠端部の気水密性を確実にする、建物外部開口用半外付けサッシの枠組み構造を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明は、次のとおりである。
<請求項1記載の発明>
長手方向の両端に開口を有し、該両端は長手方向に対し直交する本体部と、該本体部に設けられ、この本体部を建物開口部の躯体に取付けるための取付け片と、を備えた枠材で、上下枠及び左右縦枠を構成し、
前記上下枠の両端が前記左右縦枠の内周面に当接されて形成される四周のコーナー部は、連結具及びビスにより固定され、
前記上下枠及び左右縦枠の内周面には、嵌め殺し障子を装着する、建物外部開口部用半外付けサッシの枠組み構造であって、
前記連結具は、前記左右縦枠の建物外部に露出する部分の前記開口端を覆う閉塞部と、前記コーナー部に位置する上下枠及び左右縦枠のそれぞれの前記開口端に嵌合させるように直交する二方向に配設された嵌合部と、前記コーナー部に位置する前記上下枠及び左右縦枠のそれぞれの取付け片に当接し、これらを連結する連結片、とを備え、
前記連結具の嵌合部を前記上下枠及び左右縦枠のそれぞれの前記開口端に嵌合させるとともに、前記連結具の閉塞部を前記左右縦枠の前記開口端に当接し、前記左右縦枠の建物外部に露出する部分の前記開口端を前記閉塞部により覆う状態で、前記コーナー部を、前記連結具の嵌合部を介してビスにより固定して枠組みし、
前記連結片を介して、前記上下枠及び左右縦枠が建物開口部の躯体に取付けられる、ことを特徴とする建物外部開口用半外付けサッシの枠組み構造。
【0005】
(作用効果)
請求項1記載の発明は、左右縦枠の建物外部に露出する部分の開口端を覆う閉塞部と、コーナー部に位置する上下枠及び左右縦枠のそれぞれの開口端に嵌合させるように直交する二方向に配設された嵌合部と、を備えた連結具とビスにより、上下枠の両端が前記左右枠の内周面に当接されて形成される四周のコーナー部を固定する構成をとっている。具体的には、連結具の嵌合部を上下枠及び左右縦枠のそれぞれの開口端に嵌合させるとともに、連結具の閉塞部を左右縦枠の開口端に当接し、左右縦枠の建物外部に露出する部分の開口端を閉塞部により覆う状態で、コーナー部を、連結具の嵌合部を介して固定することにより、ビス1本でコーナー部の確実な連結を行うことができる。
通常、ビス1本の固定であると、ビスの軸を中心とした円周方向に回動可能となり、これに起因する枠材間の連結ズレが生じるため、一般的に、ビス止めは2箇所以上で行われている。しかしながら、本発明では、ビス1本の固定でも、上記回動が嵌合部及び閉塞部の押圧等の働きにより抑制されるため、枠材間の連結ズレが生じることはない。そのため、枠組み作業の作業性を向上させることができる。
第2に、サッシ枠組み作業とともに、左右縦枠の建物外部に露出する部分の開口端の閉塞作業を同時に行うことができる。しかも、単なる嵌合手段のみによる結合ではなく、ビスによる螺着であるので、取付けは確実であり、気水密性は高い。
第3に、建物の躯体に取付ける以前の段階で、左右縦枠の建物外部に露出する部分の開口端の確実な閉塞作業を行ってしまうため、建物の躯体への取付け作業中に、不用意に閉塞部が上記開口端からずれる虞がない。
また、連結具は、コーナー部に位置する上下枠及び左右縦枠のそれぞれの取付け片に当接し、これらを連結する連結片を備えていることにより、ビス1本での固定に伴う回動を、嵌合部及び閉塞部と協働してさらに確実に抑制することができる。
【0006】
<請求項2記載の発明>
前記連結具の閉塞部に封止材を設け、該封止材を介して前記左右縦枠の両端に当接させる構成とした、請求項1記載の建物外部開口用半外付けサッシの枠組み構造。
【0007】
(作用効果)
封止材を介在させることにより、気水密性を高めることができる。
【0008】
<請求項3記載の発明>
前記封止材が圧縮可能な材料からなり、前記左右縦枠の上端部の内方部分から上枠及び下枠の内方部分へとビスを打ち込むときに、封止材の圧縮代を見込んで、前記上枠及び下枠の内方部に形成されたビスホールへのビスの打ち込む位置を決めて、前記連結具の嵌合部を介してビスを打ち込み、ビスの止め付け状態で、前記左右縦枠の建物外部に露出する部分の前記開口端を前記閉塞部に押圧させ封止材を圧縮させて封止の強化を図っている、請求項2記載の建物外部開口用半外付けサッシの枠組み構造。
【0009】
(作用効果)
ビス止め枠組み時において、連結具の閉塞部を左右縦枠の建物外部に露出する部分の開口端に押圧させ封止材を圧縮させると、封止(たとえば気水密)の強化を図ることができる。
【0010】
<請求項4記載の発明>
長手方向の両端に開口を有し、該両端は長手方向に対し直交する本体部と、該本体部に設けられ、この本体部を建物開口部の躯体に取付けるための取付け片と、を備えた枠材で、上下枠及び左右縦枠を構成し、
前記上下枠の両端が前記左右縦枠の内周面に当接されて形成される四周のコーナー部は、連結具及びビスにより固定され、
前記上下枠及び左右縦枠の内周面には、嵌め殺し障子を装着する、建物外部開口部用半外付けサッシの枠組み構造であって、
前記連結具は、前記左右縦枠の建物外部に露出する部分の前記開口端を覆う閉塞部と、前記コーナー部に位置する上下枠及び左右縦枠のそれぞれの前記開口端に嵌合させるように直交する二方向に配設された嵌合部と、を備え、
この連結具の閉塞部に封止材を設け、前記連結具の嵌合部を前記上下枠及び左右縦枠のそれぞれの前記開口端に嵌合させるとともに、前記連結具の閉塞部を封止材を介して前記左右縦枠の両端に当接し、前記左右縦枠の建物外部に露出する部分の前記開口端を前記閉塞部により覆う状態で、前記コーナー部を、前記連結具の嵌合部を介してビスにより固定して枠組みし、
かつ、前記封止材が圧縮可能な材料からなり、前記左右縦枠の上端部の内方部分から上枠及び下枠の内方部分へとビスを打ち込むときに、封止材の圧縮代を見込んで、前記上枠及び下枠の内方部に形成されたビスホールへのビスの打ち込む位置を決めて、前記連結具の嵌合部を介してビスを打ち込み、ビスの止め付け状態で、前記左右縦枠の建物外部に露出する部分の前記開口端を前記閉塞部に押圧させ封止材を圧縮させて封止の強化を図っている、ことを特徴とする建物外部開口用半外付けサッシの枠組み構造。
【0011】
(作用効果)
請求項4記載の発明は、左右縦枠の建物外部に露出する部分の開口端を覆う閉塞部と、コーナー部に位置する上下枠及び左右縦枠のそれぞれの開口端に嵌合させるように直交する二方向に配設された嵌合部と、を備えた連結具とビスにより、上下枠の両端が前記左右枠の内周面に当接されて形成される四周のコーナー部を固定する構成をとっている。具体的には、連結具の嵌合部を上下枠及び左右縦枠のそれぞれの開口端に嵌合させるとともに、連結具の閉塞部を左右縦枠の開口端に当接し、左右縦枠の建物外部に露出する部分の開口端を閉塞部により覆う状態で、コーナー部を、連結具の嵌合部を介して固定することにより、ビス1本でコーナー部の確実な連結を行うことができる。
通常、ビス1本の固定であると、ビスの軸を中心とした円周方向に回動可能となり、これに起因する枠材間の連結ズレが生じるため、一般的に、ビス止めは2箇所以上で行われている。しかしながら、本発明では、ビス1本の固定でも、上記回動が嵌合部及び閉塞部の押圧等の働きにより抑制されるため、枠材間の連結ズレが生じることはない。そのため、枠組み作業の作業性を向上させることができる。
第2に、サッシ枠組み作業とともに、左右縦枠の建物外部に露出する部分の開口端の閉塞作業を同時に行うことができる。しかも、単なる嵌合手段のみによる結合ではなく、ビスによる螺着であるので、取付けは確実であり、気水密性は高い。
第3に、建物の躯体に取付ける以前の段階で、左右縦枠の建物外部に露出する部分の開口端の確実な閉塞作業を行ってしまうため、建物の躯体への取付け作業中に、不用意に閉塞部が上記開口端からずれる虞がない。
さらに、連結具の閉塞部に圧縮可能な材料からなる封止材を設け、前記連結具の閉塞部を封止材を介して前記左右縦枠の両端に当接させ、特に左右縦枠の上端部の内方部分から上枠及び下枠の内方部分へとビスを打ち込むときに、封止材の圧縮代を見込んで、前記上枠及び下枠の内方部に形成されたビスホールへのビスの打ち込む位置を決めて、前記連結具の嵌合部を介してビスを打ち込み、ビスの止め付け状態で、前記左右縦枠の建物外部に露出する部分の前記開口端を前記閉塞部に押圧させ封止材を圧縮させて封止の強化を図っているので、気水密性が強化されて高められている。
【0012】
<請求項5記載の発明>
前記枠材の本体部は、断面略C型溝状で、前記建物の躯体に向かって溝が形成されており、該溝縁部に前記取付け片を備えた、請求項1〜4の何れか1項に記載の建物外部開口用半外付けサッシの枠組み構造。
【0013】
(作用効果)
枠材の本体部が断面略C型溝状であるので、連結具の嵌合部を枠材の開口端(小口)方向から嵌入する必要がなく、溝が形成されている部分(側面)から嵌入することができる。
このことによって、開口端を有するが側面に溝が形成されていない枠体の枠組み作業では、例えば、上枠と縦枠とを連結させる際に、上枠若しくは縦枠の一方に連結具の嵌合部を嵌入し、一方の枠と連結具とが嵌合した状態で、他方の枠に連結具の他の直交する嵌合部を嵌入しなければならず、枠組み作業の手間が掛かる。それに対し、本発明では、枠体の溝が形成されている部分(側面)から嵌合部を嵌入することができるので、まず、上枠と縦枠との取り合い位置をある程度大雑把に決めて枠を組んだ状態で、それぞれの枠体の溝が形成されている部分(側面)に、直交する二方向に配設された嵌合部を備えた連結具を嵌入して嵌合させればよいので、枠組み作業の手間が楽である。
【0014】
<請求項6記載の発明>
前記枠材の本体部は、該本体部の両端部で、かつ建物の躯体に対向する面が切り欠かれ、該切欠きは、この切欠きから前記開口端に前記連結具の嵌合部を嵌合可能に構成され、この切欠き縁部に前記取付け片を備えた、請求項1〜4の何れか1項に記載の建物外部開口用半外付けサッシの枠組み構造。
【0015】
(作用効果)
枠材が、本体部の両端部で、かつ建物の躯体に対向する面が切り欠かれ、この切欠きの構成は、この切欠きから連結具の嵌合部を嵌合(若しくは嵌入)できるようになっているので、連結具の嵌合部を枠材の端(小口)方向から嵌入する必要がなく、切欠き部分(側面)から嵌入することができる。
このことによって、開口端を有するが側面に溝が形成されていない枠体の枠組み作業では、例えば、上枠と縦枠とを連結させる際に、上枠若しくは縦枠の一方に連結具の嵌合部を嵌入し、一方の枠と連結具とが嵌合した状態で、他方の枠に連結具の他の直交する嵌合部を嵌入しなければならず、枠組み作業の手間が掛かる。それに対し、本発明では、切欠き部分(側面)から嵌合部を嵌入することができるので、まず、上枠と縦枠との取り合い位置をある程度大雑把に決めて枠を組んだ状態で、それぞれの枠体の切欠き部分(側面)に、直交する二方向に配設された嵌合部を備えた連結具を嵌入して嵌合させればよいので、枠組み作業の手間が楽である。
【0016】
<請求項7記載の発明>
前記上下枠及び左右縦枠は、実質的に同一の横断面を有する、請求項1〜6の何れか1項記載の建物外部開口用半外付けサッシの枠組み構造。
【0017】
(作用効果)
上下枠及び左右縦枠は、実質的に同一の横断面を有することにより、部材の共有化が可能となるため、製造コストを抑えることができるばかりではなく、枠組み作業における取付けミス(例えば、上枠と下枠との取付け間違い等)がなくなり、結果的に、作業性を向上させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
<上下枠及び左右縦枠>
本発明に係るサッシについて、主に、図1〜3に基づき説明する。なお、図1は、サッシの縦断面図、図2は、サッシの横断面図、図3(1)は、サッシの枠組みを躯体に取付けた状態を示す、室外側正面図であり、図3(2)は、コーナー部の拡大図である。
本発明に係るサッシは、上下枠1,2と左右縦枠3,4とをビス6及び連結具21により固定し、枠組みしたものである。そして、上下枠1,2と左右縦枠3,4の内周面には、ガラス面17を有する嵌め殺し障子15が装着されている。
【0019】
実施の形態での上下枠1,2及び左右縦枠3,4は、同一型材(横断面同一)からなるものであり、長手方向の両端に開口を有し、該両端は長手方向に対し直交する本体部と、該本体部に設けられ、この本体部を建物開口部の鉄骨7等の躯体に取付けるための取付け片1D,2D,3D,4Dと、を備えた枠材からなっている。ここで、本体部は、内周面1A,2A,3A,4Aと、室外面1B,2B,3B,4Bと、室外側外周面1C,2C,3C,4Cと、室内面1E,2E,3E,4Eと、室内側外周片1F,2F,3F,4Fと、を備えており、さらに上下枠1,2には、ビス挿入ホール1G,2Gを、左右縦枠3,4には、ビス孔3H,4Hを備えている。
【0020】
具体的には、上下枠1,2及び左右縦枠3,4の内周を構成し、その内側に嵌め殺し障子15をビス19により装着可能な内周面1A,2A,3A,4Aと、この内周面1A,2A,3A,4Aの室外側端からサッシ枠の見付を形成する室外面1B,2B,3B,4Bが立設され、該室外面1B,2B,3B,4Bから、内周面1A,2A,3A,4Aと略平行的に折曲して室外側外周面1C,2C,3C,4Cが設けられており、該室外側外周面1C,2C,3C,4Cの室内側端から、鉄骨7等の躯体に上下枠1,2及び左右縦枠3,4を取付けるための取付け片1D,2D,3D,4Dが立設されている。また、内周面1A,2A,3A,4Aの室内側端から室内面1E,2E,3E,4Eが立設され、この室内面1E,2E,3E,4Eから、内周面1A,2A,3A,4Aと略平行的に折曲して室内側外周片1F,2F,3F,4Fが設けられている。
【0021】
ここで、上下枠1,2及び左右縦枠3,4の枠材は、断面略C型溝状であり、内周面1A,2A,3A,4Aと、室外面1B,2B,3B,4Bと、室外側外周面1C,2C,3C,4Cと、室内面1E,2E,3E,4Eと、室内側外周片1F,2F,3F,4Fとによって囲まれる内方部分には、開口部1a,2a,3a,4aが形成されており、また、室外側外周面1C,2C,3C,4Cと、室内側外周片1F,2F,3F,4Fとの間には、溝1b,2b,3b,4bが形成されており、開口部1a,2a,3a,4aの躯体に対向する一部が外方に開放されている。
さらに、上下枠1,2の内周面1A,2Aの開口部1a,2a側(内方側)には、上下枠1,2の両端が左右縦枠3,4の内周面3A,4Aに当接されて形成される四周のコーナー部をビス6により連結させるためのビス挿入ホール1G,2Gが、補強材を兼用して設けられている。
【0022】
これら上下枠1,2及び左右縦枠3,4は、取付け片1D,2D,3D,4Dと、後述する連結具21とを介してネジ8等の固着手段により、鉄骨7等の躯体に取付けられる。外装の仕上げは、タイルやパネル等の外壁9により、鉄骨7等の躯体と取付け片1D,2D,3D,4Dの一部を覆い、取付け片1D,2D,3D,4Dの覆われていない部分に、バックアップ材10を装填した上で、上下枠1,2及び左右縦枠3,4と外壁9の隙間をコーキングなどのシーリング材11等によりシールすることで形成される。また、内装については、室内面1E,2E,3E,4Eにビス12により固定されたブラケット13を介して、石膏ボード等の内装材14が取付けられている。
【0023】
<連結具>
本発明に係る連結具について、図4及び図5に基づいて説明する。なお、図4は、上枠1と左縦枠3を室外側から見た、連結具21との取り合いを説明するための図である。また、図5(1)はコーナー部の平面図、図5(2)は第1の嵌合部23及び第2の嵌合部24の横断面図、図5(3)は、上枠1の長手方向からコーナー部を見た図であり、図5(4)は、室外側から見たコーナー部の正面図である。
連結具21は、上下枠1,2の両端が左右縦枠3,4の内周面1A,2A,3A,4Aに当接されて形成される四周のコーナー部をビス6とともに、固定する部材である。
【0024】
上記四周のコーナー部は、それぞれ位置的及び構造的に対称関係にあるので、以下では、上枠1及び左縦枠3により形成される部分のコーナー部に固定される連結具21について説明する。
連結具21の構成としては、左右縦枠3,4の両端を覆う閉塞部22と、コーナー部に位置する上下枠1,2及び左右縦枠3,4のそれぞれの開口部1a,2a,3a,4aの端に嵌合させるように直交する二方向に配設された第1の嵌合部23及び第2の嵌合部24と、上下枠1,2及び左右縦枠3,4のそれぞれの取付け片1D,2D,3D,4Dに室外側から当接し、これらを連結する連結片25と、を備えている。
【0025】
具体的には、繋ぎ板26を介して、閉塞部22、第1の嵌合部23及び第2の嵌合部24、連結片25とは、一体的に成形されており、図4乃至5(1)で示すように、板状の閉塞部22は、Y方向に開口された、左右縦枠3,4の建物外部に露出する部分の開口部3a,4a端を覆い、また、断面コの字形の第1の嵌合部23は、同じくY方向に開口された左右縦枠3,4の開口部3a,4a端の溝3b,4bが形成された部分に嵌合し、同じく断面コの字形の第2の嵌合部24は、Y方向と直交するX方向に開口された、上下枠1,2の開口部1a,2a端の溝1b,1bが形成された部分に嵌合し、さらに、略L字型板状の連結片25は、上下枠1,2及び左右縦枠3,4のそれぞれの取付け片1D,2D,3D,4Dに室外側から面で当接するように、閉塞部22の躯体側面に立設されている。
【0026】
連結具21の構成をさらに詳しく説明すると、閉塞部22の機能は、左右縦枠3,4の建物外部に露出する部分の開口部3a,4a端を覆い、気水密性を確保するものであるから、開口部3a,4a端に当接する閉塞部22の面に、ゴムなどの硬質樹脂や軟質樹脂、クッション材、各種発泡材等の弾性体からなる封止材27を貼着等により固着させておくことが好適である。
【0027】
また、第1の嵌合部23は、左右縦枠3,4の内周面3A,4Aの開口部3a,4a側に当接する当接面23Aと、この当接面23Aの室内側及び室外側の両端には起立片23B,23Cと、を備え、繋ぎ板26と一体になっており、具体的には、当接面23Aは、左右縦枠3,4の内周面3A,4Aの開口部3a,4a側に当接し、この当接面23Aに形成されたビス孔23Dよりビス6が挿入され螺着されることにより、連結具21は、四周のコーナー部を固定する。なお、ビス孔23Dの位置は、上枠1に形成されたビス挿入ホール1Gの位置と一致するように形成されており、閉塞部22に封止材27を設ける場合は、その圧縮代を予め見込んでおく。また、起立片23B,23Cは、当接面23Aの両端から起立し、室内側外周片3Eの端と室外側外周面3Cの端に当接している。同様に、第2の嵌合部24は、上下枠1,2の内周面1A,2Aの開口部1a,2a側に嵌合する起立片24B,24Cを備え、繋ぎ板26と一体になっており、具体的には、起立片24B,24Cは、繋ぎ板26室内側及び室外側の両端から起立し、室内側外周片1Eの端と室外側外周面1Cの端に当接するとともに、上下枠1,2の内周面1A,2Aの開口部1a,2a側に当接している。
【0028】
さらに、連結片25は、上下枠1,2及び左右縦枠3,4のそれぞれの取付け片1D,2D,3D,4Dに室外側から面で当接するように、取付け片1D,2D,3D,4Dの両端縁部と重なる重ね代を形成して、平面略L字型板状に形成され、閉塞部22の躯体側面に立設されており、この重ね代部分には、取付け片1D,2D,3D,4Dを、連結片25を介してネジ8を螺着し、鉄骨7に固着するためのネジ孔25A,25Bが形成されている。この重ね代部分に形成されたネジ孔25A,25Bの存在により、取付け片1D,2D,3D,4Dと連結具21は一体的に鉄骨7に固定される。なお、タップビスなどで固定する場合等は、ネジ孔25A,25Bを予め設けなくてもよい。
【0029】
ここで、連結具21が、閉塞部22、第1の嵌合部23及び第2の嵌合部24、連結片25を備えていることにより、以下の作用効果を有している。
すなわち、連結具21の第1の嵌合部23及び第2の嵌合部24を上下枠1,2及び左右縦枠3,4のそれぞれの開口部1a,2a,3a,4aの端に嵌合させるとともに、連結具21の閉塞部22を左右縦枠3,4の両端に当接し、左右縦枠3,4の建物外部に露出する部分の開口部3a,4aの端を閉塞部22により覆う状態で、コーナー部を、連結具21の第1の嵌合部23及び第2の嵌合部24を介して固定することにより、ビス1本でコーナー部の確実な連結を行うことができる。通常、ビス1本の固定であると、ビスの軸を中心とした円周方向に回動可能となり、これに起因する枠材間の連結ズレが生じるため、一般的に、ビス止めは2箇所以上で行われている。しかしながら、本発明では、ビス1本の固定でも、ビス6の軸心を中心に回動する運動が、第1の嵌合部23及び第2の嵌合部24及び閉塞部22の押圧等の働きにより抑制されるため、枠材間の連結ズレが生じることはない。そのため、枠組み作業の作業性を向上させることができる。
さらに、連結片25が、取付け片1D,2D,3D,4Dを室外側から面で当接することにより、ビス1本での固定に伴う回動を、第1の嵌合部23及び第2の嵌合部24及び閉塞部22と協働してさらに確実に抑制することができる。
【0030】
<枠組み及び取付け方法>
次に、連結具21及びビス6を用いて、上下枠1,2の両端が左右縦枠3,4の内周面1A,2A,3A,4Aに当接されて形成される四周のコーナー部を固定し、枠組みをする方法について説明するが、上記四周のコーナー部は、それぞれ位置的及び構造的に対称関係にあるので、以下では、上枠1及び左縦枠3により形成される部分のコーナー部を固定し、枠組みをする方法について説明する。
まず、上枠1と左縦枠3との取り合い位置を、ある程度大雑把に決めて枠を組んだ状態で、それぞれの枠体の溝が形成されている部分(側面)、すなわち、溝1b,3bに、連結具21の第1の嵌合部23及び第2の嵌合部24を嵌入して嵌合させる。
その後、第1の嵌合部23の当接面23Aに形成されたビス孔23Dと、左右縦枠3に形成されたビス孔3Hとに、ビス6を挿入し螺着させて固定する。
【0031】
なお、閉塞部22に封止材27を設ける場合は、左縦枠3の上端部の開口部3aの躯体に対向する一部が外方に開放されている溝3bから、上枠1の開口部1aへとビス6を打ち込むときに、封止材27の圧縮代を見込んで、上枠1の開口部1aに形成されたビス挿入ホール1Gへのビス6の打ち込む位置を決めて、第1の嵌合部23の当接面23Aを介してビス6を打ち込み、ビス6の止め付け状態で、左縦枠3の建物外部に露出する部分の開口部3a端を閉塞部22に押圧させ封止材27を圧縮させるようにすればよい。このように、ビス止め枠組み時において、連結具21の閉塞部22を左縦枠材3の開口部3aの端に押圧させ封止材27を圧縮させると、封止(たとえば気水密)の強化を図ることができる。
そして、上記と同様に、残りのコーナー部についても枠組みを行えばよい。
【0032】
次に、組みあがった上下枠1,2及び左右縦枠3,4を、取付け片1D,2D,3D,4Dに形成された、図示しないネジ孔と、連結具21の連結片25に形成されたネジ孔25A,25Bとに、ネジ8を挿入し螺着させて鉄骨7に固定すればよい。なお、タップビスなどで固定する場合は、取付け片1D,2D,3D,4Dにネジ孔を形成しなくても、さらに、連結具21の連結片25にネジ孔25A,25Bを形成しなくてもよい。
【0033】
<上下枠及び左右縦枠の他の実施例>
図6に示すように、他の実施例として、上下枠101、102及び左右縦枠103,104が考えられる。以下に、四周のコーナー部は位置的及び構造的に対称関係にあるので、上枠101と左縦枠103とのコーナー部についてのみ説明する。
これらの枠材の特徴は、第1に、先の実施例で示した、左縦枠3の上端部の開口部3aの躯体に対向する一部が外方に開放されている溝3bが、切欠き部101J,103Jに置換され、連結具121の第1の嵌合部123及び第2の嵌合部124の躯体側から嵌入される部分が、切欠かれている点である。この切欠き部101J,103Jを、工場での製作時に製作してもよいし、現場で製作してもよい。
【0034】
第2に、嵌め殺し障子を別途装着することなく、上枠101及び左縦枠103自体に、図示しないガラスを嵌め入れてしまうことである。すなわち、先の実施例で示した、開口部1a,3aに相当する部分の中央に中央片101K,103Kが設けられ、そのため、図示しないガラスを嵌め入れるガラス溝101c,103cが、開口部101a,103aの室外側に形成されたことである。なお、これら中央片101K,103Kとガラス溝101c,103cとを必ずしも形成する必要はなく、形成しない場合は、上下枠及び左右縦枠の内側に嵌め殺し障子15を装着すればよい。
【0035】
枠組み方法及び取付け方法については、枠組みの際に、ガラスを嵌め入れた上で、連結具121及びビス106で固定し、図示しないガスケットを嵌入する工程が異なるだけで、先の実施例と略同様なので、説明を省略する。
【0036】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、建物外部開口用半外付けサッシの枠組み構造において、枠組み作業を容易に行うことができるとともに、左右縦枠端部の気水密性を確実にすることができる等の利点がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るサッシ縦断面図である。
【図2】 その横断面図である。
【図3】 その室外側から見た正面図及びコーナー部の拡大図である。
【図4】 上枠と左縦枠、及び連結具の構成を説明するための図である。
【図5】 コーナー部と連結具を説明するための図である。
【図6】 枠材の他の実施例を説明するための図である。
【符号の説明】
1…上枠、2…下枠、3…左縦枠、4…右縦枠、1A,2A,3A,4A…内周面、1B,2B,3B,4B…室外面、1C,2C,3C,4C…室外側外周面、1D,2D,3D,4D…取付け片、1E,2E,3E,4E…室内面、1F,2F,3F,4F…室内側外周片、1G,2G…ビス挿入ホール、3H,4H…ビス孔、1a,2a,3a,4a…開口部、1b,2b,3b,4b…溝、6…ビス、7…鉄骨、8…ネジ、9…外壁、10…バックアップ材、11…シーリング材、12…ビス、13…ブラケット、14…内装材、15…嵌め殺し障子、16…ビス、17…ガラス面、21…連結具、22…閉塞部、23…第1の嵌合部、24…第2の嵌合部、25…連結片、26…繋ぎ板、27…封止材、101…上枠、103…左縦枠、101J,103J…切欠き部、101K,103K…中央片、101a,103a…開口部、101c,103c…ガラス溝、106…ビス、121…連結具、123…第1の嵌合部、124…第2の嵌合部。
Claims (7)
- 長手方向の両端に開口を有し、該両端は長手方向に対し直交する本体部と、該本体部に設けられ、この本体部を建物開口部の躯体に取付けるための取付け片と、を備えた枠材で、上下枠及び左右縦枠を構成し、
前記上下枠の両端が前記左右縦枠の内周面に当接されて形成される四周のコーナー部は、連結具及びビスにより固定され、
前記上下枠及び左右縦枠の内周面には、嵌め殺し障子を装着する、建物外部開口部用半外付けサッシの枠組み構造であって、
前記連結具は、前記左右縦枠の建物外部に露出する部分の前記開口端を覆う閉塞部と、前記コーナー部に位置する上下枠及び左右縦枠のそれぞれの前記開口端に嵌合させるように直交する二方向に配設された嵌合部と、前記コーナー部に位置する前記上下枠及び左右縦枠のそれぞれの取付け片に当接し、これらを連結する連結片、とを備え、
前記連結具の嵌合部を前記上下枠及び左右縦枠のそれぞれの前記開口端に嵌合させるとともに、前記連結具の閉塞部を前記左右縦枠の前記開口端に当接し、前記左右縦枠の建物外部に露出する部分の前記開口端を前記閉塞部により覆う状態で、前記コーナー部を、前記連結具の嵌合部を介してビスにより固定して枠組みし、
前記連結片を介して、前記上下枠及び左右縦枠が建物開口部の躯体に取付けられる、ことを特徴とする建物外部開口用半外付けサッシの枠組み構造。 - 前記連結具の閉塞部に封止材を設け、該封止材を介して前記左右縦枠の両端に当接させる構成とした、請求項1記載の建物外部開口用半外付けサッシの枠組み構造。
- 前記封止材が圧縮可能な材料からなり、前記左右縦枠の上端部の内方部分から上枠及び下枠の内方部分へとビスを打ち込むときに、封止材の圧縮代を見込んで、前記上枠及び下枠の内方部に形成されたビスホールへのビスの打ち込む位置を決めて、前記連結具の嵌合部を介してビスを打ち込み、ビスの止め付け状態で、前記左右縦枠の建物外部に露出する部分の前記開口端を前記閉塞部に押圧させ封止材を圧縮させて封止の強化を図っている、請求項2記載の建物外部開口用半外付けサッシの枠組み構造。
- 長手方向の両端に開口を有し、該両端は長手方向に対し直交する本体部と、該本体部に設けられ、この本体部を建物開口部の躯体に取付けるための取付け片と、を備えた枠材で、上下枠及び左右縦枠を構成し、
前記上下枠の両端が前記左右縦枠の内周面に当接されて形成される四周のコーナー部は、連結具及びビスにより固定され、
前記上下枠及び左右縦枠の内周面には、嵌め殺し障子を装着する、建物外部開口部用半外付けサッシの枠組み構造であって、
前記連結具は、前記左右縦枠の建物外部に露出する部分の前記開口端を覆う閉塞部と、前記コーナー部に位置する上下枠及び左右縦枠のそれぞれの前記開口端に嵌合させるように直交する二方向に配設された嵌合部と、を備え、
この連結具の閉塞部に封止材を設け、前記連結具の嵌合部を前記上下枠及び左右縦枠のそれぞれの前記開口端に嵌合させるとともに、前記連結具の閉塞部を封止材を介して前記左右縦枠の両端に当接し、前記左右縦枠の建物外部に露出する部分の前記開口端を前記閉塞部により覆う状態で、前記コーナー部を、前記連結具の嵌合部を介してビスにより固定して枠組みし、
かつ、前記封止材が圧縮可能な材料からなり、前記左右縦枠の上端部の内方部分から上枠及び下枠の内方部分へとビスを打ち込むときに、封止材の圧縮代を見込んで、前記上枠及び下枠の内方部に形成されたビスホールへのビスの打ち込む位置を決めて、前記連結具の嵌合部を介してビスを打ち込み、ビスの止め付け状態で、前記左右縦枠の建物外部に露出する部分の前記開口端を前記閉塞部に押圧させ封止材を圧縮させて封止の強化を図っている、ことを特徴とする建物外部開口用半外付けサッシの枠組み構造。 - 前記枠材の本体部は、断面略C型溝状で、前記建物の躯体に向かって溝が形成されており、該溝縁部に前記取付け片を備えた、請求項1〜4の何れか1項に記載の建物外部開口用半外付けサッシの枠組み構造。
- 前記枠材の本体部は、該本体部の両端部で、かつ建物の躯体に対向する面が切り欠かれ、該切欠きは、この切欠きから前記開口端に前記連結具の嵌合部を嵌合可能に構成され、この切欠き縁部に前記取付け片を備えた、請求項1〜4の何れか1項に記載の建物外部開口用半外付けサッシの枠組み構造。
- 前記上下枠及び左右縦枠は、実質的に同一の横断面を有する、請求項1〜6の何れか1項記載の建物外部開口用半外付けサッシの枠組み構造。
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